JP2798062B2 - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

車両用ブレーキ装置

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JP2798062B2
JP2798062B2 JP8204441A JP20444196A JP2798062B2 JP 2798062 B2 JP2798062 B2 JP 2798062B2 JP 8204441 A JP8204441 A JP 8204441A JP 20444196 A JP20444196 A JP 20444196A JP 2798062 B2 JP2798062 B2 JP 2798062B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両の左右駆動輪の
発進,加速時の駆動力過多による加速スリップを防止し
て加速性能,安全性を向上させる車両用ブレーキ装置に
関する。 【0002】 【従来の技術】従来この種の装置として、例えば特開昭
57−22948号公報、特開昭58−16948号公
報に示されるものが知られている。前者に示されるもの
では、モータにより駆動される多段ポンプが補助圧力導
管に圧力を供給し、3ポート2位置方向制御弁はブレー
キ圧に応じて動作し、非制動時に戻し導管に圧力を供給
する。弁が車輪の加速スリップに応じて動作すると弁を
通じて左右車輪のブレーキシリンダへ圧力が供給され、
スリップしている駆動輪に制動力を加えている。 【0003】後者に示されるものでは、電子評価回路が
設けられ、車輪センサよりの信号に基づいて駆動後輪等
が制御される。また回路には信号処理手段が設けられ、
後輪のスリップ値に特性的な信号と車両速度に比例した
信号が出力される。このスリップ値を、駆動輪のスリッ
プが許容される最高のしきい値と比較器で比較させ、制
動力の印加を制御し、駆動輪の駆動トルクの低減を図っ
ている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来のものでは、左右駆動輪のスリップ状態が異なる場
合、例えば左右の路面が不均一なまたぎ路で発進,加速
する場合、それぞれの駆動輪を独立に制御すると、その
左右駆動輪を連結する駆動軸に介在する差動装置の作用
により、左右駆動輪への制動力の増加,減少を左右で交
互に繰返し、それぞれの車輪速度の変動が大きくなって
しまい、その変動がステアリングホイールに伝わり、そ
の操作フィーリングの低下,加速性能の低下を招いてし
まうという問題がある。 【0005】そこで本発明は、左右駆動輪下が不均一な
路面状態の際に駆動力過多によって加速スリップ状態が
発生した際に、高摩擦路側の駆動輪における駆動力を充
分確保できるように左右駆動輪の車輪速度を収束させ
て、ステアリング操作フィーリングおよび加速性を両立
させることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、左およ
び右駆動輪における加速スリップ状態が大きい方の駆動
輪が所定の加速スリップ状態に達した際に、この駆動輪
の車輪制動力発生手段に対して第1のブレーキ液圧を加
えるとともに、他方の駆動輪の車輪制動力発生手段に対
して、左および右の駆動輪間の車輪挙動差に応じて設定
される第1のブレーキ液圧に関連した第2のブレーキ液
圧を加える付与手段を備えている。 【0007】よって、加速スリップ状態が小さく所定の
加速スリップ状態に達していない方の駆動輪に対して
も、第2のブレーキ液が加えられ、たとえばこの駆動輪
下路面が高摩擦路であって、この駆動輪が殆ど加速スリ
ップを起こしていない際においても、この駆動輪に第2
のブレーキ液圧が加えられる。この際第2のブレーキ液
は、左右駆動輪の車輪速度差等の車輪挙動差に応じて、
第1のブレーキ液圧を基準に設定される。 【0008】次に各駆動輪に第1のブレーキ液圧および
