以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る部品実装方法を実現する部品実装システム10の構成を示す外観図である。
部品実装システム10は、基板20に部品を実装し、回路基板を生産するシステムであり、制御装置100と部品実装機200とを備えている。
制御装置100は、部品実装機200による部品の実装条件などを決定して、その実装条件に沿って実装が行われるように、部品実装機200を制御する。
部品実装機200は、上流から基板20を受け取り、制御装置100が決定した実装条件に沿って、装着ヘッドが部品を吸着して、基板20上に部品を装着していく。そして、部品が実装された基板20を下流側に送り出す。
図2は、部品実装機200の内部の主要な構成を示す平面図である。
部品実装機200は、基板20に対して部品を実装する2つの実装ユニット(サブ設備)210a,210bを備えている。2つの実装ユニット210a,210bは、お互いが協調し1枚の基板20に対して実装作業を行う。なお、基板20の搬送方向をX軸方向、水平面内でのX軸方向と垂直の方向をY軸方向とする。2つの実装ユニット210a,210bは、Y軸方向に並べられて配置されている。
実装ユニット210aは、部品供給部211a、装着ヘッド213a、部品認識カメラ214a及びノズルステーション215aを備えている。
部品供給部211aは、部品テープを収納する複数の部品カセット212aの配列からなる。また、部品供給部211aの各部品カセット212aは、X軸方向に沿って配列している。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に均等に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ等であって、具体的には0402チップ部品や1005チップ部品などである。
装着ヘッド213aは、例えばマルチ装着ヘッドと呼ばれる装着ヘッドであって、複数の吸着ノズルを備えることができ、部品供給部211aから例えば10個の部品を吸着して基板20に装着することができる。このような装着ヘッド213aは、軸状に構成されたビーム231aに対してスライド自在に取り付けられている。したがって、装着ヘッド213aは、例えばモータなどの駆動により、ビーム231aに沿って移動する。
ビーム231aは、Y軸方向に沿って互いに平行に配置された一対のビーム駆動ロボット240上に、Y軸方向にスライド自在に取り付けられている。したがって、ビーム231aは、例えばモータなどの駆動により、一対のビーム駆動ロボット240上をY軸方向に沿って移動する。すなわち、装着ヘッド213aは、ビーム駆動ロボット240およびビーム231aによってX軸方向およびY軸方向に移動する。ここで、装着ヘッド213aは、実装ユニット210bにある部品カセット212bから供給される部品を吸着できる位置まで、移動することができる。
部品認識カメラ214aは、装着ヘッド213aに吸着された部品を撮影し、その部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。
ノズルステーション215aは、交換用の吸着ノズルを配置している。この交換用の吸着ノズルとは、装着ヘッド213aが備えている吸着ノズルでは吸着できない部品があったり、吸着ノズルに異常があった場合などに、交換するための吸着ノズルである。
また、実装ユニット210bは、実装ユニット210aと同様に、部品供給部211b、装着ヘッド213b、部品認識カメラ214b及びノズルステーション215bを備えている。
ここで、部品供給部211bは、トレイ216と、部品テープを収納する複数の部品カセット212bの配列とからなる。
トレイ216は、昇降用のエレベータ(図示せず)で昇降され、部品供給部211bの所定の位置に配置される。また、トレイ216には、部品カセット212bに収納できない大型の部品など(以下、トレイ部品という)が載置されている。具体的には、このトレイ部品は、トレイ216に、縦横に一定間隔で複数個連続的に形成された収納凹部に収納されている。
装着ヘッド213bは、例えばマルチ装着ヘッドであって、部品供給部211bのトレイ216や部品カセット212bから部品を吸着して、基板20に装着することができる。このような装着ヘッド213bは、装着ヘッド213aと同様に、ビーム駆動ロボット240およびビーム231bによってX軸方向およびY軸方向に移動する。
ここで、装着ヘッド213bは、装着ヘッド213aが部品カセット212bから部品を吸着する際に、装着ヘッド213aと干渉しない位置まで移動できるように取り付けられている。具体的には、装着ヘッド213bは、装着ヘッド213aと干渉しないように、部品供給部211b上の後方(Y軸方向の座標値が大きい方)に退避できるように取り付けられている。また、装着ヘッド213bは、トレイ216に載置されたトレイ部品を吸着するために、トレイ216上を移動することができる。
なお、その他の実装ユニット210bの詳細な構成についての説明は、実装ユニット210aと同様であるため、省略する。
図3は、装着ヘッド213aと部品カセット212aの位置関係を示す模式図である。
上述のように、装着ヘッド213aには、例えば最大10個の吸着ノズルnzを取り付けることが可能である。10個の吸着ノズルnzが取り付けられた装着ヘッド213aは、最大10個の部品カセット212aのそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。
