JP5025361B2 - スリップ制御装置及びスリップ制御方法 - Google Patents
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Description
そこで、駆動トルク演算手段は、駆動輪がスリップしたときには、要求駆動トルクをそのまま駆動トルクとして演算するのではなく、要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算して駆動トルクを演算する。このように演算すると、駆動トルク付与手段が、要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算して駆動輪に駆動トルクを付与するので、スリップしていない駆動輪に付与する駆動トルクを消費駆動トルクだけ上乗せできる。したがって、駆動輪がスリップしても、車両速度の低下を抑制して、要求されている車両速度にて車両を走行させることができる。
スリップ抑制手段が、スリップしている駆動輪に制動トルクを付与すると、駆動輪のスリップを抑制するために、この制動トルクにより駆動トルクが消費されてしまう。そこで、本発明においては、この制動トルクと消費駆動トルクとが同じであると仮定して、駆動輪に付与する制動トルクに基づいて消費駆動トルクを的確に求めることとしている。
駆動輪の全てがスリップしているときに駆動トルクが大きくなると、車両の走行が不安定になる。そこで、駆動輪の全てがスリップしているときには、駆動トルク演算手段が、駆動トルクが大きくならないように、要求駆動トルクをそのまま駆動トルクとして演算している。このようにして、駆動輪の全てがスリップしているときには、走行安定性の低下を抑制している。
車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲になるように要求駆動トルクを演算することにより、運転者のアクセル操作やブレーキ操作を必要とせずに、車両速度が一定速度範囲になるように駆動トルクを付与できる。したがって、運転者の負担を必要とせずに、一定速度範囲で車両を安定して走行できる。しかも、上述した如く、一定速度範囲で車両を走行させているときに、駆動輪がスリップしたときでも、車両速度の低下を抑制して、一定速度範囲での車両の走行を維持できる。
そこで、駆動トルク演算手段は、駆動輪がスリップしたときには、検出した車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクをそのまま駆動トルクとして演算するのではなく、要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算して駆動トルクを演算する。このように演算すると、駆動トルク付与手段が、要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算して駆動輪に駆動トルクを付与するので、スリップしていない駆動輪に付与する駆動トルクを消費駆動トルクだけ上乗せできる。したがって、駆動輪がスリップしても、車両速度の低下を抑制して、要求されている車両速度にて車両を走行させることができる。
スリップ抑制手段が、スリップしている駆動輪に制動トルクを付与すると、駆動輪のスリップを抑制するために、この制動トルクにより駆動トルクが消費されてしまう。そこで、本発明においては、この制動トルクと消費駆動トルクとが同じであると仮定して、駆動輪に付与する制動トルクに基づいて消費駆動トルクを的確に求めることとしている。
車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲になるように要求駆動トルクを演算することにより、運転者のアクセル操作やブレーキ操作を必要とせずに、車両速度が一定速度範囲になるように駆動トルクを付与できる。したがって、運転者の負担を必要とせずに、一定速度範囲で車両を安定して走行できる。しかも、上述した如く、一定速度範囲で車両を走行させているときに、駆動輪がスリップしたときでも、車両速度の低下を抑制して、一定速度範囲での車両の走行を維持できる。
スリップしている駆動輪に制動トルクを付与すると、駆動輪のスリップを抑制するために、この制動トルクにより駆動トルクが消費されてしまう。そこで、本発明においては、この制動トルクと消費駆動トルクとが同じであると仮定して、駆動輪に付与する制動トルクに基づいて消費駆動トルクを的確に求めることとしている。
駆動輪の全てがスリップしているときに駆動トルクが大きくなると、車両の走行が不安定になる。そこで、駆動輪の全てがスリップしているときには、駆動トルクが大きくならないように、要求駆動トルクをそのまま駆動輪に付与する。このようにして、駆動輪の全てがスリップしているときには、走行安定性の低下を抑制している。
