JP2006097726A - 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置 - Google Patents

一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置 Download PDF

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    • F16H57/00General details of gearing
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    • F16H57/041Coatings or solid lubricants, e.g. antiseize layers or pastes

Abstract

【課題】 低温から高温までの広い温度範囲において長期にわたって安定したクラッチ動作を行うことができる一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を提供する。
【解決手段】 内側部材であるスリーブ1と、スリーブ1の周囲に同心に配置された外側部材であるプーリ2と、スリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に配設され、プーリ2がスリーブ1に対し所定の方向に相対回転する傾向となる場合にのみプーリ2とスリーブ1との間での回転力を伝達可能とする一方向クラッチであるローラクラッチ3と、スリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に配設され、プーリ2に加わるラジアル荷重を支承しつつ、プーリ2をスリーブ1に対し相対回転自在に支持するサポート軸受4と、を備え、ローラクラッチ3を潤滑するグリース10の摩擦係数が、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験において0.06〜0.18であり、且つ、当該グリースの見かけ粘度が、−40℃で剪断速度200s−1において100Pa・s以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばオルタネータなどの自動車用補機を駆動するためのプーリ装置等に好適に用いられる一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に関する。
従来、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸や補機駆動装置の回転軸、および、アイドリングストップ車に搭載されるエンジンのクランクシャフト、などに装着されるプーリ装置として、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を使用することが知られている。
例えば、オルタネータに組み込まれる一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置では、エンジンのクランク軸に固定された駆動プーリから駆動ベルトが掛け渡される従動プーリと、オルタネータの回転軸に固定されるスリーブとが設けられ、従動プーリとスリーブとの間に一方向クラッチおよび一対のサポート軸受が配置されている。
従動プーリの回転角速度がオルタネータの回転軸の回転角速度より速い場合には、一方向クラッチのローラの楔効果によって、従動プーリとスリーブとが相対回転不能(ロック状態)となり、エンジンの回転力がオルタネータの回転軸に伝達される。一方、従動プーリの回転角速度がオルタネータの回転軸の回転角速度より遅い場合には、従動プーリとスリーブとの相対回転が自在(オーバーラン状態)となる。従って、クランク軸の回転角速度が変動した場合でも、一方向クラッチの作用により、駆動ベルトとプーリが擦れ合うことが防止され、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩擦による駆動ベルトの寿命低下を防止すると共に、オルタネータの発電効率が低下することを防止している。
一般に、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置にはグリースが封入され、このグリースにより一方向クラッチおよびサポート軸受を潤滑するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、回転軸に固定される内側部材と、内側部材と同心に配置された筒状の外側部材と、内側部材の外周面と外側部材の内周面との間に設けられた一方向クラッチと、一方向クラッチに隣接して設けられ内側部材と外側部材とを相対回転自在に支持するサポート軸受と、を備えている。そして、内側部材の外周面と外側部材の内周面とで画成された内部空間は、密封装置によりクラッチ部と軸受部とに仕切られており、クラッチ内部空間にはすべり接触の潤滑に適した第1のグリースが封入され、軸受内部空間には転がり接触に適した第2のグリースが封入されている。
特開2002−130433号公報
ここで、一方向クラッチを潤滑するグリースには下記の性能が求められる。
1)すべり時の低摩擦特性および低摩耗特性。
2)広い温度範囲(例えば、−40℃〜160℃)での安定性。
3)耐フレッチング性。
