以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る実装条件決定方法を実現する部品実装システム10の構成を示す外観図である。
部品実装システム10は、基板に部品を実装し、回路基板を生産する生産ラインであり、実装条件決定装置100と複数の部品実装機200(図1に示す例では、9台の部品実装機)とを備えている。
実装条件決定装置100は、本発明に係る実装条件決定方法を実行する装置である。この実装条件決定装置100は、生産ライン全体でのスループットを向上することができるように実装条件を決定する。
部品実装機200は、部品実装システム10の一部として、実装条件決定装置100により決定された条件で、電子部品などの部品を基板に実装する。
具体的には、複数の部品実装機200は、上流から下流に向けて基板を送りながら部品を実装していく。つまり、まず上流側の部品実装機200が基板を受け取り、その基板に対して部品を実装する。そして、その部品が実装された基板が下流側の部品実装機200に送り出される。このようにして、各部品実装機200に基板が順次送られ、部品が実装される。
図2は、部品実装機200の内部の主要な構成を示す平面図である。ここで、基板の搬送方向をX軸方向、水平面内でX軸方向と直交する部品実装機の前後方向をY軸方向とする。
部品実装機200は、3つの基板21、基板22および基板23をそれぞれ搬送する搬送レーン215、搬送レーン216および搬送レーン217と、この3つの基板に対して部品を実装する2つの実装ユニット210a、210bとを備えている。
搬送レーン215は実装ユニット210aの側に、搬送レーン217は実装ユニット210bの側に、搬送レーン216は搬送レーン215と搬送レーン217との間に、それぞれがX軸方向と平行になるように配置されている。
そして、搬送レーン215は、それぞれがX軸方向に平行な固定レール215aと可動レール215bとから構成されている。固定レール215aの位置は予め固定されており、可動レール215bは、搬送される基板21のY軸方向の長さに応じてY軸方向に移動可能である。
また、搬送レーン215と同様に、搬送レーン216は、固定レール216aと可動レール216bとから構成され、搬送レーン217は、固定レール217aと可動レール217bとから構成されている。そして、固定レール216aおよび固定レール217aの位置は予め固定されており、可動レール216bおよび可動レール217bは、それぞれ搬送される基板22および基板23のY軸方向の長さに応じてY軸方向に移動可能である。
また、搬送レーン215、搬送レーン216および搬送レーン217には、基板21、基板22および基板23がそれぞれ独立して搬送される。
2つの実装ユニット210a、210bは、お互いが協調し、基板21、基板22および基板23に対して実装作業を行う。
また、実装ユニット210aと実装ユニット210bはそれぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット210aは、部品供給部211a、装着ヘッド213a及び部品認識カメラ(図示せず)を備えている。同様に、実装ユニット210bは、部品供給部211b、装着ヘッド213b及び部品認識カメラ(図示せず)を備えている。
ここで、実装ユニット210aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット210bの詳細な構成の説明については、実装ユニット210aと同様であるため、省略する。
部品供給部211aは、部品テープを収納する複数の部品カセット212aの配列からなる。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ等であって、具体的には大きさが4mm×2mmの0402チップ部品や大きさが10mm×5mmの1005チップ部品などである。
装着ヘッド213aは、例えば最大10個の吸着ノズルを備えることができ、部品供給部211aから最大10個の部品を吸着して、基板21、基板22および基板23に装着することができる。
部品認識カメラは、装着ヘッド213aに吸着された部品を撮影し、その部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。
図3は、装着ヘッド213aと部品カセット212aの位置関係を示す模式図である。
上述のように、装着ヘッド213aには、例えば最大10個の吸着ノズルnzを取り付けることが可能である。10個の吸着ノズルnzが取り付けられた装着ヘッド213aは、最大10個の部品カセット212aのそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。
図4は、部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
チップ型電子部品などの部品は、図4に示すキャリアテープ221に一定間隔で複数個連続的に形成された収納凹部221aに収納されて、この上面にカバーテープ222を貼り付けて包装される。そしてこのようにカバーテープ222が貼り付けられたキャリアテープ221は、リール223に所定の数量分だけ巻回されたテーピング形態でユーザに供給される。また、このようなキャリアテープ221およびカバーテープ222によって部品テープが構成される。なお、部品テープの構成は、図4に示す構成以外の他の構成であってもよい。
このような部品実装機200の実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品供給部211aに移動させて、部品供給部211aから供給される部品をその装着ヘッド213aに吸着させる。そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品認識カメラ上に一定速度で移動させ、装着ヘッド213aに吸着された全ての部品の画像を部品認識カメラに取り込ませ、部品の吸着位置を正確に検出させる。さらに、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを例えば基板21に移動させて、吸着している全ての部品を基板21の実装点に順次装着させる。実装ユニット210aは、このような装着ヘッド213aによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板21に実装する。同様に、実装ユニット210aは、予め定められた全ての部品を基板22および基板23に実装する。
また、実装ユニット210bも、実装ユニット210aと同様に、装着ヘッド213bによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板21、基板22および基板23に実装する。
