JP2013123366A - アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【課題】電極/イオン液体を含有する中間層/電極の三層積層構成のアクチュエータで、イオン液体の電位窓より高い電位を印加可能とし、発生力を向上させる。
【解決手段】互いに対向し合う一対の電極11,12と、一対の電極11、12の間に配置されたイオン液体を含む中間層15と、を有し、電極11、12の間にイオン液体の電位窓よりも大きな電位差が印加されるとそれらが変形するアクチュエータであって、一対の電極11、12のそれぞれと、中間層15との間に、イオン液体のイオンと電極11、12との直接接触を抑制するための絶縁層13、14が配置されている、ことを特徴とするアクチュエータ。
【選択図】図1
【解決手段】互いに対向し合う一対の電極11,12と、一対の電極11、12の間に配置されたイオン液体を含む中間層15と、を有し、電極11、12の間にイオン液体の電位窓よりも大きな電位差が印加されるとそれらが変形するアクチュエータであって、一対の電極11、12のそれぞれと、中間層15との間に、イオン液体のイオンと電極11、12との直接接触を抑制するための絶縁層13、14が配置されている、ことを特徴とするアクチュエータ。
【選択図】図1
Description
本発明はアクチュエータに関する。
近年、イオン液体を利用したイオン移動型のアクチュエータの開発が行われている。イオン液体は、支持電解質と溶媒から形成される電解質溶媒に比べて、電位窓が1V以上も広く、±3V程度もの比較的高い動作電圧をも設定できるという特徴を有している。
特許文献1には、導電炭素材料(カーボンナノチューブ)とイオン液体と有機ポリマーとからなる長尺状の一対の電極と、この一対の電極の間に配置された、イオン液体と有機ポリマーからなる中間層とで構成されるイオン移動型のアクチュエータが開示されている。このアクチュエータでは、中間層200の表面に相互に絶縁状態で形成されている2つの電極300、301間(図4(a))に電位差がかかると、イオン液体800の陽イオン700と陰イオン600が、それぞれカソードの電極301およびアノードの電極300に移動する(図4(b))。そして、電極300、301内の導電材料とイオン性物質相の界面に電気二重層が形成される。イオン液体は、陽イオン700のイオン半径が陰イオン600より大きい。その結果、電極内に移動するイオンの立体効果と、電気二重層形成に伴う静電反発が協同的に働き、電極301が電極300に比べより膨張し、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲変形駆動する。通常、電位の極性を反転させると素子は反対方向に屈曲変形する。なお、動作電圧は最大±3Vで行っている。
しかし、特許文献1に記載のアクチュエータでは、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を印加してしまうと、イオン液体は電気化学的に分解してしまい、アクチュエータの駆動劣化が起る。つまり、アクチュエータに強電界を印加し、該イオンの移動を促進しようとしても、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を印加することができず、結果として発生力向上に限界があった。
そこで本発明は、発生力が大きな、イオン液体を利用したアクチュエータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係るアクチュエータは、互いに対向し合う一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたイオン液体を含む中間層と、を有し、前記電極の間に前記イオン液体の電位窓よりも大きな電位差が印加されるとそれらが変形するアクチュエータであって、前記一対の電極のそれぞれと、前記中間層との間に、前記イオン液体のイオンと前記電極との直接接触を抑制するための絶縁層が配置されている、
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
本発明によれば、イオン液体のイオンと電極との直接的な接触が絶縁層により抑制されているため、電位窓よりも大きな電位差が印加されても、イオン液体のイオンが電気化学的に酸化・還元されることが抑制される。これにより、電極間に高い電圧を印加可能となり、発生力が大きいアクチュエータを提供することができる。また、駆動耐久性や安定性が良好なアクチュエータをも提供することができる。
本発明の実施形態を説明する。
(アクチュエータの構成)
本発明の実施形態に係るアクチュエータについて図1を用いて説明する。
本発明の実施形態に係るアクチュエータについて図1を用いて説明する。
本発明に係るアクチュエータは、変形する変位部位として、互いに対向し合う一対の電極11・12と、一対の電極の間に配置されたイオン液体を含む中間層15と、を有する。
アクチュエータは、電極11・12の間にイオン液体の電位窓よりも大きな電位差が印加されると、それら変位部位が変形する構成である。
そして、一対の電極のそれぞれと、中間層との間に、前記イオン液体のイオンと前記電極との直接接触を抑制するための絶縁層13・14が配置されている点に特徴を有している。
図1は本発明の実施形態に係るアクチュエータを一対の電極11、12と、これら電極の間に配置されているイオン液体を含有する中間層15とが絶縁層13、14を介して積層された構造を有する5層構成のアクチュエータ10を、電極と中間層と高誘電体材料から形成される絶縁層との積層方向(本図紙面の左右方向)に対して垂直な方向からみたときの模式図である。該各電極は、リード線17によって駆動電源16に接続されている。
本アクチュエータの中間層は少なくとも、イオン液体を含むため、駆動電源16によって、アクチュエータ素子に電圧を印加すると、電極11と電極12との間に電位差が印加され、中間層に存在するイオン液体中の各イオンが各電極にそれぞれ引き寄せられる。結果、各イオンが中間層のアノードおよびカソード近傍側面に移動し(カチオン種とアニオン種の大きさには差がある)、アクチュエータの長尺の端(変位端)が図中ブロック矢印の方向に屈曲変形する。
本形態アクチュエータにおいては、絶縁層によりイオン液体は電極と直接接することが抑制されているため、イオン液体(およびそのイオン種)へ、イオン液体電位窓よりも大きな電位差を加えても、電気化学的な酸化・還元が抑制できる。結果、従来の電極/中間層/電極から形成される三層構成アクチュエータのものに比べて、大きな電位差を印加することが可能となる。つまり、該電極間に大きな電位差を生じさせ、イオン液体の各イオンを効率よく中間層のアノードおよびカソード近傍側面に移動させ得ることが可能となる。
また、イオン液体の電位窓よりも高い電位を印加可能な構成にするためには、アクチュエータ素子電極間に印加する電位差、ならびに絶縁層、中間層それぞれの、誘電率、およびコンデンサ間の距離(膜厚)が下式で導かれる関係にするとよい。
つまり、本発明のアクチュエータは、3つのコンデンサを直列に配置した構成とみなすことができ、第一の絶縁層/中間層/第二の絶縁層における容量を、それぞれ、C1、C2、C3とした場合には、本発明におけるアクチュエータの容量は、C1、C2、C3の合成容量(Ctotal)であることから、下記の(式A)で表すことができる。
1/Ctotal=1/C1+1/C2+1/C3 ・・・(式A)
一方、また、アクチュエータ素子電極間に印加する電位差をVextとし、また中間層に印加される電位差をV2とすると、V2は、下記の(式B)で表すことができる。
V2=(Ctotal/C2)×Vext ・・・(式B)
また、コンデンサの静電容量は、下記の(式C)で表すことができる。
C=εS/d ・・・(式C)
ε:誘電率、S:電極面積、d:コンデンサ間の距離(膜厚)
よって、イオン液体の電位窓の大きさをδとすると、本発明においてV2は下記(式D)で表せ、また(式C)を用いて(式E)に変換できる。
V2=[(Ctotal/C2)×Vext]>δ ・・・(式D)
=[{(C1×C3×Vext)−(C1×C3×δ)}/(C1+C3)]>δC2 ・・・(式E)
1/Ctotal=1/C1+1/C2+1/C3 ・・・(式A)
一方、また、アクチュエータ素子電極間に印加する電位差をVextとし、また中間層に印加される電位差をV2とすると、V2は、下記の(式B)で表すことができる。
