JP5026573B2 - 魚介類の凍結方法 - Google Patents

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Description

本発明は、魚、海老、貝などの魚介類を生の状態で凍結する方法に関する。
凍結状態の魚介類を解凍したり、加熱処理すると、肉の旨味成分を含む水分(ドリップ)が流出して身が縮み、味や食感も損なわれる。また、ソースを使用した調理を行う場合に、具材から流出したドリップがソースに混ざって、ソースの本来の風味、色、香りが損なわれる、という問題も生じる。
このようなドリップの流出を抑制するために一般に実施されている方法として、具材を所定時間保水剤に浸漬してから凍結する方法がある。
この保水剤の一例として、特許文献1には、糖アルコール20〜40重量%、クエン酸三ナトリウム25〜40重量%、炭酸アルカリ15〜25重量%、および重炭酸アルカリ15〜25重量%を含有する海老用の処理剤が記載されている。また、重炭酸アルカリとして炭酸水素ナトリウム(重曹)を使用することも記載されている。
保水剤を用いずに、材料の表面に被膜を形成することによってドリップの流出を抑える方法も提案されている。たとえば、特許文献2には、ムキ海老に低温糊化澱粉と乾燥卵白から成る打ち粉を付着させた後にボイルすることにより被膜付の海老を生成し、これを凍結することが記載されている。また、特許文献3には、具材を卵白液および馬鈴薯澱粉でコーティングした後にボイルし、その後に凍結することが記載されている。
特開2006−34236号公報 特開平10−257869号公報 特許第3780085号公報
保水剤を使用すると、具材の身の内部に保水剤が浸透して具材の保水性が高められ、ドリップの流出が抑えられるが、保水剤を浸透させると、身のタンパク質に変性が生じて、味や食感が損なわれるおそれがある。また、加熱したときの身の色が変化せず、十分に加熱しているのに加熱が不十分であるかのような印象を与える、という問題もある。
特許文献2や特許文献3に記載された方法では、具材の表面を卵白のタンパク質とデンプンとを含む被膜で保護することにより、具材からの水分の流出を防ぐが、このような構成の被膜では十分な粘着性が得られず、被膜が具材から剥がれるおそれがある。また、具材の表面しか保護されていないので、具材が高温で加熱されてドリップの流出力が高まると、表面の被膜のみでドリップの流出をくいとめるのは困難である。また、この被膜付の具材をボイルすることなく凍結した後に解凍する場合にも、卵白の保水力のみで具材からのドリップの流出を防ぐのは困難である。また、特許文献2,3に記載のように被膜付の具材を加熱してから凍結すると、この凍結された具材を使用する場合には再度の加熱処理が必要になり、肉が硬くなったり、風味や食感が損なわれる虞がある。
本発明は上記の問題に着目し、生の魚介類を凍結する前に、その肉質を変化させることなく、ドリップの流出を防止するための下処理を行うことを、課題とする。
本発明による凍結方法では、卵白液と水との混合液に重曹を含めた調味液に生の具材を浸漬して揉み込む工程と、揉み込み処理後の具材を調味液に浸漬した状態のまま放置する工程と、調味液中の重曹が具材の表層部に浸透した段階で前記放置を終了して調味液の液切りをする工程と、液切り後の具材の表面にデンプン粉をまぶす工程と、デンプン粉がまぶされた具材の表面に植物油をまぶす工程とを順に実行することにより、具材の表面に粘着性を有する被膜を形成する。そして、この被膜が形成された具材を急速凍結する。
上記の方法は、具材に対し、殻を剥いたり、鱗をとるなどの処理を施してから、実施される。また、具材が大きい場合には、適当な大きさに切り分けてから、上記の方法を実施する。
