JP2725685B2 - 被覆材組成物 - Google Patents

被覆材組成物

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JP2725685B2
JP2725685B2 JP51278092A JP51278092A JP2725685B2 JP 2725685 B2 JP2725685 B2 JP 2725685B2 JP 51278092 A JP51278092 A JP 51278092A JP 51278092 A JP51278092 A JP 51278092A JP 2725685 B2 JP2725685 B2 JP 2725685B2
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polymer
calcium compound
calcium
emulsion
reaction
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正 五味
敦 和田
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YUUHOO KEMIKARU KK
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YUUHOO KEMIKARU KK
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、被覆材組成物に関する。さらに詳しくは、
床の表面に塗布した場合に強靭で光沢に優れた皮膜を形
成することができる、安定な被覆材組成物に関する。
背景技術 木材、コンクリート、ビニルタイル、ラバータイル等
の床に適用する被覆材組成物には、塗布時の良好な作業
性が要求される。また、乾燥後に形成される皮膜が光沢
を有しており、靴によるブラックヒールマークがつき難
く、耐久性に優れている必要もある。これらの性能に加
えて、通常の洗剤による手入れでは光沢を保持し得る程
度の耐洗剤性と、汚れや損傷がひどくなった場合に、物
理的除去ではなく化学的手法により容易に除去される除
去性も要求される。皮膜の耐久性と皮膜の除去性とは互
いに相反する性質であるため、これを両立させて、除去
性に優れ、かつ強靭な皮膜を形成させる試みがなされて
きた。
この目的で、乳化共重合体に多価金属錯体を配合した
被覆材組成物が提案されている(特開昭47−14019号公
報)。しかし、多価金属錯体を配合した組成物を塗布し
乾燥した場合には、錯体に配位子として含まれるアミン
やアンモニアが錯体の分解により揮発して、アミン臭や
アンモニア臭を生じさせるという問題があった。被覆材
組成物に使用される多価金属錯体は、亜鉛、コバルト、
カドミウム、ニッケル、クロム、ジルコニウム、錫、タ
ングステン、アルミニウム等の重金属錯体であり、環境
汚染の観点から好ましいものではない。
被覆材組成物の塗布後のアミン臭を防止する方法とし
て、重合体エマルジョンに酸化亜鉛を分散させる方法が
提案されている(特開昭57−117552号公報)。この方法
は、アクリル系共重合体を含むエマルジョン中に、例え
ば撹拌混合により酸化亜鉛を分散せしめる工程を含み、
それにより安定で、かつ乾燥時にアミン臭がしない被覆
材組成物が得られることを特徴としている。しかし、使
用される亜鉛は重金属であり、環境衛生上好ましくない
ものであった。また、酸化亜鉛が水に極めて不溶性であ
るために、エマルジョン中の重合体油滴中に酸化亜鉛が
移行し難く、エマルジョンを長時間放置すると酸化亜鉛
が沈澱することがあった。
後者の問題点を解決するため、特定の温度下で遷移金
属を重合体と反応させて得られる組成物も提案されてい
る(特開平2−219863号公報)。しかし、使用される金
属が亜鉛等の重金属であり、環境汚染の観点から好まし
いものではない。特開平2−219863号公報には、重金属
以外の金属、例えば2価のアルカリ金属を使用した場合
には交差結合剤としては不適当であることが教示されて
いる。また、特公昭47−15597号公報には、2価のカル
シウム塩として塩化カルシウムまたは酢酸カルシウムを
使用した艶出し用水性組成物が開示されており、これら
のカルシウム化合物を乾燥組成物のカルボキシル基にイ
