JP5733964B2 - 高分子アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、高分子アクチュエータおよびその製造方法に関する。
導電性高分子や、導電体を内包した高分子ゲルの如き導電性の高分子材料は、電気化学的な伸縮作用が発生することが知られている。この現象を利用して、柔軟性のあるアクチュエータ(高分子アクチュエータ)を実用化する試みが進められている。このような高分子アクチュエータは、人工筋肉、ロボットアーム、義手、マイクロマシンの如き小型の用途だけでなく、大型化された用途への適用も注目されている。
医療用または工業用の湾曲駆動装置として、特開2004−350495号公報には、樹脂製チューブの外周面を覆う導電層と、該導電層の外周面を覆う4つの導電性高分子層と、各導電性高分子層を覆う電解質層と、を備える高分子アクチュエータが開示されている。しかし、特開2004−350495号公報には、外部電源との各導電性高分子層との確実な接続を行うための具体的な接続手段は開示されていない。
この課題に対して特開2009−28143号公報には、アクチュエータの外周にコイルを設け、このコイルの弾性押圧力によって、リード線と導電性高分子層との接触を高めようとする構成が開示されている。特開2009−28143号公報の構成は、アクチュエータ電極とリード線との確実なコンタクトが期待されるものの、これを実現するためにはコイル、該コイル部材が通電しないための絶縁膜、コイルからの押圧に対向するための端部部材と複数の部材が必要となる。加えて、伸縮する導電性高分子層の端部を直接押圧するものであり、導電性高分子層の変形に際して押圧部に負荷がかかるため、劣化しやすいという課題があった。
特開2004−350495号公報 特開2009−28143号公報
本発明は、伸縮動作する部分には電気的接点を直接設けることなく、複数のアクチュエータ電極に効率的に電圧を印加できる構成の高分子アクチュエータを提供するものである。
本発明は、絶縁性基材と、該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第1の端子と、該第1の端子に接して設けられている、第1のアクチュエータ電極と、該第1のアクチュエータ電極に接して設けられている電解質層と、該電解質層に接して設けられている、第2のアクチュエータ電極と、該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第2の端子と、該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部と、該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部に接して設けられている接続部とを有し、該第1の端子と該第2の端子との間に電圧を印加すると、該第1のアクチュエータ電極と、該電解質層と、該第2のアクチュエータ電極とが変形することを特徴とする高分子アクチュエータに関する。
さらに、本発明は、第1および第2のアクチュエータ電極間に電解質層を設け、該電極間に電圧を印加することによりそれらが変形する高分子アクチュエータの製造方法であって、以下の(i)〜(vii)の工程を有することを特徴とする高分子アクチュエータの製造方法に関する。
(i)通電のための第1の端子を絶縁性基材に接するように設ける工程、
(ii)第1のアクチュエータ電極を該第1の端子に接するように設ける工程、
(iii)電解質層を該第1のアクチュエータ電極に接するように設ける工程、
(iv)第2のアクチュエータ電極を該電解質層に接するように設ける工程、
(v)通電のための第2の端子を該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接するように設ける工程、
(vi)該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部を設ける工程、
(vii)該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するための接続部を該通電防止部に接するように設ける工程。
本発明によれば、第1および第2の2つのアクチュエータ電極間の絶縁状態を維持しつつ、第2のアクチュエータ電極と第2の端子との通電が達成されるように、通電防止部と接続部とが設けられている。これにより、それぞれのアクチュエータ電極に通電する2つの端子を共に絶縁性基材に接するように設けることができる。
このように構成することにより、絶縁性基材に接する2つの端子間に電圧を印加することで、アクチュエータ電極に直接電気接点を設けることなく、2つのアクチュエータ電極と電解質層とを変形させることができるようになる。
さらに、高分子アクチュエータを支持する支持部材や、電気的接続部材を、端子とそれに接した絶縁基材を介して取り付けることができ、伸縮動作する部分にはそれらを直接設ける必要がなくなる。これにより、変形の繰り返しによる接続箇所の劣化の心配がなく、且つ電気的接続が簡便な高分子アクチュエータを提供することができる。
特に線状の基材を芯材として中心部に配置し、電解質層とアクチュエータ電極を基材の周囲を被覆するように配置した柱状のアクチュエータ構造とすることで、線状の基材がアクチュエータの腱としての役割を果たす。さらに線状基材の両端にそれぞれ端子を設けることで、それぞれ異なる電極とのアクセスポイントとすることができ、両端部分を集束化することで簡便に集積化できる。