上記の方法では、卵白液と水との混合液に重曹を含めた調味液に生の具材を浸漬して揉み込むことによって、具材の表面に調味液をよく馴染ませた後、所定時間放置することによって、調味液中の重曹(炭酸水素ナトリウム)を含む水分を具材の内部に浸透させることができる。しかし、本発明では、重曹が浸透する範囲を具材の表層部の付近程度までに留めて放置を終了し、調味液の液切りをした後に、具材の表面にデンプン粉をまぶし、さらにその上から食用油をまぶす。このように、調味液に浸漬した後の具材にデンプン粉をまぶすことで、ある程度の粘着性を有する被膜を形成した後に、さらに植物油をまぶすことにより被膜の粘着性を高めることができ、被膜を具材にしっかりと付着させることができる。
上記の方法によれば、重曹が浸透した表層部の保水性が高められると共に、卵白とデンプン粉と油とが一体となった粘着性のある被膜により具材の表面の保水性を高めることができる。よって、具材の表面に保水性を有する被膜を形成するだけの特許文献2,3よりも、具材に対する保水効果を高めることができる。
また、本発明では、生の具材の表面に粘着性を有する被膜を形成した後に急速凍結を行うことにより、具材に浸透した重曹を表層部付近に留めたまま、具材および表面の被膜を凍結することができる。よって、凍結状態の具材が解凍された場合には、重曹により保水性が高められた表層部と表面のタンパク質および油分を含む被膜とにより、具材からのドリップの流出を抑制することができる。
さらに、この具材を加熱すると、表面の被膜が速やかに固まって堅固なコーティング膜に変化するので、このコーティング膜と重曹の浸透した表層部とにより、加熱時のドリップの流出を防止することが可能になる。また、保水剤として機能する重曹の浸透を具材の表層部付近に留めることによって、具材の主要部の肉質の変性を防ぐことができるので、本来の風味や食感を維持し、加熱時の身の色を違和感なく変化させることができる。重曹や卵白は殆ど味がなく、無色であり、またドリップの流出が抑制されるので、調理の際の味付けやソースの色合いが損なわれることもない。
上記の調味液では、卵白液が全重量の半分以上を占めるのが望ましい。
調味液には、卵白液、水、重曹のほか、食塩などの調味料を含めることができるが、調味料は微量に留める必要がある。調味液の塩分濃度が上がって具材よりも浸透圧が高くなると、具材からの水分の流出が促進されてしまうからである。
デンプン粉としては、片栗粉(ジャガイモデンプン)、小麦粉、米粉、コーンスターチなどを使用することができる。特に、片栗粉は、粘性が高く、匂い、味、色に関して具材に及ぼす影響が小さいため、本発明に最も適していると思われる。
植物油としては、低温で凝固する油(たとえばパーム油)や匂いの強い油(たとえばゴマ油)を除き、いずれの植物油でも使用することができる。その中でも、味のくせが少ない大豆白絞油は、本発明に最も適していると思われる。
上記の方法の好ましい一実施態様では、具材を急速凍結する工程において、個々の具材を前記粘着性を有する被膜で覆われた状態のまま1つずつ分離して個別急速凍結(IQF)を実施する。
凍結前の具材は、粘着性を有する被膜を介して互いに結着しているため、この結着状態のまま凍結すると、ある程度解凍してから各具材を分離する必要があるなど、具材を分けるのに労力や時間がかかる。また分離のためには、ある程度の解凍が必要となるので、解凍された具材の一部が使用されなかった場合に、残った具材の長期保存が困難になる。これに対し、上記の実施態様では、各具材を被膜で覆われた状態のまま1つずつ分離して個別に凍結するので、所望の数の具材を容易に取り出して凍結状態のまま加熱することが可能であり、調理にかかる手間や時間を大幅に削減することができる。また、残った具材も引き続き凍結状態で保存することができる。
