以下、本発明の実施形態と参考例とのシート搬送装置と、これを備えた画像形成装置、及び画像読取装置を図に基づいて説明する。なお、以下の説明における数値は、あくまでも参考数値であって、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態のシート搬送装置)
図1及び図2は、本発明の第1実施形態におけるシート搬送装置の異なる状態を示す平面図であり、図3は、図2に示すシート搬送装置をシート搬送方向の上流側から見た図である。なお、第1の実施形態では、シートを搬送するときにシートのサイズに関わらずシート搬送位置がシート搬送装置のシート幅方向の中央とする中央基準のシート搬送装置の例を示す。
シート搬送装置71は、後述する画像形成装置91(図9)と、画像読取装置92(図10)とのいずれにも設けられるようになっている。
シート搬送装置71は、画像形成装置91に設けられた場合、画像形成装置91に設けられている制御装置73により制御されるものとする。また、シート搬送装置71は、画像読取装置92(図10)に組み込まれた場合、画像読取装置92に設けられている制御装置93によって制御されるものとする。
シート搬送装置71は、図9に示す後述する画像形成装置91の画像形成手段を構成する感光体ドラム5のシート搬送方向の上流側に配設されている。そして、給送カセット7a,7bから給送されてきたシートの斜行を補正して、感光体ドラム5と転写ローラ13との間に送り込むようになっている。
シート搬送装置71は、シートを搬送しながらシートの斜行の補正を行える、所謂アクティブレジストレーション方式を採用している。
シート搬送装置71は、シートの搬送方向(矢印A方向)に対して交差する方向(シート幅方向、矢印B方向)に、第1、第2回転体対としてのレジストレーションローラ対(以下、レジストローラ対という)12a,12bが配列されている。レジストローラ対12a,12bは、レジストレーションモータ(以下、レジストモータという)30,31により個々に回転可能となっている。
また、シート搬送装置71は、シート幅方向に配列されてシートの斜行を検知する第1検知手段としてのシートセンサ38及び第2検知手段としてのシートセンサ39を備えている。さらに、シート搬送装置71は、レジストローラ対12a,12b同士の間隔とシートセンサ38,39同士の間隔とをシートの幅に応じて調節する間隔調節手段としての間隔調節装置81を備えている。なお、レジストローラ対12a,12b同士の間隔の最小がL1(図1に示す状態)、最大がL2(図2に示す状態)であり、シートセンサ38,39同士の間隔の最小がM1(図1に示す状態)、最大がM2(図2に示す状態)である。この最小間隔と最大間隔との間でレジストローラ対12a,12bとシートセンサ38,39とが移動可能である。
間隔調節装置81は、移動台駆動モータ37と、移動台駆動モータ37によって回転するピニオンギア36と、ピニオンギア36に両側から噛み合うラックギア32b,33bが各々形成された移動台32,33とを備えている。この移動台駆動モータ37は、後述する制御装置73によって回転が制御される。第1部材としての移動台32と、第2部材としての移動台33は、固定部材に突設された1対のガイドピン34,34、及び35,35と、各移動台32,33に形成されたスライド溝32a,33aを案内にして互いに接近離間移動可能になっている。なお、各移動台32,33の移動方向は、シート幅方向である。
移動台32,33には、レジストローラ対12a,12bを回転させるレジストモータ30,31と、シートセンサ38,39を支持したセンサホルダ60,61とがそれぞれ備えられている。レジストモータ30,31は、制御装置73(図9)によって制御されて、レジストローラ対12a,12bを独立して個々に異なる回転速度(周速)で回転させることができる。
レジストローラ対12a,12bと、レジストモータ30,31の回転駆動軸26,27は、シート幅方向(矢印B方向)に配列されている。シートセンサ38,39もシート幅方向(矢印B方向)に配列されている。
レジストローラ対12a,12b同士の間隔は、例えば、図1のシート幅方向の離間間隔L1と、図2のシート幅方向の離間間隔L2との間で、搬送されてくるシートの幅に応じた任意の位置に間隔調節装置81によって調節できるようになっている。
同様に、シートセンサ38,39同士の間隔も、例えば、図1のシート幅方向の離間間隔M1と、図2のシート幅方向の離間間隔M2との間で、搬送されてくるシートの幅に応じた任意の位置に間隔調節装置81によって調節できるようになっている。
