JP5007557B2 - 一方向クラッチ - Google Patents

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Description

この発明は、モリブデンを含む潤滑油の環境下で用いられる一方向クラッチに関する。
従来、一方向クラッチとして知られているものに、内輪と、外輪と、これら内外輪間に複数配設されたスプラグと、これらスプラグを周方向に所定間隔で保持している保持器とを備えたものがある。この一方向クラッチは、外輪と内輪とが相対的に一方向に回転することによりスプラグが内外輪間に噛み合って動力が伝達され、外輪と内輪とが相対的に他方向に回転した場合は、スプラグの噛み合いが解除され、内外輪間で空転して動力伝達が遮断される。
このような一方向クラッチにおいて、従来では、スプラグに例えば軸受鋼であるSUJ2が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
実開平6−47740号公報
従来の一方向クラッチを例えばエンジンオイルの環境下で使用した場合、エンジンオイルには摩擦調整剤として有機モリブデンが含まれているため、この有機モリブデンの影響により、SUJ2からなるスプラグと内外輪間において摩擦係数が極めて小さくなることが確認されている。これは、生成された二硫化モリブデンがスプラグの表面に付きやすくなり、摩擦係数を低下させているものと考えられる。このために、スプラグと内外輪間で滑りが生じ、スプラグによる噛合性が低下し、寿命が短くなるおそれがある。
そこでこの発明は、モリブデンを含む潤滑油の環境下で用いられても、スプラグと内外輪間における噛合性の低下を抑えることができる一方向クラッチを提供することを目的とする。
前記目的を達成するためのこの発明の一方向クラッチは、鋼製の内輪と、鋼製の外輪と、これら内外輪間に複数配設された鋼製のスプラグと、これらスプラグを周方向に所定間隔で保持している保持器とを備え、モリブデンを含む潤滑油の環境下で用いられる一方向クラッチにおいて、前記スプラグの素材である鋼のクロム含有量、1.2重量%以下として、前記潤滑油に含まれるモリブデンに基づいて生成される二硫化モリブデンを前記スプラグの表面に付きにくくし、前記スプラグと前記内外輪間の摩擦係数の低下を抑えることを特徴としている。
これによれば、生成される二硫化モリブデンがスプラグの表面に付きにくくなり、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑え、スプラグと内外輪間における噛合性の低下を抑えることができる。
また、前記一方向クラッチにおいて、前記スプラグの素材である鋼のクロム含有量が、0.30重量%以下であり、かつ、前記内輪及び外輪に対する前記スプラグの接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下であるのが好ましい。
これによれば、生成される二硫化モリブデンがスプラグの表面にさらに付きにくくなり、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑え、スプラグと内外輪間における噛合性の低下を、より一層効果的に抑えることができる。さらに、スプラグの接触面の硬さがHRC50以上であるので、スプラグと内外輪間に生じる高い面圧によって一方向クラッチの寿命が低下することを抑制することができ、また、硬さをHRC62.5以下とすることにより、実用上充分な硬さとすることができる。
また、前記一方向クラッチの前記スプラグは機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼からなるのが好ましい。
これによれば、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑えるために、スプラグの素材である鋼のクロム含有量に関して、及び、スプラグの接触面の硬さに関して、好ましいものとできる。
さらに、前記一方向クラッチにおいて、前記内輪及び前記外輪の素材である鋼のクロム含有量が、0.30重量%以下であり、かつ、前記スプラグに対する前記内輪の接触面及び外輪の接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下であるのが好ましい。