第2のブレーキ液圧が加えられた際の車輪挙動について
説明する。所定の加速スリップ状態に達した方の駆動輪
の車輪制動力発生手段に第1のブレーキ液圧が加えられ
た際には、車輪制動力によりこの駆動輪の車輪速度は低
減されて、スリップ状態が回復する。この際、この駆動
輪において低減された駆動力分が作動装置を介して他方
の駆動輪に増加される。なお、この他方の駆動輪はスリ
ップ状態が小さい方の駆動輪であるため、元々この駆動
輪下の路面状態は高い摩擦係数を有している。よって、
この他方の駆動輪は、路面反力を大きく受けることがで
き、大きな車体推進力を得ることが可能である。ところ
が、前述の如くこの他方の駆動輪に前述の低減分の駆動
力がほとんど全て足し合わされると、高摩擦路側のこの
駆動輪においてもスリップ状態が大きくなりかねず、車
体推進力が低下してしまう可能性がある。しかしなが
ら、この他方の駆動輪に対しても、車輪挙動差に応じた
第2のブレーキ液圧を加えることによって、前記低減分
の駆動力を調整することができ、この駆動輪においての
車体推進力を的確に確保することが可能である。 【0009】このように、スリップ状態が大きいほうの
駆動輪のスリップを的確に低減し、且つ車体推進力も充
分確保することができる。なお、ブレーキ液圧発生源お
よび車輪制動力発生手段の具体例として、トラクション
制御用ポンプおよびホイールシリンダを挙げることがで
きる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下本発明を図に示す実施例に基
づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示し、簡単
な構成でアンチスキッド制御とトラクション制御を行う
機能を有する車両用ブレーキである。この実施例は本発
明をいわゆるFF(前輪駆動)車に適用した例であり、
ブレーキシステムの配管系は周知のようにX配管を有
し、右前輪のホイルシリンダ4と左後輪のホイルシリン
ダ7に同一系統の管路からブレーキ油が供給され、左前
輪のホイルシリンダ5と右後輪のホイルシリンダ6に同
一系統の管路からブレーキ油が供給されるように構成さ
れている。ブレーキペダル1は真空ブースタ2を介して
マスタシリンダ3に連結されており、ブレーキペダル1
を踏込むことによりマスタシリンダ3に発生する油圧
は、後述するように管路を通って右前輪、左前輪、右後
輪、左後輪の各ホイルシリンダ4,5,6,7に伝達さ
れ、ブレーキ作用が行われる。真空ブースタ2は従来公
知のように、エンジンのインテークマニホールドに発生
する負圧が導かれ、ブレーキペダル1の踏込みに応じて
マスタシリンダ3のピストンに連結されたプッシュロッ
ドを付勢して運転車のブレーキペダルの踏込力を軽減す
る。 【0011】マスタシリンダ3は互いに同じ圧力のブレ
ーキ油を吐出する2つの圧力室(図示せず)を有し、各
圧力室にはそれぞれ供給管20,30が接続される。供
給管20は大1切換弁101を介して、左前輪のホイル
シリンダ5に連通するブレーキ管21と右後輪のホイル
シリンダ6に連通するブレーキ管22とにそれぞれ接続
される。第1切換弁101は3ポート2位置弁であり、
図示された第1位置において供給管20を各技管21,
22に連結させ、図示とは異なる第2位置において供給
管20を各技管21,22から遮断する。 【0012】供給管30も同様に第1切換弁102を介
して、右前輪のホイルシリンダ4に連通するブレーキ管
31と左後輪のホイルシリンダ7に連通するブレーキ管
32とにそれぞれ接続される。第1切換弁102は第1
切換弁101と同様に3ポート2位置弁であり、図示さ
れた第1位置において供給管30を各技管31,32に
連通させ、図示とは異なる第2位置において供給管30
を各技管31,32から遮断する。 【0013】後輪のホイルシリンダ6,7へ接続される
ブレーキ管22,32の途中には、従来公知のプロポー
ショニングバルブ103が設けられ、油圧が一定値以上
になった場合、マスタシリンダ3の吐出圧よりも低い圧
