JP5733938B2 - アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明はアクチュエータに関する。
近年、有機ポリマーを材料とするアクチュエータの開発が行われている。
特許文献1には、導電材料(カーボンナノチューブ)とイオン性液体と有機ポリマーからなる長尺形状の一対の電極層と、この一対の電極層の間に配置された、イオン性液体と有機ポリマーからなるイオン伝導層(電解質層)とで構成される長尺形状のアクチュエータの開示がある。このアクチュエータの長尺の端を端子で挟持してその端子に電圧を印加することで、各電極層内の電荷すなわち電子あるいはホールを移動させ、電極層間に電位差を生じさせることで屈曲変形させている。
特開2005−176428号公報
しかし、特許文献1に記載の長尺形状のアクチュエータにおいて、電極層は電極層中で導電材料が凝集するという問題があった。その結果、アクチュエータの長尺の端に設けられた端子に電圧を印加した場合、この端からもう一方の長尺の端までの間で、電位差が発生してしまう。
そこで本発明は、電極層の長尺の端からもう一方の端までの電位差を減らすことを目的とする。
よって本発明は、一対の電極層と、前記一対の電極層の間に配置されている、電解質を有する電解質層と、前記一対の電極層に接し、該電極層の間に電圧を印加するための端子と、
を有するアクチュエータであって、前記一対の電極層のうち少なくともいずれか一方は、前記電解質層に接する複数の線状電極を有し、前記線状電極の長尺方向が前記端子と接する部分からこれと離れた端部への方向に揃っており、前記端子に電圧を印加すると、前記電解質層内のイオンが移動して前記端部が変位する ことを特徴とするアクチュエータを提供する。
本発明によれば電極層内の電位差を抑制できる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータ(a),ポリマー繊維電極層(b),ポリマー繊維一本(c)の模式図 本発明の実施形態に係る上下にポリマー繊維電極層を有するアクチュエータの概略斜視図 本発明の実施形態に係るアクチュエータの駆動前を示す(a)図と、駆動中を示す(b)図 本発明の実施形態に係る電極層の長辺端部に電圧印加できる端子を有するアクチュエータの概略斜視図 本発明の実施形態に係る電極層の中央部に電圧印加できる端子を有するアクチュエータの概略斜視図
本発明の実施形態に係るアクチュエータについて図1を用いて説明する。本実施形態に係るアクチュエータは、一対の電極層に接し、電極層の間に電圧を印加するための端子を有している。この端子は、アクチュエータの固定部に設けられている。アクチュエータは端子と電極層が接する部分、すなわち固定部から離れた他方の端部(変位端)が変位することで屈曲変形する。
図1においては、端子が固定されている固定部が端部にあるので、以下の説明では固定端部としている。しかし、この構成に限らず、たとえば図5に示すように中央部に固定部が存在する構成でもよい。
この一対の電極層のうち少なくともいずれか一方は、複数の線状電極を有する。複数の線状電極としては、導電材料を含有するポリマー繊維の束で構成することが好ましい。線状電極の長尺方向が、端子と接する部分からこれと離れた端部への方向に揃っている。すなわち、図1に示すアクチュエータの固定部から端部の方向に揃っている。図1においては固定部が一端に存在するので、一方の端部から他方の端部への方向に揃っている。そして複数の線状電極により端子を有する固定端部の電圧と変形する端部との電位差が減る。
図1に示す本形態のアクチュエータは固定端部と変位端部とを有する。固定部から変位端部までの変形力が変位端部の変位の原因である。変位は固定端部から変位端部までの構造が一直線である状態をゼロ(無変位状態)として、そこから変位端部が曲がった状態のことを指す。
固定端部にはアクチュエータの一対の電極層の間に電圧を印加するための端子が設けられている。端子は、固定端部以外に設けられても良いが、変位端部との距離を長くとるために固定端部に設けられることが好ましい。
電極層の形状は、長軸と短軸を有する長尺形状であることが良い。長尺形状である場合、その長軸方向にポリマー繊維の長尺方向が揃っていることが好ましいが、その短軸方向にポリマー繊維の長尺方向が揃っていても良い。
(アクチュエータの構成)
本発明の実施形態に係るアクチュエータは、長尺形状の一対の電極層13、14と、これら電極層の間に配置されている電解質層15とが積層された構造を有する。これらは積層構造である。図1(a)は本発明の実施形態に係るアクチュエータを、電極層13、14と電解質層15との積層方向(本図紙面の左右方向)に対して垂直な方向からみたときの模式図である。12は電極層間に電圧を印加するために設けられた端子で、リード線11によって駆動電源10に接続されている。端子12はアクチュエータの一方の端を押さえている。駆動電源10によって、端子12に電圧を印加すると、電極層13と電極層14との間に1V乃至4V程度の電圧が印加され、電解質中のイオンが少なくとも一方の電極層に移動し、アクチュエータの長尺の端が積層方向に移動するように屈曲変形する。
ここで、電極層13、14のうち少なくともいずれか一方は、図1(c)に示すような複数の線状電極を有している。線状電極としては、金属などの導電材料そのもので構成されていても良いが、導電材料16を含有するポリマー繊維17を有している構成が好ましい。さらに、このポリマー繊維は図1(b)のように、電極層の長尺方向に揃っているため、ポリマー繊維17に含有されている導電材料16も長尺方向に揃う。そのため、端子12によって電極層間に電圧を印加するときに、電極層の端子が設けられている長尺の端からもう一方の長尺の端まで電子(ホール)が移動しやすくなり、電極層内の電位差を抑制することができる。複数の線状電極で少なくとも一方の電極が構成されていることにより、バルクの電極膜よりも変形に対して柔軟性を付与することができることも、本発明の効果である。
本形態の構成では、電極層の長尺方向の長さが1cmの場合、両端の電位差を0.01V乃至0.04V程度にすることができる。すなわち、電極層の長尺の端における電極層間の電圧と、もう一方の長尺の端における電極層間の電圧との差は、0.01V乃至0.04V程度に抑えることができる。これにより、アクチュエータの変位を大きくすることができる。
なお、電極層13、14の両方が、導電材料16を含有するポリマー繊維17を有すると、両方の電極層の電極層内において電位差の発生が抑制されるためより好ましい。
以上、本発明の実施形態に係るアクチュエータについて、積層方向に対して垂直な断面が長方形の場合を例に説明したが、長手方向が短手方向よりも長い長尺形状であればどのようなものでもよく、楕円、ひし形などでもよい。また、本実施形態においては、図1に示すように電極層13と14とが同じ形状である場合について述べたが、本発明における2つの電極層は互いに異なる形状でもよい。
