JP2010158104A - アクチュエータ - Google Patents

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栄 須田
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Abstract

【課題】低い印加電圧で駆動し、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が得られる高分子アクチュエータを提供する。
【解決手段】導電材を含有する第1の導電層と、導電材を含有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に挟持されたイオン性物質を含有するイオン伝導層とからなり、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に電圧を印加することで屈曲運動するアクチュエータであって、下記の式(1)、(2)の少なくとも一方を満たすアクチュエータ。
Va > Va ・・・ (1)
> A ・・・ (2)
(ただし、第1の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第2の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第1の導電層における導電材の界面積をA、第2の導電層における導電材の界面積をAとする。)
【選択図】図1

Description

本発明はアクチュエータに関し、特に導電層がイオン性物質を含有するイオン伝導層を挟持してなり、導電層間に電圧を印加することで屈曲するアクチュエータに関する。
産業用や医療用、パーソナル用のロボット、マイクロマシン等の分野で、小型で軽量、そして柔軟なアクチュエータの必要が高まっており高分子アクチュエータの開発が行われている。高分子アクチュエータとして、イオン交換膜と接合電極からなり、イオン交換膜の含水状態において、イオン交換膜に電位差をかけてイオン交換膜に湾曲、変形を生じさせるイオン導電性高分子アクチュエータや、電場の方向に収縮し、電場と垂直な方向には膨張する誘電エラストマーを用いた誘電型エレクトロアクティブ高分子アクチュエータ、導電性高分子質中のレドックス伸縮を利用した電子導電性高分子アクチュエータなどが挙げられる。
高分子アクチュエータをロボットやマイクロマシン等に用いる場合、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が求められる。そこで電場印加時に収縮変形するポリウレタンエラストマーの両面に剛性の異なる導電層を形成することで、エラストマーの収縮変形を屈曲変形に転換し、変位量を大きくした誘電型エレクトロアクティブ高分子アクチュエータが提案されている(特許文献1参照)。しかし、このアクチュエータを変形するために100V以上の電圧を印加している。そのために、より低い印加電圧で、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が得られるアクチュエータが求められている。
一方、低い印加電圧で屈曲変形し大きな変位量が得られる高分子アクチュエータとして、次のようなイオン導電性高分子アクチュエータが挙げられる。すなわち、イオン液体を有するイオン伝導層を、カーボンナノチューブとイオン液体を有する一対の電極で挟持し、電極間に電圧を印加することで屈曲変形するアクチュエータが提案されている。このアクチュエータは、空気中および真空中において数V以下という低電圧で屈曲変形することができる。(特許文献2参照)。しかし、このようなイオン導電性高分子アクチュエータにおいて、大きな変位量、発生力を得ようとして印加電圧を大きくする場合、イオン液体の電位窓以上の印加電圧を加えるとイオン液体が分解してしまう。そのため、印加電圧を大きくすることによって大きな変位量、発生力を得ようとしても限界がある。したがって、低い印加電圧で駆動し、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が得られるアクチュエータが望まれている。
特開平08−335726号公報 特許第04038685号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低い印加電圧で駆動し、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が得られるアクチュエータを提供するものである。
本発明は、導電材を含有する第1の導電層と、導電材を含有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に挟持されたイオン性物質を含有するイオン伝導層とからなり、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に電圧を印加することで屈曲運動するアクチュエータであって、下記の式(1)、(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とするアクチュエータである。
Va > Va ・・・ (1)
> A ・・・ (2)
(ただし、第1の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第2の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第1の導電層における導電材の界面積をA、第2の導電層における導電材の界面積をAとする。)
本発明によれば、低い印加電圧で駆動し、作用を及ぼしたい方向において大きい変位量や発生力が得られるアクチュエータを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るアクチュエータは、導電材を含有する第1の導電層と、導電材を含有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に挟持されたイオン性物質を含有するイオン伝導層とからなり、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に電圧を印加することで屈曲運動するアクチュエータであって、下記の式(1)、(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とするアクチュエータである。
Va > Va ・・・ (1)
> A ・・・ (2)
(ただし、第1の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第2の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第1の導電層における導電材の界面積をA、第2の導電層における導電材の界面積をAとする。)
まず、本発明に係るアクチュエータの駆動原理について説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの一例の構成の概略および駆動原理を示す図である。図1(a)は、導電材を含有する第1の導電層1と、導電材を含有する第2の導電層2であり、第1の導電層1における導電材以外が占める体積Vaが第2の導電層2における導電材以外が占める体積Vaより大きく、あるいは第1の導電層1の界面積Aが前記第2の導電層2の界面積Aより大きく、前記第1の導電層1と第2の導電層2間にカチオン4とアニオン5からなるイオン性物質6を含有するイオン伝導層3を挟持してなるアクチュエータを示す。
