JP4979182B2 - ミニチュア模型用水性塗装液塗布具セット及びミニチュア模型用水性塗装液描線の調整方法 - Google Patents
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Description
従って、ミニチュア模型等を収集する愛好家等にあっては、更に自分好みの塗装をして楽しむことができる模型用塗装液、模型用塗装液塗布具及び模型用塗装液描線調整液等の出現が望まれているのが現状である。
(1) 少なくとも水及び色材を含有するミニチュア模型用水性塗装液であって、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂及びポリアクリル酸から選ばれるアルカリ溶解型樹脂を塗装液全量に対して1〜7重量%、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶媒を塗装液全量に対して10〜35重量%、及びアミノメチルプロパノール、アンモニア水、エチレンジアミンであるpH調整剤を含有するミニチュア模型用水性塗装液を充填した、繊維芯又は焼結芯からなるペン先を有するミニチュア模型用水性塗装液塗布具と、前記ミニチュア模型用水性塗装液塗布具を用いてミニチュア模型の非吸収面に描画した固化前の描線を延伸するための、水とアンモニアとを含むpH8〜9.5となるミニチュア模型用水性塗装液描線調整液を充填した、繊維芯又は焼結芯からなるペン先を有する塗布具との組み合わせからなる、ミニチュア模型用水性塗装液塗布具セット。
(2) 少なくとも水及び色材を含有するミニチュア模型用水性塗装液であって、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂及びポリアクリル酸から選ばれるアルカリ溶解型樹脂を塗装液全量に対して1〜7重量%、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶媒を塗装液全量に対して10〜35重量%、及びアミノメチルプロパノール、アンモニア水、エチレンジアミンであるpH調整剤を含有するミニチュア模型用水性塗装液によりミニチュア模型の非吸収面に描画した固化前の描線を、水とアンモニアとを含むpH8〜9.5となるミニチュア模型用水性塗装液描線調整液を用いて、延伸させることを特徴とする、ミニチュア模型用水性塗装液描線の調整方法。
請求項2の発明によれば、ミニチュア模型用水性塗装液で塗布された描線を簡単に延伸することができるミニチュア模型用水性塗装液描線の調整方法が提供される。
本発明の模型用塗装液は、少なくとも水及び色材を含有する模型用塗装液において、アルカリ溶解型樹脂と、20℃における蒸気圧が0.01mmHg以上である水溶性有機溶媒を塗布液全量に対して、10〜35重量%とを含有することを特徴とするものである。
染料としては、例えば、C.I.Acid Black2、同24、同26、同48、同50、同52、同58、同62、エオシン、フォキシン、ウオーターイエロー#6−C、アシッドレッド、ウオーターブルー#105、ブリリアントブルーFCF、ニグロシンNB等の酸性染料、C.I.Direct Black17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、同74、同75等、ダイレクトスカイブルー5B、バイオレットBB等の直接染料、ローダミン、メチルバイオレット等の塩基性染料を挙げることができる。
これらの色材の含有量は、塗装液全量に対して、好ましくは、1〜20重量%とすることが望ましい。
具体的に用いることができるアルカリ溶解型樹脂としては、ジョンクリル61J(スチレン−アクリル酸樹脂)、ジョンクリル62(スチレン−アクリル酸樹脂)、ジョンクリル501(スチレン−マレイン酸樹脂、以上、ジョンソンポリマー社製)、ジョリマーAT−210、ジョリマーAC−10L(以上、ポリアクリル酸、日本純薬工業社製)が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を選択して使用することができる。
このアルカリ溶解型樹脂の含有量が1重量%未満であると、描線の固着性が弱くなり、一方、7重量%を超えると、塗布液の粘度が高くなり、塗布しずらくなるため、好ましくない。