V2=(Ctotal/C2)×Vext ・・・(式B)
また、コンデンサの静電容量は、下記の(式C)で表すことができる。
C=εS/d ・・・(式C)
ε:誘電率、S:電極面積、d:コンデンサ間の距離(膜厚)
よって、イオン液体の電位窓の大きさをδとすると、本発明においてV2は下記(式D)で表せ、また(式C)を用いて(式E)に変換できる。
V2=[(Ctotal/C2)×Vext]>δ ・・・(式D)
=[{(C1×C3×Vext)−(C1×C3×δ)}/(C1+C3)]>δC2 ・・・(式E)
ここで上述した第一の絶縁層、中間層、第二の絶縁層に対する、誘電率、電極面積、コンデンサ間の距離を、それぞれ、ε1、ε2、ε3、および、S1、S2、S3、およびd1、d2、d3とし、また、S1=S2=S3であるため、中間層にイオン液体の電位窓よりも高い電位を印加(V2>δ)とするためには、ε1、ε3、およびd1、d3は下記(式F)の条件になることが必要である。
[(ε1×ε3)/{(ε1×d3)+(ε3×d1)}]×(Vext−δ)>δ(ε2/d2) ・・・(式F)
さらに、第一の絶縁層と第二の絶縁層が同一、つまり、ε1=ε3、および、d1=d3である場合には、(式F)は(式G)に変換することができる。
[{ε1×(Vext−δ)}/2d1]>δ(ε2/d2) ・・・(式G)
加えて、第一の絶縁層と第二の絶縁層に印加される電位差をそれぞれV1とV3すると、第一の絶縁層/中間層/第二の絶縁層の各層に印加される電位差と膜厚ならびに絶縁破壊電界(Ec)の関係は下記(H)である必要がある。
Ec>(V1/d1)、(V2/d2)、(V3/d3) ・・・(式H)
[(ε1×ε3)/{(ε1×d3)+(ε3×d1)}]×(Vext−δ)>δ(ε2/d2) ・・・(式F)
さらに、第一の絶縁層と第二の絶縁層が同一、つまり、ε1=ε3、および、d1=d3である場合には、(式F)は(式G)に変換することができる。
[{ε1×(Vext−δ)}/2d1]>δ(ε2/d2) ・・・(式G)
加えて、第一の絶縁層と第二の絶縁層に印加される電位差をそれぞれV1とV3すると、第一の絶縁層/中間層/第二の絶縁層の各層に印加される電位差と膜厚ならびに絶縁破壊電界(Ec)の関係は下記(H)である必要がある。
Ec>(V1/d1)、(V2/d2)、(V3/d3) ・・・(式H)
結果、上記関係を満たす構成にすることにより、アクチュエータ素子内の中間層にイオン液体の電位窓より大きい電位差を印加させ得ることが可能となり、発生力が大きい、イオン液体を利用したアクチュエータが得られる。
また、上記、電極/絶縁層/中間層/絶縁層/電極の5層構成から成るアクチュエータの中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を上記の絶縁層と接する面の近傍に有している場合には、発生力がより向上する。特に両者の界面に層として配置されることが好ましい。
つまり、図2に示すように、電極(21)/絶縁層(23)/イオン吸着部(25)/中間層(27)/イオン吸着部(26)/絶縁層(24)/電極(22)の7層構成から成るアクチュエータとした場合には、該ナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部のイオン吸着比表面積が高い。つまり、カソードの電極およびアノードの電極に引きつけられ該絶縁層界面近傍に移動したイオン液体のカチオン種およびアニオン種を該イオン吸着部が効率よく蓄積できるため、アクチュエータの発生力がより向上する。
またさらに、上記絶縁層が、樹脂中に無機物が含まれている絶縁層であり、該無機物が高誘電体セラミックスで構成されている場合には、誘電率の極めて高い絶縁層有するアクチュエータを簡便に作製することが可能となる。高誘電体材料から形成される絶縁層では、誘電率が良好であるため、中間層に効率良く電界を印加することが可能となり、また分極反転性も良好であるため、交流駆動における駆動対称性も良好となる。よって、このような場合には、さらに発生力が大きな、且つイオン液体を安定して駆動に利用できるアクチュエータを簡便に作製可能となる。
まず、上述したように、従来型の電極/中間層/電極の3層構成から成るアクチュエータでは、電極および電極に、電位差を印加することで、イオン液体のカチオン種およびアニオン種は、それぞれカソードの電極およびアノードの電極に移動する。ここで、陽イオンのイオン半径が陰イオンより大きいため、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲変形する(図4)。しかしながら、電極とイオン液体を有する中間層が直接接するため、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を印加することができない。つまり、イオンの移動効率は高くはない。
本発明に係る、絶縁層を有する、電極/絶縁層/中間層/絶縁層/電極の5層構成から成るアクチュエータでは、電極間に、電圧を印加することで、イオン液体のカチオン種およびアニオン種は、それぞれカソードの電極およびアノードの電極に引きつけられ、該絶縁層との界面近傍に移動する。この構成では、電極とイオン液体を有する中間層が直接接することを回避して変形することが可能になる。加えて、本発明のもう一つの特徴である、「該中間層に、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を印加させて変形駆動させる構成」とすることで、つまり、上記(式F)および式(H)を満たす構成とすることで、イオンの移動効率を高めることが可能となる。言い換えると、本構成においては、従来不可避であった、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を中間層に印加することが可能となるため、イオン液体のカチオン種およびアニオン種が、効率よくそれぞれカソードの電極およびアノードの電極に引きつけられ、該絶縁層との界面近傍に移動させ得ることが出来るようになる。
結果、発生力が大きい、イオン液体を利用したアクチュエータが得られる。
また、イオン液体が電極と全く接することがないため、電気学的に極めて安定になることから、駆動耐久性ならびに安定性が良好なアクチュエータが得られる。
次に、上記5層構成から成るアクチュエータにおいて、絶縁層が、樹脂中に無機物が含まれている絶縁層であり、該無機物が高誘電体セラミックスで形成された、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極の5層構成から成るアクチュエータでは、上記5層構成から成るアクチュエータと同様に、電極間に、電圧を印加することで、イオン液体のカチオン種およびアニオン種は、それぞれカソードの電極およびアノードの電極に引きつけられ、該絶縁層との界面近傍に移動する。この構成においても、電極とイオン液体を有する中間層が直接接することがなくなるために、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差を印加することが可能となる。またさらに、上述したように、高誘電体材料から形成される絶縁層では、絶縁膜部分での電位差のロスを極力抑え、該電極間に印加した大きな電位を中間層に印加することができるようになる。
つまり(式D)から、中間層に係る電位差、V2は、下記の(式X)とも表せられ、絶縁層の誘電率(ε1およびε3)が高くなると、電位差のロスが少なくなることが確認できる。
V2={(ε1×ε3)/(d1×d3)}/[{(ε2×ε3)/(d2×d3)}+{(ε1×ε3)/(d1×d3)}+{(ε1×ε2)/(d1×d2)}]×Vint ・・・(式X)
V2={(ε1×ε3)/(d1×d3)}/[{(ε2×ε3)/(d2×d3)}+{(ε1×ε3)/(d1×d3)}+{(ε1×ε2)/(d1×d2)}]×Vint ・・・(式X)
以上のことから、高誘電体材料から形成される絶縁層を用いた場合には、イオン液体のカチオン種およびアニオン種が、それぞれカソードの電極およびアノードの電極に引きつけられ、該絶縁層との界面近傍に移動する効率が高くなる。加えて、該絶縁層では、分極反転性も良好であるため、交流駆動における駆動対称性も良好となる。
結果、より発生力が大きく、交流駆動対称性が良好な、イオン液体を電解質溶媒として利用したアクチュエータが得られる。
