JP5473483B2 - アクチュエータ - Google Patents

アクチュエータ Download PDF

Info

Publication number
JP5473483B2
JP5473483B2 JP2009197414A JP2009197414A JP5473483B2 JP 5473483 B2 JP5473483 B2 JP 5473483B2 JP 2009197414 A JP2009197414 A JP 2009197414A JP 2009197414 A JP2009197414 A JP 2009197414A JP 5473483 B2 JP5473483 B2 JP 5473483B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
actuator
electrode layer
conductive material
electrode
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009197414A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011050195A (ja
Inventor
栄 須田
外充 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2009197414A priority Critical patent/JP5473483B2/ja
Priority to US12/858,292 priority patent/US8456058B2/en
Publication of JP2011050195A publication Critical patent/JP2011050195A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5473483B2 publication Critical patent/JP5473483B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F03MACHINES OR ENGINES FOR LIQUIDS; WIND, SPRING, OR WEIGHT MOTORS; PRODUCING MECHANICAL POWER OR A REACTIVE PROPULSIVE THRUST, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03GSPRING, WEIGHT, INERTIA OR LIKE MOTORS; MECHANICAL-POWER PRODUCING DEVICES OR MECHANISMS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR OR USING ENERGY SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03G7/00Mechanical-power-producing mechanisms, not otherwise provided for or using energy sources not otherwise provided for
    • F03G7/005Electro-chemical actuators; Actuators having a material for absorbing or desorbing gas, e.g. a metal hydride; Actuators using the difference in osmotic pressure between fluids; Actuators with elements stretchable when contacted with liquid rich in ions, with UV light, with a salt solution

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Micromachines (AREA)