この場合、レジストローラ対12aとシートセンサ38は移動台32に設けられ、レジストローラ対12bとシートセンサ39は移動台33に設けられており、(L2−L1)=(M2−M1)の関係になっている。また、レジストローラ対12a,12bと、シートセンサ38,39との配置関係は、L1=M1、L2=M2になっている。さらに、レジストローラ対12aとシートセンサ38は、シート搬送方向(矢印A方向)に沿って配列されている。同様に、レジストローラ対12bとシートセンサ39も、シート搬送方向に沿って配列されている。両方の配列(ローラ対のローラの幅方向の中央とセンサの中心とを結んだ線)は、互いに平行である。
レジストローラ対12a,12b(図3)は、レジストモータ30,31の回転駆動軸26,27に夫々固定されたレジストローラ28a,29aと、このローラ28a,29aに圧接されて従動回転する回転部材28b,29bとにより構成されている。
シートセンサ38,39は、搬送されるシートPの下面側に配設されたLED(発光ダイオード)等の発光素子38a,39aと、該シートPの上面側に配設された受光素子38b,39bとで構成されている。発光素子38a,39aから発せられた光は、受光素子38b,39bに受光されるようになっている。
次に、図4を用いてシート搬送装置71の動作を制御する制御ブロック図を説明する。
入力パネル等の操作部OPでユーザが例えば給送カセットを選択する等の入力情報が制御装置73に入力されるように操作部OPと制御装置73とが接続されている。また、画像形成装置91には、各給送カセット7a,7bに収納されているシートのサイズを検知するためのサイズ検知センサCSが設けられている。そして、このサイズ検知センサCSで検知した情報が制御装置73に入力されるようにサイズ検知センサCSと制御装置73とが接続されている。さらに、シート搬送装置に設けられているシートセンサ38,39からの検知情報も制御装置73に入力されるようにシートセンサ38,39と制御装置73とが接続されている。
また、制御装置73からは、レジストローラ対12a,12bの回転を制御するための制御信号がレジストモータ30,31に出力されるようにレジストモータ30,31と制御装置73とが接続されている。さらに、制御装置73からは、移動台32,33を移動させるための制御信号が移動台駆動モータ37に出力されるように移動台駆動モータ37と制御装置73とが接続されている。
続いて、図5のフローチャートに基づいて、シート搬送装置71の動作を説明する。
ユーザが給送カセット7a,7bを選択すると(S100)、制御装置73(図9)は、選択された給送カセット7a,7bから給送されるシートサイズを検知してシート幅情報を抽出する。また、制御装置73は、ユーザが手動でシートサイズを入力したときには、シートサイズからシート幅情報を抽出する(S102)。制御装置73は、抽出したシート幅情報に基づいて、移動台32,33の移動量を決定して(S104)、移動台駆動モータ37を駆動制御する(S106)。
制御装置73は、例えば、A4サイズのシート情報を得たときには、シート幅210mmに対応したレジストローラ対12a,12bの離間間隔L1=180mmとなるように、移動台駆動モータ37を駆動制御して移動台32,33を移動させる。
このとき、シートセンサ38,39も離間間隔M1がレジストローラ対12a,12bの離間間隔L1と同じく180mmとなるように移動される。
搬送されてきたシートPは、先端で発光素子38a,39aと受光素子38b,39bとの間の光路を遮断する。図6は、斜行したシートPがシートセンサ38,39により検知されたときの検知信号の一例を示す。先ず、シートセンサ38がシートPの先端を検知してOFFとなり、そのT1時間後にシートセンサ39が該シートPの先端を検知してOFFとなる。
制御装置73は、シートセンサ38,39により検知された検知信号の時間差T1とシート搬送速度とからシートPの斜行量を算出する(S108)。そして、制御装置73は、その斜行量に応じてレジストモータ30,31を回転制御して、レジストローラ28a,29aの回転速度を制御する(S110、S112)。
シートPの斜行量に応じたシートPの補正搬送距離LSは、
LS=L1(T1・V/M1)・・・式1
から、算出される。
T1は、シートセンサ38,39が同一のシートPの先端を検知した時間差である。M1は、シートセンサ38,39の離間間隔である。L1は、レジストローラ対12a,12bの離間間隔である。Vは、シートPの搬送速度である。