以上、本発明の実施形態に係るアクチュエータについて、積層方向に対して垂直な断面が長方形の場合を例に説明したが、矩形平板状の構成の他、円形、三角形、楕円形等の各種構成を任意に選択可能である。
また、本実施形態においては、アクチュエータは単数あるいは複数の各素子から成る複合構成を取ることも可能である。
さらに、本アクチュエータは電極の外側が柔軟な絶縁膜や封止膜で少なくとも一部被覆されていてもよく、図1ならびに図2記載の5層積層構成および7層積層構成を基本構成単位として、変形駆動する構成としてさえいれば、求める性能に基づき任意の積層構成とすることができる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおける印加電圧は、イオン液体や電極、中間層、絶縁層が分解しない範囲であれば、自由に設定できるが、例えば、50V以下であることが好ましい。
(電極)
本発明における電極は、特に限定されるものでは無く、金属電極をはじめとして、導電性ポリマーや、バッキーペーパーをはじめとした、CNTなどの導電材料を押し固めたものや、CNTなどの導電材料とポリマーとから少なくとも構成される単膜状の「柔軟電極」など、従来、有機ポリマーを材料とするアクチュエータ(ソフトアクチュエータ)の電極として公知の電極を適宜用いることが可能である。
本発明における電極は、特に限定されるものでは無く、金属電極をはじめとして、導電性ポリマーや、バッキーペーパーをはじめとした、CNTなどの導電材料を押し固めたものや、CNTなどの導電材料とポリマーとから少なくとも構成される単膜状の「柔軟電極」など、従来、有機ポリマーを材料とするアクチュエータ(ソフトアクチュエータ)の電極として公知の電極を適宜用いることが可能である。
例えば、電極としては、めっきやスパッタ、蒸着などで形成された薄い金属電極であってもよいし、金箔であってもよい。またキャスト法などで形成された、導電材と電解質とポリマーを含有する柔軟フィルム電極であってもよい。もちろん、特許文献1に記載のカーボンナノチューブとイオン液体とバインダーポリマーとから形成される柔軟ゲル電極であっても構わない。
上記金属電極の厚みは、上記アクチュエータの伸張変形を阻害しない限り特に限定されるものではないが、それぞれの電極は、10nm以上5mm以下であることが好ましく、30nm以上2mm以下であることがより好ましく、80nm以上500μm以下であることがさらに好ましい。各電極の厚みが、10nm未満であれば、アクチュエータの電極として電気電導性の点で問題となる場合があるので好ましくない。また、電極の厚みが、5mmより大きくなれば、電極が固くなり素子の変形を阻害する場合がある。なお、アノード電極とカソード電極の厚みや材料は同じである必要はなく、所望するアクチュエータ特性に合わせて適宜選択することが出来る。
また上記の柔軟電極(柔軟フィルム電極・柔軟ゲル電極)の場合においても、電極の厚みは、上記アクチュエータの伸張変形を阻害しない限り特に限定されるものではないが、それぞれの電極は、1μm以上5mm以下であることが好ましく、5μm以上2mm以下であることがより好ましく、10μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。各電極の厚みが、1μm未満であれば、電極作製性に加え、アクチュエータの電極層として電気電導性の点で問題となる場合があるので好ましくない。また、電極の厚みが、5mmより大きくなれば、電極が導電材料を含むことにより固くなりもろく割れやすくなる場合があるため好ましくない。言うまでもないことであるが、該柔軟電極の表面に金属電極をさらに備えることも可能である。
なお、電極の形状は正方形や楕円など任意のものを用いることが出来るが、長尺形状である場合、前記一方の端部から他方の端部への方向が長い長尺状である方が、アクチュエータの駆動変形時に大きな変位量が得られるために好ましい。
(中間層・絶縁層)
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、中間層と絶縁層のそれぞれの誘電率ならびに膜厚の関係は、上記(式F)及び(式H)を満たし、また、前記中間層は少なくともイオン液体を有する膜であれば特に限定されない。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて、中間層と絶縁層のそれぞれの誘電率ならびに膜厚の関係は、上記(式F)及び(式H)を満たし、また、前記中間層は少なくともイオン液体を有する膜であれば特に限定されない。
<中間層>
中間層としては、例えば、従来電解質膜として公知のポリマー材料にイオン液体を含浸させたものや、特許文献1に記載されているような、ポリマー材料とイオン液体から成るゲル状の膜などを幅広く用いることができる。なお、電圧印加によるイオン移動効率の観点からは、中間層は多孔性が高いことが好ましく、ポリマー繊維多孔膜にイオン液体を含浸させて中間層を形成しても良い。
中間層としては、例えば、従来電解質膜として公知のポリマー材料にイオン液体を含浸させたものや、特許文献1に記載されているような、ポリマー材料とイオン液体から成るゲル状の膜などを幅広く用いることができる。なお、電圧印加によるイオン移動効率の観点からは、中間層は多孔性が高いことが好ましく、ポリマー繊維多孔膜にイオン液体を含浸させて中間層を形成しても良い。
上記ポリマー材料としては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;熱可塑性のポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他のポリマーとの共重合体としてもよい。
また上記中間層は、少なくともイオン液体を含んでいる必要がある。これにより、電極に電圧を印加することで、イオンが動いてアクチュエータが屈曲変形するようになる。
なお、上記ポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion、ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが、イオン液体と親和性が高い傾向があるため、特に好適に使用できる。本発明においては、これらの化合物の中から一種以上を選択すると良い。
上記イオン液体には、従来公知の電解質を添加することもできる。電解質としては、例えば、フッ化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を挙げることができる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて用いられるイオン液体とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩である。また、上記イオン液体はイオン伝導性が高いものが好ましい。
本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいては、各種公知のイオン液体を使用することができ、特に限定されるものではないが、常温(室温)または常温に近い温度において液体状態を呈する安定なものが好ましい。本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいて用いられる好適なイオン液体としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられる。なお、上記イオン液体は、2以上のイオン液体を組み合わせて用いてもよい。
上記イオン液体としては、より具体的には、下記の一般式(1)から(4)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン)と、アニオン(X−)より成るものを例示することができる。
上記の式(1)から(4)において、Rは炭素数1から12のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3から12のアルキル基を示す。式(1)においてR1は炭素数1から4のアルキル基または水素原子を示す。式(1)において、RとR1は同一ではないことが好ましい。式(3)および(4)において、xはそれぞれ1から4の整数である。