Description

本発明は、アクチュエータに関する。
最近、小型化が容易であり、応答性が速く、省電力で動作するといった特徴を有するアクチュエータが提案されている。例えば、カーボンナノチューブと不揮発性であるイオン液体を用いることにより、空気中および真空中において数V以下という低電圧で屈曲変形するイオン導電性高分子アクチュエータが提案されている(特許文献1)。
特許第04038685号公報
上記のアクチュエータをロボットやマイクロマシン等のデバイスに用いる場合、アクチュエータの少なくとも一部を固定部として固定し、そして変形量の大きなアクチュエータの部位、すなわち固定部より離れた位置を作用部として駆動する。そして、作用部によるアクチュエータの大きな変形作用をデバイスに及ぼすことが可能である。しかし、アクチュエータを連続あるいは繰り返し駆動して使用すると、固定部付近において亀裂や折れ目等が生じることがある。これは、作用部に比べて固定部付近に、より大きな反作用力がかかるためと考えられ、その解決策が求められている。すなわち、作用部で大きな変位量を得るアクチュエータにおいて、特に固定部の耐久性を向上させる必要があり、固定部近傍の発生力の向上が求められる。
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、作用部においては大きな変位量を得ることができ、かつ固定部においては作用部の反作用力による劣化を抑制したアクチュエータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するアクチュエータは、導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記一対の電極層の両方の層に含まれるそれぞれの導電材の含有量が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、作用部においては大きな変位量を得ることができ、かつ固定部においては作用部の反作用力による劣化を抑制したアクチュエータを提供することができる。
本発明のアクチュエータの一実施態様を示す概略図である。 本発明のアクチュエータの電極層の作用部から固定部方向の位置と導電材の含有量の関係を示す図である。 本発明のアクチュエータの電極層の厚みが作用部から固定部方向に増大している構成を示す概略図である。 本発明のアクチュエータの作用部から固定部方向の位置と電極層の厚みの関係を示す図である。 アクチュエータの作用部から固定部方向の位置と電極層の空隙率の関係を示す図である。 一対の電極層でイオン伝導層を挟持したアクチュエータの駆動原理を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
(アクチュエータの駆動原理)
まず、アクチュエータの駆動原理について説明する。
一対の電極層でイオン伝導層を挟持した構造を有する本発明のアクチュエータの駆動原理は明確にはなっていないが、現在推測されている原理について、一対の電極層でイオン伝導層の1つの例である図6を用いて説明する。図6(a)に示すように、一対の電極層501、電極層502はイオン伝導層503の表面に相互に絶縁状態で形成されている。
電極層501,電極層502間に電位差がかかると、図6(b)に示すように、イオン性物質506のカチオン504とアニオン505はそれぞれ、カソードの電極層507にカチオン504が移動・浸透し、アノードの電極層508にはアニオン505が移動、浸透する。そして電極層507、508内の導電材層とイオン性物質相の界面に電気二重層が形成される。好ましく用いられるイオン液体は、カチオン504のイオン半径がアニオン505のイオン半径より大きい。その結果、電極層内に存在するイオンの立体効果が、電気二重層に伴う静電反発などと共同的に働きにより、電極層507が電極層508に比べ、より膨張し、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲すると考えられる。屈曲変形の方向、変位量、変位速度等は、電極層・イオン伝導層の種類、電極の組成・構成、移動するイオン種等により変動する。また、通常、電位の極性を反転させると膜は反対方向に屈曲変形する。
(第1の実施態様:電極層に含まれる導電材の含有量が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいアクチュエータ)
本発明の第1の実施態様は、導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記電極層に含まれる導電材の含有量が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいことを特徴とするアクチュエータである。
本発明のアクチュエータは、導電材とイオン性物質を少なくとも含有する一対の電極層が、イオン性物質を少なくとも含有するイオン伝導層を挟持しており、前記電極層間に電圧印加することで屈曲する。前記アクチュエータにおいて、アクチュエータの作用部から固定部の長手方向に対して垂直方向の前記電極層の断面における前記電極層に含まれる前記導電材の含有量が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大しているアクチュエータの駆動原理について、図1を用いて説明する。
アクチュエータをロボットやマイクロマシン等のデバイスに用いる場合、アクチュエータの少なくとも一部を固定し、デバイスに作用を及ぼす必要がある。図1においては、アクチュエータの固定部20は電極付き固定器具9によってデバイスの一部10に固定される。固定器具9は、アクチュエータに電圧を印加するための電極が付随している固定器具であっても良いし、電極は別に存在していてもよい。
また、作用部30はデバイスに作用を及ぼすアクチュエータの部分であり、変形量の大きなアクチュエータの部位、すなわち固定部より離れた位置を作用部とする。そのことで、より大きな作用をデバイスに及ぼすことが可能となる。本発明における作用部30は、固定部20と反対方向の先端部である。本発明の作用部30から固定部20の方向とは、図1におけるX方向である。
また、本発明におけるアクチュエータの作用部から固定部の長手方向に対して垂直方向の前記電極層の断面とは、例えば図1においては、断面AA’である。前記断面においては一対の電極層がイオン伝導層を挟持している。例えば、断面AA’は電極層7と電極層8がイオン伝導層3を挟持している。
図1において,一対の電極層7および電極層8に電位差をかけると、イオン性物質のカチオン4とアニオン5は、それぞれカソード電極層7にカチオン4が移動・浸透し、アノードの電極層8にはアニオン5が移動、浸透する。そして電極層7、8内の導電材層とイオン性物質相の界面に電気二重層が形成される。好ましく用いられるイオン液体は、カチオン4のイオン半径がアニオン5より大きい。その結果、電極層内に存在するイオンの立体効果が、電気二重層に伴う静電反発などと共同的に働きにより、電極層7が電極層8に比べ、より膨張し、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲すると考えられる。
本発明において、前記導電材の含有量Aとは、前記断面における電極層中の導電材の含有量である。例えば断面AA’においては電極層7あるいは電極層8に含まれる導電材の含有量である。
以上のように本発明のアクチュエータの駆動原理について図1を用いて説明したが、イオン性物質が移動し一対の電極層のうち、一方の電極層がもう一方の電極層より大きく膨張することによって屈曲運動すればよく、特に上記に限定されるものではない。また、屈曲変形の方向、変位量、変位速度等は、電極層・イオン伝導層の種類、電極の組成・構成、移動するイオン種等により変動する。また、通常、電位の極性を反転させると膜は反対方向に屈曲変形する。
本発明において、電極層に含有される導電材の含有量は作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大していることが好ましい。例えば、図2の作用部から固定部の方向の位置と導電材の含有量の関係線154で示すように作用部から固定部の方向に段階的に増大しているか、または導電材の含有量の関係線151、152、153のように作用部から固定部の方向に連続的に増大していることが好ましい。ここで電極層に含有される導電材の含有量は作用部から固定部の方向に増大していればよく、増加の割合や増加する段階の数等は特に限定されない。
電極層に含有される導電材の含有量が作用部から固定部の方向へ段階的にまたは連続的に増大することにより、固定部近傍へ移動・吸着して存在するイオンの量がより多くなり、電極層がより大きく膨張し、固定部近傍ではより大きな発生力が得られる。その結果、作用部からの反作用力によって生じる固定部近傍の亀裂・劣化等に対する耐久性が大きく向上する。また、電極層に含有される導電材の含有量が作用部から固定部の方向へ段階的にまたは連続的に増大することにより、作用部近傍の電極層は柔軟になり、電極層の剛性が低くなる。その結果、作用部近傍において大きな変位量を得ることができる。
前記導電材の含有量の算出方法は特に限定されないが、例えば次の算出方法が挙げられる。すなわち、電極層の作製時における作用部から固定部の方向に対しての各位置における導電材の仕込み濃度から算出する方法や、作用部から固定部の方向に対して垂直方向の断面を任意の場所で走査型電子顕微鏡により観察し、測定画像の二値化等による導電材とそれ以外の領域の面積比を画像処理により算出する方法、などによって測定可能である。
(第2の実施態様:電極層の厚さが、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいアクチュエータ)
本発明の第2の実施態様は、導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記電極層の厚さが、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいことを特徴とするアクチュエータである。
具体的には、本発明において、前記イオン伝導層を挟持している少なくとも一対の電極層において、前記電極層の厚みが、作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大していることが好ましい。
前記電極層の厚みが、作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大しているアクチュエータについて、図3を用いて説明する。
図3において、(a)は本発明の電極層の厚みが作用部から固定部に段階的あるいは連続的に増大している構成を示す概略図、(b)は断面EE’における断面図、(c)は断面FF’における断面図を示す。
図3において、アクチュエータの固定部220は電極付き固定器具209によってデバイスの一部210に固定される。本発明におけるアクチュエータの作用部230は、固定部220と反対方向の先端部である。本発明における固定部の方向に対して垂直方向の前記電極層の断面とは、図3において、作用部230から固定部の方向220に対して垂直の断面であり、固定部220の近傍であれば断面EE’、作用部230であれば断面FF’である。前記断面においては一対の電極層がイオン伝導層を挟持している。例えば図3(b)のように、固定部近傍の断面EE’は、電極層221と電極層222がイオン伝導層223を挟持しており、図5(c)のように、作用部の断面FF’は、電極層231と電極層232がイオン伝導層233を挟持している。
本発明において、前記電極層の厚みは、アクチュエータの作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大していることが好ましい。例えば、図4の位置と電極層の厚みの関係線253で示すように作用部から固定部の方向に段階的に増大しているか、または関係線251、252、254のように作用部から固定部の方向に連続的に増大している。ここで前記電極層の厚みは作用部から固定部の方向に増大していればよく、増加の割合や増加する段階の数等は特に限定されない。
作用部から固定部方向へ電極層の厚みが段階的にまたは連続的に増大することによって、作用部近傍の電極層の厚さは薄くなり、電極層の剛性が低くなる。その結果、作用部近傍での変位量が固定部に比べより大きくなる。一方、固定部近傍では、電極層の厚みが厚いため、移動・吸着し存在するイオンの量がより多く、電極層がより大きく膨張し、固定部近傍ではより大きな発生力が得られる。その結果、作用部からの反作用力によって生じる固定部近傍の亀裂・劣化等に対する耐久性が大きく向上する。