すなわち、制御装置73は、レジストモータ30の回転速度を一旦遅くしてから再び元の回転速度に戻すことで、レジストローラ対12aのシート搬送速度を調節して、シートPの搬送量を補正搬送距離LS分だけ左右でずらす。これにより、レジストローラ28a,29aによりシートPを搬送しながらシートPの斜行が補正される。
シート搬送装置71は、レジストローラ対12a,12bとシートセンサ38,39とが、離間間隔L1と、離間間隔M1とが同じになるように、移動台32,33に固定されている。
このため、
LS=(L1/M1)T1・V
=1×T1・V
=T1・V ・・・式2
となる。すなわち、レジストローラ28a,29aの離間間隔L1とシートセンサ38,39の離間間隔M1とが同じであるため、補正搬送距離LSは、定数で表わすことができる。
ここで、参考数値(一例)に基づいて、シート搬送装置71の斜行補正動作を説明する。
シート搬送装置71の条件は、次のように設定されているものとする。レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L1=180mm。シートセンサ38,39のシート幅方向の離間間隔M1=180mm。シートPの搬送速度V=300mm/s。
このような、数値条件下で、シートが、シートセンサ38,39の検知時間差T1=50msで斜行搬送されてくると、シートPの補正搬送距離LSは、式2から、シートセンサ38,39の検知時間差T1により一義的に決定される。その値は、(50ms×300mm/s=)15mmである。
制御装置73が、レジストローラ対の一方を停止させて他方を搬送速度V=300mm/sのままシートを搬送する制御を行ったとすると、補正時間は(15mm/300mm/s=)50msとなる。そして、一方のレジストローラ対12aを150mm/sに減速し、他方のレジストローラ対12bを300mm/sのままでシートを搬送すると、(15mm/(300−150)mm/s=)100msでシートの斜行補正が終了する。
なお、以上の構成において、移動台上のレジストローラ対12a,12bの離間間隔L1と、シートセンサ38,39の離間間隔M1とが異ならせることもできる(L1≠M1)。この場合も、式2の(L1/M1)の項は、移動台上の取り付け位置で一義的に精度よく決定され、定数で表わすことができる。
次に、先行シートがA4サイズの縦送りで、後続シートがA3サイズの縦送りのシートを斜行補正するような混載ジョブ情報が設定された場合について説明する(S114)。なお、縦送りは、シートの長手方向とシート搬送方向とが一致させて搬送することである。
制御装置73は、210mm幅のA4シートを斜行補正した後、ジョブ情報に基づき後続シートのA3シート幅情報を抽出する。図2は、A3縦送りのシート幅に対応した場合の移動台32,33の制御位置を示している。
制御装置73は、レジストローラ対12a,12bの離間間隔L2が、A3シート幅297mmに対応して267mmとなるように、移動台駆動モータ37を駆動制御して、移動台32,33を移動させる。このとき、シートセンサ38,39の離間間隔M2も、また、レジストローラ対12a,12bの離間間隔L2と同じ、267mmになる。
例えば、シート搬送装置71の条件は、次のように設定されているものとする。レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L2=267mm、シートセンサ38,39のシート幅方向の離間間隔M2=267mm。シートPの搬送速度V=300mm/s。
このような、数値条件下で、シートが、シートセンサ38,39の検知時間差T2=30msで斜行搬送されてきた場合、シートPの補正搬送距離LSは、式2から、シートセンサ38,39の検知時間差T2により一義的に決定される。その値は、(30ms×300mm/s=)9mmである。
制御装置73が、レジストローラ対の一方を停止させて他方を搬送速度V=300mm/sのまま搬送する制御を行ったとすると、補正時間は(9mm/300mm/s=)30msとなる。そして、一方のレジストローラ対12aを150mm/sに減速し、他方のレジストローラ対12bを300mm/sのまま搬送すると、(9mm/(300−150)mm/s=)60msでシートの斜行補正が終了する。
以上説明したように、シート搬送装置71は、レジストローラ対12a,12b同士の間隔と、シートセンサ38,39同士の間隔とを調節できるようになっている。このため、シート搬送装置71は、ローラ対12a,12b同士の間隔とセンサ38,39同士の間隔とを多種多様なシート、特に、幅の広いシートの斜行補正に最適な間隔に調節することができる。よって、シート搬送装置71は、シートの斜行を高精度に補正することができる。