2つの導電層でイオン伝導層を挟持した構造を有する本発明に係るアクチュエータの駆動原理は明確にはなっていないが、現在推測されている原理について、図2を用いて説明する。図2(c)のように2つの導電層11、導電層12はイオン伝導層13の表面に相互に絶縁状態で形成されている。この導電層11と、導電層12との間に電位差がかかると、図2の(d)に示すように、イオン性物質16のカチオン14とアニオン15はそれぞれ、カソードの導電層11にカチオン14が移動・浸透し、アノードの導電層12にはアニオン15が移動、浸透する。そして導電層11、12内の導電材層とイオン性物質相の界面に電気二重層が形成される。好ましく用いられるイオン液体は、カチオン14のイオン半径がアニオン15より大きい。その結果、導電層内に存在するイオンの立体効果が、電気二重層に伴う静電反発などと共同的に働くことにより、導電層11が導電層12に比べ、より膨張し、カソードがアノードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲すると考えられる。なお、カチオンのイオン半径とアニオンのイオン半径が異なればよく、アニオンのイオン半径がカチオンのイオン半径より大きくても良い。この場合、アノードがカソードに比べより伸びる方向へアクチュエータが屈曲すると考えられる。
ここで、第1の導電層における前記導電材以外が占める体積Vaとは、第1の導電層領域における前記導電材以外の物質や空間が占めている体積と定義する。例えば、第1の導電層は導電材を有しており、好ましくはイオン性物質を有しており、高分子などを有していてもよいため、前記導電材以外の物質とはイオン性物質、および高分子などが挙げられる。また前記導電材以外の空間とは、第1の導電層において、固体(例えば高分子)や液体(例えばイオン性物質)以外の領域であり、例えば空気やガスあるいは真空の空間があげられる。したがって、カチオンもしくはアニオンがイオン伝導層から導電層内に移動した際、Vaが大きいほどカチオンもしくはアニオンが吸着・存在できる領域は大きくなる。なお、第2の導電層における前記導電材以外が占める体積Vaの定義についてもVaと同様である。以下、Vaとは導電層における導電材以外が占める体積のことであり、Va及びVaに共通した事項について説明する際に用いる。
本発明の一例である図1(a)において、第1の導電層1をカソード、第2の導電層2をアノードとして、両導電層間に電位差をかけた場合(図1(b))、カチオン4(カチオン4はアニオン5よりイオン半径が大きいこととする)はカソードである第1の導電層1に、アニオン5はアノードである第2の導電層2に移動・吸着する。VaがVaよりも大きい場合、カチオン4が存在できる領域は、アニオン5が存在できる領域に比べて大きい。その結果、より多くのイオンが存在することによる立体効果とイオン同士の静電的反発力による効果がより大きくなるため、VaとVaとが等しい場合あるいはVaがVaより小さい場合に比べてアクチュエータはより大きく屈曲変形する。すなわち、アクチュエータの発生力はより大きくなる。
また、第1の導電層における導電材の界面積Aとは、第1の導電層内に分散し、存在している導電材と、他相(導電層が含有する導電材以外の固体、液体、気体の相)との間の界面の面積と定義する。ここで導電材以外の固体・液体・気体あるいは空間とは、導電層に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、固体としては高分子であり、液体としてはイオン液体等のイオン性物質であり、気体としては空気であり、空間としては真空の空間があげられる。よって、カチオンもしくはアニオンが導電層内に移動した際、Aが大きいほど、より多くのアニオンもしくはカチオンが導電材と他相との界面に電気二重層を形成することができるので、アニオンもしくはカチオンが存在できる領域はより大きくなる。なお、第2の導電層における導電材の界面積Aの定義についてもAと同様である。なお、第2の導電層における前記導電材以外が占める体積Vaの定義についてもVaと同様である。以下、Aとは導電層における導電材の界面積のことであり、A及びAに共通した事項について説明する際に用いる。
本発明の一例である図1(a)において、第1の導電層1をカソード、第2の導電層2をアノードとして、両導電層間に電位差をかけた場合(図1(b))、カチオン4(カチオン4はアニオン5よりイオン半径が大きいこととする)はカソードである第1の導電層1に、アニオン5はアノードである第2の導電層2に移動・吸着する。AがAよりも大きい場合、カチオン4が移動し電気二重層を形成できる領域は、アニオン5が移動し電気二重層を形成できる領域に比べて大きい。すなわち、AがAよりも大きい場合、カチオン4が存在できる領域は、アニオン5が存在できる領域に比べて大きい。その結果、より多くのイオンが存在することによる立体効果とイオン同士の静電的反発力による効果がより大きくなるため、AとAとが等しい場合あるいはAがAより小さい場合に比べてアクチュエータはより大きく屈曲変形する。すなわち、アクチュエータの発生力はより大きくなる。
以上のように本発明のアクチュエータの駆動原理について図1を用いて説明したが、本発明に係るアクチュエータは、イオン性物質中のアニオン、カチオンが第1の導電層あるいは第2の導電層に移動することによって、第1の導電層もしくは第2の導電層の一方が他方よりも大きく膨張することにより屈曲変形すればよく、特に上記に限定されるものではない。
次に、Va、Aの測定方法について説明する。
前記導電層における前記導電材以外が占める体積Vaは、前記導電層が前記導電材以外に、好ましくはイオン性物質を有しており、あるいは高分子や、空気・ガスあるいは真空の空間を有することから、Vaは導電層内に存在するイオン性物質や、高分子や、空気・ガスあるいは真空の空間の占める体積の和で求めることができる。求める方法としては特に限定されないが、例えばイオン性物質や高分子の体積は、膜作製に使用した高分子の密度および仕込み重量を用いて算出可能である。また空気・ガスあるいは真空の空間の体積は、作製した導電層をガス吸着法、水銀圧入法、アルキメデス法などによって測定可能である。
また、前記導電層における前記導電材の界面積Aの測定は、特に限定されないが、例えば、「最新導電性材料、技術大全集上巻」、技術材料協会社、p.435から436(発行日2007年)の記載に基づいて、X線小角散乱解析装置(リガク社製)を用いて導電材の単位gあたりの界面積(m/g)を測定し、導電材の仕込み重量との積によってA(m)を算出することができる。
次に、第1の導電層と第2の導電層の異なる例について説明する。
本発明に用いられる前記第1の導電層と前記第2の導電層において、VaあるいはAが第1の導電層のほうが大きいものとして、第1の導電層のほうが導電層の厚みが厚い、空隙率が大きい、導電材の比表面積が大きい、導電材の濃度が高い、導電材の分散状態がよい、あるいは第1の導電層と第2の導電層の材料種が異なることが好ましい。
更には本発明において、前記第1の導電層の厚みが、前記第2の導電層の厚みより大きいことが好ましい。前記第1の導電層の厚みが前記第2の導電層より大きいことにより、導電層内のイオンの移動・吸着し存在できる領域が、膜厚方向に大きくなる。その結果、より多くのイオンが存在することによる立体効果とイオン同士の静電的反発力による効果がより大きくなるため、第1の導電層の厚みが第2の導電層の厚みと等しい場合あるいは第1の導電層の厚みが第2の導電層の厚みより小さい場合に比べてアクチュエータはより大きく屈曲変形する。すなわち、アクチュエータの発生力はより大きくなる。
また、本発明において、第1の導電層の空隙率が、第2の導電層の空隙率より大きいことが好ましい。本発明における空隙率とは、導電層内をカチオンやアニオンのイオンが移動・存在できる領域を表すものであり、本発明における導電層間に電位差をかける前の導電層内においてイオン性物質と導電材以外が占める体積の割合と比例するものである。
