JP3310892B2 - ごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金 - Google Patents

ごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金

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JP3310892B2 JP34758196A JP34758196A JP3310892B2 JP 3310892 B2 JP3310892 B2 JP 3310892B2 JP 34758196 A JP34758196 A JP 34758196A JP 34758196 A JP34758196 A JP 34758196A JP 3310892 B2 JP3310892 B2 JP 3310892B2
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静生 保田
裕二 中川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はごみ焼却ボイラ排ガ
スなどの塩化物、硫酸塩、酸化物などを含むダストが存
在する燃焼ガス中で優れた耐高温腐食性を発揮する高温
強度特性、塑性加工性、溶接性、高温長時間使用時の組
織安定性が良好なごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金に
関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ、産業廃棄物等には多種多様な
物質が含まれており、中でもCl、Sは燃焼によりHC
l、SO2 を発生するとともに同時に含まれるNa、
K、Caなどのアルカリ、アルカリ土類金属あるいはP
b、Znなどの重金属類と反応して低融点の塩化物、硫
酸塩の混合塩を含むダストを生成する。このような腐食
性ガス、付着ダストの存在下では従来の低合金鋼、ステ
ンレス鋼、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金は大き
な腐食速度を示す。中でも上記燃焼炉の廃熱を回収し、
発電を行うためのボイラではボイラ管及び付属金物等の
腐食損傷が激しく、省エネルギー、省資源、環境保全の
面から強力に進められているボイラの高効率化に対して
優れた耐食性を発揮するボイラ用高温耐食材料の出現が
求められている。
【0003】例えば、既存合金のAlloy625(2
1Cr−9Mo−4Fe−4Nb−0.2Ti−0.2
Al−Ni bal. )はこのような環境下で比較的良好な
耐食性を示すことが知られているが、Mo、Al、T
i、Nbを多く含んでおり、これらにより金属間化合物
が析出し、高温強度が高い反面、チューブ成形性、チュ
ーブ曲げ加工性が悪く、ボイラへ使用する際に形状等が
限定されてしまう。また、500℃以上の高温で長時間
使用する場合、金属間化合物の析出が進行するため脆化
傾向を示すなど、高温での組織安定性が悪く、高温高圧
下で使用する場合使用温度などに制限を受ける。さら
に、高濃度のMoを含有することもチューブ成形性悪
化、コスト増加を招く要因となっている。また、All
oy825(21Cr−3Mo−42Ni−2Cu−1
Ti−Fe bal. )はAlloy625よりコストは低
いが500℃以上の高温では耐食性が悪化するため使用
温度が限定される。
【0004】一方、上記のような環境下で良好な耐食性
を発揮する合金として、Siを比較的多く含むCr−N
i−Fe系合金が知られている(日本特許第16082
95号、1316994号、特開平7−216483号
公報、特開平5−320795号公報など)。また、J
IS規格においてもSUSXM15J1など高Siステ
ンレス鋼が規定されている。Siは耐食性向上に有効な
反面チューブ成形性、加工性、溶接性、クリープ特性を
悪化させ、高温長時間使用時に脆化などが起こるため高
Si合金のボイラ管としての利用はあまりなく、成分的
な工夫が必要である。前出の特許等においてもこのよう
なシームレス管成形性、高温長時間使用時の組織安定性
は考慮されていない。さらに、多量にSiを含有する合
金は溶接性が劣り、Si含有により合金の融点が低下す
るため溶接時の高温割れが発生しやすく、成分的な工夫
が必要である。廃棄物燃焼環境下で使用される材料の耐
食性評価の精度を向上させるためには、実機に付着する
塩化物、硫酸塩、酸化物の混合したダスト雰囲気を模擬
した実験室条件下、あるいは実機中での評価が不可欠と
なっているが、前記特許等においてはこのような評価は
なされておらず、この種の腐食環境下での耐食性の優劣
の見極めが困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記従来技術
の実情に鑑み、ごみ焼却ボイラ排ガスなどの塩化物、硫
酸塩、酸化物などを含むダストが存在する雰囲気中で優
れた耐高温腐食性を有し、高温強度特性、塑性加工性、
溶接性、高温長時間使用時の組織安定性が良好なごみ焼
却装置用高強度耐食耐熱合金を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)重量%で
C:0.3%以下、Si:3.3〜6%、P:0.03
%以下、S:0.03%以下、Cr:15〜31%、N
i:23〜41%、Mn:0.1〜4%、Nb及び/又
はTa:0.1〜0.8%、B:0.001〜0.01
%、Ti:0.03〜0.6%、Al:0.03〜0.