本発明の高分子アクチュエータを模式的に示す図であり、図1(a)は側面断面図であり、図1(b)は(a)のA−A’断面図である。 (a)〜(e)は、図1に示す高分子アクチュエータの製造工程を模式的に示す図である。 第2実施形態の高分子アクチュエータを模式的に示す図である。 第2実施形態の高分子アクチュエータに適用される絶縁性基材を示す図である。 第3実施形態の高分子アクチュエータを模式的に示す図である。 第4実施形態の高分子アクチュエータを模式的に示す図である。 第5実施形態の高分子アクチュエータを模式的に示す図である。 図1に示す高分子アクチュエータの多数本を集合させて形成した集束高分子アクチュエータを模式的に示す上面図であり、図8(a)は、多数の高分子アクチュエータを1列に並べて集合させた高分子アクチュエータを模式的に示す図であり、図8(b)は、高分子アクチュエータを2次元に多数束ねて形成した集合高分子アクチュエータを模式的に示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。なお、図1は、本発明の高分子アクチュエータを模式的に示す図であり、図1(a)はその全体構成を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A’における断面図である。図2は、図1に示す高分子アクチュエータの代表的な製造工程を模式的に示す図である。図3は変形例の高分子アクチュエータを模式的に示す図である。
1.高分子アクチュエータ
本発明の高分子アクチュエータは、図1(a)に示すように、絶縁性基材1と、該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第1の端子2と、該第1の端子に接して設けられている、第1のアクチュエータ電極4と、該第1のアクチュエータ電極に接して設けられている電解質層5と、該電解質層に接して設けられている、第2のアクチュエータ電極6と、該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第2の端子3と、該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部7と、該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部に接して設けられている接続部8とを有している。そして、第1の端子と第2の端子との間に電圧を印加すると、変形部分である第1のアクチュエータ電極4と、電解質層5と、第2のアクチュエータ電極6とが変形する。
本発明の好適な実施形態は、図1(a)および(b)に示すように、中心部に配置された長手方向に伸長している線状の絶縁性基材1に、この絶縁性基材上を被覆するように形成された円筒状の第1の端子2および円筒状の第2の端子3と、この第1の端子3上に接して設けられた円筒状のアクチュエータ電極4と、該アクチュエータ電極上に形成された円筒状の電解質層5と、電解質層上に形成された円筒状の第2のアクチュエータ電極6と、が配置されている。変形部分である第1のアクチュエータ電極4と、電解質層5と、第2のアクチュエータ電極6は、図1(b)に示されるように、この順で外周を被覆するように構成されている。更に、該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するために、この端子間の絶縁基材上に通電防止部7が配置され、そして該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部の周りを囲むように接続部8が設けられている。
これらは、図1(b)に示されるように同心円の筒状の構造を有してそれぞれ形成されており、全体として円柱状の高分子アクチュエータを構成している。
そして、第1のアクチュエータ電極4と、第2のアクチュエータ電極6が、それぞれの第1および第2の端子(2、3)に接続し、これらの端子によって外部から電圧が印加される。第1のアクチュエータ電極4と第2のアクチュエータ電極6との間に電圧が印加されることにより、軸方向(長手方向)に伸張することとなって変位の方向が一次元的となり、高効率に変位量を調整することが可能となる。
本発明で用いられる絶縁性基材としては、電気抵抗率が10Ω・m以上、1018Ω・m以下の基材であるとよい。あるいは、基材の端子接続箇所間での抵抗が1kΩ以上であることが望まれる。
本発明において求められる基材としての絶縁性は、2つの端子が共に接触した状態であってもそれらを通電させることのない絶縁性を備えていることである。すなわち、基材において各端子が直接接触する部分と、各端子が接触する導電性の部材が基材と接触する部分の表面が上記の絶縁性を備えていることが要求され、これらに関与しない基材内部の領域などは部分的に導電性を有していてもよい。
また基材としては、変形部分(第1のアクチュエータ電極4、電解質層5、および第2のアクチュエータ電極6)の変形に追従できるように、伸縮性を有することが好ましい。剛性の高い基材を用いることもできるが、この場合は変形部分が基材と独立して変形可能な構成にする必要がある。
好適な絶縁性基材の材料としては、基材の材質そのものが柔軟性を有して伸縮する場合は、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム、エピクロムヒドリンゴムの如くの各種ゴム材料が挙げられる。また、後述される電解質層と同様なポリマーを骨格とした柔軟な材料であっても構わない。
また、基材の材質そのものは剛性を有していても、バネやコイルのように構造体として構成することで伸縮性を示す材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂の如くの汎用プラスチック、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、4フッ化エチレンの如くのエンジニア・プラスチック、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミドの如くのスーパーエンジニアリング・プラスチック、の如くの樹脂材料が挙げられる。また、ガラスやアルミナ、ジルコニア、フェライト、フォルステライト、ジルコン、ステアタイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、の如くの各種セラミック材料が挙げられる。