すなわち、導電層の空隙率は、導電層内においてイオン性物質と導電材以外が占める体積を、導電層の面積と膜厚から幾何学的に求めた体積で割り百分率で表したもの(単位:体積%)である。導電層内で導電材およびイオン性物質以外が占める体積としては、例えば高分子の体積であり、あるいは空気・ガスあるいは真空の空間であってもよい。
高分子の体積は、膜作製に使用した高分子の密度および仕込み重量を用いて算出可能である。また空気・ガスあるいは真空の空間の占める体積は、作製した導電層をガス吸着法、水銀圧入法、アルキメデス法などによって測定可能である。
本発明において、第1の導電層の空隙率が、第2の導電層の空隙率より大きいと、第1の導電層内へのイオンの移動・浸透がより容易になり、存在できる領域が大きくなり、イオンが導電層内のより広い領域で存在可能となる。その結果、より多くのイオンが存在することによる立体効果とイオン同士の静電的反発力による効果がより大きくなるため、第1の導電層の空隙率が第2の導電層の空隙率と等しい場合あるいは第1の導電層の空隙率が第2の導電層の空隙率より小さい場合に比べてアクチュエータはより大きく屈曲変形する。すなわち、アクチュエータの発生力はより大きくなる。
前記導電層の空隙率の算出方法は特に限定されないが、例えば次の通り求めることができる。すなわち、得られる導電層の面積と厚みより得られる導電層の体積(m)、および導電層の体積から導電層におけるイオン液体と導電材の体積を除した体積(n)をそれぞれ測定し、下記の式(3)で計算することによって空隙率(単位:体積%)を算出する。
Figure 2010158104
また本発明において前記第1の導電層と前記第2の導電層において材料種が異なることが好ましい。例えば材料種が異なり第1の導電層の剛性が第2の導電層に比べ小さくなることによって、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲運動する際に、より大きな変位量が得られる。
ここで前記導電層における材料種の異なるものとは、導電材の構成元素が異なるもの、あるいは同素体であるもの等種類が異なるもの、あるいはイオン性物質の化学構造が異なるもの、あるいは高分子の化学構造が異なるもの、あるいは高分子の分子量が異なるもの、あるいは高分子の結晶性や架橋度が異なるもの、あるいは高分子を2種類以上用いた場合の混合比が異なるもの等が挙げられる。材料種が異なる導電層として、以上にあげたもので少なくとも1つ以上異なればよく、2つ以上異なっていてもよい。
また本発明の導電層において、第2の導電層に比べ、第1の導電層の導電材の比表面積が大きいか、あるいは導電材の濃度が高いか、あるいは導電材の分散性が高い場合、第1の導電層内にイオンが移動し吸着・浸透し存在できる領域が、第2の導電層内のイオンが移動し吸着・浸透する領域に比べ大きくなる。ここで比表面積とは導電材の単位質量当たりの表面積を意味する。
その結果、より多くのイオンが存在することによる立体効果とイオン同士の静電的反発力による効果がより大きくなるため、第1の導電層の導電材の比表面積、あるいは導電材の濃度、あるいは導電材の分散性が第2の導電層と等しい場合あるいは第1の導電層よりより小さい場合に比べてアクチュエータはより大きく屈曲変形する。すなわち、アクチュエータの発生力はより大きくなる。
本発明に用いられるイオン性物質としは、例えば、フッ化リチウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸銅、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を挙げることができる。
本発明に用いられるイオン性物質がイオン液体であることが好ましい。
本発明に用いられるイオン液体(ionic liquid)とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩である。イオン液体は常温で不揮発性を示すことから、本発明のイオン伝導物質としてイオン液体を用いた場合、湿度が高くない空気中および真空中での駆動が可能となる。
本発明においては、従来より知られた各種のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または可及的に常温に近い温度において液体状態を呈し安定なものが好ましい。本発明においては、常温溶融塩であって、導電率が0.1Sm−1以上のものが好ましい。
本発明において用いられる好適なイオン液体としては、下記の一般式(4)から(7)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン)と、アニオン(X)より成るものを例示することができる。
Figure 2010158104
上記の式(4)から(7)において、Rは炭素数1から12のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3から12のアルキル基を示し、式(4)においてR1は炭素数1から4のアルキル基または水素原子を示す。式(4)において、RとR1は同一ではないことが好ましい。式(6)および(7)において、Xはそれぞれ1から4の整数である。また、Nは窒素原子、Pはリン原子を表す。
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸アニオン、過塩素酸アニオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジシアンアミドアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、有機カルボン酸アニオンおよびハロゲンイオンより選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明に用いられる第1の導電層と第2の導電層において、2つの導電層間に電圧を印加した際イオンが導電層内に浸透・移動するように、導電材は導電性を示すものであればよく、炭素材料、導電性高分子、金属、金属化合物があげられる。
本発明の第1の導電層と第2の導電層において、イオン性物質との相互作用の点から、前記導電材が炭素材料であることが好ましい。相互作用が高いと導電材が導電層に良好に均一分散することができ、また、得られる導電層の機械的強度も増加する。炭素材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、フラーレン、黒鉛、炭素繊維などがあげられるが、これらに限定されるものではなく、これらのうち1種を含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
また,本発明の導電材としては、導電性と伸縮性を有する層が得られるという点から、カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブはイオン液体とともにせん断をかけ分散させることにより、伸縮性のある導電性ゲルが得られる。カーボンナノチューブはグラフェンシートが筒形に巻いた形状から成る炭素系材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、およびアームチェア型に分けられるなど、各種のものが知られている。本発明には、このような所謂カーボンナノチューブと称されるものであれば、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができる。一般的には、アスペクト比が大きい、すなわち、細くて長い単層ナノチューブがゲルを形成し易い。従って、本発明においては、SWNTからゲル状組成物を得るのが好ましい。実用に供されるカーボンナノチューブの好適な例として、一酸化炭素を原料として比較的量産が可能なHiPco(カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレーテッド社製)が挙げられるが、勿論、これに限定されるものではない。