前記電極層の厚みの算出方法は特に限定されないが、例えば次の算出方法が挙げられる。すなわち、作用部から固定部の方向に対しての垂直方向の断面を任意の場所で走査型電子顕微鏡により観察し、厚さを測定する方法などによって測定可能である。
(第3の実施態様:電極層の空隙率が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が小さいアクチュエータ)
本発明の第3の実施態様は、導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記電極層の空隙率が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が小さいことを特徴とするアクチュエータである。
具体的には、本発明において、前記イオン伝導層を挟持している少なくとも一対の電極層において、前記電極層の空隙率が、作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少していることが好ましい。
本発明における空隙率とは、電極層内をカチオンやアニオンのイオンが移動・存在できる領域を表すものであり、電極層間に電位差をかける前の電極層内においてイオン性物質と導電材以外が占める体積の割合と比例するものである。
すなわち、本発明における空隙率は、電極層内においてイオン性物質と導電材以外が占める体積を、電極層の面積と膜厚から幾何学的に求めた体積で割り百分率で表したもの(単位:体積%)である。電極層内で導電材およびイオン性物質以外が占める体積としては、例えば高分子の体積であり、あるいは空気・ガスあるいは真空の空間であってもよい。
高分子の体積は、電極膜の作製に使用した高分子の密度および仕込み重量を用いて算出可能である。また空気・ガスあるいは真空の空間の占める体積は、作製した電極層をガス吸着法、水銀圧入法、アルキメデス法などによって測定可能である。
本発明において、前記電極層の空隙率は、作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少していることが好ましい。例えば、図5の位置と電極層の空隙率の関係を表す関係線354で示すように、電極層の空隙率は作用部から固定部の方向に段階的に減少しているか、または関係線351、352、353のように作用部から固定部の方向に連続的に減少している。ここで前記電極層の空隙率は作用部から固定部の方向に減少していればよく、減少の割合や減少する段階の数等は特に限定されない。
前記電極層の空隙率が、作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少することによって、作用部近傍の電極層における高分子、あるいは空気・ガスあるいは真空の空間の割合が増加し、電極層の剛性が低くなる。その結果、作用部近傍での変位量が固定部に比べより大きくなる。一方、固定部近傍では、空隙率が小さく導電材やイオン性物質の割合が大きいため、移動・吸着し存在するイオンの量がより多く、電極層がより大きく膨張し、固定部近傍ではより大きな発生力が得られる。その結果、作用部からの反作用力によって生じる固定部近傍の亀裂・劣化等に対する耐久性が大きく向上する。
前記電極層の空隙率の算出方法は特に限定されないが、例えば次の方法で求めることができる。すなわち、得られる電極層の面積と厚みより得られる電極層の体積(m)、および、電極層の体積(m)から電極層におけるイオン性物質と導電材の体積を除した体積(n)をそれぞれ測定し、下記の式(1)で計算することによって空隙率(単位:体積%)を算出する。
Figure 0005473483
次に、本発明に用いられるアクチュエータの材料について説明する。
本発明のアクチュエータは、一対の電極層およびイオン伝導層から構成される。
電極層には、導電材、イオン性物質が含有されている。イオン伝導層には、イオン性物質が含有されている。
本発明に用いられるイオン性物質としは、例えば、フッ化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を挙げることができる。 本発明に用いられるイオン性物質がイオン液体であることが好ましい。
本発明に用いられるイオン液体(ionic liquid)とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩である。イオン液体は常温で不揮発性を示すことから、本発明のイオン伝導物質としてイオン液体を用いた場合、湿度が高くない空気中および真空中での駆動が可能となる。
本発明においては、従来より知られた各種のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または可及的に常温に近い温度において液体状態を呈し安定なものが好ましい。本発明においては、常温溶融塩であって、導電率が0.1Sm−1以上のものが好ましい。
本発明において用いられる好適なイオン液体としては、下記の一般式(2)から(5)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン)と、アニオン(X)より成る化合物を例示することができる。
Figure 0005473483
上記の一般式(2)から(5)において、Rは炭素数1から12のアルキル基、またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3から12のアルキル基を示す。式(2)において、Rは炭素数1から4のアルキル基または水素原子を示す。式(2)において、RとRは同一ではないことが好ましい。式(4)および(5)において、xはそれぞれ1から4の整数である。
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン、過塩素酸アニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジシアンアミドアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、有機カルボン酸アニオンおよびハロゲンイオンより選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
本発明に用いられる導電材は、電極層において、一対の電極層間に電圧を印加した際イオンが電極層内に浸透・移動するように、導電性を示すものであればよく、炭素材料、導電性高分子、金属、金属化合物があげられる。またこれらの導電材を1種類または2種類以上を用いてもよい。
本発明の電極層において、イオン性物質との相互作用の点から、前記導電材が炭素材料あるいは導電性高分子であることが好ましい。相互作用が高いと導電材が電極層に良好に均一分散することができ、また、得られる電極層の機械的強度も増加する。
好ましく用いられる炭素材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、フラーレン、黒鉛、炭素繊維などがあげられるが、これらに限定されるものではなく、これらの1種類または2種類以上を用いてもよい。
また、導電材としては、導電性と伸縮性を有する層が得られるという点から、カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブはイオン液体とともにせん断をかけ分散させることにより、伸縮性のある導電性ゲルが得られる。グラフェンシートが筒形に巻いた形状から成る炭素系材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、およびアームチェア型に分けられるなど、各種のものが知られている。本発明には、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。一般的には、アスペクト比が大きい、すなわち、細くて長い単層ナノチューブがゲルを形成し易い。従って、本発明においては、SWNTからゲル状組成物を得るのが好ましい。実用に供されるカーボンナノチューブの好適な例として、一酸化炭素を原料として比較的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、導電材として、導電性を有する導電性高分子を用いることができる。導電性高分子として、例えばポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアズレン等のπ共役系導電性高分子、及びこれらのπ共役系導電性高分子の誘導体などが挙げられるが、これに限定したものではない。またこれらのうち1種類または2種類以上を用いてもよい。
本発明に用いられる電極層は、導電材とイオン液体を含むものが好ましい。また電極層の機械的強度を保つためにカーボンナノチューブとイオン液体に加え高分子を含有してもよい。
本発明に用いられる電極層に含有される導電材の含有量は、電極層に対する重量割合で1重量%以上が好ましい。含有量が1重量%未満だと、電極層の導電性が十分に得られない場合がある。
本発明の電極層における高分子の含有量は99重量%以下であるのが好ましい。含有量が99重量%より大きいと、電極層の導電性が十分に得られない場合がある。
本発明の電極層におけるイオン液体の含有量は80重量%以下であるのが好ましい。含有量が80重量%より大きいと、電極層として機械的強度が弱くなる場合がある。
本発明において、電極層を得るのに用いることのできる高分子としては、前記アクチュエータの屈曲変形に伴って変形可能な柔軟性を有する高分子バインダであれば特に限定されるものではないが、加水分解性が少なく、大気中で安定であることが好ましい。かかる高分子バインダとしては、ポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリアリーレン類;またこれらのポリマーに、スルホン酸機基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム機、ピリジニウム基等を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー等;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレート等を挙げることができる。また、上述したような導電性を有する高分子を用いることもできる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他の高分子との共重合体としてもよい。
これらの高分子バインダの中でも、特に好ましい高分子としては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion,ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。また、上記高分子は、イオン伝導層と相溶性の高い高分子であることが好ましい。これにより、イオン伝導層との、相溶性および接合性がより高いため、より強固な電極を構成することが可能となる。このためには、上記高分子バインダは、上記イオン伝導層を構成する高分子化合物と、同種、類似または同一の高分子構造を有する高分子、または、同種、類似または同一の官能基を有する高分子であることが好ましい。
さらに、上記高分子バインダとしては、ゾル・ゲル法などで得られる高分子構造をもつ金属酸化物も用いることができる。かかる金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、マンガン、ニッケル、コバルト、五酸化バナジウム系の金属酸化物を用いることができる。
本発明における電極層の電気抵抗値は、1000Ω・cm以下であることが好ましく、100Ω・cm以下であることがより好ましい。上記電極の電気抵抗値が1000Ω・cm以下であることにより、電極に低い電圧を印加したときに、本発明のアクチュエータを屈曲させることができる。また、上記電極は、ソフトアクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、高分子バインダおよび上記導電材料の他の成分を含有していてもよい
本発明のイオン伝導層はイオン性物質を含有しており、イオン性物質の保持および機械的強度、柔軟性の確保の点で高分子を含有するものが好ましい。
本発明のイオン伝導層におけるイオン液体/イオン性物質(A)と高分子化合物(B)の成分との質量比率は特に制限されないが、イオン伝導層のイオン伝導率及び機械的強度の観点から、(A)/(B)=0.1:1から10:1程度であることが好ましい。