即ち、一方向クラッチの係合角(ストラット角)αの正接であるtanαが、ローラに作用する摩擦係数μより大きくなる場合に、一方向クラッチの内輪外周面および外輪内周面とローラの転動面との間にすべりが発生する。そして、すべり接触部の摩擦に基づく発熱によるグリースの劣化やすべり接触部の磨耗を低減して、一方向クラッチの長期的な動作安定化を図るために、このすべり接触部を潤滑するグリースは低摩擦・低磨耗であることが重要である。ここで、係合角αとは、一方向クラッチの内輪外周面および外輪内周面の隙間で半径方向の幅寸法が小さくなった領域(以下、楔空間と称する。)と該楔空間に配置されたローラとに関して、該ローラの転動面と前記内輪外周面との接平面および該ローラの転動面と前記外輪内周面との接平面がなす角度である。
また、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の内側部材と外側部材との間で回転力の伝達を行うべく一方向クラッチをロックさせるためには、ばね等の弾性力により一方向クラッチのローラを前記楔空間に押し付けて、楔効果を作用させる必要がある。この際、前記楔空間を画成している一方向クラッチの外輪内周面および内輪外周面と各ローラの転動面との間にはグリース膜が存在し、各ローラはこのグリース膜を押しのけつつ前記外輪内周面および内輪外周面に押し付けられる。一方向クラッチが安定してクラッチ動作を行うためには、グリース膜の存在の有無に関わらず、ローラを押し付けるために要するカがほぼ一定になることが好ましく、そのためには、特にグリース粘度が上昇する(流動性が低下する)低温時においても、一方向クラッチの外輪内周面および内輪外周面へのローラの押付けをグリースが阻害しないことが重要である。
特許文献1に記載された一方向クラッチを潤滑する第1のグリースは、すべり接触の潤滑における耐久性(耐フレッチング性、耐熱性)を向上させたものであり、すべり接触部の摩擦に基づく発熱を低減するものではなかった。そして、この発熱は、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の温度上昇を引き起こし、例えば、一方向クラッチの内外輪とローラとの熱膨張率の差により楔効果が低下して安定したクラッチ動作を阻害する要因となる虞があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温から高温までの広い温度範囲において長期にわたって安定したクラッチ動作を行うことができる一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、
内側部材と、
前記内側部材の周囲に同心に配置された外側部材と、
前記内側部材の外周面と前記外側部材の内周面との間に配設され、前記外側部材が前記内側部材に対し所定の方向に相対回転する傾向となる場合にのみ前記外側部材と前記内側部材との間での回転力を伝達可能とする一方向クラッチと、
前記内側部材の外周面と前記外側部材の内周面との間に配設され、前記外側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつ、前記外側部材を前記内側部材に対し相対回転自在に支持するサポート軸受と、
を備え、
前記一方向クラッチを潤滑するグリースの摩擦係数が、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験において0.06〜0.18であり、且つ、当該グリースの見かけ粘度が、−40℃で剪断速度200s−1において100Pa・s以下であることを特徴としている。
上記構成の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置によれば、一方向クラッチを潤滑するグリースとして、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験による前記グリースの摩擦係数が0.06〜0.18であり、且つ、−40℃で剪断速度200s−1での前記グリースの見かけ粘度が100Pa・s以下であるグリースが封入されているので、一方向クラッチのすべり時に、すべり接触部の摩擦による発熱および磨耗が低減され、且つ、特にグリース粘度が上昇する低温時においても一方向クラッチを確実に動作させることができる。
本発明の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置によれば、低温から高温(−40℃〜160℃)までの広い温度範囲において長期にわたって安定したクラッチ動作を行うことができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態である一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の縦断面図、図2は一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に封入されるグリースの粘度試験装置の概略構成図である。