車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲になるように要求駆動トルクを演算することにより、運転者のアクセル操作やブレーキ操作を必要とせずに、車両速度が一定速度範囲になるように駆動輪にトルクを付与できる。したがって、運転者の負担を必要とせずに、一定速度範囲で車両を安定して走行できる。しかも、上述した如く、一定速度範囲で車両を走行させているときに、駆動輪がスリップしたときでも、車両速度の低下を抑制して、一定速度範囲での車両の走行を維持できる。
スリップしている駆動輪に制動トルクを付与すると、駆動輪のスリップを抑制するために、この制動トルクにより駆動トルクが消費されてしまう。そこで、本発明においては、この制動トルクと消費駆動トルクとが同じであると仮定して、駆動輪に付与する制動トルクに基づいて消費駆動トルクを的確に求めることとしている。
車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲になるように要求駆動トルクを演算することにより、運転者のアクセル操作やブレーキ操作を必要とせずに、車両速度が一定速度範囲になるように駆動輪にトルクを付与できる。したがって、運転者の負担を必要とせずに、一定速度範囲で車両を安定して走行できる。しかも、上述した如く、一定速度範囲で車両を走行させているときに、駆動輪がスリップしたときでも、車両速度の低下を抑制して、一定速度範囲での車両の走行を維持できる。
〔第1実施形態〕
この車両1は、図1に示すように、エンジン2の出力を右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RLの夫々に伝達して4輪を駆動輪としている。エンジン2の出力は、変速装置3、センターデファレンシャル装置4及びフロントデファレンシャル装置5を介して右前輪FR及び左前輪FLに伝達するとともに、変速装置3、センターデファレンシャル装置4及びリアデファレンシャル装置6を介して右後輪RR及び左後輪RLに伝達している。このように、エンジン2及びエンジン2の出力を車輪に伝達する駆動力伝達機構から駆動トルク付与手段が構成されている。
エンジン2は、スロットル制御装置2a及び燃料噴射装置2bを有している。スロットル制御装置2aは、エンジン制御部9にて演算した駆動トルクを出力するように、エンジン2のスロットル開度を制御する。燃料噴射装置2bは、エンジン制御部9にて演算した駆動トルクを出力するように、エンジン2の燃料噴射量を制御する。
油圧ブレーキ装置8は、運転者のブレーキ操作力に応じてマスタシリンダ液圧を発生するマスタシリンダ12と、マスタシリンダ液圧を各車輪FR,FL,RR,RLのホイールシリンダ13に付与する液圧回路14とを有している。ホイールシリンダ13FR,13FL,13RR,13RLは、各車輪に設けている。
以下、第1液圧回路14aに設けた部材と第2液圧回路14bに設けた部材との両方を示す場合には、算用数字の後の「a」及び「b」を省略して説明する。
マスタシリンダ液圧を検出する液圧センサ31と、各ホイールシリンダ13のホイールシリンダ圧力を検出するホイールシリンダ圧センサ32とを設けている。ホイールシリンダ圧センサ32は、右前輪FRに対応するホイールシリンダ圧センサ32FR、左前輪FLに対応するホイールシリンダ圧センサ32FL、右後輪RRに対応するホイールシリンダ圧センサ32RR及び左後輪RLに対応するホイールシリンダ圧センサ32RLから構成してあり、各ホイールシリンダ圧センサ32にて各ホイールシリンダ13のホイールシリンダ圧力を各別に検出している。この実施形態では、液圧センサ31を第1液圧回路14aに設けているが、第2液圧回路14bに設けることもできる。
ホイールシリンダ圧力を増圧するときには、ブレーキ制御部10が、モータ29を作動させるとともに、マスタカット弁15aを遮断位置とし、第1常開制御弁19aを連通位置とし且つ第1常閉制御弁24aを遮断位置とする。ホイールシリンダ圧力を保持するときには、ブレーキ制御部10が、マスタカット弁15aを遮断位置とし、第1常開制御弁19aを遮断位置に切り換え且つ第1常閉制御弁24aを遮断位置とする。ホイールシリンダ圧力を減圧するときには、ブレーキ制御部10が、マスタカット弁15aを遮断位置とし、第1常開制御弁19aを遮断位置に切り換え且つ第1常閉制御弁24aを連通位置に切り換える。
エンジン制御部9は、車両速度が一定速度範囲になるように要求駆動トルクを求め、その求めた要求駆動トルクをそのまま駆動トルクとして演算し、その演算した駆動トルクを出力するようにエンジン2の作動を制御する。エンジン2は、スロットル制御装置2aによるスロットル開度の制御及び燃料噴射装置2bによる燃料噴射量の制御によって、エンジン制御部9にて演算した駆動トルクを出力する。エンジン2の出力は各駆動輪に伝達され、エンジン制御部9にて演算した駆動トルクが駆動輪に付与される。