ここで、このシートの斜行を高精度に補正する理由を説明する。レジストローラ対12a,12bにおいては、間隔が離れているほどローラが当接する位置でのシートの回転半径を大きく取れるため補正の精度を高めることができる。そのため、レジストローラ対12a,12bの最適位置は、間隔を大きく設定できるためシートの側端に近いほうがより確実に補正の精度を高めることができる。
このように、レジストローラ対12a,12bをシートの側端に近い位置になるように調節するが、具体的には、シートのサイズに係わらずシートの側端から所定の距離(例えば、20mm)となるように間隔を調節してもよい。また、シートのサイズに応じて多少位置を変えてもよい。さらに、シートセンサ38,39においては、間隔が広いほど検知時間の差が大きくなるため、誤差が小さくなり検知精度を高めることができる。そのため、レジストローラ対12a,12bと同様に最適位置を設定すればよい。
シート搬送装置71は、搬送するシート幅が変更になっても、式2よりシートPの斜行量に応じたシートPの補正搬送距離LSを求めることができるようになっている。そして、シート幅に対応してローラ間とセンサ間の間隔が変わっても、相互の制御位置に拘わらず距離情報は定数で表わすことができるようになっている。このため、シート搬送装置71は、制御上において、ローラ離間間隔ごとの斜行補正テーブルを簡素化、共通化することができて、制御の応答性を向上させて、メモリー容量を削減することができる。
また、本シート搬送装置におけるシート幅サイズに応じた移動台の移動制御は、先行シートの後端がレジストローラ対を通過してから後続シートの先端がシートセンサに進入するまでの、いわゆるシート間隔時間を利用して行えるようになっている。このため、シート搬送装置71は、シート搬送間隔を詰めて、シートを効率良く搬送することができる。
さらに、シート搬送装置71は、シート幅に対応してローラの間隔やセンサの間隔を変更しても、レジストローラ対とシートセンサが一体的に移動するので、斜行検知位置と斜行補正位置の相対位置のバラツキをゼロとすることができる。これにより、搬送されるシートの斜行補正精度を高めることができる。
また、シート搬送装置71は、制御上において、ローラ離間間隔ごとの斜行補正テーブルを簡素化、共通化することができて、制御の応答性を向上させて、メモリー容量を削減することができる。
また、シート搬送装置71は、シートセンサとレジストローラ対をそれぞれ独立に移動させる必要がないので、駆動源としてのステッピングモータや支持部材の構成を簡略化し、省スペース、低価格にすることができる。
なお、レジストローラ対とシートセンサは、共通の移動台32,33に設けられている必要が無い。レジストローラ対とシートセンサとが同期して移動し、斜行検知位置と斜行補正位置の相対位置のバラツキをゼロ若しくは低減できる形態であれば、同様の効果が得られる。
(第2実施形態のシート搬送装置)
図7及び図8は、本発明の第2実施形態におけるシート搬送装置72の異なる状態を示す平面図である。
シート搬送装置72も、第1実施の形態と同様に後述する画像形成装置91(図9)と、画像読取装置92(図10)とのいずれにも設けられるようになっている。
シート搬送装置72は、画像形成装置91に設けられる場合、画像形成装置91に設けられている制御装置73に制御される。また、シート搬送装置72は、画像読取装置92(図10)に組み込まれた場合、画像読取装置92に設けられている制御装置93によって制御される。
第1実施形態のシート搬送装置71は、シート搬送位置がシート搬送装置のシート幅方向の中央である中央基準であったのに対して、第2実施形態のシート搬送装置72は、シート搬送位置が片方に寄った位置を基準とする片側基準である点で異なっている。
したがって、第2実施形態のシート搬送装置72において、片側基準側に位置する、レジストモータ30、第1回転体対としてのレジストローラ対12a、及び第1検知手段としてのセンサ38等は、固定台40に設けられて、移動しないようになっている。また、間隔調節手段としての間隔調節装置82は、移動台33のみをシート幅方向(矢印B方向)に移動させるようになっている。その他の部分は、第1実施形態のシート搬送装置71と同様な構造になっており、その同一の部分については、同一の符号を付してその部分の説明を省略する。