また、装着ヘッド213bは、同様に部品カセット212bのそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着したり、トレイ216からトレイ部品を吸着したりすることができる。
図4は、部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
チップ型電子部品などの部品は、図4に示すキャリアテープ221に一定間隔で複数個連続的に形成された収納凹部221aに収納されて、この上面にカバーテープ222を貼り付けて包装される。そしてこのようにカバーテープ222が貼り付けられたキャリアテープ221は、リール223に所定の数量分だけ巻回されたテーピング形態でユーザに供給される。また、このようなキャリアテープ221およびカバーテープ222によって部品テープが構成される。なお、部品テープの構成は、図4に示す構成以外の他の構成であってもよい。
このような部品実装機200の実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品供給部211aに移動させて、部品供給部211aから供給される部品をその装着ヘッド213aに吸着させる。そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品認識カメラ214a上に一定速度で移動させ、装着ヘッド213aに吸着された全ての部品の画像を部品認識カメラ214aに取り込ませ、部品の吸着位置を正確に検出させる。
また、実装ユニット210aは、部品供給部211bから供給される部品を、装着ヘッド213aに吸着させることもできる。この場合、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品供給部211bに移動させて、部品供給部211bから供給される部品をその装着ヘッド213aに吸着させる。そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品認識カメラ214b上に一定速度で移動させ、装着ヘッド213aに吸着された全ての部品の画像を部品認識カメラ214bに取り込ませ、部品の吸着位置を正確に検出させる。
そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを基板20に移動させて、吸着している全ての部品を基板20の実装点に順次装着させる。実装ユニット210aは、このような装着ヘッド213aによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板20に実装する。
また、実装ユニット210bは、装着ヘッド213bを部品供給部211bに移動させて、部品供給部211bから供給される部品をその装着ヘッド213bに吸着させる。なお、この部品供給部211bから供給される部品とは、部品カセット212bから供給される部品及びトレイ216に載置されたトレイ部品である。そして、実装ユニット210bも、実装ユニット210aと同様に、装着ヘッド213bが基板20に移動し、部品を装着するという動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板20に実装する。
そして、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bはそれぞれ、相手の実装ユニットが部品を装着しているときには、部品供給部から部品を吸着し、逆に、相手の実装ユニットが部品供給部から部品を吸着しているときには、部品を装着するように、基板20に対する部品の実装を交互に行う。すなわち、部品実装機200はいわゆる交互打ちの部品実装機として構成されている。
なお、実装ユニット210aが、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させる場合には、実装ユニット210bは、装着ヘッド213bを部品供給部211b上の後方へ退避させる。これにより、装着ヘッド213aと装着ヘッド213bとが干渉するのを防ぐことができる。そして、実装ユニット210bは、後方へ退避した装着ヘッド213bに、トレイ216の奥側(Y軸方向の座標値が大きい側)に載置されているトレイ部品を吸着させることができる。
つまり、実装ユニット210bが、トレイ216の奥側に載置されているトレイ部品を装着ヘッド213bに吸着させる際に、実装ユニット210aが、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させることができる。
なお、装着ヘッド213aは、吸着ノズルの交換が必要な場合は、ノズルステーション215aまで移動して、吸着ノズルの交換を行う。同様に、装着ヘッド213bは、吸着ノズルの交換が必要な場合は、ノズルステーション215bまで移動して、吸着ノズルの交換を行う。
図5は、本実施の形態における部品実装機200の制御系の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態における部品実装機200は、入力部251、表示部252、判断部253、ヘッド制御部254、制御部255、通信部256、および格納部257を備えている。
入力部251は、例えばキーボードやマウスなどで構成されており、オペレータからの操作を受け付けて、その操作結果を判断部253、ヘッド制御部254および制御部255などに通知する。
