JP5004078B2 - 高アスペクト比のカーボンナノチューブを用いた高配向性電極によるアクチュエータ素子 - Google Patents

高アスペクト比のカーボンナノチューブを用いた高配向性電極によるアクチュエータ素子 Download PDF

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本発明は、導電性薄膜を有する導電体及びアクチュエータ素子に関する。ここでアクチ
ュエータ素子は、電気化学反応や電気二重層の充放電などの電気化学プロセスを駆動力と
するアクチュエータ素子である。
空中、あるいは真空中で作動可能なアクチュエータ素子として、カーボンナノチューブ
とイオン液体とのゲルを導電性の伸縮性のある活性層として用いるアクチュエータが提案
されている(特許文献1)。
従来の素子の構造は、伸縮性のある活性層としてカーボンナノチューブとイオン液体との
ゲルを用い、イオン液体ゲルを電解質層として電極層でサンドイッチ構造にしたものであ
る。この素子の電極中のカーボンナノチューブは、ランダムに分散し、発生する力の方向
が互いに打ち消し合っているものと考えられる。
特願2003−409344 PCT/JP2007/050050 WO2006/011655 Don N. Futaba, Kenji Hata, Takeo Yamada, Tatsuki Hiraoka, Yuhei Yamamizu, Yozo Kakudate, Osamu Tanaike, Hiroaki Hatori, Motoo Yumura and Sumio Iijima, Nature Materials, Vol.5, 987 (2006). Kenji Hata et al, Water-Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nanotubes, SCIENCE, 2004.11.19, vol.306, p.1362-1364
本発明は、効率のよい変形応答を有するアクチュエータ素子を提供することを目的とす
る。
本発明者は上記課題に鑑み検討を重ねた結果、アスペクト比の非常に大きなカーボンナ
ノチューブを用い、カーボンナノチューブの配向性の高い電極を作製することによって、
力の方向が揃った効率のよいアクチュエータ素子を作製することに成功した。
本発明は、以下の導電性薄膜、積層体およびアクチュエータ素子を提供するものである

1. アスペクト比が10以上のカーボンナノチューブ、イオン液体およびポリマーを
含む高分子ゲルから構成され、かつ、カーボンナノチューブが配向構造をもつ導電性薄膜

2. 長さが50μm以上のカーボンナノチューブ、イオン液体およびポリマーを含む高分
子ゲルから構成され、カーボンナノチューブが配向構造をもつ導電性薄膜。
3. 項1または項2に記載の1又は2以上の導電性薄膜と、イオン液体およびポリマーか
ら構成される1又は2以上のイオン伝導体膜を積層してなる積層体。
4. 項3の積層体からなるアクチュエータ素子。
5. イオン液体およびポリマーから構成されるイオン伝導体層の表面に、項1あるいは
項2に記載の導電性薄膜を電極とする導電性薄膜層が互いに絶縁状態で少なくとも2個形
成され、当該導電性薄膜層に電位差を与えることにより変形可能に構成されている項4に
記載のアクチュエータ素子。
本発明によれば、アスペクト比が10以上、あるいは長さが50μm以上のカーボン
ナノチューブを使用することで、カーボンナノチューブの配向性を高め、効率のよい変形
応答のアクチュエータ素子を提供することができる。
本発明において、アクチュエータ素子の電極層に使用する導電性薄膜には、カーボンナ
ノチューブ、ポリマーおよびイオン液体が使用される。
本発明に用いられるイオン液体(ionic liquid)とは、常温溶融塩または単に溶融塩な
どとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であ
り、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩
である。また、本発明で使用するイオン液体はイオン導電性が高いものが好ましい。
本発明においては、各種公知のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)ま
たは常温に近い温度において液体状態を呈する安定なものが好ましい。本発明において用
いられる好適なイオン液体としては、下記の一般式(I)〜(IV)で表わされるカチオン