図1に示されるように、本実施形態の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置(以下、回転伝達装置とする。)100は、互いに同心に配置された内側部材であるスリーブ1と外側部材であるプーリ2とを備え、これらスリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に、一方向クラッチであるローラクラッチ3および1対のサポート軸受4,4とを備えている。そして、スリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間にグリース10が封入されてローラクラッチ3と一対のサポート軸受4とを潤滑している。
スリーブ1は、全体を円筒状に形成されており、例えば、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸(不図示)に外嵌固定して一体とされており、この回転軸と共に回転するようになっている。一方、プーリ2は、スリーブ1と同様に全体が円筒状に形成されており、その外周面の軸方向に関する断面形状を波形として、ポリベルトと呼ばれる無端ベルトの一端が掛け渡される。
スリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に存在する円筒状空間の軸方向中間部にはローラクラッチ3が配置されており、同じくこの空間の軸方向両端部にはローラクラッチ3を軸方向両側から挟む位置にサポート軸受4,4がそれぞれ配置されている。
ローラクラッチ3は、クラッチ用内輪5と、クラッチ用外輪6と、複数個のローラ7と、クラッチ用保持器8と、ばね(不図示)とを備え、プーリ2がスリーブ1に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、プーリ2とスリーブ1との間での回転力を伝達可能とする。
クラッチ用内輪5はスリーブ1の軸方向中間部外周面に、クラッチ用外輪6はプーリ2の軸方向中間部内周面にそれぞれ締り嵌めされて固定されている。クラッチ用外輪6の中間部内周面は単なる円筒面であり、またクラッチ用内輪5の外周面はカム面9となっている。即ち、このクラッチ用内輪5の外周面には、ランプ部と呼ばれる複数の凹部5aが円周方向に等間隔で形成されており、このクラッチ用内輪5の外周面がカム面9として作用する。そして、このカム面9とクラッチ用外輪6の前記円筒面との間に、複数個のローラ7と、これら各ローラ7を転動自在に並びに円周方向に所定量変位可能に支持するクラッチ用保持器8とが配設されている。
クラッチ用保持器8は、全体が合成樹脂により形成され、その内周縁部をカム面9の一部と係合させることで、クラッチ用内輪5に対する相対回転が阻止されている。更に、図1に示される実施形態においては、クラッチ用保持器8の端部内周面に形成した凸部8aを、クラッチ用内輪5の軸方向端面とスリーブ1の外周面に設けた段差面1aとの間で挟持することにより、クラッチ用保持器8を軸方向に位置決めしている。また、クラッチ用保持器8と各ローラ7との間には、各ローラ7を円周方向の同方向(各凹部5aが浅くなる方向、即ち、クラッチ用外輪6の前記円筒面とカム面9との間で半径方向の幅寸法が小さくなった領域である前記楔空間に向かう方向)に押圧するための、ばね(不図示)が設けられている。
尚、上述の様なローラクラッチ3を構成する場合、複数個のローラ7と接触するクラッチ用外輪6の前記円筒面およびクラッチ用内輪5のカム面9は、それぞれプーリ2の内周面およびスリーブ1の外周面に直接形成する場合もある。或いは、円筒面とカム面9との径方向に関する配置は、上述した構造と逆に、円筒面をクラッチ用内輪5の外周面に、そしてカム面9をクラッチ用外輪6の内周面に形成してもよいことは言うまでもない。
上述した回転伝達装置100は、スリーブ1がオルタネータ等の自動車用補機の回転軸の端部に外嵌固定されると共に、プーリ2の外周面に無端ベルトの一端が掛け渡される。 無端ベルトの他端はエンジンのクランクシャフトの端部に固定された駆動プーリに掛け渡される。そして、回転伝達装置100は、無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合(換言すれば、プーリ2の回転角速度がオルタネータの回転軸の回転角速度より速い場合)に、一方向クラッチのローラの楔効果によってプーリ2とスリーブ1とが相対回転不能(ロック状態)となり、エンジンの回転力がプーリ2およびスリーブ1を介してオルタネータの回転軸に伝達される。一方、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合(換言すれば、プーリ2の回転角速度がオルタネータの回転軸の回転角速度より遅い場合)に、プーリ2とスリーブ1との相対回転が自在(オーバーラン状態)となる。この結果、クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、無端ベルトとプーリ2とが擦れ合うことが防止され、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下が防止されると共に、オルタネータの発電効率の低下が防止される。
また、アイドリングストップ車において回転伝達装置100をエンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置に利用する場合には、この回転伝達装置100をエンジンのクランクシャフトや電動モータの駆動軸の端部に装着する。これにより、エンジンと電動モータとのうち一方の装置が運転状態にあり、他方の装置が停止状態にある場合に、運転状態にある一方の装置の回転軸からプーリ2への回転カの伝達を自在にすると共に、他方の装置の回転軸が回転しない様にする。
