JP2024065290A - 筆記具用水性顔料インキ組成物 - Google Patents

筆記具用水性顔料インキ組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】筆記具のペン先や塗布部の復元性が良好で顔料の分散安定性に優れた水性インキ組成物を提供すること。【解決手段】顔料と、ヒドロキシプロピルセルロースと、非イオン性界面活性剤と、高分子分散剤と、水と、を含んでなり、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下のインキ組成物とした。【選択図】なし

Description

本発明は、筆記具用の水性顔料インキ組成物、特に筆ペン等の筆記具または塗布具に充填して使用したときに、ペン先や塗布部の復元性が良好な水性インキ組成物に関する。
従来、筆ペン等の筆記具に用いられる水性インキには、着色剤として主に水溶性の染料が用いられてきた。染料は、複数色を用いて色合いを調整しやすく、より複雑な色合いに調整する際に使用することができる。しかし、これらの染料インキの筆跡は、耐光性、耐水性が劣り、にじんだり、判読不能になることがあった。特に筆ペンは、近年文字書きだけではなくアート用などに用途が広がり、水彩絵の具などの画材と併用する等の為に耐水性に優れた水性インキが求められている。そこで、近年、これらの物性に優れた顔料を着色剤として使用する試みが行われ、多種の用途に使用されている。また、染料で調整できるような複雑な色合いを顔料でも調整できるよう、複数色の顔料を用いて色調を調整する試みが行われている。
市販の筆ペンのペン先としては、主に、テーパーを有する筆毛を束ねた毛筆タイプや、内部に毛細管構造を施したウレタンやエラストマー等の合成樹脂を、筆に類似する形状に切削・成形されたプラスチック芯タイプであったり、収束させた繊維に接着剤を浸透させり固着し、芯形状に切削・成型した繊維芯タイプなどがある。
筆ペン・塗布具の軸筒の内部にインキを貯蔵する構造としては、主に、インキを含浸させた吸蔵体を軸筒内部に収容した中綿式と、インキを自由状態で直接軸筒内部に収容した直液式と、がある。
中綿式のメリットは、部品点数が少なく比較的安価で、インキが吸蔵体に保持されているためペン先側に過剰に供給されにくく、気圧の変化に影響されにくいためにインキ漏れが発生しにくい点である。中綿式のデメリットは、インキ残量が減少するとともに吐出量低下によるカスレが発生しやすく、インキ残量の確認もしにくい点である。
直液式のメリットは、基本的にインキ残量の確認が可能であり、インキ残量にかかわらずインキ吐出が安定しているためカスレが発生しにくい点である。直液式のデメリットは、例えば気温の上昇に伴いインキの収容空間内の内圧が上昇することにより、自由状態のインキが意図せず収容空間外に流出することで、ペン先への過剰供給によるボテやインキ漏れなどが発生しやすい点である。
インキをペン先に供給する機構としては、軸筒内部に収容したインキを加圧可能なタイプや、インキがペン先に供給される過程で流量を制御可能なタイプなどがある。
インキを加圧可能なタイプとしては、インキを収容する空間を形成している軸筒を可撓性のある比較的軟質な部材で成形することで使用者が軸筒を直接押圧することによりインキを加圧可能としたり、軸筒の先端や後端などに設けたノック機構によりインキを加圧可能としたりする機構がある。
インキを加圧可能なタイプのメリットは、25℃において1.0mPa・s以上50mPa・s未満程度の程度のインキ粘度に対応可能で比較的粒子径の大きい光輝性顔料や白色顔料を含む光輝性インキや隠蔽性インキなどにも対応可能であり、インキ粘度の高くなりやすい樹脂エマルションなどを添加した高耐水性・耐擦過性や紙以外の非吸収面に描画できる特徴のあるインキにも対応でき、また、インキの吐出量を使用者が細かく調整可能な点である。インキを加圧可能なタイプのデメリットは、扱いに習熟が必要であり、初心者には扱いが困難な点である。例えば、十分な吐出量が得られずカスレが発生したり、逆に吐出量が多すぎてボテや裏移りなどが発生したりする。また、軸筒を直接押圧するタイプのデメリットは、携帯に不向きであり輸送中などに軸筒が意図せず押圧されてキャップ内にインキが漏れることでキャップを外した際に汚れが生じることがある点である。そして、ノック機構により加圧可能なタイプのデメリットは、構造が複雑なため高価になりやすく、また一般的に使い切りタイプとなってしまうものであるため、描画用として多色展開されたものでは初心者にはまとめて購入することは負担が大きい点である。
インキの流量を制御可能なタイプとしては、インキの収容空間からペン先までのインキの流路に、毛管力を作用させてインキを一時的に保持可能な機構を配置したものがある。例えば、径方向に延びる棒又は板が流路に沿って櫛歯状に複数配置されることで、各棒又は各板の間に生じた微細な空間に毛管力を作用させる機構や、繊維をランダムに収束させた吸蔵体の繊維間の微細な空間に毛管力を作用させる機構などがある。
インキの流量を制御可能なタイプのメリットは、インキのペン先への過剰な供給を防止できインキの流量をほぼ一定に保てるため、初心者でもカスレやボテが発生しにくく、また、インキ漏れも発生にしくいため携帯性にも優れ、インキの収容形態をカートリッジ式にすることで繰り返しの使用もしやすい点である。インキの流量を制御可能なタイプのデメリットは、インキを一時的に保持可能な機構内にインキが残留してしまうことで、インキの使い切りが困難な点である。
筆ペンに耐水性や耐光性に優れた顔料インキを適用する場合は、インキ粘度が十分に低く抑えられないとペン先からインキが出渋ったり、早書きでかすれるなど安定した吐出が得られない。低粘度で経時的に安定な顔料分散性を得るためには高分子分散剤を使用することが有効であるが、ペン先が乾燥し水分が蒸発した際、筆ペンのペン先は表面積が大きいため、インキに含まれる水分が蒸発しやすく、ペン先で顔料と高分子分散剤が硬い皮膜を形成させ再筆記できなくなってしまうため、顔料インキの高粘度化を防ぎ耐ペン先乾燥性を保持する顔料インキを得るのは困難であった。
上記ペン先耐乾燥性に関しては、ペン先が乾燥してしまった後に、特に軸筒押圧や、ノック機構による加圧により強制的にインキをペン先に供給する機構を持たないインキの流量を制御可能なタイプの筆ペンではキャップを締めてペン本体内の水分をペン先に補給させてインキを再度低粘度化させるしかなく、顔料インキではペン先で顔料とその分散剤が硬い皮膜を形成してしまうと、再筆記できなかったりカスレが生じ、復元性がなくなってしまうことがある。