ここで、13もしくは/および14は導電材料を含むポリマー繊維を少なくとも有する電極層(ポリマー繊維電極層)であり、ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている。図1(b)はこの様子を示す。導電材料を含むポリマー繊維17の構成にすることで次のような効果がある。すなわち、ポリマー繊維作製過程において、CNTなどの導電材料16はポリマー繊維内の狭い領域内で、繊維長方向に引き伸ばされるため凝集や絡まりが抑制されて、ポリマー繊維長方向に規則正しく配列される。すなわち、図1(c)に示されるように均質分散される。その結果として、良好な導電性を有する電極層が得られる。そのため、このようにして形成されたアクチュエータ電極層を用いた場合には、駆動電源から、該電極層面内に効率よく電圧が印加される。つまり、このような電子伝導性が良好でかつ電極層面内に均質に電位を掛けることが可能な導電層を用いて、アクチュエータを構成すると、駆動時の変位量が大きくすることが可能となる。
また、全ての電極を上記ポリマー繊維電極層で構成した場合、その面内でポリマー繊維の方向は異なっていても、同じであってもよい。ポリマー繊維電極層の面内でポリマー繊維の方向が同じである場合には、より変形応答が速やかになるなどの特性に優れたイオン伝導型アクチュエータの作製が可能となるため好適である。なお、片側の電極のみをポリマー繊維電極層で構成した場合には、非対称電極構造となり、例えば、フィルム状電極層との組み合わせで作製した、アクチュエータでは、変形応答しやすい方向を有するアクチュエータを作製することが可能となる。つまり、例えば、ポリマー繊維電極層(A)/電解質層/フィルム状電極層(B)の三層構造のアクチュエータでは、(A)電極層の方が、電極層面内に均一に電位を印加しやすい。そのため、(A)電極層をカソードにして(B)電極層側に屈曲変形駆動させる方が、(B)電極層をカソードにして(A)電極層側に屈曲変形駆動させるよりも変位応答は大きくなる。ここで/は、互いに接する層であることを示している。
加えて、本発明に係るアクチュエータの電極層は、図4に示すように、ポリマー繊維48を有する横長のポリマー繊維電極層の長辺端部に電圧印加できる端子43、44を有する構成とすることも出来る。つまり、アクチュエータの変位に関しては、上述したように、電極層の形状は、長尺形状である場合、前記一方の端部から他方の端部への方向は長い(アクチュエータの作用長が長い)、長尺形状であることが好ましいが、発生力の観点からは、図4のような構成の方が好ましい。つまり、図4のような構成では、アクチュエータの支持部をより強固に安定化さすことができ、またアクチュエータの作用長が短いため、より重い対象物を、腰折れすることなく、安定的に駆動させることが可能となる。図4における基本構成は、図2と同様であり、一対の電極層45、46と、これら電極層の間に配置されている電解質層47とが積層された構造を有する。41は、リード線であり、40は駆動電源である。
また、図5に示すように、端子53、54を有する固定部をアクチュエータの中央部に配置し、両端を変位端として変位させる構成であってもよい。この場合、変位方向は積層方向(図の矢印)に対して、両端が同じ方向に屈曲変位する。図5における基本構成も、図2と同様であり、一対の電極層55、56と、これら電極層の間に配置されている電解質層57とが積層された構造を有する。51は、リード線であり、50は駆動電源である。
さらに、本発明に係るアクチュエータの電極層は、少なくともポリマー繊維がアクチュエータ電極層の電圧印加できる端子から他方の端部へ横断してさえいれば、ポリマー繊維電極層中のポリマー繊維の長尺方向が、電圧印加できる端子から端部の直線方向に対して、傾いて配置されていても良い。つまり、例えば正方形状の電極層の場合には、電圧印加できる端子から端部の直線方向に対して、最大で左右45°(angular degree)程度まではポリマー繊維が傾いて配置されていても良いが、45°(angular degree)よりも大きく傾いた場合には、電圧印加できる端子から他方の端部までの電位差を減らすことができない場合がある。なお、電圧印加できる端子から端部の直線方向に対して傾くようにしてポリマー繊維を配置させた場合には繊維の並んだ方向にねじれるような動きを付与した屈曲変形(ねじれ屈曲変形)を起こすことも可能となる。また、言うまでもないことであるが、電極層面内における該傾きは前記一対の電極層で同じである必要はないが、同じ場合には、前記ねじれ屈曲変形を高めることも出来る。
またさらに、本発明のポリマー繊維電極層において、該ポリマー繊維が少なくとも一部融着している構成とすることで、該ポリマー繊維同士が結合しており、アクチュエータの押し運動時に大きな負荷が加わっても繊維同士がずれにくい(該電極層の膜としての機械強度が高い)構成が実現される。結果、大きな負荷がかかっても、該ポリマー繊維の一軸配向性が乱れることが抑制されるため、該電極層面内において、電圧印加端部から、他方の端部までの電位差発生の抑制を安定的に行うことが可能となる。
なお、アクチュエータの性能を低下させない範囲であれば、ポリマー繊維電極層の隙間を従来公知の柔軟導電ポリマー材料やCNTとイオン液体からなる導電ゲル材料などで満たしたりするのもよく、また、該柔軟導電ポリマー材料や該導電ゲル材料に前記ポリマー繊維電極層が埋め込まれていてもよい。このような構成とすることでも、負荷が加わっても繊維同士がずれにくい構成が実現され、結果、大きな負荷がかかっても、該ポリマー繊維の一軸配向性が乱れることが抑制されるため、該電極層面内において、電圧印加端部から、他方の端部までの電位差発生の抑制を安定的に行うことが可能となる。また、言うまでもないことであるが、上述した、該ポリマー繊維同士の融着化と組み合わせることで、駆動対象物の負荷に対して、該ポリマー繊維の一軸配向性が乱れることが抑制される効果を高めることが出来る。
図2は本発明の実施形態に係るポリマー繊維電極層を有するアクチュエータの一実施態様を示す概略断面模式図である。このアクチュエータ2は、電極25、27で電解質層26挟持している。該電極層の一部に駆動電源20に連結したリード線21、22を備えた電圧印加金属板23、24そして一対の電極のうち少なくとも一方が、導電材料を含有するポリマー繊維を有する電極層であり、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃っている。
また、本発明の実施形態に係るアクチュエータは矩形平板状の構成の他、円形、三角形、楕円形、棒状等の平板状、膜状、円筒状、螺旋状、コイル状等の各種構成を任意に選択可能である。
また、アクチュエータは単数あるいは複数の各素子から成る複合構成を取ることも可能である。
(アクチュエータの駆動)
本発明の実施形態に係るアクチュエータは、一対の電極に電圧を印加することにより前記電解質中のイオンが移動して変形する。本発明の実施形態に係る一対の電極間に電解質層が配置されているアクチュエータの変形時の駆動原理は明確にはなっていない。そこで現在推測されている原理について、本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて好ましく用いられる2つの電極層間に電解質層が配置されている素子を例に、図3を用いて説明する。図3(a)のように、2つの電極層300、301は電解質層200の表面に相互に絶縁状態で形成されている。この電極層300と301間に電位差がかかると、図2(b)に示すように、電解質800のカチオン700とアニオン600は、カソードの電極層301にカチオン700が移動、浸透し、アノードの電極層300にはアニオン600が移動、浸透する。そして電極層300、301内の導電材料とイオン性物質相の界面に電気二重層が形成される。大気中駆動の観点から蒸気圧のないイオン液体が本発明の実施形態に係るアクチュエータの電解質として好ましく用いられるが、イオン液体は、カチオン700のイオン半径がアニオン600より大きい。その結果、電極層内に存在するイオンの立体効果が、電気二重層に伴う静電反発などと共同的に働きにより、電極層301が電極層300に比べ、より膨張し、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲すると考えられる。通常、電位の極性を反転させると膜は反対方向に屈曲変形する。また、変位の方向は電極層や電解質層の構成により変化する。