(好ましくは、イミダゾリウムイオン、第4級アンモニウムイオン)と、アニオン(X
)より成るものが挙げられる。
Figure 0005004078
上記の式(I)〜(IV)において、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキ
ル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するア
ルキル基を示し、式(I)においてRは炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル
基または水素原子を示す。式(I)において、RとRは同一ではないことが好ましい。
式(III)および(IV)において、xはそれぞれ1〜4の整数である。
炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの基が
挙げられる。炭素数は好ましくは1〜8,より好ましくは1〜6である。
炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロ
ピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルが挙げられ
る。
エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基
としては、CH2OCH3、(CH2)p(OCH2CH2)qOR2(ここで、pは1〜4の整数、qは1〜4の整
数、R2はCH3又はC2H5を表す)が挙げられる。
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、BF3CF3 -、BF3C2F5
-、BF3C3F7 -、BF3C4F9 -、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、ビス(トリフルオロメ
タンスルホニル)イミド酸イオン((CF3SO2)2N-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリス(
トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン(CF3SO2)3C-)、トリフルオロメタンスル
ホン酸イオン(CF3SO3 -)、ジシアンアミドイオン((CN)2N-)、トリフルオロ酢酸イオン
(CF3COO-)、有機カルボン酸イオンおよびハロゲンイオンが例示できる。
これらのうち、イオン液体としては、例えば、カチオンが1−エチル−3−メチルイミ
ダゾリウムイオン、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+、アニオンがハロゲンイオン
、テトラフルオロホウ酸イオンのものが、具体的に例示できる。なお、カチオン及び/又
はアニオンを2種以上使用し、融点をさらに下げることも可能である。
ただし、これらの組み合わせに限らず、イオン液体であって、導電率が0.1Sm-1以上の
ものであれば、使用可能である。
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒形に巻いた形状か
ら成る炭素系材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナ
ノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラ
ル(らせん)型、ジグザグ型、およびアームチェア型に分けられるなど、各種のものが知
られている。本発明には、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば
、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。
本発明で使用するカーボンナノチューブのアスペクト比は、10以上、好ましくは1
以上である。アスペクト比は大きければ大きいほど好ましいが、上限は、例えば10
程度である。カーボンナノチューブの長さは、通常1μm以上、好ましくは50μm以上
、さらに好ましくは500μm以上である。カーボンナノチューブの長さの上限は、特に
限定されないが、例えば3mm程度である。
実用に供されるカーボンナノチューブの好適な例として、一酸化炭素を原料として比較
的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製)