アニオン(X−)としては、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン、過塩素酸アニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジシアンアミドアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、有機カルボン酸アニオンおよびハロゲンイオンより選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記中間層の厚みは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、更には10μm以上400μm以下であることが好ましい。膜厚が500μmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの変形運動を抑制する場合がある。また10μm未満だと保持できるイオン性物質量が少なく電極層への供給量が少なくなるため、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
<イオン吸着部>
本発明の中間層には、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を少なくとも一方の電極と接する界面に有していてもよい。つまり、図2に示したような、絶縁層を有し、かつ中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を絶縁層と接する界面に有する7層構成のアクチュエータである。また、該吸着層は両電極に接する界面に有している方が、発生力向上には効果が高い。該イオン吸着部は、比表面積の観点より、少なくともナノカーボン材料を含んで形成されている必要がある。ナノカーボン材料としては、カーボンウイスカー(気相成長炭素)、ナノ炭素繊維、活性炭や炭素ナノ粒子、グラフェン、やカーボンナノチューブ(CNT)などを用いることができる。特にカーボンナノチューブ、グラフェンなどの吸着比表面積の高い、ナノカーボン材料を含有していることが効果的あり、もちろん、該イオン吸着部にはイオン液体が含浸されていることが好ましい。また言うまでもないことであるが、特許文献1に記載されているような、カーボンナノチューブ(CNT)とイオン液体のゲルから形成されていても良い。
本発明の中間層には、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を少なくとも一方の電極と接する界面に有していてもよい。つまり、図2に示したような、絶縁層を有し、かつ中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を絶縁層と接する界面に有する7層構成のアクチュエータである。また、該吸着層は両電極に接する界面に有している方が、発生力向上には効果が高い。該イオン吸着部は、比表面積の観点より、少なくともナノカーボン材料を含んで形成されている必要がある。ナノカーボン材料としては、カーボンウイスカー(気相成長炭素)、ナノ炭素繊維、活性炭や炭素ナノ粒子、グラフェン、やカーボンナノチューブ(CNT)などを用いることができる。特にカーボンナノチューブ、グラフェンなどの吸着比表面積の高い、ナノカーボン材料を含有していることが効果的あり、もちろん、該イオン吸着部にはイオン液体が含浸されていることが好ましい。また言うまでもないことであるが、特許文献1に記載されているような、カーボンナノチューブ(CNT)とイオン液体のゲルから形成されていても良い。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられるナノカーボン材料の一つである、CNTとは、グラファイトのシートが円筒状に丸まって構成されたものであり、その円筒径が1〜10nmのものである。本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられるカーボンナノチューブは、グラフェンシートが筒形に巻いた形状から成る炭素系材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWCNT)と多層ナノチューブ(MWCNT)とに大別され、様々のものが知られている。本発明の実施形態に係るアクチュエータにおいては、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。
また、ナノカーボン材料の一つである、炭素ナノ粒子とは、カーボンナノチューブ以外の、カーボンナノホーン、アモルファス状炭素、フラーレン等の炭素を主成分とするナノスケール(10−6〜10−9m)の粒子を言う。またカーボンナノホーンとは、グラファイトシートを円錐状に丸めた形状を持ち、先端が円錐状に閉じている炭素ナノ粒子をいう。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられるナノカーボン材料の一つである、ナノ炭素繊維とは、グラファイトのシートが円筒状に丸まって構成されたものであり、その円筒径が10〜1000nmのものであり、カーボンナノファイバとも呼ばれる。カーボンナノファイバとは、繊維の太さが75nm以上で中空構造を有し、分岐構造の多い炭素系繊維である。市販品では、昭和電工(株)のVGCF、VGNF等が挙げられる。
本発明の実施形態に係るアクチュエータで用いられるナノカーボン材料の一つである、グラフェンとは黒鉛構造の一部であって、平面構造を有する炭素六員環が二次元的に配列した炭素原子の集合体のこと、つまり1枚の炭素の層からなるもののことである。
また、イオン吸着部には所望するアクチュエータの性能によっては、従来公知のカーボン系材料や導電性ポリマーを1種またはそれらの混合物として含ませることもできる。他のカーボン系材料としては、通常、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭素繊維などを挙げることができる。
このなかでケッチェンブラックは、比表面積が800〜1300(m2/g)と大きい炭素微粒子でありイオンが吸着可能な部位を多く有することから、イオン吸着部を構成するのにより好ましい。
本発明の実施形態に係るアクチュエータのイオン吸着部における前記ナノカーボン材料の添加量はイオン吸着部の重量に対して1重量%以上が好ましい。イオン吸着部の重量に対して1重量%であることにより、イオン吸着部として効果的に機能しうることができるため好ましい。含有量が1重量%未満だと、イオン吸着能が十分に得られない場合があり、好ましくない。
イオン吸着部にはバインダーポリマーを含んでいてもよい。バインダーポリマーは、上記アクチュエータの変形に伴って変形可能な柔軟性を有するものであれば特に限定されるものではないが、加水分解性が少なく、大気中で安定であることが好ましい。かかるポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィド等のポリアリーレン類(芳香族系ポリマー);ポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)等に、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー等;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他のポリマーとの共重合体としてもよい。
また特に好ましいポリマーとしては、イオン液体との親和性の観点などから、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、などが挙げられる。
上述したように、本発明の実施形態に係るアクチュエータにおけるイオン吸着部の、ヤング率は、0.1〜600MPaであることが好ましい。この範囲にあると、アクチュエータ応用においては、イオン吸着部の柔軟性・伸縮性が向上し、耐塑性変形が向上するため、より繰り返し耐久性が高いイオン移動型アクチュエータの作製が可能となる。
また、上記イオン吸着部は、アクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、ポリマーおよび上記ナノカーボンの他の成分を含有していてもよい。また、含有させるポリマーの量は、10wt%以上60wt%以下であることが特に好ましい。ポリマー量に対してカーボン材料の割合が高ければ高いほうがイオンの吸着の観点から好ましいが、ポリマー量が5wt%未満である場合には、電極層に自立性がなく機械的に脆い場合があり、また80wt%を超える場合には含有させる上記導電性物質が相対的に少なくなってしまうためにアクチュエータの応答速度、発生力など面から実用的な使用が困難となってしまう場合がある。