力のブレーキ油を後輪のホイルシリンダ6,7に供給す
るようになっている。以上の構成により通常のブレーキ
作用が行われ、ブレーキペダル1の踏込みによりマスタ
シリンダ3に発生した油圧は、供給管20およびブレー
キ管21を介して左前輪のホイルシリンダ5へ、供給管
20およびブレーキ管22を介して右後輪のホイルシリ
ンダ6へ、供給管30およびブレーキ管31を介して右
前輪のホイルシリンダ4へ、供給管30およびブレーキ
管32を介して左後輪のホイルシリンダ7へ、それぞれ
伝達される。 【0014】次にアンチスキッド制御系について説明す
る。ポンプ8,9はモータ10により回転駆動され、そ
れぞれリザーバ11に連通する油圧管50,60の枝管
51、61からブレーキ油を吸入し、その油を供給管7
9,80を介して各ホイルシリンダ4,5,6,7に供
給する。供給管70の枝管71は、第2切換弁104を
介してブレーキ管31の技術管33に連通可能であり、
枝管71の途中には絞り91が設けられる。第2切換弁
104は3ポート2位置弁であり、一方の吐出ポートは
上記枝管33に接続され、他方の吐出ポートは油管50
の枝管35に接続される。しかして第2切換弁104
は、図示された第1位置において枝管71を枝管33に
連通させ、図示とは異なる第2位置において枝管33を
枝管55に連通させる。したがって、第2切換弁104
が第1位置にある時、ポンプ8から吐出されたブレーキ
油は供給管70から枝管33を通ってホイルシリンダ4
へ供給され、第2切換弁104が第2位置にある時、ホ
イルシリンダ4内のブレーキ油は枝管33から油管50
を通ってリザーバ11へ開放される。 【0015】同様に、供給管70の枝管72は第2切換
弁105を介してブレーキ管32の枝管34に連通可能
であり、枝管72には保彫り92が設けられる。第2切
換弁105の一方の吐出ポートは技管34に接続され、
他方の吐出ポートは油管50の枝管52に接続される。
しかして第2切換弁105は、図示された第1位置にあ
る時枝管72を枝管34に連通させてポンプ8から吐出
されるブレーキ油をホイルシリンダ7に導き、図示とは
異なる第2位置にある時枝管34を枝管52に連通させ
てホイルシリンダ7内のブレーキ油をリザーバ11へ開
放する。 【0016】供給管80の枝管81は第2切換弁106
を介してブレーキ管21の枝管27に連通可能であり、
枝管81には絞り93が設けられる。第2切換弁106
の一方の吐出ポートは枝管27に接続され、他方の吐出
ポートは油管60の枝管62に接続される。しかして第
2切換弁106は、図示された第1位置にある時枝管8
1を枝管27に連通させてポンプ9から吐出されるブレ
ーキ油をホイルシリンダ5に導き、図示とは異なる第2
位置にある時枝管27を枝管62に連通させてホイルシ
リンダ5内のブレーキ油をリザーバ11へ開放する。 【0017】供給管80の枝管81は第2切換弁106
を介してブレーキ管21の枝管27に連通可能であり、
枝管81には絞り93が設けられる。第2切換弁106
の一方の吐出ポートは枝管27に接続され、他方の吐出
ポートは油管60の枝管62に接続される。しかして第
2切換弁106は、図示された第1位置にある時枝管8
1を枝管27に連通させてポンプ9から吐出されるブレ
ーキ油をホイルシリンダ5に導き、図示とは異なる第2
位置にある時枝管27を枝管62に連通させてホイルシ
リンダ5内のブレーキ油をリザーバ11へ開放する。 【0018】また供給管80の枝管82についても全く
同様に、第2切換弁107を介して枝管28,63に接
続され、第2の切換弁107は第1位置にある時ホイル
シリンダ6にブレーキ油を導き、第2位置にある時ホイ
ルシリンダ6内のブレーキ油をリザーバ11へ開放す
る。前記供給管20,第1切換弁101、及び枝管21
を結ぶ管路には、第1切換弁101前後の圧力を見地す
る圧力探知手段である圧力スイッチ41が配されてい
る。この圧力スイッチ41はマスタシリンダ3の圧力が
及んで供給管20内の圧力PMと、ホイルシリンダ3の