また、屈曲動作以外でも、電解質層の構成や電極層の配置などを設計することで、伸縮動作や捻り動作を示すことも可能である。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおける印加電圧は、電解質の耐電圧内で設定でき、例えば、イオン液体を電解質として利用した場合には、4V以下であることが好ましい。
(電極)
本発明の実施形態に係るアクチュエータは、一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されている電解質を有する電解質層とを有する。そして、前記一対の電極のうち少なくともいずれか一方が、導電材料を含むポリマー繊維を少なくとも有する電極層であり、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃っている必要がある。
ここで電極は、金属あるいは、CNTを押し固めた自立性フィルムなどのポリマーを含まないカーボン系導電物質からなる電極やそれらの複合物のことである。
(ポリマー繊維電極層)
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、一対の電極のうち少なくともいずれか一方が導電材料を含むポリマー繊維を有する電極層であり、例えばカーボン系導電物質とポリマーの複合体で構成される。本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいてポリマー繊維とは、少なくとも1種類以上のポリマーを有し、そのポリマー繊維の太さよりも長さの方が長いものである。
ここでポリマー繊維の太さが0.05μm以上50μm以下であり、ポリマー繊維の長さは太さの10倍以上ある。特に、導電材料を含むポリマー繊維は、繊維の太さが細い程、CNTなどの導電材料はポリマー繊維内の狭い領域内で、繊維長方向に強く引き伸ばされるため凝集や絡まりが抑制されて、ポリマー繊維長方向に規則正しく配列される(均質分散される)効果が高まる。よって、好ましい該ポリマー繊維の太さは、0.05μm以上10μm以下である。特に繊維の太さが0.05μm以上1μm未満の場合には、ナノファイバー化に基づく超分子配列効果が大きく誘起され、ポリマー繊維中の導電材料の均質分散割合が増し、得られる導電材料含有ポリマー繊維の電気伝導性がさらに向上する。つまり、該ポリマーナノ繊維中では、繊維の太さが細いために、導電材料は内部で著しく分子鎖が伸張した状態で規則正しく配列するため、凝集や絡まることが著しく抑制される。その結果として、非常に変形応答が速やかになるなどの特性に優れたイオン伝導型アクチュエータの作製が可能となる。
なお、ポリマー繊維の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、四角形、多角形、半円形などもよく、また正確な形状でなくてもよいし、任意の断面で形状が異なっていてもよい。また、表面伝導性を増すために、ポリマー繊維の表面に金属やカーボン類などの電気伝導性物質が付与されていてもよい。なお、上記のポリマー繊維の太さとは、ポリマー繊維の断面が円柱状のものでは、その断面の円の直径のことを指すが、それ以外では、繊維断面における重心を通る最長直線の長さのことである。
(ポリマー繊維の作製手法)
本発明の実施形態に係るアクチュエータのポリマー繊維の作製法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法、複合紡糸法、ポリマーブレンド紡糸法、メルトブロー紡糸法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。
このなかで様々なポリマーに対して繊維形状に紡糸できること、また繊維形状のコントロールが比較的簡便であり、ナノサイズの繊維を得ることができることから、エレクトロスピニング法が好ましく用いられる。
エレクトロスピニング法によるポリマー繊維の製造法は、高圧電源、ポリマー溶液・貯蔵タンク、紡糸口、および、アースされたコレクターを用いて行う。ポリマー溶液はタンクから紡糸口まで一定の速度で押し出される。紡糸口では、1〜50kVの電圧が印加されており、電気引力がポリマー溶液の表面張力を越える時、ポリマー溶液のジェットがコレクターに向けて噴射される。この時、ジェット中の溶媒は徐々に揮発し、コレクターに到達する際には、ジェットサイズがナノレベルまで減少する。そしてコレクターにおいて電極層を形成する。また、ポリマー溶液でなく、融点以上に加熱した溶融ポリマーを利用してもよい。
(導電材料を含有するポリマー繊維の融着)
本発明における導電性を有するポリマー繊維の融着とは、該ポリマー繊維が軟化し、隣接する該ポリマー繊維と接着し、その接着境界部が面状であったり、接着境界がなくなっていたりする状態のことをいう。
また上記融着の手法は特に限定されず、熱融着、超音波融着、摩擦融着に加え、熱圧着による融着(ホットプレス)や接着剤のような第三の構成成分を用いた接着であってもよいが、取り扱いの容易さなどから熱による融着が好ましく、また厚みを均一に揃えやすいことから、ホットプレスする方法を特に好適に用いることができる。なお、ここで、「ホットプレス(加熱プレス)する」とは、加熱しながらプレスすること、及び、プレスした状態で昇温することの両方法を含む。
加熱プレスの温度やプレス圧、時間は、上記ポリマーの分解温度以下であれば特に限定されるものではなく、用いるポリマー、アクチュエータを構成するポリマー化合物、移動するイオン種等に応じて適宜選択すればよい。例えば、加熱プレスの温度は、30から150℃であることが好ましい。また、プレス圧は1から100kg/cmであることが好ましく、特に10から50kg/cmであることがより好ましい。
なお、該ポリマー繊維の融着の確認方法は、融着工程前後で、SEM観察を行うことで確認できるが、より簡便には、該ポリマー繊維を有する電極層の強度向上により、定性的に確認することも可能である。つまり、該融着工程前後での対応する膜(電極層)のヤング率を測定することで容易に行うことが可能である。またさらに迅速な確認法としては、特に電極層が前記ポリマー繊維の束だけで構成されている場合には、該融着工程前後での対応する膜を、該ポリマー繊維の一軸配向方向に対して直交する方向に、手で引っ張り、それらの裂け具合を比較することでも確認できる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータのポリマー繊維は導電材料を有する。この導電材料はポリマー繊維に分散・保持されていればよく、特に限定されないが、イオン液体あるいは必要に応じてポリマーの存在下で、せん断を加えながら導電材料を細分化し、導電材料分散体を得る。そして、ポリマー溶液中に予め導電材料を分散させておき、例えばエレクトロスピニング法を用いてポリマー繊維化する方法が挙げられる。