レジストローラ対12a,12b同士の間隔は、例えば、図7のシート幅方向の離間間隔L3と、図8のシート幅方向の離間間隔L4との間で、搬送されてくるシートの幅に応じた任意の位置に間隔調節装置82によって調節できるようになっている。
同様に、シートセンサ38,39同士の間隔も、例えば、図7のシート幅方向の離間間隔M3と、図8のシート幅方向の離間間隔M4との間で、搬送されてくるシートの幅に応じた任意の位置に間隔調節装置82によって調節できるようになっている。なお、この調節位置は第1の実施の形態で説明した位置と同じである。
この場合、レジストローラ対12aとシートセンサ38は固定台40に設けられ、レジストローラ対12bとシートセンサ39は移動台33に設けられているので、(L4−L3)=(M4−M3)の関係になっている。また、レジストローラ対12a,12bと、シートセンサ38,39との配置関係は、L3=M3、L4=M4になっている。さらに、レジストローラ対12aとシートセンサ38は、シート搬送方向(矢印A方向)に配列されている。同様に、レジストローラ対12bとシートセンサ39も、シート搬送方向(矢印A方向)に配列されている。両方の配列は、互いに平行であることは勿論である。
次に、シート搬送装置72の動作を説明する。
ユーザが給送カセット7a,7bを選択すると、画像形成装置91の制御装置73(図9)は、選択された給送カセット7a,7bから給送されるシートサイズを検知してシート幅情報を抽出する。また、制御装置73は、ユーザが手動でシートサイズを入力したときには、シートサイズからシート幅情報を抽出する。制御装置73は、抽出したシート幅情報に基づいて、移動台33の移動量を決定して、移動台駆動モータ37を駆動制御する。
制御装置73は、例えばA4サイズのシート情報を得たときには、シート幅210mmに対応したレジストローラ対12a,12bの離間間隔L3=180mmとなるように、移動台駆動モータ37を駆動制御して移動台33を移動させる。
このとき、シートセンサ38,39の離間間隔M3も、また、レジストローラ対12a,12bの離間間隔L3と同じく180mmとなるように固定台40と移動台33に固定されている。
搬送されてきたシートPは、先端で発光素子38a,39aと受光素子38b,39bとの間の光路を遮断する。図6は、斜行したシートPがシートセンサ38,39により検知されたときの検知信号の一例を示す。先ず、シートセンサ38がシートPの先端を検知してOFFとなり、そのT1時間後にシートセンサ39が該シートPの先端を検知してOFFとなる。
制御装置73は、シートセンサ38,39により検知された検知信号の時間差T1とシート搬送速度とからシートPの斜行量を算出する。そして、制御装置73は、その斜行量に応じてレジストモータ30,31を回転制御して、レジストローラ28a,29aの回転速度を制御する。
ここで、参考数値(一例)に基づいて、シート搬送装置72の斜行補正動作を説明する。
シート搬送装置72の条件は、次のように設定されているものとする。レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L3=180mm。シートセンサ38,39のシート幅方向の離間間隔M3=180mm。シートPの搬送速度V=300mm/s。
このような、数値条件下で、シートが、シートセンサ38,39の検知時間差T1=50msで斜行搬送されてきた場合、シートPの補正搬送距離LSは、式2からシートセンサ38,39の検知時間差T1により一義的に決定される。その値は、(50ms×300mm/s=)15mmである。
制御装置73が、レジストローラ対の一方を停止させて他方を搬送速度V=300mm/sのままシートを搬送する制御を行ったとすると、補正時間は(15mm/300mm/s=)50msとなる。そして、一方のレジストローラ対12aを150mm/sに減速し、他方のレジストローラ対12bを300mm/sのままでシートを搬送すると、(15mm/(300−150)mm/s=)100msでシートの斜行補正が終了する。
なお、以上のシート搬送装置72において、レジストローラ対12a,12bの離間間隔L3と、シートセンサ38,39の離間間隔M3とが異なる(L3≠M3)場合がある。この場合も、式2の(L1/M1)の項が(L3/M3)となり、移動台上の取り付け位置で一義的に精度よく決定され、定数で表わすことができる。
次に、先行シートがA4サイズの縦送りで、後続シートがA3サイズの縦送りのシートを斜行補正するような混載ジョブ情報が設定された場合について説明する。