イオン吸着部の厚みは、上記アクチュエータの伸張変形を阻害しない限り特に限定されるものではないが、それぞれのイオン吸着部は、1μm以上5mm以下であることが好ましく、5μm以上2mm以下であることがより好ましく、10μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。各電極の厚みが、1μm未満であれば、アクチュエータのイオン吸着部としてイオン蓄積能の点で問題となる場合があるので好ましくない。また、イオン吸着部の厚みが、5mmより大きくなれば、イオン吸着部がナノカーボン材料を含むことにより固くなりもろく割れやすくなる場合があるため好ましくない。なお、アノード電極層とカソード電極層の厚みや材料は同じである必要はなく、所望するアクチュエータ特性に合わせて適宜選択することも出来る。
<絶縁層>
上述したように、絶縁層としては、上記(式F)および(式H)を満たしていれば良く、限定されないが、特に高誘電性の絶縁薄膜であることが、該絶縁膜の分極配向特性や分極反転特性の観点から好ましい。
上述したように、絶縁層としては、上記(式F)および(式H)を満たしていれば良く、限定されないが、特に高誘電性の絶縁薄膜であることが、該絶縁膜の分極配向特性や分極反転特性の観点から好ましい。
本発明における高誘電性とは、誘電率が25℃、1kHzにおいて8以上であり、膜厚、抵抗値により異なるが、10〜10000であることが好ましく、20〜2000であることがさらに好ましい。通常、高分子絶縁膜の誘電率はせいぜい6程度と高くないため、絶縁膜の誘電性能を向上させるためには、高誘電率の誘電体をできる限り多く絶縁膜に充填したり、高誘電率の特殊な高分子材料を用いたりする必要がある。また、絶縁膜として強誘電性の材料を利用して作製することも良く、強誘電性材料に電圧を加えれば、物質内の電気双極子が電界方向に良好に配向し、またこの双極子の向きは電場の印加によって良好に反転させることができる。
本発明における高誘電絶縁層は、特に限定されるものでは無く、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、高誘電性無機粒子と有機高分子材料のハイブリットから成る膜でも良いし、従来公知の高誘電性高分子膜を単独・複合化して用いても良い。なお、有機/無機ハイブリットの場合には該高誘電性無機粒子として微粒子化したものを用いると、高分子中での均一分散効率を高めて形成することができるので好ましい。また言うまでもないことであるが、有機高分子材料成分としては、イオン液体との親和性が低いことも好ましい。
また、本発明における高誘電絶縁層として、高誘電性高分子を用いることが可能であり、それを単独で用いることもできるし、2種類以上を混合してもよい。また、高誘電性無機粒子と複合化してもよい。
また、高誘電絶縁層が高誘電性高分子単独からなる場合、あるいは他の有機高分子材料と混合して得られる場合、有機材料の特性から柔軟性がより得られる。ゆえに上記高誘電絶縁層用いた本発明のアクチュエータは、イオン液体の電位窓以上に電圧を印加すると、大きな発生力が得られると同時に、大きな変位量を示し屈曲変形することができるという点で好ましい。
上記高誘電絶縁層の厚みは、2μm以上50μm以下であることが好ましく、更には3μm以上10μm以下であることが好ましい。膜厚が50μmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの変形運動を抑制する場合がある。また2μm未満だと膜作製過程でピンホールが発生する場合があるのに加え、絶縁層としての膜が薄すぎてリーク電流が大量に流れてしまう場合もあり、高い電圧に対する絶縁効果が悪く、強電界をアクチュエータ素子に印加することができない。
〔高誘電絶縁層の形成工程〕
本実施形態の高誘電体膜の材料としては、特に限定されないが、通常、一般的な絶縁層(膜)として知られている有機高分子(絶縁性有機高分子)と高誘電性の無機粒子との混合物を用いることができるし、また従来公知の高誘電性の有機・高分子材料を単独、もしくは適宜組み合わせて用いることも可能である。絶縁性有機高分子の選択や、絶縁性有機高分子と前記無機粒子の間の質量比を調節することによって、誘電率を調節することができる。前記高誘電性の無機粒子の量は、前記有機高分子の量に対して10wt%以上90wt%以下であることが特に好ましい。前記有機高分子の量に対して前記高誘電性の無機粒子の割合が高ければ高いほうが、高誘電性効果の観点から好ましいが、該有機高分子の量が5wt%未満である場合には、高誘電性の絶縁層に自立性がなく機械的に脆い場合があり、また90wt%を超える場合には含有させる上記高誘電性物質が相対的に少なくなってしまうためにアクチュエータの発生力、交流駆動対称性など面から実用的な使用が困難となってしまう場合がある。なお、アクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、前記有機高分子および前記高誘電性の無機粒子の他の成分を含有していてもよい。
本実施形態の高誘電体膜の材料としては、特に限定されないが、通常、一般的な絶縁層(膜)として知られている有機高分子(絶縁性有機高分子)と高誘電性の無機粒子との混合物を用いることができるし、また従来公知の高誘電性の有機・高分子材料を単独、もしくは適宜組み合わせて用いることも可能である。絶縁性有機高分子の選択や、絶縁性有機高分子と前記無機粒子の間の質量比を調節することによって、誘電率を調節することができる。前記高誘電性の無機粒子の量は、前記有機高分子の量に対して10wt%以上90wt%以下であることが特に好ましい。前記有機高分子の量に対して前記高誘電性の無機粒子の割合が高ければ高いほうが、高誘電性効果の観点から好ましいが、該有機高分子の量が5wt%未満である場合には、高誘電性の絶縁層に自立性がなく機械的に脆い場合があり、また90wt%を超える場合には含有させる上記高誘電性物質が相対的に少なくなってしまうためにアクチュエータの発生力、交流駆動対称性など面から実用的な使用が困難となってしまう場合がある。なお、アクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、前記有機高分子および前記高誘電性の無機粒子の他の成分を含有していてもよい。
製膜方法に関しても、従来公知の製膜手法を適宜用いることができるが、特に湿式法が好ましい。湿式法とは、例えば、高誘電絶縁層(膜)を構成する前記の絶縁性有機高分子および高誘電性の無機粒子を溶媒の存在下で混合した溶液を得、該溶液を流延させた後、溶媒を除去し、成膜する方法である。使用する溶媒は、使用する有機高分子化合物等に応じて公知の溶媒から適宜選択すればよい。湿式法としては、例えば、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、マイクロコンタクトプリンティング、マイクロモルディングなどのソフトリソグラフィーと呼ばれる印刷法などを適応することもできる。これらの湿式法のうち、スピンコート法が特に好ましい。
高誘電性無機粒子としては、結晶構造中に正イオンと負イオンを有し、電気双極子が形成されるものであれば特に限定しない。より好ましくは、高誘電体セラミックスを挙げることができる。高誘電体セラミックスとしては、以下のようなペロブスカイト型化合物:チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LINbO3)、タングステンブロンズ構造化合物:メタニオブ酸鉛(PbNb2O6)、タングステン酸ビスマス(Bi2WO6)、ビスマス系層状構造化合物:ビスマス・ランタン・チタン酸化物(BLT)、ウルツ鉱(ウルツァイト型)構造結晶、酸化亜鉛(ZnO)、水晶(SiO2)、ロッシェル塩(NaK(C4H4O6)・4H2O)が採用可能であり、これらの化合物の中から一種以上を選択すると良い。この中でも、チタン酸カルシウムまたはチタン酸バリウムを主成分としたものは誘電率が高く、かつ容易に入手可能であるという観点からは好ましい。これらの高誘電性無機粒子は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。前記高誘電性無機粒子としては、分散性の観点から、通常、高誘電性無機ナノ粒子が好適に用いられる。該ナノ粒子の平均粒子径は、通常、分散性の観点から500nm以下、好ましくは1〜100nmである。なお、誘電率はJIS K 6911に従って、平均粒子径は動的光散乱法により測定することができる。
