JP2004263284A - 熱交換器用複合鋼管およびその製造方法 - Google Patents

熱交換器用複合鋼管およびその製造方法 Download PDF

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祥史 鈴木
Koji Oya
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Abstract

【課題】「シンガス」製造、すなわちメタンガスの部分酸化によりCOおよびHの混合ガスを製造するプラントの、熱交換器を構成する管コイルとして有用な、耐熱性と並んで、耐メタルダスト性および耐コーキング性にすぐれた熱交換器用複合鋼管を提供すること。
【解決手段】Fe基のボイラ・熱交換器用の炭素鋼または合金鋼の鋼管を基材とし、その内面に、Cr:36〜50%、Ni:35〜63%およびMo:0〜5%を含有する合金組成のCr−Ni系合金、またはCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層をプラズマ粉末溶接により形成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器用の複合鋼管、とくに耐メタルダスト摩耗性および耐コーキング性にすぐれた熱交換器用複合鋼管と、その製造方法に関する。本発明の熱交換器用複合鋼管は、とりわけ、「シンガス(Syngas)」とよばれる合成ガスを製造するプラントの構成部分である熱交換器のコイルを製造する材料として好適である。
【0002】
【従来の技術】
メタンガスまたはメタンを主成分とするガスを原料とし、これに分子状酸素を混合して下式の反応を起こさせ、
2CH+O→2CO+4H
生成したシンガスからCOおよびHを分離し、アンモニア合成やメタノール合成の原料として利用することが行なわれている。この合成ガス生成反応は、反応器中に原料ガスおよび適量の酸素ガス(通常は空気または酸素富化空気を使用する)を供給し、上記の反応を起こさせて、生成した反応ガスを冷却し、未反応成分および副生物を分離したのち、COとHの分離を行なうという工程に従う。
【0003】
上記した反応ガスの冷却は、塔型の熱交換器内部に管コイルを配置し、管の外側には冷却水を充満しておき、内側に反応ガスを通すことにより両者を熱交換させて行なう。この熱交換コイルに入る反応ガスは、温度が1300℃台、圧力が40気圧であり、これが出口では400℃程度に低下するとともに、圧力が若干低くなるが、いずれにしても、熱交換器を構成する管コイルは、過酷な使用条件下におかれる。耐熱性に加えて、浸炭によって生じるメタルダストが引き起こす摩耗に耐えること、および冷却の過程で生じる管内のコーキングが少ないことが、この管コイルに要求される特性である。
【0004】
これまで、この熱交換器の管コイルには低合金鋼が使用されていたが、寿命が短くてたびたびの交換が必要であるため、対策が求められていた。この種の管コイルを形成する金属管としては、まず各種の耐熱合金管が考えられるが、熱交換器の材料として必須の、高い熱伝導性があるかといえば、多くは失格である。熱伝導性の確保のためには、必要な肉厚の大部分を熱伝導率の高い炭素鋼または低合金鋼とし、耐メタルダスト摩耗性や耐コーキング性が必要な内面および(または)外面を、そのような特性を持つ合金で被覆した、多層構成の管を採用せざるを得ない。
【0005】
二重管を製造する技術として、熱間押出法によるクラッド管の製造が考えられ、その一例として特開平7−150556があるが、現状では層間剥離のおそれがあるため、クラッド管は、複合材料としては実用性に乏しい。そのほか、耐熱強度の高い金属管の表面に耐メタルダスト摩耗性および耐コーキング性が高い層を形成する技術として、インクロマイジング法があるが、この技術で形成できる層の厚さは高々50μm程度であって、表面が摩耗や炭化で失われるような装置の構成部品に適用するには限界がある。
【0006】
複合管の製造に、肉盛り溶接を利用する技術もある。出願人は、共同出願人とともに、鋼管を素管としてその外側にCr−Ni−Mo系耐食耐熱合金の肉盛り層を設け、圧延・引き抜きおよび再結晶温度以上の温度における熱処理を経てボイラ用クラッド鋼管を製造する方法を開発し、すでに開示した(特開平8−103867)。つづいて出願人は、やはりボイラ用高温パイプとして、ステンレス鋼管の外周面にCrおよびMoを含むNi合金を溶着した被覆を設けたものを開発し、これも開示した(特開平10−30897)。
【0007】
さらに出願人は、きわめて過酷な条件で使用される金属管の例である、ナフサクラッキングによるエチレン製造プラントのエチレン製造反応管(以下「エチレン管」と略記する)について研究し、耐熱性と耐コーキング性とに関して満足すべき性能を示すエチレン管の製造技術を確立し、すでに提案した(特開2001−113389)。このエチレン管は、耐熱性金属管基材の内面および外面の一方または両方に、Cr−Ni−Mo系合金の肉盛り層を、肉盛り溶接、好ましくはプラズマ粉末溶接(以下、「PPW」と略記する)により形成し、その肉盛り面を平滑にしたものである。耐熱性金属管基材としては、8%以上のCrを含有する鉄基合金、耐熱鋳鋼、HK材、HP材などを使用する。