また、本発明に用いられる導電材として、導電性を有する導電性高分子を用いることができる。導電性高分子として、例えばポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアズレン等のπ共役系導電性高分子、及びこれらのπ共役系導電性高分子の誘導体などが挙げられるが特にこれに限定したものではない。またこれらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また本発明に用いられる導電材として、導電性を有する金属、金属化合物を用いることができる。金属として、例えば白金、パラジウム、ルテニウム、銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、インジウム、イリジウム、チタン、アルミニウム等が挙げられるが特にこれに限定したものではない。また、金属化合物として、酸化すず、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化第二すず、ITO等が挙げられるが特にこれに限定したものではない。またこれらのうち1種を用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
本発明に用いられる第1の導電層と第2の導電層は、導電材とイオン液体を含むものが好ましい。また導電層の機械的強度を保つためにカーボンナノチューブとイオン液体に加え高分子を含有してもよい。
本発明に用いられる導電層における前記導電材の含有量は、導電層に対する重量割合で1重量%以上が好ましい。含有量が1重量%未満だと、導電層の導電性が十分に得られない場合がある。
本発明の導電層における高分子の含有量は99重量%以下であるのが好ましい。含有量が99重量%より大きいと、導電層の導電性が十分に得られない場合がある。
本発明の導電層におけるイオン液体の含有量は60重量%以下であるのが好ましい。含有量が60重量%より大きいと、導電層として機械的強度が弱くなる場合がある。
本発明において、導電層を得るのに用いることのできる高分子としては、前記アクチュエータの屈曲変形に伴って変形可能な柔軟性を有する高分子バインダであれば特に限定されるものではないが、加水分解性が少なく、大気中で安定であることが好ましい。かかる高分子バインダとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2、6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィド等のポリアリーレン類(芳香族系ポリマー);ポリオレフィン系ポリマー、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)等に、スルホン酸基(−SOH)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー等;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレート等を挙げることができる。また、導電性を有する高分子を用いることもでき、かかる高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他の高分子との共重合体としてもよい。
これらの高分子バインダの中でも、特に好ましい高分子としては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(poly(vinylidene fluoride−co−hexafluoropropene)PVdF(HFP))、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion、ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。また、上記高分子は、イオン伝導層と相溶性の高い高分子であることが好ましい。これにより、イオン伝導層との、相溶性および接合性がより高いため、より強固な電極を構成することが可能となる。このためには、上記高分子バインダは、上記イオン伝導層を構成する高分子化合物と、同種、類似または同一の高分子構造を有する高分子、または、同種、類似または同一の官能基を有する高分子であることが好ましい。
さらに、上記高分子バインダとしては、ゾル・ゲル法などで得られる高分子構造をもつ金属酸化物も用いることができる。かかる金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、マンガン、ニッケル、コバルト、五酸化バナジウム系の金属酸化物を用いることができる。
本発明の第1の導電層および第2の導電層の電気抵抗値は、1000Ω・cm以下であることが好ましく、100Ω・cm以下であることがより好ましい。上記電極の電気抵抗値が1000Ω・cm以下であることにより、電極に低い電圧を印加したときに、本発明のアクチュエータを屈曲させることができる。また、上記電極は、ソフトアクチュエータの機能に好ましくない影響を与えるものでない限り、高分子バインダおよび上記導電材料の他の成分を含有していてもよい
本発明のイオン伝導層はイオン性物質を含有しており、イオン性物質の保持および機械的強度、柔軟性の確保の点で高分子を含有するものが好ましい。
本発明において、イオン伝導層を得るのに用いることのできる高分子としては、例えば、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素系高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;熱可塑性のポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。なおこれらは単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよく、また官能基化してもよいし、他の高分子との共重合体としてもよい。上記高分子は、イオン性物質を含んでいる必要がある。これにより、電圧を印加により、上記非イオン性高分子化合物からなるアクチュエータの屈曲変形が可能となる。
本発明において、イオン性物質がイオン液体の場合、高分子として、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロスルホン酸(Nafion、ナフィオン)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられるが、特に限定されない。これらの高分子のうち1つを用いてもよいし、2つ以上組み合わせ用いてもよい。また、導電層に用いる高分子とイオン伝導層に用いる高分子が同じでもよいし、異なっていてもよい。
さらには、イオン液体/イオン性物質の含有量がイオン伝導層に対して30重量%以上80重量%以下であるのが好ましい。イオン液体/イオン性物質の含有量が30重量%未満だと、電圧印加した際、導電層に十分イオン性物質を供給できない場合があり、含有量が80重量%より大きいと、イオン伝導層としての機械的強度が弱くなり、アクチュエータとして屈曲・変形した際、作用力が十分に得られない場合がある。
本発明に用いられる第1の導電層および第2の導電層は、イオン性液体と導電材を含むものが好ましい。また導電層の機械的強度を保つために炭素材料とイオン液体に加え高分子を含有してもよい。
本発明の導電層の製造方法としては、導電材が導電層に分散・保持されていればよく特に限定されないが、イオン液体あるいは必要に応じて高分子の存在下で、せん断を加えながら導電材を細分化し、導電材分散体を得て、それを膜化・積層化する方法が挙げられる。