第1および第2の端子(2、3)は、導電性の材料によって形成されている。好適な導電性の材料としては、カーボンブラックの如くの各種炭素材料や、金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、チタンの如くの各種金属材料が挙げられる。これら材料の粉末を有機溶媒や樹脂バインダと混練して作製した導電性のスラリーを絶縁性基材上に塗布乾燥して形成しても良く、また、めっきや蒸着、スパッタなどでバルクの薄層として形成してもよい。
絶縁性基材がゴムのような伸縮性のある材料で形成され、基材自身が変形する場合は、端子部分も形状変化に追従できるような柔軟性を有することが好ましい。このような場合は、導電性材料と樹脂が混練された高分子材料や、導電性高分子を有する高分子材料で端子を形成することがより好ましい。
また、絶縁性基材がある程度の剛性を有する樹脂やセラミックの如くで形成される場合は、端子部分は金や白金などのバルクの薄層を直接形成することが、導電性を大きくできることからより好ましい。
2つの端子の構成材料はそれぞれが同じであっても、異なっていても良い。
それぞれの端子に接して配置されるアクチュエータ電極4および6は、導電性を有する高分子材料で形成されている。導電性を有する高分子材料としては、導電性高分子や導電体を内包した高分子複合体が挙げられる。
導電性高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレンの如き導電性ポリマー材料を挙げることができる。
また、高分子複合体に用いる導電体としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの如くの各種炭素材料や、金属(金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、インジウム、イリジウム、チタン、アルミニウムの如く)粉(微粒子)、金属化合物(酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化第二スズ、ITOの如く)、金属繊維、導電性セラミックス材料の如き導電体が挙げられる。これら導電体を1種またはそれらの混合物として高分子複合体中に含有する。
該導電体を内包できる高分子としては、アクチュエータの動作に追従できる柔軟性を有するものであれば特に限定されるものではないが、加水分解性が少なく、大気中で安定なポリマーであることが好ましい。
このようなポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィドの如きポリアリーレン類(芳香族系ポリマー);ポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)の如くに、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンの如くの含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基の如くを導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルの如くのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレートを挙げることができる。
上記の導電体と、ポリマーとを組合わせて、導電体が内包した高分子材料を構成することができるが、それぞれ複数種の導電体と複数種のポリマーの材料とを混合して組合わせてもよい。
また、上述の導電性高分子材料と導電体を組み合わせて用いても構わない。
また、これら電極材料は、形成時において後述する電解質を内部に含有していても構わない。
また、上記ポリマーは、電解質層5と相溶性の高いポリマーであることが好ましい。電解質層5との相溶性および接合性が高いことで、強固に密着したアクチュエータを構成することが可能となる。このためポリマーは、電解質層5を構成する高分子化合物と、同種、類似または同一のポリマー構造を有するポリマー、または、同種、類似または同一の官能基を有するポリマーであることが好ましい。
また、電極4および6の少なくとも一方を金属のみからなる層として形成してもよい。このような電極を電解質層に直接形成する場合には、電極は導電材のみから形成されると見なしてもよい。これら金属層には金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、インジウム、イリジウム、チタン、アルミニウムの如く材料が挙げられる。これら層の形成には、めっきや蒸着、スパッタの如くで薄い金属層として形成してもよい。
特に好ましい形態としては、カーボンナノチューブをポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]やポリフッ化ビニリデン(PVDF)のポリマーと、イオン液体と、で混合してゲル化させたバッキーゲルをアクチュエータ電極に用いることが好ましい。また、第1および第2のアクチュエータ電極は同じ材料で形成されていても、異なっていてもよい。
電解質層5は、第1および第2のアクチュエータ電極間に電位差を印加できるような構成であれば良いが、電解質を保持しているポリマー材料で構成することが好ましい。電解質層としての好ましい構成は、電解質(即ち、溶融状態でイオン性を示す物質)と層構造を保持するためのポリマーマトリクス材料とを含む柔軟性を有する材料が挙げられる。上記の電解質層を構成する材料としては、イオン性物質を含有する非イオン性高分子化合物、あるいはイオン伝導性高分子化合物が挙げられる。これら材料では電場の存在下で電荷が移動して電流が流れるときに、イオンが電荷の担い手となる。イオン分子が一方または両方のアクチュエータ電極側に移動して局在化することで、局在化した部分が膨張し、高分子アクチュエータ全体としては変形が生じる。本発明においては、第1および第2のアクチュエータ電極、および電解質層5が柔軟性のある高分子材料で形成されているので、少なくともいずれかの部材に変形が生じることで、残りの部材も追従して変形が生じる。
ポリマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンの如くの含フッ素系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンの如くのポリオレフィン系ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルの如くのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;熱可塑性のポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。これらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基を修飾してもよく、他のポリマーとの共重合体としてもよい。
これらポリマーに含有されるイオン性物質としては、例えば、フッ化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムを挙げることができる。
また、イオン性物質として、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドやトリス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドやトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドのイオン、あるいはこれらの当該塩を含むことが好ましい。また、これらの対となるイオンとしては、リチウム、ナトリウムなどが用いられる。
また、イオン性物質としてイオン液体を用いれば空気中での駆動における耐久性が向上するためより好ましい。
ここでイオン液体とは、常温溶融塩または単に溶融塩とも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩である。また、イオン液体はイオン伝導性が高いものが好ましい。イオン液体には各種公知のものを使用することができるが、実使用温度域において液体状態を呈する安定なものが好ましい。好適なイオン液体としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩が挙げられ、これらを単独あるいは混合して用いてもよい。
本発明の電解質層としては、電解質にイオン液体を、ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]やポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いたものが好適に挙げられる。
各アクチュエータ電極(4、6)との密着性を良好にするために、アクチュエータ電極で用いられる高分子材料を電解質層5のマトリクス材料として利用することも好ましい。
通電防止部7は、第1の端子と第2の端子との通電を防止するために、両者の端子間に設けられている。絶縁性基材1上にこれと接して設けることで、積層構造を迂回して端子間が通電することを防止する。
通電防止部7の構成は、絶縁性の材料であれば構わないが、電解質層5と同じ材料で構成するとプロセスが容易になる。さらに、電解質層5が第2の端子方向に延長した部分を通電防止部7とし、電解質層5と通電防止部7とによって第1のアクチュエータ電極4の外周部を覆うように構成することで、第2の端子3から電気的な隔絶状態を形成することができる。
接続部8は、該第2のアクチュエータ電極6と該第2の端子3とを通電するための部材であり、通電防止部7上に接して設けられている。接続部8は導電材料で形成されていればよいが、第2のアクチュエータ電極6の変形に対応できる柔軟性を有している材料で形成することが好ましい。特に、第2のアクチュエータ電極と同じ材料で構成することで、接続性と変形に対する強度を維持できる。
本発明の構成により、図1の筒状の構造体のような、一方のアクチュエータ電極が基材から離間した構成であっても、該アクチュエータに通電する端子を絶縁性基材に接するように設けることができるようになる。
しかし、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、絶縁性基材1に共に接するように2つのアクチュエータ電極を形成してもよい。また、平面を有する絶縁性基材を用いることもできる。
本発明の高分子アクチュエータの大きさは、用いる用途に応じて適宜選択できる。例えば、直径が1μm〜数十cmの断面を有し、長手方向が1mm〜数十cmの柱状の高分子アクチュエータを作成できる。
本発明の端子と外部電源の端子との接続は、圧着の如き従来の接続方法で接続できる。本発明の端子は絶縁基材に接しているので、鰐口クリップのような物体を挟持できる外部端子を用いることで、絶縁性基材が支持体となり、端子同士を容易に押圧することができる。
2.高分子アクチュエータの製造方法
本発明にかかる高分子アクチュエータの製造方法は、以下の(i)〜(vii)の工程を有する。
(i)通電のための第1の端子を絶縁性基材に接するように設ける工程、
(ii)第1のアクチュエータ電極を該第1の端子に接するように設ける工程、
(iii)電解質層を該第1のアクチュエータ電極に接するように設ける工程、
(iv)第2のアクチュエータ電極を該電解質層に接するように設ける工程、
(v)通電のための第2の端子を該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接するように設ける工程、
(vi)該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部を設ける工程、
(vii)該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するための接続部を該通電防止部に接するように設ける工程。