この細分化工程において、せん断力を付与する手段は特に限定されるものではなく、例えば、実験室におけるような小規模の製造の場合は手動または自動の乳鉢ですり潰すことによってもよい。また、多量の製造を目的とする場合には、ボールミル、ローラーミル、振動ミルなどの高せん断力を付与することができる湿式粉砕装置を使用することができる。さらに、ニーダータイプの混練機も使用可能である。また分散体の粘度を考慮し溶媒を加え粘度を適度に調整してせん断を与えることも可能である。細分化に要する時間も特に限定されるものではなく、用途に応じて必要な細分化に応じて適宜変更できるが、一般的には5分間〜1時間程度である。以上のような工程により、導電材料分散体が得られる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて電極層材料として好ましく用いられるカーボンナノチューブとイオン液体はゲル状組成物を形成することにより、カーボンナノチューブは良好に分散できる。ゲル状組成物の生成メカニズムや構造については未だ不明の点もあるが、各種の分析結果から大略が次のように理解される。
(1)せん断力下における細分化処理は、カーボンナノチューブの化学的変性を引き起こすことはなく、カーボンナノチューブの相互のからみ合いを減少させて、その束を細くする物理的形状変化をもたらす。
(2)ゲルの形成は、カーボンナノチューブのからみ合いに因るものではないと推測される。つまりからみ合いの減少したカーボンナノチューブの表面に「カチオン−π」相互作用により結合したイオン液体の分子がイオン結合を介してカーボンナノチューブの束同士を結びつけることにより形成される架橋構造(三次元網目構造)に起因すると推測される。
また、本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、ポリマー繊維は電解質を有しているのが好ましい。電解質を含有させる方法は特に限定されないが、例えばポリマー繊維を作製後、電解質溶液中に浸漬させる方法等が挙げられる。
なお、特開2008−266532には、CNTゲルアクチュエータの中でも、該フィルム状電極層内のCNTが電極層面内で配向しているものが開示されている。ここでは、予め反応雰囲気中に水蒸気を微量添加してシリコン基板上に化学気相成長(CVD)させることで得られる、通常市販品に比べ非常に高アスペクト比の、配向CNTを基板から転写し、ポリマーおよびイオン液体を加えて作製する方法が開示されている。しかしながら、このような高アスペクト比の配向CNTを基板から転写して、CNT配向電極層を作製する方法では、必然的に大面積の電極層を作製することは困難である。
本実施形態に係るアクチュエータにおいて電極層は、エレクトロスピニング法等で、複数の前記ポリマー繊維を一軸方向に揃えて並べることで、電極層内のCNTが電極層面内で均質に配向した、メートルサイズの大面積電極層を容易に構成することができる。
(ポリマー繊維の配向)
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、上記導電材料を含むポリマー繊維は、前記電極層の面内で一軸方向に揃っている。該ポリマー繊維の配向方法に関しては、特に限定されるものではなく、公知の技術を適宜、また場合によっては組み合わせて用いることができる。上記のエレクトロスピニング法では、極めて容易に、導電材料を含むポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃っているポリマー繊維電極層を作製することが可能である。すなわち、繊維巻き取り可能な回転ドラムをコレクターとして用い、本コレクターにポリマー溶液のジェットを噴射し、連続的に紡糸することでこのようなポリマー繊維電極層を作製できる。
また、回転ドラムの巻き取り速度をコントロールすることで、ポリマー繊維の一軸配向の度合いや、繊維の太さを容易にコントロールすることができる。例えば、まき取り速度を上げると該ポリマー繊維の一軸配向方向を容易かつ効果的に揃えることができ、またその繊維の太さは細くなる。
(ポリマー配向度(%):ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている割合;値が高いほど高配向)
ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている割合は次のような手段で測定できる。つまり、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察された、ポリマー繊維電極層の画像を画像処理ソフト(商品名:A像くん:旭化成エンジニアリング製)の解析コマンド「方向分布計測」で解析することで簡便に、ポリマー配向度(%)として算出することができる。具体的には、得られた繊維の傾きを0〜180°まで10°刻みで18等分に区分けし、各範囲の繊維の個数(度合)の度数分布図(ヒストグラム)を描き、下記式より求められる。
Figure 0005733938
配向度は高いほうが、ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている割合が高く、本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、「ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている」とは、ポリマー繊維電極の該配高度が30以上である。
またさらに、上記ポリマー繊維中の導電材料のポリマー繊維長方向への配向度が80以上である場合には、導電材料の一軸配向性が高まり、配向方向への電気伝導性が向上するばかりでなく、機械的強度も向上する。その結果、機械的強度の特性にも優れた、極めて変形応答が速やかなイオン移動型アクチュエータの作製が可能となる。
(導電材料配向割合(P値):ポリマー繊維が、電極層の面内で一軸方向に揃っている割合;値が低いほど高配向)
導電材料の配向割合は、ポリマー繊維表面をエッチングするなどして電子顕微鏡により直接ポリマー繊維内部の導電材料を観察した像から求めてもよいが、ポリマー繊維束・膜のX線散乱測定や偏光分光測定により簡便に評価することができる。
X線散乱測定による配向評価は、電極層の導電材料に由来する散乱X線の散乱方位角分布の異方性によって判定できる。導電材料が繊維軸方向に高度に配向している場合は、導電材料に由来する散乱X線は繊維赤道方向に集中したストリーク状の散乱パターンとなる。一方、導電材料の配向が低い場合には、導電材料の散乱パターンの赤道方向異方性は小さくなり、無配向においては完全に等方的な散乱パターンを画く。このように、X線散乱パターンの方位角異方性から、導電材料の配向を評価することができる。
偏光分光測定とは偏光吸収スペクトルや偏光ラマンスペクトルなどから配向性および配向度を評価する手法のことである。例えば、偏光ラマンスペクトル測定でのCNTの配向割合(配向の度合い)測定を例にして説明する。
つまり偏光ラマン分光測定とは次のような測定方法である。すなわち、入射レーザーを電極層における導電材料を配向させたい方向(膜厚方向に対して垂直な方向でかつ屈曲方向への配向もしくは膜厚方向への配向方向)、A軸とそれとは直交する方向、B軸から照射したときのCNT由来のラマンスペクトルにおいて、下記式