この細分化工程において、せん断力を付与する手段は特に限定されるものではなく、例えば、実験室におけるような小規模の製造の場合は手動または自動の乳鉢ですり潰すことによってもよく、また、多量の製造を目的とする場合には、ボールミル、ローラーミル、振動ミルなどの高せん断力を付与することができる湿式粉砕装置を使用することができる。さらに、ニーダータイプの混練機も使用可能である。また分散体の粘度を考慮し溶媒を加え粘度を適度に調整してせん断を与えることも可能である。細分化に要する時間も特に限定されるものではなく、用途に応じて必要な細分化に応じて適宜変更できるが、一般的には5分間から1時間程度である。以上のような工程により、導電材分散体が得られる。
導電材分散体を用いて膜化し導電層を得る方法としては特に限定されないが、キャスト法、スピンコート法、印刷法、スプレー法等によって製膜し、溶媒を蒸発、乾燥させればよい。また押出し法、射出法等も用いることができる。
本発明で好ましく用いられるカーボンナノチューブとイオン液体とから成る本発明のゲル状組成物の生成メカニズムや構造については未だ不明の点もあるが、各種の分析結果から大略が次のように理解される。
(1)せん断力下における細分化処理は、カーボンナノチューブの化学的変性を引き起こすことはなく、カーボンナノチューブの相互のからみ合いを減少させて、その束を細くする物理的形状変化をもたらす。
(2)ゲルの形成は、カーボンナノチューブのからみ合いに因るものではなく、からみ合いの減少したカーボンナノチューブの表面に「カチオン−π」相互作用により結合したイオン液体の分子がイオン結合を介してカーボンナノチューブの束どうしを結びつけることにより、形成される架橋構造(三次元網目構造)に起因するものと推測される。
本発明の第1の導電層および第2の導電層の厚さは1μm以上5mm以下、好ましく5μm以上2mm以下、より好ましくは10μm以上500μm以下である。厚さが5mmより大きいと膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの屈曲運動を抑制する場合がある。また1μm未満だと導電層へ移動・浸透するイオン性物質の量が少なく、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
前記厚みが異なる導電層の作製法は、例えば前記導電材分散体をキャストやスピンコートする際の塗布量を変える方法や、前記導電材分散体を製膜・乾燥を繰り返す方法、ホットプレス等によりイオン伝導層と加圧加熱融着する際に重ねる導電層の数を第2の導電層より第1の導電層をより多くする方法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明の第1の導電層と第2の導電層の厚みは、前記厚みの範囲内であり第1の導電層の厚みが第2の導電層に比べ厚ければよく、好ましくは両層の厚みの差が1μm以上である。厚みの差が1μm未満だと、有効表面積の差がわずかになり、第2の電極に圧縮応力がかかり、第1の電極に引っ張り応力がかかる方向への屈曲運動時の発生力が十分に得られない場合がある。
前記空隙率が異なる導電層の作製は、例えば導電層に用いる高分子の割合を増加させる方法や、前記導電材分散体に塩化リチウム等の塩や貧溶媒を添加し相分離を起こすことによって多孔質膜を作製する方法などが挙げられるが、これらに特に限定されない。
本発明の導電層における空隙率は、90体積%以下が好ましい。
また、本発明の第1の導電層と第2の導電層の空隙率は、好ましくは両層の空隙率の差が5体積%以上である。空隙率の差が5体積%未満だと、導電層内に移動し吸着・浸透するイオン量の差が第1の導電層と第2の導電層間でわずかになり、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲運動する際の発生力が、十分に得られない場合がある。
本発明のイオン伝導層は、イオン性物質を含有しており、イオン性物質の保持および導電層の機械的強度を保つために高分子を含有することが好ましい。
本発明のイオン伝導層の製造方法としては、イオン性物質がイオン伝導層内に保持されていればよく特に限定されない。例えばイオン性物質および高分子を溶媒に溶解・分散させイオン性組成物を得た後、得られた組成物をキャスト法、スピンコート法、印刷法、スプレー法等によって製膜し、溶媒を蒸発、乾燥する方法、あるいは、高分子を加熱溶融しイオン性物質と混練した後製膜する方法や、押出し法、射出法等も用いることができる。
導電層およびイオン伝導層の作製時に用いられる溶媒としては、導電材やイオン性物質、高分子を良好に分散できればよく、特に限定されないが、例えば、4−メチル−2−ペンタノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルフォルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの溶媒のうち1つを用いてもよいし、2つ以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のイオン伝導層の厚さは、10μm以上500μm以下、更には10μm以上400μm以下であることが好ましい。膜厚が500μmをこえると膜の弾性率が大きくなりアクチュエータの屈曲運動を抑制する場合がある。また10μm未満だと保持できるイオン性物質量が少なく導電層への供給量が少なくなってしまうため、屈曲運動が十分に得られない場合がある。
本発明の第1の導電層と第2の導電層で、イオン伝導層を挟持した構造を得る方法としては、特に限定されないが、導電層およびイオン伝導層を前記方法でそれぞれ別に作製した後、積層したい順に重ね、ホットプレス等により加圧加熱融着し積層する方法や、あるいは、積層したい順番に、前記方法によって得られた導電材分散体およびイオン性組成物を順次、塗布・製膜・乾燥し繰り返す方法が挙げられる。積層する順番は第1の導電層、イオン伝導層、第2の導電層でも良いし、第1の導電層、イオン伝導層、第2の導電層の順番でもよい。また、前記の方法を組み合わせて用いてもよい。また、第1の導電層と第2の導電層は、いくつかの導電層を重ねて加圧加熱融着して作製してもよいし、前記導電材分散体を塗布・製膜・乾燥を連続して繰り返して作製してもよい。
本発明における前記アクチュエータの駆動方法は、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向へより大きく屈曲し、大きい発生力が得られるように、第1の導電層および第2の導電層間に電圧を印加する方法であれば特に限定されない。例えば、上記に具体的にあげたイオン液体を用いる場合には、前記導電材以外が占める体積Va、および前記導電層における前記導電材との界面積Aについて、Vaが大きい導電層をカソードとしVaが小さい導電層をアノード、あるいは、Aが大きい導電層をカソードとしAが小さい導電層をアノードとし、両電極間に電圧を印加する駆動方法である。VaあるいはAが大きい導電層をアノード、VaあるいはAが小さい導電層をカソードとした場合、図2を用いて上記で説明した通り、VaあるいはAが大きい導電層に圧縮応力がかかりVaあるいはAが小さい導電層に引っ張り応力がかかる方向への屈曲運動が生じる。しかし、イオン半径のより大きいカチオンの移動・吸着・浸透する領域が、アニオンの移動・吸着・浸透する領域に比べ狭くなる。その結果、カチオンが存在する導電層の膨張が抑制されてしまい、変位量・発生力も抑制されてしまう。
また、本発明のアクチュエータにおいて発生力を減少させ、あるいはゼロにし、設置するロボット等のデバイスへの作用を減少あるいはゼロにするために、また、電圧印加により屈曲したアクチュエータの変位量を減少させるために、第1の導電層と第2の導電層に印加する電圧をゼロにするか、あるいはマイナス、すなわちアノードとカソードを入れ替えることによって、作用部に対して発生力・変位量をゼロあるいはマイナスにすることもできる。