が挙げられるが、勿論、これに限定されるものではない。
本発明に用いられるポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体[PVDF(HFP)]などの水素原子を有するフッ素化オレフィンとパー
フッ素化オレフィンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの水素原子を有
するフッ素化オレフィンのホモポリマー、パーフルオロスルホン酸(Nafion,ナフ
ィオン)、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly-HEMA)、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)などのポリ(メタ)アクリレート類、ポリエチレンオキシド
(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
アクチュエータ素子の電極層に使用される導電性薄膜層は、カーボンナノチューブ、イ
オン液体及びポリマーから構成される。
導電性薄膜層中のこれらの成分の好ましい配合割合は:
カーボンナノチューブ:
16〜90重量%、好ましくは16.6〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%;
イオン液体:
5〜 80重量%、好ましくは15〜 73.4重量%、より好ましくは20〜69重量%;
ポリマー:
4〜70重量%、好ましくは10〜68.4重量%、より好ましくは11〜64重量%;
である。
本発明の導電性薄膜において、カーボンナノチューブは配向構造を有し、具体的には2
以上の配向比を有する。配向比は、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、特に好ま
しくは7以上である。配向比が高いほど、力の方向が揃うため、効率よくアクチュエータ
素子を動かすことができる。
カーボンナノチューブを配向させるためには、カーボンナノチューブを含む導電性薄膜
を延伸する方法、電場或いは磁場の存在下で、カーボンナノチューブを含む導電性薄膜を
作製する方法などが挙げられる。一般的には、繊維状、シート状などのカーボンナノチュ
ーブの配向体の報告が既になされているが、カーボンナノチューブの特徴であるすぐれた
機械的、電気的特質を保持し、電解質との界面面積の大きな配向体作製方法は今まで知ら
れていなかった。非特許文献1、及び特許文献2では、配向構造をもったアスペクト比の大
きいカーボンナノチューブを、配向構造を保ったまま任意の形に密度を大きくする方法が
開示されている。この方法では、カーボンナノチューブ本来の表面積の大きさ、優れた導
電性、機械的性質を損なわず高密度のカーボンナノチューブ電極が作製可能である。本特
許は、この文献で開示されている技術をさらに、イオン液体ゲルへ適用し、電気化学アク
チュエータへ応用したものである。
従来、カーボンナノチューブ、イオン液体、ポリマーからなる導電性薄膜を作製する際
には、通常カーボンナノチューブをイオン液体、ポリマー溶液中に分散させていた。従来
手法にて、性能の良い導電性薄膜を作製するためには、カーボンナノチューブの凝集を防
ぎつつ、均一にカーボンナノチューブをイオン液体、ポリマー溶液中に良く分散させるこ
とが必須であり、そのため、カーボンナノチューブをイオン液体、ポリマー中で良く撹拌
する必要があった。撹拌の結果、カーボンナノチューブは導電性薄膜中で無秩序均一に配
置され、配向性を持たない。
しばしば、カーボンナノチューブの複合材料においては、カーボンナノチューブが高密
度で含有され、かつ一定方向に配向していることが望ましい。特にカーボンナノチューブ
アクチュエータにおいては、カーボンナノチューブが一定の方向に配向していることによ
り、各々のカーボンナノチューブから発生する力のベクトルが同一の軸方向を持ち、より
発生力の大きいアクチュエータが作成される。しかしながら、従来はかかる配向カーボン
ナノチューブ複合材料は、上記事情により、製造が著しく困難であった。
カーボンナノチューブは一次元で、非常にアスペクト比が高い材料であり、かつファン
デルワールス力により、容易にくっつきあうため、初期状態に無配向状態からなるカーボ
ンナノチューブの集合体から、各々のカーボンナノチューブを配向させることは著しく困
難である。
本発明は以上の通りの事情に鑑みてなされたものであって、本発明者らは、鋭意研究を