用いることができる上記特性の水溶性有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール(20℃における蒸気圧が0.05mmHg)、プロピレングリコール(20℃における蒸気圧が0.08mmHg)、エチレングリコールモノメチルエーテル(20℃における蒸気圧が6mmHg)、エチレングリコールモノエチルエーテル(20℃における蒸気圧が3.8mmHg)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(20℃における蒸気圧が7.6mmHg)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(20℃における蒸気圧が7.2mmHg)等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を併用することができる。
この特性の水溶性有機溶媒の含有量が10重量%未満であると、描線の乾燥性が早すぎるため、塗布後の延伸が困難となり、一方、35重量%を超えると、描線の乾燥性が遅くなり、好ましくない。
また、上記20℃における蒸気圧が0.01mmHg未満である水溶性有機溶媒、例えば、グリセリンを用いた場合、含有量が5重量%でも非常に乾燥性が悪く、描線が固着しないため、好ましくない。
得られる模型用塗装液は、ミニチュア模型等の塗装用として好適に使用できると共に、塗布性、非吸収面での固着性に優れたものとなる。
図1〜図3は、本発明の模型用塗装液塗布具の各々の実施形態を示す縦断面図又は部分縦断面図である。
本第1実施形態に示す模型用塗装液塗布具Aは、塗布具本体10内に上記構成の模型用塗装液を吸蔵(充填)した繊維束からなる塗装液吸蔵体11と、繊維芯又は焼結芯からなるペン先12とを有し、塗装液吸蔵体11の先端部にはペン先12の後端部12aが接続されて塗装液の供給が行われるタイプの塗布具である。なお、図示符号13は先軸、14は尾栓、15はキャップ体である。
この塗布具Aによれば、ミニチュア模型等の塗装用として好適であると共に、塗布性、描線の延伸、非吸収面での固着性に優れた模型用塗装液塗布具が得られるものとなる。
なお、上記塗布具Aは、所謂中綿式の塗布具としたが、コレクター部材(塗装製液保留体)を備えた直液式の塗布具、または、バルブ機構を備えた塗布具であっても良いものである。
本第2実施形態に示す模型用塗装液塗布具Bは、模型用塗装液を充填したペン先が2つのツインタイプの塗布具となり、2つの描線幅を描画できるものである。
具体的には、塗布具本体20内に上記構成の模型用塗装液を吸蔵(充填)した繊維束からなる塗装液吸蔵体21と、両端に描線幅が太い繊維芯又は焼結芯からなるペン先22、描線幅が細い繊維芯又は焼結芯からなるペン先23とを有し、塗装液吸蔵体11の両端部にはペン先22,23の各後端部が夫々接続されて塗装液の供給が行われるツインタイプの塗布具である。なお、図示符号24及び25は先軸、26及び27はキャップ体である。
この塗布具Bによれば、ミニチュア模型等の塗装用として好適であると共に、塗布性、描線の延伸、非吸収面での固着性に優れると共に、2つの描線幅を描画できる使用性に優れた模型用塗装液塗布具が得られるものとなる。
本第3実施形態に示す模型用塗装液塗布具Cは、2種の模型用塗装液を充填したペン先が2つのツインタイプの塗布具となり、2つの描線幅を描画できるものである。
具体的には、塗布具本体30が中央部の隔壁となる尾栓31により2つの収納室32,33に分割され、各収納室32,33内に上記構成の模型用塗装液を吸蔵(充填)した繊維束からなる各塗装液吸蔵体34,35、本実施形態では、赤色塗装液吸蔵体34,黒色塗装液吸蔵体35と、両端に描線幅が太い繊維芯又は焼結芯からなるペン先36、描線幅が細い繊維芯又は焼結芯からなるペン先37とを有し、各塗装液吸蔵体34,35の両端部にはペン先36,37の各後端部が夫々接続されて各塗装液の供給が行われるツインタイプの塗布具である。なお、図示符号38は先軸、39及び40はキャップ体である。
この塗布具Cによれば、ミニチュア模型等の塗装用として好適であると共に、塗布色が相違する2種の塗装液を塗布できると共に、描線の延伸、非吸収面での固着性に優れ、かつ、塗布色が相違する2つの描線幅を描画できる使用性に優れた模型用塗装液塗布具が得られるものとなる。
本発明の模型用塗装液描線調整液としては、少なくとも塩基性を示す水溶液を含有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、アンモニア水、アミノメチルプロパノールなどの少なくとも塩基性を示す水溶液が挙げられる。
模型用塗装液描線調整液濃度は、pHを8〜9.5となるように調整するのが望ましい。
なお、この模型用塗装液描線調整液には、水の他、任意成分として、防菌剤、界面活性剤、水溶性有機溶媒等を適宜含有してもよい。
本発明の模型用塗装液の塗布、延伸又は除去する塗布具としては、例えば、上記図3の塗布具Cにおいて、収納室32,33内の何れか一方に上記構成の模型用塗装液を吸蔵(充填)した繊維束からなる塗装液吸蔵体34と、他方を上記構成の模型用塗装液描線調整液を吸蔵(充填)した繊維束からなる調製液吸蔵体34とすることにより得られる。
この形態の塗布具によれば、塗布性、非吸収面での固着性に優れた模型用塗装液塗布体と、模型用塗装液で塗布された描線を延伸又は除去することができる描線調整液塗布体とを備えた塗布具が得られるので、一つの塗布具により、模型用塗装液の塗布と塗布された描線を簡単に延伸又は除去することができる使用性に優れた模型用塗装液の塗布、延伸又は除去する塗布具が提供されることとなる。
下記配合組成により、実施例1〜5及び比較例1〜9の模型用塗装液を調製した。なお、配合単位は重量%であり、全量100重量%(以下、同様)である。
(実施例1、黒色模型用塗装液)
水(精製水) 59.7
色材:カーボンブラックMA−100(三菱化学社製) 10.0
アルカリ溶解型樹脂:ジョンクリル61J(ジョンソンポリマー社製) 10.0
アミノメチルプロパノール 0.1
バイオデン−18(防菌剤、大和化学工業社製) 0.2
水溶性有機溶媒:エチレングリコール 20.0
水(精製水) 51.7
色材:Fuji.S.P.RedD.5111(顔料、富士色素社製) 18.0
アルカリ溶解型樹脂:ジョンクリル61J(ジョンソンポリマー社製) 10.0
アミノメチルプロパノール 0.1
バイオデン−18(防菌剤、大和化学工業社製) 0.2
水溶性有機溶媒:エチレングリコール 20.0
水(精製水) 51.7
色材:A−3イエロー(大日精化社製) 18.0
アルカリ溶解型樹脂:ジョンクリル61J(ジョンソンポリマー社製) 10.0
アミノメチルプロパノール 0.1
バイオデン−18(防菌剤、大和化学工業社製) 0.2
水溶性有機溶媒:エチレングリコール 20.0
水(精製水) 32.45
実施例1の黒色塗装液 42.25
アルカリ溶解型樹脂:ジョンクリル61J(ジョンソンポリマー社製) 5.00
水溶性有機溶媒:プロピレングリコール 20.30
実施例1の黒色塗装液 27.59
実施例2の赤色塗装液 34.27
実施例3の黄色塗装液 38.14
上記実施例1〜3の各塗装液において、エチレングリコールを除いて、その分を水(精製水)を加え、それぞれ黒色、赤色、黄色の塗装液を調製した。
(比較例4〜6)
上記実施例1〜3の各塗装液において、エチレングリコールをそれぞれ40.0重量%として、これらの成分を増加させた分の水(精製水)を除いて、それぞれ黒色、赤色、黄色の塗装液を調製した。
上記実施例4に使用している実施例1の黒色塗装液を比較例4の黒色塗装液に代えて灰色塗装液を調製した。
(比較例8)
上記実施例5に使用している実施例1〜3のそれぞれ黒色、赤色、黄色の塗装液を比較例1〜3の黒色、赤色、黄色の塗装液に代えて茶色塗装液を調製した。
(比較例9)
上記実施例5に使用している実施例1〜3のそれぞれ黒色、赤色、黄色の塗装液を比較例4〜6の黒色、赤色、黄色の塗装液に代えて茶色塗装液を調製した。
下記配合組成により、実施例6〜10及び比較例10〜12の模型用塗装液描線調製液(除去液)を調製した。
(実施例6:除去液1、pH8.6)
水(精製水) 99.66
25%アンモニア水 0.04
バイオデン−18(防菌剤、大和化学工業社製、以下同様) 0.20
フロラードFC431(フッ素系界面活性剤、住友3M社製、以下同様) 0.10
水(精製水) 99.65
2−プロパノール 0.01
25%アンモニア水 0.04
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.10
水(精製水) 95.79
25%アンモニア水 4.00
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.01
水(精製水) 98.75
2−プロパノール 1.00
25%アンモニア水 0.04
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.01
水(精製水) 78.79
プロピレングリコール 20.00
25%アンモニア水 1.00
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.01
水(精製水) 99.99
フロラードFC431 0.01
(比較例11:除去液7、pH7.3)
水(精製水) 99.79
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.01
水(精製水) 98.79
2−プロパノール 1.00
バイオデン−18 0.20
フロラードFC431 0.01
上記実施例1〜5及び比較例1〜9の模型用塗装液、並びに、上記実施例6〜10及び比較例10〜12の除去液1〜8を図3に準拠する下記構成のツインタイプの塗布具(PFK−205、三菱鉛筆社製)に充填して、模型用塗装液の塗布、延伸又は除去する塗布具を作製した。なお、ペン先36側が塗装液塗布体であり、ペン先37側が除去液塗布体である。
1.ペン先の構成
ペン先36:ポリアミド(ナイロン)製の繊維束を収束したペン先
ペン先37:ポリエステル製の繊維束を収束したペン先
2.吸蔵体の構成
吸蔵体34及び35:共にポリエステル製の繊維束からなる吸蔵体
これらの結果を下記表1に示す。
塗布3分後を綿棒でなぞり、描線を延伸できることを確認する。
○:描線が固化せず延伸可能。
×:延伸できない。
塗布3時間後に描線を指で触り、指に塗装液がつかないことを確認する。
○:手につかない。
×:てにつく。
塗布24時間後に模型用と総益描線調整液(除去液)をつめたペン先37側で描線をなぞり消去性を観察した。
○:描線を溶解し、消去または延伸させることができる。
×:描線を消去しようとしたが消去できなかった。または、描線が砕けてしまった。
また、本発明範囲となる実施例6〜10の模型用塗布液描線調製液(除去液)は、本発明範囲外となる比較例10〜12の模型用塗布液描線調製液(除去液)に較べ、簡単に消去、延伸できることが判明した。
更に、本発明の実施例1〜5の模型用塗布液及び実施例6〜10の模型用塗布液描線調製液(除去液)が充填された塗布具では、塗布性、非吸収面での固着性に優れた模型用塗装液塗布体と、模型用塗装液で塗布された描線を延伸又は除去することができるので、一つの塗布具により、模型用塗装液の塗布と塗布された描線を簡単に延伸又は除去することができることが判明した。
11 模型用塗装液を充填した吸蔵体
12 ペン先
Claims (2)
- 少なくとも水及び色材を含有するミニチュア模型用水性塗装液であって、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂及びポリアクリル酸から選ばれるアルカリ溶解型樹脂を塗装液全量に対して1〜7重量%、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶媒を塗装液全量に対して10〜35重量%、及びアミノメチルプロパノール、アンモニア水、エチレンジアミンであるpH調整剤を含有するミニチュア模型用水性塗装液を充填した、繊維芯又は焼結芯からなるペン先を有するミニチュア模型用水性塗装液塗布具と、前記ミニチュア模型用水性塗装液塗布具を用いてミニチュア模型の非吸収面に描画した固化前の描線を延伸するための、水とアンモニアとを含むpH8〜9.5となるミニチュア模型用水性塗装液描線調整液を充填した、繊維芯又は焼結芯からなるペン先を有する塗布具との組み合わせからなる、ミニチュア模型用水性塗装液塗布具セット。
- 少なくとも水及び色材を含有するミニチュア模型用水性塗装液であって、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂及びポリアクリル酸から選ばれるアルカリ溶解型樹脂を塗装液全量に対して1〜7重量%、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の水溶性有機溶媒を塗装液全量に対して10〜35重量%、及びアミノメチルプロパノール、アンモニア水、エチレンジアミンであるpH調整剤を含有するミニチュア模型用水性塗装液によりミニチュア模型の非吸収面に描画した固化前の描線を、水とアンモニアとを含むpH8〜9.5となるミニチュア模型用水性塗装液描線調整液を用いて、延伸させることを特徴とする、ミニチュア模型用水性塗装液描線の調整方法。
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