高誘電性高分子を用いることも可能であり、従来公知の高誘電性高分子を適宜単独および複合化して利用することが可能である。例えば、ナイロン11や「繊維学会誌,Vol.59,No.10,P30(2003」」に記載されている、ナイロン79、ポリウレア9、ポリチオウレア9、ポリウレタン37、ポリシアノフェニレンスルフィド、ポリビニリデンシアニド、ポリアクリロニトリル、ポリβプロピオラクトン、ポリ酢酸、ポリアルギン酸などが挙げられる。また、高誘電性高分子液晶を利用することもできる。高誘電性高分子液晶としては、例えば、特開2000−81627に記載されているような、ポリアクリレート主鎖、ポリメタクリレート主鎖、ポリクロロアクリレート主鎖、ポリオキシラン主鎖、ポリエステル主鎖、ポリシロキサン−オレフィン主鎖等の主鎖と、液晶性側鎖とからなる側鎖型高誘電性高分子液晶等を採用できる。これらの高誘電性高分子液晶は、通常、重量平均分子量が1000〜100万の範囲であり、好ましくは、重量平均分子量が1000〜10万の範囲のものである。このような側鎖型高誘電性高分子液晶のうち、ポリアクリレート主鎖系高誘電性高分子液晶としては、下記の繰返し単位を有するものが挙げられる。加えて、特開平5−5905に記載されているような、カイラルスメクチック相を有しており、具体的にはSmC* 相、SmH* 相、SmI* 相、SmJ* 相、SmG* 相を有しているものを用いることができる。またもちろん、特開平5−5905に記載されている、ブレンド等によって高誘電性を発現することが可能な光学活性高分子液晶も用いることができる。
また、特開平9−63905号公報には、電気二重層キャパシタにおいて分極性電極の活性炭および活性炭の表面の少なくとも一部に、酸化ケイ素もしくは金属酸化物からなる極薄(1μm以下)の被覆層を形成することで、該活性炭の活性点を被覆することが記載されている。
また、高誘電性高分子のなかで強誘電性高分子は、誘電率が高いことから、好ましい。強誘電性高分子とは、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)やフッ化ビニリデンと三フッ化エチレン(TrFE)との共重合体(PVdF(TrFE))である。強誘電性高分子を単独あるいは複数あるいは他の高分子と混合して用い高誘電絶縁層としてアクチュエータと作製すると、イオン液体の電位窓以上に電圧を印加した場合、大きな発生力が得られると同時に、大きな変位量を示し屈曲変形することができるという点で好ましい。
本発明においては、キャパシタとしての電気二重層を形成させる必要はなく、被覆層の厚みは1μmよりも厚くすることができる。また絶縁層は、膜厚ムラのない緻密な膜とすることもできる。また、絶縁膜の誘電率を高くすることで、絶縁膜部分で電位差のロスが生じず、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差(強電界)をアクチュエータの中間層に印加させ得ることができようになる。
本発明のアクチュエータを複数個集積し、該複数個のアクチュエータのそれぞれの電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段を設けることで、各アクチュエータの変形を駆動力として取り出す駆動装置とすることができる。
<アクチュエータの作製方法>
本発明の実施形態に係るアクチュエータの作製方法は、上記アクチュエータを作製することができる方法であればどのような方法であってもよいが、例えば、高誘電絶縁層の片面にスパッタ処理によって金属電極を作製した後、該二つの電極/高誘電絶縁層と中間層をホットプレスして圧着積層してもよいし、粘着剤を用いて積層させてもよいが、粘着剤を用いた場合には大掛かりな装置を必要とせず、より簡便に作製し易い。
本発明の実施形態に係るアクチュエータの作製方法は、上記アクチュエータを作製することができる方法であればどのような方法であってもよいが、例えば、高誘電絶縁層の片面にスパッタ処理によって金属電極を作製した後、該二つの電極/高誘電絶縁層と中間層をホットプレスして圧着積層してもよいし、粘着剤を用いて積層させてもよいが、粘着剤を用いた場合には大掛かりな装置を必要とせず、より簡便に作製し易い。
なお、本発明の実施形態に係るアクチュエータの形状は、短冊状とは限らず、任意の形状の素子が容易に製造可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(アクチュエータの性能評価)
アクチュエータの屈曲運動における発生力の評価は微小力評価用のロードセル(UL−10GR;ミネベア社製)を用いて行った。
アクチュエータの屈曲運動における発生力の評価は微小力評価用のロードセル(UL−10GR;ミネベア社製)を用いて行った。
つまり、アクチュエータを、幅3mm×長さ12mm×所定の膜厚の短冊状に作製し、アクチュエータの長尺端から2mmの部分を、固定器具の白金電極付きホルダー(端子)でつかんで、空気中で所定の電圧を印加して屈曲運動させた。その際のアクチュエータの固定端から2mmの位置の発生力を、ロードセルを用いて測定した。
アクチュエータの駆動対称性に関しては、アクチュエータを所定の大きさで作製し、端1mmの部分を、固定器具の白金電極付きホルダー(端子)でつかんで、空気中で、電圧を印加し、アクチュエータの変形応答の変位量を、レーザー変位計を用いて固定端から7mmの位置(アクチュエータ測定ポイント)で測定して確認した。なお、アクチュエータ(前記アクチュエータ測定ポイント)からレーザー変位計までの距離は6mmとした。
<実施例1>(電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極の5層構成から成るアクチュエータ)
本実施例1は、図1に示したような、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極からなる高誘電性の絶縁層が電極と中間層の間に積層された5層構造のアクチュエータである。
本実施例1は、図1に示したような、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極からなる高誘電性の絶縁層が電極と中間層の間に積層された5層構造のアクチュエータである。
高誘電性の絶縁層は以下の手順で作製した。
まず、高誘電性セラミックである、チタン酸バリウム(粒子サイズ100nm、アルドリッチ社製)を有機溶剤(DMAc)中、4時間超音波分散させる。その後、バインダーポリマーであるポリビニルピロリドン(PVP、重量平均分子量:130万、アルドリッチ社製)を添加する。この時、PVPの添加量は、PVPに対してチタン酸バリウムが60wt%になるように加える。その後、得られた混合液をさらに3時間超音波分散させる。
得られた分散混合液をPTFEから成る型に流し込み、ブレードなどで平坦に均した後、室温にて真空乾燥させることで高誘電性セラミックが均一分散して厚みの揃った高誘電性の絶縁層(膜)を得た。なお、厚みは10μmであった。また、該絶縁膜の誘電率は、100であった。
次に、得られた高誘電性の絶縁層(膜)の片側の面に白金電極をスパッタ法により、蒸着した。白金電極の厚みは約60nmとした。
また中間層は、以下の手順で作製した。
中間層は、ポリマー繊維膜にイオン液体が含まれた膜で形成した。
つまり、まず、母材であるPVdF(HFP)(関東化学社製)800mgと、イオン液体であるBMIBF4(関東化学社製、電位窓:4V)20mgと、有機溶剤であるアセトニトリル(AcCN)―N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)混合溶液(AcCN/DMF=1.9/1.4)3.2mLとを80℃で加熱混合した。得られた、混合溶液をエレクトロスピニング装置(メック社製)を用いて噴射して紡糸した。この時、エレクトロスピニングの紡糸口には25kVの電圧を印加した。
次に、コレクターに集積した、該ポリマー繊維膜にBMIBF4を含浸させることで、対応する中間層を得た。なお、厚みは100μmであった。ポリマー繊維の平均繊維径は、約160nmであった。また、SEM観察からポリマー繊維からなる多孔質な膜が形成されていることが確認された。誘電率は、10であった。
上記で得られた白金電極/高誘電性の絶縁層の積層膜と同様に上記で得られた中間層をアクリル系スプレー粘着剤を用いて積層してから所定の大きさにカッティングし、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極の5層構成からなるアクチュエータを得た。