上記の凍結方法は、種々の魚介類の凍結に用いることができる。特に生のムキ海老に対してこの凍結方法を実施すれば、表層部に重曹が浸透し、卵白とデンプン粉と食用油とを含む粘着性を有する被膜により表面が覆われて成る冷凍ムキ海老を作成することができる。この冷凍ムキ海老は、ドリップが殆ど流出せず、海老の風味や食感や大きさを維持した状態で調理することが可能になる。また、ソースによる調味を行う場合にも、海老から流出したドリップによってソースの質が変わるおそれがないから、ソースの風味、色、香りを生かすことができる。よって、様々な料理に使用することが可能な冷凍ムキ海老を提供することができる。
本発明によれば、生の具材を、その肉質が維持されるような下処理を行ってから凍結することにより、解凍時や加熱時のドリップの流出を抑制して具材の身の縮みを防止することができる。また具材の風味や食感を維持して調理を行うことができる。
冷凍ムキ海老の加工に関する各種工程の流れを示す図である。 凍結対象の海老をプラスティックシートに並べた例を示す図である。 図1の工程S1〜S8が施された海老の身の状態を模式的に示す図である。
図1は、本発明を適用して冷凍ムキ海老を加工する場合の各種工程の実施順序を示す。この実施例では、複数尾の海老を一括して処理する。海老のサイズは特に問わないが、使用される材料の分量や各工程での処理時間などを管理するために、あらかじめ定められた重量分の海老を対象とする。
以下、図1を参照して、冷凍ムキ海老を完成させるまでの手順を説明する。
まず、最初の工程S1では原材料の殻付き海老を洗浄し、つぎの工程S2で海老の頭を取り除く。さらに、工程S3で殻剥きおよび背腸の除去処理を行うことにより、凍結対象の具材(ムキ海老)の形態が整うことになる。
なお、工程S1では、洗浄と水切りとを複数回繰り返して実施する。また、図1では省略しているが、工程S3を実施した後は、次の工程S4を開始する前に、殻などの異物を洗い流す処理や、異物が残っていないかどうかをチェックする処理などを実施する。
つぎに、工程S4では、上記のムキ海老を調味液に漬け込んで揉み込む。この実施例では、ムキ海老の重量の約1/4の量の調味液をムキ海老と共にタンブリングマシンに投入し、ムキ海老がまんべんなく動いている状態を保ちながら、1分間程度かき混ぜるようにしている。
工程S4が終了すると、処理後のムキ海老を調味液とともに容器に入れることによりムキ海老を調味液に浸漬した状態を維持し、これをチルドルーム(温度は10°C以下)に入れて16時間放置する(工程S5)。この放置時間が経過すると工程S6に進み、ムキ海老をザルにあけて液切りをする。この液切り処理は、工程S5と同じチルドルーム内で行われるが、周囲の温度を10°C以下に維持できるのであれば、別の場所に移動させて液切りを行ってもよい。
つぎに、工程S7では、液切り後のムキ海老に、その全重量の約10%に相当する量の片栗粉を添加し、各ムキ海老の表面に片栗粉がまんべんなくまぶされるまで混ぜ合わせる。この処理により、ムキ海老の表面に付着している調味液中の卵白と片栗粉とが一体になって片栗粉の持つ粘りが引き出され、ムキ海老の表面に粘着性のある被膜が形成される。
続く工程S8では、ムキ海老の全重量の約5%に相当する量の植物油(この実施例では大豆白絞油を使用する。)を添加し、各ムキ海老の表面に油がまんべんなくゆきわたるまで混ぜ合わせる。この処理により、工程S7で形成された被膜にさらに油分が加えられて粘着性が増し、各ムキ海老は、被膜を介して強く結着した状態となる。
なお、この実施例の工程S7および工程S8では、手作業による混ぜ合わせ処理を行うが、これに限らず、工程S4と同様にタンブリングマシンを使用してもよい。反対に、工程S4において、タンブリングマシンを使用せずに、手作業による揉み込みを行ってもよい。
工程S8までの処理により、凍結前の下処理が完了し、各ムキ海老は、粘着性を有する被膜により被われた状態となる。つぎの工程S9では、この被膜付きのムキ海老を急速凍結する。凍結が完了すると、各ムキ海老の凍結の度合や異物の混入の有無などに関する検査を実施した後に、各ムキ海老を袋詰めする(工程S10)。この袋は冷凍保管室に搬送され、出荷まで厳重に保管される。