回転伝達装置100の内部にはグリース10が封入されており、このグリース10によってローラクラッチ3と一対のサポート軸受4,4とが潤滑されている。少なくとも回転伝達装置100の軸方向外側にあたる各サポート軸受4の端部には密封装置11aがそれぞれ設けられており、封入されたグリース10の外部への漏洩が防止されている。尚、本実施形態においては回転伝達装置100の軸方向内側にあたる各サポート軸受4の端部(即ち、一方向クラッチ側の端部)にも密封装置11bがそれぞれ設けられているが、本実施形態においてはローラクラッチ3と一対のサポート軸受4,4とを共通のグリース10を用いて潤滑しているので、これらの密封装置11bは必ずしも必要ではない。
そして、グリース10は、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験による摩擦係数が0.06〜0.18であり、且つ、−40℃で剪断速度200s−1での見かけ粘度が100Pa・s以下である。
尚、グリース10は、基油に各種の添加剤が調合されて性能の改善が図られている。グリース10の基油としては、例えば鉱物系潤滑油および合成潤滑油を使用することができる。鉱物系潤滑油としては、特に制限されるものではないが、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油およびそれらの混合潤滑油を使用できる。また、合成潤滑油も特に制限されるものではないが、合成炭化水素油、エーテル油、エステル油およびフッ素油等が使用できる。
具体的には、合成炭化水素油としてはポリ−α−オレフィン油等を使用することができ、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等を使用することができ、エステル油としてはジエステル油、ネオペンヂル型ポリオールエステル油、又はこれらのコンプレックスエステル油、芳香族エステル油等を使用することができ、フッ素油としてはパーフルオロエーテル油、フルオロシリコーン油、クロロトリフルオロエチレン油、フルオロフォスファゼン油等を使用することができる。
これらの基油は、単独でもよいし、適宜組み合わせても使用することができる。高温、高速での潤滑性能および寿命を考慮すると、合成潤滑油が含有されていることが好ましく、特にエステル油が含有されていることが好ましい。基油の動粘度は40℃で20〜150mm/sであることが好ましく、さらには、25〜90mm/sであることが好ましい。20mm/sより小さくなると油膜が薄くなり耐久性が低下し、150mm/sより大きくなるとローラクラッチの係合性が問題となるためである。
グリース10には、増ちょう剤として、基油中にコロイド状に分散して基油を半固体または固体状にする物質を添加することができる。このような増ちょう剤としては、例えば、リチウム石鹸系、カルシウム石鹸系、ナトリウム石鹸系、アルミニウム石鹸系、リチウムコンプレックス石鹸系、カルシウムコンプレックス石鹸系、ナトリウムコンプレックス石鹸系、バリウムコンプレックス石鹸系、アルミニウムコンプレックス石鹸系の金属石鹸や、ベントナイト系、クレイ系の無機化合物や、モノウレア系、ジウレア系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ナトリウムテレフタラメート系の有機化合物などが挙げられるが、中でもウレア系が好適に用いることができる。そして、これらの増ちょう剤を1種以上配合することができる。
グリース10の混和ちょう度は250〜340の範囲が好ましい。混和ちょう度が250未満では、主にクラッチ部において滑り時に必要な部位へのグリースが行き渡らないからであり、また、クラッチのロック、アンロックはバネ力も使用するが、このバネの動きを悪くするという問題も起こる。一方、混和ちょう度が340を超えると、走行時の振動等でグリースが流出しやすくなる等の不具合が生じる虞がある。
更に、グリース10には、その性能をさらに向上させるために、例えば極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、油性剤、金属不活性化剤などの添加剤を混合してもよい。極圧剤としては、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンなどを使用することができ、具体的には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物や、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジアリールジチオリン酸モリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン等の有機モリブデン化合物や、チオカルバミン化合物や、ホスフェート、ホスファイト類等を使用することができる。
酸化防止剤としては一般的に使用される酸化防止剤を使用できる。例えば、フェニル−1−ナフチルアミン等のアミン系、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系、硫黄系、ジチオリン酸亜鉛等の酸化防止剤を使用することができる。