<実施例2>(電極/高誘電性の絶縁層/イオン吸着部/中間層/イオン吸着部/高誘電性の絶縁層/電極の7層構成から成るアクチュエータ)
本実施例は、実施例1のアクチュエータの中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を上記の絶縁層と接する界面に有している、7層構成から成るアクチュエータであり、電極、高誘電性の絶縁層並びに中間層は実施例1と同様に作製した。
本実施例は、実施例1のアクチュエータの中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を上記の絶縁層と接する界面に有している、7層構成から成るアクチュエータであり、電極、高誘電性の絶縁層並びに中間層は実施例1と同様に作製した。
イオン吸着部は以下の手順で作製した。
ナノカーボン材料である単層カーボンナノチューブ(SWNT、Unidym社製、「HiPco」)50mgと、イオン液体(BMIBF4、電位窓:4V)100mgと、有機溶剤(DMAc)1mLを容器に入れる。
粒径2mmのジルコニアボールを容器容量の1/3まで加え、ボールミル機(フリッチュ社製遊星型微粒粉砕機)を用いて、200rpm/30分間の条件で分散処理を行う。
ナノカーボン材料である単層カーボンナノチューブ(SWNT、Unidym社製、「HiPco」)50mgと、イオン液体(BMIBF4、電位窓:4V)100mgと、有機溶剤(DMAc)1mLを容器に入れる。
粒径2mmのジルコニアボールを容器容量の1/3まで加え、ボールミル機(フリッチュ社製遊星型微粒粉砕機)を用いて、200rpm/30分間の条件で分散処理を行う。
次いで、母材であるPVdF(HFP)80mgをDMAc2mLで加熱溶解させて作った溶液を加え、更に500rpm/60分間の条件で分散処理を行った。
得られた混合溶液をPTFEから成る型に流し込み、ブレードなどで平坦に均した後、室温にて真空乾燥させることでナノカーボン材料が均一分散して厚みの揃ったイオン吸着部を得た。
上記で得られたイオン吸着部を所定の大きさにカッティングし、実施例1と同様にして作製した該中間層の両側に配置した状態で110℃/0.5kN/1分間の条件で圧着し対応する積層体を得た。該積層体をイオン液体(BMIBF4、電位窓:4V)中に1時間浸漬し、その後、約12時間真空乾燥した。なお、イオン吸着部の厚みはそれぞれ30μmであった。該積層体の誘電率は、13であった。次に得られたイオン吸着部/中間層/イオン吸着部からなる積層体に、実施例1で作製した電極/高誘電性の絶縁層を、粘着スプレーを用いて積層し、該電極/高誘電性の絶縁層/イオン吸着部/中間層/イオン吸着部/高誘電性の絶縁層/電極の7層構成から成るアクチュエータを得た。
<比較例1>(電極/中間層/電極の3層構成から成るアクチュエータ)
特許文献1を基にして、電極/中間層/電極の3層構成から成るアクチュエータを作製した。
特許文献1を基にして、電極/中間層/電極の3層構成から成るアクチュエータを作製した。
中間層は、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、PVDF−HFP(100mg、ポリマー)を、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)/アセトニトリル(5/1)および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、BMIBF4(100mg、イオン液体、電位窓:4V)と80℃で加熱混合した後キャストし、続いて乾燥することで成膜した。なお得られた中間層は所定の大きさにカッティングした。また厚みは100μmである。
CNTフィルム状の電極は、まず直径約1nm、長さ1μmのSWCNT(50mg、導電材料、Unidym社製「HiPco」)とBMIBF4(80mg)と、ジメチルフォルムアミド(dimethyfolmamide、DMF)1mLとをボールミル処理を30分間行い、DMF2mLに溶解させたPVDF−HFP80mgを添加後さらに30分間ボールミル処理することでCNTが分散した黒色のペーストを得る。この黒色ペーストをテフロン(登録商標)シートの上にキャスト続いて乾燥して該フィルム状の電極を得た。なお得られた電極は所定の大きさにカッティングした。また厚みは50μmである。
上記で得られた中間層の両側に該フィルム状の電極を配置した状態で110℃/0.5kN/1分間の条件で圧着し対応する電極/中間層/電極の3層構成から成るアクチュエータを得た。
(アクチュエータ性能評価結果)
下表に実施例における印加電圧(アクチュエータ素子の電極間にかけられた電位差)および発生力の結果を示した。なお発生力は、従来の三層積層型アクチュエータを用いた比較例1を基準(数値として1)とし、比較例1との相対的な値で示した。
下表に実施例における印加電圧(アクチュエータ素子の電極間にかけられた電位差)および発生力の結果を示した。なお発生力は、従来の三層積層型アクチュエータを用いた比較例1を基準(数値として1)とし、比較例1との相対的な値で示した。
まず、絶縁層を有する実施例1−2と比較例1とを比べる。該絶縁層を有するアクチュエータ(実施例1−2)では、±10Vもの電圧を印加してもアクチュエータが安定に駆動し、従来のイオン液体の電位窓(BMIBF4では4V)までしか印加できない三層構成の比較例1のものよりも駆動電圧が著しく向上した。つまり本発明の構成では、電極とイオン液体を有する中間層が直接接することがなくなるために、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差をアクチュエータ素子に印加することが可能となることが確認できた。
また上記(式X)から、本実施例においては、中間層には、アクチュエータ素子へ印加された電位差からのロスなしに、イオン液体の電位窓よりも遥かに大きな電位差(実施例1:9.80V、実施例2:9.84V)が加わっていることが確認できる。またさらに、駆動させたアクチュエータ素子におけるイオン液体の劣化程度に関して核磁気共鳴分光法分析により検討したが、全く劣化していないことも確認できた。
また、実施例1−2における、高誘電性セラミックスと樹脂から構成された高誘電性の絶縁層を有するアクチュエータの発生力は、従来のイオン液体の電位窓の範囲までしか印加できない三層構成の比較例1のアクチュエータよりも極めて高いことが確認できる。加えて、高誘電体材料から形成される絶縁層を用いることによって、アクチュエータ素子の電極間に印加した大きな電位とほぼ同じ電位を中間層に印加することができるようなることも確認できる(実施例1:9.80V、実施例2:9.84V)。つまり、高誘電性の絶縁層を用いた場合には、該絶縁層の誘電率が良好であるため、絶縁膜内での分極配向効率が高く、中間層に効率良く、電界を印加することが可能となり、結果として電圧印加によるイオン液体のカチオン種およびアニオン種が、該絶縁層との界面近傍に移動する効率が高くなり、高い発生力が得られることが確認できた。
またさらに、高誘電性の絶縁層を有する実施例1−2のアクチュエータにおいては、ナノカーボン材料であるカーボンナノチューブで形成された、イオン吸着部を有する実施例2のアクチュエータのものの方が、発生力が大きく、電極/高誘電体絶縁層/イオン吸着部/中間層/イオン吸着部/高誘電体絶縁層/電極の7層構成から成るアクチュエータ構成とした場合に、より高い発生力が得られることも確認できた。
加えて、高誘電性の絶縁層を有する実施例1−2のアクチュエータでは、交流駆動(0.1Hz)における駆動対称性も良好であった。交流駆動対称性(駆動対称性)に関しては、アクチュエータの変形が交流電場に対して対称に動くことを、レーザー変位計での測定から確認もできた。図3(a)には、交流駆動対称性が良好である結果の一例として、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極の5層構成から成る実施例1のアクチュエータを±20V、0.1Hzで駆動させた場合の変位応答特性を示してある。
また、図3(b)には、電極/高誘電性の絶縁層/中間層/高誘電性の絶縁層/電極の5層構成から成る実施例1のアクチュエータを0.1Hz、±1Vから±20Vで駆動させた場合の変位応答特性を示してある。ここから、印加電圧の向上とともに、アクチュエータの駆動性能が向上する効果も確認できる。