更に、複数色の顔料で調色したインキでは、顔料それぞれで親水性の度合いが異なるため、ペン先から水分が蒸発すると徐々に表面の親水性が近い同色の顔料同士で凝集し、顔料がまだらに固まってしまい、インキをペン先に補給して再筆記しても色相が変化したり筆跡の色味がまだらになってしまうという問題がある。このような顔料インキをインキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するには、初期のインキ粘度を25℃回転速度60rpmで2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下と非常に低く設定しその粘度でも顔料が経時的に安定に分散されていることが必要であり、このような顔料インキを用いた筆ペンで筆記や描画を行うと流量制御機構やインキ貯蔵部面でインキが減少した分の空気交換が必要なためそれらの部材との適切な濡れ性と低粘度を備えたインキ設計と、複数の顔料が低粘度で経時的に安定な分散性を分散剤や界面活性剤成分にて両立させる必要がある。
特許文献1には蒸気圧0.0001~2.3kPaの水溶性有機溶剤を使用したキャップオフ性能に優れた筆記具用水性顔料インキがマーキングペンに使用できることが記載されているが、酸化チタンと複数の樹脂を含む粘度が10mPa・s以上の比較的高粘度のインキであり、毛筆タイプの筆ペンのようなペン先の表面積が大きい筆ペンでは、キャップオフ性能は多少向上しても、一度ペン先が完全に乾燥してしまうと顔料分散に用いた高分子量酸性ポリマーのアルキロールアンモニウム塩、凝集コントロールに用いたカルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等の樹脂と顔料が硬い皮膜を形成し再筆記できないものであった。耐乾燥性を良くするために前記溶剤の添加量を増やすと筆跡ににじみが生じてしまうものであった。
特許文献2には抱水性油剤と非イオン性界面活性剤を使用した耐ドライアップ性能に優れた筆記具用水性インキが記載されているが、実際に使用されている着色剤は染料であり、着色剤に顔料を用いると抱水性油剤をインキ中で安定化させるための非イオン性界面活性剤が必ずしも顔料を分散させるのに好適な構造や物性を持たないためインキの分散安定性が悪くなり、経時安定性が悪化しインキが高粘度化してしまう。このためペン先が乾燥するとペン先に硬い皮膜を形成し、再びキャップを締めてもペン先に水分が補給されず、再筆記できないものであった。
特許文献3には、高分子凝集剤であるヒドロキシプロピルセルロースと非イオン性界面活性剤を用いて、高分子凝集剤が顔料粒子間のゆるい橋かけ作用により顔料が分離しない顔料分散性に優れたマーキングペン用水性顔料インキが記載されているが、ゆるい橋かけによる作用を奏するには5.0mPa・s以上の粘度が必要であり、インキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するとカスレが発生しやすいものであり、このペン先から水分が蒸発して乾燥すると、顔料の親水度の違いから顔料がペン先でまだらにかたまってしまい、再筆記すると色相が変化したり筆跡の色味がまだらになってしまうものであった。
特許文献4には、酸性顔料と塩基性顔料を使用した複合顔料と、非イオン性界面活性剤と、アニオン性界面活性剤を用いた分散安定性や経時安定性に優れたインキが記載されているが、特定の色には好適な酸性顔料と塩基性顔料があるものの、その他のインキ色では必ずしも条件に合う色相の酸性顔料と塩基性顔料が得られることは少なく汎用性に乏しいものであり、また水溶性樹脂として多糖類を使用することで低剪断速度において粘度を高めて顔料分散性を向上させている。多糖類と高分子分散剤を併用したインキはペン先が乾燥すると被膜が固くなりインキの流量を制御可能なタイプの直液式構造に適用するとキャップを締めてペン先に水分を補給しようとしてもインキが低粘度化しないため、カスレが生じることがあるものであった。
特開2017-119842号公報 特開2021-105110号公報 特開昭58-141256号公報 特開2019-073690号公報
本発明は、筆ペン等に用いられる水性顔料インキ組成物で、ペン先が乾燥してもキャップをして静置することで復元することができ、復元後の筆跡の色相差も小さい筆記具用水性顔料インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも顔料と、ヒドロキシプロピルセルロースと、非イオン性界面活性剤と、高分子分散剤と、水と、を含んでなり、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の比率が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下である筆記具用水性顔料インキ組成物を第一の要旨とし、前記ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下、前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下である筆記具用水性顔料インキ組成物を第二の要旨とし、さらに、前記顔料が、2種類以上の顔料を含む筆記具用水性顔料インキ組成物を第三の要旨とし、前記2種類以上の顔料が、それぞれ異なる色相を持つ水性顔料インキ組成物を第四の要旨とし、前記筆記具用水性顔料インキ組成物の、25℃回転速度60rpmでの粘度が2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることを第五の要旨とし、インキ収容部と、筆穂と、インキ収容部に収容された前記筆記具用水性顔料インキ組成物のインキの流量を制御するための櫛歯状の機構を備えてなる筆ペンを第五の要旨とする。
本発明の水性インキ組成物は、筆ペン等の筆記具または塗布具に充填して使用する。ヒドロキシプロピルセルロースと非イオン性界面活性剤、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、親水基を持ち水と水素結合するため、組み合わせて使用することでペン先が乾燥してもペン先で顔料と高分子分散剤が硬い皮膜を形成するのを防ぎ、水を含んだ薄く柔らかい皮膜を形成させることができ、キャップを締め水分が補給されれば速やかに低粘度のインキに戻り、筆記することができる。
