以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る実装条件決定方法を実現する部品実装システム10の構成を示す外観図である。
部品実装システム10は、基板に部品を実装し、回路基板を生産する生産ラインであり、実装条件決定装置100と複数の部品実装機200(図1に示す例では、9台の部品実装機)とを備えている。
実装条件決定装置100は、本発明に係る実装条件決定方法を実行する装置である。この実装条件決定装置100は、スループットを向上することができるように実装条件を決定する。
部品実装機200は、部品実装システム10の一部として、実装条件決定装置100により決定された条件で、電子部品などの部品を基板に実装する。
図2は、部品実装システム10の複数の部品実装機200の構成を示す平面図である。
同図に示すように、複数の部品実装機200は、上流から下流に向けて基板21、23を送りながら部品を実装していく。
つまり、まず上流側の部品実装機200(同図に示す部品実装機MC1)が基板21、23を受け取り、その基板21、23に対して部品を実装する。そして、その部品が実装された基板21、23が下流側の部品実装機200(同図に示す部品実装機MC2)に送り出される。
このようにして、各部品実装機200に基板21、23が順次送られ、部品が実装される。
図3は、部品実装機200の内部の主要な構成を示す平面図である。ここで、基板の搬送方向をX軸方向、水平面内でX軸方向と直交する部品実装機の前後方向をY軸方向とする。
部品実装機200は、2つの基板21および基板23がそれぞれ搬送される搬送レーン215および搬送レーン217と、この2つの基板に対して部品を実装する2つの実装ユニット210a、210bとを備えている。
搬送レーン215は実装ユニット210aの側に、搬送レーン217は実装ユニット210bの側に、それぞれがX軸方向と平行になるように配置されている。
そして、搬送レーン215は、それぞれがX軸方向に平行な固定レール215aと可動レール215bとから構成されている。固定レール215aの位置は予め固定されており、可動レール215bは、搬送される基板21のY軸方向の長さに応じてY軸方向に移動可能である。
また、搬送レーン215と同様に、搬送レーン217は、それぞれがX軸方向に平行な固定レール217aと可動レール217bとから構成されている。そして、固定レール217aの位置は予め固定されており、可動レール217bは、搬送される基板23のY軸方向の長さに応じてY軸方向に移動可能である。
また、搬送レーン215および搬送レーン217上を、基板21および基板23がそれぞれ独立して搬送される。
2つの実装ユニット210a、210bは、基板21および基板23に対して実装作業を行う。
実装ユニット210aと実装ユニット210bはそれぞれ同様の構成を有している。つまり、実装ユニット210aは、部品供給部211a、装着ヘッド213a及び部品認識カメラ(図示せず)を備えている。同様に、実装ユニット210bは、部品供給部211b、装着ヘッド213b及び部品認識カメラ(図示せず)を備えている。
ここで、実装ユニット210aの詳細な構成について説明する。なお、実装ユニット210bの詳細な構成の説明については、実装ユニット210aと同様であるため、省略する。
部品供給部211aは、部品テープを収納する複数の部品カセット212aの配列からなる。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品がテープ(キャリアテープ)上に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品は、例えばチップ等であって、具体的には大きさが4mm×2mmの0402チップ部品や大きさが10mm×5mmの1005チップ部品などである。
装着ヘッド213aは、例えば最大10個の吸着ノズルを備えることができ、部品供給部211aから最大10個の部品を吸着して、基板21および基板23に装着することができる。
部品認識カメラは、装着ヘッド213aに吸着された部品を撮影し、その部品の吸着状態を2次元又は3次元的に検査するために用いられる。
図4は、装着ヘッド213aと部品カセット212aの位置関係を示す模式図である。
上述のように、装着ヘッド213aには、例えば最大10個の吸着ノズルnzを取り付けることが可能である。10個の吸着ノズルnzが取り付けられた装着ヘッド213aは、最大10個の部品カセット212aのそれぞれから部品を同時に(1回の上下動作で)吸着することができる。
図5は、部品を収めた部品テープ及びリールの例を示す図である。
チップ型電子部品などの部品は、同図に示すキャリアテープ221に一定間隔で複数個連続的に形成された収納凹部221aに収納されて、この上面にカバーテープ222を貼り付けて包装される。そしてこのようにカバーテープ222が貼り付けられたキャリアテープ221は、リール223に所定の数量分だけ巻回されたテーピング形態でユーザに供給される。また、このようなキャリアテープ221およびカバーテープ222によって部品テープが構成される。なお、部品テープの構成は、同図に示す構成以外の他の構成であってもよい。
このような部品実装機200の実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品供給部211aに移動させて、部品供給部211aから供給される部品をその装着ヘッド213aに吸着させる。そして、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを部品認識カメラ上に一定速度で移動させ、装着ヘッド213aに吸着された全ての部品の画像を部品認識カメラに取り込ませ、部品の吸着位置を正確に検出させる。さらに、実装ユニット210aは、装着ヘッド213aを例えば基板21に移動させて、吸着している全ての部品を基板21の実装点に順次装着させる。実装ユニット210aは、このような装着ヘッド213aによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行することにより、予め定められた全ての部品を基板21に実装する。
また、実装ユニット210bも、実装ユニット210aと同様に、装着ヘッド213bによる吸着、移動、および装着という動作を繰り返し実行する。これらにより、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bは、予め定められた全ての部品を基板21および基板23に実装する。
ここで、このような実装ユニット210a、210bの部品実装方法には、大きく分けていわゆる交互打ちと呼ばれる方法と独立打ちと呼ばれる方法の2種類の方法がある。
交互打ちでは、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bはそれぞれ、基板に対する部品の実装を交互に行う。つまり、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bはそれぞれ、相手の実装ユニットが部品を装着しているときには、部品供給部から部品を吸着し、逆に、相手の実装ユニットが部品供給部から部品を吸着しているときには、部品を装着するように、基板21および基板23に対する部品の実装を交互に行う。