以下に、図1で示した柱状の高分子アクチュエータの製造方法を、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の製造方法の一例を示す模式図である。まず、図2(a)に示すように、絶縁性基材1を用意する。絶縁性基材としては、好ましくは伸縮性のある弾性体が用いられる。ついで、図2(b)に示すように、電気絶縁基体の両端に第1の端子2および第2の端子3となる導電材料をパターニング形成する。2つの端子を同時に形成することで、製造工程の簡略化が達成されるが、第2の端子は後の別工程で形成してもよい。次に、図2(c)に示すように、第1の端子に接触するようにアクチュエータ電極層を被覆する。その後、図2(d)に示すように、第1のアクチュエータ電極層の外周に電解質層5を被覆する。この際に、同時に通電防止部7を形成する。そして、図2(e)に示すように、電解質層5の外周に第2のアクチュエータ電極6を設ける。この際に、通電防止部7の外周に接続部8を形成する。
いずれの工程も、個別に行ってもよいが、図2および上記に示すように、(1)(i)工程と、(v)工程(図2(b))、(2)(iii)工程と、(vi)工程(図2(d))、(3)(iv)工程と、(vii)工程(図2(e))、の(1)〜(3)の3組は互いを同時に、更には同じ材料で形成することができる。これらの少なくとも1つを行うことは、材料コストおよび製造プロセスの簡略化において効果的である。
各部材の形成方法は、従来公知の塗布法やスパッタ、浸漬法の如き層形成プロセスを適宜使用することができる。
3.高分子アクチュエータの第2実施形態
上述した高分子アクチュエータにおいては、中心部に円柱状の絶縁性基材が配置され、この円柱状絶縁基材1と同心円状に円筒状第1、第2のアクチュエータ電極(4、6)が配置され、これらの第1電極と第2電極との間に円筒状の電解質層5が密着して配置されて、全体として円柱状に形成されている。本発明の高分子アクチュエータは円柱状に限らず、楕円柱状や多角柱状の如き各種の形状を採用することが可能である。
加えて、絶縁性基材はらせん状の線状基材を有して構成されていてもよい。図3は、コイル型のバネ状構造を有する絶縁性基材を用いた第2実施形態の断面図である。
図3に示すように、柱状の高分子アクチュエータは、中心部にコイル型のバネ状構造を有し、両端部は直線状の構造を有する、プラスチック製の絶縁性基材1を有している。コイル型のバネ構造は、直線状の構造を被覆した端子2からの電圧を印加できるように導電性材料9がその表面に配置され、導電性を有するように構成されている。線材の間の空間が高分子材料10により埋められて、アクチュエータ電極4と絶縁性基材1とが複合化されている。すなわち、導電性材料と高分子材料とによって形成されるアクチュエータ電極4が絶縁性基材に接して構成されている。このアクチュエータ電極4の外周には、上記した実施形態と同様に電解質層5と、更にその外周にアクチュエータ電極6とを有しており、それらが同心円の筒状に配置されている。
そして、端子2と逆側のコイル構造の末端も、直線状の構造と連結している。この直線状の構造には、端子3が被覆されている。連結した部分には、端子3とアクチュエータ電極4とが通電しないように、導電性材料9の代わりに通電防止部7が配置されている。通電防止部7の外周を接続部8が被覆しており、外周のアクチュエータ電極6と端子3とが通電するように接続されている。
上記構成により、アクチュエータとしてのサイズを大きくした場合であっても、高分子アクチュエータが実用性能として十分な伸縮若しくは屈曲の変位を得ることができる。また、図3のアクチュエータは、コイル型のバネ状部材を含んでいるので、外力がかかる場合において、コイル状線材が補強材として機能し得るので、機械的強度の向上も図ることができる。また、端子2、3としては、アクチュエータ電極と同じ材料を用いることも可能である。ただし、この場合端子となる部分がアクチュエータの変形によって影響を受けないように変形部分から充分に離れた位置に端子部を構成することが重要である。また、絶縁性基材は、図4(a)に示すように網目状の面状基材であっても良く、また、図4(b)に示すように、蛇腹状の線状基材であっても良い。
これら絶縁性基材は、外力がかかる場合において、軸方向に伸縮し、また、軸方向に垂直な方向への撓みを抑制するため、本発明のアクチュエータに好適に適用可能である。
4.高分子アクチュエータの第3実施形態
上記実施形態の高分子アクチュエータにおいて、少なくとも一方の電極層を金属からなる層として形成することも可能である。
図5は、コイル型のバネ状構造を有する絶縁性基材を用いた場合における本発明の断面図である。
図5に示すように、柱状の高分子アクチュエータ1は、中心部にコイル型のバネ状構造を有し、両端部は直線状の構造を有する、プラスチック製の絶縁体基材1を有している。コイル型のバネ構造は、直線状の構造を被覆した端子2からの電圧を印加できるように導電性材料9がその表面に配置され、導電性を有するように構成されている。線材の間の空間が高分子材料10により埋められて、アクチュエータ電極4と絶縁性基材1とが複合化されている。すなわち、導電性材料と高分子材料とによって形成されるアクチュエータ電極4が絶縁性基材に接して構成されている。このアクチュエータ電極4の外周には、上記した実施形態と同様に電解質層5と、更にその外周にアクチュエータ電極6とを有している。
ここで、アクチュエータ電極6は、導電性材料と高分子材料とによって形成されるアクチュエータ電極4とは異なり、金属材料のみから成っている。
これら金属層には、金、白金、鉄、ニッケル、チタンなど上述した材料が挙げられる。これら金属層は電解質層上にめっきや蒸着、スパッタの如くで薄い金属層として直接形成しても良く、また、バルク体を電解質層に接着させて用いても良い。
金属層が電解質層上に薄層として直接形成された場合はアクチュエータの動作に対して多少の追従性を有するが、ひずみの大きさに対して電気電導性が変化しやすいなど考慮すべき点がある。そのため、アクチュエータ電極6はバルク体として形成され、かつ、構造的に伸縮性を有することがより好ましい。図5において、アクチュエータ電極6は、コイル型のバネ状構造を有し、絶縁性基材の外側に同心円となるよう配置されている。