オン的に交差結合するのに十分な量で使用することが記
載されている。しかし、エマルジョンの油滴内部で重合
体のカルボキシル基にカルシウム化合物を反応させるこ
とは記載されておらず、単に、塗布前に変性のためにカ
ルシウム化合物を添加することが教示されているにすぎ
ない。
本発明は、重金属を含有せず、塗布乾燥時にアンモニ
アやアミン等による臭気がない強靭な皮膜を形成する安
定な被覆材組成物を提供することを目的としている。
発明の開示 本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討し、2価
金属のカルシウムを重合体の交差結合剤として使用する
ことによっても強靭な樹脂皮膜が得られることを見出し
た。さらに具体的には、カルシウム化合物を重合体エマ
ルジョン中で反応させるにあたり、加温下または非加温
下でカルシウム化合物と直接反応させることにより、塗
布乾燥後に強靭な皮膜を形成することができる安定な被
覆材組成物が得られることを見出した。また、塩基を使
用して重合体エマルジョンのpHを調節することにより、
さらに効率的にカルシウム化合物を重合体と反応させる
ことができることを見出した。本発明の方法は、上記の
知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明は、エチレン系不飽和モノマーの重合
により製造された酸価20〜200の重合体を含む重合体エ
マルジョンに、前記重合体の酸価に対して0.05〜0.9化
学当量のカルシウム化合物(錯体を除く)を添加し、前
記重合体のガラス転移温度より高い温度で、前記重合体
とカルシウム化合物とを反応させることを特徴とする、
被覆材組成物の製造方法を提供するものである。
発明を実施するための最良の形態 本発明に使用される重合体は、エチレン系不飽和モノ
マーの重合により製造された重合体である。水に溶解ま
たは分散することができ、かつ酸官能基を有し酸価が20
〜200の範囲のものである限り、いかなる上記の重合体
を使用してもよい。一般には酸性モノマーであるアクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マ
レイン酸、ビニルフェノール等のエチレン系不飽和モノ
マーを全モノマーに対して3〜20重量%で使用して製造
された重合体を使用することができる。上記のモノマー
の他に使用されるモノマーは、用途に応じた諸特性をも
たらす様に適宜当業者により選択されるが、例えばラジ
カル触媒の存在下に軟質重合体若しくは硬質重合体を形
成できる重合性コモノマーを使用することができる。
重合により軟質重合体を与えるコモノマーの例として
は、第一及び第二アルキルアクリレート、第一及び第二
アルキルメタクリレートや飽和モノカルボン酸のビニル
エステル等を挙げることができる。好ましいエチレン系
不飽和化合物としては、アクリレート、イタコネート、
メタクリレートを挙げることができ、好ましいエステル
としては炭素数8個以下のアルキル基を有するエステル
を挙げることができる。
軟質重合体を与えるモノマーとして具体的には、以下
の式:H2C=C(R1)−COOR2(式中、R1は水素またはメ
チル基であり、R1がメチル基であるときR2は炭素原子数
5ないし18の第一または第二アルキル基を示し、R1が水
素であるときR2が炭素原子数が18個以下、好ましくは2
〜8個、特に好ましくは2〜4個のアルキル基を示す)
で示されるモノマーを挙げることができる。さらに具体
的には、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、
イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソ
ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、アミ
ルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチ
ルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレ
ート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、セ
チルアクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタ
デセニルアクリレート、n−アミルメタクリレート、se
c−アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、
2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルブチル
メタクリレート、オクチルメタクリレート、3,5,5−ト
リメチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレー
ト、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレ
ート、及びブトキシエチルアクリレートまたはブトキシ
エチルメタクリレートの様な置換アルキル基を有するモ
ノマーを挙げることができる。さらに軟質重合体を与え
るモノマーとしてエチレン、プロピレン、ブタジエン、
クロロプレン、イソブテン、及びイソプレンを挙げるこ
とができる。
重合により硬質重合体を与える重合性エチレン系不飽
和モノマーとしては、炭素原子数4個以下のアルキル基
を有するアルキルメタクリレート、炭素原子数2個以下
のアルキル基を有するアルキルアクリレート、tert−ア
ミルメタクリレート、tert−ブチル又はtert−アミルア
クリレート、シクロヘキシル、ベンジル、又はイソボル
ニルアクリレート、メタクリレート、アクリロニトリ
ル、またはメタクリロニトリル、スチレン、塩化ビニ
ル、クロロスチレン、酢酸ビニル、およびα−メチルス
チレンを挙げることができる。
より具体的には、以下の式:H2C=C(R3)−X(式
中、R3は水またはメチル基であり、Xはニトリル、フェ
ニル、メチルフェニル、およびエステル生成基、−COOR
4(ただしR4はシクロヘキシル、メチル、エチル、また
は炭素原子数4〜5のtert−アルキルである)、または
R3がメチルであるときには炭素原子数2〜4個のアルキ
ル基を示す)で示されるモノマーを挙げることができ、
さらに具体的にはメチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメ
タクリレート、sec−ブチルメタクリレート、及びtert
−ブチルメタクリレートを挙げることができる。またア
クリルアミドやメタクリルアミドも有用である。
本発明に使用される重合体としては、以上の重合体の
他、ビニルホルメート、ビニルアセテート、ビニルプロ
ピオネート、ビニルブチレート、及びビニルベルジテー
トの様なビニルアルコールのエステルの重合体を挙げる
ことができる。このような重合体の例として、ポリ(ビ
ニルアセテート)およびビニルアセテートと、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、スチレン、ビニルトルエン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、アクリレートまた
はメタクリレートエステル等との共重合体を挙げること
ができる。
これらの重合体は、例えばブロック共重合体、ランダ
ム共重合体、グラフト共重合体、コアーシェル重合体と
して、水若しくは有機溶媒の存在下に、例えば乳化重
合、溶液重合により製造することができる。例えば米国
特許第2,754,280号や同第2,795,564号等に記載された方
法に従って、乳化重合にあたりモノマーを乳化させるこ
とができる。乳化剤としてアニオン系、カチオン系、ま
たはノニオン系の乳化剤を使用することができる。好ま
しくはアニオン系若しくはノニオン系の乳化剤を使用す
ればよい。例えば、アルキルスルホン酸、アリールスル
ホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキル硫酸、
アリール硫酸、及びアルキルアリール硫酸のアルカリ金
属塩、アンモニウム塩やアミン塩等が好適に使用でき
る。これらの乳化剤は、モノマーの全量に対して0.5〜1
0重量%の割合で使用すればよい。重合開始剤として過
硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等のラジカル開始剤
を使用する場合には、これらの重合開始剤を単独で、若
しくは二亜硫酸カリウムやチオ硫酸ナトリウムの様な促
進剤と組合せて使用することができる。これらの重合開