重ねた結果、金属触媒の存在下にカーボンナノチューブを化学気相成長(CVD)させる
方法において、反応雰囲気中に水蒸気を微量添加することにより、従来の方法に比べ、純
度が高く、著しくラージスケール化した配向カーボンナノチューブ・バルク集合体が得ら
れることを見出し、非特許文献2、特許文献3等において報告した。
このような手段を用いると、成長直後から、配向した、長尺、高純度の単層カーボンナ
ノチューブから成るカーボンナノチューブ集合体を得ることができ、デバイス材料や素子
材料、導電性材料、機能性材料、製造において著しく有意である。
本発明の方法で製造するアクチュエータ素子としては、例えば、イオン伝導層1を、そ
の両側から、カーボンナノチューブとイオン液体とポリマーを含む導電性薄膜層(電極層
)2,2で挟んだ3層構造のものが挙げられる(図2A) 。また、電極の表面伝導性を増すため
に、電極層2,2の外側にさらに導電層3,3が形成された5層構造のアクチュエータ素子であ
ってもよい(図2B) 。
イオン伝導層の表面に導電性薄膜層を形成してアクチュエータ素子を得るには、イオン
伝導層の表面に導電性薄膜を熱圧着すればよい。導電性薄膜層は例えば以下の様にして得
ることができる。配向構造をもったアスペクト比の大きなカーボンナノチューブにイオン
液体を染み込ませる。あるいは、同様のカーボンナノチューブにイオン液体とポリマーを
溶媒に分散させたイオン液体ゲルの溶液を染み込ませる、あるいは、溶液中にカーボンナ
ノチューブを浸し、その後、溶媒を乾燥させることによって得ることができる。カーボン
ナノチューブの配向方向を変える場合は、イオン液体ゲル溶液を染み込ませる、あるいは
、浸す前に、イオン液体ゲル上でローラー等で面に垂直な方向から水平な方向に変えるこ
とが可能である。イオン伝導層は、イオンゲル溶液をキャスト法により製膜し、溶媒を蒸
発、乾燥させることによって得ることができる。
イオン伝導層の厚さは、5〜200μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより
好ましい。導電性薄膜層の厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、50〜300μmである
のがより好ましい。また、各層の製膜にあたっては、スピンコート、印刷、スプレー等も
用いることができる。さらに、押し出し法、射出法等も用いることができる。
導電層の厚さは、10〜50nmであるのが好ましい。
このようにして得られたアクチュエータ素子は、電極間(電極は導電性薄膜層に接続さ
れている)に0.5〜4Vの直流電圧を加えると、数秒以内に素子長の0.5〜1倍程度
の変位を得ることができる。また、このアクチュエータ素子は、空気中あるいは真空中で
、柔軟に作動することができる。
このようなアクチュエータ素子の作動原理は、図3に示すように、イオン伝導層1の表
面に相互に絶縁状態で形成された導電性薄膜層2,2に電位差がかかると、導電性薄膜層
2,2内のカーボンナノチューブ相とイオン液体相の界面に電気二重層が形成され、それ
による界面応力によって、導電性薄膜層2,2が伸縮するためである。図3に示すように
、プラス極側に曲がるのは、量子化学的効果により、カーボンナノチューブがマイナス極
側でより大きくのびる効果があることと、現在よく用いられるイオン液体では、カチオン
4のイオン半径が大きく、その立体効果によりマイナス極側がより大きくのびるからであ
ると考えられる。図3において、4はイオン液体のカチオンを示し、5はイオン液体のア
ニオンを示す。
上記の方法で得ることのできるアクチュエータ素子によれば、カーボンナノチューブと
イオン液体とのゲルの界面有効面積が極めて大きくなることから、界面電気二重層におけ
るインピーダンスが小さくなり、カーボンナノチューブの電気伸縮効果が有効に利用され
る効果に寄与する。また、機械的には、界面の接合の密着性が良好となり、素子の耐久性
が大きくなる。その結果、空気中、真空中で、応答性がよく変位量の大きい、且つ耐久性
のある素子を得ることができる。しかも、構造が簡単で、小型化が容易であり、小電力で
作動することができる。さらに、カーボンナノチューブが配向していることから、従来の
同様の素子より、効率的に力の発生が起こる。
本発明のアクチュエータ素子は、空気中、真空中で耐久性良く作動し、しかも低電圧で
柔軟に作動することから、安全性が必要な人と接するロボットのアクチュエータ(例えば
、ホームロボット、ペットロボット、アミューズメントロボットなどのパーソナルロボッ