そして、端子2と逆側のコイル構造の末端も、直線状の構造と連結している。この直線状の構造には、端子3が被覆されている。連結した部分には、端子3とアクチュエータ電極4とが通電しないように、導電性材料9の代わりに通電防止部7が配置されている。通電防止部7の外周を接続部8が被覆しており、外周のアクチュエータ電極6と端子3とが通電するように接続されている。
上記構成により、アクチュエータとしてのサイズを大きくした場合であっても、高分子アクチュエータが実用性能として十分な伸縮若しくは屈曲の変位を得ることができる。また、図5のアクチュエータは、外周部にコイル型のバネ状部材を含んでいるので、アクチュエータ内部の構造を保護するのに役立ち、また、外力がかかる場合において、コイル状線材が補強材として機能し得るので、機械的強度の向上も図ることができる。
また、アクチュエータ電極6は、バネ状のほか、網目状であっても良く、また、蛇腹状の線状基材であっても良い。
5.高分子アクチュエータの第4実施形態
上記実施形態の柱状の高分子アクチュエータにおいて、電解質層を電解質溶液で形成された層とすることも可能である。
図6は、コイル型のバネ状構造を有する絶縁性基材を用いた場合における本発明の断面図である。
図6に示すように、柱状の高分子アクチュエータ1は、中心部にコイル型のバネ状構造を有し、両端部は直線状の構造を有する、プラスチック製の絶縁体基材1を有している。コイル型のバネ構造は、直線状の構造を被覆した端子2からの電圧を印加できるように導電性材料9がその表面に配置され、導電性を有するように構成されている。線材の間の空間が高分子材料10により埋められて、アクチュエータ電極4と絶縁性基材1とが複合化されている。すなわち、導電性材料と高分子材料とによって形成されるアクチュエータ電極4が絶縁性基材に接して構成されている。
ここで、本実施形態におけるアクチュエータの電解質層5は電解質を保持するポリマー材料を含まず、溶融状態のイオン性物質のみから形成される。
また、溶融状態である電解質層が漏れ出ないように、柱状の高分子アクチュエータの外周には、筒状の構造で電解質の透過を防ぐ漏洩防止部13が形成されている。該漏洩防止部は電解質成分に耐性のある樹脂あるいは金属によって形成され、端子2および端子3の突出部分のみを除いて高分子アクチュエータを被覆している。漏洩防止部の材料としては、他に、絶縁性基材に用いられる樹脂材料あるいはセラミックス材料などを適用可能である。
また、金属としては、金、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、マグネシウムなどが挙げられる。また、樹脂材料の表面に金属材料を形成するような複合構成であっても構わない。
また、これら材質の内側表面に、溶液の透過を抑制する、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等これらを含むポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンとポリ塩化ビニルあるいはメタクリル酸等との共重合体、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂等が挙げられ、また、それぞれの共重合体あるいは、各高分子をアロイ、ブレンドしたもの等を被覆してあっても構わない。
また、漏洩防止部13が端子2、3の部分と完全に接合している場合は、アクチュエータの動作に追従するよう漏洩防止部13自身が構造として伸縮性を有することが好ましい。このような場合は、漏洩防止部13は材質的に柔軟であるか、あるいは蛇腹構造のように構造的に伸縮性を有することがより好ましい。
また、漏洩防止部13が端子2、3の少なくとも片方と完全に接合されず、摺動性を有するような場合は、漏洩防止部13自身が必ずしもアクチュエータの動作に追従するよう伸縮する必要は無い。このような場合は、アクチュエータ電極4が形成された絶縁性基材1の領域のみが伸縮するため、漏洩防止部13は少なくともアクチュエータ電極4が形成された絶縁性基材1の領域の変形量よりも構造的に長いことが好ましい。漏洩防止部13と端子2、3の接触部分に摺動性を備えるためには、例えば、接触部分にはイオン性物質に耐性のある柔軟なゴム等のシール材料を配置することが好ましい。
外周のアクチュエータ電極6は、該漏洩防止部13の内周面に形成され、構造上、上記した実施形態と同様にアクチュエータ電極4の外周に、電解質層5と、更にその外周にアクチュエータ電極6とを有しており、それらが同心円の筒状に配置されている。
そして、端子2と逆側のコイル構造の末端も、直線状の構造と連結している。この直線状の構造には、端子3が被覆されている。連結した部分には、端子3とアクチュエータ電極4とが通電しないように、導電性材料9の代わりに通電防止部7が配置されている。通電防止部7の外周を接続部8が被覆しており、外周のアクチュエータ電極6と端子3とが通電するように接続されている。
2つのアクチュエータ電極間は常に通電が防止できるように、電極間の間隔が規定される構成にする必要がある。例えば、漏洩防止部13の少なくとも一部を剛性を有する材料で構成し、第2アクチュエータ電極6を支持する構成や、アクチュエータ電極間の間隔を規定する間隔規定部材(スペーサ)を設けることも好ましい。
また、漏洩防止部13自身、あるいは、その最内層が金属で形成されている場合は、漏洩防止部自体をアクチュエータ電極6と見なしても構わない。
上記構成により、アクチュエータとしてのサイズを大きくした場合であっても、実用性能として十分な伸縮の変位を得ることができる。また、図6のアクチュエータは、電解質層に骨格となるポリマー材料を含まず、溶融状態のイオン性物質のみから形成されるため、電圧印加に対するイオンの移動度や拡散距離がより大きくなる。そのため、より応答性や動作効率に優れたアクチュエータを提供することが可能となる。