また、イオン液体/イオン性物質の含有量が高分子化合物に対して30重量%以上80重量%以下であるのが好ましい。含有量が30重量%未満だと、電圧印加した際、電極層に十分イオン性物質を供給できない場合がある。また、含有量が80重量%より大きいと、イオン伝導層としての機械的強度が弱くなり、アクチュエータとして屈曲・変形した際、作用力が十分に得られない場合がある。
本発明において、イオン伝導層を得るのに用いることのできる高分子としては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素系高分子;ポリオレフィン系ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;熱可塑性のポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他の高分子との共重合体としてもよい。上記高分子は、イオン性物質を含んでいる必要がある。これにより、電圧を印加により、上記非イオン性高分子化合物からなるアクチュエータの屈曲変形が可能となる。
本発明において、イオン性物質がイオン液体の場合、高分子として、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion,ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられるが、特に限定されない。これらの高分子のうち1つを用いてもよいし、2つ以上組み合わせ用いてもよい。また、電極層に用いる高分子とイオン伝導層に用いる高分子が同じでもよいし、異なっていてもよい。
(アクチュエータの製造方法)
本発明に用いられる電極層の製造方法は、導電材が電極層に分散・保持されていればよく特に限定されないが、イオン液体あるいは必要に応じて高分子の存在下で、せん断を加えながら導電材を細分化し、導電材分散体を得て、それを膜化・積層化する方法が挙げられる。
この細分化工程において、せん断力を付与する手段は特に限定されるものではなく、例えば、実験室におけるような小規模の製造の場合は手動または自動の乳鉢ですり潰すことによってもよい。また、多量の製造を目的とする場合には、ボールミル、ローラーミル、振動ミルなどの高せん断力を付与することができる湿式粉砕装置を使用することができる。さらに、ニーダータイプの混練機も使用可能である。また分散体の粘度を考慮し溶媒を加え粘度を適度に調整してせん断を与えることも可能である。細分化に要する時間も特に限定されるものではなく、用途に応じて必要な細分化に応じて適宜変更できるが、一般的には5分間から1時間程度である。以上のような工程により、導電材分散体が得られる。
導電材分散体を用いて膜化し電極層を得る方法としては特に限定されないが、キャスト法、スピンコート法、印刷法、スプレー法等によって製膜し、溶媒を蒸発、乾燥させればよい。また押出し法、射出法等も用いることができる。
本発明で好ましく用いられるカーボンナノチューブとイオン液体とから成るゲル状組成物の生成メカニズムや構造については未だ不明の点もあるが、各種の分析結果から大略が次のように理解される。
(1)せん断力下における細分化処理は、カーボンナノチューブの化学的変性を引き起こすことはなく、カーボンナノチューブの相互のからみ合いを減少させて、その束を細くする物理的形状変化をもたらす。
(2)ゲルの形成は、カーボンナノチューブのからみ合いに因るものではなく、からみ合いの減少したカーボンナノチューブの表面に「カチオン−π」相互作用により結合したイオン液体の分子がイオン結合を介してカーボンナノチューブの束どうしを結びつけることにより、形成される架橋構造(三次元網目構造)に起因するものと推測される。
電極層の厚さは、1μm以上5mm以下であり、好ましくは5μm以上2mm以下であり、さらに好ましく10μm以上500μm以下である。膜厚が5mmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの屈曲運動を抑制する場合がある。また1μm未満だと電極層へ移動・浸透するイオン性物質の量が少なく、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
導電材の含有量が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大している電極層の製造方法は、特に限定されないが、導電材の含有量が異なる複数の導電材分散体を含有量順に並べて同時に成膜・乾燥して1つの電極層を作製する方法や、導電材の含有量が異なる複数の電極層を予め別に作製し、前記複数の電極層を含有量順に並べ加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法等が挙げられる。
導電材の含有量が異なる複数の導電材分散体を含有量順に並べ同時に成膜・乾燥し1つの電極層を作製する方法とは、導電材とイオン性物質をポリマーとともに溶媒に分散させ、異なる導電材含有量の導電材分散体を得る工程と、基板上に前工程で得られる導電性分散体の導電材含有量を高い順あるいは低い順にキャストし、アプリケーター等で塗膜を得る工程と、前記塗膜を室温あるいは真空下で乾燥し1つの電極層を得る工程、の3つの工程からなる製造方法である。
また導電材含有量が異なる複数の電極層を予め別に作製し、含有量順に並べ加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法とは、導電材とイオン性物質をポリマーとともに溶媒に分散させ、異なる導電材含有量の導電材分散体をいくつか得る工程と、前工程で得られる導電材分散体についてそれぞれ別にキャストやスピンコートすることによって塗膜を得る工程と、前工程で得られる塗膜を室温あるいは真空下で乾燥し含有量が異なる複数の電極層を得る工程と、前工程で得られる電極層を基板上に一方向に導電材の含有量が増大あるいは減少するように並べてホットプレス等によって加圧加熱融着し導電材を一体化させ1つの電極層を得る工程、の4つの工程からなる製造方法である。上記製造方法におけるキャストやスピンコートする工程の替わりに、異なる導電材含有量の導電材分散体について、それぞれ別にスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にする工程、に替える作製法でもよい。
また、上記作製に用いられる基板とはガラス等の基板であってもよいし、イオン伝導層であってもよい。前記導電材の含有量が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大している電極層は上記の作製法が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明における導電材の含有量は作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大していればよく、好ましくは作用部の前記導電材の濃度と固定部の前記導電材の濃度の差は3重量%以上である。濃度の差が3重量%未満だと、作用部近傍における変位量が十分に得られない場合がある。
前記電極層の厚みが作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大している電極層の作製法は、特に限定されないが、厚みが段階的にあるいは連続的に変化するスペーサーを有する基板に導電材分散体を流し込み作製する方法や、複数の電極層を予め作製し、一方向に厚みが厚くなるように並べ加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法、あるいはディッピングにより電極層を作製する等が挙げられる。
厚みが段階的にあるいは連続的に変化するスペーサーを有する基板に導電材分散体を流し込み作製する方法とは、導電材とイオン性物質をポリマーとともに溶媒に分散させ導電材分散体を得る工程と、前工程で得られる導電性分散体を厚みが段階的にあるいは連続的に変化するスペーサーを有する基板に流し込む工程と、室温あるいは真空下で乾燥し電極層を得る工程、の3つの工程からなる作製方法である。
また複数の電極層を予め作製し、一方向に厚みが厚くなるように階段状に重ねて加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法とは、導電材とイオン性物質をポリマーとともに溶媒に分散させ導電材分散体を得る工程と、前工程で得られる導電材分散体についてそれぞれ別にキャストやスピンコートすることによって塗膜を得る工程と、室温あるいは真空下で乾燥し電極層を得る工程と、基板上に得られた電極層を一方向に厚みが厚くなるように階段状に重ねてホットプレス等によって加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を得る工程、の4つの工程からなる作製方法である。ここで電極層を一方向に厚みが厚くなるように階段状に重ねるとは、1つの電極層の上に短い電極層を重ね、その上に更に短い電極層を重ねることを繰り返し階段状にしてもよいし、また、基板表面に複数の電極層を敷き詰めその上に階段状になるように電極層を敷き詰めることを繰り返してもいってもよいし、両方法を組み合わせて用いてもよい。また、上記作製方法におけるキャストやスピンコートする工程の替わりに、スペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にすることにより電極層を得る工程、に替える作製法でもよい。
またディッピングにより電極層を作製する方法とは、導電材とイオン性物質をポリマーとともに溶媒に分散させ導電材分散体を得る工程と、基板を前工程で得られる導電材分散体でディッピングする工程、面方向の一端を上、反対の端を下になるような状態で室温あるいは真空下で乾燥し電極層を得る工程、の3つの工程からなる作製法でもよい。
また、上記作製に用いられる基板とはガラス等の基板であってもよいし、イオン伝導層であってもよい。前記電極層の厚みが作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大している電極層は上記の作製法が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明の電極層の厚みは作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大していればよく、好ましくは作用部の前記電極層の厚みと固定部の前記電極層の厚みの差は1μm以上である。厚みの差が1μm未満だと、作用部近傍における変位量が十分に得られない場合がある。
前記電極層の空隙率が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少している電極層の製造方法は、特に限定されないが、電極層の空隙率が異なる複数の導電材分散体を空隙率の大きさ順に並べて同時に成膜・乾燥し1つの電極層を作製する方法や、電極層の空隙率が異なる複数の電極層を予め別に作製し、空隙率の大きさ順に並べ加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法等が挙げられる。
電極層の空隙率が異なる複数の導電材分散体を空隙率の大きさ順に並べて同時に成膜・乾燥し1つの電極層を作製する方法とは、含有量が異なるポリマーを導電材とイオン性物質とともに溶媒に分散させ、ポリマーの含有量が異なる導電材分散体をいくつか得る工程と、基板上に前工程で得られる導電性分散体のポリマー含有量を高い順あるいは低い順にキャストし、アプリケーター等で塗膜を得る工程と、前記塗膜を室温あるいは真空下で乾燥し1つの電極層を得る工程、の3つの工程からなる作製方法である。
また、電極層の空隙率が異なる複数の電極層を予め別に作製し、空隙率の大きさ順に並べ加圧加熱融着し一体化させ1つの電極層を作製する方法とは、含有量が異なるポリマーを導電材とイオン性物質とともに溶媒に分散させ、異なるポリマー含有量の導電材分散体をいくつか得る工程と、前工程で得られる導電材分散体についてそれぞれ別にキャストやスピンコートによって塗膜を得る工程と、前工程で得られる塗膜を室温あるいは真空下で乾燥し空隙率が異なる複数の電極層を得る工程と、前工程で得られる電極層を基板上に一方向に空隙率が増大あるいは減少するように並べてホットプレス等によって加圧加熱融着し導電材を一体化させ1つの電極層を得る工程、の4つの工程からなる作製方法である。上記作製方法におけるキャストやスピンコートする工程の替わりに、異なるポリマー含有量の導電材分散体についてそれぞれ別にスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にする工程、に替える作製法でもよい。