これによれば、生成される二硫化モリブデンが内輪及び外輪の表面に付きにくくなり、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑え、スプラグと内外輪間における噛合性の低下を、より一層効果的に抑えることができる。さらに、内輪の接触面及び外輪の接触面の硬さがHRC50以上であるので、スプラグと内外輪間に生じる高い面圧によって一方向クラッチの寿命が低下することを抑制することができ、また、硬さをHRC62.5以下とすることにより、実用上充分な硬さとすることができる。
また、前記一方向クラッチの前記内輪及び前記外輪は機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼からなるのが好ましい。
これによれば、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑えるために、内輪及び外輪の素材である鋼のクロム含有量に関して、並びに、内輪の接触面及び外輪の接触面の硬さに関して、好ましいものとできる。
また、モリブデンを含む潤滑油の環境下で用いられ、スプラグの素材である鋼のクロム含有量が、1.2重量%以下である前記一方向クラッチにおいて、前記内輪及び前記外輪の素材である鋼のクロム含有量が、1.2重量%以下であるのが好ましい。
これによれば、内輪の外周面及び外輪の内周面においても二硫化モリブデンが付きにくくなり、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑え、スプラグと内外輪間における噛合性の低下をより効果的に抑えることができる。
また、前記一方向クラッチにおいて、前記スプラグと、前記内輪及び外輪との間のそれぞれの接触面の硬さがHv700以上であるのが好ましい。
スプラグと内外輪間には高い面圧が生じるが、これによれば、一方向クラッチの寿命を延ばすことができる。
この発明によれば、生成される二硫化モリブデンがスプラグの表面に付きにくくなり、スプラグと内外輪間の摩擦係数の低下を抑え、スプラグと内外輪間における噛合性の低下を抑えることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の一方向クラッチの実施の一形態を示している側面図であり、図2はこの一方向クラッチの要部を示している図である。この一方向クラッチは、鋼製の内輪1と、鋼製の外輪2と、これら内外輪1,2間において周方向に複数配設された鋼製のスプラグ3と、これらスプラグ3を周方向に所定間隔で保持している外保持器5及び内保持器6と、スプラグ3を内輪1と外輪2とに対して噛み合い方向に付勢するスプリング4とを備えている。そして、内輪1が外輪2に対して一方向(矢印P方向)に回転することによりスプラグ3が内外輪1,2間に噛み合って動力が伝達され、内輪1が外輪2に対して他方向に回転した場合は、スプラグ3の噛み合いが解除されて動力伝達が遮断される。
外保持器5は円環状とされており外輪2に固定されている。この外保持器5には周方向に複数のポケット(孔部)11が所定間隔で複数形成されており(図2参照)、これらポケット11のそれぞれに各スプラグ3がその径方向外側部において保持されている。
この外保持器5の径方向内方に円環状の内保持器6が設けられている。この内保持器6には周方向に複数のポケット(孔部)12が所定間隔で複数形成されており、これらポケット12のそれぞれに各スプラグ3がその径方向内側部において保持されている。これにより、内輪1が矢印P方向と反対方向に回転すると、外保持器5、スプラグ3、及び、内保持器6は外輪2に保持された状態となることができ、内輪1は外輪2に対して空転することとなる。
図2において、外保持器5のポケット11と内保持器6のポケット12とは位相を相異させてスプラグ3を傾斜させた姿勢としている。スプラグ3と内輪1との接点Aと、スプラグ3と外輪2との接点Bとを結ぶ直線をL0とすると、この直線L0と、接点Aにおける法線L1とは、所定の大きさのストラト角αを有しており、また、前記直線L0と、接点Bにおける法線L2とは、所定の大きさのストラト角βを有している。
図3はスプラグ3と内輪1との接触部を示しており、噛合条件を説明する図である。スプラグ3と内輪1とが噛み合って滑りが生じないための条件は、図3において、スプラグ3と内輪1との間の摩擦力F1が、噛合い時に接点Aに生じる接線方向の回転力F2よりも大きいことが必要である(F1>F2)。つまり、スプラグ3と内輪1との噛合い時に接点Aに生じる法線L1方向の力をNとし、この接点Aにおける摩擦係数をμとすると、スプラグ3と内輪1とが噛み合って滑りが生じないためには、μN>Ntanαを満たす必要がある。