6.高分子アクチュエータの第5実施形態
本発明の高分子アクチュエータは、円柱状に限らず、平面を有する絶縁性基材上に積層したアクチュエータ電極(4、6)および電解質層5を堆積させた構造を採用することができる。
図7は、平板状基板である絶縁性基材1上に平板状のアクチュエータを形成した場合の本発明の断面図を示したものである。
図7(a)に示すように、平板状のアクチュエータは、基板として平板状のプラスチック製の絶縁性基材1を有している。基板上面には、端子2がその表面に配置され、導電性を有するように構成されている。
更に基板平面上の一端を端子2を少なくとも被覆するように電極4が形成され、アクチュエータ電極4と絶縁性基材1と接触している。このアクチュエータ電極4の上方には、上記した実施形態と同様に電解質層5と、更にその上方にアクチュエータ電極6とを有しており、それらが絶縁性基材を基板とした平板状に配置されている。
そして、端子2と逆側の絶縁基板上には、端子3が被覆されている。連結した部分には、端子3とアクチュエータ電極4とが通電しないように、通電防止部7が配置されている。通電防止部7の上方を接続部8が被覆しており、上方のアクチュエータ電極6と端子3とが通電するように接続されている。
上記構成により、図7(b)で示すようなアクチュエータの屈曲の運動を得ることが可能である。該構成は、例えば、リレーやスイッチなどの各種電子デバイスへの利用が考えられる。
7.多数の高分子アクチュエータの集合体からなる高分子アクチュエータ
上記実施形態の柱状の高分子アクチュエータを複数用いて、集積化させた集束高分子アクチュエータを構成できる。具体的には、多数本の柱状の高分子アクチュエータの第1の端子同士が束ねられており、且つ多数本の高分子アクチュエータの第2の端子同士が束ねられている、ように構成することで集束高分子アクチュエータとなる。
図8に示すように、複数本の高分子アクチュエータを並列に接続して集束させると、取り出せる力は、1本当たりの高分子アクチュエータの力の合算となるように構成できる。
図8(a)は、複数の高分子アクチュエータ一列に配置させたものである。各アクチュエータの両端に端子2、3がそれぞれ配置されているので、これらを集束して、例えば捩るようにすれば複数の素子の各アクチュエータ電極の印加電圧を同じにすることができる。
図8(b)は、高分子アクチュエータを軸断面に対して2次元的に配置した構成である。各高分子アクチュエータの端子は集束部材11、12によってそれぞれ集束されており、この集束部材から電圧を供給することで高分子アクチュエータが軸方向に伸縮する。生体の筋繊維と同様に、しなやかに且つ強力な変形が発生する。
なお、高分子アクチュエータの端子同士は必ずしも図8で示すように捩る必要は無く、端子2同士あるいは端子3同士が同じ電位(例えば端子2同士が正極であり、端子3同士が負極である)となるならばどのようなまとめ方をしても構わない。
なお、複数の集合高分子アクチュエータを機械的には直列に接続するようにすると、大きな変位量を取り出せるようになる。したがって、用いられる用途に応じて、機械的に並列に接続したり、あるいは機械的に直列に接続したりすればよい。
1 絶縁性基材
2 第1の端子
3 第2の端子
4 第1のアクチュエータ電極
5 電解質層
6 第2のアクチュエータ電極
7 通電防止部
8 接続部
9 導電性材料
10 高分子材料
11、12 集束部材

Claims (12)

  1. 平板状の絶縁性基と、
    該絶縁性基板上に接して設けられている通電のための第1の端子と、
    該第1の端子に接して設けられている、第1のアクチュエータ電極と、
    該第1のアクチュエータ電極に接して設けられている電解質層と、
    該電解質層に接して設けられている、第2のアクチュエータ電極と、
    該第1の端子と離間して該絶縁性基板上の同一面上の異なる位置に接して設けられている通電のための第2の端子と、
    該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部と、
    該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部に接して設けられている接続部と
    を有し、
    該第1の端子と該第2の端子との間に電圧を印加すると、該第1のアクチュエータ電極と、該電解質層と、該第2のアクチュエータ電極とが変形する
    ことを特徴とする高分子アクチュエータ。
  2. 該第1のアクチュエータ電極が、導電性を有する第1の高分子材料で形成されており、また、該第2のアクチュエータ電極が、導電性を有する第2の高分子材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の高分子アクチュエータ。
  3. 該第2のアクチュエータ電極が、該絶縁性基材から離間して設けられていることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ。
  4. 絶縁性基材と、
    該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第1の端子と、
    該第1の端子に接して設けられている、第1のアクチュエータ電極と、
    該第1のアクチュエータ電極に接して設けられている電解質層と、
    該電解質層に接して設けられている、第2のアクチュエータ電極と、
    該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第2の端子と、
    該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部と、
    該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部に接して設けられている接続部と
    を有し、
    該第1の端子と該第2の端子との間に電圧を印加すると、該第1のアクチュエータ電極と、該電解質層と、該第2のアクチュエータ電極とが変形する高分子アクチュエータであって、