また上記製造方法において、導電材分散体に濃度が異なる塩化リチウム等の塩や貧溶媒を添加し相分離を起こすことによって空孔率が異なる多孔質膜を得ることが可能である。これによって上記製造方法と同様にして空孔率が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少している電極層を得ることができる。
また、上記作製に用いられる基板とはガラス等の基板であってもよいし、イオン伝導層であってもよい。前記電極層の空隙率が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少している電極層は上記の作製法が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明における電極層における空隙率は90体積%以下が好ましい。
また、本発明の電極層の空孔率は作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に減少していればよく、好ましくは作用部と固定部の空隙率の差が5体積%以上である。空隙率の差が5体積%未満だと、作用部近傍における変位量が十分に得られない場合がある。
本発明のイオン伝導層の製造方法としては、イオン性物質がイオン伝導層内に保持されていればよく特に限定されない。本発明のイオン伝導層は、イオン性物質を含有しており、イオン性物質の保持および電極層の機械的強度を保つために高分子を含有することが好ましい。例えばイオン性物質および高分子を溶媒に溶解・分散させイオン性組成物を得た後、得られた組成物をキャスト法、スピンコート法、印刷法、スプレー法等によって製膜し、溶媒を蒸発、乾燥する方法、あるいは、高分子を加熱溶融しイオン性物質と混練した後製膜する方法や、押出し法、射出法等も用いることができる。
電極層およびイオン伝導層の作製時に用いられる溶媒としては、導電材やイオン性物質、高分子を良好に分散できればよく、特に限定されないが、例えば、4−メチル−2−ペンタノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの溶媒のうち1つを用いてもよいし、2つ以上組み合わせ用いてもよい。
本発明におけるイオン伝導層の厚さは、1μm以上5mm以下であることが好ましく、更には10μm以上500μm以下であることが好ましい。膜厚が5mmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの屈曲運動を抑制する場合がある。また1μm未満では保持できるイオン性物質量が少なく電極層への供給量が少なくなるため、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
本発明のアクチュエータの製造方法において、作用物から固定部の方向に垂直方向の断面における導電材の含有量が作用部から固定部の方向に段階的にまたは連続的に増大している一対の電極層でイオン伝導層を挟持した構造を得る方法としては、特に限定されないが、上記製造方法によって電極層およびイオン伝導層をそれぞれ別に作製した後、作用部から固定部方向に、積層したい順にならべ重ねてホットプレス等により加圧加熱融着し積層する方法が挙げられる。あるいは、上記電極層の製造方法によって電極層を作製する際に、イオン電極層の両面上に電極層を作製することで積層体を作製する方法が挙げられる。
また積層する順番は作用部から固定部方向の順でも良いし、固定部から作用部の方向に、積層したい順にでもよい。ここで蓄積したい順とは、例えば、作用部から固定部の方向に前記導電材含有量が多くなるような順であり、あるいは、前記導電材の含有量が増大するような順であり、あるいは、前記電極層の厚みが厚くなる順であり、あるいは、前記空隙率が減少する順である。また、前記の方法を組み合わせて用いてもよい。また、電極層は、いくつかの電極層を重ねて加圧加熱融着して作製してもよいし、前記導電材分散体を塗布・製膜・乾燥を連続して繰り返して作製してもよい。
本発明におけるアクチュエータの駆動方法は、1つの電極層がもう一方の電極層に比べより伸びる方向へより大きく屈曲し、作用部で大きな変位量が得られ、固定部近傍で大きい発生力が得られるように、一対の電極層間に電圧を印加する方法であれば特に限定されない。例えば電極層の導電材の含有量が多い部位を電極付き固定部で固定し、1つの電極層をカソード、もう一方の電極層をアノードとして両電極層間に電圧を印加する駆動方法である。
また本発明のアクチュエータは、上記電極間に10V以下の低い電圧を印加すると、屈曲変形する。屈曲変形の方向、変位量、変位速度等は、電極層・イオン伝導層の種類、電極の組成・構成、移動するイオン種等により変動する。また、通常、電位の極性を反転させると膜は反対方向に屈曲変形する。
本発明において、一対の電極層の両電極層間にかける電圧は、10V以下が好ましく、電圧印加時にイオン性物質が分解しない範囲(電位窓)で用いることが好ましく、さらには4V以下が好ましい。
本発明のアクチュエータを実際ロボットやマイクロマシン等のデバイスに用いる際、アクチュエータの少なくとも一部を固定し、デバイスに作用を及ぼす必要がある。また、より大きな作用をデバイスに及ぼすために、固定部より離れた位置を作用部とすることが好ましい。
図1に本発明のアクチュエータのデバイスに用いる際の構成の一例の概略が示されている。図1は、被作用部440を押す方向450に作用するようにアクチュエータを設置する場合の概略を示す。アクチュエータの固定部420は電極付き固定器具9によってデバイスの一部10に固定される。また作用部としては固定部より離れた位置を作用部30とし、被作用部440を押すように、アクチュエータを設置している。ここで作用する方向はアクチュエータが屈曲運動し、作用を及ぼすことができればよく、押す方向450に限定されることはない。また被作用部440の設置位置はアクチュエータの屈曲運動によって作用を及ぼされればよい。
本発明のアクチュエータは、上記のように、作用部近傍で変位量が大きく、固定部近傍で発生力が大きいアクチュエータであるので、ロボットやマイクロマシン等のデバイスに大きな作用を及ぼし、かつ固定部近傍では発生力が大きく耐久性が向上する。これらはアクチュエータのデバイスにおける設置の例であるが、特にこれらに限定されない。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(イオン性物質)
実施例で用いるイオン性物質は、イオン液体の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(BMIBF)(関東化学社製)である。
(高分子)
実施例で用いる高分子は以下で表されるポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF(HFP))である。
Figure 0005473483
(導電材)
実施例に用いる導電材は、単層カーボンナノチューブ(SWNT、カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレッド社製、「HiPco」)およびアセチレンブラック(「デンカブラック」、電気化学社製)である。
(アクチュエータ)
実施例に用いるアクチュエータは、SWNT/BMIBF/PVdF(HFP)からなる一対の電極層が、PVdF(HFP)/BMIBFからなるイオン伝導層を挟持しているアクチュエータである。
(有機溶剤)
実施例で用いられる有機溶剤は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)である(キシダ化学社製)。
(発生力の評価)
アクチュエータが屈曲している時の発生力は、ロードセル(モデルUL−10GR、ミネベア社製)を用いて測定する。幅1mm(W)×長さ12mm(L)に切り取ったアクチュエータの端2mmの部分を電極付きホルダーで挟持して、空気中で(空気中駆動)、アクチュエータの一方の電極層をカソード、他方の電極層をアノードとし、両電極層の間に2.5Vの電圧を印加し屈曲させる。その際のアクチュエータの固定端から2mmの位置の発生力を、ロードセル(モデルUL−10GR、ミネベア社製)を用いて測定する。
(変位量の評価)
アクチュエータが屈曲している時の変位量は、レーザー変位計を用いて測定する。幅1mm(W)×長さ12mm(L)に切り取ったアクチュエータの端2mmの部分(固定端)を電極付きホルダーで挟持して、空気中で(空気中駆動)、2.5Vの電圧を印加し屈曲させる。その際の固定端から8mmの位置の変位量を、レーザー変位計を用いて測定する。
実施例1
作用部から固定部の方向に導電材の含有量が増大している一対の電極層が、イオン伝導層を挟持してなるアクチュエータを作製する。
(電極層を作製するための導電材分散体1から5の作製)
電極層を以下のように作製する。導電材として10mgの単層カーボンナノチューブ(SWNT)およびイオン液体として100mgのBMIBFに有機溶剤(DMAc)を1mL加え、ジルコニアボール(粒径2mm)を用いて200rpmで30分間、ボールミル(遊星型微粒粉砕機、フリッチェ社製)により分散を行い組成物を得る。次いで、80mgのPVdF(HFP)を2mLのDMAcに溶かした溶液を、ボールミルによって得られた組成物に加え、更に500rpmで30分間、ボールミルにて分散する。その結果、高粘度で、導電材が均一に分散している導電材分散体1を得る。
上記の導電材分散体1を作製する際のSWNTの量を10mgから30mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体2を得る。
上記の導電材分散体1を作製する際のSWNTの量を10mgから50mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体3を得る。
上記の導電材分散体1を作製する際のSWNTの量を10mgから70mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体4を得る。
上記の導電材分散体1を作製する際のSWNTの量を10mgから10mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体5を得る。
(イオン伝導層を作製するためのイオン性組成物1の作製)
イオン伝導層を作製するために、イオン液体と高分子を含むイオン性組成物を次のように作製する。100mgのPVdF(HFP)と、100mgのBMIBFおよび1mLのDMAcを80℃にて加熱混合することによって、無色透明なイオン液体と高分子を含むイオン性組成物1を得る。
(アクチュエータの作製)
実施例1において得られる導電材分散体1〜5を用いて、作用部から固定部の方向に導電材の含有量が増大している電極層がイオン伝導層を挟持するアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF/DMAcからなるイオン性組成物1を、厚さが100μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層を得る。
次に、基板上に上記の導電材分散体1から5を2mm間隔で順に塗布し、マイクロメーター付きフィルムアプリケーター(宝泉社製)を用いてアプリケーターの隙間を100μmとして塗膜を作製した。そして室温にて乾燥することによって一方の電極層を得る。同じ条件にて他方の電極層を得る。次に、塗布した際の導電材分散体1から5の順番が同じ向きになるように2つの電極層をイオン伝導層で挟むように重ね、ホットプレス(テスター産業社製)を用いて100℃、0.5kNで加圧加熱融着することによってアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例1
作用部から固定部の方向に導電材の含有量が同じの一対の電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例1において得られる導電材分散体1だけを用いて、他は実施例1と同じ条件で作製した電極層を用いて、実施例1と同様の方法でアクチュエータを得る。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例2