そして、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bはそれぞれ、相手の実装ユニットが部品を装着しているときには、部品供給部から部品を吸着し、逆に、相手の実装ユニットが部品供給部から部品を吸着しているときには、部品を装着するように、基板21、基板22および基板23に対する部品の実装を交互に行う。すなわち、部品実装機200はいわゆる交互打ちの部品実装機として構成されている。
なお、2つの実装ユニット210a、210bは、予め部品を実装するように設定された基板に対してのみ、部品を実装する。このため、基板21、基板22および基板23のうち、部品を実装するように設定されていない基板は、実装されずに次の部品実装機に搬送される。
また、このような部品実装機200の基板の生産方法には、大きく分けて同期モードと呼ばれる方法と非同期モードと呼ばれる方法の2種類の方法がある。
同期モードでは、2つ以上の搬送レーン上に基板が搬入された後に、部品の実装を開始するモードである。つまり、1つレーンのみにしか基板が搬入されていない場合には部品の実装は開始しない。同期モードでは、2つの装着ヘッドが2枚以上の基板に対して、交互に部品を実装する。なお、2つの装着ヘッドによる部品の実装順序は、2枚以上の基板を1枚の大きな基板とみなし、当該1枚の基板に対して決定される。
非同期モードでは、複数の搬送レーンのうち、いずれか1つの搬送レーン上に基板が搬入された後に、部品の実装を開始するモードである。非同期モードでは、2つの装着ヘッドが1枚の基板に対して、交互に部品を実装する。つまり、例えば搬送レーン217に基板23が先に搬入された場合には、2つの装着ヘッドが協調動作を行ない、搬送レーン217の基板23に対して部品を実装する。また、次に搬送レーン216に基板22が搬入された場合には、2つの装着ヘッドが協調動作を行ない、搬送レーン216の基板22に対して部品を実装する。
ここでは、部品実装機200の基板の生産方法は、同期モードでも非同期モードでもよい。
図5は、本実施の形態における実装条件決定装置100の機能構成を示すブロック図である。
この実装条件決定装置100は、生産ライン全体でのスループットを向上することができるように実装条件を決定する等の処理を行なうコンピュータである。この実装条件決定装置100は、演算制御部101、表示部102、入力部103、メモリ部104、プログラム格納部105、通信I/F(インターフェース)部106及びデータベース部107を備えている。
この実装条件決定装置100は、本発明に係るプログラムをパーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムが実行することによって実現され、部品実装機200と接続されていない状態で、スタンドアローンのシミュレータ(実装条件の決定ツール)としても機能する。なお、この実装条件決定装置100の機能が部品実装機200の内部に備わっていても構わない。
演算制御部101は、CPU(Central Processing Unit)や数値プロセッサ等であり
、オペレータからの指示等に従って、プログラム格納部105からメモリ部104に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成要素102〜107を制御する。
表示部102はCRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等であり、入力部103はキーボードやマウス等であり、これらは、演算制御部101による制御の下で、実装条件決定装置100とオペレータとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部106は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、実装条件決定装置100と部品実装機200との通信等に用いられる。メモリ部104は、演算制御部101による作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等である。
プログラム格納部105は、実装条件決定装置100の機能を実現する各種プログラムを記憶しているハードディスク等である。プログラムは、部品実装機200による実装条件を決定するプログラムであり、機能的に(演算制御部101によって実行された場合に機能する処理部として)、目標タクト取得部105a、レーン間バランス部105b、設備タクト調整部105c、配列条件決定部105d及び搬送条件決定部105eを備えている。
目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、ラインタクトの目標値である目標タクトを取得する。ここで、目標タクトは、予め定められたラインタクトの比率から決定されるラインタクトの目標値である。また、搬送レーンごととは、同一の基板を搬送する搬送レーンごとのことをいう。なお、目標タクト取得部105aは、目標タクトを算出し、後述する目標タクトデータ107cとして目標タクトをデータベース部107に記憶させることで、目標タクトを取得する。
レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、ラインタクトの比率が予め定められた比率に近づくように、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機の機器構成を決定する。具体的には、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、ラインタクトが、目標タクト取得部105aが取得した目標タクトに近づくように、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機の台数を決定する。なお、当該部品実装機の機器構成は、部品実装機の台数でなくともよく、例えば、部品実装機が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数や、部品実装機が備える同一種類の部品が収納された部品カセットの本数などであってもよい。
設備タクト調整部105cは、ラインタクトが目標タクトに近づくように、部品実装機200間のバランス調整を行う。具体的には、設備タクト調整部105cは、目標タクトとタクト差がある部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を変更することで、部品実装機200のタクトを個別に調整し、その結果、ラインタクトを目標タクトに近づける。つまり、吸着ノズルnzの本数が多くなれば、装着ヘッドで移載する部品数が増えるためタクトを短縮することができ、吸着ノズルnzの本数が少なくなければ、装着ヘッドで移載する部品数が減るためタクトが増加する。