始剤及び促進剤はモノマーの全量に対して通常0.1〜5.0
重量%で使用することができる。また、メルカプタン、
ポリメルカプタン、ポリハロゲン化物を含む連鎖移動剤
を使用してもよい。これらはモノマーの全量に対して通
常0.01〜1.0重量%で使用することができる。
本発明に好適に使用される重合体は、分子量が約10,0
00〜1000,000の共重合体であり、酸価が20〜200、好ま
しくは30〜80の重合体である。これらの重合体は、上記
の様にして水中エマルジョンとして調製することがで
き、通常pHが2〜5の範囲で調製される。2種以上の重
合体を別々に製造して混合した重合体エマルジョンを使
用してもよい。2種以上の重合体を用いる場合には、混
合状態における重合体混合物の酸価が上記の範囲に包含
される限り、いかなる酸価の重合体を組み合わせて用い
てもよい。この様な目的で、酸価が20を下回る重合体と
酸価が200を越える重合体を組み合わせて用いてもよ
い。
本発明の一態様によれば、上記の重合体エマルジョン
に、該重合体の酸価に対して0.05〜0.9化学当量のカル
シウム化合物を添加して反応させる方法が提供される。
カルシウム化合物の例としては、酸化カルシウム、水酸
化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化
カルシウム、またはこれらの混合物等を挙げることがで
きるが、これに限定されることはない。これらのカルシ
ウム化合物のうち、酸化カルシウム、水酸化カルシウ
ム、炭酸カルシウムを用いることが好ましい。また、亜
鉛、コバルト、カドミウム、ニッケル、クロム、ジルコ
ニウム、錫、タングステン、アルミニウム等の金属化合
物または金属錯体化合物を少量組み合わせて用いてもよ
い。上記のカルシウム化合物は市販の粉末状のものを使
用すればよく、好ましくは、粒度が0.2〜0.5ミクロンの
微細グレードのカルシウム化合物を使用すればよい。
本発明の上記の態様に好適に使用される重合体として
は、例えばアクリル−スチレン系共重合体を挙げること
ができる。乳化共重合によるアクリル−スチレン系共重
合体水性エマルジョンの例としては、モノマー成分とし
て(a)α,β−不飽和カルボン酸を5〜15重量%、
(b)メタアクリル酸メチルを20〜40重量%、(c)炭
素原子数2〜8個のアルキル基を有するアクリル酸アル
キルエステルを20〜40重量%、(d)スチレンを5〜30
重量%の割合で用い、当業者に周知の乳化剤及び重合開
始剤を添加して乳化重合により製造したエマルジョンを
挙げることができる。
上記のカルシウム化合物を、該重合体の酸価に対し、
0.05〜0.9化学当量、好ましくは0.3〜0.6化学当量の割
合で用いて、重合体との反応を行うことができる。特定
の理論に拘泥するわけではないが、本発明の方法によれ
ば、重合体油滴中にカルシウム化合物が取り込まれた
後、重合体油滴中で重合体とカルシウム化合物の反応が
進行する。カルシウムイオンの含有量が上記の範囲を下
回ると、得られる皮膜の強靭性が失われることがある。
カルシウムイオンの含有量が上記の範囲を上回ると、製
品安定性やレベリング性に問題が生じることがあるので
好ましくない。上記のカルシウム化合物を重合体エマル
ジョン中に分散させ、カルシウム化合物を重合体と反応
させる方法の例としては、所定量の粉末状カルシウム化
合物を重合体エマルジョンに直接添加して撹拌混合する
方法、カルシウム化合物の水性溶液若しくは水性分散体
を別途製造し、重合体エマルジョンに添加する方法を挙
げることができる。水性溶液若しくは水性分散体は、水
性溶媒にカルシウム化合物を10〜50重量%で添加した
後、撹拌溶解ないしは撹拌分散させて製造すればよい。
撹拌には、ホモミキサー、ニーダー等を使用することが
できる。
上記の反応工程は、カルシウム化合物を添加した重合
体エマルジョンの温度が重合体のガラス転移温度(Tg)
より高い温度となるように維持しつつ行う。好ましく
は、重合体のガラス転移温度(Tg)より5〜40℃程度、
より好ましくは10℃程度高い温度で反応を行う。反応温
度が重合体のガラス転移温度(Tg)より低いとカルシウ
ム化合物がエマルジョン中の重合体油滴に取り込まれ難
く、カルシウム化合物と重合体との反応(架橋反応)が
不十分となり、カルシウム化合物が重合体エマルジョン
中に沈澱することがある。但し、反応温度が重合体エマ