なお、本実施例におけるアクチュエータは、±20Vの電圧を印加しても安定して駆動することから、本実施例におけるアクチュエータの絶縁破壊電界は±20Vより高い。よって、本実施例におけるアクチュエータでは、上記の(式H)を満たした構成となっている。
またさらに、本実施例におけるアクチュエータは、いずれも±10Vにおいて5000回以上も安定して駆動したことから、本発明により、駆動安定性ならびに耐久性が良好となることも確認できる。
<実施例3>(電極/強誘電性高分子の絶縁層/イオン吸着部/中間層/イオン吸着部/強誘電性高分子の絶縁層/電極の7層構成から成るアクチュエータ)
本実施例は、実施例2のアクチュエータの高誘電性の絶縁層が強誘電性の高分子からなるアクチュエータである。またイオン吸着部に含まれるナノカーボン材料がSWNTの代わりにケッチェンブラックである。それ以外は実施例2と同様に作製した7層構成から成るアクチュエータである。
本実施例は、実施例2のアクチュエータの高誘電性の絶縁層が強誘電性の高分子からなるアクチュエータである。またイオン吸着部に含まれるナノカーボン材料がSWNTの代わりにケッチェンブラックである。それ以外は実施例2と同様に作製した7層構成から成るアクチュエータである。
強誘電性の高分子としては、実施例2におけるチタン酸バリウムを含有する高誘電性の絶縁層の代わりに、厚さ20μmのポリフッ化ビニリデン(PVdF、(株)クレハ製、KFピエゾフィルム)を用いた。なお誘電率は13であった。
イオン吸着部は、実施例2における50mgのSWNTの代わりに、30mgのケッチェンブラック(ライオン(株)製、ECP600JD)を用い、その他は同様に作製した。得られたイオン吸着部はケッチェンブラックが均一分散しており、厚みが65μmであった。
本実施例の電極/強誘電性高分子の絶縁層/イオン吸着部/中間層/イオン吸着部/強誘電性高分子の絶縁層/電極の7層構成から成るアクチュエータの積層は、実施例2と同様な方法で行った。
(アクチュエータ性能評価結果)
表2に実施例2、3および比較例1における印加電圧(アクチュエータ素子の電極間にかけられた電位差)、発生力および変位量の結果を示した。なお発生力と変位量は、従来の三層積層型アクチュエータを用いた比較例1を基準(数値として1)とし、比較例1との相対的な値で示した。
表2に実施例2、3および比較例1における印加電圧(アクチュエータ素子の電極間にかけられた電位差)、発生力および変位量の結果を示した。なお発生力と変位量は、従来の三層積層型アクチュエータを用いた比較例1を基準(数値として1)とし、比較例1との相対的な値で示した。
まず、絶縁層を有する実施例3と比較例1とを比べる。該絶縁層を有するアクチュエータ(実施例3)では、±10Vもの電圧を印加してもアクチュエータが安定に駆動し、従来のイオン液体の電位窓(BMIBF4では4V)までしか印加できない三層構成の比較例1のものよりも駆動電圧が向上した。つまり本発明の構成では、電極とイオン液体を有する中間層が直接接することがなくなるために、イオン液体の電位窓よりも大きな電位差をアクチュエータ素子に印加することが可能となることが確認できた。
また上記(式X)から、本実施例においては、中間層には、アクチュエータ素子へ印加された電位差からのロスなしに、イオン液体の電位窓よりも遥かに大きな電位差(実施例3:8.82V)が加わっていることが確認できる。またさらに、駆動させたアクチュエータ素子におけるイオン液体の劣化程度に関して核磁気共鳴分光法分析により検討したが、全く劣化していないことも確認できた。
また、実施例3における、強誘電性高分子からなる絶縁層を有するアクチュエータの発生力は、従来のイオン液体の電位窓の範囲までしか印加できない三層構成の比較例1のアクチュエータよりも極めて高いことが確認できる。加えて、高誘電体材料から形成される絶縁層を用いることによって、イオン液体の電位窓よりも遥かに大きな電位を中間層に印加することができるようなることも確認できる。つまり、高誘電性の絶縁層を用いた場合には、該絶縁層の誘電率が良好であるため、絶縁膜内での分極配向効率が高く、中間層に効率良く、電界を印加することが可能となり、結果として電圧印加によるイオン液体のカチオン種およびアニオン種が、該絶縁層との界面近傍に移動する効率が高くなり、高い発生力が得られることが確認できた。
また、これは絶縁層が高誘電性セラミックであるチタン酸バリウムを含有するアクチュエータ(実施例2)の変位量は、比較例1のアクチュエータの0.2倍であった。一方、柔軟な強誘電性高分子を用いた実施例3の変位量は0.8となった。よって、強誘電性高分子からなる絶縁層を持つアクチュエータは、高い発生力を得つつ、変位量も大きいことが確認できた。
なお、本実施例におけるアクチュエータは、±20Vの電圧を印加しても安定して駆動する。よって、本実施例におけるアクチュエータでは、上記の(式H)を満たした構成となっている。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
11、12 電極
13、14 高誘電性の絶縁層
15 中間層
16 駆動電源
17 リード線
13、14 高誘電性の絶縁層
15 中間層
16 駆動電源
17 リード線
Claims (11)
- 互いに対向し合う一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されたイオン液体を含む中間層と、を有し、前記電極の間に前記イオン液体の電位窓よりも大きな電位差が印加されるとそれらが変形するアクチュエータであって、
前記一対の電極のそれぞれと、前記中間層との間に、前記イオン液体のイオンと前記電極との直接接触を抑制するための絶縁層が配置されている、
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 前記中間層が、少なくともナノカーボン材料で構成されるイオン吸着部を前記絶縁層と接する面側に有している、請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記絶縁層が、絶縁性の高分子と、高誘電性の無機粒子と、を有する請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記絶縁層が、樹脂中に高誘電体セラミックスを有する絶縁層である請求項3に記載のアクチュエータ。
- 前記高誘電体セラミックスが、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LINbO3)、メタニオブ酸鉛(PbNb2O6)、タングステン酸ビスマス(Bi2WO6)、ビスマス・ランタン・チタン酸化物(BLT)、ウルツ鉱(ウルツァイト型)構造結晶、酸化亜鉛(ZnO)、水晶(SiO2)、ロッシェル塩(NaK(C4H4O6)・4H2O)の中から選択される少なくとも一種の化合物からなる請求項4に記載のアクチュエータ。
- 前記ナノカーボン材料が、カーボンナノチューブおよびケッチェンブラックの少なくもいずれか一方を含む請求項2に記載のアクチュエータ。
- 前記中間層が、ポリマー材料にイオン液体を含浸させたものである請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記ポリマー材料が、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion、ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)の中から選択される少なくとも一種の化合物を有する請求項5に記載のアクチュエータ。
- 前記絶縁層が、強誘電性高分子からなる請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記強誘電性高分子が、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)またはフッ化ビニリデンと三フッ化エチレン(TrFE)との共重合体(PVdF(TrFE))である請求項9に記載のアクチュエータ。
- 請求項1に記載のアクチュエータが複数個集積されており、
該複数個のアクチュエータのそれぞれの電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段を有する駆動装置。
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