配列条件決定部105dは、部品を吸着する吸着ノズルnzの本数が多い装着ヘッドを備える部品実装機200ほど上流に配列されるよう、部品実装機200の配列を決定する。つまり、配列条件決定部105dは、レーン間バランス部105bおよび設備タクト調整部105cにて決定された部品実装機200の台数および部品実装機200が備える吸着ノズルnzの本数から、吸着ノズルnzの本数が多い装着ヘッドを備える部品実装機200ほど上流に配列されるよう、部品実装機200の配列を決定する。
搬送条件決定部105eは、部品の実装が行われない基板を次の部品実装機200の搬送レーン上で搬送するように実装条件を決定する。
データベース部107は、この実装条件決定装置100による実装条件決定処理等に用いられるデータであるNCデータ107a、部品ライブラリ107b、目標タクトデータ107c等を記憶するハードディスク等である。
図6〜図8は、それぞれ、NCデータ107a、部品ライブラリ107bおよび目標タクトデータ107cの一例を示す図である。
図6は、NCデータ107aの一例を示す図である。
NCデータ107aは、実装の対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりである。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、図7に示される部品ライブラリ107bにおける部品名に相当し、X座標及びY座標は、実装点の座標(基板上の特定位置を示す座標)であり、制御データは、その部品の実装に関する制約情報(使用可能な吸着ノズルnzのタイプ、装着ヘッドの最高移動加速度等)を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズルが回転すべき角度を示す。なお、最終的に求めるべきNC(Numeric Control)データとは、ラインタクトが最小となるような実装点の並びである。
図7は、部品ライブラリ107bの一例を示す図である。
部品ライブラリ107bは、部品実装機200が扱うことができる全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ107bは、図7に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノズルnzのタイプ、部品認識カメラによる認識方式、装着ヘッドの最高加速度比等)からなる。なお、本図には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ107bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
図8は、目標タクトデータ107cの一例を示す図である。
目標タクトデータ107cは、搬送レーンごとに目標タクトを算出するための情報の集まりである。この目標タクトデータ107cは、「搬送レーン」、「基板種」、「レーン数」、「目標タクト」、「目標生産時間」などからなる。
「搬送レーン」は、目標タクトを算出する対象となる搬送レーンである。具体的には、搬送レーン215、搬送レーン216または搬送レーン217の各搬送レーンを特定する名称である。なお、各搬送レーンを特定する名称とは、例えば、搬送レーン215はFレーン、搬送レーン216はMレーンおよび搬送レーン217はRレーンである。
「基板種」は、対象となる搬送レーン上を搬送される基板の種類である。例えば、搬送レーン217であるRレーンに搬送する基板の種類は、基板種Aである。
「レーン数」は、対象となる搬送レーン上を搬送される基板種と同じ種類の基板を搬送する搬送レーンの数である。例えば、基板種Aを搬送する搬送レーンは、Rレーンのみであるので、Rレーンの「レーン数」は1である。同様に、基板種Bを搬送する搬送レーンは、MレーンとFレーンの2つであるので、Mレーンの「レーン数」は2である。
「目標生産時間」は、予め定められた部品が実装された基板を生産するのに要する基板種ごとの生産時間の目標値である。例えば、基板種Aの基板を1枚あたり100sで生産することを目標とする場合は、基板種Aの「目標生産時間」は100sである。
「目標タクト」は、対象となる搬送レーンでのラインタクトの目標値である。例えば、Rレーンでのラインタクトの目標値を100sとする場合は、Rレーンの「目標タクト」は100sである。
図9および図10は、本実施の形態における実装条件決定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、目標タクト取得部105aは、以下のように、搬送レーンごとに、目標タクトを取得する。
具体的には、図9に示すように、まず、目標タクト取得部105aは、入力部103による入力により、基板種ごとの目標生産時間を取得する(S102)。そして、目標タクト取得部105aは、図8に示された目標タクトデータ107cの「目標生産時間」を、取得した目標生産時間に設定する。
そして、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、搬送される基板の基板種を決定する(S104)。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「基板種」を、決定した基板種に設定する。
次に、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、決定された基板種と同じ種類の基板を搬送する搬送レーンの数であるレーン数を取得する(S106)。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「レーン数」を、取得したレーン数に設定する。
そして、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、取得された搬送レーン上を搬送される基板種の目標生産時間に、取得されたレーン数を乗じて、目標タクトを算出する(S108)。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「目標タクト」を、算出した目標タクトに設定する。
これにより、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、目標タクトを取得する。
そして、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、ラインタクトが、目標タクト取得部105aが取得した目標タクトに近づくように、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機の台数を決定する(S112)。また、設備タクト調整部105cは、決定された台数の各部品実装機が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を決定する(S112)。詳細は図10での説明で、後述する。
そして、配列条件決定部105dは、部品を吸着する吸着ノズルnzの本数が多い装着ヘッドを備える部品実装機200ほど上流に配列されるよう、部品実装機200の配列を決定する(S116)。
また、搬送条件決定部105eは、搬送レーンごとに、部品実装機200が搬送レーン上を搬送される基板への実装を行うか否かを判断する(S118)。そして、搬送条件決定部105eは、搬送レーンごとに、実装を行わないと判断した基板への実装を行わずに、基板を次の部品実装機200の搬送レーン上で搬送するように実装条件を決定する(S120)。
図10は、レーン間バランス部105bが部品実装機200の台数を変更する一例を示すフローチャートである。また、同図は、設備タクト調整部105cが、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を変更する一例でもある。
まず、図9で目標タクト取得部105aが目標タクトを算出し(図9でのS108)、目標タクトを取得した後、搬送レーンごとに、以下のように、ループ1の処理が開始される(S202)。
まず、レーン間バランス部105bは、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機200の台数を予め定められた初期の台数に設定する(S204)。また、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を予め定められた初期の本数に設定する(S204)。なお、予め定められた初期の部品実装機200の台数は1台でも2台でも、3台以上であってもよい。また、予め定められた初期の吸着ノズルnzの本数は、12本でも8本でも、それ以外の本数であってもよい。
そして、レーン間バランス部105bは、ラインタクトを算出する(S206)。さらに、レーン間バランス部105bは、算出されたラインタクトが、目標タクト以下か否かを判断する(S208)。
そして、レーン間バランス部105bは、算出されたラインタクトが目標タクト以下でないと判断した場合(S208でNO)、ラインタクトを算出する条件として、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機200の台数を予め定められた初期の台数から1台ずつ増加する(S210)。そして、レーン間バランス部105bは、増加した台数でのラインタクトを算出し(S206)、算出されたラインタクトが、目標タクト以下か否かを判断する(S208)。
レーン間バランス部105bが、算出されたラインタクトが目標タクト以下であると判断した場合(S208でYES)、設備タクト調整部105cは、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を減少して、基板に部品を実装した際のラインタクトを算出する(S212)。
そして、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが、目標タクト以下か否かを判断する(S214)。そして、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが目標タクト以下であると判断した場合(S214でYES)、さらに、吸着ノズルnzの本数を減少させ(S212)、ラインタクトが目標タクト以下か否かを判断する(S214)。
また、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが目標タクト以下でないと判断した場合(S214でNO)、吸着ノズルnzの減少前の本数を装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数に決定し(S216)、終了する(S218)。
そして、全ての搬送レーンについて、部品実装機200の台数や吸着ノズルnzの本数が決定されれば、処理が終了する(S202、S218)。
このようにして、複数の搬送レーンを備える部品実装機200を有する部品実装システム10において、部品実装システム10全体でのスループットを向上することができる。
ここで、図9および図10に示したフローチャートで説明した実装条件決定装置100の動作の具体例を、以下に説明する。
ここでは、部品実装システム10において、100sごとに1枚の表裏が実装された基板が生産されることを目標にする。つまり、表が基板種Aで裏が基板種Bの基板の表裏に、それぞれ目標生産時間100sで部品を実装することとする。また、基板種Bの方が基板種Aよりも実装点の数が多いものとする。
まず、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、ラインタクトの目標値である目標タクトを取得する(図9のS102〜S108)。
具体的には、目標タクト取得部105aは、まず基板種ごとの目標生産時間を取得する(図9のS102)。
つまり、目標タクト取得部105aは、入力部103を介してオペレータから目標生産時間を取得する。ここでは、基板種Aおよび基板種Bともに、目標生産時間は100sである。このように、基板種Aおよび基板種Bを同一の目標生産時間に設定することにより、基板種Aおよび基板種Bの生産が同時に終了するため、例えば、基板種Aおよび基板種Bが基板の表と裏の関係の場合、中間在庫の発生をなくすことができる。また同様に、基板種Aおよび基板種Bの関係が制御機器を構成するペアの関係であれば、基板の生産後に同時に出荷、もしくは組み立てができて、工程内の中間在庫をなくすことができる。なお、基板種Aおよび基板種Bの関係は限定されず、出荷の時期が近い基板種同士であれば、中間在庫をなくす効果がある。
したがって、目標タクト取得部105aは、基板種Aおよび基板種Bともに、100sの目標生産時間を取得する。そして、目標タクト取得部105aは、図8に示された目標タクトデータ107cの「目標生産時間」を、取得した目標生産時間に設定する。
そして、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、搬送される基板の基板種を決定する(図9のS104)。
具体的には、目標タクト取得部105aは、図6に示されたNCデータ107aから、基板種Aと基板種Bの実装点の数を取得し、実装点の数が多い基板種に多くの搬送レーンを割り当てる。つまり、基板種Bの方が基板種Aよりも実装点の数が多いので、基板種Bに搬送レーン215および搬送レーン216の2つの搬送レーンを、基板種Aに搬送レーン217の1つの搬送レーンを割り当てる。したがって、目標タクト取得部105aは、搬送レーン215および搬送レーン216には基板種Bが、搬送レーン217には基板種Aが搬送されることを決定する。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「基板種」を、決定した基板種に設定する。
次に、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、決定された基板種と同じ種類の基板を搬送する搬送レーンの数であるレーン数を取得する(図9のS106)。