表示部252は、例えば液晶ディスプレイなどで構成されており、判断部253が判断した結果やヘッド制御部254の動作状態などを表示したり、格納部257などに格納されているデータを表示したりする。
制御部255は、入力部251に受け付けられた操作や、通信部256で受信されたデータに応じて、部品認識カメラ214a,214bや、表示部252、判断部253、ヘッド制御部254などを制御する。また、制御部255は、基板20を搬送するためのモータなどを制御して、基板20を適切な位置に搬送する。
通信部256は、制御装置100と通信する。例えば、通信部256は、基板20の各実装点に関する情報などを示すNCデータ257aと、各部品に関する情報を示す部品ライブラリ257bと、部品カセット212a、212bの配列や部品の実装順序などの実装条件を示す実装条件データ257cとを制御装置100から取得してそれらを格納部257に格納する。
格納部257は、通信部256により取得されたNCデータ257a、部品ライブラリ257bおよび実装条件データ257cを格納している。
図6は、NCデータ257aの一例を示す図である。
NCデータ257aは、実装の対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりである。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、図7に示される部品ライブラリ257bにおける部品名に相当し、X座標及びY座標は、実装点の座標(基板20上の特定位置を示す座標)であり、制御データは、その部品の実装に関する制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、装着ヘッドの最高移動加速度等)を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着した吸着ノズルが回転すべき角度を示す。なお、最終的に求めるべきNC(Numeric Control)データとは、ラインタクトが最小となるような実装点の並びである。
図7は、部品ライブラリ257bの一例を示す図である。
部品ライブラリ257bは、部品実装機200が扱うことができる全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ257bは、図7に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノズルのタイプ、部品認識カメラによる認識方式、装着ヘッドの最高加速度比等)などからなる。なお、本図には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ257bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
実装条件データ257cは、部品供給部211a,211bにおける部品カセット212a,212bの配列や、装着ヘッド213a,213bが部品を基板20に実装する実装順序などを示す。なお、この部品には、トレイ部品も含まれる。
判断部253は、装着ヘッド213aが、部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要か否かを判断する。
具体的には、判断部253は、装着ヘッド213bがトレイ216に載置されているトレイ部品の吸着を行う間に、装着ヘッド213aに待ち時間が生じるか否かを判断する。ここで、待ち時間とは、装着ヘッド213aが部品を吸着しても、装着ヘッド213bがトレイ部品の吸着を終えないために、装着ヘッド213aが基板20への部品の装着を開始するために待つ時間である。
そして、判断部253は、待ち時間が生じると判断した場合、部品供給部211aから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する際のタクト(第1タクト)と、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する際のタクト(第2タクト)とを算出する。なお、タクトとは、基板に対して予め定められた複数の部品を実装する時間である。つまり、第1タクトとは、待ち時間の間に部品供給部211aから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する場合に、基板に対して予め定められた複数の部品を実装する時間である。同様に、第2タクトとは、待ち時間の間に部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する場合に、基板に対して予め定められた複数の部品を実装する時間である。
なお、タクトの算出は、例えば、部品カセットが部品員数の多い順から配列している場合、部品員数の少ない部品から実装していくようにシミュレーションを行う。このことにより、装着ヘッドの吸着、移動、及び装着の総時間を短くすることができ、より短いタクトが算出される。
そして、判断部253は、第2タクトの方が第1タクトよりも短い場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
ヘッド制御部254は、判断部253の判断結果に基づいてモータなどを制御することにより、装着ヘッド213a,213bを移動させて部品を吸着させたり、部品を基板20上の実装点に装着させたりする。