ルジョンの分解温度を上回ると本発明の被覆材組成物の
製造が困難になるので好ましくない。
上記の反応は、均一エマルジョン形態の被覆材組成物
が得られるまで継続して行えばよい。より具体的には、
使用したカルシウム化合物がエマルジョン形態の被覆材
組成物から沈澱しなくなるまで行えばよい。例えば、上
記工程により得られた本発明の被覆材組成物の最低皮膜
形成温度が、カルシウムイオンを含有しない塩基の添加
後の重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度を5℃以
上、好ましくは10℃以上高くなる様に継続して反応を行
うことが好ましい。一般的には、重合体中の酸官能基の
40%以上がカルシウムイオンで架橋された場合に、最低
皮膜形成温度が10℃以上高くなるので、最低皮膜形成温
度を目安として反応を行ってもよい。
本発明の他の態様によれば、上記の方法によりカルシ
ウム化合物と重合体との反応を行うにあたり、重合体エ
マルジョンに塩基を添加して該エマルジョンのpHを4.5
〜9の範囲に調整した後、該重合体の酸価に対して0.05
〜0.9化学当量のカルシウム化合物を反応させる被覆材
組成物の製造方法が提供される。該方法によれば、さら
に効率的にカルシウム化合物と該重合体の反応を行うこ
とができる。
本発明の上記態様に好適に使用される重合体水性エマ
ルジョンの例として、乳化共重合によるアクリル系共重
合体水性エマルジョンを挙げることができる。より具体
的には、モノマー成分として(a)α,β−不飽和カル
ボン酸を6〜10重量%、(b)メタアクリル酸メチルを
50〜74重量%、(c)炭素原子数2〜8個のアルキル基
を有するアクリル酸アルキルエステルを20〜40重量%の
割合で用い、当業者に周知の乳化剤及び重合開始剤を添
加して乳化重合により製造したエマルジョンを用いるこ
とが好ましい。
本発明の上記態様によれば、上記の様にして製造され
た重合体エマルジョンに塩基を添加して、該重合体エマ
ルジョンのpHを4.5〜10、好ましくはpH6〜9、さらに好
ましくはpH7.5〜8.5となる様に調整した後、例えば30分
〜2時間程度撹拌し、その後に該重合体をカルシウム化
合物と反応させる。本発明の方法に使用される塩基の例
としては、アンモニア及びアミンを挙げることができ
る。さらに具体的には、アミンとして、例えばジエチル
アミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン等を使用することができる。こ
れらのうち、ジエチルアミノエタノールを使用すること
が好ましい。
これらの塩基は、重合体エマルジョンの製造過程、す
なわち、重合体の乳化重合過程で添加してもよいが、乳
化重合の完了後の重合体エマルジョンに添加することが
好ましい。例えばアンモニア水を塩基として添加する場
合には、10重量%以下のアンモニアを含むアンモニア水
を用いて、重合体エマルジョンのpHが上記の範囲となる
様に全量を一時に添加するか、若しくは必要量を数回に
分割して添加すればよい。全量を一時に添加する場合に
は、重合体エマルジョンを激しく撹拌しておくことが好
ましい。該塩基は、例えば滴下等の手段により5〜15分
間にわたって添加すればよい。疎水性の強い重合体エマ
ルジョンを使用する場合にはpHを8〜9の範囲にするこ
とが好ましく、親水性の強い重合体エマルジョンを使用
する場合にはpHを4.5〜8の範囲とすることが好まし
い。塩基を添加した後の重合体エマルジョンのpHが10を
越えると、塩基として使用したアンモニアやアミンの臭
気が目立つ様になるので好ましくない。特定の理論に拘
泥するわけではないが、該塩基を添加した後、重合体エ
マルジョンをさらに30分〜2時間撹拌することにより、
エマルジョン中の重合体油滴が膨潤し、重合体の酸官能
基がミセルの表面に配向する。このような酸官能基は、
カルシウム化合物と容易に反応して、重合体のカルボン
酸にカルシウム架橋が形成される。該撹拌操作は、塩基
を添加した後の重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度
が、塩基の添加前の重合体エマルジョンの最低皮膜形成
温度に対して、5℃以上、好ましくは10℃以上低くなる
様に行えばよい。
より少量の塩基を用いて重合体エマルジョンのpHが6.