そこで、ブレーキ制御部10は、4輪の駆動輪の夫々について、その駆動輪に対応する車輪速度センサ11の検出信号と車両速度とを比較することにより、その駆動輪がスリップしているか否かを判定している。例えば、ブレーキ制御部10は、車輪速度センサ11による車輪速度が車両速度よりも大きい場合に、その速度差が所定スリップ量よりも大きくなると、駆動輪がスリップしていると判定している。
そして、スリップしている駆動輪が一つであると、エンジン制御部9は、その求めた制動トルクをそのまま消費駆動トルクとして演算する。また、スリップしている駆動輪が複数であると、エンジン制御部9が、スリップしている駆動輪の夫々に付与する制動トルクの夫々を下記〔数1〕により求め、その制動トルクの合計値を消費駆動トルクとして求める。
Trq1=μ×PWC×A×C×R
Trq1は制動トルクであり、μはブレーキパッド摩擦係数であり、PWCはホイールシリンダ圧力であり、Aはホイールシリンダのピストン面積であり、Cはホイールシリンダのピストン数であり、Rはブレーキ有効半径である。
駆動輪がスリップすると、そのスリップしている駆動輪に制動トルクを付与するので、制動トルクが発生する(図中G部分)。このとき、エンジン制御部9が、要求駆動トルクに消費駆動トルク(図中H部分)を加算して駆動トルクを演算する。すると、スリップしていない駆動輪に消費駆動トルクだけ上乗せして駆動トルクを付与するので、スリップしていない駆動輪の車輪速度の低下を抑制できる。したがって、車両速度の低下を抑制することができ、一定速度範囲での車両1の走行を維持できる。
それに対して、駆動輪がスリップしたときに、エンジン制御部9が、要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算せずに駆動トルクを演算すると、図中点線で示すように、スリップしていない駆動輪の車輪速度が低下してしまい、車両速度の低下を招いてしまう。
エンジン制御部9は、駆動輪の全てがスリップしていないとき又は駆動輪の全てがスリップしているときに、消費駆動トルクTrq2を0(ゼロ)と演算する(ステップ1〜3)。
エンジン制御部9は、駆動輪の1輪〜3輪がスリップしていると、スリップしている駆動輪に付与する制動トルクTrq1を求め、スリップしている駆動輪に付与する制動トルクTrq1の合計値を消費駆動トルクTrq2として演算する(ステップ4)。
エンジン制御部9は、車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクTrq3を演算し、その要求駆動トルクTrq3に消費駆動トルクTrq2を加算して駆動トルクTrq4を演算して出力している(ステップ5,6)。
上記第1実施形態では、車両速度一定制御において駆動輪がスリップした場合について例示したが、この参考例では、運転者のアクセル操作に基づいて車両1を走行しているときに駆動輪がスリップした場合について説明する。
また、トラクション制御では、エンジン制御部9が、要求駆動トルクから駆動トルクダウン量を減算して駆動トルクを演算する駆動トルクダウン演算を行い、その駆動トルクダウン演算にて演算した駆動トルクを出力するようにエンジン2の作動を制御する。エンジン制御部9は、スリップしている駆動輪の車輪速度がトラクション制御目標速度になるように、スリップしている駆動輪の車輪速度とトラクション制御目標速度との差に応じてトルクダウン量を演算する。
スリップ抑制手段Sの稼動中、すなわち駆動輪がスリップしたときには、エンジン制御部9が、トラクション制御による駆動トルクダウン演算を行わず、演算した要求駆動トルクに消費駆動トルクを加算して駆動トルクを演算する。駆動輪の全てがスリップしているときには、エンジン制御部9が、トラクション制御による駆動トルクダウン演算を行う。
エンジン制御部9は、駆動輪がスリップしていないと、トラクション制御における駆動トルクの演算を行わない。このとき、エンジン制御部9は、運転者のアクセル操作に基づいて要求駆動トルクを求め、その求めた要求駆動トルクをそのまま駆動トルクとして演算する。
(1)上記第1実施形態及び参考例では、エンジン制御部9が、スリップしている駆動輪に付与する制動トルクに基づいて消費駆動トルクを求めているが、これに代えて、エンジン制御部9が、スリップしていない駆動輪とスリップしている駆動輪との回転速度差に基づいて消費駆動トルクを求めてもよい。この場合、エンジン制御部9は、スリップしていない駆動輪の回転速度及びスリップしている駆動輪の回転速度を車輪速度センサ11の検出信号から取得して、下記〔数2〕により消費駆動トルクを求める。
Trq6=(F1−F2)×α
Trq6は消費駆動トルクであり、F1はスリップしている駆動輪の回転速度であり、F2はスリップしていない駆動輪の回転速度であり、αは実験により求めた係数である。