また、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着する際に、装着ヘッド213aと干渉しない位置に装着ヘッド213bを退避させる。具体的には、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bを部品供給部211b上の後方へ退避させる。
そして、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bが退避しているときに、トレイ216に載置されたトレイ部品を装着ヘッド213bに吸着させる。
なお、本実施の形態では、ヘッド制御部254が吸着制御手段および装着制御手段の機能を有する。
図8及び図9は、本実施の形態における部品実装方法の一例を説明する図である。
図8は、部品実装機200の部品実装方法の一例を説明する図である。
図8(a)に示すように、部品実装機200のトレイ216は、昇降用のエレベータで昇降され、部品供給部211bの所定の位置に配置される。ここで、このトレイ216がエレベータで昇降され、所定の位置に配置されるまでに、時間がかかることがある。このため、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着するのに時間を要する。
このような場合、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に実装するのを待って、装着ヘッド213aが部品を基板20に実装すれば、タクトのロスが発生することがある。
そこで、本実施の形態における装着ヘッド213aは、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する間に装着ヘッド213aに待ち時間が生じる場合、部品を基板20に実装する。つまり、装着ヘッド213aは、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に実装するのを待たずに、部品供給部211aから供給される部品を吸着し、基板20に部品を装着する。
さらに、装着ヘッド213aが部品供給部211aから部品を吸着する場合でも、タクトのロスが発生することがある。
この場合は、図8(b)に示すように、本実施の形態における装着ヘッド213aは、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する間に装着ヘッド213aに待ち時間が生じる場合、装着ヘッド213bが実装すべき部品を基板20に実装する。つまり、装着ヘッド213aは、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に実装するのを待たずに、部品供給部211bから供給される部品を吸着し、基板20に部品を装着する。
このように、判断部253は、装着ヘッド213bがトレイ216に載置されているトレイ部品の吸着を行う間に、装着ヘッド213aに待ち時間が生じるか否かを判断する。
そして、判断部253は、待ち時間が生じると判断した場合、部品供給部211aから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する際のタクト(第1タクト)と、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aが吸着する際のタクト(第2タクト)とを算出する。
そして、判断部253は、第2タクトの方が第1タクトよりも短い場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
この判断によって、ヘッド制御部254は、まず装着ヘッド213bが装着ヘッド213aと干渉しない位置でトレイ部品を吸着できるように、装着ヘッド213bを退避させる。
そして、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bにトレイ部品を吸着させる。そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ、基板20に装着させる。
これにより、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する際に生じるタクトのロスを低減することができる。
図9は、図8に示した部品実装方法のタクトのロスを低減するために、判断部253が行う判断の一例を説明する図である。
なお、図9では、説明の便宜のため、部品供給部211aの部品カセット212aから供給される部品を実装する2つのタスクと、部品供給部211bのトレイ216に載置されたトレイ部品を実装する1つのタスクと、部品供給部211bの部品カセット212bから供給される部品を実装する2つのタスクによって、基板20に部品を実装するものとする。ここで、タスクとは、装着ヘッド213a,213bが1つ以上の部品を吸着して移動し、その吸着した1つ以上の部品を基板20に装着するという一連の動作をいう。
図9(a)は、従来の、2つの装着ヘッド213a,213bが基板20に部品を交互に装着する場合を説明する図である。
まず、装着ヘッド213bが部品カセット212bから部品を吸着し(B1)、基板20に装着する(B2)。そして、装着ヘッド213bが部品を基板20に装着(B2)している間に、装着ヘッド213aが部品カセット212aから部品を吸着し(A1)、基板20に装着する(A2)。
そして、装着ヘッド213aが部品を基板20に装着(A2)している間に、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着し(B3)、基板20に装着する(B4)。しかし、この装着ヘッド213bによるトレイ部品の吸着(B3)に時間を要する。このため、従来では、装着ヘッド213aは、部品カセット212aから部品を吸着(A3)した後、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に装着する(B4)のを待って、部品を基板20に装着していた(A4)。
しかし、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する間(B3)に、装着ヘッド213aが基板20に部品を実装する時間があれば、その時間はタクトのロスになる。
図9(b)および図9(c)は、本発明に係る、2つの装着ヘッド213a,213bによる基板20への部品の装着が必ずしも交互にならない場合を説明する図である。
図9(b)は、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する際に、装着ヘッド213aが部品供給部211aから供給される部品を基板20に実装する場合を説明する図である。
装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着(B3)している間に、装着ヘッド213aは、部品供給部211aから供給される部品を吸着する(A3)。そして、装着ヘッド213aは、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に装着する(B4)のを待たずに、部品を基板20に装着する(A4)。
そして、装着ヘッド213bは、トレイ部品を基板20に装着する(B4)。そして、さらに装着ヘッド213bが部品を吸着し(B5)、基板20に装着して(B6)、終了する。
このようにして、図9(a)に示した装着ヘッド213aが装着ヘッド213bによるトレイ部品の実装を待つ場合よりも、タクトを短縮することができる。
また、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する間(B3)に、装着ヘッド213aが、部品供給部211bから供給される部品を基板20に実装することもできる。
図9(c)は、図8(b)に示したように、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する際に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を実装する場合を説明する図である。
装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着(B3)している間に、装着ヘッド213aは、部品供給部211bから供給される部品を吸着する(B5)。そして、装着ヘッド213aは、基板20への部品の装着を開始するための待ち時間があれば、装着ヘッド213bがトレイ部品を基板20に装着する(B4)のを待たずに、部品を基板20に装着する(B6)。
そして、装着ヘッド213bは、トレイ部品を基板20に装着する(B4)。そして、装着ヘッド213bが部品を基板20に装着(B4)している間に、装着ヘッド213aが部品を吸着し(A3)、基板20に装着して(A4)、終了する。
これにより、図9(b)に示した装着ヘッド213aが部品供給部211aから供給される部品を実装する場合よりも、タクトを短縮することができる。
そして、図9(c)に示したようなタクトを短縮することができる場合に、判断部253は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着する必要があると判断する。このような場合の判断部253が行う判断を、以下に具体的に説明する。
まず判断部253は、装着ヘッド213bがトレイ部品の吸着を行う間(B3)に、装着ヘッド213aに待ち時間が生じるか否かを判断する。ここで、待ち時間が生じる場合とは、装着ヘッド213aが部品を吸着(図9(c)でのB5)しても、装着ヘッド213bがトレイ部品の吸着(B3)を終えないために、装着ヘッド213aが部品の装着(図9(c)でのB6)を開始することができる場合をいう。
そして、判断部253は、待ち時間が生じると判断した場合は、図9(b)および図9(c)に示した場合のタクトを算出する。つまり、判断部253は、図9(b)に示した、装着ヘッド213aが部品供給部211aから供給される部品を基板20に実装する場合のタクト(第1タクト)を算出する。また、判断部253は、図9(c)に示した、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を実装する場合のタクト(第2タクト)を算出する。
そして、判断部253は、装着ヘッド213aが部品供給部211aと部品供給部211bのどちらから供給される部品を吸着した方が、タクトのロスを低減することができるかを判断する。つまり、判断部253は、図9(b)に示した場合の第1タクトと図9(c)に示した場合の第2タクトのどちらが短いかを判断する。
そして、判断部253は、第2タクトの方が第1タクトよりも短いと判断した場合は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
図10は、本実施の形態における部品実装方法の一例を示すフローチャートである。
なお、図10では、便宜のため、装着ヘッド213aを第1ヘッド、装着ヘッド213bを第2ヘッド、部品供給部211aを第1供給部、部品供給部211bを第2供給部として示す。