圧力が及んでいる枝管21内の圧力PWとを同時に検知
しており、PWが所定値以上PMより大きくなった場合
に閉成し、ECU130に閉成信号を送る。この信号を
受けたECU130は、極めて端時間に前記第1切換弁
101を開弁させる。 【0019】また、前記供給管30,第1切換弁10
2、及び枝管31を結ぶ管路には、第1切換弁1─2前
後の圧力を検知する圧力スイッチ43が配されている。
この圧力スイッチ43もマスタシリンダ3の圧力が及ん
でいる供給管30内の圧力PMと、ホイルシリンダ4の
圧力が及んでいる枝管31内の圧力PWとを同時に検知
しており、PWが所定値以上PMより大きくなった場合
に閉成し、ECU130に閉成信号を送る。そして、こ
の信号を受けたECU130は、極めて短時間に前記第
1切換弁102を開弁させる。 【0020】なおポンプ8,9の吸入側と吐出側は、そ
れぞれリリーフ管73,83により連結され、これらの
リリーフ管73,83にはそれぞれ制御弁111,11
2,リリーフ弁109,110が設けられる。制御弁1
11,112は図示された第1位置にある時リリーフ管
73,83を各々連結させ、図示とは異なる第2位置に
ある時リリーフ管73,83を遮断する。リリーフ弁1
09,110はそれぞれ導管14,15を介して供給管
路30,20の圧力が導かれ、この圧力に応じてリリー
フ管73,83を連通させて、ポンプ8,9の吐出圧力
を制御する。すなわち、前記制御弁111,112が第
1位置にある場合においてポンプ8,9の吐出圧力は供
給管30,20内の圧力と実質的に等しくなるようにな
っている。 【0021】アンチスキッド制御は、いずれかの車輪が
ロックしていると判断された場合、換言すれば、車輪の
減速度あるいはスリップ率が大きすぎると判断された場
合、行われる。車輪の減速度およびスリップ率はマイコ
ンを備えたエレクトリックコントロールユニット(EC
U)130により計算され、このため、各車輪の近傍に
は車輪速度センサ121,122,123,124が設
けられる。ECU130は、アンチスキッド制御を開始
すると判断した時、第1切換弁101,102を第1位
置から第2位置へ切換、アンチスキッド制御装置時、第
2切換弁104,105,106,107を車輪の減速
度およびスリップ率に応じてデヤューティ制御で切り替
えされる。 【0022】次に、車両を急発進させた場合に生じる左
右駆動輪の加速スリップ防止制御について述べる。前記
車輪速度センサ121,122,123,124により
駆動輪速度と従動輪速度を同時に検知し、駆動輪速度が
従動輪速度より所定値以上大きくなると駆動輪がスリッ
プしているものとECU130が判断し、まず第1切換
弁101,102を第2位置に切換え、供給管20,3
0を遮断する。それとともに、圧力スイッチ41,43
による戻し制御機能を禁止する。そして、モータ10を
回転させてポンプ8,9を駆動させ、同時に制御弁11
1,112を第2位置に切換えてリリーフ管73,83
を遮断する。これと同時に、第2切換弁105,107
を作動させて、従動輪へ制動力が印加されるのを防ぐ。
よって、ポンプ8,9はマスタシリンダ3の圧力よりも
高い圧力の圧油を供給管70,80に送り出すことがで
きる。そして、駆動輪のスリップ状態に応じて第2切換
弁104,106をデューティ制御し、ポンプ8,9か
らの圧油を駆動輪である左右前輪のホイルシリンダ4,
5に供給し、スリップを抑える。尚、本実施例では駆動
輪が左右前輪であったが、後輪駆動の場合には第2切換
弁105,107を切換えて左右後輪のスリップを抑え
ることになる。 【0023】そして左右の駆動輪でスリップ状態が異な
る場合には、駆動輪速度と従動輪速度とのスリップ率の
大きさにより、低摩擦路面側のホイルシリンダに加わる
圧力と高摩擦路面側のホイルシリンダに加わる圧力との
差を、初期には零に、低摩擦路面側の車輪のスリップが
小さくなるにつれ、ある一定の差をもつように両ホイル
シリンダの油圧を設定する。そして、この設定値になる