P=Y/X
(Pは導電材料配向割合、Xはレーザー偏光面をA軸と平行に配置した場合のGバンド強度、Yはレーザー偏光面をそれとは直交する方向(B軸)配置した場合のGバンド強度を示す。)
で表される導電材料配向割合(P値)にて配向性を評価する方法である。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいては前記のP値が0以上0.6以下を満たすことが好ましい。なお、P値はナノチューブを配向させたい方向にすべて並ばせられた場合にはP=0に漸近し、ランダムな配向ではP=1となる。P値の上限としてより好ましくは0.2、さらに好ましくは0.1であり、0に近いほど好ましい。P値が0.6を超えると配向が不十分であるため好ましくない。
(アクチュエータの構成材料)
(ポリマー繊維電極層の構成材料)
ポリマー繊維電極層の導電材料としては次の材料が挙げられる。すなわち、通常、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー(気相成長炭素)、炭素(ナノ)繊維、活性炭素繊維、ナノ炭素材料、ナノ炭素粒子等のカーボン系導電性物質のうち1種またはそれらの混合物が挙げられる。また、導電性高分子などを用いることもできる。これらの中で、導電性及び比表面積の観点より、ナノ炭素材料が好ましく、特に好ましくは、CNTである。
CNTとは、グラファイトのシートが円筒状に丸まって構成されたものであり、その円筒径が1〜10nmのものである。本実施形態に係るアクチュエータに用いられるカーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒形に巻いた形状から成る炭素系材料である。カーボンナノチューブは、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWCNT)と多層ナノチューブ(MWCNT)とに大別され、様々のものが知られている。本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいては、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられる炭素ナノ粒子とは、カーボンナノチューブ以外の、カーボンナノホーン、アモルファス状炭素、フラーレン等の炭素を主成分とするナノスケール(10−6〜10−9m)の粒子を言う。またカーボンナノホーンとは、グラファイトシートを円錐状に丸めた形状を持ち、先端が円錐状に閉じている炭素ナノ粒子をいう。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられるナノ炭素繊維とは、グラファイトのシートが円筒状に丸まって構成されたものであり、その円筒径が10〜1000nmのものであり、カーボンナノファイバとも呼ばれる。カーボンナノファイバとは、繊維の太さが75nm以上で中空構造を有し、分岐構造の多い炭素系繊維である。市販品では、昭和電工(株)のVGCF、VGNF等が挙げられる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられるグラフェンとは黒鉛構造の一部であって、平面構造を有する炭素六員環が二次元的に配列した炭素原子の集合体のこと、つまり1枚の炭素の層からなるもののことである。
本発明の実施形態に係るアクチュエータの電極層における前記導電材料の添加量は電極層の重量に対して1重量%以上が好ましい。電極層の重量に対して1重量%であることにより、アクチュエータの電極として機能しうる電気伝導性を付与することができるため好ましい。含有量が1重量%未満だと、電極の導電性が十分に得られない場合があり、好ましくない。
電極層の厚みは、上記アクチュエータの伸張変形を阻害しない限り特に限定されるものではない。なお、それぞれの電極層は、1μm以上5mm以下であることが好ましく、5μm以上2mm以下であることがより好ましく、10μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。各電極の厚みが、1μm未満であれば、アクチュエータの電極層として電気電導性の点で問題となる場合があるので好ましくない。また、電極の厚みが、5mmより大きくなれば、電極層が導電材料を含むことにより固くなりもろく割れやすくなる場合があるため好ましくない。なお、アノード電極層とカソード電極層の厚みや材料は同じである必要はなく、所望するアクチュエータ特性に合わせて適宜選択することが出来る。
電極層を構成する上記ポリマーは、上記アクチュエータの伸張変形に伴って変形可能な柔軟性を有するものであれば特に限定されるものではないが、加水分解性が少なく、大気中で安定であることが好ましい。かかるポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2、6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィド等のポリアリーレン類(芳香族系ポリマー);ポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)等に、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー等;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他のポリマーとの共重合体としてもよい。
また特に好ましいポリマーとしては、イオン性液体との親和性の観点などから、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、などが挙げられる。また、上記ポリマーは、電解質層と相溶性の高いポリマーであることが好ましい。これにより、電解質層との、相溶性および接合性がより高いため、より強固な電極を構成することが可能となる。このためには、上記ポリマーは、上記電解質層を構成する高分子化合物と、同種、類似または同一のポリマー構造を有するポリマー、または、同種、類似または同一の官能基を有するポリマーであることがより好ましい。
上述したように、本発明の実施形態に係るアクチュエータにおける電極は、ポリマーと、その中に分散されている上記導電材料とを含んでなることにより導電性が付与されている。また用いられる電極の電気抵抗値は、1000Ω・cm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは100Ω・cm以下である。またその、ヤング率は、0.1〜600MPaであることが好ましい。この範囲にあると、アクチュエータ応用においては、電極の柔軟性・伸縮性が向上し、耐塑性変形が向上するため、より繰り返し耐久性が高いイオン伝導型アクチュエータの作製が可能となる。
また、上記電極は、アクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、ポリマーおよび上記導電材料の他の成分を含有していてもよい。また、含有させるポリマーの量は、10wt%以上60wt%以下であることが特に好ましい。ポリマー量に対して導電材料の割合が高ければ高いほうが導電性の観点から好ましいが、ポリマー量が5wt%未満である場合には、電極層に自立性がなく機械的に脆い場合がある。またポリマー量が80wt%を超える場合には含有させる上記導電性物質が相対的に少なくなってしまうためにアクチュエータの応答速度、発生力など面から実用的な使用が困難となってしまう場合がある。