トのアクチュエータ)、また、宇宙環境用、真空チェンバー内用、レスキュー用などの特
殊環境下で働くロボット、また、手術デバイスやマッスルスーツなどの医療、福祉用ロボ
ット、さらにはマイクロマシーンなどのためのアクチュエータとして最適である。
特に、純度の高い製品を得るために、真空環境下、超クリーンな環境下での材料製造にお
いて、純度の高い製品を得るために、試料の運搬や位置決め等のためのアクチュエータの
要求が高まっており、全く蒸発しないイオン液体を用いた本発明のアクチュエータ素子は
、汚染の心配のないアクチュエータとして、真空環境下でのプロセス用アクチュエータと
して有効に用いることができる。
なお、イオン伝導層表面への導電性薄膜層の形成は少なくとも2層必要であるが、図4に
示すように、平面状のイオン伝導層1の表面に多数の導電性薄膜層2を配置することによ
り、複雑な動きをさせることも可能である。このような素子により、蠕動運動による運搬
や、マイクロマニピュレータなどを実現可能である。また、本発明のアクチュエータ素子
の形状は、平面状とは限らず、任意の形状の素子が容易に製造可能である。例えば、図4
に示すものは、径が1mm程度のイオン伝導層1のロッドの周囲に4本の導電性薄膜層2
を形成したものである。この素子により、細管内に挿入できるようなアクチュエータが実
現可能である。
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定さ
れないことは言うまでもない。
なお、本実施例において、アクチュエータ素子変位評価は、以下のようにして行った。
アクチュエータ素子変位評価法:図1に示す様にレーザー変位計を用い、素子を1mmx15
mmの短冊状に切り取り、電圧を加えた時の10mmあるいは5mmの位置の変位を測定した。
実施例1 高アスペクト比カーボンナノチューブ(HA-SWNT)配向マットからなるアクチ
ュエータ素子
HA-SWNT配向マットは産総研ナノカーボン研究センターで作製された。
ポリフッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)(Kynar Flex 280
1, アルケマ社)に対して、等重量のエチルメチルイミダゾリウム テトラフルオロボレ
ート(EMIBF4)を含んだイオンゲルの両面に、上記配向マットを常温で圧着することにより
素子を得た。
さらに、電極内の電解質塩濃度を増やすために、EMIBF4を電解質に含浸させたもの(以
下IL-L)と、電極に含浸させたもの(以下IL-D)について同様に素子を作成した。
これらの素子の±0.5V〜2.5V電圧印加に対する屈曲変位量及び電流値を測定した結果を
表1に示す。EMIBF4を導入することで、電極への分極電極が増加し、変形量が増加した。
Figure 0005004078
実施例2と比較例1 HA−SWNT複合ゲルによるアクチュエータの作製-1
配向性単層カーボンナノチューブ(HA-SWNT)は産総研ナノカーボン研究センターから提
供された。HA-SWNTをシリコン基板上から剥離した後、ポリフッ化ビニリデンヘキサフル
オロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)膜上に手動式延伸ロール機を用いて80℃で圧延接合し
た。このとき、HA-SWNTとPVDF-HFP複合体の厚さは約40%まで圧縮される。この複合体に、
エチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、
もしくはPVdF-HFP1重量に対して30重量の上記イオン性液体をプロピレンカーボネートま
たはジメチルアセトアミドで溶かしたプレゲル溶液を常温で気泡が出なくなるまで真空含
浸させた。充分含浸させた試料を常温で真空乾燥させ、さらに80℃一晩真空乾燥して溶媒
を除去し電極を得た。
電極面積は圧延接合時とほとんど同じであり収縮は見られなかった。一方、電極の重量
は複合前のHA-SWNTの11〜18倍であり、ゲル電解質との複合体となっていると考えられる
この様にすることによって、シリコン基板上にCVD法によって作製されたカーボンナノ
チューブの配向構造を保ったまま、イオン液体のポリマーゲルと複合化することが可能と
なる。配向比はラマン分光法によって2程度であることが確認された。
アクチュエータ素子は上記電極間にPVdF-HFPに対して等重量のEMIBF4またはEMITFSIを
含むイオンゲルを電解質として挟み、80℃で圧着したものを、8mm×1mmに切断することで