作用部から固定部の方向に導電材の含有量が同じの一対の電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例1において得られる導電材分散体5だけを用いて、他は実施例1と同じ条件で作製した電極層を用いて、実施例1と同様の方法でアクチュエータを得る。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
<評価>
(電極層に含有されている導電材の含有量)
実施例1および比較例1、2の電極層に含有されている導電材の含有量(A)を次のように評価する。
アクチュエータの固定部端から作用部方向に2mm毎に4箇所の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、S−4800)により観察し、断面の厚みと幅から4箇所の断面の断面積S(mm)をそれぞれ算出する。一方、断面測定画像の二値化等により画像処理し、得られる導電材と、それ以外の領域の面積比を算出し、断面積との関係から、A=(断面積)×(導電材の面積比)/(導電材の面積比+それ以外の領域の面積比)という式により導電材の含有量A(mm)をそれぞれ算出する。
(電極層の厚さ)
電極層の厚さは、アクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察した。
(固定部近傍の発生力)
アクチュエータの導電材の含有量が大きい端を電極付き固定部で固定し、一方の電極層をカソード、他方の電極層をアノードとし、両電極層の間に2.5Vの電圧を印加すると、アクチュエータはカソード電極層がアノード電極層に比べより伸びる方向への屈曲する。この屈曲時において、固定部端から2mmの位置の固定部近傍の発生力をロードセルによって測定する。
(作用部での変位量)
上記の固定部近傍の発生力の測定において、カソード電極層がアノード電極層に比べより伸びる方向へのアクチュエータの屈曲時において、固定部端から8mmの位置である作用部の変位量をレーザー変位計によって測定する。
実施例1および比較例1、2の結果を表1に示す。
Figure 0005473483
(注)表1における実施例1の各項目の数値は、作用部(含有量:0.002)から固定部(含有量:0.015)の方向の順にそれぞれ示す。
実施例1のアクチュエータの任意の場所の断面を観察すると、導電材の含有量は、作用部から固定部の方向へ段階的にまたは連続的に増大している。
また、実施例1および比較例1、2で得られるアクチュエータについて、固定部端から8mmの位置に被作用部を設置し、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで12000回、ON・OFFを繰り返し行ったところ、実施例1および比較例2のアクチュエータにおいては、亀裂・破壊等は見られなかった。一方、比較例1のアクチュエータにおいては、固定部近傍で一部、亀裂・破壊等は見られた。
作用部から固定部の方向に電極層の厚みが増大している一対の電極層が、イオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例2に用いる電極層を以下のように作製する。導電材として800mgのSWNT、およびイオン液体として100mgのBMIBFに有機溶剤であるDMAcを10mL加え、ジルコニアボール(粒径2mm)を用いて200rpmで30分間、ボールミル(遊星型微粒粉砕機、フリッチェ社製)により分散を行い組成物を得る。次いで、800mgのPVdF(HFP)を20mLのDMAcに溶かした溶液を、ボールミルによって得られた組成物に加え、更に500rpmで30分間、ボールミルにて分散する。その結果、高粘度で、導電材が均一に分散している導電材分散体6が得られる。
次に、作用部から固定部の方向に電極層の膜厚が増大している電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体6を、厚さ200μmから80μmと連続的に減少しているスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥して一方の電極層を得る。
次に、得られた電極層にもう一枚の厚さ60μmのスペーサーを重ね、実施例1で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥してイオン伝導層を得る。
さらにもう一枚の厚さが200μmから80μmと連続的に減少しているスペーサーを、最初のスペーサーの厚さが200μmから80μmと減少する方向と同じ方向に重ね、上記で作製した導電材分散体6を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥して他方の電極層を形成した後、一晩真空乾燥し、アクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例3
作用部から固定部の方向に電極層の厚みが同じ一対の電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例2において得られる導電材分散体6を用いて、作用部から固定部の方向に電極層の厚みが同じ電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。
まず、導電材分散体6を厚さ80μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥して電極層を得る。次に得られた電極層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、実施例1で得られたPVdF(HFP)/BMIBF/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ80μmのスペーサーを重ね、上記の導電材分散体6を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥して他方の電極層を形成した後、一晩真空乾燥し、アクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例4
作用部から固定部の方向に電極層の厚みが同じの一対の電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例2において得られる導電材分散体6を用いて、作用部から固定部の方向に電極層の厚みが同じ電極層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。
まず導電材分散体6を厚さ200μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって電極層を得る。次に得られた電極層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、実施例1で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層を得る。さらにもう一枚厚さ200μmのスペーサーを重ね、上記で作製した導電材分散体6を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥して他方の電極層を形成した後、一晩真空乾燥し、アクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
(電極層の厚さ)
アクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察し、電極層の厚さを測定する。
実施例2および比較例3、4についての結果を、表2に示す。
Figure 0005473483
(注1)表2における実施例2の各項目の数値は、作用部(含有量:0.010、膜厚:50)から固定部(含有量:0.031、膜厚:150)の方向の順にそれぞれ示す。
(注2)固定部近傍の発生力および作用部での変位量は、電極層の膜厚が厚い端を電極付き固定部で固定して測定した。
実施例2のアクチュエータの任意の場所の断面を観察すると、電極層の厚みは、作用部から固定部の方向へ段階的にまたは連続的に増大していることが判る。
また、実施例2および比較例3、4で得られるアクチュエータについて、固定部端から8mmの位置に被作用部を設置し、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで12000回、ON・OFFを繰り返し行ったところ、実施例2および比較例4のアクチュエータにおいては、亀裂・破壊等は見られなかった。一方、比較例3のアクチュエータにおいては、固定部近傍で一部、亀裂・破壊等が見られた。
作用部から固定部の方向に空隙率が減少する一対の電極層が、イオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例1において導電材分散体1を作製する際に用いられるSWMTの重量を10mgから20mg、PVdF(HFP)の重量を80mgから160mgに替え、他は実施例1と同じ条件で作製することにより導電材分散体7を得る。
同様に、SWMTの重量を10mgから35mg、PVdF(HFP)の重量を80mgから140mgに替え、他は実施例1と同じ条件で作製することにより導電材分散体8を得る。
同様に、SWMTの重量を10mgから50mg、PVdF(HFP)の重量を80mgから120mgに替え、他は実施例1と同じ条件で作製することにより導電材分散体9を得る。
同様に、SWMTの重量を10mgから65mg、PVdF(HFP)の重量を80mgから100mgに替え、他は実施例1と同じ条件で作製することにより導電材分散体10を得る。
上記で得られる導電材分散体7から10および実施例1において得られる導電材分散体5を用いて、作用部から固定部の方向に空隙率が減少している一対の電極層が、イオン伝導層を挟持するアクチュエータを以下のように作製する。
まず、実施例1で得られたPVdF(HFP)/BMIBF/DMAcからなるイオン性組成物1を100μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層を得る。
次に、基板上に2mm間隔で、導電材分散体7、導電材分散体8、導電材分散体9、導電材分散体10、導電材分散体5の順に塗布し、マイクロメーター付きフィルムアプリケーター(宝泉社製)を用いてアプリケーターの隙間を100μmとして塗膜を作製した。そして室温にて乾燥することによって一方の電極層を得る。同じ条件にて他方の電極層を得る。
次に塗布した際の導電材分散体7、8、9、10、5の順番が同じ向きになるように一対の電極層で、実施例1で得られたものと同様のイオン伝導層を挟むように重ね、ホットプレス(テスター産業社製)を用いて100℃、0.5kNで加圧加熱融着することによってアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例5
作用部から固定部の方向に空隙率が同じの一対の電極層が、イオン伝導層を挟持しているアクチュエータを作製する。
実施例3において得られる導電材分散体7だけを用いて電極層を形成し、他は実施例3と同じ条件でアクチュエータを作製する。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、一対の電極層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
(空隙率の評価)
空隙率は、前述の式(1)により得る。
実施例3および比較例5、比較例2についての結果を表3に示す。
Figure 0005473483
(注1)表3における実施例3の各項目の数値は、作用部(含有量:0.004、空隙率:48.0)から固定部(有量:0.015、空隙率:24.6)の方向の順にそれぞれ示す。
(注2)固定部近傍の発生力および作用部での変位量は、電極層の空隙率の小さい端を電極付き固定部で固定して測定した。
実施例3のアクチュエータの任意の場所の断面を観察すると、空隙率は、作用部から固定部の方向へ段階的にまたは連続的に増大している。
また、実施例3および比較例5、2で得られるアクチュエータについて、固定部端から8mmの位置に被作用部を設置し、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで12000回、ON・OFFを繰り返し行ったところ、実施例3および比較例2のアクチュエータにおいては、亀裂・破壊等は見られなかった。一方、比較例5のアクチュエータにおいては、固定部近傍で一部、亀裂・破壊等が見られた。
3 イオン伝導層
4 イオン性物質のカチオン
5 イオン性物質のアニオン
7 カソード電極層
8 アノード電極層
20 固定部
30 作用部