防錆剤としては、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機スルフォン酸塩、アルキル、アルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル等を使用することができる。
油性剤としては、例えば脂肪酸、動植物油などの油性向上剤を使用することができる。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性化剤を使用することができる。
上記の添加剤は、単独又は2種以上混合して用いることができる。なお、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
さらに、グリース10には、その性能を一層高めるため、従来からグリースに用いられている公知の一般的な添加剤を必要に応じて含有させることができる。グリース10は上記の各成分を含有するが、その製造方法には制限がなく、従来のウレア系グリースと同様にして調製することができるが、一般的には基油中でジウレア化合物の原料(アミン類とジイソシアネート)を反応させて得られる。尚、そのときの加熱温度や攪拌・混合時間等の製造条件は使用する基油やジウレア化合物の原料、添加剤等により適宜設定される。また、添加剤を添加後、十分に攪拌して均一に分散させる必要があるが、その際加熱することも有効である。
以上のように調製されたグリース10は、クラッチ用内輪5のカム面9およびクラッチ用外輪6の前記円筒面とローラ7の転動面とのすべり時には低摩擦・低磨耗の特性を有し、すべり接触部の摩擦に基づく発熱やすべり接触部の磨耗を低減する。また、特にグリース粘度が上昇する(流動性が低下する)低温時においても、クラッチ用内輪5のカム面9およびクラッチ用外輪6の前記円筒面へのローラ7の押付けを阻害しない。したがって、低温から高温(例えば、−40℃〜160℃)までの広い温度範囲でローラクラッチ3を確実に且つ長期にわたって動作させることができる。
さらに、上記のグリース10は、サポート軸受4の潤滑にも好適に用いることができ、これにより、ローラクラッチ3とサポート軸受4を共通のグリース10により潤滑することができ、一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置100の製造・保守の低コスト化を図ることができる。
次に、本発明に係る一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の実施例1〜5、およびこれらの実施例と比較するための一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の比較例1〜2について説明する。尚、本発明は以下に説明する実施例に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
実施例1〜5、および比較例1〜2の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に封入される各グリースの調製は、先ず、第1の容器に半量の基油と増ちょう剤のアミン成分とを入れ、加熱しながら攪拌し、第2の容器に基油の半量と4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(東京化成(株)製)とを入れ、加熱しながら攪拌し、第1の容器に第2の容器の内容物を加えて両容器の内容物同士を反応させた。次いで、反応生成物に添加剤を添加し、3段ロールミルで仕上げてグリースとした。
実施例1〜5および比較例1〜2で用いた各グリースの組成、および測定された各特性値、即ち、混和ちょう度、摩擦特性(摩擦係数)、低温特性(−40℃の見かけ粘度)、熱安定性(全酸価増加)を表1および表2に示す。尚、実施例1〜5のグリースは、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験による摩擦係数が0.06〜0.18であり、且つ、−40℃で剪断速度200s−1での見かけ粘度が100Pa・s以下となっている。
摩擦特性(摩擦係数)の測定は、ボールオンディスク試験機で行った。即ち、ボールオンディスク試験機のディスク上にグリースを塗布し、面圧2GPa、摺動速度0.2m/sの条件で1分後の摩擦係数の測定を行った。
低温特性(−40℃の見かけ粘度)の測定は、レオメータで行った。図2は、グリース組成物のレオロジー特性を測定するレオメータに備えられた測定部の構成を示す断面図である。断熱壁に囲まれた平板状のステージ12の上方に、ギャップGを介して円盤状の測定プレート13(パラレルプレート)が配置されており、測定プレート13の平坦な下面はステージ12と平行となっている。そして、測定プレート13とステージ12との間に形成されたギャップGには、グリースが満たされている。そして、ステージ12に内蔵された温度制御装置でグリースの温度を制御しながら、測定プレート13を一方向(矢印A方向)に回転させてグリースに剪断速度を加え、剪断応力および見かけ粘度を測定する。剪断応力および見かけ粘度の測定条件は、温度が−40℃で剪断速度が200s−1とした。また、測定プレート13の直径は20mmであり、ギャップGは0.1mmである。なお、測定プレート13は、パラレルプレートに代えてコーンプレートとすることもできる。また、適当な周波数でオシレーションを与えれば、グリースの粘弾性を測定することもできる。