具体的には、基板種Aを搬送する搬送レーンは、搬送レーン217のみであるので、搬送レーン217の「レーン数」は1である。同様に、基板種Bを搬送する搬送レーンは、搬送レーン215および搬送レーン216の2つであるので、搬送レーン215および搬送レーン216の「レーン数」は2である。したがって、目標タクト取得部105aは、搬送レーン217では1、搬送レーン215および搬送レーン216では2のレーン数を取得する。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「レーン数」を、取得したレーン数に設定する。
そして、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、目標生産時間にレーン数を乗じて、目標タクトを算出する(図9のS108)。
具体的には、搬送レーン217の「目標タクト」は、基板種Aの「目標生産時間」である100sに「レーン数」の1を乗じて、100sである。同様に、搬送レーン215および搬送レーン216の「目標タクト」は、基板種Bの「目標生産時間」である100sに「レーン数」の2を乗じて、ともに200sである。つまり、基板種Bの基板は、搬送レーン215および搬送レーン216で200sに2枚の目標タクトで生産されるので、100sに1枚の目標で生産されることになる。したがって、目標タクト取得部105aは、搬送レーン217では100s、搬送レーン215および搬送レーン216では200sの目標タクトを算出する。そして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「目標タクト」を、算出した目標タクトに設定する。
このようにして、目標タクト取得部105aは、目標タクトデータ107cの「目標タクト」から、目標タクトを取得する。つまり、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに搬送される基板の基板種を決定することで、基板種ごとに割り当てられる搬送レーンの数である「レーン数」を決定する。そして、目標タクト取得部105aは、当該「レーン数」から、搬送レーンごとの目標タクトの比率を決定することで、目標タクトを算出し取得する。
そして、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、ラインタクトが、目標タクト取得部105aが取得した目標タクトに近づくように、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機の台数を決定する(図9のS112)。また、設備タクト調整部105cは、決定された台数の各部品実装機が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を決定する(図9のS112)。
具体的には、まず、搬送レーンごとに、基板に部品を実装する部品実装機200の初期の台数が予め定められる。そして、レーン間バランス部105bは、部品実装機200の台数を予め定められた初期の台数に設定する(図10のS204)。また、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を予め定められた初期の本数に設定する(図10のS204)。
ここでは、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23に部品を実装する部品実装機200の初期の台数は、1台とする。また、搬送レーン215および搬送レーン216に搬送される基板種Bの基板21および基板22に部品を実装する部品実装機200の初期の台数は、2台とする。つまり、レーン間バランス部105bは、搬送レーン217では1台、搬送レーン215および搬送レーン216では2台の部品実装機200を初期の台数として設定する。このように、部品実装システム10は、合計3台の部品実装機200を有する。
また、設備タクト調整部105cは、各部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの初期の本数として、12本に設定する。
図11は、3台の部品実装機200を有する部品実装システム10を示す図である。
部品実装システム10は、部品実装機200の初期の台数である3台の部品実装機200を有する。具体的には、部品実装システム10は、それぞれ3つの搬送レーン215、搬送レーン216および搬送レーン217を備えた3台の部品実装機200である部品実装機MC1、部品実装機MC2および部品実装機MC3を有している。
この3台の部品実装機200は、搬送レーンごとに、上流から下流に向けて基板を送りながら部品を実装していく。つまり、搬送レーン215では、まず上流側の部品実装機MC1が、搬送レーン215に搬送される基板21を受け取り、その基板21に対して部品を実装する。そして、その部品が実装された基板21が、下流側の部品実装機MC2の搬送レーン215に送り出される。そして、同様に、部品実装機MC2から送り出された基板21は、部品実装機MC3の搬送レーン215に送られ、部品が実装される。
また、搬送レーン215と同様に、搬送レーン216および搬送レーン217についても、それぞれ基板22および基板23が、部品実装機MC1、部品実装機MC2および部品実装機MC3の搬送レーン上を順次搬送されて、部品が実装される。
なお、部品実装機200は、予め部品を実装するように設定された基板に対してのみ部品を実装する。このため、基板21、基板22および基板23のうち、部品を実装するように設定されていない基板は、実装されずに次の部品実装機に搬送される。
また、搬送レーンごとに、実装を行う部品実装機200が予め定められる。ここでは、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23には、部品実装機MC1が実装を行う。また、搬送レーン215および搬送レーン216に搬送される基板種Bの基板21および基板22には、部品実装機MC2および部品実装機MC3が実装を行う。
図12は、各搬送レーンでのラインタクトの比率を予め定められた比率に近づける一例、つまり、各搬送レーンでのラインタクトを、目標タクトに近づける一例を説明する図である。なお、図12では、搬送レーン215をFレーン、搬送レーン216をMレーン、および搬送レーン217をRレーンとして、図示している。
図12(a)は、図11に示した3台の部品実装機MC1、部品実装機MC2および部品実装機MC3が備える各搬送レーンでの部品実装機ごとのタクト、ラインタクトおよび目標タクトを説明する図である。