【0008】
発明者らは、上述のエチレン管の製造技術を、シンガス製造プラントの熱交換器を構成する管コイルの製造に適用することを試み、製造された多層管がこの用途に有用であることを見出した。すなわち、ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管またはボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管を基材とし、その内側にCr−Ni−Mo系耐食耐熱合金をPPWにより肉盛り溶接した多層管は、耐メタルダスト性および耐コーキング性に関して高い性能を示すことが確認された。PPWにより肉盛り溶接する耐食耐熱合金は、Moを含有しないCr−Ni系合金でもよいことがわかった。
【0009】
一方、この複合管は、J字形状、U字形状、コイル形状など、さまざまな形状で使用するために、曲げ加工によりJ字、U字またはラセン状に屈曲させなければならないところ、肉盛り溶接の熱により焼きが入って、曲げ加工に不都合であることも経験した。この問題は、管の内面または外面の肉盛り溶接を行なう間に、肉盛り層形成面とは反対の側に、すなわち外側または内側に、冷却媒体、好適には温水を流して、冷却を緩やかにすることによって、基材の硬さを一定限度内に止めれば回避できることがわかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した発明者らが得た新しい知見を活用し、シンガス製造プラントの熱交換器を構成する管コイルとして有用な、耐熱性と並んで、耐メタルダスト性および耐コーキング性にすぐれた熱交換器用複合鋼管を提供し、それとともに、その製造方法とくに曲げ加工に適した、内部に過度に硬い部分が存在しない熱交換器用複合鋼管素材の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱交換器用複合鋼管は、鋼管基材の内面および(または)外面に、Cr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層をプラズマ粉末溶接により形成したことを特徴とする、耐メタルダスト性および耐コーキング性にすぐれた熱交換器用複合鋼管である。
【0012】
本発明の熱交換器用複合鋼管を製造する方法は、鋼管基材の内面および(または)外面に、Cr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層をプラズマ粉末溶接により形成し、溶接の間、鋼管基材を、肉盛り層を形成する面とは反対の側から冷却媒体で冷却して温度を制御することにより焼き入れを防止し、硬さがHV350を超える部分が生じないようにしながら肉盛り層を形成することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明の熱交換器用複合鋼管の管基材を形成する鋼管は、製品の用途に応じて、Fe基のボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管(鋼種としてはSTB340,410,510)、またはボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管(鋼種としてはSTBA12,13,20,22,23,24,25,26)から適切なものを選択して使用すればよい。より具体的な合金組成を示せば、C:0.35%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.5%以下、P:0.035%以下、S:0.040%以下、Cr:3.0%以下およびMo:1.2%以下を含有し、残部が実質的にFeである合金組成を有する鋼の管を材料とするのが適切である。
【0014】
PPWによる肉盛り層を形成するCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金は、重量で、Cr:36〜50%、Ni:35〜63%およびMo:0〜5%からなる組成を有することが好ましい。この合金組成が好ましい理由は、次のとおりである。
【0015】
Cr:36〜50%
Crは耐酸化性を高める上で必要であるとともに、本発明で意図する耐コーキング性の実現に、きわめて重要な元素である。こうした効果を得るためには、通常Cr36%以上の添加が必要である。耐酸化性も耐コーキング性も、Cr量を高くすれば高まるが、50%を超えるとオーステナイト組織が不安定になり、加工性が低くなって、曲げ加工などが困難になるから、合金としての実用性が低くなる。耐コーキング性が充分高く、かつ加工性も悪くない、とくに好ましい範囲は、Cr:40〜47%である。
【0016】
Ni:35〜63%
熱交換器の管コイルのような、高温の環境で使用されるものにおいても組織を安定に維持し、かつ意図した耐コーキング性を得るためには、多くの場合、少なくとも35%のNiの存在を必要とする。Ni量が増大すれば、それに伴って効果も増すが、あまり多くしてもそれに比例して効果が増すわけではなく、不経済になるので、63%が実用上の上限である。