    該絶縁性基材が、長手方向に伸長している線状の基材であり、該基材の長手方向の断面において、該第1のアクチュエータ電極、該電解質層、および第2のアクチュエータ電極がこの順に被覆するように配置されている柱状の形状を有しており、
    該第1の端子と、該第2の端子とが、該線状の基材の長手方向に離間してそれぞれ配置されていることを特徴とする柱状の高分子アクチュエータ。
  5. 絶縁性基材と、
    該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第1の端子と、
    該第1の端子に接して設けられている、第1のアクチュエータ電極と、
    該第1のアクチュエータ電極に接して設けられている電解質層と、
    該電解質層に接して設けられている、第2のアクチュエータ電極と、
    該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接して設けられている通電のための第2の端子と、
    該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部と、
    該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するために、該通電防止部に接して設けられている接続部と
    を有し、
    該第1の端子と該第2の端子との間に電圧を印加すると、該第1のアクチュエータ電極と、該電解質層と、該第2のアクチュエータ電極とが変形する高分子アクチュエータであって、
    該絶縁性基材が、長手方向に伸長している線状の基材であり、該基材の長手方向の断面において、該第1のアクチュエータ電極、該電解質層、および第2のアクチュエータ電極がこの順に被覆するように配置されている柱状の形状を有しており、
    該第1の端子と、該第2の端子とが、該線状の基材の両端にそれぞれ配置されていることを特徴とする柱状の高分子アクチュエータ。
  6. 該絶縁性基材がコイル形状、網目形状、蛇腹形状であることを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータ。
  7. 該第1のアクチュエータ電極、該電解質層、および該第2のアクチュエータ電極は、同じポリマー材料で形成されているとともに、少なくとも該電解質層にはイオン性液体を有しており、且つ該第1および該第2のアクチュエータ電極には、導電体を有することを特徴とする請求項2に記載の高分子アクチュエータ。
  8. 第1および第2のアクチュエータ電極間に電解質層を設け、該電極間に電圧を印加することによりそれらが変形する高分子アクチュエータの製造方法であって、以下の(i)〜(vii)の工程を有しており、
    (i)通電のための第1の端子を絶縁性基材に接するように設ける工程、
    (ii)第1のアクチュエータ電極を該第1の端子に接するように設ける工程、
    (iii)電解質層を該第1のアクチュエータ電極に接するように設ける工程、
    (iv)第2のアクチュエータ電極を該電解質層に接するように設ける工程、
    (v)通電のための第2の端子を該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接するように設ける工程、
    (vi)該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部を設ける工程、
    (vii)該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するための接続部を該通電防止部に接するように設ける工程、さらに
    該(i)工程と、該(v)工程とを同時におこなうことを特徴とする高分子アクチュエータの製造方法
  9. 第1および第2のアクチュエータ電極間に電解質層を設け、該電極間に電圧を印加することによりそれらが変形する高分子アクチュエータの製造方法であって、以下の(i)〜(vii)の工程を有しており、
    (i)通電のための第1の端子を絶縁性基材に接するように設ける工程、
    (ii)第1のアクチュエータ電極を該第1の端子に接するように設ける工程、
    (iii)電解質層を該第1のアクチュエータ電極に接するように設ける工程、
    (iv)第2のアクチュエータ電極を該電解質層に接するように設ける工程、
    (v)通電のための第2の端子を該第1の端子と離間して該絶縁性基材に接するように設ける工程、
    (vi)該第1の端子と該第2の端子との通電を防止するための通電防止部を設ける工程、
    (vii)該第2のアクチュエータ電極と該第2の端子とを通電するための接続部を該通電防止部に接するように設ける工程、さらに
    該(iii)工程と、該(vi)工程とを同時におこなうことを特徴とする高分子アクチュエータの製造方法
  10. 該(ii)工程の第1のアクチュエータ電極が導電性を有する第1の高分子材料で形成されており、また、該(iv)工程の第2のアクチュエータ電極が導電性を有する第2の高分子材料で形成されていることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータの製造方法。
  11. 該(iv)工程と、該(vii)工程とを同時に行う請求項8または9のいずれか1項に記載の高分子アクチュエータの製造方法。
  12. 請求項4から6のいずれかに記載の高分子アクチュエータの集合体で形成されている集束高分子アクチュエータであって、
    複数本の該高分子アクチュエータの該第1の端子同士が束ねられており、
    且つ複数本の該高分子アクチュエータの該第2の端子同士が束ねられている、
    ことを特徴とする集束高分子アクチュエータ。
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