まず、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、ラインタクトを算出する(図10のS206)。具体的には、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、各部品実装機200でのタクトを算出することにより、ラインタクトを算出する。なお、タクトの算出の一例として、部品カセットを部品員数の多い順から配列し、部品員数の少ない部品から実装していく。このことにより、装着ヘッドの吸着、移動、及び装着の総時間を短くすることができ、より少ないタクトが算出される。
例えば、搬送レーン217では、部品実装機MC1での実装に190s要する(T1のRレーン)ので、目標タクトの100sに対し、ラインタクトは190sである(T10のRレーン)。なお、搬送レーン217では、基板23は、部品実装機MC1で部品が実装された後、部品実装機MC2および部品実装機MC3では、部品が実装されずに搬送される(T2およびT3のRレーン)。同様に、搬送レーン215および搬送レーン216では、目標タクトの200sに対し、ラインタクトは300sである。
そして、例えば搬送レーン217に搬送される基板23へ実装を行うとして予め定められた部品実装機200は、部品実装機MC1の1台である。したがって、以下のように、レーン間バランス部105bは、搬送レーン217では、ラインタクトの190sが目標タクトの100sに近づくように、部品実装機200の台数を部品実装機MC1の1台から変更する。同様に、レーン間バランス部105bは、搬送レーン215および搬送レーン216では、ラインタクトである300sが目標タクトである200sに近づくように、部品実装機200の台数を部品実装機MC2および部品実装機MC3の2台から変更する。
まず、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、算出されたラインタクトが、目標タクト以下か否かを判断する(図10のS208)。つまり、レーン間バランス部105bは、搬送レーン217では、ラインタクトの190sが目標タクトの100s以下ではないと判断する。搬送レーン215および搬送レーン216についても、同様に、レーン間バランス部105bは、ラインタクトの300sが目標タクトの200s以下ではないと判断する。
そして、図12(b)に示すように、レーン間バランス部105bは、搬送レーンごとに、算出されたラインタクトが目標タクト以下であると判断されるまで、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機200の台数を予め定められた初期の台数から1台ずつ増加する(図10のS210)。
具体的には、レーン間バランス部105bは、部品実装機MC4を1台増加する。これにより、搬送レーン217での部品実装機MC1のタクトが100s(T1のRレーン)、部品実装機MC4のタクトが80s(T4のRレーン)になる。つまり、目標タクトの100sに対し、ラインタクトが100sである(T10のRレーン)ので、ラインタクトが目標タクト以下になる。このように、レーン間バランス部105bは、部品実装機MC4を1台増加することで、搬送レーン217でのラインタクトが目標タクト以下になると判断する。
搬送レーン215および搬送レーン216についても、同様に、レーン間バランス部105bは、部品実装機MC5を1台増加する。これにより、搬送レーン215および搬送レーン216のラインタクトが200sになり(T2、T3およびT5のMレーンおよびFレーン)、目標タクトの200s以下になる(T10のMレーンおよびFレーン)。このように、レーン間バランス部105bは、部品実装機MC5を1台増加することで、搬送レーン215および搬送レーン216でのラインタクトが目標タクト以下になると判断する。
次に、設備タクト調整部105cは、レーン間バランス部105bが算出したラインタクトが目標タクト以下であると判断した場合に、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装する部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を減少して、基板に部品を実装した際のラインタクトを算出する(図10のS212)。この吸着ノズルnzの本数が減少される部品実装機200は、具体的には、タクトが目標タクトよりも所定の値小さい部品実装機200である。所定の値とは、ここでは30sとする。
ここで、搬送レーン215および搬送レーン216でのラインタクトが目標タクト以下である。また、搬送レーン215および搬送レーン216での部品実装機MC5のタクトが150s(T5のMレーンおよびFレーン)であるので、目標タクトの200s(T10のMレーンおよびFレーン)よりも所定の値である30s以上少ない値である。したがって、設備タクト調整部105cは、部品実装機MC5の吸着ノズルnzの本数を減少させる。例えば、部品実装機MC5の吸着ノズルnzの本数が12本であった場合は、8本に減少させる。そして、設備タクト調整部105cは、ラインタクトを算出する。
ここでは、図12(c)に示すように、搬送レーン215および搬送レーン216での部品実装機MC5のタクトは200sになるとする(T5のMレーンおよびFレーン)。つまり、搬送レーン215および搬送レーン216でのラインタクトが、200sであると算出される(T10のMレーンおよびFレーン)。
そして、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが、目標タクト以下か否かを判断する(図10のS214)。そして、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが目標タクト以下であると判断される場合に、さらに、吸着ノズルnzの本数を減少させ(図10のS212)、ラインタクトが目標タクト以下か否かを判断する(図10のS214)。そして、設備タクト調整部105cは、算出されたラインタクトが目標タクト以下でないと判断した場合、吸着ノズルnzの減少前の本数を装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数に決定する(図10のS216)。
具体的には、搬送レーン215および搬送レーン216でのラインタクトが200sであり、目標タクトの200s以下である(T10のMレーンおよびFレーン)。したがって、設備タクト調整部105cは、ラインタクトが目標タクト以下であると判断する。そして、さらに吸着ノズルnzの本数を減少させると、ラインタクトが目標タクト以下でなくなるため、設備タクト調整部105cは、部品実装機MC5の装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を減少前の8本に決定する。このため、部品実装機MC5を吸着ノズルnzの本数が少ない安価な部品実装機200に変更でき、部品実装システム10を安価な設備で構成することができる。
