JP4999042B2 - 耐高温腐食性金属部材、耐高温腐食性金属部材の製造方法 - Google Patents

耐高温腐食性金属部材、耐高温腐食性金属部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガス加熱管、とくにゴミ焼却用のガス化溶融炉の空気加熱器を構成する加熱管等、耐高温腐食性合金を表面に備えた耐高温腐食性金属部材とその製造方法、および耐高温腐食性合金に関するものである。
都市ごみや産業廃棄物の焼却処理を行うガス化溶融炉等では、廃棄物の燃焼にともなって腐食性のガスやダストが発生する。このため、炉内部材、例えば高温の排ガスで燃焼用空気を予熱するための空気加熱管等は炉内の独特の腐食環境下で高い耐食性を発揮する材料が求められている。
高温腐食環境下で使用される耐高温腐食性金属部材は、Ni―Cr合金にSi、Moなどの元素を添加して形成される。前記Ni―Cr合金は、例えば、重量%でCrが22〜31%、Feが8〜30%、Moが0.3〜5%、Siが2〜4.3%、Cが0.01〜0.3%、残りNi及び不可避的不純物といった組成で構成されている。ここで、Siはその添加により耐高温腐食性を飛躍的に高めるため、必要な成分とされているが、一方でその添加により靭性を低下させ、当該Ni―Cr合金を用いた構造材を脆くする問題が発生する。そのため、Siの添加量は実際には5重量%に満たないのが実状である。このような耐高温腐食性Ni―Cr合金に関する従来技術文献として特開2002−249838号公報(特許文献1)が挙げられる。
また、靱性の高い基材表面に、高Si濃度の耐高温腐食性被覆層を形成させて成る耐高温腐食性金属部材およびその製造方法が提供されている。この手法は、溶射法により前記被覆層を基材表面に溶着形成させるというものである。
また、基材表面にNi−Cr−Mo合金粉末をプラズマパウダーウェルディング(PPW)により肉盛り溶接して耐食性被覆を形成する方法が特開10−156582号公報(特許文献2)に記載されている。
また、上記のような高温腐食環境下で比較的高い耐食性を示す材料としては、NiおよびCrを多く含有する耐高温腐食性合金が知られている。例えば、本出願人は本発明より先に、C:0.18〜0.28wt%、Si:3.0〜6.0wt%、Mn:0.10wt%以下、P:0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Cr:30〜35wt%、Ni:45〜50wt%、Mo:4.5〜5.5wt%を含有し、さらに実施レベルの実用性から高い耐性を損なわないで許される成分範囲として、Mn:1.0wt%以下、P:0.04wt%、S:0.04wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる合金を提案している。この合金は、従来の代表的なNi−Cr系耐高温腐食性合金や、それをベースとして成分調整した合金とともに、廃棄物焼却炉の実際の運転条件に近い条件で高温腐食試験を行なった結果、最も高い耐食性を示したものである(特許文献3参照)。
特開2002−249838号公報 特開10−156582号公報 特開2004−52107号公報
従来(特許文献1)の耐高温腐食性Ni―Cr合金は、Siの添加に基づく靱性の低下が問題となって、その添加量を増やすことができず、耐高温腐食性の更なる向上を図ることができなかった。
また、前記溶射法による場合は、Siの添加量を増やすことが可能とされているが、溶射法では、基材に対する被覆層の接合性が充分に確保されない上、被覆層の形成厚さもせいぜい0.5mm〜1mm程度であって、それ以上の充分な厚さに形成することが困難であった。
また、特許文献2に記載されている方法は、耐食性被覆がSiを含んでいない合金についての肉盛り溶接であり、Siを含んだ耐高温腐食性合金については全く考慮されていない。
また、上記特許文献3で提案した合金を長時間にわたって650℃〜850℃程度となる条件で保持すると、硬化により靭性が低下することがわかった。