(電解質層の構成材料)
電解質層は、電解質を含む柔軟材料であり、多くは電解質を含むポリマーであれば特に限定されない。
上記ポリマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;熱可塑性のポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他のポリマーとの共重合体としてもよい。
上記ポリマーは、電解質を含んでいる必要がある。これにより、電圧を印加により、イオン移動型のアクチュエータが可能となる。
上記電解質としては、例えば、フッ化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を挙げることができる。また、イオン液体であってもよい。なお、イオン液体を利用する場合には上記ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion、ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが特に好適に使用できる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて用いられるイオン液体とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものである。具体的には、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩である。また、上記イオン液体はイオン伝導性が高いものが好ましい。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいては、各種公知のイオン液体を使用することができ、特に限定されるものではないが、常温(室温)または常温に近い温度において液体状態を呈する安定なものが好ましい。本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて用いられる好適なイオン液体としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。なお、上記イオン液体は、2以上のイオン液体を組み合わせて用いてもよい。
上記イオン液体としては、より具体的には、下記の一般式(1)から(4)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン)と、アニオン(X)より成るものを例示することができる。
Figure 0005733938
上記の式(1)から(4)において、Rは炭素数1から12のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3から12のアルキル基を示す。式(1)においてR1は炭素数1から4のアルキル基または水素原子を示す。式(1)において、RとR1は同一ではないことが好ましい。式(3)および(4)において、xはそれぞれ1から4の整数である。
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン、過塩素酸アニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジシアンアミドアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、有機カルボン酸アニオンおよびハロゲンイオンより選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記電解質層の厚みは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、更には10μm以上400μm以下であることが好ましい。膜厚が500μmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの変形運動を抑制する場合がある。また10μm未満だと保持できるイオン性物質量が少なく電極層への供給量が少なくなるため、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
<アクチュエータの作製方法>
本実施形態に係るアクチュエータの作製方法は、上記アクチュエータを作製することができる方法であればどのような方法であってもよい。なお、上記で得られた電極層を複数重ね、さらに上記電解質層を挟んで加熱プレス(ホットプレス、熱圧着)する方法を好適に用いることができる。なお、ここで、「加熱プレスする」とは、加熱しながらプレスすること、及び、プレスした状態で昇温することの両方法を含む。
加熱プレスの温度やプレス圧、時間は、上記ポリマーの分解温度以下であれば特に限定されるものではなく、用いるポリマー、アクチュエータを構成する高分子化合物、移動するイオン種等に応じて適宜選択すればよい。例えば、加熱プレスの温度は、30から150℃であることが好ましい。また、プレス圧は1から100kg/cmであることが好ましく、10から50kg/cmであることがより好ましい。
なお、該ポリマー繊維の融着を確実に行う場合には、電極層をポリマーの軟化点付近(例えばPVDF−HFPでは110℃)の温度で短時間ホットプレスしてから、該電解質層と順次積層化させることが好ましく、ポリマーの軟化点より著しく低い場合には融着がおこらない、もしくはほとんど融着しない。なお、融着化の程度が低くなる場合もあるが、アクチュエータ作製簡便性の観点からは、上述したように、一対の前記ポリマー繊維電極層で前記電解質層を挟んで、ポリマーの軟化点付近の温度で一度にホットプレスしてもよい。
アクチュエータ膜に、水、上記イオン導電物質、上記イオン液体、またはこれらの混合物をアクチュエータ作製後に含ませる場合には、これらの溶液にアクチュエータ膜を含浸させればよい。ここで、含浸させる溶液の濃度、含浸させる時間は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。
なお、電解質層表面への電極層の形成は少なくとも2層必要であるが、平面状の電解質層の表面に多数の電極層を配置することにより、複雑な動きをさせることも可能である。このような素子により、蠕動運動による運搬や、マイクロマニピュレータなどを実現可能である。また、本発明の実施形態に係るアクチュエータの形状は、平面状とは限らず、任意の形状の素子が容易に製造可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(アクチュエータの変位量の測定)
アクチュエータを幅1mm×長さ15mm×所定の膜厚の短冊状に切断し、端3mmの部分を、固定器具6の白金電極付きホルダーでつかんで、空気中で(空気中駆動)、電圧を印加する。アクチュエータの駆動に関しては、駆動電圧3.0V、駆動周波数1Hzでの変位を、レーザー変位計を用いて固定端から10mmの位置で測定する。
(電極層の導電性の測定)