そして、配列条件決定部105dは、部品を吸着する吸着ノズルnzの本数が多い装着ヘッドを備える部品実装機200ほど上流に配列されるよう、部品実装機200の配列を決定する(図9のS116)。
具体的には、例えば、部品実装機MC3の吸着ノズルnzが12本であれば、部品実装機MC5の吸着ノズルnzは8本であるので、部品実装機MC3は部品実装機MC5よりも上流側に配置されるように決定される。12本の吸着ノズルnzが吸着する部品の方が、8本の吸着ノズルnzが吸着する部品よりも小さい。このため、上流の部品実装機MC3が小さい部品を実装するので、下流の部品実装機MC5はこの小さな部品を避けて実装すればよく、部品を実装しやすくなる。
さらに、搬送条件決定部105eは、搬送レーンごとに、部品実装機200が搬送レーン上を搬送される基板への実装を行うか否かを判断する(図9のS118)。そして、搬送条件決定部105eは、実装を行わないと判断した基板への実装を行わずに、基板を次の部品実装機200の搬送レーン上で搬送するように、実装条件を決定する(図9のS120)。
例えば、搬送レーン215で、部品実装機MC1および部品実装機MC4は、基板21に部品の実装を行わない。このため、搬送条件決定部105eは、部品実装機MC1および部品実装機MC4に実装させずに、基板21を部品実装機MC2の搬送レーン215に搬送する。つまり、基板21は、部品実装機MC1および部品実装機MC4の搬送レーン215で待つことなく、部品実装機MC2の搬送レーン215に搬送される。このため、搬送レーンでの基板の待ち時間のロスが少なくなる。
このように、各搬送レーンでのラインタクトを、生産ライン全体でのスループットが最大になるように設定された目標タクトに近づけることで、部品実装システム10全体でのスループットを向上することができる。また、表が基板種Aで裏が基板種Bの基板の表裏に、それぞれ目標生産時間100sで部品を実装することができるので、基板の表に部品を実装する時間で、基板の裏に部品を実装することができる。つまり、表のみに部品が実装された基板が多く生産されて、中間在庫が増えるというようなことがない。
また、基板への部品の実装中に部品実装機200への基板の投入タイミングや投入枚数を制御することなく、各搬送レーンでのラインタクトを目標タクトに近づけることができ、部品実装システム10全体でのスループットを向上することができる。
(変形例1)
ここで、本実施の形態における第1の変形例について説明する。上記実施の形態では、目標タクト取得部105aは、部品実装機200間の基板の搬送時間を0sとして目標タクトを算出したが、目標タクト取得部105aは、搬送時間を考慮して目標タクトを算出してもよい。具体的には、搬送に時間を要する場合は、上記実施の形態で算出される目標タクトから搬送時間を差し引くことで、搬送時間を考慮した目標タクトが算出される。
図13は、本実施の形態における第1の変形例を説明する図である。なお、搬送レーン215をFレーン、搬送レーン216をMレーン、および搬送レーン217をRレーンとして、図示している。
搬送レーン217では、搬送時間が3sである(T11のRレーン)。よって、目標タクト取得部105aは、搬送レーン217での目標生産時間が103sであるので、搬送時間の3sを差し引いて、搬送レーン217での目標タクトを100sと算出する(T10のRレーン)。
ここで、部品実装機MC2および部品実装機MC3が非同期モードで基板に部品を実装する場合、搬送レーン216については、搬送レーン215での実装が行われている間に、搬送レーン216での搬送を行うことができる。つまり、例えば、部品実装機MC3の搬送レーン215で基板21への実装が行われている間に、部品実装機MC2の搬送レーン216で実装を終えた基板22が、部品実装機MC3の搬送レーン216に搬送される。このように、部品実装機MC3による基板21への実装中に、基板22を搬送することができるので、基板22の搬送時間は考慮しなくともよい。基板22の搬送時間は、部品実装機MC3の実装時間(T3のMレーン)に含まれるからである。
よって、目標タクト取得部105aは、搬送レーン216での目標生産時間が103sであるので、搬送時間を0sとして(T11のMレーン)、搬送レーン216での目標タクトを103sと算出する(T10のMレーン)。同様に、目標タクト取得部105aは、搬送レーン215でも、目標タクトを103sと算出する(T10のFレーン)。
これにより、実装点数が多いなどによりタクトが大きい基板種の基板を、搬送レーン215および搬送レーン216に搬送し、非同期モードで実装を行うことで、搬送時間を0sとすることができ、部品実装システム10全体でのスループットを向上することができる。
(変形例2)
次に、本実施の形態における第2の変形例について説明する。上記実施の形態では、それぞれの部品実装機200は、1つの基板種の基板にしか実装を行わないこととしたが、部品実装機200は、複数の基板種の基板に部品を実装することにしてもよい。
図14は、本実施の形態における第2の変形例を説明する図である。なお、搬送レーン215をFレーン、搬送レーン216をMレーン、および搬送レーン217をRレーンとして、図示している。
搬送レーン217に基板種A、搬送レーン216および搬送レーン215に基板種Bの基板が搬送される。つまり、部品実装機MC2は、基板種Aおよび基板種Bの双方の基板に部品を実装することができる。このようにすることで、部品実装機200の台数を減らし、部品実装システム10全体でのコストを低減することができる。
ここで、部品実装機MC2が同期モードで基板に部品を実装する場合、基板種Aの基板と基板種Bの基板の2枚の基板が揃えば、実装を開始することができる。なお、基板23は基板種Aであり、基板21および基板22は基板種Bである。よって、例えば、部品実装機MC2の搬送レーン217および搬送レーン215に基板23および基板21が搬送されてきた場合に、部品実装機MC2は、搬送レーン216に基板22が搬送されてくるのを待たずに、基板23および基板21への実装を開始することができる。このように、部品実装機200が、全ての基板が揃うまで待つことなく、基板への部品の実装を開始することができるので、部品実装システム10全体でのスループットを向上することができる。