この実施例の工程S9では、粘着性を有する被膜を介して結着した状態にある各ムキ海老を1尾ずつに分けて、個別急速凍結(IQF)用の凍結装置(図示せず。)に搬入し、−18°Cの冷却風を吹き付ける。この処理により、各ムキ海老は、一尾ずつ、表面の被膜とともに凍結され、袋詰めの後も、そのバラ状態を保って保存される。
さらにこの実施例の凍結処理では、図2に示すように、各ムキ海老(図中、符号1で示す。)をプラスティック製のシート100の上に間隔をあけて並べ、このシート100ごと搬送用のコンベア(図示せず、)に載せて、凍結装置に導くようにしている。
シート100にムキ海老1を並べる処理では、被膜を介して結着しているムキ海老1を、作業員がスプーンを用いて一尾ずつすくい上げ、シート100の上に配置する。この作業にスプーンを使用することにより、ムキ海老に付着する被膜の量を調整することができる。また、箸やトングなどでムキ海老1を摘み上げるよりも効率良く、また被膜をはがさずに作業を行うことができる。なお、図2の例では、各ムキ海老1を向きを揃えて並べているが、間隔を十分に確保できるのであれば、ムキ海老1の向きはバラバラであってもよい。
ムキ海老1を載せたシート100は、凍結装置へと導かれ、凍結後もムキ海老1を載せたまま搬送されて後段の検査や袋詰めの工程へと導かれる。このような処理により、ムキ海老1に対して衛生面での安全性を確保することができ、袋詰めの作業の効率も高められる。また、凍結前の粘着性を有する被膜によりコンベアが汚れるのを防止することができる。
上記のムキ海老1を凍結する方法としては、IQFのほか、被膜を介して一塊りに結着した状態のムキ海老を、その塊のまま真空包装して凍結する方法も考えられる。しかし、塊のまま凍結すると、調理の際に、ムキ海老の塊から必要な数の海老を分離するのが困難になる。しかも、各ムキ海老を一尾ずつ分けるには、ある程度、解凍する必要があるので、調理に使用されなかったムキ海老を長期保存するのが困難になる。
これに対し、IQFによれば、各ムキ海老を袋内にバラバラの状態で収容することができるから、凍結状態のまま、必要な数だけ効率良く取り出して調理に使用し、残りのムキ海老を再び冷凍保存することができる。
なお、図1に示した各工程のうち、工程S5および工程S6は、10°C以下の環境下で実施し、構成S9では−18°Cの冷風を作用させると説明したが、その他の工程は、20°C以下の環境で実施すればよい。
つぎに、工程S4およびS5において使用される調味液について説明する。
Figure 0005026573
表1に示すとおり、この実施例の調味液は、卵白液と6%の重曹水溶液とを主成分とし、下味用の調味料として、食塩、白胡椒、グルタミン酸ナトリウム(MSG)、および砂糖が加えられている。当該調味料は、各材料を十分に混ぜ合わせることにより、卵白液と水との混合液に重曹および各種調味料(食塩、白胡椒、MSG、砂糖)が溶け込んだ状態となる。
この実施例では、上記の調味液にムキ海老1を浸漬して揉み込む処理(工程S4)を実施した後に、浸漬状態のままチルドルーム内に放置する処理(工程S5)を実施することによって、調味液中の重曹や調味料の成分を含む水分をムキ海老1の身に浸み込ませることができる。ただし、保水性のある卵白液によりムキ海老1の表面が被われることや、調味液中の重曹の濃度が比較的低い値に設定されている(表1によれば、調味液全体に対する重曹の重量比は1.386%)ことから、ムキ海老1の身の主要部にまで重曹が急速に浸透することはない。
この実施例では、上記の現象を利用して、ムキ海老1に対する重曹の浸透の範囲がムキ海老1の身の表層部付近に留まるように、調味液中の重曹の濃度や工程S5の処理時間を調整している。表1の重曹水溶液より高い濃度の重曹水溶液が使用される場合には、工程S5の処理時間を短くし、表1の重曹水溶液より低い濃度の重曹水溶液が使用される場合には、工程S5の処理時間を長くする必要がある。