【0017】
Mo:場合により5%以下
本発明の複合鋼管が所期の性能を発揮するには、肉盛り金属の溶接性が良好であること、すなわち溶着した金属に割れやブローホールなどの欠陥がないことと、靱延性が高いことが必要であり、これらの性質の確保にとって、Moは効果的な成分である。溶接性に限っていえば、添加の効果は0.5%程度の少量から認められ、量を増すことによって効果も増す。しかし、比較的少量の添加で効果が飽和するし、Mo量が過大になると、かえって高温における靱延性が低下するから、5%までに止めるのが得策である。
【0018】
Niの一部は、Coで置き換えることができ、置き換えても効果は変わらないか、場合によっては耐コーキング性の一層の向上を得ることができる。もっとも、Coは材料としてはNiより高価であり、置き換えの意義はそれほど高くないから、多量に置き換えることが得策であるとは限らない。通常はNi量の10%、高々50%止まりの置き換えが有利である。
【0019】
肉盛り層を形成する合金には、上記の成分のほか、下記の成分を添加することが推奨される。
【0020】
B:0.001〜0.015%
Bの添加により、溶接性とくに溶着金属の割れ感受性が改善される。この効果は、0.001%という少量から認められ、0.015%を超えるとかえって失われるから、上記の範囲から添加量を選択する。Bを添加することにより得られる効果は、下記の量の、Zrおよび(または)REMを添加した合金組成とすることにより増強される。
【0021】
Zr:0.001〜0.015%、REM:0.0001〜0.002%
ZrによるBの作用の増強効果は、Zr:0.001%以上の添加で得られ、0.015%に至ると飽和する。REMによるBの作用の増強効果は、REM:0.0001%以上の添加で得られ、0.002%に至ると飽和する。ZrおよびREMは、もちろん併用することができる。
【0022】
本発明の熱交換器用複合鋼管において高い耐コーキング性を確保するためには、肉盛り層を形成する合金が含有する不純物のいくつかについて、その最大量を一定のレベルに規制することが望ましい。具体的には、下記の諸成分である。
【0023】
Fe:15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下
Feはコーキングを引き起こす成分であるから、極力低い含有量にしないと、本発明で多層構成を採用した意義が失われかねない。当業者には周知のことであるが、溶接を行なって得られる溶着金属は、溶加材金属に基材金属が若干溶け込んだ、中間の合金組成をもったものになる。とくに、鋼管基材がFeを主要構成元素とする場合には、肉盛り層中への基材からのFeの溶け込みを抑制することは難しいが、少なくとも15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下に抑えたい。また、肉盛り金属であるCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金の製造に当たって、原料の吟味をしないと、比較的多量のFeが混入する可能性がある。製品に要求される性能とコストとのバランスを考えて、不純物としてのFe量を決定すべきである。
【0024】
C:0.1%以下、好ましくは0.03%以下
通常、耐熱鋼においては、引張強度およびクリープ破断強度を確保するため、ある程度のCの存在を必要とする。ところが、Cは、耐食性および耐コーキング性にとっては有害である。本発明の熱交換器用複合鋼管では、強度は基材管の方が担うから、肉盛り金属の方は、強度が高いことを必要としない。それゆえ、Cr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金中には、なるべくCを存在させないことが得策である。0.1%まで許容できるが、好ましいのは0.03%以下である。
【0025】
N:0.3%以下、好ましくは0.1%以下
多量のNの存在は、肉盛り金属の硬質化・脆化をもたらすので、避けたい。この観点から、N量は0.3%以下にすべきであり、0.1%以下にすることが好ましい。
【0026】
Si:1.5%以下、好ましくは1.0%以下
合金の溶製過程で脱酸剤として添加されるので、不可避的に含まれる元素である。しかし、靱延性を損なうので、できるだけ低レベルにおさえたい。1.5%まで許容できるが、1.0%以下にすることが好ましい。
【0027】
Mn:1.5%以下、好ましくは1.0%以下
これも脱酸剤であるから、不可避的に含まれることが多いが、耐コーキング性を高く保つためには、なるべく少量にしたい。許容限度として1.5%の値を定めたが、1.0%以下が好ましい。
【0028】
P+S:0.02%以下
ともに溶接性を低くする(とくに割れ感受性を高めて)元素であり、合計で0.02%を超えると、溶接部に割れを生じる。
【0029】
O:0.3%以下
Oが多量にあると、溶着金属内にブローホールが発生し、肉盛り層が多孔質になる危険がある。0.3%以下であれば、実害はない。
【0030】