すなわち、この式より滑りが生じないためには、μ>tanαを満たすことが必要となる。ここでストラト角αは一定であることからtanαの値は一定であるが、摩擦係数μが小さくなると前記噛合いの条件式が満たされなくなり、スプラグ3と内輪1との間に滑りが生じ噛合性が低下する。また、スプラグ3と外輪2との間(接点B)においても、スプラグ3と外輪2とが噛み合って滑りが生じないための条件は内輪1側(接点A)と同様であり、μ>tanβを満たすことが必要となる。したがって、スプラグ3と内外輪1,2間における噛合性を確保するためには、摩擦係数μが小さくなることを防ぐ必要がある。
特に、一方向クラッチを、モリブデン(有機モリブデン)を含む潤滑油の環境下で用いた場合、具体的にはエンジンオイルの環境下で用いた場合、エンジンオイルには摩擦調整剤として有機モリブデンが含まれているため、この有機モリブデンの影響により、スプラグ3と内外輪1,2間において摩擦係数μが小さくなることが確認されている。
そこで、この発明では、スプラグ3の素材である鋼のクロム含有量を、1.2重量%以下としている。具体的な材質としては、クロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)に代表される浸炭鋼、炭素工具鋼(SK)、機械構造用炭素鋼(S45Cなど)のいずれかとするのが好ましい。
特に、スプラグ3において、素材である鋼のクロム含有量を0.30重量%以下とするのが好ましい。
さらに、内輪1及び外輪2の素材である鋼のクロム含有量についても、1.2重量%以下とするのがさらに好ましく、具体的な材質はスプラグ3と同様である
また、内輪1及び外輪2においても、素材である鋼のクロム含有量を0.30重量%以下とするのが好ましい。
このように、スプラグ3においてクロム含有量を、ゼロ乃至1.2重量%以下とすることで、モリブデンを含む潤滑油の環境下で一方向クラッチを用いた場合であっても、生成される二硫化モリブデンがスプラグ3の表面に付きにくくなり、スプラグ3と内外輪1,2間の摩擦係数μの低下を抑え、スプラグ3と内外輪1,2間における噛合性の低下を抑えることができる。
さらに、スプラグ3の素材である鋼のクロム含有量を、0.30重量%以下とすることで、生成される二硫化モリブデンがスプラグ3の表面にさらに付きにくくなり、スプラグ3と内外輪1,2間における噛合性の低下をより一層効果的に抑えることができる。
また、内輪1及び外輪2においてクロム含有量を、ゼロ乃至1.2重量%以下とすることで、内輪1の外周面及び外輪2の内周面においても、生成される二硫化モリブデンが付きにくくなり、スプラグ3と内外輪1,2間の摩擦係数μの低下を抑え、噛合性の低下をより効果的に抑えることができる。
さらに、内輪1及び外輪2の素材である鋼のクロム含有量を、0.30重量%以下とすることで、生成される二硫化モリブデンが内輪1及び外輪2の表面にさらに付きにくくなり、スプラグ3と内外輪1,2間における噛合性の低下をより一層効果的に抑えることができる。
さらに、スプラグ3において、素材である鋼のクロム含有量を0.30重量%以下とし、かつ、内輪1及び外輪2に対するスプラグ3の接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下であるのが好ましい。また、内輪1及び外輪2において、素材である鋼のクロム含有量を0.30重量%以下とし、かつ、スプラグ3に対する内輪1の接触面及び外輪2の接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下であるのが好ましい。
これによれば、スプラグ3と内外輪1,2間には噛合の際に高い面圧が生じるが、スプラグ3の接触面、並びに内輪1の接触面及び外輪2の接触面の硬さをHRC50以上に設定することより、一方向クラッチの寿命が低下することを抑制することができる。また、硬さをHRC62.5以下に設定することにより、二硫化モリブデンがスプラグ3及び内外輪1,2の接触面に付いても剥がれやすくなり、スプラグ3と内外輪1,2間の摩擦係数の低下をさらに効果的に抑えることができる。これは、二硫化モリブデンがスプラグ3及び内外輪1,2の接触面に付いても、硬さをHRC62.5以下に設定することにより、接触面のそれぞれにおいて実用上問題のない範囲で摩耗がし易くなるので、この摩耗に伴って二硫化モリブデンが剥がれやすくなるからであると推測される。
そして、スプラグ3において、クロム含有量が0.30重量%以下であり、接触面の硬さをHRC50以上でかつ62.5以下とするのに適した素材としては、炭素鋼、すなわち機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼である。また、内輪1及び外輪2において、クロム含有量が0.30重量%以下であり、接触面の硬さをHRC50以上でかつ62.5以下とするのに適した素材としては、スプラグ3と同様に、機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼である。さらに、機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼の場合において、炭素含有量は0.45%以上であり1.6%以下であるのが好ましい。