電極層の導電率は、ポリマー繊維の配向方向にそって、電極層の両端、および、表面の2点間に金属ペーストで直径50μmの金線を接合し、両端の金線に定電流源で一定電流を流し、表面に接続した接点間の電圧を測定することで、電極の抵抗を測定した。この時の電極の厚みd、電極の幅をbとすると断面積S=bdである。流した電流がI、測定した電圧がV、電圧測定端子間距離がLとすると、コンダクタンス G=I/V[S]、導電率=GL/S[S/cm]。
<実施例1>(ポリマー繊維電極とキャストフィルム電極層で電解質層を挟んだアクチュエータ)
本実施例は、ポリマー繊維電極と電解質層とフィルム電極が順次積層された、3重層構造のアクチュエータである。
電解質層は、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、PVDF−HFP(100mg、ポリマー)を、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)/アセトニトリル(5/1)および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、BMIBF(100mg、イオン液体)と80℃で加熱混合した後キャストし、続いて乾燥することで成膜する。
CNTフィルム状電極層は次のようにして得られる。まず直径約1nm、長さ1μmのSWCNT(50mg、導電材料、Unidym社製「HiPco」)とBMIBF(80mg)と、ジメチルフォルムアミド(dimethyfolmamide、DMF)1mLとをボールミル処理を30分間行う。ボールミル処理を行ったものに、DMF2mLに溶解させたPVDF−HFP 80mgを添加後、さらに30分間ボールミル処理することでCNTが分散した黒色のペーストを得る。この黒色ペーストをテフロン(登録商標)シートの上にキャスト続いて乾燥して該フィルム状電極層を得る。このフィルム電極層を電子顕微鏡で観察すると、内部でCNTが複雑に凝集ならびに絡み合っていることが確認できる。また、膜の電気伝導度は測定場所によって異なり、8−15 S/cmである。なお、上記電極層の膜面方向でのCNTの配向割合、P値は1である。
ポリマー繊維電極層は、上記の黒色ペーストをDMFで希釈して作製した黒色ペースト希釈液を作製する。次にエレクトロスピニング法により、該黒色ペースト希釈液を噴射し、得られる繊維をドラムコレクターコレクターに巻きとることで大面積のポリマー繊維電極層が容易に作製できる。すなわち、エレクトロスピニング装置(メック社製)を用い、該黒色ペースト希釈液をタンクに充填する。そして紡糸口に25kVの電圧を印加することで、導電材料分散体をドラム式回転コレクターに向けて噴射する。その際、ドラム式コレクターは1500rpmで回転している。そして1時間噴射することにより、導電材料を含有するポリマー繊維からなるポリマー繊維電極層を得る。このようにして得られたポリマー繊維の繊維の太さは1.5μmである。また、得られた電極層の電気伝導度は、繊維配向方向のいずれの任意点を測定しても300S/cmである。加えて、ポリマー繊維電極層面内で繊維配向方向のいずれの任意点を測定してもポリマー繊維の配向度は85%である。なお、上記電極層の膜面方向でのCNTの配向割合、P値は、ポリマー繊維電極層面内で繊維配向方向のいずれの任意点を測定しても0.2である。
上記で得られた電極層およびポリマー繊維電極層(上記で得られた大面積電極層から切断して作製した幅1mm×長さ15mmの短冊状のアクチュエータで、ポリマー繊維の一軸配向方向はアクチュエータの長尺方向に揃える)で電解質層を挟み積層させる。その後、この積層物を40℃に加熱した加熱プレスを用いて、加圧力0.4MPaで1分間熱圧着させ、さらに得られたアクチュエータを真空乾燥することでポリマー繊維電極とフィルム電極で電解質層を挟んだ該アクチュエータを作製することができる。なお、本ポリマー繊維電極層はアクチュエータとして用いる前に、加圧力1MPaであらかじめプレスしておく。
結果として、アクチュエータの厚みは115μm(電解質層の厚みは15μmで、電極層の厚みは50μm、ポリマー繊維電極層の厚みは50μm)である。
<比較例1>(二枚のキャストフィルム電極層で電解質層を挟んだアクチュエータ)
本比較例は、フィルム状電極層を2つ用いて、該フィルム状電極層と電解質層ともう一つの該フィルム状電極層を順次積層した、3重層構造のアクチュエータである。
ここで電極層として、実施例1において作製したCNTフィルム状電極層と同様のもの(実施例1で使用した余りを利用)を二つ使用する以外は、実施例1と同様にアクチュエータを作製する。
<実施例2>(二枚のポリマー繊維電極層で電解質層を挟んだアクチュエータ:電極層二枚のポリマー繊維の配向方向は揃っている)
本実施例は、図2に示したような、ポリマー繊維電極層(図2では模式的にポリマー繊維の層を片側2層で図示)を2つ用いて、該ポリマー繊維電極と電解質層と該ポリマー繊維電極を順次積層した、3重層構造のアクチュエータである。ここで電解質層は、実施例1と同様に作製する。また電極層は、実施例1においてのポリマー繊維電極層電極層と同様のもの(実施例1で使用した余りを利用)を二つ使用する以外は実施例1と同様にアクチュエータを作製する。なお、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃っている(幅1mm×長さ15mmの短冊状アクチュエータの長尺方向に揃っている)。
<実施例3>(二枚のポリマー繊維電極層で電解質層を挟んだアクチュエータ:電極層二枚のポリマー繊維の配向方向は揃っており、かつポリマー繊維の太さが、実施例2よりも細い)
本実施例は、実施例2の変形であり、ポリマー繊維電極層におけるポリマー繊維の太さが実施例2の半分である、該ポリマー繊維電極と電解質層と該ポリマー繊維電極を順次積層した、3重層構造のアクチュエータである。
ここで電解質層は、実施例1と同様に作製する。またポリマー繊維電極層は、実施例1においてのポリマー繊維電極層を作製した手法において、ドラム式コレクターの回転速度を3000rpmにする以外は同様に作製する。
このようにして得られたポリマー繊維の繊維の太さは0.3μmである。また、得られた電極層の電気伝導度は、繊維配向方向のいずれの任意点を測定しても500 S/cmである。加えて、ポリマー繊維電極層面内で繊維配向方向のいずれの任意点を測定してもポリマー繊維の配向度は95%である。なお、上記電極層の膜面方向でのCNTの配向割合、P値は、ポリマー繊維電極層面内で繊維配向方向のいずれの任意点を測定しても0.1である。
また、作製したアクチュエータの厚みは115μm(電解質層の厚みは15μmで、各ポリマー繊維電極層の厚みは50μm)である。
(フィルム状電極層およびポリマー繊維方向でのポリマー繊維電極層の比較)
実施例中に示したように、導電材料を含むポリマー繊維であり、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃っているようにして電極層を形成することで、膜面で均質にかつ良好な導電性を有した大面積の電極層が形成可能となることが確認できる。
また上述したように、実施例1乃至3で用いたポリマー繊維電極層の電気伝導性は、実施例1および比較例2で用いたキャストフィルム状電極層よりも、一桁以上高いことに加え、測定ポイントでの誤差が殆んどない。このことは、該フィルム状電極層よりも、ポリマー繊維電極層においては、ポリマー繊維方向に面内均質かつ良好に導電材料(CNT)が分散し、該電極層膜面で均質にかつ良好な導電性が得られていることが分かる。つまり、ポリマー繊維内では、導電材料の凝集ならびに絡まりが抑制され、導電材料本来の電気伝導性を阻害することなく、且つ均質に導電材料が分散して電極層を形成できていることが確認できる。