制御装置73は、210mm幅のA4シートを斜行補正した後、ジョブ情報に基づき後続シートのA3シート幅情報を抽出する。図8は、A3縦送りのシート幅に対応した場合の、固定台40と移動台33の制御位置を示している。
制御装置73は、レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L4が、A3シート幅297mmに対応して267mmとなるように、移動台駆動モータ37を駆動制御して、移動台33を移動させる。このとき、シートセンサ38,39のシート幅方向の離間間隔M4も、また、レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L4と同じく、267mmになる。
シート搬送装置72の条件は、次のように設定されているものとする。レジストローラ対12a,12bのシート幅方向の離間間隔L4=267mm、シートセンサ38,39のシート幅方向の離間間隔M4=267mm。シートPの搬送速度V=300mm/s。
このような、数値条件下で、シートが、シートセンサ38,39の検知時間差T2=30msで斜行搬送されてくると、シートPの補正搬送距離LSは、式2から、シートセンサ38,39の検知時間差T2により一義的に決定される。その値は、(30ms×300mm/s=)9mmである。
制御装置73が、レジストローラ対の一方を停止させて他方を搬送速度V=300mm/sのまま搬送する制御を行ったとすると、補正時間は(9mm/300mm/s=)30msとなる。そして、一方のレジストローラ対12aを150mm/sに減速し、他方のレジストローラ対12bを300mm/sのまま搬送すると、(9mm/(300−150)mm/s=)60msでシートの斜行補正が終了する。
以上説明したように、シート搬送装置72は、レジストローラ対12a,12b同士の間隔と、シートセンサ38,39同士の間隔とを調節できるようになっている。このため、シート搬送装置72は、ローラ対12a,12b同士の間隔とセンサ38,39同士の間隔とを多種多様なシート、特に、幅の広いシートの斜行補正に最適な間隔に調節することができる。よって、シート搬送装置72は、シートの斜行を高精度に補正することができる。
シート搬送装置72におけるシート幅サイズに応じた移動台の移動制御は、先行シートの後端がレジストローラ対を通過してから後続シートの先端がシートセンサに進入するまでの、いわゆるシート間隔時間を利用して行えるようになっている。
このため、シート搬送装置72のように、片側基準であっても、シート幅に対応してローラの間隔やセンサの間隔を変更しても、ローラとセンサが一体的に移動するので、斜行検知位置と斜行補正位置の相対位置のバラツキをゼロとすることができる。よって、斜行補正精度を高めることができる。
なお、ローラ12bとセンサ39は、共通の移動台33に設けられている必要が無い。レジストローラ対とシートセンサとが同期して移動し、斜行検知位置と斜行補正位置の相対位置のバラツキをゼロ又は低減できる形態であれば、同様の効果が得られる。
第1、第2実施形態のシート搬送装置71,72は、レジストローラ対12a、12bが、シートセンサ38,38よりもシート搬送方向の下流側に配設されている。これによって、シート搬送装置71,72は、シートセンサ38,38がシートの斜行を検知してから、レジストローラ対12a、12bによるシート搬送速度を変更する時間を得ることができて、シートの斜行補正を確実に行うことができる。
(参考例のシート搬送装置)
以上の第1、第2実施形態のシート搬送装置は、レジストローラ対12a,12bの間隔(L1乃至L4)と、シートセンサ38,39の間隔(M1乃至M4)とが同時に変更できるようになっている。
しかし、レジストローラ対12a,12bの間隔と、シートセンサ38,39の間隔との一方だけが変更できるようになっていてもよい。さらに、レジストローラ対12a,12bの間隔を変更する場合、レジストローラ対12a,12bの両方、或いは一方が移動できるようになっていてもよい。また、シートセンサ38,39の間隔を変更する場合も、シートセンサ38,39の両方、或いは一方が移動できるようになっていてもよい。
この場合において、レジストローラ対12a,12b同士の間隔を調節できるようになっている場合、ローラ対同士の間隔を多種多様なシート、特に、幅の広いシートの斜行補正に最適な間隔に調節することができる。よって、シート搬送装置は、シートの斜行を高精度に補正することができる。