溶加材金属中の低沸点成分は、溶接作業中に揮発して、溶着金属中での含有量が低下する。本発明で採用した合金を構成する成分の中では、Bが揮発性であり、またREMも歩留まりを考慮すべき元素である。本発明の実施にあたっては、こうしたことを考慮に入れて、溶加材金属の合金組成を選択すべきである。
【0031】
肉盛り層の厚さは、少なくとも2.0mm必要である。ここでいう「肉盛り層の厚さ」は、基材金属表面の溶融層の厚さを含む。肉盛り溶接において、母材である鋼管基材から、Feをはじめとする好ましくない成分が肉盛り層に混入してくるが、2.0mm以上の厚さがあれば、それら成分が肉盛り層の表面にまで至ることは実質上なくなる。シンガス製造プラントの熱交換器の管コイルであれば、2.0〜4.0mm程度が適切である。4.0mmを超える厚さは、熱交換性を阻害してしまう。
【0032】
PPWを含めて一般にプラズマ・トランスファー・アーク溶接法は、熱源として高温の熱プラズマを利用するため、基材表面を深く溶融させることなく、従って基材金属による溶加材金属の汚染の程度を低くして、肉盛り溶接をすることができる。とりわけPPWは、溶加材として粉末を使用するものであって、溶加材をワイヤやロッドの形として用意する必要がないから、難加工材であっても問題なく溶接を行なうことができる。
【0033】
熱交換器用複合鋼管の製造に当たって、溶接による熱が原因で焼きが入ることは、溶接時に基材の鋼管を温水などの冷却媒体で冷却し、冷却を緩やかにすることによって防止できる。焼き入れの回避をどの程度行なうかは、製品のクラッド鋼管に施す曲げ加工の程度にもよるが、シンガスプラントの熱交換器に用いる管コイルの場合、通常の設計であれば、曲率半径にして5〜100cmの曲げを施すので、硬さがHVにして350を超える部分が生じないようにすればよいことが、経験的に判明した。このような観点から、冷却の程度を決定する。
【0034】
基材金属成分、とくにFeの肉盛り層への混入を極力抑えて、耐コーキング性を確保する観点からは、肉盛り溶接を2回以上に分けて実施する、いわゆる「多層肉盛り」を行なうことが考えられる。しかし、当然のことながら、作業効率、ひいてはコストの点で「一層盛り」にくらべて劣るとともに、肉盛り層の厚さも厚くならざるを得ない。このため、曲げ加工性や高い熱交換効率が求められる、本発明の熱交換器用の管を製造する技術として、多層盛りは必ずしも好適とはいえない。以上説明してきた本発明によれば、あえて多層肉盛り溶接を行なうことなく、一層肉盛りによっても、十分に実用に供し得る複合鋼管を提供することができる。
【0035】
【実施例】
[肉盛り用合金粉末の製造]
下記の合金組成(重量%)を有するNi−Cr−Mo合金を溶製し、
Figure 2004263284
合金の溶湯をガス噴霧−ガス冷却法により粉末化し、ふるい分けて、+60〜−250メッシュの範囲を集めた。
【0036】
[PPW]
下記の合金組成(重量%、残部Fe)を有するSTBA#24製の、
Figure 2004263284
外径114mm、内径106mm、長さ4.5mのパイプの内周全面に、上記したNi−Cr−Mo合金の粉末をPPWにより肉盛り溶接して、目標厚さ3.0mmの肉盛り層を形成した。溶接に当たっては、温水を流して外側から冷却した。比較のため、肉盛り層の厚さを変えたものや、冷却媒体の温度を変えて、冷却速度を変化させた複合鋼管も製造した。肉盛り溶接後、それらの管の断面について硬さを測定した。
【0037】
[実機試験]
このようにして得た、鋼管内周面にCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層を形成した複合鋼管を、曲げ加工装置に入れて加工した。管の接続は、端部をV字状にカットして隙間なしに突き合わせ、外側から溶接することにより行ない、外部径が135cmでピッチ16cm、巻き数12ターンのコイルを得た。これを用いて、シンガスプラントの熱交換器を構成した。180日にわたる連続操業を行なった後、取り出して管内の摩耗の状況を調べるとともに、コーキングの発生量を測定した。結果を、表1に示す。
【0038】
表1
Figure 2004263284
耐コーキング性の評価は、つぎのとおりである。
◎:コークの付着なし。
○:コークが部分的に付着したが、付着量は少ない。
△:コークが全面的に付着したが、付着量は少ない。
×:コークが全面的に付着し、付着量が多い。
【0039】
表1のデータに見るように、本発明に従った複合鋼管は、曲げ加工において割れなどの不都合がなく、浸炭やコーキングの発生も認められなかった。一方、肉盛り層中に比較的多量のFeを含むNo.16および17は、耐コーキング性が劣っていた。PPWによる肉盛り溶接時の冷却速度の制御が不適切で、焼きが入り、硬さがHV350を超えたNo.18および19では、所定の曲げ加工ができなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の熱交換器用複合鋼管は、シンガス製造プラントの熱交換器に用いる管コイルのような、入り口ガス温度が1300℃で40気圧、メタルダスト含有という過酷な使用条件で使用しても、基材表面に肉盛り溶接したCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金の層が耐メタルダスト性および耐コーキング性を担うことにより、長期間連続使用しても、表面の摩耗の程度は問題にならず、そこに析出・堆積する炭素の量は僅かである。したがって、耐食性の低下や脆弱化をおそれる必要がなく、長寿命であることが期待できる。