まず、判断部253は、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する間に、装着ヘッド213aに待ち時間が生じるか否かを判断する(S104)。
そして、判断部253は、装着ヘッド213aに待ち時間が生じると判断した場合は(S104でYES)、装着ヘッド213aが部品供給部211aから供給される部品を吸着する際のタクト(第1タクト)を算出する(S106)。また、判断部253は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着する際のタクト(第2タクト)を算出する(S108)。
そして、判断部253は、第1タクトよりも第2タクトの方が短いか否かを判断する(S110)。判断部253は、第2タクトの方が短いと判断した場合は(S110でYES)、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
そして、この場合、ヘッド制御部254は、まず装着ヘッド213bが装着ヘッド213aと干渉しない位置でトレイ部品を吸着できるように、装着ヘッド213bを退避させる(S112)。そして、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bにトレイ部品を吸着させる(S114)。そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ(S116)、基板20に装着させる(S120)。
また、判断部253が、第1タクトよりも第2タクトの方が長いと判断した場合は(S110でNO)、ヘッド制御部254は、部品供給部211aから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ(S118)、基板20に装着させる(S120)。
また、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに、吸着したトレイ部品を基板20に装着させる(S120)。
そして、全ての実装点について終了するまで(S122)、次の実装点についての判断がなされる(S102、S122)。
なお、判断部253が、装着ヘッド213aに待ち時間が生じないと判断した場合は(S104でNO)、次の実装点についての判断がなされる(S102、S122)。
これにより、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する際に生じるタクトのロスを低減することができる。
(変形例1)
ここで、本実施の形態における第1の変形例について説明する。上記実施の形態では、トレイ部品を吸着することによるタクトのロスを低減することとした。しかし、本変形例では、吸着ノズルを交換することによるタクトのロスを低減する。
図11は、本変形例に係る部品実装方法の一例を説明する図である。
図11(a)に示すように、部品実装機200は、異なる吸着ノズルを有する2つの装着ヘッド213a,213bを備えた交互打ちの部品実装機である。
装着ヘッド213bは、部品供給部211bから供給される部品を吸着して、基板20に装着する。しかし、部品供給部211bから供給される部品によっては、装着ヘッド213bに備えられた吸着ノズルでは、装着ヘッド213bは当該部品を吸着できない場合がある。
この場合は、装着ヘッド213bは、ノズルステーション215bまで移動し、当該部品を吸着できるように、吸着ノズルの交換を行う。そして、装着ヘッド213bは、当該部品を吸着して、基板20に装着する。
しかし、この装着ヘッド213bの吸着ノズルの交換に時間を要するため、この時間がタクトのロスになる。
ここで、装着ヘッド213bの吸着ノズルでは吸着できない部品を、装着ヘッド213aの吸着ノズルが吸着できる場合がある。この場合は、図11(b)に示すように、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される当該部品を吸着し、基板20に装着することができる。
このため、まず判断部253は、装着ヘッド213bが部品供給部211bから供給される部品を吸着するのに、吸着ノズルの交換が必要か否かを判断する。
そして、判断部253は、吸着ノズルの交換が必要と判断した場合は、装着ヘッド213aが当該部品を吸着できる吸着ノズルを備えているか否かを判断する。
そして、判断部253は、装着ヘッド213aが当該吸着ノズルを備えていると判断した場合は、装着ヘッド213aが当該部品を吸着する方がタクトが短くなるか否かを判断する。そして、判断部253は、タクトが短くなると判断すれば、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
この判断によって、まず、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着する際に、装着ヘッド213bを装着ヘッド213aと干渉しない位置に退避させる。
そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ、基板20に装着させる。
これにより、装着ヘッド213bが吸着ノズルを交換する際に生じるタクトのロスを低減することができる。
図12は、本変形例に係る部品実装方法の一例を示すフローチャートである。
なお、図12では、便宜のため、図10と同様に、装着ヘッド213aを第1ヘッド、装着ヘッド213bを第2ヘッド、部品供給部211aを第1供給部、部品供給部211bを第2供給部として示す。