5を下回る様に調製した場合には、加温下でカルシウム
化合物と重合体を反応させることが好ましい。より多量
の塩基を用いて重合体エマルジョンのpHが7.5を上回る
様に調製した場合には、室温でカルシウム化合物と重合
体を反応させてもよい。
本発明の上記方法により製造される本発明の被覆材組
成物には、上記の成分の他に、公知成分であるパラフィ
ン、モンタン、ポリエチレンワックス等のワックス類;
ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂
等のアルカリ可溶性樹脂;ジブチルフタレート、トリブ
トキシエチルホスフェート等の可塑剤;ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル等の膜形成剤;フッ素系界面活性剤等
を挙げることができる。ワックス、アルカリ可溶性樹脂
成分は重合体に対して約5〜70重量%で使用することが
できる。これらの成分は、重合体エマルジョンに直接混
合するか、水性分散液として、単独で若しくはカルシウ
ム化合物とともに添加される。この様にして製造される
本発明の被覆材組成物は、最終的にpH6〜9の範囲にな
る様に調製されることが好ましい。pHが6を下回ると製
品安定性や塗布後に形成される皮膜のレベリング性が低
下する傾向がある。pHが9を上回ると被覆材組成物の再
塗布性や乾燥時のアンモニア臭やアミン臭が強いので好
ましくない。最終段階における被覆材組成物のpH調節に
は、上述した塩基の他、アルカリ金属水酸化物等の塩
基、または炭酸ガスや酢酸等の酸を使用すればよい。こ
れらのpH調節剤は、カルシウム化合物と重合体との反応
工程中で、若しくは反応終了後に必要量を適宜添加すれ
ばよい。
本発明の被覆材組成物は、重合体含有率が3〜40重量
%、総樹脂含有率が5〜50重量%となる様に製造される
ことが好ましい。本発明の被覆材組成物を使用するに
は、木材、コンクリート、ラバータイル、ビニルタイ
ル、リノリウムタイル等の床面に対して、一回ないしは
複数回重ねて塗布し、最低皮膜形成温度以上の温度で乾
燥すればよい。このような塗布方法により、光沢と耐久
力に優れた樹脂皮膜が得られる。また、形成された皮膜
を除去するにあたっては、アミン、アルカリ金属水酸化
物、キレート剤、界面活性剤等を水に溶解した除去剤を
剥離する被覆面に塗布し、パット等を取り付けた電気ポ
リッシャー等で擦り洗浄することにより容易に皮膜を除
去することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されることはな
い。以下の実施例において「有効成分」とは、各樹脂の
含有率(濃度)を示す(単位:重量%)。
例1:水性アクリル系樹脂の製造 撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒
素導入管を備えた反応陽気に窒素を封入後、脱イオン
水、乳化剤を加え、その後水浴中で60℃まで加温した。
撹拌中に触媒及びモノマーの他、必要に応じて分子量調
節剤(表1参照)を2時間かけて徐々に滴下して重合を
完了させ、有効成分40%のアクリル系樹脂エマルジョン
(A−F)を得た。
例2 以下の表2に示される本発明の被覆材組成物、及び表
3に示される比較組成物を製造した。
(注4)70.4グラムの脱イオン水に3.5グラムの酸化カ
ルシウム及び16.7gの28%アンモニア水を加えて撹拌
し、酸化カルシウムを分散後、9.4gのグリシンを加えグ
リシンカルシウムアンモニア錯体溶液を製造した(カル
シウム含有量:2.5%) (注5)ロームアンドハース社製の低分子量アクリルエ
マルジョン(製品名:プライマルB−644、有効成分42
%) (注6)アライドケミカル社製の低分子量ポリエチレン
ワックス(Ac−392)を東邦化学工業株式会社でノニオ
ン系界面活性剤を用いて乳化したもの(製品名:ハイテ
ックE−4B、有効成分40%) (注7)大日本インキ工業株式会社製のフッソ系界面活
性剤(製品名:メガファックF−812、有効成分15%) 上記の例において、加熱反応は、それぞれの重合体エ
マルジョンのTgより10℃高い温度で3時間撹拌すること
により行った。本発明組成物3は、カルシウム化合物と
重合体の反応を行った後、5%アンモニア水(0.3重量
%)を加えて混合し、その後に他の樹脂成分を添加混合
することにより製造した。比較組成物1は、酸価9.8の
アクリルエマルジョンを単独で用いたものであり、比較
組成物3は、酸価244のアクリルエマルジョンを単独で
用いたものである。比較組成物4は、重合体の酸価に対
して1.0化学当量のカルシウム化合物を用いている。比
較組成物2及び5は、カルシウム化合物を含まない組成
物である。
性能評価 以下の表4及び表5に、上記の組成物の性能評価を示
す。
評価方法 (1)注8〜注15についてはJISK3920及び日本フロアー
ポリッシュ工業会(JFPA)規格に準じて性能評価を行っ
た。
レベリング性:JFPA参考規格(1) 光沢度(%):JISK3920(14)(3回塗りの光沢度を測
定:%) 耐水性:JISK3920(17)(白化現象の有無で評価する) 耐洗剤性 :JISK3920(18) 除去性 :JISK3920(19) 再塗布性 :JFPA参考規格(2) 耐ヒールマーク性:JISK3920(15)(ヒールマークの付
着量を肉眼で観察し順位を決める) (2)注16〜注17については以下の様に性能評価を行っ
た。
耐磨耗性は、JFPA規格−10と同様の作業方法により5
回塗りした試験片を常温下に168時間乾燥放置した後