本発明において、第1の導電層と第2の導電層の両導電層間にかける電圧は、10V以下が好ましく、電圧印加時にイオン性物質が分解しない範囲(電位窓)で用いることが好ましく、さらには4V以下が好ましい。
本発明のアクチュエータを実際ロボットやマイクロマシン等のデバイスに用いる際、アクチュエータを屈曲運動させデバイスに作用を及ぼし駆動させる。その場合、作用させたい方向で、高い発生力が得られるようにアクチュエータを設置する。本発明のアクチュエータのデバイスに用いる際の構成の一例の概略を図3に示す。本発明のアクチュエータは、第1の導電層21のVaあるいはAが、第2の導電層22よりも大きいため電位差を2つの導電層間にかけると、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲運動する際の発生力が向上する。以上の屈曲運動がデバイスの作用部に大きな作用を与えることができる方向にアクチュエータを設置する。図3の(e)は作用部100を押す方向(作用する方向)200に作用し、図3の(f)は作用部110を引っ張る方向(作用する方向)210に作用するようにアクチュエータを設置する場合の概略図である。このようにアクチュエータを作用部に対して設置した場合、作用部に大きな作用を与えることが可能となる。これらはアクチュエータのデバイスにおける設置の例であるが、特にこれらに限定されない。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(イオン性物質)
実施例に用いるイオン性物質は、イオン液体の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム
テトラフルオロボレート(BMIBF4)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMITFSI)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(EMIBF4)である(いずれも関東化学社製)。
(高分子)
実施例で用いる高分子は以下で表されるポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF(HFP))である。
Figure 2010158104
(導電材)
実施例に用いる導電剤は、単層カーボンナノチューブ(SWNT、カーボン・ナノテクノロジー・インコーポレッド社製「HiPco」)およびアセチレンブラック(電気化学社製「デンカブラック」)である。
(有機溶剤)
実施例で用いられる有機溶剤は、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)である(キシダ化学社製)。
(イオン液体と高分子を含むイオン性組成物の作製)
実施例に用いられるイオン伝導層を作製するために、イオン液体と高分子を含むイオン性組成物を次のように作製する。100mgのPVdF(HFP)と100mgのBMIBF4および1mLのDMAcを80℃にて加熱混合することによって、無色透明なイオン液体と高分子を含むイオン性組成物1を得る。
(発生力の評価)
アクチュエータが屈曲している時の発生力は、図4に示す様に、ロードセル340(ミネベア社製モデルUL−10GR)を用いて測定する。幅1mm(W)×長さ15mm(L)に切り取ったアクチュエータ300において、端3mmの部分を電極付きホルダー330でつかみ、空気中で(空気中駆動)、第1の導電層310をカソード、第2の導電層320をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加した際の、屈曲の発生力を測定する。
(変位量の評価)
アクチュエータが屈曲している時の発生力は、レーザー変位計を用いて測定する。幅1mm(W)×長さ15mm(L)に切り取ったアクチュエータ300において、端3mmの部分を電極付きホルダーでつかみ、空気中で(空気中駆動)、2.5Vの電圧を印加し屈曲させる。その際の固定端から10mmの位置の変位量を、レーザー変位計を用いて測定する。
実施例1
<SWNT/BMIBF4/PVdF(HFP)からなり、厚みの異なる導電層が、PVdF(HFP)/BMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例に用いる導電層を以下のように作製する。導電材として50mgのSWNTおよびイオン液体として100mgのBMIBF4に有機溶剤であるDMAcを1mL加え、ジルコニアボール(粒径2mm)を用いて200rpmで30分間、ボールミル(フリッチェ社製遊星型微粒粉砕機)により分散を行う。次いで80mgのPVdF(HFP)を2mLのDMAcに溶かした溶液を、ボールミルによって得られた組成物に加え、更に500rpmで30分間、ボールミルにて分散する。その結果、高粘度であり、導電材が均一に分散している導電材分散体1が得られる。
次に厚みの異なる第1の導電層および第2の導電層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体1を厚さ200μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって第1の導電層を得る。次に得られた導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ80μmのスペーサーを重ね、上記で作製した導電材分散体1を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥し、アクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、第1の導電層および第2の導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
実施例2
<SWNT/BMIBF4/PVdF(HFP)からなり、厚みの異なる導電層が、PVdF(HFP)/BMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例1において導電材分散体を作製する際に用いられるBMIBF4の重量を100mgから300mgに、PVdF(HFP)の重量を80mgから240mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体2を得る。
実施例1において得られる導電材分散体1および本実施例で得られる導電性分散体2を用いて、空隙率の異なる導電層がイオン伝導層を挟持するアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体2を厚さ170μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって第1の導電層を得る。次に得られた第1の導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ80μmのスペーサーを重ね、実施例1で作製した導電材分散体1を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥しアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、第1の導電層および第2の導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例1