作成した。完成した素子の厚さは270μmであった。
比較例として、電極層にSWNT(HiPco, CNI社)25mg, PVdF-HFP40mg, イオン液体として
1-エチル-3-メチルイミダゾイル (EMI)TFSI 121mgを溶媒DMAcに分散させた溶液からキャ
スト後、溶媒を乾燥させて作製したものを用い、電解質層としてPVDF-HFP:EMITFSI の重
量比1:1からなるイオンゲルフィルムを用い、電極/イオンゲル/電極からなる厚さ6
8μmの素子を圧着させることによって素子を作製した
表2に本実施例の素子と比較例の素子について、それぞれ変位測定を行い、その値から
以下の式を用いて電極層の伸縮率を求めた。
伸縮率=変位x素子の厚み/(素子長)
加えた方形波電圧とえられた値を表2に示す。
Figure 0005004078
比較例1では電極中のカーボンナノチューブ量は13.5%、それに対して、実施例の電極中の
カーボンナノチューブ量は8.4%であるにも関わらず、伸縮量は大きくなっている。これは
カーボンナノチューブの配向構造を電極中で保持した結果、発生力の方向がそろい、性能
が向上したためであると考えられる。この構造をたもち、さらに電極中のカーボンナノチ
ューブ量を増やすならば性能は飛躍的に向上すると考えられる。
実施例3 HA−SWNT複合ゲルによるアクチュエータの作製-2
配向性単層カーボンナノチューブ(HA-SWNT)は産総研ナノカーボン研究センターから提
供された。HA-SWNTをシリコン基板上から剥離した後、PVdF-HFPに対して等重量のエチル
メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)を含んだイオンゲル膜上に手動式
延伸ロール機を用いて80℃で圧延接合した。このとき、HA-SWNTとPVDF-HFP複合体の厚さ
は約40%まで圧縮される。この複合体に、EMIBF4、もしくはPVdF-HFP1重量に対して30重量
の上記イオン性液体をプロピレンカーボネートまたはジメチルアセトアミドで溶かしたプ
レゲル溶液を常温で気泡が出なくなるまで真空含浸させた。充分含浸させた試料を常温で
真空乾燥させ、さらに80℃一晩真空乾燥して溶媒を除去し電極を得た。
電極面積は圧延接合時とほとんど同じであり収縮は見られなかった。一方、電極の重量
は複合前のHA-SWNTの11〜18倍であり、ゲル電解質との複合体となっていると考えられる
この様にすることによって、シリコン基板上にCVD法によって作製されたカーボンナノ
チューブの配向構造を保ったまま、イオン液体のポリマーゲルと複合化することが可能と
なる。配向比はラマン分光法によって2程度であることが確認された。
アクチュエータ素子は上記電極間にPVdF-HFPに対して等重量のEMIBF4を含むイオンゲル
を電解質として挟み、80℃で圧着したものを、8mm×1mmに切断することで作成した。完成
した素子の厚さは220μm〜260μmであった。変位試験を行った結果、実施例2と同様の性
能が得られた。
本発明の実施例でアクチュエータ素子変位評価法に用いたレーザー変位計を示す。 図1(A)は、本発明のアクチュエータ素子(3層構造)の一例の構成の概略を示す図であり、図1(B)は、本発明のアクチュエータ素子(5層構造)の一例の構成の概略を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の作動原理を示す図である。 本発明のアクチュエータ素子の他の例の概略を示す図である。
符号の説明
1 イオン伝導層
2 導電性薄膜層
3 導電層
4 イオン性液体のカチオン
5 イオン性液体のアニオン

Claims (4)

  1. アスペクト比が10以上及び/又は長さが50μm以上のカーボンナノチューブ、イオン液体およびポリマーを含む高分子ゲルから構成され、かつ、カーボンナノチューブの配向比2以上の配向構造をもつ導電性薄膜。
  2. 請求項1に記載の1又は2以上の導電性薄膜と、イオン液体およびポリマーから構成される1又は2以上のイオン伝導体膜を積層してなる積層体。
  3. 請求項2の積層体からなるアクチュエータ素子。
  4. イオン液体およびポリマーから構成されるイオン伝導体層の表面に、請求項1に記載の導電性薄膜を電極とする導電性薄膜層が互いに絶縁状態で少なくとも2個形成され、当該導電性薄膜層に電位差を与えることにより変形可能に構成されている請求項3に記載のアクチュエータ素子。
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