そして、機械構造用炭素鋼のうち好ましい具体例としてはS45C、S50C、S55Cであり、この場合、クロム含有量は0.20重量%以下である。さらに、炭素工具鋼のうち好ましい具体例としては、例えばSK5である。
さらに、スプラグ3と内外輪1,2間には噛合の際に高い面圧が生じるが、スプラグ3と内輪1との間の接触面の硬さ、及び、スプラグ3と外輪2と間の接触面の硬さを、硬化熱処理を施すことによりHv700以上としている。これにより、高い面圧が生じても一方向クラッチの寿命を延ばすことができる。具体的には、スプラグ3について、内外輪1,2と間の接触面の硬さをHv700以上とすればよく、内輪1についてはその外周面、外輪2についてはその内周面の硬さをHv700以上とすればよい。
すなわち、本発明の一方向クラッチとして、スプラグ3と内輪1との間の接触面の硬さ、スプラグ3と外輪2と間の接触面の硬さについて、HRC50以上でかつ62.5以下として説明したが、この下限値については特にHv700(≒HRC60)以上とするのが好ましい。
また、本発明の一方向クラッチとして、スプラグ3の素材である鋼のクロム含有量を、1.2重量%以下とし、スプラグ3と、内輪1及び外輪2との間のそれぞれの接触面の硬さをHv700以上とすることができる。さらに、この一方向クラッチにおいて、内輪1及び外輪2の素材である鋼のクロム含有量が、1.2重量%以下であるのが好ましい。
図4と図5は、前記のような一方向クラッチにおいて、スプラグ3に相当する第1摩擦係数測定治具(図示せず)と、内外輪1,2に相当する第2摩擦係数測定治具(図示せず)との摩擦係数と、各素材である鋼中のクロム含有量との関係を示しているグラフである。図4は第1摩擦係数測定治具の鋼中のクロム含有量を変化させたものであり、図5は第1摩擦係数測定治具及び第2摩擦係数測定治具の双方の鋼中のクロム含有量を変化させたものである。また、図中のμはモリブデンを含む潤滑油の環境下で測定した摩擦係数であり、μ0はモリブデンを含まない潤滑油の環境下で測定した摩擦係数である。
図4において、スプラグ3(第1摩擦係数測定治具)について、従来のスプラグ材質(鋼のクロム含有量が1.3〜1.6重量%)では、比μ/μ0が極めて小さいが(1.3重量%の場合の比が0.2)、この発明のスプラグ3のようにクロム含有量を減少させると(1.2重量%以下であると)、比μ/μ0は大きくなる(比が0.4以上となる)。
さらに、図5において、スプラグ3(第1摩擦係数測定治具)と内外輪1,2(第2摩擦係数測定治具)の双方について、クロム含有量を減少させると(1.2重量%以下であると)、比μ/μ0はさらに大きくなり(比が0.6以上となり)、相互間の摩擦係数をより一層大きくさせる効果が得られる。
すなわち、スプラグ3の素材である鋼のクロム含有量を1.2重量%以下とした場合、さらに、内外輪1,2の素材である鋼のクロム含有量を1.2重量%以下とした場合では、従来よりも噛合性能を向上させることができ、噛合寿命を長くできる。これにより、この発明によれば品質及び信頼性の高い一方向クラッチが得られる。
また、噛合寿命性能については一方向クラッチの型(体格)が大きいほど、高くなる。これにより、この発明によれば噛合寿命性能を高めることができることから、必要とされる噛合寿命性能(仕様)を満足させる一方向クラッチを、従来の一方向クラッチで必要とされていたものよりも小さくすることができる。これにより、一方向クラッチ、及びこれを備えた装置の製造コストの低減が可能となり、軽量化も図ることができる。
また、図4において、スプラグ3(第1摩擦係数測定治具)についてクロム含有量を0.3重量%以下とすると、前記比μ/μ0は大きくなる(比が0.5となる)。さらに、図5において、スプラグ3(第1摩擦係数測定治具)と内外輪1,2(第2摩擦係数測定治具)の双方についてクロム含有量を0.3重量%以下とすると、前記比μ/μ0はさらに大きくなり(比が0.67以上となり)、相互間の摩擦係数をさらに大きくさせる効果が得られる。