なお、この実施例で工程S5の処理時間を16時間に設定したのは、生産現場における効率を考慮してのことである。表1の配合の調味液を用いる場合には、12時間から20時間程度までの範囲内で処理時間を設定してもよい。
図3は、S8までの各工程を経たムキ海老1の身の状態を、模式的な断面図により示す。この図に示すように、ムキ海老1の身の表層部10には、調味液中の重曹21が浸透し、身の表面は、卵白と片栗粉と油とが一体となった被膜22により被われる。
上記のムキ海老1を凍結したまま加熱すると、表面の被膜22が素早く固まって堅固なコーティング膜に変化し、このコーティング膜と、重曹21の浸透により保水性が高められた表層部10とにより、ドリップの流出が抑制される。これにより、加熱による身の収縮を防ぐことができる。
また、重曹21が浸透する範囲を海老の身の表層部10の付近に留めることにより、身の主要部の肉質が維持されるので、海老の風味やプリッとした食感が損なわれることがなく、加熱時の身の色も本来の変化を示す。
凍結されたムキ海老1を解凍して使用する場合にも、重曹21が浸透した表層部10や、蛋白質および油分を含む被膜22により、ドリップの流出を防止することができる。また、被膜22の解凍により生じた水分がムキ海老1の身に浸透するのを防止することもできる。
上記のムキ海老1の冷凍に際し、調味液に重曹を含めず、卵白液のみを主成分とする調味液を用いて工程S4およびS5を実施し、他の工程については上記の実施例と同様の方法を実施すると、見かけ上は、上記の実施例によるのと同様の冷凍ムキ海老を生成することができる。しかし、卵白液はムキ海老1の内部には入らず、身の表面を被覆するだけであるため、ムキ海老1の身の表層部10の保水効果を高めることはできない。このため、凍結されたムキ海老1が油調されて、ドリップの流出力が高まると、ドリップの流出を抑えるのは困難になる。また、ムキ海老1が解凍される場合にも、卵白液の保水力のみでドリップの流出を抑制するのは困難である。
また、上記の実施例では、調味液への浸漬後のムキ海老1に片栗粉をまぶした後に、さらに植物油をまぶすことによって、被膜22の粘着力を高めると共に、ムキ海老1の身に余分な水分が浸透するのを防止することができる。粘着力を高めるだけであれば、植物油の代わりに水を加えても良いが、この水分がムキ海老1の身に浸透して肉質を低下させるおそれがあり、その際に被膜22中に残っていた重曹が一緒に浸透するおそれもある。また、水分を加えて粘着力を高めた被膜は油調により容易に剥離するのに対し、植物油を加えた場合には、油調時にも被膜を維持することができる。
上記の実施例に示した方法により生成された冷凍ムキ海老1は、加熱処理により即座に固まる被膜22に被われているので、凍結状態のまま、炒め料理や揚げもの料理に使用することができる。また、調味液に長く浸されても、下味程度の味がつくだけであるから、どのような味付けの料理にも使用することができる。
冷凍海老フライ製品のように特定の料理向けに加工されたものを除き、従来の冷凍ムキ海老を様々な料理に使用するためには、海老を解凍してから加熱処理を行わなければならないが、上記の実施例による冷凍ムキ海老は、凍結状態のまま加熱することによって、多種多様の海老料理に使用することができる。しかも、身の縮みを防止すると共に、風味や食感を維持できるから、手間をかけずに美味しい料理を作ることができ、従来製品に対して大きな優位性を有する。
さらに、ムキ海老に限らず、ホタテ、イカ、および種々の魚類に対しても、上記の実施例の工程S4〜S10と同様の処理を含む冷凍方法を実施することができる。ただし、それぞれの具材の特性に応じて、その具材の表層部のみに重曹が浸透するように、調味液の配合や浸漬処理の時間を調整する必要がある。