<SWNT/BMIBF4/PVdF(HFP)からなり厚みの同じ導電層が、PVdF(HFP)/EMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例1において得られる導電材分散体1を用いて、導電層の厚みの同じ2つの導電層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体1を厚さ80μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって導電層を得る。次に得られた導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ80μmのスペーサーを重ね、上記で作製した導電材分散体1を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥しアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、2つの導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
<実施例1、実施例2および比較例1のVa、A、導電層の厚さの評価>
実施例1、実施例2および比較例1のアクチュエータにおける導電層の導電材以外が占める体積Vaを以下の方法で求める。すなわち、膜作製に使用したイオン液体および高分子の仕込みの重量と密度よりそれぞれの体積を算出し、和をとることにより求める。
また、実施例1、実施例2および比較例1のアクチュエータにおける導電層の界面積Aを以下の方法で求める。すなわち、作製した導電層について、X線小角散乱解析装置(リガク社製)を用いてX線発生強度50kV、180mAでグラファイモノクロメータで単色化したCu−Kα線を照射し、回折角方向の強度プロファイルを測定する。そしてPorod則を適用することによって導電材の単位gあたりの界面積(m/g)を測定し、導電材の仕込み重量との積によってA(m)を算出する。
上記の方法によって評価する。
また、導電層の厚さを下記の通り測定する。すなわち、得られたアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察し、厚さを測定すると、表1に示す結果が得られる。
Figure 2010158104
(注)表中における各項目の数値は、第1の導電層/第2の導電層の順にそれぞれの値を示す。
<実施例1と比較例1の発生力評価>
実施例1、実施例2および比較例1のアクチュエータの発生力を上記の通り評価する。
実施例1、実施例2において、第1の導電層をカソード、第2の導電層をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加する。また、比較例1の2つの導電層のうち一方をカソードと、もう一方をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加する。すると実施例1、実施例2のアクチュエータにおいて、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。また比較例1のアクチュエータにおいて、カソードの導電層がアノードの導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。この屈曲の発生力をロードセルによって測定する。その結果、表1に示すとおり、発生力は実施例1、実施例2および比較例1の順に0.060、0.059および0.020(N)である。
また、実施例1、実施例2および比較例1で得られるアクチュエータにおいて、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで5000回、ON・OFFを繰り返し行ったが、いずれのアクチュエータにおいても発生力の低下は見られない。
実施例3
<SWNT/BMIBF4/PVdF(HFP)からなり厚み、空隙率の異なる導電層が、PVdF(HFP)/BMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例1において導電材分散体を作製する際に用いられるSWMTの重量を50mgから55mg、BMIBF4の重量を100mgから58mgに、PVdF(HFP)の重量を80mgから140mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体3を得る。
実施例1において得られる導電材分散体1および本実施例で得られる導電性分散体3を用いて、空隙率の異なる導電層がイオン伝導層を挟持するアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体3を厚さ80μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって第1の導電層を得る。次に得られた第1の導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ80μmのスペーサーを重ね、実施例1で作製した導電材分散体1を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥しアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、第1の導電層および第2の導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
<実施例3および比較例1のVa、A、導電層の厚さ、空隙率評価>
実施例3および比較例1のアクチュエータにおける導電層の導電材以外が占める体積Va、導電層の界面積A、導電層の厚さをそれぞれ、上記の方法によって評価する。また電極層の空隙率も、上記の方法のとおり式(1)を用いて評価すると、表2に示す結果が得られる。
Figure 2010158104
(注)表中における各項目の数値は、第1の導電層/第2の導電層の順にそれぞれの値を示す。
<実施例3と比較例1の発生力評価>
実施例3のアクチュエータの発生力を上記の通り評価する。
第1の導電層をカソード、第2の導電層をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加する。すると実施例3のアクチュエータにおいて、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。また比較例1のアクチュエータにおいて、カソードの導電層がアノードの導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。この屈曲の発生力をロードセルによって測定する。その結果、表2に示すとおり、発生力は実施例3および比較例1の順に0.057および0.020(N)である。
また、実施例3で得られるアクチュエータにおいて、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで5000回、ON・OFFを繰り返し行ったが、いずれのアクチュエータにおいても発生力の低下は見られない。
実施例4
<SWNT/BMIBF4/PVdF(HFP)およびアセチレンブラック(AB)/BMIBF4/PVdF(HFP)の、導電材の異なる導電層が、PVdF(HFP)/BMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例1において導電材分散体を作製する際に用いられるSWMTの重量を50mgから15mg、BMIBF4の重量を100mgから135mgに、PVdF(HFP)の重量を80mgから89mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電材分散体4を得る。
また、実施例1において導電材分散体を作製する際に用いられる50mgのSWMTの替わりにアセチレンブラック(AB、電気化学社製「デンカブラック」)70mg、PVdF(HFP)の重量を80mgから89mgに替え、他は同じ条件で作製することにより導電性分散体5を得る。