独立打ちでは、実装ユニット210aおよび実装ユニット210bはそれぞれ、独立して基板に対する部品の実装を行う。つまり、実装ユニット210aは基板21のみに対して部品の実装を行い、実装ユニット210bは基板23のみに対して部品の実装を行う。
ここでは、実装ユニット210a、210bの部品実装方法は、交互打ちでも独立打ちでもよい。
なお、2つの実装ユニット210a、210bは、予め部品を実装するように設定された基板に対してのみ、部品を実装する。このため、基板21および基板23のうち、部品を実装するように設定されていない基板は、実装されずに次の部品実装機200に搬送される。
つまり、各部品実装機200は、各搬送レーンに搬送される基板21および基板23のいずれにも部品を実装することが可能な構成となっているが、各部品実装機200は、予め部品を実装するように設定された基板に対してのみ部品を実装し、部品を実装するように設定されていない基板は、実装されずに次の部品実装機に搬送されるように、実装条件を決定することができる。
また、このような部品実装機200の基板の生産方法には、いわゆる同期モードと呼ばれる方法と非同期モードと呼ばれる方法の2種類の方法がある。
同期モードでは、2つ以上の搬送レーンそれぞれに基板が搬入された後に、搬入された複数の基板に対して、部品の実装を開始するモードである。非同期モードでは、複数の搬送レーンのうち、いずれか1つの搬送レーンに基板が搬入された後に、搬入された1枚の基板に対して、部品の実装を開始するモードである。
非同期モードでは、例えば搬送レーン215上の基板21に部品を実装している間に、搬送レーン217上を基板23が搬送されるため、基板23の搬送時間を考慮しなくともよい。この点で、非同期モードでは、同期モードよりもスループットの向上を図ることができる。
ここでは、部品実装機200の基板の生産方法は、非同期モードで行われるものとする。
図6は、本実施の形態における実装条件決定装置100の機能構成を示すブロック図である。
この実装条件決定装置100は、スループットを向上することができるように実装条件を決定する等の処理を行なうコンピュータである。この実装条件決定装置100は、演算制御部101、表示部102、入力部103、メモリ部104、プログラム格納部105、通信I/F(インターフェース)部106及びデータベース部107を備えている。
この実装条件決定装置100は、本発明に係るプログラムをパーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータシステムが実行することによって実現され、部品実装機200と接続されていない状態で、スタンドアローンのシミュレータ(実装条件の決定ツール)としても機能する。なお、この実装条件決定装置100の機能が部品実装機200の内部に備わっていても構わない。
演算制御部101は、CPU(Central Processing Unit)や数値プロセッサ等であり、オペレータからの指示等に従って、プログラム格納部105からメモリ部104に必要なプログラムをロードして実行し、その実行結果に従って、各構成要素102〜107を制御する。
表示部102はCRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等であり、入力部103はキーボードやマウス等であり、これらは、演算制御部101による制御の下で、実装条件決定装置100とオペレータとが対話する等のために用いられる。
通信I/F部106は、LAN(Local Area Network)アダプタ等であり、実装条件決定装置100と部品実装機200との通信等に用いられる。メモリ部104は、演算制御部101による作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)等である。
プログラム格納部105は、実装条件決定装置100の機能を実現する各種プログラムを記憶しているハードディスク等である。プログラムは、部品実装機200による実装条件を決定するプログラムであり、機能的に(演算制御部101によって実行された場合に機能する処理部として)、実装基板決定部105aを備えている。
実装基板決定部105aは、ツール共通度から、部品実装機200のそれぞれの装着ヘッド213a、213bが部品実装作業を行うべき基板を決定する。ここで、ツール共通度とは、搬送レーン上を搬送される基板に実装される部品の種類から定められ、1つの装着ヘッドが搬送レーン上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールが、複数の種類の基板のうち2つ以上の種類の基板間で同一である度合いである。
データベース部107は、この実装条件決定装置100による実装条件決定処理等に用いられるデータであるNCデータ107aおよび部品ライブラリ107b等を記憶するハードディスク等である。
図7〜図8は、それぞれ、NCデータ107aおよび部品ライブラリ107bの一例を示す図である。
図7は、NCデータ107aの一例を示す図である。
NCデータ107aは、実装の対象となる全ての部品の実装点を示す情報の集まりである。1つの実装点piは、部品種ci、X座標xi、Y座標yi、制御データφi、および実装角度θiからなる。ここで、部品種は、図8に示される部品ライブラリ107bにおける部品名に相当し、X座標及びY座標は、実装点の座標(基板上の特定位置を示す座標)であり、制御データは、その部品の実装に関する制約情報(使用可能な吸着ノズルnzのタイプ、装着ヘッドの最高移動加速度等)を示す。実装角度θiは、部品種ciの部品を吸着したノズルが回転すべき角度を示す。なお、最終的に求めるべきNC(Numeric Control)データとは、ラインタクトが最小となるような実装点の並びである。
図8は、部品ライブラリ107bの一例を示す図である。
部品ライブラリ107bは、部品実装機200が扱うことができる全ての部品種それぞれについての固有の情報を集めたライブラリである。この部品ライブラリ107bは、同図に示すように、部品種(部品名)ごとの部品サイズ、タクト(一定条件下における部品種に固有のタクト)、その他の制約情報(使用可能な吸着ノズルnzのタイプ、部品認識カメラによる認識方式、装着ヘッドの最高加速度比等)からなる。なお、本図には、参考として、各部品種の部品の外観も併せて示されている。部品ライブラリ107bには、その他に、部品の色や形状などの情報が含まれていてもよい。
次に、本実施の形態における実装条件決定装置100の動作の一例について説明する。
図9および図10は、本実施の形態における実装条件決定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、図9に示すように、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得する(S102)。
具体的には、ツールとは、装着ヘッド213a、213b、吸着ノズルnz、または部品カセット212a、212bである。そして、ツールの情報とは、装着ヘッド213a、213bに配置される吸着ノズルnzの本数、吸着ノズルnzの種類、または部品カセット212a、212bの種類などである。