また、シートセンサ38,39同士の間隔を調節できるようになっている場合、シートセンサ38,39同士の間隔を多種多様なシート、特に、幅の広いシートの斜行検知に最適な間隔に調節することができる。よって、シート搬送装置は、斜行量を高精度に検知して、シートの斜行を高精度に補正することができる。
各実施形態と参考例とで説明したレジストローラ対12a,12bは、代わりにベルト対の搬送手段を使用してもよい。
なお、上記実施の形態と参考例とでは、2つのシートセンサ38,39を用いてシート先端の検知に基づいてシートの斜行を判断しているが、ラインセンサ(CCD:Charge Coupled Device)を用いてもよい。この場合には、ラインセンサをシート搬送方向と交差する方向に全域に亘って配置することによりシートの先端の位置を検知してシートの斜行を判断する。ラインセンサを用いる場合には、レジストローラ対12a,12bの間隔のみを調節する。
(画像形成装置)
図9は、本発明の実施形態と参考例とにおけるシート搬送装置を備えた画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
画像形成装置91は、制御装置73の制御によって作動するようになっている。原稿台ガラス1上に原稿面を下向きにして載置された原稿の画像は、光学読取系2が図9の左右方向に走査して読み取られる。そして、不図示のコントローラにより不図示のレーザ発振器に信号が送られ、画像情報に応じてレーザ発振器がレーザ光を発する。そのレーザ光は、回転しているポリゴンミラー3で反射し、さらに反射ミラー4で反射して、表面が一様に帯電された感光体ドラム5の表面を照射する。これにより、感光体ドラム5の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像器6によりトナーが供給されてトナー画像として可視像化される。
一方、給送カセット7a,7bに収容されたシートPは、ピックアップローラ8a,8bにより選択的に給送カセット7a,7bから送り出されて、フィードローラ9a,9b及びリタードローラ10a,10bにより1枚ずつに分離給送される。
シートPは、搬送ローラ対11により搬送され、シート搬送装置71(又は、72)のレジストローラ対12(12a,12b)によりシートPが搬送されつつ斜行が補正される。その後、シートPは、感光体ドラム5の回転に合わせたタイミングで感光体ドラム5と該感光体ドラム5に対向する転写ローラ13との間に送り込まれる。
そして、感光体ドラム5の表面に形成されたトナー画像が転写ローラ13の作用によりシートPに転写される。シートPは、搬送ベルト14により定着装置15に導かれて、定着ローラ15aと加圧ローラ15bとにより挟持搬送されながら加熱、加圧処理されてトナー画像を永久定着される。
定着装置15から排出されたシートPは、搬送方向を切り換えるための切換部材16a,16bとの案内と、排出ローラ対19の挟持搬送とによって、画像を上向きのフェイスアップ状態で排出トレイ22上に排出される。画像が下向きのフェイスダウンで排出トレイ23上にシートPを排出する場合、シートPは、排出ローラ対19に挟持された状態で該排出ローラ対19の逆転と、排出ローラ対20,21の挟持搬送とによって、排出トレイ23に排出される。
シートの両面に画像を形成する場合、シートPは、切換部材16a,16bの切り換え動作と排出ローラ対19の正転逆転動作とによって、両面パス17に導かれて表裏面が反転し、搬送ローラ対18により搬送されて感光体ドラム5に再給送される。シートPは、他方の面にも画像を形成されて、後から形成された画像を上向きにして排出トレイ22上に排出される。
また、手差しトレイ24にセットされたシートPは、給送ローラ25により給送されて搬送ローラ対11によりレジストローラ対12(12a,12b)に搬送される。該レジストローラ対12(12a,12b)は、シートPを搬送しながら斜行を補正して、感光体ドラム5の回転に合わせたタイミングで感光体ドラム5と転写ローラ13との間に送り込む。シートは、前述と同様にトナー画像が転写された後、定着装置でトナー画像を定着された後、機外に排出される。なお、本実施の形態では、トナー像を形成する構成、トナー像をシートに転写する構成、トナー像をシートに定着する構成を含めて画像形成手段とする。
本発明の画像形成装置91は、シートの斜行補正精度の高いシート搬送装置71(又は、72)を備えているので、多種多様なシート、特に、幅の広いシートに対する画像形成精度を向上させることができる。すなわち、シートに対してずれた位置や斜めに画像が形成されることがなく、シートの適正な位置に画像を形成することができて画像品質の向上を図ることができる。