6%、N:0.01〜0.4%を含み、残部がFe及び
不可避的不純物(ただしFeは30%を超え、50%以
下)からなることを特徴とするごみ焼却装置用高強度耐
食耐熱合金及び(2)前記(1)の成分に加えてMo、
W、希土類金属、Co、アルカリ土類金属及びZrから
なる群から選ばれる1種以上の元素を、重量%でMo:
0.3〜5%、W:0.2〜3%、希土類金属:0.4
%以下、Co:0.1〜4%、アルカリ土類金属:0.
1%以下、Zr:0.8%以下の割合で含有してなるこ
とを特徴とするごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金で
る。
【0007】本発明のごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合
金は、前記従来技術の課題を解決するため、廃棄物燃焼
環境などの高温腐食性条件下で使用できる優れた高温耐
食性を有する高強度耐食耐熱合金材料を開発すべく鋭意
研究を行った結果見出されたものであり、その成分、組
成は従来の材料と比較して次のような特徴を有してい
る。
【0008】ClやSを含む燃焼ガス及び溶融ダスト付
着環境下で起こる高温腐食は複数の反応が同時に起こる
複合腐食であるが、その反応としてはHCl、Cl2
るいは塩化物による塩化反応、SOx、H2 Sあるいは
硫酸塩による硫化反応、O2、H2 O等による酸化反応
及び溶融塩に対する溶解反応などがあり、これらが同時
に起こる条件下ではCr、Si、Fe及びNi量の最適
化により腐食反応を抑制する必要がある。
【0009】オーステナイト系ステンレス鋼やCr−N
i−Si−Fe合金ではCr、SiはそれぞれCr2
3 、SiO2 等の酸化物あるいはこれらの複合酸化物を
形成する保護皮膜を形成する元素であり、従来より酸
化、硫化に対しては有効なことが確認されており、通常
それぞれCr:15重量%以上、Si:2重量%以上が
含まれる。一方、塩化に対してはNi、Siが有効であ
り、通常Niは14重量%以上が添加されるが、前記C
l、S、Oを含むすべての環境下での最適添加量につい
ては現在十分に解明されていない。本発明ではこのよう
な複合腐食反応下で最も耐食性が良好となる成分範囲を
鋭意研究した結果Cr、Ni、Fe、Siの複合添加効
果による新たな成分添加量範囲を見出した。なかった。
【0010】本発明者らは、複合腐食反応下で組織安定
性上有害な多量のNb、Alを含まず、最も耐食性が良
好となる成分範囲を鋭意研究した結果、このような複合
腐食反応下で最も耐食性が良好となる成分範囲を鋭意研
究した結果Cr、Ni、Fe、Siの複合添加効果によ
る新たな成分添加量範囲を見出すことができた。
【0011】Siは添加量が多い場合、Cr3 Si、N
3 Si等の金属間化合物が析出しやすく、また、σ相
などの脆化相の析出を促進するため高温における組織不
安定、脆化、塑性加工困難等のボイラ管等に適用する場
合の不具合が生じやすい。このような不具合を解消する
ためはCr、Si、Fe、Niの配合割合を適切に設定
する必要があり、本発明合金ではNiを23〜41重量
%、Crを15〜31重量%とし、さらにSiを6重量
%以下に規制して有害な金属間化合物が多く析出するこ
とを防止し、オーステナイト単相の基地組織とすること
により前記不具合の改善をはかった。
【0012】SiはNiと低融点共晶を形成しやすいた
め、溶接時の耐高温割れ、熱間加工性等の面で有害な元
素であるが、少量のMn(0.1〜4重量%)及びMo
(0.3〜5重量%)を添加し、また、C、N等の添加
による炭化物、窒化物の形成によって、溶接熱影響部の
結晶粒粗大化を阻止することでこれらを防止することが
できた。
【0013】Nb及び/又はTa、Mo、NはClに対
する耐食性に有効な元素であり、これらの元素の少量添
加によりさらに耐食性の改善をはかることができた。
P、Sについては熱間加工性、溶接性、耐食性に有害な
ため0.03重量%以下に規制した。
【0014】本発明合金の高温引張特性、クリープ特性
を改善するためC、N、Nb及び/又はTa、Ti、A
l、Bを少量添加して炭化物、窒化物及び金属間化合物
による析出強化及び固溶強化をはかった。また、同様の
効果はW、Mo、Co、Zrを少量添加することによっ
ても達成することができる。また、Mn、W、B、Co
の少量添加により、特に熱間押出しによるシームレス管
加工性が向上するため、ボイラなどの厚肉、小径チュー
ブの製作が容易となった。また、希土類金属(La、C
e、Y、Hfなど)、アルカリ土類金属(Ca、Mgな
ど)の微量添加は合金の清浄化に寄与し、前記各性質の
改善作用があり、特に酸化、硫化腐食に対して有効と考
えられる。
【0015】本発明合金の均一化熱処理は1000〜1