熱安定性(全酸価増加)の測定は、高温放置試験で行った。ステンレスシャーレ(SUS304)にグリースを厚さ3mmに均一に塗布し、160℃において500時間恒温槽で放置した。放置したグリースの全酸価を測定し、全酸価増加量を求めた。3mgKOH/g以下を合格とした。
Figure 2006097726
Figure 2006097726
表1および表2に示されるグリースを一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の実施例1〜5および比較例1〜2にそれぞれ封入し、−40℃〜160℃の温度範囲で作動させて一方向クラッチのロック性能の試験を行った。尚、実施例および比較例ともに、グリースを封入した一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の構造は同一である。
試験結果は、表1および表2に示されるように、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験による摩擦係数が0.06〜0.18であり、且つ、−40℃で剪断速度200s−1での見かけ粘度が100Pa・s以下であるグリースが封入された実施例1〜5の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、−40℃〜160℃の温度範囲で良好なロック性能を示した。
一方、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験による摩擦係数が0.06未満もしくは0.18を越え、または、−40℃で剪断速度200s−1での見かけ粘度が100Pa・sを越えるグリースが封入された比較例1〜2の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置は、ロック状態においても、特にグリースの粘度が上昇する低温時に一方向クラッチのすべりが発生し、実施例1〜5の一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に比べてロック性能の低下が認められた。
尚、本発明は、前述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態および実施例における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
尚、上述した実施形態においては一方向クラッチとしてローラクラッチ3を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、スプラグクラッチ、カムクラッチ等、他の型式の一方向クラッチを用いることも可能である。また、図示の例では、ローラクラッチ3の両側に1対のサポート軸受4,4を設ける場合について説明したが、サポート軸受4をローラクラッチ3の片側に1個のみ設けることも可能である。更に、外側部材として、プーリ2に代えて歯車を使用するようにしてもよい。
本発明の一実施形態である一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置の縦断面図である。 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置に封入されるグリースの試験装置の概略構成図である。
符号の説明
100 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置
1 スリーブ(内側部材)
2 プーリ(外側部材)
3 ローラクラッチ(一方向クラッチ)
4 サポート軸受
10 グリース

Claims (1)

  1. 内側部材と、
    前記内側部材の周囲に同心に配置された外側部材と、
    前記内側部材の外周面と前記外側部材の内周面との間に配設され、前記外側部材が前記内側部材に対し所定の方向に相対回転する傾向となる場合にのみ前記外側部材と前記内側部材との間での回転力を伝達可能とする一方向クラッチと、
    前記内側部材の外周面と前記外側部材の内周面との間に配設され、前記外側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつ、前記外側部材を前記内側部材に対し相対回転自在に支持するサポート軸受と、
    を備え、
    前記一方向クラッチを潤滑するグリースの摩擦係数が、面圧2GPaで摺動速度0.2m/sでのボールオンディスク試験において0.06〜0.18であり、且つ、当該グリースの見かけ粘度が、−40℃で剪断速度200s−1において100Pa・s以下であることを特徴とする一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009209953A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Nsk Ltd 一方向クラッチ内蔵型回転伝達装置
EP1873415A3 (en) * 2006-06-28 2009-12-02 JTEKT Corporation One-way clutch
JP2014084913A (ja) * 2012-10-22 2014-05-12 Nsk Ltd 転がり軸受

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