そして、実装基板決定部105aは、取得したツールの情報から、1の搬送レーン上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の搬送レーンそれぞれの上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(S104)。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(S106)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の少なくとも1つが第一閾値以上であると判断した場合(S106でYES)、第一閾値以上のツール共通度になるツールが使用される基板が搬送される複数の搬送レーンを抽出する(S108)。
そして、実装基板決定部105aは、1つの装着ヘッドが、抽出された複数の搬送レーン上を搬送される基板それぞれに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S110)。
また、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断した場合(S106でNO)、ツール共通度が予め定められた第二閾値以上か否かを判断する(S112)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の少なくとも1つが第二閾値以上であると判断した場合(S112でYES)、2つの装着ヘッド213a、213bが、1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S114)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の全てが第二閾値より小さいと判断した場合(S112でNO)、1つの装着ヘッドのみが、1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S116)。
図10は、ツール共通度を算出する処理(図9のS104)の一例を示すフローチャートである。
まず、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bであるか否かを判断する(S202)。
実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bでないと判断した場合(S202でNO)、1の搬送レーン上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の搬送レーンそれぞれの上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(S204)。
ここで、ツールが部品カセット212a、212bでない場合とは、ツールが吸着ノズルnz、または装着ヘッド213a、213bである場合である。また、ツール共通度とは、使用するツールが、複数の種類の基板のうち2つ以上の種類の基板間で同一である度合いである。
つまり、ツールが同一とは、ツールが吸着ノズルnzの場合は、使用する吸着ノズルnzの種類が同一のことであり、ツールが装着ヘッド213a、213bの場合は、装着ヘッド213a、213bの種類が同一、例えば、使用する装着ヘッド213a、213bに備えられた吸着ノズルnzの本数が同一のことである。具体的には、ツール共通度とは、例えば、ツールが吸着ノズルnzの場合は、吸着ノズルnz全体に対して2つ以上の種類の基板それぞれが搬送される搬送レーン間で共通して使用される吸着ノズルnzの割り合いである。
また、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bであると判断した場合(S202でYES)、1つの装着ヘッドが複数の種類の基板のうち2つ以上の種類の基板それぞれに実装する部品が収納される部品カセットの数が、予め定められた第三閾値以下か否かを判断する(S206)。
実装基板決定部105aは、部品カセットの数が第三閾値以下であると判断した場合、2つ以上の種類の基板それぞれが搬送される搬送レーン間でのツール共通度が第一閾値以上であると算出する(S208)。
また、実装基板決定部105aは、部品カセットの数が第三閾値より大きいと判断した場合、2つ以上の種類の基板それぞれが搬送される搬送レーン間でのツール共通度が第一閾値より小さいと算出する(S210)。
次に、本実施の形態における実装条件決定方法について、具体的に説明する。
図11は、本実施の形態における実装条件決定方法の一例を説明する図である。
図11に示すように、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。なお、部品実装機200は、交互打ちおよび非同期モードの部品実装機である。また、装着ヘッド213a、213bは、それぞれ8本の吸着ノズルnzを備えていることとする。
ここで、同図および以下に説明する図において、説明の便宜のため、装着ヘッド213a、213bを大きく図示している。また、基板21、23の中に記載の記号は基板の種類を示し、基板21、23の中に記載の数値は、実装する部品の員数を示している。さらに、装着ヘッド213a、213bの中に記載の記号は、実装する基板の種類を示している。そして、装着ヘッド213a、213bの中に記載の左側の数値は、実装する部品の員数を示し、右側の数値は、部品の実装に使用される吸着ノズルnzの本数を示している。
つまり、同図に示すように、部品員数100の基板種Aの基板23が搬送レーン217に搬送され、部品実装機MC1により部品員数50が実装され、搬送レーン217上を搬送されて、部品実装機MC2により残りの部品員数50が実装される。同様に、部品員数80の基板種Bの基板21が搬送レーン215に搬送され、部品実装機MC1により部品員数40が実装され、搬送レーン215上を搬送されて、部品実装機MC2により残りの部品員数40が実装される。
また、部品実装機MC1では、装着ヘッド213a、213bともに基板種Aの基板23に部品員数25の部品を実装し、基板種Bの基板21に部品員数20の部品を実装する。部品実装機MC2についても、同様である。
このような部品実装システム10において、まず、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得する(図9のS102)。なお、実装基板決定部105aは、このツールの情報を、入力部103を介してオペレータから取得してもよいし、予め設定されたデータなどから取得してもよい。
ここでは、ツールが吸着ノズルnzであるとする。つまり、実装基板決定部105aは、ツールの情報として、搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装するために使用する吸着ノズルnzの種類を取得する。具体的には、実装基板決定部105aは、例えば装着ヘッド213bが搬送レーン217上を搬送される基板種Aの基板23に部品を実装するのに使用される吸着ノズルnzの種類と、装着ヘッド213bが搬送レーン215上を搬送される基板種Bの基板21に部品を実装するのに使用される吸着ノズルnzの種類とを取得する。
そして、実装基板決定部105aは、取得したツールの情報から、1の搬送レーン上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の搬送レーンそれぞれの上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(図9のS104)。
具体的には、まず、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bであるか否かを判断する(図10のS202)。