以下、図1の工程S1〜S8の下処理が施されたムキ海老を対象に、ドリップの流出の抑制や肉質の維持にかかる効果を検証するために実施した実験1〜3について、順に説明する。
<実験1>
加熱後の縮み度合を比較するために、検体として、以下のA,B1,B2,C,Dを準備した。なお、各検体のサイズは、31/40(1ポンドあたり尾数)に統一した。
A:保水のための下処理をせずに(工程S1,S2,S3のみ実施)、凍結すること
により生成された冷凍ムキ海老
B1:保水剤による処理が施された市販の冷凍ムキ海老(他社商品)
B2:保水剤による処理が施された市販の冷凍ムキ海老(自社製品)
C:工程S1〜S3および表1の調味液を用いた揉み込み処理(工程S4)を実施し
た後に凍結することにより生成された冷凍ムキ海老
D:工程S1〜S9(工程S4,S5では表1の調味液を使用)により生成された冷
凍ムキ海老
各検体を解凍した後に加熱処理した。加熱方法として、以下の方法1,2を実施した。
方法1:沸騰した湯によりボイルする。加熱時間は2分30秒。
方法2:180°Cの油により油調。加熱時間は55秒
各検体の加熱前、加熱後の重量の変化は、下記の表2のようになった。また、加熱後の海老の身の状態や味について評価したところ、表3のようになった。
Figure 0005026573
Figure 0005026573
表2に示すとおり、調味液による揉み込み処理が施された検体Cでは、下処理が施されなかった検体Aや保水剤に浸漬された検体B1,B2に比べて、加熱による身の縮みが少なくなり、風味や食感も維持された。また、揉み込み処理後に調味液に浸漬した状態で所定時間放置され、片栗粉をまぶす処理および植物油をまぶす処理が実施された検体Dでは、身の縮み度合はさらに小さくなり、風味や食感も維持された。
<実験2>
ソースを使用する調理を行って、ソースの状態の変化や海老の食感を確認した。
この実験では、実験1で用いたのと同様の検体A,Dを使用したが、検体Aには、調理前に、海老の重量に対し10%の片栗粉をまぶした。
実験方法は以下のとおりである。
1)熱したフライパンに大匙2杯の油を入れて、検体を投入する。
2)中火で2分30秒炒める。
3)市販の海老チリソースを投入し、さらに30秒炒める。
上記の1)〜3)により調理された海老を皿に盛りつけて、ソースの状態や海老の食感を比較したところ、以下の結果を得た。
[検体Aについて]
ソースに濁りが生じ、糊状になった。
海老の味が抜けてしまい、パサパサしていた。
[検体Dについて]
ソースに透明感が残っており、とろみが保たれていた。
海老の食感が良好で、ソースとの調和がとれていた。
上記のとおり、検体Dに対する調理では、ソースの質や海老の食感が維持された。
<実験1>および<実験2>の結果に示すとおり、工程S4〜S8による下処理が実施されたムキ海老では、加熱時のドリップの流出が大幅に抑制されると共に、風味や食感も維持され、調理に使用されるソースの質も維持されることが検証された。
<実験3>
この実験では、工程S4,S5に使用される調味液の配合比率を変更した場合に、加熱による身の縮み度合や食感に影響が生じるかどうかを調べた。
使用したのは、下記の表4に示す5種類の調味液である。前出の表1の調味液では重曹水溶液を使用したが、今回の各調味料E1〜E5は、卵白、水、重曹粉末、および各種調味料を混ぜ合わせることにより作成された。いずれの調味液E1〜E5でも、表1の調味液より食塩の比率が少なく、重曹および水の比率は多くなっている。卵白液の比率は、水に対して2倍強(2.185〜2.75倍)の64.99%に統一されている。
Figure 0005026573
上記の調味液E1〜E5毎に、検体として31/40(1ポンドあたり尾数)のムキ海老を準備し、それぞれに対して工程S1〜S9を実施して冷凍ムキ海老を製作した。その後、各検体を解凍し、<実験1>と同様の方法1,2による加熱処理を実施した。
方法1:沸騰した湯によりボイルする。加熱時間は2分30秒。