Claims (10)

  1. 導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記一対の電極層の両方の層に含まれるそれぞれの導電材の含有量が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きいことを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記電極層に含まれる導電材の含有量が、前記アクチュエータの作用部から固定部に向かうにしたがって大きいことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記導電材の含有量は、前記電極層に対する重量割合で1重量%以上、99重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記電極層の厚さが、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きく、前記固定部における厚みと前記作用部における厚みの差が1μm以上であることを特徴とするアクチュエータ。
  5. 前記電極層の厚さが、前記アクチュエータの作用部から固定部に向かうにしたがって大きいことを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記一対の電極層の両方の層のそれぞれの厚さが、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が大きく、前記固定部における厚みと前記作用部における厚みの差がそれぞれ1μm以上である請求項4または5に記載のアクチュエータ。
  7. 導電材を含有する一対の電極層と、前記一対の電極層に挟持されているイオン伝導層を有するアクチュエータであって、前記電極層の空隙率が、アクチュエータの作用部よりも固定部の方が小さいことを特徴とするアクチュエータ。
  8. 前記電極層の空隙率が、前記アクチュエータの作用部から固定部に向かうにしたがって小さいことを特徴とする請求項に記載のアクチュエータ。
  9. 前記イオン伝導層がイオン液体を含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
  10. 前記導電材が炭素材料からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
JP2009197414A 2009-08-27 2009-08-27 アクチュエータ Expired - Fee Related JP5473483B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009197414A JP5473483B2 (ja) 2009-08-27 2009-08-27 アクチュエータ
US12/858,292 US8456058B2 (en) 2009-08-27 2010-08-17 Actuator