に、テーバー試験器にて磨耗度を測定して評価した(磨
耗輪:CS−17、200回転、磨耗量単位:mg) 皮膜硬度は、JFPA規格−10と同様の作業方法により5
回塗りした試験片を常温下に168時間乾燥放置した後
に、ヌープ硬度計にて測定した。
本発明組成物1〜7は全ての評価項目で優れた性質を
示し、フロアーポリッシュとしての性能のあらゆる点で
すぐれた被覆材組成物であった。一方、(カルシウム化
合物を含まない非架橋タイプの比較例組成物2及び5で
は、フロアーポリッシュとしての基本性能である耐水
性、耐洗剤性、耐ブラックヒールマーク性、耐磨耗性、
皮膜硬度等の点で性能が劣っていた。また、比較例組成
物3では、フロアーポリッシュとしての基本的性能は一
応満足するものであったが、塗布後のアンモニア臭や光
沢等に問題があった。さらに重合体の酸価に対して1.0
化学当量のカルシウム化合物を架橋した比較例組成物4
は、製品安定性(貯蔵安定性)やレベリング性に劣るも
のであった。
産業上の利用可能性 本発明の被覆材組成物は、長期にわたって安定であ
り、かつ重金属を含有しないので環境汚染の心配がな
い。また、金属錯体を使用しないので塗布乾燥時に錯体
分解によるアンモニア不快臭もない。本発明の被覆材組
成物により得られる乾燥皮膜は、主成分たる重合体にカ
ルシウム架橋がなされているので強靭であり、光沢、レ
ベリング性、除去性等の諸性質にも極めて優れたもので
あるので有用である。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン系不飽和モノマーの重合により製
    造された酸価20〜200の重合体を含む重合体エマルジョ
    ンに、前記重合体の酸価に対して0.05〜0.9化学当量の
    カルシウム化合物(錯体を除く)を添加し、前記重合体
    のガラス転移温度より高い温度で、前記重合体とカルシ
    ウム化合物とを反応させることを特徴とする、被覆材組
    成物の製造方法。
  2. 【請求項2】カルシウム化合物が酸化カルシウム、水酸
    化カルシウム、炭酸カルシウムまたはそれらの混合物か
    ら選ばれる請求の範囲1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】重合体のガラス転移温度より5〜40℃高い
    温度で、前記重合体とカルシウム化合物とを反応させる
    請求の範囲1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】重合体がアクリル−スチレン系共重合体で
    ある請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】重合体の分子量が10,000〜1,000,000の範
    囲である請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】重合体エマルジョンが酸価が20〜200であ
    る2種以上の重合体を含む請求の範囲1〜5のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】重合体エマルジョンに塩基を添加して、こ
    の重合体エマルジョンのpHを4.5〜9の範囲に調整した
    後に、前記重合体とカルシウム化合物との反応を行う請
    求の範囲1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】塩基がアンモニア又はアミンである請求の
    範囲7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】重合体とカルシウム化合物との反応を、生
    成物の最低皮膜形成温度が、カルシウム化合物を含まな
    い反応前の重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度より
    5℃以上高くなるまで行う、請求の範囲1〜8のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】重合体とカルシウム化合物との反応を、
    生成物の最低皮膜形成温度が、カルシウム化合物を含ま
    ない反応前の重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度よ
    り10℃以上高くなるまで行う、請求の範囲9記載の製造
    方法。
  11. 【請求項11】請求の範囲1〜10のいずれか1項に記載
    の製造方法により得ることができる被覆材組成物。
  12. 【請求項12】床用である請求の範囲11記載の被覆材組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005263982A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Mitsubishi Pencil Co Ltd 模型用塗装液、模型用塗装液塗布具及び模型用塗装液描線調整液

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JP2005263982A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Mitsubishi Pencil Co Ltd 模型用塗装液、模型用塗装液塗布具及び模型用塗装液描線調整液

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