図6は、本発明の一方向クラッチ(実施例)と従来の一方向クラッチとの摩擦耐久試験を行った結果を示している。実施例ではスプラグ3及び内外輪1,2の素材が機械構造用炭素鋼(S55C)であり、従来例ではスプラグ3及び内外輪1,2の素材が軸受鋼(SUJ2)である。そして、実施例と従来例とのそれぞれについて、スプラグ3及び内外輪1,2の接触面の硬さをHRC45から65まで段階的に変化させたものを用い、モリブデンを含む潤滑油の環境下で試験を行い、結果が良好なものを○又は◎と評価し、特に計算寿命と同等又はそれ以上のものを◎としている。
図6において、実施例(機械構造用炭素鋼:S55C)のうち硬さがHRC50〜62.5であるものについては、計算寿命と同等又はそれ以上であり、特に好ましい結果が得られた。
従来例(軸受鋼:SUJ2)においては、クロム含有量が1.3〜1.6重量%であるので、モリブデンを含む潤滑油の環境下において、二硫化モリブデンがスプラグ及び内外輪の表面に皮膜として付きやすく、相互間の摩擦係数が低下し、両者間で滑りが生じ、摩耗により寿命の低下が生じた。また、スプラグ3と内外輪1,2との間の接触面圧は高くなることから、硬さがHRC50未満のものについては、摩耗が多く発生した。
以上のことから、スプラグ3、さらには内外輪1,2において、素材を炭素鋼とし(クロム含有量を0.30重量%以下とし)かつ、これらの接触面の硬さをHRC50以上でかつ62.5以下に設定することで、スプラグ3と内外輪1,2間の摩擦係数の低下を抑えることができ、滑りが生じることによる摩耗が原因となって一方向クラッチの寿命が低下してしまうことを防止することができる。
この発明の一方向クラッチの実施の一形態を示している側面図である。 図1の一方向クラッチの要部を示している図である。 スプラグと内輪との接触部を示しており、噛合条件を説明する図である。 スプラグに相当する第1摩擦係数測定治具と、内外輪に相当する第2摩擦係数測定治具との摩擦係数と、各素材である鋼中のクロム含有量との関係を示しているグラフであり、第1摩擦係数測定治具の鋼中のクロム含有量を変化させたものである。 スプラグに相当する第1摩擦係数測定治具と、内外輪に相当する第2摩擦係数測定治具との摩擦係数と、各素材である鋼中のクロム含有量との関係を示しているグラフであり、第1摩擦係数測定治具及び第2摩擦係数測定治具の双方の鋼中のクロム含有量を変化させたものである。 本発明の一方向クラッチと従来の一方向クラッチとの摩擦耐久試験を行った結果を示している表である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 スプラグ
5 外保持器
6 内保持器
A 接点
B 接点
L1 法線
L2 法線
μ 摩擦係数

Claims (7)

  1. 鋼製の内輪と、鋼製の外輪と、これら内外輪間に複数配設された鋼製のスプラグと、これらスプラグを周方向に所定間隔で保持している保持器と、を備え、モリブデンを含む潤滑油の環境下で用いられる一方向クラッチにおいて、
    前記スプラグの素材である鋼のクロム含有量、1.2重量%以下として、前記潤滑油に含まれるモリブデンに基づいて生成される二硫化モリブデンを前記スプラグの表面に付きにくくし、前記スプラグと前記内外輪間の摩擦係数の低下を抑えることを特徴とする一方向クラッチ。
  2. 前記スプラグの素材である鋼のクロム含有量が、0.30重量%以下であり、かつ、前記内輪及び外輪に対する前記スプラグの接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下である請求項1に記載の一方向クラッチ。
  3. 前記スプラグは機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼からなる請求項1又は2に記載の一方向クラッチ。
  4. 前記内輪及び前記外輪の素材である鋼のクロム含有量が、0.30重量%以下であり、かつ、前記スプラグに対する前記内輪の接触面及び外輪の接触面の硬さがHRC50以上でかつ62.5以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の一方向クラッチ。
  5. 前記内輪及び前記外輪は機械構造用炭素鋼又は炭素工具鋼からなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の一方向クラッチ。
  6. 前記内輪及び前記外輪の素材である鋼のクロム含有量が、1.2重量%以下である請求項1に記載の一方向クラッチ。
  7. 前記スプラグと、前記内輪及び外輪との間のそれぞれの接触面の硬さがHv700以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の一方向クラッチ。
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