本発明の目的は、従来のSiを含有する耐高温腐食性金属部材よりも耐高温腐食性を更に向上させることが可能であると共に、Si添加量の増加に伴う靱性の低下を防止することができる耐高温腐食性金属部材およびその製造方法を提供することにある。また、廃棄物焼却炉内等の高温腐食環境に対して優れた耐食性を発揮し、かつ靭性の低下しにくい耐高温腐食性合金を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る耐高温腐食性金属部材の発明は、基材表面に、Siを含んだ耐高温腐食性合金の肉盛り溶接層が被設されていることを特徴とするものである。
基材表面の被覆層となる合金としてSiを含んだ耐高温腐食性合金が用いられ、該Siの存在によって耐高温腐食性が高められている。当該Siの含有量を増やすと、前記被覆層は通常は割れが発生しやすくなる。
本発明では、アーク肉盛り溶接等の肉盛り溶接により、基材表面に、Siを含んだ耐高温腐食性合金の肉盛り溶接層が被設されている。このように被覆層を肉盛り溶接層としたことによって、Si含有量を増加させても靱性低下が抑制される作用効果が得られる。すなわち、被覆層としてSi含有量を増加させることが可能となり、以て靱性を低下することなく耐高温腐食性を一層向上させることが可能となる。更に、被覆層の厚さを簡単に増加することが可能である。
また、本発明の第2の態様に係る耐高温腐食性金属部材の発明は、第1の態様において、Siの含有量は4.5〜8重量%であることを特徴とするものである。
4.5重量%以上とすることにより高温耐食性を実効性を持って高めることができ、8重量%以下としたことにより靱性低下の虞を確実性をもって防止することができる。10重量%程度まで添加しても実用上は問題ないことを確認している。
また、本発明の第3の態様に係る耐高温腐食性金属部材の発明は、第1の態様または第2の態様において、前記基材は、前記耐高温腐食性合金より靱性の高い材料で構成されていることを特徴とするものである。
これにより、強度を担う基材には高靱性の材料を用い、耐食性を要求される表面には当該肉盛り溶接層を形成するという二層構造により、要求される機能を効果的に発現させることができると共に、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の第4の態様に係る耐高温腐食性金属部材の発明は、第3の態様において、前記基材はステンレス材であることを特徴とするものである。このステンレス材を前記基材に用いることで、一層安定化と低コスト化を実現することができる。
本発明の第5の態様に係る耐高温腐食性金属部材の製造方法の発明は、Siを含んだ耐高温腐食性合金の粉末またはロッドを、基材表面に、肉盛り溶接により接合して耐高温腐食性被覆層を形成することを特徴とするものである。
肉盛り溶接としては、正極性移送型プラズマアーク肉盛法やアーク肉盛り溶接法等の公知の肉盛り溶接を用いることができる。これにより、第1の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第6の態様に係る耐高温腐食性合金の発明は、C:0.15〜0.25wt%、Si:4.5〜5.5wt%、Cr:23〜29wt%、Ni:47〜57wt%、Mo:3.5wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とするものである。
従来(特許文献3)の耐高温腐食性合金を長時間にわたって650℃〜850℃程度となる条件で保持した後、金属組織を調査したところ、Cr、NiおよびSiからなる金属間化合物が析出しており、この金属間化合物が合金を脆化させて靭性低下を引き起こしていることがわかった。そこで、本発明は、前記特許文献3で提案した合金をベースとして、Niの含有量を増やして合金の母相の靭性向上を図るとともに、Crおよび金属間化合物の析出を促進する元素の一つであるMoの含有量を減らすことにより、Niを増やしても金属間化合物の析出を抑えられるようにしたのである。また、このようにすれば、Cr酸化皮膜による耐食効果は若干減少するものの、特に腐食されやすいCr炭化物の析出が抑えられるので、ベース合金と同等以上の耐食性を確保することができる。
上記考え方に基づき、具体的には、耐高温腐食性合金の組成を、C:0.15〜0.25wt%、Si:4.5〜5.5wt%、Cr:23〜29wt%、Ni:47〜57wt%、Mo:3.5wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものとした。