【0041】
この熱交換器用複合鋼管を製造するための肉盛り層形成手段として採用したPPWは、設備的に大規模のものや特殊な装置を必要とすることなく実施可能であって、工程は単純であるから、コストも低廉ですむ。製品複合鋼管の曲げ加工性は、溶接時の冷却を適切に行なうことにより材料の硬さをコントロールすることで、高いレベルに維持できる。

Claims (12)

  1. 鋼管基材の内面および(または)外面に、Cr−Ni系合金、またはCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層をプラズマ粉末溶接により形成したことを特徴とする耐メタルダスト性および耐コーキング性にすぐれた熱交換器用複合鋼管。
  2. 鋼管基材として、Fe基のボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管またはボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管を使用した請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  3. 鋼管基材として、C:0.35%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.5%以下、P:0.035%以下、S:0.040%以下、Cr:3.0%以下およびMo:1.2%以下を含有し、残部が実質的にFeである合金組成を有する鋼の管を使用した請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  4. 鋼管基材として、請求項3に規定の合金組成において、Cr:0.5〜2.0%およびMo:0.4〜1.0%である組成を有する鋼の管を使用した請求項3の熱交換器用複合鋼管。
  5. 肉盛り層を形成しているCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金が、重量で、Cr:36〜50%、Ni:35〜63%およびMo:0〜5%からなる合金組成を有する請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  6. 肉盛り層を形成しているCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金が、その成分Niの一部をCoで置き換えた合金組成を有する請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  7. 肉盛り層を形成しているCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金が、請求項5または6に記載の合金成分に加えて、重量で、B:0.001〜0.015%を含有する請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  8. 肉盛り層を形成している合金が、請求項5または6に記載の合金成分に加えて、重量で、Zr:0.001〜0.015%およびREM:0.0001〜0.002%の一方または両方を含有する請求項1の熱交換器用複合鋼管。
  9. 肉盛り層を形成しているCr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金に含まれる不純物の量を、重量で、C:0.1%以下、N:0.3%以下、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Fe:15%以下、P+S:0.02%以下、かつO:0.3%以下にそれぞれ規制した請求項1ないし8のいずれかの熱交換器用複合鋼管。
  10. 熱交換器が、シンガス製造プラントの反応ガスを熱交換するための設備である請求項1ないし9のいずれかの熱交換器用複合鋼管。
  11. J字形状、U字形状またはコイル形状に成形した請求項1ないし9のいずれかの熱交換器用複合鋼管。
  12. 鋼管基材の内面および(または)外面に、Cr−Ni系合金またはCr−Ni−Mo系合金の肉盛り層をプラズマ粉末溶接により形成し、溶接の間、鋼管基材を、肉盛り層を形成する面とは反対の側から冷却媒体で冷却して温度を制御することにより焼き入れを防止し、硬さがHV350を超える部分が生じないようにしながら肉盛り層を形成することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかの熱交換器用複合鋼管の製造方法。
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