ように第2切換弁104,106をデューティ制御し、
ホイルシリンダ4,6の油圧減圧または増圧することに
より制動油圧を制御する。 【0024】このような制御をおこなうことにより低摩
擦路面の駆動力にり高摩擦路面の駆動力が大きくなる車
両の発進、加速がよくなる。次にデューティ制御につい
て説明する。デューティ制御による油圧は図2に示さ
れ、ここで図2における特性線Aは実際のホイルシリン
ダの制動油圧値を示し、特性線Bはコンピュータ内部の
計算上の制動油圧値を示す。同図におてい、一定時間T
(例えば、32msec)におけるデューティ制御で、油圧
を増圧する時間d0,1,……を可変制御することにより
行っている。したがって、時間d1,2,……を長く設定
すれば増圧側へ、短く設定すれば、減圧側に可変制御で
きることになる。 【0025】この制御において、増圧は、油圧ポンプの
特性によりほぼ一定の勾配を示し、一方減圧はしぼりや
オイル粘性によって決められ、指数関数的な減圧特性を
示す。同図から分かるように、初期値として油圧ポンプ
の最大油圧値に設定されているコンピュータ内部の制動
油圧値PXOと、実際の制動油圧値PXO ' との誤差が徐々
に少なくなり、コンピュータ内部の制動油圧が実際の制
動油圧値とほぼ同じ値に収束することになるから、制動
油圧値を検出することが可能になる。これは次の理由に
よる。すなわち、仮に、油圧特性がともに、直線的で同
一の割合で減少すると、両者の差圧は一定であり、両者
の誤差は狭められず、コンピュータ内の油圧値は実際の
制動油圧値に接近しないが、指数関数の特性から、油圧
値が大きくなるにしたがって油圧値の減少率が大きくな
るから、コンピュータ内部の計算上の油圧が大きい値に
設定されていても、指数関数的に減少し、両者の油圧値
は短時間のうちにお互いに接近することになるからであ
る。上記油圧装置により左右ホイルシリンダの油圧が制
御されるのである。 【0026】左右の路面摩擦が異なる場合、差動装置に
より車輪が交互にスリップを起こし走行が不安定になる
のを防ぐため、スリップを起こしていない車輪での駆動
トルクの変動を少なくすべくそのスリップしていない車
輪側にも、スリップを起こしている車輪に関係づけて制
動力を加える。すなわち、図3(a)、(b)、(c)
に示すように、どちらか一方の車輪にスリップが発生
し、制動圧が開始されると、同時にスリップ発生してい
ない側の車輪にも制動圧を印加開始し、その後、過制動
にならないよう、また、高摩擦路面側の駆動力を有効に
使い加速性を良くするようにその制動圧を先にスリップ
した車輪側に対して低くなるように差を設ける。いわゆ
る低摩擦路面側の油圧値をとり込み、高摩擦路面側の油
圧値との間に油圧差を制御し、加速性の良い安定した発
進,加速を可能とするものである。 【0027】次に上述した制御を実行する図4のフロー
チャートを説明する。このフローチャートは一定周期、
例えば32msecごとに行われる。以下1周期分の処理動
作を順に説明する。まず、ステップ100にて、各車輪
速度センサ5〜9からの車輪速度Vw を読込み、この車
輪速度Vw に基づいて特に従同輪の速度に対する駆動輪
の速度の差が所定レベルに達することを判定して左右駆
動輪の少なくとも一方の加速スリップを検出し、目標油
圧を演算する。 【0028】次に、ステップ120にて左右駆動輪の速
度差が所定レべルに達したことを検出し、左右駆動輪の
それぞれの路面が不均一になっていることを検知する。
次にステップ130にて左前輪と右前輪のホイルシリン
ダに加えられるべき目標油圧の設定差を次の(1)式で
演算する。 ΔK=Ka−kb・|WP高μ−WP低μ|……(1) その後に、ステップ140にて、高μ路側の目標油圧と
低々路側の目標油圧から設定件をひいたものとの比較を
行う。このステッフで、目標油圧が設定差をとったもの
てよりも大きいと判定された時、つまり、左右輪の路面
μが異なるため、演算によって得られた目標油圧が設定
差をとったものよりも小さくなったときには、ステップ
150にて高μ側の目標油圧として、低μ路側の目標油
圧から設定差をとった演算値を次の(2)式で設定す
る。 【0029】 P高μ=最大値・(P低μ−ΔK,P高μ)……(2) 上記ステップ150´,160または170で設定され
た目標油圧はステップ190以下にてデューティ制御さ
れる。すなわち、ステップ190にて、現在の推定油圧
値PxからPMAX,MIN を求める。PNAX はデューティ
100%,つまり、増圧指令部分のみからなる指令信号
を第2切換弁104,106に出力した場合に周期終了
時点で到達すると予想される推定油圧値であり、PMIN
はデューティ比0%、つまり減圧指令部分のみからなる
指令信号を第2切換弁104,106に出力した場合
に、周期終了時点で到達すると予想される推定油圧値で
ある。 【0030】つぎに、ステップ200にて、目標油圧値
PyとPMAX , MIN を大小比較する。Py≦PMIN
場合には、ステップ210にてデューティ比Dを0%、
つまり、減圧指令部分のみからなる指令信号を作成する
ためのデューティ比Dに設定し、PMIN をPx、つまり
次回の現在油圧値とする(ステップ220)。 【0031】一方、Py≧PNAX の場合には、ステップ
230にてデューティDを100%、つまり増圧指令成
分のみからなる指令信号を作成するためのデューティ比
に設定し、PNAX をPxとする(ステップ240)。ま
た、PMIN <Py<PMAX の場合には、ステップ250
にてデューティ比DをPxとPyとの関係を表す図5の
マップ(必要に応じて補間演算を追加する。)から求
め、ステップ260にて設定したPyをPxとする。 【0032】なお、ここで、マップの代わりの演算式は
次の式で表される。 Py=(Px+0,344d)*0.5e −0.0021(32−d)……(3) (eは自然対数) この式において、dは1周期32msecにおける増圧時間
を表すパラメータである。 【0033】上記ステップ230,240,260にて
設定されたデューティ比Dに基づく励磁電流パルスを第
2切換弁104,106に出力する(ステップ27
0)。本処理を繰り返すことにより、トラクション制御
が行われるが、これをタイムチャートで表わすと図6の
ようになる。同図において、ブレーキ圧が上昇を開始し
た時点(T2 )から同圧(T3 )を経てから、左右輪独
立に制動油圧値が所定の油圧差を生じるようにデューテ
ィ制御されていることがわかる。 【0034】なお、前述の実施例では、前輪駆動の車両
に適用したものを示したが、後輪駆動の車両にも同様に
適用することができ、その際、駆動輪となる後輪の制動
力制御にて加速スリップ制御を行なうことができる。ま
た、車両のブレーキ系としてアンチスキッド制御および
トラクション制御に兼用するものを示したが、左右駆動
輪に対する制動力を制御信号により独立に調整すること
ができるものであれば、その他どのような形式のもので
もよい。 【0035】また、スリップ検出手段として、駆動輪速
度と従動輪速度を比較するものを示したが、駆動輪速度
とレーダー等で求める車両の車体速度とを比較するも
の、或いは駆動輪の加速度と設定値とを比較するものな
どでもよい。さらに、制御手段として、ブレーキ系をデ
ューティ制御するものを示したが、左右駆動輪の制動力
をそれぞれ目標値に制御するものであれば、単純オン、
オフ制御するもの、連続制御するものなどでもよい。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例を示す全体構成図である。 【図2】図1の油圧特性を示す特性図である。 【図3】(a)、(b)、(c)共にトラクション制御
の作動を示す特性図である。 【図4】図1中のECUの演算処理を示すフローチャー
トである。 【図5】制御油圧値に対する目標油圧値のデューティ比
を示す特性図である。 【図6】トラクション制御状態を示す波形図である。 【符号の説明】 8、9 ポンプ(ブレーキ液圧発生源に相当) 4〜7 ホイールシリンダ(車輪制動力発生手段に相
当) 104、106 第2切換弁(付与手段に相当)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 昭57−500553(JP,A) 特開 昭54−144557(JP,A) 実開 昭62−17467(JP,U) 実開 昭60−23464(JP,U) 実公 昭49−15069(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60T 8/00 - 8/58

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.車両の各車輪に車輪制動力を与えるためのブレーキ
    液圧を発生するブレーキ液圧発生源と、 前記ブレーキ液圧発生源からのブレーキ液圧を受けて左
    および右駆動輪のそれぞれに独立に車輪制動力を付与可
    能な車輪制動力発生手段と、 前記左および右駆動輪の回転速度をそれぞれ検出する車
    輪速度検出手段と、 この車輪速度検出手段からの車輪速度信号に基づいて、
    前記左および右駆動輪のそれぞれの加速度スリップ状態
    を検出する加速スリップ状態検出手段と、 前記左および右駆動輪における加速スリップ状態の大き
    い方の一方の駆動輪が所定の加速スリップ状態に達した
    際に、前記一方の駆動輪の車輪制動力発生手段に対して
    第1のブレーキ液圧を加えるとともに、この第1のブレ
    ーキ液圧が前記一方の駆動輪に加えられている状態で
    方の駆動輪の車輪制動力発生手段に対して、左および右
    の駆動輪間の車輪挙動差に応じて設定される前記第1の
    ブレーキ液圧に関連した第2のブレーキ液圧を加える付
    与手段と、 を備えることを特徴とする車両用ブレーキ装置。 2.前記付与手段は、前記車輪挙動差として、前記左お
    よび右駆動輪の車輪速度差を用いることを特徴とする請
    求項1に記載の車両用ブレーキ装置。 3.前記付与手段は、前記第2のブレーキ液圧を車輪制
    動力発生手段に付与する際に、前記ブレーキ液圧発生源
    と前記車輪制動力発生手段との間に設けられた弁の遮断
    ・連通をデューティ制御することによって圧力調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ装
    置。4.前記付与手段は、前記他方の駆動輪に対して第2の
    ブレーキ液圧を加える際に、前記一方の駆動輪と他方の
    駆動輪とのスリップ状態差に基づいて第2のブレーキ液
    圧を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用
    ブレーキ装置。 5.前記付与手段は、前記一方の駆動輪の車輪制動力発
    生手段に対して前記第1のブレーキ液圧が加えられる際
    の初期時には前記他方の駆動輪の車輪制動力発生手段に
    対する第2のブレーキ液圧は第1のブレーキ液圧と同等
    ブレーキ液圧とし、低摩擦路面側の前記一方の駆動輪
    のスリップ状態が小さくなるにつれて第2のブレーキ液
    圧を前記第1のブレーキ液圧とー定の差をもつように設
    定することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレー
    キ装置。 6.前記付与手段は、前記一方の駆動輪の車輪制動力発
    生手段に対して前記第1のブレーキ液圧が加えられる際
    の初期時から前記一方の駆動輪のスリップ状態の大きさ
    に基因する条件に基づいて、第1のブレーキ液圧よりも
    ー定差圧分小さく前記第2のブレーキ液圧を設定し前記
    他方の駆動輪の車輪制動力発生手段にこの第2のブレー
    キ液圧を加えることを特徴とする請求項1に記載の車両
    用ブレーキ装置。
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