200℃で行い、また、鍛造、熱間加工は1000〜1
150℃の範囲で行うのが最適である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の合金はその主要構成元素
であるNi、Cr、Si、Feの複合添加効果及び少量
のMn、C、Nb及び/又はTa、Ti、Al、Mo、
N、Bの添加により、Cl、Sの存在下で優れた耐高
温腐食性を発揮し、高温度での引張性等、クリープ強
さなどの高強度化をはかり、高温長時間使用下におけ
る多量の金属間化合物の析出を防止し、金属組織の安定
化を達成するとともに、鍛造性、熱間加工性を改善し
てシームレスチューブ等の製造性を向上し、溶接温度
割れを防止するなど、高温耐食材料、特にボイラ管とし
ての優れた性能を発揮する。各元素の効果及び合金元素
組成を限定した理由について、前記内容に加えて以下に
記述する。
【0017】(1)C:Cの含有量が多くなるとクロム
炭化物の粒界析出などを促進するため耐食性を劣化さ
せ、脆化を促進する要因となるので上限を0.3重量%
とした。一方、微量の添加は高温強度、耐クリープ性の
向上に有効である。好ましい範囲としては0.01〜
0.1重量%である。
【0018】(2)Cr、Si、Ni:鉄基合金ではC
r、SiはそれぞれCr2 3 、SiO2 として燃焼ガ
ス中にて母材との密着性のよい緻密な酸化皮膜を形成す
る元素であり、特に酸化あるいはSOx、H2 S又は硫
酸塩による高温腐食環境下で有効な耐食性付与元素であ
る。しかし、これら元素単独では強い腐食性を有するH
ClあるいはCl2 又は塩化物を含む溶融ダスト付着下
では耐食性の発揮が十分ではない。
【0019】本発明合金ではCr、Si、Niをそれぞ
れ15〜31重量%(好ましくは17〜28重量%)、
3.3〜6重量%(好ましくは3.3〜5.5重量
%)、23〜41重量%(好ましくは25〜38重量
%)の濃度範囲で鉄基合金に添加し、複合添加効果によ
り従来のFe基合金に比べ格段に優れた耐食性を発揮さ
せている。Crは多いほど耐食性向上に寄与するが、前
記範囲より多くなると耐食性、組織安定性が低下し、ま
た少ないと耐食性のみならずCr3 Si、Ni3 Si等
の金属間化合物が多く出現し熱間加工性の低下、高温長
時間使用による組織の不安定化、材料の脆化を促進す
る。
【0020】一方、Siは多いほど耐食性は向上する
が、高温クリープ強度、熱間加工性、組織安定性、溶接
性等の低下が起こるため、上限を6重量%とした。Ni
はオーステナイト単相基地組織を得るために不可欠であ
り、また、Clに対する耐食性向上に欠かせない元素で
ある。本発明合金での最適組成は23〜41重量%であ
る。
【0021】(3)P、S:不純物として含有される
P、Sは耐食性を劣化させるのみならず、熱間加工性、
溶接性などの加工性を悪くするため少ない方が好まし
く、上限を0.03重量%とした。
【0022】(4)Mn:Mnは脱S効果などにより不
純物による害を除く他、少量の添加により耐食性、加工
性、溶接性を改善する効果を有しており、耐食性を劣化
させない範囲で0.1〜4重量%、好ましくは0.3〜
2.5重量%の少量を添加することとした。
【0023】(5)Nb、Ta:Nb及びTaは炭化物
の安定化、Cの固定及び耐食性向上に有効であり、ま
た、高温強度向上に不可欠であるが、時効性、組織安定
化による延性確保の面から多量の含有は有害であり、両
者の合計で0.1〜0.8重量%、好ましくは0.2〜
0.5重量%とした。
【0024】(6)B:Bの少量の添加は結晶粒界の強
化に有効ではあるが、多量に添加すると金属間化合物析
出による脆化、加工性低下につながるため、0.001
〜0.01重量%の範囲とした。
【0025】(7)Al、Ti:Al、Tiは脱酸素剤
として一般に用いられるが、多量に添加すると金属間化
合物が生成し、組織安定性、塑性加工性が悪くなるため
両者とも上限を0.6重量%とした。一方、Ni3 (A
l又はTi)等の析出による高温強度向上効果を付与す
るために0.03重量%以上の添加とした。なお、好ま
しい範囲は0.05〜0.4重量%である。
【0026】(8)N:Nは窒化物の析出あるいは固溶
強化により高温強度向上及びオーステナイト安定化に有
効である。また、粒界腐食の防止に有効であるが、多量
の添加により材料の脆化、時効性を促進し、熱間加工性
の低下を招くため0.01〜0.4重量%の範囲内で添
加する。
【0027】(9)Fe:Feは本発明合金のベース金
属であり、その含有量は30重量%を超え50重量%以
下とする。30重量%以下ではNiを増量する必要があ
るためコスト的に高価となるほか、Siを添加すること
による熱間加工性、溶接性、高温組織安定性の劣化の影