ここでは、ツールは吸着ノズルnzであるので、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bでないと判断し(図10のS202でNO)、1の搬送レーン上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の搬送レーンそれぞれの上を搬送される基板に部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(図10のS204)。
具体的には、実装基板決定部105aは、取得されたツールの情報である装着ヘッド213bが基板23に部品を実装するのに使用される吸着ノズルnzの種類と、装着ヘッド213bが基板21に部品を実装するのに使用される吸着ノズルnzの種類とから、搬送レーン217でのツールである装着ヘッド213bの吸着ノズルnzと搬送レーン215でのツールである装着ヘッド213bの吸着ノズルnzとのツール共通度を算出する。
ここでは、図11に示すように、部品実装機MC1において、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは8本である。また、同様に、搬送レーン215に搬送される基板種Bの基板21に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは6本である。このため、装着ヘッド213bには合計8本の吸着ノズルnzが備えられているので、6本の吸着ノズルnzが基板21および基板23の両方に部品を実装するのに使用されている。つまり、装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度は、6/8の75%である。
このようにして、実装基板決定部105aは、搬送レーン215と搬送レーン217とでの部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度を75%と算出する。また、同様に、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aや、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bの、吸着ノズルnzのツール共通度についても算出する。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(図9のS106)。ここで、予め定められた第一閾値を、50%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が、第一閾値である50%以上の75%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上であると判断する。
実装基板決定部105aは、ツール共通度の少なくとも1つが第一閾値以上であると判断した場合(図9のS106でYES)、第一閾値以上のツール共通度になるツールが使用される複数の搬送レーンを抽出する(図9のS108)。ここで、部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が第一閾値以上であるので、実装基板決定部105aは、搬送レーン215と搬送レーン217とを抽出する。
そして、実装基板決定部105aは、1つの装着ヘッドが、抽出された複数の搬送レーン上を搬送される基板それぞれに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図9のS110)。例えば、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bが搬送レーン215および搬送レーン217上を搬送される基板21および基板23に部品を実装すると決定する。また、同様に、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aや、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bについても、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する。
このようにして、ツール共通度が大きい複数の搬送レーン上を搬送される基板それぞれに、1つの装着ヘッドが部品を実装するので、それぞれの装着ヘッドに、基板それぞれに共通して使用することができる吸着ノズルnzを配置することができる。つまり、それぞれの装着ヘッドに多様な吸着ノズルnzを配置しなくてもよいため、装着ヘッドが1つの基板に実装するために多くの吸着ノズルを使用することができる。このため、装着ヘッドが1回の部品実装動作で1つの基板に実装できる部品の数を多くすることができ、少ない部品実装動作で基板に部品を実装することができる。したがって、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
なお、1回の部品実装動作とは、装着ヘッドが部品を吸着し、基板上まで移動した後、当該基板に吸着した部品を装着する一連の動作をいう。
図12Aおよび図12Bは、本実施の形態における実装条件決定方法の他の例を説明する図である。
図12Aに示すように、図11と同様に、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。そして、装着ヘッド213a、213bは、それぞれ8本の吸着ノズルnzを備えている。
また、部品実装機MC1では、装着ヘッド213a、213bともに基板種Aの基板23に部品員数25の部品を実装し、基板種Bの基板21に部品員数20の部品を実装する。部品実装機MC2についても、同様である。
このような部品実装システム10において、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得してから、ツール共通度を算出する(図9のS102、S104)。なお、詳細については、図11での説明と同様であるため、省略する。
ここで、図12Aに示すように、部品実装機MC1において、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは5本である。また、同様に、搬送レーン215に搬送される基板種Bの基板21に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは5本である。このため、装着ヘッド213bには合計8本の吸着ノズルnzが備えられているので、2本の吸着ノズルnzが基板21および基板23の両方に部品を実装するのに使用されている。つまり、装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度は、2/8の25%である。
このようにして、実装基板決定部105aは、搬送レーン215と搬送レーン217とでの部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度を25%と算出する。また、同様に、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aや、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bの、吸着ノズルnzのツール共通度についても算出する。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(図9のS106)。ここで、予め定められた第一閾値を50%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が25%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値よりも小さいと判断する。また、部品実装機200は、搬送レーン215および搬送レーン217の2つの搬送レーンしか有さないため、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断する。
また、実装基板決定部105aは、ツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断した場合(図9のS106でNO)、ツール共通度が予め定められた第二閾値以上か否かを判断する(図9のS112)。ここで、予め定められた第二閾値を、10%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が25%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第二閾値以上であると判断する。
実装基板決定部105aは、ツール共通度の少なくとも1つが第二閾値以上であると判断した場合(図9のS112でYES)、2つの装着ヘッド213a、213bが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図9のS114)。
具体的には、図12Bに示すように、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の2つの装着ヘッド213a、213bが、搬送レーン217上のみを搬送される基板種Aの基板23aに部品を実装すると決定する。また、同様にして、実装基板決定部105aは、部品実装機MC2の2つの装着ヘッド213a、213bが、搬送レーン217上のみを搬送される基板種Bの基板23bに部品を実装すると決定する。つまり、搬送レーン217上のみに基板種Aの基板23a及び基板種Bの基板23bが搬送され、部品が実装される。具体的には、部品実装機MC1は、基板23aが搬送されてきた場合にのみ基板23aに部品を実装し、基板23bが搬送されてきた場合は、基板23bには部品を実装せずに下流の部品実装機MC2に基板23bを搬送する。また、部品実装機MC2は基板23bが搬送されてきた場合にのみ基板23bに部品を実装し、基板23aが搬送されてきた場合は、基板23aには部品を実装せずに下流の部品実装機に基板23aを搬送する。
これにより、1つの装着ヘッドが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するので、それぞれの装着ヘッドに、複数の搬送レーン上を搬送される基板に対応した多様な吸着ノズルnzを配置しなくてもよい。つまり、装着ヘッドが1つの基板に実装するために多くの吸着ノズルを使用することができる。このため、装着ヘッドが1回の部品実装動作で1つの基板に実装できる部品の数を多くすることができ、少ない部品実装動作で基板に部品を実装することができる。
具体的には、図12Aに示された場合では、例えば部品実装機MC1の装着ヘッド213bが搬送レーン217上を搬送される基板23に部品員数25の部品を実装する際に、5本の吸着ノズルnzで5個ずつの部品を実装すれば、5回の部品実装動作が必要である。同様に、装着ヘッド213bが搬送レーン215上を搬送される基板21に部品員数20の部品を実装する際に、5本の吸着ノズルnzで5個ずつの部品を実装すれば、4回の部品実装動作が必要である。つまり、装着ヘッド213bが部品を実装するのに、合計9回の部品実装動作が必要である。また、部品実装機MC2についても同様である。
これに対し、図12Bに示された場合では、部品実装機MC1の装着ヘッド213bが搬送レーン217上を搬送される基板23aに部品員数50の部品を実装する際に、8本の吸着ノズルnzで8個ずつの部品を実装することができるので、7回の部品実装動作しか必要とされない。つまり、図12Bに示された構成とすることで、図12Aに示された場合と比較して、部品実装動作を2回減少させることができる。
同様に、図12Bに示された場合、部品実装機MC2の装着ヘッド213bが搬送レーン217上を搬送される基板23bに部品員数40の部品を実装する際に、8本の吸着ノズルnzで8個ずつの部品を実装することができるので、5回の部品実装動作しか必要とされない。つまり、図12Bに示された構成とすることで、図12Aに示された場合と比較して、部品実装動作を4回減少させることができる。
したがって、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
図13Aおよび図13Bは、本実施の形態における実装条件決定方法のさらに別の例を説明する図である。
図13Aに示すように、図11と同様に、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。そして、装着ヘッド213a、213bは、それぞれ8本の吸着ノズルnzを備えている。
また、部品実装機MC1では、装着ヘッド213a、213bともに基板種Aの基板23に部品員数25の部品を実装し、基板種Bの基板21に部品員数20の部品を実装する。部品実装機MC2についても、同様である。
このような部品実装システム10において、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得してから、ツール共通度を算出する(図9のS102、S104)。なお、詳細については、図11での説明と同様であるため、省略する。
ここで、図13Aに示すように、部品実装機MC1において、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは4本である。また、同様に、搬送レーン215に搬送される基板種Bの基板21に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは4本である。つまり、基板21および基板23に部品を実装するのにそれぞれ4本ずつの吸着ノズルnzが使用されており、共通して使用されている吸着ノズルnzはない。このため、装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度は、0%である。
このようにして、実装基板決定部105aは、搬送レーン215と搬送レーン217とでの部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度を0%と算出する。また、同様に、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aや、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bの、吸着ノズルnzのツール共通度についても算出する。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(図9のS106)。ここで、予め定められた第一閾値を50%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度は、第一閾値よりも小さいので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値よりも小さいと判断する。また、部品実装機200は、搬送レーン215および搬送レーン217の2つの搬送レーンしか有さないため、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断する。