9 駆動トルク演算手段(エンジン制御部)
S スリップ抑制手段
Claims (7)
- 駆動トルクを演算する駆動トルク演算手段と、その演算した駆動トルクを駆動輪に付与する駆動トルク付与手段と、前記駆動輪に付与する制動トルクを制御するブレーキ制御部と、前記制動トルクを付与して当該駆動輪のスリップを抑制するスリップ抑制手段とを設けているスリップ制御装置であって、
前記駆動トルク演算手段は、車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲内になるように検出した前記車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクを演算し、
前記スリップ抑制手段は、複数の前記駆動輪に対して各別に制動トルクを付与することにより前記駆動輪のスリップを抑制し、
前記駆動輪がスリップしていないときまたは前記駆動輪の全てがスリップしたときに、前記駆動トルク演算手段は前記要求駆動トルクを前記駆動トルクとし、
前記駆動輪の一部がスリップしたときに、前記駆動トルク演算手段は、スリップしている前記駆動輪がスリップしていないときの前記目標車両速度と同じ前記一定速度範囲内に前記車両速度を維持するように、前記要求駆動トルクに前記制動トルクである消費駆動トルクを加算したものを前記駆動トルクとするスリップ制御装置。 - 駆動トルクを演算する駆動トルク演算手段と、その演算した駆動トルクを駆動輪に付与する駆動トルク付与手段と、前記駆動輪に付与する制動トルクを制御するブレーキ制御部と、前記制動トルクを付与して当該駆動輪のスリップを抑制するスリップ抑制手段とを設けているスリップ制御装置であって、
前記駆動トルク演算手段は、車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲内になるように検出した前記車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクを演算し、
前記スリップ抑制手段は、複数の前記駆動輪に対して各別に制動トルクを付与することにより前記駆動輪のスリップを抑制し、
前記駆動輪がスリップしていないときに、前記駆動トルク演算手段は前記要求駆動トルクを前記駆動トルクとし、
前記駆動輪がスリップしたときに、前記駆動トルク演算手段は、スリップしている前記駆動輪がスリップしていないときの前記目標車両速度と同じ前記一定速度範囲内に前記車両速度を維持するように、前記要求駆動トルクに前記制動トルクである消費駆動トルクを加算したものを前記駆動トルクとするスリップ制御装置。 - 前記駆動輪の全てがスリップしたときには、前記駆動トルク演算手段が、前記要求駆動トルクに前記消費駆動トルクを加算せずに前記駆動トルクを演算する請求項2に記載のスリップ制御装置。
- 前記駆動トルク演算手段が、スリップしていない駆動輪とスリップしている駆動輪との回転速度差に基づいて前記消費駆動トルクを求めて前記駆動トルクを演算する請求項1または2に記載のスリップ制御装置。
- 車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲内になるように検出した前記車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクを演算し、
駆動輪がスリップしていないときまたは前記駆動輪の全てがスリップしたときには、前記要求駆動トルクを前記駆動輪に付与し、
前記駆動輪の一部がスリップしたときには、スリップしている前記駆動輪がスリップしていないときの前記目標車両速度と同じ前記一定速度範囲内に前記車両速度を維持するように、制御された制動トルクを複数の前記駆動輪に対して各別に付与しつつ前記要求駆動トルクに前記制動トルクである消費駆動トルクを加算したトルクを前記駆動輪に付与するスリップ制御方法。 - 車両速度が10km/h±所定速度での一定速度範囲内になるように検出した前記車両速度と目標車両速度との差に基づいて要求駆動トルクを演算し、
駆動輪がスリップしていないときには、前記要求駆動トルクを前記駆動輪に付与し、
前記駆動輪がスリップしたときには、スリップしている前記駆動輪がスリップしていないときの前記目標車両速度と同じ前記一定速度範囲内に前記車両速度を維持するように、制御された制動トルクを複数の前記駆動輪に対して各別に付与しつつ前記要求駆動トルクに前記制動トルクである消費駆動トルクを加算したトルクを前記駆動輪に付与するスリップ制御方法。 - 前記駆動輪の全てがスリップしたときには、前記要求駆動トルクに前記消費駆動トルクを加算しないトルクを前記駆動輪に付与する請求項6に記載のスリップ制御方法。
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