(画像読取装置)
図10は、本発明の実施形態と参考例とにおけるシート搬送装置を備えた画像読取装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
画像読取装置92としてのスキャナは、固定された光学読取系にシート状の原稿Dを移動させることで原稿Dに記録されている画像を読み取る所謂流し読みをする自動原稿送り装置92Aを有している。この自動原稿送り装置92Aは、画像読取光学系92Bの上部に装着されている。
画像読取部45の原稿搬送方向の前後には、図1乃至図3に示した第1実施形態のシート搬送装置71、又は、図7、図8に示した第2実施形態のシート搬送装置72が設けてある。画像読取装置92は、第1実施形態のシート搬送装置71を設けてあるものとする。
シート搬送装置71のレジストローラ対12a,12bは、画像読取部45の前方及び後方から搬送される原稿Dを搬送しながら斜行を補正するようになっている。
原稿Dの片面の画像を読み取る場合について説明する。
原稿トレイ41に積載された原稿Dは、ピックアップローラ42により繰り出されて、分離ローラ対43により1枚ずつ搬送ローラ対44に分離給送される。そして、原稿Dは、切換部材57に案内されてシート搬送装置71のレジストローラ対12a,12bに到達する。レジストローラ対12a、12bは、原稿の斜行を補正して画像読取光学系92Bの画像読取部45に原稿を送り込む。画像読取部45が、原稿を読み取る。このとき、画像読取部45の後にあるシート搬送装置71のレジストローラ対12a,12bは、原稿の斜行補正動作をしないで、単に原稿を搬送する。画像読取光学系92Bにより画像が読み取られた原稿は、画像読取部45の後にあるレジストローラ対12a,12b、搬送ローラ対48に搬送されて、切換部材49により図10の矢印b方向に導かれる。そして、原稿は、排出ローラ対50により、排出トレイ51上に原稿面が下向きの状態で排出される。
原稿Dの両面の画像を読み取る場合について説明する。
原稿Dの片面の画像を読み取るときと同じように、原稿Dは、画像読取部45に送り込まれて、原稿トレイ41上で上向きの第1面の画像を読み取られる。その後、原稿Dは、画像読取部45の前後にあるレジストローラ対12a,12bに搬送されて、切換部材49により図10の矢印c方向に導かれ、搬送ローラ対52によりUターンパス内で反転させられる。原稿Dは、図10において、画像読取部45の右側にあるレジストローラ対12a,12bに、斜行が補正されて、画像読取部45に送り込まれる。原稿は、第2面の画像を画像読取部45に読み取られる。このとき、図10において、画像読取部45の左側にあるレジストローラ対12a,12bは、原稿の斜行補正動作をしないで、単に原稿を搬送する。
そして、原稿Dは、画像読取部45の前後にあるレジストローラ対12a,12bに搬送されて、切換部材57により、図10の矢印d方向に導かれて、搬送ローラ対53に搬送される。最後、原稿Dは、さらに、図10の矢印b方向に導かれ、排出ローラ対50により搬送されて排出トレイ51上に第2面を上向きにして排出される。
また、自動原稿送り装置92Aにより搬送するのが困難な厚い原稿Dや極端に薄い原稿D等は、手差しトレイ54に積載されて、手差しトレイ54から画像読取部45に送られて画像が読み取られる。このような原稿は、原稿面を下向きにして手差しトレイ54に積載されて、給送ローラ対55及び搬送ローラ対56により図10の矢印e方向に搬送され、搬送ローラ対52により搬送される。図10において、画像読取部45の右側にあるレジストローラ対12a,12bは、原稿の斜行を補正して、原稿を画像読取部45に送り込む。原稿は、画像読取部45の前後にあるレジストローラ対12a,12bに搬送されて切換部材57に導かれ、図10の矢印f方向に搬送され、排出ローラ対58により排出トレイ59上に原稿面が下向きの状態で排出される。この間、図10において、画像読取部45の左側にあるレジストローラ対12a,12bは、原稿の斜行補正動作をしないで、単に原稿を搬送する。
本実施形態の画像読取装置92は、原稿の斜行補正精度の高いシート搬送装置71(又は、72)を備えているので、読取精度を向上させることができる。また、本実施形態の画像読取装置92は、多種多様な原稿、特に、幅の広い原稿の読取精度を向上させることができる。すなわち、斜めに画像を読取ることもなく確実に画像を読取ることができて読取品質の向上を図ることができる。