また、実装基板決定部105aは、ツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断した場合(図9のS106でNO)、ツール共通度が予め定められた第二閾値以上か否かを判断する(図9のS112)。ここで、予め定められた第二閾値を、10%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が0%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第二閾値より小さいと判断する。また、部品実装機200は、搬送レーン215および搬送レーン217の2つの搬送レーンしか有さないため、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度の全てが第二閾値より小さいと判断する。
実装基板決定部105aは、ツール共通度の全てが第二閾値より小さいと判断した場合(図9のS112でNO)、1つの装着ヘッドのみが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図9のS116)。
具体的には、図13Bに示すように、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bのみが、搬送レーン217上のみを搬送される基板種Aの基板23に部品を実装すると決定する。また、同様にして、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aが、搬送レーン215上のみを搬送される基板種Bの基板21に部品を実装すると決定する。
これにより、ツール共通度が小さい場合に、1つの装着ヘッドのみが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装するので、部品実装作業に際して、対向する装着ヘッドや部品供給部の不具合などに影響されない。したがって、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
以上、ツールが吸着ノズルnzの場合を説明したが、ツールは部品カセット212a、212bであってもよい。
この場合、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bであると判断し(図10のS202でYES)、1つの装着ヘッドが実装すべき2つ以上の種類の基板のうち1つ以上の種類の基板に実装する部品が全て収納されるのに必要な部品カセットの数が、予め定められた第三閾値以下か否かを判断する(図10のS206)。つまり、実装基板決定部105aは、1つの装着ヘッドが2つ以上の種類の基板全てに実装するために用いられる部品カセットの延べ数が、第三閾値以下か否かを判断する。
ここで、第三閾値とは、部品供給部211a、211bに配置できる部品カセット212a、212bの許容量である。つまり、例えば、部品カセット212aの数が第三閾値以下であれば、全ての部品カセット212aを部品供給部211aに配置することができる。また、部品カセット212aの数が第三閾値より大きければ、部品カセット212aを全ては部品供給部211aに配置することができない。
実装基板決定部105aは、部品カセットの数が第三閾値以下であると判断した場合、2つ以上の種類の基板それぞれが搬送される搬送レーン間でのツール共通度が第一閾値以上であると算出する(図10のS208)。
また、実装基板決定部105aは、部品カセットの数が第三閾値より大きいと判断した場合、2つ以上の種類の基板それぞれが搬送される搬送レーン間でのツール共通度が第一閾値より小さいと算出する(図10のS210)。
そして、実装基板決定部105aは、部品カセット212a、212bを全て部品供給部211a、211bに配置できるように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する。なお、実装基板決定部105aがツール共通度を算出した後の処理は、図9での説明と同様であるため、省略する。
これにより、ツールが部品カセット212a、212bの場合、部品カセット212a、212bの数が部品供給部211a、211bに配置できる許容量を超えてしまうのを防ぐことができる。
(変形例1)
ここで、本実施の形態における第1の変形例について説明する。上記実施の形態では、それぞれの装着ヘッドが、抽出などにより選定された搬送レーン上を搬送される基板に部品を実装することとした。しかし、本変形例では、それぞれの装着ヘッドが、抽出などにより選定された種類の基板に部品を実装する。つまり、上記実施の形態では、それぞれの装着ヘッドが実装する対象のレーンを決定することとしたが、本変形例では、それぞれの装着ヘッドが実装する対象の基板種を決定する。
図14は、本変形例に係る実装条件決定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、同図に示すように、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得する(S302)。
そして、実装基板決定部105aは、取得したツールの情報から、1の種類の基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の種類の基板それぞれに部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(S304)。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(S306)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の少なくとも1つが第一閾値以上であると判断した場合(S306でYES)、第一閾値以上のツール共通度になるツールが使用される基板の複数の種類を抽出する(S308)。
そして、実装基板決定部105aは、1つの装着ヘッドが、抽出された複数の種類の基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S310)。
また、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断した場合(S306でNO)、ツール共通度が予め定められた第二閾値以上か否かを判断する(S312)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の少なくとも1つが第二閾値以上であると判断した場合(S312でYES)、2つの装着ヘッド213a、213bが1つの種類の基板のみに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S314)。
実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度の全てが第二閾値より小さいと判断した場合(S312でNO)、1つの装着ヘッドのみが、1つの種類の基板のみに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S316)。