響が大きくなる。また、50重量%を超えると相対的に
Cr、Ni量が減少するためステンレス鋼(例えばSU
S310)に近い組成となり耐食性が低下する。さら
に、α相が析出しやすくなり、高温組織安定性、耐食
性、高温強度面での問題が生じる。
【0028】また、さらに目的に応じて前記基本組成合
金の性質を改善するため、以下に示す元素を少量あるい
は微量添加することができる。
【0029】(10)Mo:MoはWと同様な効果を有
するが多量の添加は溶接性、組織安定性機械加工性に有
害なため0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3.5
重量%の少量添加とした。また、Moの添加は高温強度
(クリープ、引張特性)改善に効果を発揮する。
【0030】(11)W:WはCrの添加と合わせて耐
食性向上、高温強度(クリープ、引張特性)向上に寄与
する元素であるが、多量に添加すると塑性加工性が劣化
するため上限を5重量%に設定した。一方、溶接性、耐
食性などの性質改善には0.2重量%以上の添加が必要
である。好ましい範囲は0.5〜3.5重量%である。
【0031】(12)希土類金属:La、Ce、Y、H
fなどの希土類元素は、酸化皮膜の密着性を向上させ、
耐硫化性、耐酸化性向上に有効である。また材料の清浄
化にも有効であることから材料の靱性を低下させない
0.4重量%以下の範囲で添加することができる。
【0032】(13)Co:Coは耐食性を劣化させず
高温強度、塑性加工性、溶接性を向上させる目的で0.
1〜4重量%、好ましくは0.3〜3重量%の少量添加
することができる。
【0033】(14)アルカリ土類金属:Ca、Mgな
どのアルカリ土類金属は結晶粒界を強化し、材料清浄化
による耐食性、強度特性、加工性などを改善する必要が
ある場合に0.1重量%以下の微量添加することができ
る。(15)Zr:Zrは炭化物形成による高温強度向
上に有効であるが、多量添加は耐食性、加工性を悪くす
るため上限を0.8重量%とした。
【0034】本発明のごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合
金は都市ごみ、産業廃棄物、汚泥などの不均一な廃棄物
を燃焼させる焼却炉及びこれに付属するボイラ、金属部
品、火格子などの高温耐食性を要求される部材に好適に
利用でき、特に高温強度特性が良好であり、高温で耐食
性、高強度を要する部材に適している。また、同様なC
l、Sを含む高温雰囲気下におかれる化石燃料燃焼装
置、化学プラント、一般機器の高温耐食材料としても優
れた溶接性、耐食性、耐熱性、組織安定性を発揮する。
この高強度耐食耐熱合金の利用形態としてはシームレス
チューブ、圧延板のほか各種鋳物あるいはクラッド管な
どが可能である。また、粉末を製作することにより溶
射、肉盛、粉末成形品などとして利用することもでき
る。
【0035】
〔実施例1〕
本発明のごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金のごみ焼却
炉燃焼ガス環境下における耐食性を評価するため、実験
室模擬環境下で腐食試験を行った。試験は図1に示すよ
うに磁性ルツボ1内に充填した灰(表1の組成)2の中
に試験片3を埋め込み、密閉容器中で表1に示す組成の
混合ガスが550℃で毎分600ミリリットル流れる環
境下に100時間保持した後、腐食減量及び粒界腐食深
さを測定することによって行った。試験片は表2に示す
組成の原料を使用し、20kgの原料を真空溶解してイ
ンゴットを作製し、1100℃で熱間鍛造を行い、最終
的に1050〜1150℃で溶体化処理を行って得た厚
さ20mmの板状試験材から縦14mm、横14mm、
厚さ3mmの小試験片を加工して供試した。高温腐食試
験結果及び熱間鍛造時の鍛造性調査結果を表3に示す。
【0036】表3の結果から、本発明合金である試験材
A〜Qは熱間鍛造によるクラック発生が見られず、鍛造
性が良好であるとともに、表1に示すClが2.24重
量%又は12.5重量%の実機灰A又はBの付着条件に
おいて、例えば比較合金S(625合金)、比較合金R
(825合金)に比べ腐食減量が小さく、他の比較合金
に比べても優れた耐食性を有していることがわかる。ま
た、この種の環境においてしばしば発生が見られる粒界
腐食等の局部腐食の発生がほとんど認められなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】〔実施例2〕本発明合金の高温長時間使用
時の組織安定性、金属間化合物の析出傾向を調査するた
め、表2に示した組成の試験片を使用して600℃で1
000時間の加熱試験を行い、硬さ変化を調べた。な
お、試験は実施例1に準じて作製した縦14mm、横1