また、実施例1乃至3で用いたポリマー繊維電極層の導電材料(CNT)の配向割合、P値に関しても、0.1乃至0.2であり、完全にCNTが配向した値(P=0)に著しく近い。このことからも、ポリマー繊維電極にすることで導電材料がポリマー繊維方向に面内均質かつ良好に導電材料(CNT)が分散し、該電極層膜面で均質にかつ良好な導電性が得られていることが分かる。なお、繊維の太さが細い(1μm未満)物の方がその電気伝導性および配向度は高く、繊維の太さが細くなるにつれて、導電性およびCNTの配向度が増していることから、CNTの凝集ならびに絡まりが抑制されて均質に分散される効果が増すことも確認できる。
(アクチュエータ性能比較)
上記実施例におけるアクチュエータは、電解質層を電極層(ここで電極層はポリマー繊維電極層を少なくとも一つ有する)で挟持した構造になっているため、電極を介して電気エネルギーが印加されると、電解質中のイオンが効率よく移動し、変形駆動する。
実施例1、2、3及び比較例1のアクチュエータの両側電極間に±3.0V、0.1Hzの交流電位を印加し、上記したような測定方法及び測定装置を用いてそれぞれについての性能を測定すると、次の表1に示すような結果が得られる。
Figure 0005733938
表1から、アクチュエータの電極が、導電材料を含むポリマー繊維を少なくとも有し、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃うようにすることで、従来のフィルム状電極層を利用した場合よりも、電極層面内に均一に電位を印加できる。それにより、アクチュエータの変位量が増加し、変形応答特性が著しく向上することが確認できる。なお、No1のアクチュエータは、ポリマー繊維電極層をカソードにしてフィルム状電極層側に屈曲変形駆動させている。因みに、ポリマー繊維電極層をアノードにしてフィルム状電極層側に屈曲変形駆動させた場合には、比較例1に対しての変形変位割合は8%である。
また表1から、No1よりもNo2のアクチュエータの方が、その変位量の増加割合が増すことがわかる。すなわち、両方の電極層が、導電材料を含有するポリマー繊維と少なくとも有し、前記ポリマー繊維が、前記電極層の面内で一軸方向に揃うようにすることで、アクチュエータの変位量がより増加し、変形応答特性がより著しく向上することが確認できる。また表1から、No2よりもNo3のアクチュエータの方が、その変位量の増加割合が増すことがわかる。すなわち、ポリマー繊維の繊維の太さが1μm未満であるようにすることで、電極層面内により均一に電位を印加でき、結果としてアクチュエータの変位量がさらに増加し、変形応答特性がさらに著しく向上することが確認できる。
(導電材料を含有するポリマー繊維の融着をより確実に行った電極層)
実施例1で用いたポリマー繊維電極層を、加熱プレス条件を変化させて、加熱プレス後の該ポリマー繊維電極層(膜)の強度を比較した。
つまり、該ポリマー繊維電極層を実施例1での加熱プレス条件である、40℃に加熱した加熱プレスを用いて、加圧力0.4MPaで1分間熱圧着させたサンプルをサンプルAとした。また、PVDF−HFPの軟化点付近である110℃に加熱した加熱プレスを用いて、加圧力0.4MPaで1分間熱圧着させたサンプルをサンプルBとした。
次に、得られたサンプルAおよびBのポリマー繊維電極層(膜)を、該ポリマー繊維の長尺方向が揃っている方向(一軸方向)に対して直交する方向に、手で引っ張ってその膜の裂け方を定性的に比較した。結果、PVDF−HFPの軟化点付近である110℃で加熱プレスする工程を経たサンプルBのほうが、サンプルAよりも裂けにくくなっており、該導電材料を含有するポリマー繊維がより確実に融着をされていることが確認できた。
つまり、該ポリマー繊維電極層(膜)の強度は高く、負荷が加わっても繊維同士がずれにくい構成が実現され、結果、大きな負荷がかかっても、該導電性のポリマー繊維の一軸配向性が乱れることが抑制されるため、該電極層面内において、電圧印加端部から、他方の端部までの電位差発生の抑制を行うことが可能となる。
よって、該ポリマー繊維をより確実に融着させた電極層を用いることで、より大きな駆動対象物の負荷に対しても、該ポリマー繊維の一軸配向性が乱れることが抑制された(該電極層面内において、電圧印加端部から、他方の端部までの電位差が安定的に抑制された)、アクチュエータが得られることが強く期待できる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
20、40、50 駆動電源
21、22、41、42 リード線
23、24、43、44 端子
25、27、45、46 電極層
26、47 電解質層

Claims (8)

  1. 一対の電極層と、
    前記一対の電極層の間に配置されている、電解質を有する電解質層と、
    前記一対の電極層に接し、該電極層の間に電圧を印加するための端子と、
    を有するアクチュエータであって、
    前記一対の電極層のうち少なくともいずれか一方は、導電材料を有するポリマー繊維からなる複数の線状電極を有し、電圧印加時に電子(またはホール)が前記端子と接する部分からこれと離れた端部の方向に移動するように、前記複数の線状電極の長尺方向が前記方向に揃った束となっており、
    前記端子に電圧を印加すると、前記電解質層内のイオンが移動して前記端部が変位することを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記線状電極が、前記長尺方向に配向した複数の導電材料を有するポリマー繊維からなる請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記電極層と前記端子とが接する部分がアクチュエータの一方の端部である固定端部であり、電圧の印加により他方の端部が変位する請求項1に記載のアクチュエータ。
  4. 前記ポリマー繊維は太さが0.05μm以上1μm未満であることを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ。
  5. 前記導電材料を含有するポリマー繊維は少なくとも一部融着していることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ。
  6. 前記複数の線状電極を有する電極層が、前記一対の電極層の両方である請求項1から5のいずれかに記載のアクチュエータ。
  7. 前記導電材料が、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー(気相成長炭素)、炭素(ナノ)繊維、活性炭素繊維、ナノ炭素材料、ナノ炭素粒子等のカーボン系導電性物質のうち1種またはそれらの混合物である請求項1から6のいずれかに記載のアクチュエータ。
  8. 前記ポリマー繊維が、エレクトロスピニング法により製造されたポリマー繊維である請求項1から7のいずれかに記載のアクチュエータ。
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