図15は、本変形例に係る実装条件決定方法の一例を説明する図である。
図12Aに示されたように、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。そして、装着ヘッド213a、213bは、それぞれ8本の吸着ノズルnzを備えている。
まず、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得する(図14のS302)。なお、詳細については、図11での説明と同様であるため、省略する。
そして、実装基板決定部105aは、取得したツールの情報から、1の種類の基板に部品実装作業を行う際に使用されるツールと、他の種類の基板それぞれに部品実装作業を行う際に使用されるそれぞれのツールとのツール共通度を算出する(図14のS304)。
ここで、図12Aに示すように、部品実装機MC1において、搬送レーン217に搬送される基板種Aの基板23に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは5本である。また、同様に、搬送レーン215に搬送される基板種Bの基板21に部品を実装するのに使用される装着ヘッド213bの吸着ノズルnzは5本である。このため、装着ヘッド213bには合計8本の吸着ノズルnzが備えられているので、2本の吸着ノズルnzが基板21および基板23の両方に部品を実装するのに使用されている。つまり、装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度は、2/8の25%である。
このようにして、実装基板決定部105aは、基板種Aと基板種Bとでの部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度を25%と算出する。また、同様に、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213aや、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bの、吸着ノズルnzのツール共通度についても算出する。
次に、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値以上か否かを判断する(図14のS306)。
実装基板決定部105aは、ツール共通度の少なくとも1つが第一閾値以上であると判断した場合(図14のS306でYES)、第一閾値以上のツール共通度になるツールが使用される基板の複数の種類を抽出する(図14のS308)。そして、実装基板決定部105aは、1つの装着ヘッドが抽出された複数の種類の基板に部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図14のS310)。
これにより、ツール共通度が大きい場合に、ツール共通度が大きい複数の種類の基板それぞれに、1つの装着ヘッドが部品を実装するので、例えば装着ヘッドに、基板それぞれに共通して使用することができる吸着ノズルを配置することができる。つまり、装着ヘッドに多様な吸着ノズルを配置しなくてもよいため、装着ヘッドが1つの基板に実装するために多くの吸着ノズルを使用することができる。
ここで、予め定められた第一閾値を50%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が25%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第一閾値よりも小さいと判断する。また、部品実装機200は、基板種Aと基板種Bの2種類の基板にしか部品を実装しないため、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断する。
そして、実装基板決定部105aは、ツール共通度の全てが第一閾値より小さいと判断した場合(図14のS306でNO)、ツール共通度が予め定められた第二閾値以上か否かを判断する(図14のS312)。
さらに、実装基板決定部105aは、ツール共通度の少なくとも1つが第二閾値以上であると判断した場合(図14のS312でYES)、2つの装着ヘッド213a、213bが1つの種類の基板のみに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図14のS314)。また、実装基板決定部105aは、ツール共通度の全てが第二閾値より小さいと判断した場合(図14のS312でNO)、1つの装着ヘッドのみが1つの種類の基板のみに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(図14のS316)。
ここで、予め定められた第二閾値を、10%とする。そして、例えば、算出された部品実装機MC1の装着ヘッド213bの吸着ノズルnzのツール共通度が25%であるので、実装基板決定部105aは、算出されたツール共通度が予め定められた第二閾値以上であると判断する。
このため、実装基板決定部105aは、2つの装着ヘッド213a、213bが1つの種類の基板のみに部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する。
具体的には、図15に示すように、実装基板決定部105aは、部品実装機MC1の2つの装着ヘッド213a、213bが、基板種Aの基板23aおよび基板21aのみに部品を実装すると決定する。また、同様にして、実装基板決定部105aは、部品実装機MC2の2つの装着ヘッド213a、213bが、基板種Bの基板23bおよび基板21bのみに部品を実装すると決定する。
これにより、ツール共通度が小さい場合に、1つの装着ヘッドが1つの種類の基板に部品を実装するので、例えば装着ヘッドに、複数の搬送レーン上を搬送される基板に対応した多様な吸着ノズルを配置しなくてもよい。つまり、装着ヘッドが1つの基板に実装するために多くの吸着ノズルを使用することができる。このため、装着ヘッドが1回の部品実装動作で1つの基板に実装できる部品の数を多くすることができ、少ない部品実装動作で基板に部品を実装することができる。
具体的には、図12Bでの説明と同様の少ない部品実装動作で基板に部品を実装することができる。つまり、例えば、部品実装機MC1の装着ヘッド213bが基板種Aの基板に部品を実装するのに、図15に示された構成とすることで、図12Aに示された場合と比較して、部品実装動作を2回減少させることができる。また、部品実装機MC2の装着ヘッド213bが基板種Bの基板に部品を実装するのに、図15に示された構成とすることで、図12Aに示された場合と比較して、部品実装動作を4回減少させることができる。また、図12Bに示された場合と比較して、搬送レーン217に加えて、搬送レーン215も使用することで、スループットの向上を図ることができる。
したがって、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
なお、本変形例においては、ツールが吸着ノズルnzであるとしてツール共通度を算出したが、図10に示したように、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセット212a、212bであるか否かを判断してツール共通度を算出することにしてもよい。