さらに、複数色の顔料を用いて調色しても、ヒドロキシプロピルセルロース、非イオン性界面活性剤、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテル、高分子分散剤が顔料表面の親水性を調整して同色顔料同士での凝集を防止しながらペン先が乾燥した際に顔料と水を均一に含んだ皮膜を形成するため、皮膜内で顔料が不均一に固まることがないためペン先復元時の筆跡の色相変化や色別れが少なくなる。
さらに本発明の水性インキ組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースと非イオン性界面活性剤、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルの界面活性作用のため、くし歯状のインキ保留部材をインキ流量調節体として有した筆記具に用いた場合でも、インキ追従性が良好となる。
顔料としては、着色成分として用いられるものである。使用できる顔料としては、特に限定なく使用可能であり従来の水性インキや油性インキ等に用いられるアゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられ、具体的には、黒色顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、黄色顔料として、C.I.ピグメントイエロー1、同3、同12、同13、同18、同24、同42、同61、同62、同74、同83、同93、同94、同95、同97、同98、同99、同100、同104、同108、同109、同110、同115、同117、同120、同138、同139、同150、同151、同153、同166、同167、同168、同169、同173、同185等、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同5、同9、同12、同13、同16、同17、同18、同22、同23、同31、同38、同40、同41、同42、同48:1、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同114、同122、同123、同144、同146、同149、同150、同151、同166、同168、同170、同171、同175、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同193、同194、同206、同207、同209、同213、同216、同243、同245、同254、同258等、その他の顔料として、C.I.ピグメントオレンジ5、同10、同13、同16、同34、同36、同40、同43、C.I.ピグメントブルー15、同15:3、同15:6、C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同31、同33、同36、同38、同50等が挙げられる。
また、水性媒体に顔料を分散した水性顔料ベースを用いることもできる。
具体的には、高分子分散剤で分散させた顔料ベースとして、FUJI SP BLACK 8065、FUJI SP BACK 8175、FUJI SP BLACK 8119、FUJI SP BLACK 8167、FUJI SP BACK 8208、FUJI SP BACK 8231、FUJI SP BLACK 8381、FUJI SP BLACK 8406、FUJI SP BACK 8500、FUJI SP BACK 8871、FUJI SP RED 5220、FUJI SP RED 5530、FUJI SP RED 5709、FUJI SP RED 5721、FUJI SP BLUE 6402、FUJI SP BLUE 6666、FUJI SP GREEN 7275、FUJI SP GREEN 7433、FUJI SP GREEN 7426、FUJI SP YELLOW 4178、FUJI SP YELLOW 4198、FUJI SP YELLOW 4427F、FUJI SP YELLOW 4439、FUJI SP YELLOW 4439F、FUJI SP YELLOW 4449、FUJI SP YELLOW 4470、FUJI SP YELLOW 4471、FUJI SP VIOLET 9583、FUJI SP VIOLET 9626、FUJI SP PINK 9524、FUJI SP PINK 9527、FUJI SP ORANGE 534、FUJI SP ORANGE 606、FUJI SP ORANGE 674(以上、冨士色素株式会社製)、WA-Hカラーブラック、WA-Hカラーブラック03(以上、大日精化工業株式会社製)、DWB-B810KA BLACK、NSP-WG662A BLUE、NSP-WG701A VIOLET(以上、日弘ビックス株式会社製)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤で分散した顔料ベースとしては、FUJI SP BLACK 8041、FUJI SP RED 5653、FUJI SP RED 5657、FUJI SP YELLOW 4341、FUJI SP YELLOW 4360、FUJI SP YELLOW 4459、FUJI SP URANGE 632、FUJI SP URANGE 636、FUJI SP BLUE 6474、FUJI SP BLUE 6555、FUJI SP VIOLET 9623(以上、冨士色素株式会社製)が挙げられる。
他には、陰イオン性の界面活性剤や陽イオン性の界面活性剤で分散した顔料ベース、プラスチックに染料で着色して顔料化した疑似顔料等を使用することもできる。
顔料は、水性インキ組成物全量に対して0.1重量%以上25.0重量%以下が好ましい。これらの顔料は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。特に、前記顔料がそれぞれ異なる色相を持つ2種以上の顔料を用いて赤褐色のインキを作る際は、黒色顔料としてカーボンブラック、赤色顔料としてピグメントレッド254、黄色顔料としてピグメントイエロー74を組み合わせ、調整して作ると、ペン先復元時の筆跡が色別れしにくく、鮮やかな色になるため好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースは、具体的には、HPC-SSL(2%水溶液20℃の粘度2.0~2.8mPa・s、平均分子量約40,000)、HPC-SL(2%水溶液20℃の粘度3.0~5.9mPa・s、平均分子量約100,000)、HPC-L(2%水溶液20℃の粘度6.0~10.0mPa・s、平均分子量約140,000)、HPC-M(2%水溶液20℃の粘度150~400mPa・s、平均分子量約620,000)、HPC-H(2%水溶液20℃の粘度1000~4000mPa・s、平均分子量約910,000)(以上、日本曹達株式会社製)、Klucel E(10%水溶液25℃の粘度250~800、平均分子量80,000)、Klucel L(5%水溶液25℃の粘度65~175、平均分子量95,000)、Klucel J(2%水溶液25℃の粘度125~450、平均分子量140,000)、Klucel G(2%水溶液25℃の粘度125~400、平均分子量370,000)、Klucel M(2%水溶液25℃の粘度3,500~7,500、平均分子量850,000)、Klucel H(1%水溶液25℃の粘度1,275~3,500、平均分子量1,150,000)(以上、アイエスピー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。特に、平均分子量が40,000~80,000のヒドロキシプロピルセルロースは、添加してもインキを増粘させにくいため、櫛歯状のインキ供給機構を備えてなる筆記具に好適に使用できる。
ヒドロキシプロピルセルロースの添加量は、0.1重量%以上1.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上0.5重量%以下であるとさらに好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースは水溶性と溶剤への溶解性がともに良好でペン先で水分が減少し相対的に溶剤の濃度が上昇することによるインキの粘度上昇への影響が非常に小さい。このため溶剤への溶解性がほとんどない多糖類などと比べてペン先復元後の再筆記時において筆跡のカスレがない良好な吐出性が得られる。また、類似構造の親水性のカルボキシル基を含有するセルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロース等より親水基と疎水基のバランスがよく、疎水基部分により複数顔料が同色ごとに凝集するのを防ぐ効果があり、また非イオン性界面活性剤を併用することにより高分子分散剤を柔らかく再溶解性の高い皮膜にすることができるため、低粘度でも顔料分散安定性が高く、ペン先の復元性に優れたインキ組成物となる。
非イオン性界面活性剤は、従来公知のものが特に限定なく使用することができる。具体的には、NIKKOL BB-5(ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル、HLB 7.0)、同BB-10(ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、HLB 10.0)、同BB-20(ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、HLB 16.5)、同BB-30(ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、HLB 18.0)、同BC-2(ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、HLB 8.0)、同BC-5.5(ポリオキシエチレン(6)セチルエーテル、HLB 10.5)、同BC-7(ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル)、同BC-10(ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル)、同BC-15(ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル)、同BC-20(ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、HLB 17.0)、同BC-23(ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、HLB 18.0)、同BC-25(ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル、HLB 18.5)、同BC-30(ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル、HLB 19.5)、同BC-40(ポリオキシエチレン(40)セチルエーテル、HLB 20.0)、同BL-2(ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、HLB 9.5)、同BL-4.2(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、HLB 11.5)、同BL-9EX(ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、HLB 14.5)、同BL-21(ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、HLB 19.0)、同BL-25(ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル、HLB 19.5)、同BO-2V(ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、HLB 7.5)、同BO-7V(ポリオキシエチレン(7)オレイルエーテル、HLB 10.5)、同BO-10V(ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、HLB 14.5)、同BO-15V(ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル)、同BO-20V(ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、HLB 17.0)、同BO-50V(ポリオキシエチレン(50)オレイルエーテル、HLB 18.0)、同BS-2(ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、HLB 8.0)、同BS-4(ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、HLB 9.0)、同BS-20(ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、HLB 18.0)、同BT-3(ポリオキシエチレン(3)アルキル(12~14)エーテル、HLB 8.0)、同BT-5(ポリオキシエチレン(5)アルキル(12~14)エーテル、HLB 10.5)、同BT-7(ポリオキシエチレン(7)アルキル(12~14)エーテル、HLB 12.0)、同BT-9(ポリオキシエチレン(9)アルキル(12~14)エーテル、HLB 13.5)、同BT-12(ポリオキシエチレン(12)アルキル(12~14)エーテル、HLB 14.5)(以上、日光ケミカルズ(株)製)、エマルゲン120(ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、HLB 15.3)、同123P(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、HLB 16.9)、同130K(ポリオキシエチレン(41)ラウリルエーテル、HLB 18.1)、同147(ポリオキシエチレン(19)ラウリルエーテル、HLB 16.3)、同150(ポリオキシエチレン(47)ラウリルエーテル、HLB 18.4)、同210P(ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、HLB 10.7)、同220(ポリオキシエチレン(13)セチルエーテル、HLB 14.2)、同350(ポリオキシエチレン(50)ステアリルエーテル、HLB 17.8)、同430(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル、HLB 16.2)、同4085(ポリオキシエチレン(85)モノテトラデシルエーテル、HLB 18.9)、同2025G(ポリオキシエチレン(25)オクチルドデシルエーテル、HLB 15.7)(以上、花王(株)製)、ノイゲンTDS-30(HLB 8.0)、同TDS-50(HLB 10.5)、同TDS-70(HLB 12.1)、同TDS-80(HLB 13.3)、同TDS-100(HLB 13.8)、同TDS-50(HLB 10.5)、同TDS-120(HLB 14.8)、同TDS-50(HLB 10.5)、同TDS-200D(HLB 16.3)、同TDS-500F(HLB 18.3)、同SD-30(HLB 10.1)、同SD-60(HLB 12.3)、同SD-70(HLB 13.2)、同SD-80(HLB 14.3)、同SD-110(HLB 15.5)、同SD-150(HLB 16.5)、DKS NL-15(HLB 5.0)、同NL-30(HLB 8.1)同NL-40(HLB 9.5)、同NL-40(HLB 9.5)、同NL-50(HLB 10.6)、同NL-60(HLB 11.5)、同NL-70(HLB 12.2)、同NL-80(HLB 12.9)、同NL-90(HLB 13.4)、同NL-100(HLB 13.8)、同NL-110(HLB 14.3)、同NL-180(HLB 16.1)、同NL-250(HLB 17.0)、同NL-450F(HLB 18.2)、同NL-600F(HLB 18.6)、ノイゲンET-83(HLB 6.4)、同ET-102(HLB 10.8)、同ET-160(HLB 15.0)、同ET-170(HLB 15.8)、同ET-190(HLB 16.5)、同ET-65(HLB 7.9)、同ET-95(HLB 10.5)、同ET-115(HLB 12.1)、同ET-135(HLB 13.3)、同ET-165(HLB 14.5)、ノイゲンP(HLB 14)(以上、第一工業製薬(株)製)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル、NIKKOL PBC-31(ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、HLB 9.5)、同PBC-33(ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、HLB 10.5)、同PBC-34(ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、HLB 16.5)、同PBC-44(ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、HLB 12.5)(以上、日光ケミカルズ(株)製)などのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、NIKKOL MYS-25(モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25エチレンオキサイド)、HLB 15.0)(日光ケミカルズ(株)製)などのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、NIKKOL TL-10(モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、HLB 17.0)(日光ケミカルズ(株)製)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、NIKKOL HCO-80(ポリオキシエチレン(80)水添加硬化ヒマシ油、HLB15.0)(日光ケミカルズ(株)製)などのポリオキシエチレン水添加硬化ヒマシ油、NIKKOL Decaglyn 1-L(モノラウリン酸デカグリセリル、HLB 15.5)(日光ケミカルズ(株)製)のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤は特に、HLBが10以上16以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルであるとインキのにじみや色沈みが少なく、インキが起泡しにくい、また表面張力が下がりすぎずにペン先からのインキ漏れも発生しにくく、ペン先が乾燥した際に形成する皮膜に顔料と水を均一に含み、ペン先復元時に筆跡が色別れすることを防ぐ為好ましい。
非イオン性界面活性剤の添加量は、0.1重量%以上3.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上0.5重量%以下であるとペン先の復元性に優れ、インキのにじみが小さく良好な発色性が得られるためさらに好ましい。
前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下であると、ペン先乾燥時に形成される皮膜が水を含んだ薄く柔らかい皮膜を形成させるためペン先が乾燥しても押圧等が不要でキャップによる密閉と静置で復元することができる。また、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上1.50倍以下であると低粘度インキの泡立ちが抑えられ、静置中に水分が速やかに十分供給されペン先の回復が早く更に好ましい。
高分子分散剤としては、水溶性樹脂及び/またはその塩、樹脂エマルジョン、樹脂ディスパージョン等が使用できる。例えば、セラック、スチレン-マレイン酸共重合体及び/またはその塩、スチレン-アクリル酸共重合体及び/またはその塩、α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体及び/またはその塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン-インデン樹脂、ロジン系樹脂、ウレタン樹脂、エチレン―酢酸ビニル樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物などが挙げられる。
水溶性樹脂の高分子分散剤としては、JONCRYL 52J、同PDX-6157、同60J、同63J、同70J、同JDX-6180、同HPD-196、同HPD-96J、同PDX-6137A、同6610、同JDX-6500、同PDX-6102B(以上、BASF製(独国))、Sumirez Resin 402K(田岡化学(株)製)、アラスター703S(荒川化学(株)製)などが挙げられる。
アクリル樹脂エマルジョンとしては、FK-64S、FK-471、FK-474、FK-285、FK-6100、モビニール952B(以上、ジャパンコーティングレジン(株)製)、ビニゾール1637、同1117、同1008、同1606A、同911(以上、大同化成工業(株)製)、ジョンクリルHPD-196、同HPD-96J、同7100、同711、同PDX-7341、同352D、同PDX-7164、同PDX-7430(以上、BASF製(独国))などが挙げられる。
ウレタン樹脂エマルジョンとしては、エバファノールHA-50C、同HA170(以上、日華化学(株)製)のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルションや、アクリットWEM―202U、同WEM-321U(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ネオステッカー400、同700(以上、日華化学(株)製)ユーコートUWS-145(三洋化成工業(株)製)のポリエステル系ウレタン樹脂エマルションや、パーマリンUA-200(三洋化成工業(株)製)、アクリットWBR―016U(大成ファインケミカル(株)製)のポリエーテル系ウレタン樹脂エマルジョンなどが挙げられる。
オレフィン樹脂ディスパージョンとしては、ザイクセンA、同L、同H(以上、住友精化(株)製)などが挙げられる。
これら水溶性樹脂及び/またはその塩、樹脂エマルジョンや樹脂ディスパージョンの添加量は、固形分で1.0重量%以上5.0重量%以下に調整することで、顔料の分散安定性に優れた低粘度インキでありながら、ヒドロキシプロピルセルロースと非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用することでペン先の乾燥性や復元性に影響することなく、ペン先復元時の色相変化や色別れになることを防ぐことができる。また、これらの水溶性樹脂及び/またはその塩、樹脂エマルジョンや樹脂ディスパージョンは、単独、あるいは2種類以上混合して使用しても良い。
有機溶剤は従来公知のものが特に限定なく使用可能であり、具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、3-メチル―1,3-ブタンジオール、チオジエチレングリコール、グリセリン、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテルなどのグリコールエーテル類、ベンジルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコールなどのアルコール系溶剤や、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
これらの有機溶剤の含有量は、インキ組成物全量に対し3.0重量%以上50.0重量%以下が好ましい。これらの有機溶剤は、単独あるいは2種類以上混合して使用しても良い。
筆記部でのインキ乾燥防止の目的で従来公知の湿潤剤を併用することが可能である。尿素、エチレン尿素、チオ尿素、ソルビトール、ソルビタンなどを必要に応じて使用可能である。これらの湿潤剤は、単独あるいは混合して使用することができる。その使用量はインキ組成物全量に対して5.0重量%以上20.0重量%以下が使用できる。これらの湿潤剤のなかでも、ペン先乾燥性と筆穂の復元性や、析出物抑制の観点からグリセリン、エチレングリコール、尿素、エチレン尿素を組み合わせることが好ましく、さらに尿素とエチレン尿素とグリセリンを組み合わせることで筆穂の湿潤性を担保しつつ、筆跡がにじみにくい水性インキ組成物を得ることができる。
黴の発生を防止するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーボネイト、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体、オマジン系などの防腐防黴剤を適宜加えることもでき、単独、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。
さらに、ベンゾトリアゾールなどの防錆剤、シリコーン系エマルジョン等の消泡剤、アスコルビン酸、ハイドロキノンスルホン酸塩などの脱気泡剤、陰イオン性の界面活性剤、陽イオン性の界面活性剤といった種々の添加剤を必要に応じて使用することもできる。
インキ組成物の粘度は、前記ヒドロキシプロピルセルロースや非イオン性界面活性剤などの添加量で調整することができ、粘度を25℃回転速度60rpmで2.0mPa・s以上10.0mPa・s以下に調整することが好ましく、2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下に調整することが更に好ましい。
インキ組成物のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールなどの塩基性物質や、従来公知の酸性物質などのpH調整剤を使用することで調整でき、これらのpH調整剤により、pHを6.0以上10.0以下に調整することで、顔料経時分散安定性がさらに向上する。
インキ組成物の表面張力は、前記非イオン性界面活性剤などの添加量で調整することができ、表面張力を30mN/m以上45mN/m以下に調整することで、インキ筆記部への浸透が早くなり、かすれることなく筆記することができ、また筆記部からのインキ漏れを防ぐことができる。
水性インキ組成物の製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、ホモミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ホモディスパー、ニーダー等の装置を使用して作ることが出来る。濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気体を除いても良い。製造時に加熱や冷却や加圧や減圧や不活性ガス置換をしても良い。動力は電気でも加圧空気でも良い。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
本発明の水性インキ組成物は、どのような筆記具にも用いることができ、たとえば、繊維収束体などのインキ吸蔵体にインキ組成物を含浸させたり、中空のインキ収容管内に直接インキ組成物を収容したものや、筆記部として、合成樹脂製や金属製のボールホルダーに筆記部材としてのボールを回転可能に抱持したボールペン、筆穂を使用した筆ペン、樹脂製又は金属製の管内やスリットの隙間をインキ組成物が通過するようになした万年筆などで使用することができ、好適な使用形態の一例としてマーキングペンインキが挙げられる。マーキングペンとは繊維束、焼結体またはプラスチックよりなるペン先を有すると共に、外装内にフェルトや繊維束からなる所謂中綿にインキを含浸させてなるインキ貯蔵手段を備え、このようなインキ貯蔵手段からペン先に毛細管現象を利用してインキを供給し、筆記を可能とする中綿式構造と、筒状のインキ収容管または外装内にインキをそのまま、直接に貯蔵し、このインキを各種方法でペン先に供給するようにした直液式構造を持つフェルトペンやサインペンなどと称される筆記具である。
特にインキ組成物の粘度を25℃において2.0mPa・s以上5.0mPa・s未満とし、pHが6.0以上10.0以下でありかつ表面張力が30mN/m以上45mN/m以下に調整したインキ組成物は、先端をテーパー加工した合成樹脂製の筆毛を用いて筆穂径がφ2.0mm~φ5.0mmになるように長手方向に収束し、筆毛の後端を熱溶着することで筆穂を形成し、その筆穂の外周を固定部材により挿入固定し、筆穂の溶着部中心にはインキを導通させる為の穴を設け、その穴には毛細管作用によりインキを導通するための中継芯を挿入し、中継芯はインキを一時的に保持可能な、くし溝構造からなるインキ保持部から交換可能なカートリッジタイプの直液式インキ収容体まで連通し、インキの収容空間から筆穂までのインキの流量に毛細管を作用させて筆穂に供給される過程で流量を制御可能であり、筆穂へのインキを供給可能な筆ペンに使用すると経時安定性や吐出の安定性から特に好適である。
以下に、実施例および比較例を示すが、本発明を何ら制限するものではない。
Figure 2024065290000001
Figure 2024065290000002
Figure 2024065290000003
Figure 2024065290000004
Figure 2024065290000005
実施例1のインキ組成物は、以下のようにして作成した。
イオン交換水にヒドロキシプロピルセルロースを加え、常温でプロペラ撹拌機で1時間攪拌し、溶解を確認し、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を作成した。そこへ各非イオン性界面活性剤、溶剤、添加剤を加え、常温でプロペラ撹拌機で1時間攪拌し、溶解を確認したあと、顔料高分子分散体を加え、常温でプロペラ撹拌機で1時間攪拌して、粘度4.06mPa・sの赤褐色の水性顔料インキ組成物を得た。
実施例2~10および比較例1~15のインキ組成物は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1~表5において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で水性顔料インキ組成物を得た。
表に示した各材料は下記のものを使用した。
黒色顔料高分子分散体(1):FUJI SP BLACK 8175 (カーボンブラック 20.00重量%、高分子分散剤 5.00%重量、冨士色素(株)製)
黒色顔料高分子分散体(2):WA-Hカラーブラック03(カーボンブラック 15.00重量%、高分子分散剤 3.00重量%、大日精化工業(株)製)
黒色顔料界面活性剤分散体(1):FUJI SP BLACK 8041(ピグメントブラック7 20.00重量%、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル 5.0重量%、富士色素(株)製)
赤色顔料高分子分散体(1):FUJI SP RED 5709(ピグメントレッド254 16.00重量%、高分子分散剤 5.00重量%、冨士色素(株)製)
赤色顔料界面活性剤分散体(1):FUJI SP RED 5653(ピグメントオレンジ38 15.00重量%、ピグメントレッド213 5.00重量%、非イオン性界面活性剤 5.0重量%、富士色素(株)製)
黄色顔料高分子分散体(1):FUJI SP YELLOW 4471(ピグメントエロー74 16.00重量%、高分子分散剤 3.00%、冨士色素(株)製)
黄色顔料高分子分散体(2):FUJI SP YELLOW 4439(ピグメントエロー74 16.00重量%、高分子分散剤 3.00%、冨士色素(株)製)
黄色顔料界面活性剤分散体(1):FUJI SP YELLOW 4341(ピグメントエロー83 30.0重量%、非イオン性界面活性剤 7.5%、富士色素(株)製)
ヒドロキシプロピルセルロース(1):HPC-SSL(2%水溶液20℃の粘度2.0~2.8mPa・s、平均分子量約40,000、日本曹達(株)製)
カルボキシメチルセルロース(10%水溶液)(1):F-907A(第一工業製薬(株)製)
キサンタンガム(1):ケルザンAR(三晶(株)製)
非イオン性界面活性剤(1):ノイゲンP(ポリオキシエチレンアルキルエーテル 25.00%、HLB 14、第一工業製薬(株)製)
非イオン性界面活性剤(2):ノイゲンTDS-50(ポリオキシエチレントリデシルエーテル 100%、HLB 10.5、第一工業製薬(株)製)
非イオン性界面活性剤(3):ノイゲンSD-80(ポリオキシエチレンイソデシルエーテル 100%、HLB 14.3、第一工業製薬(株)製)
非イオン性界面活性剤(4):PBC-44(ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル 100%、HLB 12.5、日光ケミカルズ(株)製)
非イオン性界面活性剤(5):DKS NL-450F(ポリオキシエチレンラウリルエーテル 100%、HLB 18.2、第一工業製薬(株)製)
水溶性樹脂(1):JONCRYL PDX6137A(不揮発分 28.0%、BASF社製(独国))
エチレングリコール(日本アルコール販売(株)製)
グリセリン(ミヨシ油脂(株)製)
防腐剤(1):PROXEL GXL(S)(1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、ロンザジャパン社製)
防腐剤(2):サンアイバックソジウムオマジン(ナトリウムオマジン、三愛石油(株)製)
尿素(三井化学(株)製)
エチレン尿素(関東化学(株)製)
ベンゾトリアゾール(E-CHEM ENTERPRISE CORP.製)
上記実施例1~10および比較例1~15で得られた水性顔料インキ組成物を、ポリプロピレン製の筒に低密度ポリエチレン(LDPE)製の蓋を超音波溶着させてできたインキ収容部(ぺんてる(株)製携帯ぺんてる筆用カートリッジFP-10)に充填し、インキの収容空間から筆穂までのインキの流路に毛細管によりインキを導通するためのポリエチレンテレフタレート製の繊維と硬化性樹脂による収束体とする中継芯を配し、インキを一時的に保持可能なABS製のくし溝構造を持ち、インキの保持力の向上のために親水性処理の表面処理を施したインキ保持部を持ち、塗布部にはナイロン製の繊維からなる筆毛を収束した毛筆タイプの筆穂を持つことで、インキの収容空間から筆穂までのインキが筆穂に供給される過程で流量を制御可能である筆ペン(ぺんてる(株)製携帯ぺんてる筆GFKP)に装着して、水平方向にして静置し、筆穂にインキ組成物を十分に浸透させ、筆記用サンプルとして確認試験を行った。
ペン先復元性試験
筆記用サンプルの筆穂にインキ組成物を十分に浸透させた状態で、2cm角の大きさで「永」の字を5回筆記した後、キャップを取り外して温度20±5度、湿度65±5%の雰囲気中に水平方向で5時間放置し、筆穂を乾燥させ、キャップをしてさらに同雰囲気中に24時間水性に放置した後、筆記を行う。筆跡かすれがないものを〇、書き出しがかすれるがその後かすれないものを△、かすれが復元しないものを×とする。
ペン先復元時の筆跡の色相差試験
上記ペン先復元性試験において、ペン先を乾燥させる前に筆記した筆跡と、ペン先復元性試験後に筆記した筆跡を、それぞれパーソナル画質評価装置PIAS2(クオリティ・エンジニアリング・アソシエイツ社製)にて色度Labを測定し、乾燥前と復元後の色相差ΔHを算出した。
色相差ΔHが0以上2.5未満のものを〇、2.5以上5.0未満のものを△、5.0以上のものを×とする。
ペン先復元時の筆跡の色別れ試験
上記ペン先復元性試験において、ペン先復元性試験後に筆記した筆跡の色別れを目視で確認する。
筆跡の色が色別れしないものを〇、書き出しが色別れするがその後色別れしないものを△、筆跡が色別れしまだらになって復元しないものを×とする。
インキ追従性試験
筆記用サンプルの筆穂にインキ組成物を十分に浸透させた状態で、2cm角の大きさで「永」の字を5回筆記した後、機械式筆記距離測定機で、上質紙に筆記速度7センチメートル/秒、筆記荷重5グラム、筆記角度60度で筆記距離測定を行う。100m以上筆記できたものを〇、50m以上筆記できたものを△、50m未満だったものを×とする。
インキ粘度測定方法
東機産業(株)製B形粘度計(B2型、BLローター、60rpm、温度25℃、時間180秒)を用いて、測定を行った。
本発明のインキ組成物は、マーキングペン(サインペン)、ボールペン、万年筆、筆ペン、カリグラフィー用のペンなどの各種筆記具に用いることができ、該インキ組成物はが収容されてなる筆記具は、ペン先復元性に優れ、ペン先乾燥前の筆跡とペン先復元後の筆跡の色相差が小さく、筆跡がまだらにならない、滑らかな書き味を有し、発色良好で滲みにくく優れた耐水性を有する筆跡をもたらすなど、筆記具として優れたものである。
特に筆ペンとしては、直接押圧することでインキを加圧可能としている直液式のインキ収容部と毛筆タイプの塗布部を備えたものや、インキを含浸させた吸蔵体を軸筒の内部に収容した中綿式のインキ収容部と、合成樹脂を筆に類似する形状に切削、成形されたプラスチック芯タイプの塗布部を備えたものや、中綿式インキ収容部から毛細管によりインキを導通する中継芯を配し、毛筆タイプの塗布部にインキを供給する機構を備えたもの等で好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。

Claims (6)

  1. 顔料と、ヒドロキシプロピルセルロースと、非イオン性界面活性剤と、高分子分散剤と、水と、を含んでなり、前記ヒドロキシプロピルセルロースに対する、前記非イオン性界面活性剤の量が、質量基準で0.40倍以上2.50倍以下であることを特徴とする、筆記具用水性顔料インキ組成物。
  2. 前記ヒドロキシプロピルセルロースの含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下、前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.2重量%以上0.5重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
  3. 前記顔料が、2種類以上の顔料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
  4. 前記2種類以上の顔料が、それぞれ異なる色相を持つことを特徴とする請求項3に記載の水性顔料インキ組成物。
  5. 25℃回転速度60rpmでの粘度が2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下である、請求項1に記載の筆記具用水性顔料インキ組成物。
  6. インキ収容部と、筆穂と、インキ収容部に収容された請求項1に記載のインキ組成物のインキの流量を制御するための櫛歯状の機構を備えてなる筆ペン。

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