まず、判断部253は、装着ヘッド213bが部品供給部211bから供給される部品を吸着するのに、吸着ノズルを交換する必要があるか否かを判断する(S204)。そして、判断部253は、吸着ノズルを交換する必要があると判断した場合は(S204でYES)、装着ヘッド213aが当該部品を吸着できる吸着ノズルを備えているか否かを判断する(S206)。
そして、判断部253は、装着ヘッド213aが当該吸着ノズルを備えていると判断した場合(S206でYES)、装着ヘッド213aが当該部品を吸着する際のタクトを算出する(S208)。
そして、判断部253は、装着ヘッド213aが当該部品を吸着する方が、装着ヘッド213bが吸着ノズルを交換するよりもタクトが短くなるか否かを判断する(S210)。判断部253は、タクトが短くなると判断した場合(S210でYES)は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
そして、この場合、ヘッド制御部254は、まず装着ヘッド213bが装着ヘッド213aと干渉しない位置に、装着ヘッド213bを退避させる(S212)。そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ(S214)、基板20に装着させる(S220)。
また、判断部253が装着ヘッド213bの吸着ノズルを交換する必要がないと判断した場合は(S204でNO)、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに部品を吸着させ(S216)、基板20に装着させる(S220)。
また、判断部253が、装着ヘッド213aが当該部品を吸着できる吸着ノズルを備えていないと判断した場合(S206でNO)、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに吸着ノズルを交換させる(S218)。そして、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに部品を吸着させ(S216)、基板20に装着させる(S220)。
また、判断部253が、装着ヘッド213aが当該部品を吸着してもタクトが短くならないと判断した場合は(S210でNO)、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに吸着ノズルを交換させる(S218)。そして、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213bに部品を吸着させ(S216)、基板20に装着させる(S220)。
そして、全ての実装点について終了するまで(S222)、次の実装点についての判断がなされる(S202、S222)。
このようにして、装着ヘッド213bが吸着ノズルを交換する際に生じるタクトのロスを低減することができる。
(変形例2)
ここで、本実施の形態における第2の変形例について説明する。上記実施の形態及び第1の変形例では、トレイ部品を吸着することや吸着ノズルを交換することによるタクトのロスを低減することとした。しかし、本変形例では、一方の部品供給部に部品を全て配置することができないことによるタクトのロスを低減する。
図13は、本変形例に係る部品実装方法の一例を説明する図である。
図13(a)に示すように、部品実装機200は、交互打ちの部品実装機である。そして、基板20に多数の大型の部品を実装する場合には、一方の部品供給部だけでは、この大型の部品を全て配置することができない場合がある。ここでは、部品供給部211aに大型の部品が収納された部品カセット212aが配列され、装着ヘッド213aがこの大型の部品を実装する。そして、装着ヘッド213bがこの大型の部品を吸着することができれば、部品供給部211bにも大型の部品が収納された部品カセット212cを配列することができる。
しかし、装着ヘッド213bが大型の部品を吸着するために、吸着ノズルの交換を行う必要がある場合には、ノズル交換の時間がタクトのロスになる。
また、装着ヘッド213bが、大型の部品を吸着できる吸着ノズルを備えられない場合がある。つまり、装着ヘッド213bが、チップ部品や小さい異形部品を吸着するための小さい吸着ノズルしか備えていない場合、大型の部品を吸着できる大きい吸着ノズルに交換することができない。具体的には、大型の部品を吸着できる装着ヘッド213aが、3本の大きい吸着ノズルを備える装着ヘッドであるのに対し、装着ヘッド213bが、8本の小さい吸着ノズルを備える装着ヘッドである場合などである。
この場合は、部品供給部211bに大型の部品が収納された部品カセット212cを配列しても、装着ヘッド213bが当該部品を吸着できないので、この大型の部品を実装するために他の部品実装機を配置するしかない。このため、基板20を当該他の部品実装機へ搬送し生産するなどのために時間を要し、タクトのロスになる。
ここで、図11(b)に示すように、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される大型の部品を吸着し、基板20に装着することができれば、これらのタクトのロスを低減することができる。
このため、まず判断部253は、装着ヘッド213aが基板20に実装すべきである(装着ヘッド213aのみが基板20に実装可能である)部品が、部品供給部211aに配置されているか否かを判断する。