(変形例2)
ここで、本実施の形態における第2の変形例について説明する。上記実施の形態またはその変形例では、それぞれの装着ヘッドが、抽出などにより選定された搬送レーン上を搬送される基板または抽出などにより選定された種類の基板に部品を実装することとした。しかし、本変形例では、部品実装動作の回数が少ない生産方法を選択し、選択された生産方法に従って、それぞれの装着ヘッドが基板に部品を実装する。つまり、上記実施の形態では、ツール共通度を閾値と比較することによりツール共通度を評価して、実装条件を決定したが、本変形例では、ツール共通度で評価するのではなく、ツール共通度から部品実装動作の回数(ターン数)を算出することで、実装条件を決定する。
図16は、本変形例に係る実装条件決定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、同図に示すように、実装基板決定部105aは、ツールの情報を取得する(S402)。
そして、実装基板決定部105aは、取得したツールの情報から、様々な生産方法でのツール共通度を求め、その結果により部品実装動作の回数(ターン数)を算出する(S404)。ここで、様々な生産方法とは、1つの装着ヘッドが複数の搬送レーン上を搬送される基板それぞれに部品を実装する方法や、2つの装着ヘッドが1つの搬送レーン上を搬送される基板に交互打ちで部品を実装する方法や、1つの装着ヘッドのみが1つの搬送レーン上を搬送される基板のみに部品を実装する方法などである。
そして、実装基板決定部105aは、それぞれの生産方法のうち、部品実装動作の回数(ターン数)が少ない生産方法を選択する(S406)。
そして、実装基板決定部105aは、選択された生産方法で部品を実装するように、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定する(S408)。
これにより、部品実装動作の回数が少ない生産方法によって基板への部品実装作業が行われるため、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
このように、本発明に係る実装条件決定方法によれば、部品実装機が複数の搬送レーンを備える生産ラインにおいて、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
以上、本発明に係る実装条件決定方法について、上記実施の形態およびその変形例を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本実施の形態では、実装基板決定部105aは、ツール共通度が第一閾値よりも小さくて、かつ第二閾値以上である場合に、図12Bに示されるように、部品実装機MC1の装着ヘッド213a、213bは基板23aのみに、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bは基板23bのみに部品を実装することとした。しかし、装着ヘッド213a、213bの基板への部品実装動作は、図12Bに示された場合のみに限定されない。
図17は、図12Bに示した装着ヘッド213a、213bの基板への部品実装動作の他の例を説明する図である。
同図に示すように、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。そして、部品実装機MC1の装着ヘッド213a、213bは搬送レーン217上のみを搬送される基板23aに部品員数48ずつの部品を実装する。また、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bは搬送レーン217上のみを搬送される基板23aに部品員数2ずつの部品を実装し、基板23bに部品員数40ずつの部品を実装する。
これにより、図12Bに示された場合と比較して、例えば部品実装機MC1の装着ヘッド213bの部品実装動作の回数は、1回減少して6回となる。また、部品実装機MC2の装着ヘッド213bの部品実装動作の回数は、1回増加して6回となる。したがって、部品実装機MC1と部品実装機MC2ともに、部品実装動作の回数が6回となり、部品実装時間の均等化を図ることができる。
このようにして、2つの装着ヘッド213a、213bが1つの搬送レーン217上のみを搬送される基板に部品を実装することで、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。なお、部品実装機MC1の装着ヘッド213a、213bが搬送レーン217上のみを搬送される基板23aおよび基板23bに部品を実装してもよい。
図18は、図12Bに示した装着ヘッド213a、213bの基板への部品実装動作のさらに別の例を説明する図である。
同図に示すように、部品実装システム10は、2台の部品実装機200である部品実装機MC1および部品実装機MC2を備えている。そして、部品実装機MC1の装着ヘッド213a、213bは搬送レーン217上のみを搬送される基板23に部品を実装する。また、部品実装機MC2の装着ヘッド213a、213bは搬送レーン215上のみを搬送される基板21に部品を実装する。
このように、搬送レーンごとに異なる種類の基板を搬送することで、図12Bに示されたような、他の種類の基板への実装動作が終了するまでに待つ待ち時間が生じない。このため、スループットが最大になるように、スループットの向上を図ることができる。
また、本実施の形態およびその変形例では、実装基板決定部105aは、ツール共通度が第一閾値以上でないと判断した場合に、第二閾値以上であるか否かを判断して、それぞれの装着ヘッドが部品実装作業を行うべき基板を決定している。しかし、実装基板決定部105aは、ツール共通度が第二閾値以上であるか否かの判断を行わないことにしてもよい。つまり、例えば、実装基板決定部105aは、ツール共通度が第一閾値以上でないと判断した場合に、2つの装着ヘッドが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装する交互打ちで部品実装作業を行うことにしてもよい。また、実装基板決定部105aは、ツール共通度が第一閾値以上でないと判断した場合に、1つの装着ヘッドのみが1つの搬送レーン上のみを搬送される基板に部品を実装する独立モードで部品実装作業を行うことにしてもよい。
また、本実施の形態およびその変形例では、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセットの場合、部品カセットの数が第三閾値より大きいと判断すれば、ツール共通度が第一閾値より小さいと算出することとした。しかし、実装基板決定部105aは、ツールが部品カセットの場合のツール共通度を算出し、算出されたツール共通度が第一閾値以上か否かを判断することにしてもよい。ここで、ツールが部品カセットの場合のツール共通度とは、例えば、基板種A及び基板種Bの基板に実装するために必要な全ての部品カセットの数に対する、基板種Aと基板種Bの両方の基板に共通する部品を収納した部品カセットの数の割合である。
また、本実施の形態およびその変形例では、部品実装機200は、2つの搬送レーンを備えることとしたが、搬送レーンは2つでなくとも、3つ以上であってもよい。
また、本実施の形態およびその変形例では、部品実装機200は、2つの基板種の基板に実装することとしたが、基板種は2つでなくとも、3つ以上であってもよい。