導電材分散体4および導電性分散体5を用いて、導電材が異なる導電層がイオン伝導層を挟持するアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体4を厚さ75μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって第1の導電層を得る。次に得られた第1の導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ75μmのスペーサーを重ね、上記で作製する導電材分散体5を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥しアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、第1の導電層および第2の導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
比較例2
<アセチレンブラック(AB)/BMIBF4/PVdF(HFP)の、導電材の同じ導電層が、PVdF(HFP)/BMIBF4からなるイオン伝導層を挟持するアクチュエータの作製>
実施例4において得られる導電材分散体5を用いて、導電層に含有する導電材の同じ2つの導電層がイオン伝導層を挟持しているアクチュエータを以下のように作製する。まず上記で作製した導電材分散体5を厚さ75μmのスペーサーを有する基板に流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥することによって導電層を得る。次に得られた導電層にもう一枚厚さ60μmのスペーサーを重ね、上記で得られたPVdF(HFP)/BMIBF4/DMAcからなるイオン性組成物1を流し込み、スペーサーをガイドに平坦にならした後、室温にて乾燥することによってイオン伝導層得る。さらにもう一枚厚さ75μmのスペーサーを重ね、上記で作製した導電材分散体5を流し込み、スペーサーをガイドとして平坦にならし、室温にて乾燥下の後、一晩真空乾燥しアクチュエータが得られる。
得られるアクチュエータの断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製S−4800)にて観察することによって、2つの導電層がイオン伝導層を挟持していることが確認される。
<実施例4および比較例2のVa、A、導電層の厚さ評価>
実施例4および比較例2のアクチュエータにおける導電層の導電材以外が占める体積Va、導電層の界面積A、導電層の厚さをそれぞれ、上記の方法によって評価すると、表3に示す結果が得られる。
Figure 2010158104
(注)表中における各項目の数値は、第1の導電層/第2の導電層の順にそれぞれの値を示す。
<実施例4と比較例2の発生力および変位量評価>
実施例4および比較例2のアクチュエータの発生力および変位量を上記の通り評価する。
実施例4において、第1の導電層をカソード、第2の導電層をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加する。また、比較例2の2つの導電層のうち一方をカソードと、もう一方をアノードとし、両導電層の間に2.5Vの電圧を印加する。すると実施例4のアクチュエータにおいて、第1の導電層が第2の導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。また比較例2のアクチュエータにおいて、カソードの導電層がアノードの導電層に比べより伸びる方向への屈曲することが確認できる。この屈曲の発生力をロードセルによって、変位量をレーザー変位計で測定する。その結果、表3に示すとおり、発生力は実施例4および比較例2の順に0.050および0.010(N)である。また、変位量は実施例4および比較例2の順に5.2および2.9(mm)である。
また、実施例4および比較例2で得られるアクチュエータにおいて、2.5Vの電圧印加を0.1Hzで5000回、ON・OFFを繰り返し行ったが、いずれのアクチュエータにおいても発生力の低下は見られない。
本発明に係るアクチュエータは、柔軟性や安全性が必要な人と接するロボットのアクチュエータ(例えば、ホームロボット、ペットロボット、アミューズメントロボットなどのパーソナルロボットのアクチュエータ)、や各種機械類の駆動源、さらには、手術デバイスやマッスルスーツなどの医療、福祉用ロボット、さらにはマイクロマシーンなどのためのアクチュエータとして最適である。
本発明のアクチュエータの一例の構成の概略および駆動原理を示す図である。 2つの導電層でイオン伝導層を挟持したアクチュエータの駆動原理を示す図である。 本発明のアクチュエータをデバイスに用いる際の構成例を示す概略図である。 本発明のアクチュエータの発生力を測定する方法を示す概略図である。
符号の説明
1 第1の導電層
2 第2の導電層
3 イオン伝導層
4 イオン性物質のカチオン
5 イオン性物質のアニオン
6 イオン性物質
11 導電層
12 導電層
13 イオン伝導層
14 イオン性物質のカチオン
15 イオン性物質のアニオン
16 イオン性物質
21 第1の導電層
22 第2の導電層
100 作用部
110 作用部
200 作用する方向
210 作用する方向
300 アクチュエータ
310 第1の導電層
320 第2の導電層
330 電極付きホルダー
340 ロードセル

Claims (7)

  1. 導電材を含有する第1の導電層と、導電材を含有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に挟持されたイオン性物質を含有するイオン伝導層とからなり、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に電圧を印加することで屈曲運動するアクチュエータであって、下記の式(1)、(2)の少なくとも一方を満たすことを特徴とするアクチュエータ。
    Va > Va ・・・ (1)
    > A ・・・ (2)
    (ただし、第1の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第2の導電層における導電材以外が占める体積をVa、第1の導電層における導電材の界面積をA、第2の導電層における導電材の界面積をAとする。)
  2. 前記第1の導電層の厚みが、前記第2の導電層の厚みより大きいことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記第1の導電層の空隙率が、前記第2の導電層の空隙率より大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記第1の導電層と前記第2の導電層の材料種が異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
  5. 前記第1の導電層の有する前記導電材と前記第2の導電層の有する前記導電材が炭素材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記炭素材料が、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、フラーレン、黒鉛、炭素繊維のうち1種あるいは2種以上含んでいることを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記イオン性物質がイオン液体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載のアクチュエータ。
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