次に、各合金元素の含有率を上記の範囲に限定した理由について説明する。
(1)Cは、耐熱鋼として必要な高温強度および耐クリープ性を向上させるのに有効な元素であり、0.15wt%以上含有することが好ましいが、含有量が多くなるとCr炭化物の析出を促進して耐食性を低下させるため、含有量の上限は0.25wt%とした。
(2)Siは、材料表面に酸化皮膜を形成して耐高温腐食性を向上させる作用が知られている。また、Siは、耐高温腐食性向上に有効なCr酸化皮膜を安定させるという報告もあり、4.5wt%以上含有することが好ましい。一方、含有量が多くなると金属間化合物の析出を促進して材料の靭性を低下させるので、上限を5.5wt%とした。
(3)Crは、高温強度を向上させるのに有効なうえ、材料表面に酸化皮膜を形成して耐高温腐食性の向上に優れた効果を示す。そこで、廃棄物焼却炉内の腐食環境下で十分な耐食性を得られるように、含有量の下限を23wt%とした。しかし、過度に添加すると、金属間化合物の析出を促進して靭性を低下させるうえ、Cr炭化物の析出を促進して耐食性をかえって低下させるので、上限を29wt%とした。
(4)Niは、母相の安定化、および耐高温腐食性の向上に有効な元素である。しかも、母相の靭性を向上させる作用があるため、廃棄物焼却炉内での加熱によりある程度の金属間化合物が析出しても十分な靭性が確保できるように、含有量の下限を47wt%とした。一方、含有量が多くなると、金属間化合物の析出が促進されるし、コストも高くなるので、上限を57%とした。
(5)Moは、高温強度向上に有効な元素であるが、適度に添加すると、金属間化合物の析出を促進するので、3.5wt%以下を含有するようにした。
本発明によれば、アーク肉盛り溶接等の肉盛り溶接により、基材表面に、Siを含んだ耐高温腐食性合金の肉盛り溶接層が被設されているので、Si含有量を増加させても靱性低下が抑制される作用効果が得られる。すなわち、被覆層としてSi含有量を増加させることが可能となり、以て靱性を低下することなく耐高温腐食性を一層向上させることが可能となる。
また、本発明の耐高温腐食性合金は、上述したように、従来の合金をベースとして、Niの含有量を増やし、CrおよびMoの含有量を減らすことにより、母相の靭性を向上させるとともに高温使用時の脆化の原因となる金属間化合物の析出を抑え、腐食されやすいCr炭化物の析出も抑えるようにしたものである。従って、この合金を廃棄物焼却炉の炉内部材の素材として使用した場合には、靭性が低下しにくく、かつベース合金と同等以上の耐食性を発揮することができる。
本発明に係る耐高温腐食性金属部材は、基材表面に、Siを含んだ耐高温腐食性合金の肉盛り溶接層が被設されていることを特徴とする。
[Siの添加量]
ここで、Siの添加量は、当該耐高温腐食性金属部材に要求される仕様に応じて増減されるが、Siの含有量を4.5〜8重量%にすればほとんどの仕様に対応することができるので望ましい。すなわち、4.5重量%以上とすることにより高温耐食性を実効性を持って高めることができ、8重量%以下とすることにより靱性低下の虞を確実性をもって防止することができる。
Siの含有量が4.5重量%以下でも、当該肉盛り溶接層として設けることにより、従来の同量Si添加耐高温腐食性金属部材より、靱性の低下は少なく、もって耐高温腐食性を向上させる。また、Siの添加量を10重量%程度まで増加しても、少し靱性低下の傾向が出る場合もあるが、総じてこの程度までは実用上許容範囲であることを確認している。
[Siを添加する耐高温腐食性合金]
本発明で用いるSiを添加する耐高温腐食性合金の種類としては、公知の耐高温腐食性Ni―Cr合金を利用することができる。その合金の組成例を以下に3種類示す。本発明がこれらに限定されないのは勿論である。
〈組成例1〉
重量%で、Niが45〜60、Crが20〜32、Moが0を超えて5以下、Siが0を超えて10以下、Cが0.3以下、残りFe及び不可避的不純物から成る耐高温腐食性合金。
〈組成例2〉
重量%で、Niが45〜60、Crが20〜32、Wが0を超えて5以下、Siが0を超えて10以下、Cが0.3以下、残りFe及び不可避的不純物から成る耐高温腐食性合金。