以上、本発明に係る実装条件決定方法について、上記実施の形態及びその変形例を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本実施の形態及びその変形例では、部品実装機200は、3つの搬送レーンを備えることとしたが、搬送レーンは3つでなくとも、2つであっても4つ以上であってもよい。また、例えば、部品実装機200が3つの搬送レーンを備える場合でも、2つの搬送レーン上を搬送される基板にしか部品を実装しないことにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、目標タクト取得部105aは、入力部103を介してオペレータから目標生産時間を取得することとしたが、目標タクト取得部105aは、予め設定されたデータから目標生産時間を取得してもよいし、単位時間あたりの基板の目標生産枚数を取得して、目標生産時間を算出することで、目標生産時間を取得してもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、目標タクト取得部105aは、図6に示されたNCデータ107aから実装点の数を取得し、実装点の数が多い基板種に多くの搬送レーンを割り当てることとした。しかし、目標タクト取得部105aは、実装点の数を入力部103を介してオペレータから取得することにしてもよい。また、目標タクト取得部105aは、タクトの大きい基板種に多くの搬送レーンを割り当てることにしてもよい。さらに、目標タクト取得部105aは、実装点の数やタクトの大小にかかわらず、予め定められた数の搬送レーンを割り当てることにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、目標タクト取得部105aは、2種類の基板種Aおよび基板種Bの基板に部品を実装する場合の、搬送レーンごとの目標タクトを取得した。しかし、基板種は3種類以上であってもよく、目標タクト取得部105aは、搬送レーンごとに、その3種類以上の基板種のうち何れかの種類の基板種を決定し、目標タクトを算出して取得することにしてもよい。なお、搬送レーンごとの基板種の決定は、実装点数が多いまたは必要な基板数が多い基板種ほど多くの搬送レーンに割り当てることにしてもよいし、予め設定された数の搬送レーンに割り当てることにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、レーン間バランス部105bは、部品実装機200の初期の台数を設定し、台数を増加させてラインタクトを目標タクトに近づけることで、部品実装機200の台数を決定することとした。しかし、レーン間バランス部105bは、部品実装機200の初期の台数ではラインタクトが目標タクトに対して小さい場合、台数を減少させてラインタクトを目標タクトに近づけることで、部品実装機200の台数を決定することにしてもよい。また、レーン間バランス部105bは、部品実装機200の初期の台数を設定せずに、ラインタクトが目標タクトに近づくような台数を決定することにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を減少して、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにした。しかし、設備タクト調整部105cは、ラインタクトが目標タクトに対して大きい場合、当該吸着ノズルnzの本数を増加して、ラインタクトを目標タクトに近づけることにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を減少して、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにした。しかし、設備タクト調整部105cは、吸着ノズルnzの本数を減少することに限定されず、ラインタクトを目標タクトに近づけることができればよく、例えば、部品供給部211a、211bの部品カセット212a、212bの数を減少させて、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにしてもよい。部品実装機200が、同じ種類の部品が収納された複数の部品カセット212a、212bを備える場合は、その部品カセット212a、212bの数を減少させることで、タクトが増加する。よって、ラインタクトを目標タクトに近づけることができる。これにより、部品カセット212a、212bの数が減少するので、コストを低減することができる。
また、本実施の形態及びその変形例では、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を変更して、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにした。しかし、設備タクト調整部105cは、ラインタクトが目標タクトに対して大きい場合、部品供給部211a、211bの部品カセット212a、212bの数を増加させて、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにしてもよい。なお、部品実装機が、例えば部品カセットの搭載可能数が20連のように少ない機種(部品実装機の種類)であれば、部品カセットの数を増加することができない場合がある。この場合には、部品カセットの数を増加するために、部品実装機を、部品カセットの搭載可能数が例えば34連のように大きい機種に変更する必要が生じる。
また、本実施の形態及びその変形例では、設備タクト調整部105cは、部品実装機200が備える装着ヘッドの吸着ノズルnzの本数を変更して、ラインタクトを目標タクトに近づけるようにした。しかし、設備タクト調整部105cは、部品実装機200の種類を変更することにより、ラインタクトを目標タクトに近づけることにしてもよい。つまり、吸着ノズルnzが同一の本数の装着ヘッドを備える部品実装機でも、機種(部品実装機の種類)が異なれば、タクトが異なる場合がある。比較的速いタクトで部品を実装できる機種、比較的遅いタクトでしか部品を実装できない機種などがあるからである。このように、部品実装機の種類を変更することで、目標タクトとのタクト差を短縮することができる。なお、この部品実装機の変更により、当該タクト差を短縮したい搬送レーン以外の搬送レーンも変更されることになるために、設備タクト調整部105cは、全ての搬送レーンの変更も含めたタクトの調整を行う必要がある。ただし、変更対象の部品実装機が、当該タクト差を短縮したい搬送レーン以外の搬送レーン上を搬送される基板には部品を実装しない場合は、この調整は不要である。
また、本実施の形態及びその変形例では、目標タクト取得部105aが取得した目標タクトにラインタクトを近づけるように、部品実装機200の台数および吸着ノズルnzの本数を決定することとした。しかし、例えば、各搬送レーンでのラインタクトを同じ値に近づけたい場合、目標タクトを設定せずに、各搬送レーンでの部品実装機200の台数および吸着ノズルnzの本数を変更しながら、各搬送レーンでのラインタクトを算出し、当該ラインタクト間の差が所定の閾値以下になるまで、各搬送レーンでの部品実装機200の台数および吸着ノズルnzの本数を変更する処理を繰り返すことにしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、部品実装機200は、交互打ちの部品実装機であることとしたが、部品実装機200は、交互打ちの部品実装機に限定されることなく、1つの基板に対し、1つの装着ヘッドで部品を実装する部品実装機であってもよい。