そして、判断部253は、部品が配置されていないと判断した場合は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
この判断によって、まず、ヘッド制御部254は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着する際に、装着ヘッド213bを装着ヘッド213aと干渉しない位置に退避させる。
そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ、基板20に装着させる。
これにより、装着ヘッド213bが吸着ノズルを交換したり、基板20を他の部品実装機へ搬送し生産するなどの際に生じるタクトのロスを低減することができる。また、部品を実装するために他の部品実装機を配置する必要も無く、過剰な設備をなくすことができる。
図14は、本変形例に係る部品実装方法の一例を示すフローチャートである。
なお、図14では、便宜のため、図10と同様に、装着ヘッド213aを第1ヘッド、装着ヘッド213bを第2ヘッド、部品供給部211aを第1供給部、部品供給部211bを第2供給部として示す。
まず、判断部253は、装着ヘッド213aが基板20に実装するための部品が、部品供給部211aに配置されているか否かを判断する(S304)。そして、判断部253は、部品が配置されていないと判断した場合は(S304でNO)、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断する。
そして、この場合、ヘッド制御部254は、まず装着ヘッド213bが装着ヘッド213aと干渉しない位置に、装着ヘッド213bを退避させる(S306)。そして、ヘッド制御部254は、部品供給部211bから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ(S308)、基板20に装着させる(S312)。
また、判断部253が、装着ヘッド213aが基板20に実装するための部品が、部品供給部211aに配置されていると判断した場合(S304でYES)、ヘッド制御部254は、部品供給部211aから供給される部品を装着ヘッド213aに吸着させ(S310)、基板20に装着させる(S312)。
そして、全ての実装点について終了するまで(S314)、次の実装点についての判断がなされる(S302、S314)。
このようにして、装着ヘッド213bが吸着ノズルを交換したり、基板20を他の部品実装機へ搬送し生産するなどの際に生じるタクトのロスを低減することができる。
以上、本発明に係る部品実装方法について、上記実施の形態及びその変形例を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
たとえば、本実施の形態及びその変形例では、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することとしたが、装着ヘッド213bが部品供給部211aから供給される部品を吸着することとしてもよい。
また、本実施の形態及びその変形例では、判断部253は部品実装機200に備えられていることとしたが、判断部253は制御装置100に備えられ、この制御装置100に備えられた判断部253の判断に基づき作成されたNCデータ257aを部品実装機200が取得し、部品実装機200はそのNCデータ257aに基づき、基板20に部品を実装するものとしてもよい。
また、本実施の形態では、判断部253は、第2タクトの方が第1タクトよりも短い場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断することとした。しかし、判断部253は、装着ヘッド213bがトレイ216からトレイ部品を吸着し終わるまでに、装着ヘッド213aが部品供給部211bから部品を吸着して基板20へ実装を完了する場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断することにしてもよい。なお、この判断は、装着ヘッド213aが部品供給部211bから部品を吸着して基板20へ実装する時間と、装着ヘッド213bがトレイ部品を吸着する時間とを比較することにより行われる。これにより、2つの装着ヘッドが交互打ちを行う際の稼働時間のアンバランスが解消されるため、タクトのロスを低減することができる。
また、変形例2では、判断部253は、装着ヘッド213aが基板20に実装すべきである部品が、部品供給部211aに配置されていないと判断した場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断することとした。しかし、判断部253は、装着ヘッド213aが基板20に実装すべきである(装着ヘッド213aのみが基板20に実装可能である)部品が、部品供給部211bに配置されていると判断した場合に、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することが必要と判断することにしてもよい。
また、変形例2では、部品実装機200は、2つの装着ヘッドを備えた交互打ちの部品実装機であることとしたが、装着ヘッド213bは、装着ヘッドでなくてもよく、塗布ヘッドや検査ヘッドなどの作業用のヘッドの場合にも、本発明を適用可能である。この場合、装着ヘッド213aが部品供給部211bから供給される部品を吸着することで、他の部品実装機を配置する必要がなく、タクトのロスを低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。