方法2:180°Cの油により油調。加熱時間は55秒。
各検体の加熱前と加熱後との重量の変化は表5のようになった。
Figure 0005026573
表5に示すように、ボイル加熱では、いずれの検体でも加熱前より重量が増加した。これは、ドリップの流出が抑えられたことに加え、表面の被膜に周囲の水分が入って被膜が膨らんだことによるものと思われる。
油調による身の縮み度合も、<実験1>の検体Dよりも小さくなった。また、いずれの検体でも、食感は良好であった。
上記のとおり、<実験3>では、塩分が少なく、重曹の比率がやや高めに配合された調味液E1〜E5を用いて揉み込み処理や浸漬処理を行うことにより、表1による調味液を用いた場合よりも加熱後のエビの身の縮み度合を小さくすることができた。
さらに、各調味液E1〜E5による検体を対象に、<実験2>と同様の方法による調理をしたところ、いずれの検体でも、食感、ソースの状態ともに良好であった。
つぎに、工程S1〜S8が実施されたムキ海老に対する凍結方法が調理時の作業効率に及ぼす影響を確認するために実施した<実験4>について、説明する。
<実験4>
この実験では、以下の検体D1,D2を使用した。いずれの検体D1,D2とも、工程S1〜S8による下処理が施された後に凍結されたもの(調味液は表1の配合のものを使用)であり、サイズは31/40(1ポンドあたり尾数)である。また、いずれの検体D1,D2についても、7尾の海老を準備した。
検体D1:IQFにより個別に凍結されたムキ海老。
検体D2:被膜を介して結着した状態のまま、真空包装され、凍結されたムキ海老。
実験方法は以下のとおりである。
1)検体D1,D2とも、180°Cの油による油調を行った。
2)検体D1については、凍結状態の7尾の海老をまとめて油に投入し、その投入開始
から投入が終了して鍋の中の海老が安定した状態になるまでの時間を計測した。
3)検体D2については、各海老を解凍した後に、1尾ずつ、袋から順に取り出して油
に投入する作業を実施し、最初の海老の投入開始から7尾目の海老の投入を終了する
までの時間を計測した。
上記の実験において、検体D1に対する計測時間は3秒であり、検体D2に対する計測時間は23秒であった。
検体D1では、各海老はすでにバラバラになっており、凍結により被膜が固まっていて一度に投入しても油の中でつながり合う虞がないため、まとめて素早く油に投入することが可能であった。これに対し、検体D2では、解凍により被膜の粘着性が復活し、各海老が一塊りになっているため、各海老が固まった状態で揚がってしまうのを避けるには各海老を1尾ずつ離して投入する必要があり、そのために投入のタイミングに遅れが生じた。
上記の<実験4>の結果により、個別に凍結されたムキ海老を凍結状態のまま調理することにより、調理の効率が大幅に向上することが検証された。
1 ムキ海老
10 表層部
21 重曹
22 被膜

Claims (2)

  1. 魚介類を冷凍する方法であって、
    卵白液と水との混合液に重曹を含めた調味液に生の具材を浸漬して揉み込む工程と、揉み込み処理後の具材を前記調味液に浸漬した状態のまま放置する工程と、前記調味液中の重曹が具材の表層部に浸透した段階で前記放置を終了して調味液の液切りをする工程と、液切り後の具材の表面にデンプン粉をまぶす工程と、前記デンプン粉がまぶされた具材の表面に植物油をまぶす工程とを順に実行することにより、前記具材の表面に粘着性を有する被膜を形成した後に、この被膜が形成された具材を急速凍結する工程を実行することを、特徴とする魚介類の凍結方法。
  2. 前記具材を急速凍結する工程では、個々の具材を前記粘着性を有する被膜で覆われた状態のまま1つずつ分離して個別急速凍結(IQF)を実施する、請求項1に記載された魚介類の凍結方法。
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