4mm、厚さ3mmの試験片を用いて行った。試験結果
を表4に示すが、本発明合金の組成範囲では硬さ変化が
小さく(約HV230以下)、組織安定性が優れている
ことがわかる。また、ミクロ組織上においても大きな析
出傾向は見られなかった。特にNi、Cr、Siの量は
組織安定性の重要であり、本発明合金はこれらの量が最
適値に設定されている。
【0041】
【表4】
【0042】〔実施例3〕実施例2で使用した試験材の
代表的なものについて溶接試験を行った。試験は図2に
示すように厚さ20mmの板状試験片上にTIGにて溶
かし込み溶接、625フィラーを使用したTIG溶接を
行った。また、図3に示すように厚さ6mmの板状試験
片の突き合わせ溶接試験片を作製した。これらの試料に
ついて表面及び断面における溶接欠陥、溶接割れの確認
及び曲げ試験を行った。その結果は表5に示すとおりで
あり、本発明合金では溶接ビート及びHAZ部における
有害な欠陥は見られず良好な溶接性を有していることが
確認された。
【0043】
【表5】
【0044】
【発明の効果】本発明のごみ焼却装置用高強度耐食耐熱
鋳造合金は、ごみ焼却炉燃焼ガス中などCl、Sを多く
含む高温腐食環境下において優れた耐高温腐食性を有
し、かつ、高温強度特性、高温長時間使用時の組織安定
性、溶接性、塑性加工性が優れたCr−Ni−Fe−S
i合金である。この高強度耐食耐熱鋳造合金はシムレス
チューブ、クラッドチューブあるいは粉末などの任意の
形態で安価に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における腐食試験の状況を示す説明
図。
【図2】実施例3におけるTIGビードオンプレート溶
接試験の状況を示す説明図。
【図3】実施例3における突合せTIG溶接試験の状況
を示す説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 重治 神奈川県横浜市中区錦町12番地 三菱重 工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 保田 静生 神奈川県横浜市中区錦町12番地 三菱重 工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 中川 裕二 神奈川県横浜市中区錦町12番地 三菱重 工業株式会社 横浜製作所内 (72)発明者 増山 不二光 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社 長崎研究所内 (56)参考文献 特開 平3−100134(JP,A) 特開 平5−320795(JP,A) 特開 平7−242971(JP,A) 特開 平7−216483(JP,A) 特開 平5−148587(JP,A) 特開 平4−350149(JP,A) 特開 平6−248393(JP,A) 特公 平1−52465(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 302 C22C 38/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%でC:0.3%以下、Si:3.
    3〜6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、
    Cr:15〜31%、Ni:23〜41%、Mn:0.
    1〜4%、Nb及び/又はTa:0.1〜0.8%、
    B:0.001〜0.01%、Ti:0.03〜0.6
    %、Al:0.03〜0.6%、N:0.01〜0.4
    %を含み、残部がFe及び不可避的不純物(ただしFe
    は30%を超え、50%以下)からなることを特徴とす
    ごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金。
  2. 【請求項2】 請求項1の成分に加えてMo、W、希土
    類金属、Co、アルカリ土類金属及びZrからなる群か
    ら選ばれる1種以上の元素を、重量%でMo:0.3〜
    5%、W:0.2〜3%、希土類金属:0.4%以下、
    Co:0.1〜4%、アルカリ土類金属:0.1%以
    下、Zr:0.8%以下の割合で含有してなることを特
    徴とするごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金。
JP34758196A 1996-12-26 1996-12-26 ごみ焼却装置用高強度耐食耐熱合金 Expired - Fee Related JP3310892B2 (ja)

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