〈組成例3〉
重量%で、Niが45〜60、Crが20〜32、Moが0を超えて5以下、Alが0を超えて5以下、Siが0を超えて10以下、Cが0.3以下、残りFe及び不可避的不純物から成る耐高温腐食性合金。
[基材]
前記基材は、前記耐高温腐食性合金より靱性の高い材料で構成されていることが望ましい。これにより、強度を担う基材には高靱性の材料を用い、耐食性を要求される表面には当該肉盛り溶接層を形成するという二層構造により、要求される機能を効果的に発現させることができると共に、低コスト化を図ることができるからである。具体的には、SUS304、SUS316、SUS310S等が挙げられる。この中でステンレス材SUS304が最も望ましい。
[実施例1]
ステンレス(SUS304)の板材(50mm×100mm×5mm)を用意し、図1に示したように、この板材1の表面に、正極性移送型プラズマアーク肉盛法(プラズマガス:Ar、ガス流量:50L/min、電圧:30V、電流:150A)により、Siを含むNi−Cr系耐高温腐食性合金の粉末またはロッドを用いて肉盛り溶接層2を被覆層として形成した。該肉盛り溶接層2の層厚はここでは5mmとした。Ni−Cr系耐高温腐食性合金は、重量%で、(45〜50)Ni−(20〜32)Cr−(0超〜5)Mo−(0超〜10)Si−(0.3以下)C−残Fe合金である。
〈耐高温腐食性〉
図2は、前記Ni―Cr系合金の肉盛り溶接層2について、その耐高温腐食性に及ぼす当該合金中のSi含有量の影響を、SiおよびMoの添加量を変化させて測定した結果を示す図である。Moの添加量は、0重量%、2重量%、5重量%に変化させた。横軸はSi含有量(重量%)、縦軸は後述する腐食試験方法で計測した腐食減量(mg/cm)を示す。この図2から、Si及びMo共にその添加量の増加により耐高温腐食性を向上させることが解る。この腐食試験結果および後述する高温割れ試験結果(靱性の評価)から、Si含有量が4.5〜8重量%であると効果的であることが解る。
《腐食試験方法》
上記腐食減量を計測するための腐食試験方法を以下に記す。
腐食試験は燃焼飛灰に見たてた合成灰中に試験片を埋設され、高温で一定時間暴露するラボ腐食試験法であり、日本学術振興会設定のV-Na2SO合成灰塗布高温腐食試験法に準じ、灰組成および灰付着状況を変更したものである。
前記板材(50mm×100mm×5mm)へ前記Ni―Cr系合金を5mm厚で肉盛施工したサンプルに対し、肉盛層のみを10mm×10mm×2mmの寸法に切り出したものを腐食試験片として用い、その表面を#500エメリー研磨で調整した。
供試灰は、NaCl-KCl-Na2SO-K2SO混合試薬と、Al2試薬を、重量比で4:6に混合し、前記混合粉末10gをるつぼ中に入れ、その中に前記試験片を5mm深さに埋設した。
試験片および供試灰を入れたるつぼは電気炉に静置し、750℃に加熱して72時間保持した後、取り出して表面の脱スケールを行った。前記電気炉内のガス組成(雰囲気)は、大気中とした。
また、脱スケールは、重量%で、18%NaOH+3%KMnO水溶液中での煮沸および10%クエン酸アンモニウム水溶液中での煮沸によった。脱スケール後、試験前後の重量減少を測定し、この腐食減量(mg/cm)をもって耐食性の指標とした。
〈高温割れ試験(靱性の評価)〉
図3は、重量%で、45Ni−(20〜32)Cr−5Mo−(0超〜10)Si−(0.3以下)C−残Fe合金による肉盛り溶接層について、その高温割れ性(靱性)に及ぼす当該肉盛り溶接層中のSi含有量の影響を、SiおよびCrの含有量を変化させて判定した結果を示す図である。判定は後述する浸透探傷試験により行った。ここで、割れやすいことは靱性の低下に相当する。
Cr含有量が32重量%では、Si含有量が8重量%まで割れが観られず、9重量%で割れが観察された。Cr含有量が25重量%ではSi含有量が9重量%でも割れが観察されなかった。この結果から、記述のように、溶接肉盛り層中のSi含有量が4.5〜8重量%であると耐高温腐食性及び靱性の点で効果的であることが解る。
《浸透探傷試験》
浸透探傷試験は、金属または非金属表面にある微細に開口した欠陥を見つける周知の方法である。欠陥を見つけるために、浸透液、洗浄液及び現像液を使用する。浸透液は欠陥の中に浸透させるものである。洗浄液は欠陥以外の箇所に漏れた浸透液を除去するものである。現像液は欠陥の中に残った浸透液を表面に吸い出し拡大させるものである。数μmの狭い開口幅をもつ欠陥でも現像液によって数倍に拡大するため、目で欠陥の位置が判り、それにより欠陥の有無を判定する。
次に、本発明に係る耐高温腐食性合金について説明する。表1は、実施形態の耐高温腐食性合金(実施例2〜4)の組成を、前述した従来合金相当材(比較例)の組成と併せて示す。これらの組成の合金について、高温加熱時の靭性と耐食性を比較する実験を行った。
Figure 0004999042
実験は、まず、砂型鋳造により表1に示した組成の合金のインゴット(直径60mm×高さ70mm)を作製し、各インゴットから切り出した試験片を用いて、シャルビー衝撃試験および高温腐食試験を実施した。
シャルビー衝撃試験(Vノッチ)は、各試験片の鋳放し状態と、時効処理(650℃×170時間保持)後の状態で行った。その結果を表2に示す。表2からわかるように、実施例2〜4の合金は、いずれも比較例に比べて、シャルビー衝撃値(Vノッチ)が大幅に(時効処理後では2倍程度に)増加し、靭性の向上が確認された。
Figure 0004999042
高温腐食試験は、各試験片の表面に廃棄物焼却炉中の灰を模擬した合成灰を塗布し、高温で一定時間暴露した後、腐食減量と最大腐食深さを測定した。試験条件を下記に示す。
(試験条件)
暴露温度 :750、850℃
暴露時間 :200時間
合成灰組成:60%Al23-9%NaCl-6%KCl-15%Na2SO4-10%K2SO4
暴露雰囲気:大気
表3は腐食減量の測定結果を、表4は最大腐食深さの測定結果をそれぞれ示す。実施例2〜4の腐食減量は、850℃で暴露した場合は比較例と同程度であったが、750℃で暴露した場合には比較例に比べて大幅に減少した。また、最大腐食深さについては、暴露時間によらず、実施例2〜4の方が比較例よりも小さくなっていた。これらの結果から、実施例2〜4の合金が比較例と同等以上の耐食性を有することが確認された。
Figure 0004999042
Figure 0004999042
従って、実施例2〜4の合金を素材として廃棄物焼却炉の炉内部材を形成すれば、高温での靭性と耐食性に優れ、長期間安定して使用できるものが得られる。
本発明は、ガス加熱管、とくにゴミ焼却用のガス化溶融炉の空気加熱器を構成する加熱管等、耐高温腐食性合金を表面に備えた耐高温腐食性金属部材および耐高温腐食性合金に利用可能である。
本発明に係る耐高温腐食性金属部材の要部断面図である。 本発明に係る耐高温腐食性Ni―Cr系合金の肉盛り溶接層について、その耐高温腐食性に及ぼす当該合金中のSi含有量の影響を、SiおよびMoの添加量を変化させて測定した結果を示す図である。 本発明に係る耐高温腐食性合金による肉盛り溶接層について、その高温割れ性(靱性)に及ぼす当該肉盛り溶接層中のSi含有量の影響を、SiおよびCrの含有量を変化させて判定した結果を示す図である。
符号の説明
1 基材(SUS304)
2 肉盛り溶接層

Claims (4)

  1. 基材表面に、Siを含んだ耐高温腐食性合金の肉盛り溶接層が被設されている耐高温腐食性金属部材であって、
    前記耐高温腐食性合金は、C:0.15〜0.25wt%、Si:4.5〜5.5wt%、Cr:23〜29wt%、Ni:47〜57wt%、Mo:3.5wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする耐高温腐食性金属部材。
  2. 請求項に記載の耐高温腐食性金属部材において、前記基材は、前記耐高温腐食性合金より靱性の高い材料で構成されていることを特徴とする耐高温腐食性金属部材。
  3. 請求項に記載の耐高温腐食性金属部材において、前記基材はステンレス材であることを特徴とする耐高温腐食性金属部材。
  4. 請求項1に記載されているSiを含んだ耐高温腐食性合金の粉末またはロッドを、基材表面に、肉盛り溶接により接合して耐高温腐食性被覆層を形成することを特徴とする耐高温腐食性金属部材の製造方法。
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