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009197414A JP5473483B2 (ja) 2009-08-27 2009-08-27 アクチュエータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011050195A JP2011050195A (ja) 2011-03-10
JP5473483B2 true JP5473483B2 (ja) 2014-04-16

Family

ID=43623796

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009197414A Expired - Fee Related JP5473483B2 (ja) 2009-08-27 2009-08-27 アクチュエータ

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8456058B2 (ja)
JP (1) JP5473483B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011013256A1 (ja) * 2009-07-28 2011-02-03 東京エレクトロン株式会社 アクチュエータ素子及びアクチュエータ素子の製造方法
JP5495744B2 (ja) * 2009-12-08 2014-05-21 キヤノン株式会社 アクチュエータ
US7982371B1 (en) * 2010-03-05 2011-07-19 Indian Institute Of Science Polymer metal composite membranes
CA2834955A1 (en) * 2011-05-04 2012-11-08 Bae Systems Plc Thermoelectric device
JP2013123366A (ja) * 2011-11-10 2013-06-20 Canon Inc アクチュエータ
JP2014001266A (ja) * 2012-06-15 2014-01-09 Canon Inc ポリエステル成形体およびその製造方法
CN104135186A (zh) * 2013-05-03 2014-11-05 纳米新能源(唐山)有限责任公司 悬臂梁结构式摩擦发电机和发电机组
JP6011468B2 (ja) * 2013-06-10 2016-10-19 株式会社デンソー 形状可変光学素子
KR101563902B1 (ko) * 2013-08-23 2015-10-28 고려대학교 산학협력단 다공성 고분자막을 포함하는 액추에이터
CN110534639B (zh) * 2019-08-09 2021-08-13 上海交通大学 一种纳米发电机及其制备方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2768313A (en) * 1952-10-01 1956-10-23 Rappaport Paul Controllable radioactive voltage charging devices
US3078403A (en) * 1956-02-24 1963-02-19 Edson R Wolcott Ultrasonic transducer
JPS5923260A (ja) * 1982-07-28 1984-02-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd 固体電気化学素子
JP4038685B2 (ja) * 2003-12-08 2008-01-30 独立行政法人科学技術振興機構 アクチュエータ素子
JP2006050780A (ja) * 2004-08-04 2006-02-16 Japan Carlit Co Ltd:The 導電性高分子アクチュエータ
JP4997773B2 (ja) * 2006-02-03 2012-08-08 ダイキン工業株式会社 アクチュエータ素子
JP2008148452A (ja) * 2006-12-11 2008-06-26 Japan Aviation Electronics Industry Ltd アクチュエータ
JP5004078B2 (ja) * 2007-04-24 2012-08-22 独立行政法人産業技術総合研究所 高アスペクト比のカーボンナノチューブを用いた高配向性電極によるアクチュエータ素子
JP4985320B2 (ja) * 2007-10-29 2012-07-25 Tdk株式会社 高分子アクチュエータ及びその製造方法
WO2009150697A1 (ja) * 2008-06-11 2009-12-17 パナソニック株式会社 導電性高分子アクチュエータおよびその製造方法
WO2010010873A1 (ja) * 2008-07-22 2010-01-28 アルプス電気株式会社 高分子アクチュエータ
CN101828330B (zh) * 2008-08-15 2012-05-30 松下电器产业株式会社 导电性高分子致动器及其制造方法
US20100055378A1 (en) * 2008-08-26 2010-03-04 Snu R&Db Foundation Encapsulated ionic polymer-metal composite device
CN102150354B (zh) * 2008-09-12 2014-04-30 阿尔卑斯电气株式会社 高分子驱动器
JP5733964B2 (ja) * 2009-12-24 2015-06-10 キヤノン株式会社 高分子アクチュエータ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011050195A (ja) 2011-03-10
US20110050048A1 (en) 2011-03-03
US8456058B2 (en) 2013-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5473483B2 (ja) アクチュエータ
JP4038685B2 (ja) アクチュエータ素子
Kosidlo et al. Nanocarbon based ionic actuators—a review
Kong et al. Carbon nanotube and graphene‐based bioinspired electrochemical actuators
JP5733938B2 (ja) アクチュエータ
US8994246B2 (en) Actuator
US8558434B2 (en) Actuator
JP5631042B2 (ja) アクチュエータ
US20130258552A1 (en) Porous graphene film representing excellent electrical properties and method of manufacturing the same
JP4691703B2 (ja) アクチュエータ素子およびその製造方法
JP5734064B2 (ja) アクチュエータ
US8946971B2 (en) Actuator
JP5495744B2 (ja) アクチュエータ
Pan et al. Flexible Cathode Materials Enabled by a Multifunctional Covalent Organic Gel for Lithium–Sulfur Batteries with High Areal Capacities
Gholami laelabadi et al. Facile method of fabricating interdigitated and sandwich electrodes for high-performance and flexible reduced graphene oxide@ polyaniline nanocomposite supercapacitors
JP2010158104A (ja) アクチュエータ
JP2005224027A (ja) アクチュエータ素子
JP2012005340A (ja) イオン移動型アクチュエータ
JP6619875B2 (ja) 積層構造体、高分子アクチュエータ素子、センサ素子、および機器
JP2013027237A (ja) アクチュエータ
JP5594690B2 (ja) アクチュエータ振動システム
Dang et al. Electrodeposition of Graphene/Polypyrrole Electrode for Flexible Supercapacitor with Large Areal Capacitance
Asaka 13 Soft Actuators Kinji Asaka

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140204

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees