JP2802037B2 - 被覆材組成物 - Google Patents

被覆材組成物

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JP2802037B2 JP6206888A JP20688894A JP2802037B2 JP 2802037 B2 JP2802037 B2 JP 2802037B2 JP 6206888 A JP6206888 A JP 6206888A JP 20688894 A JP20688894 A JP 20688894A JP 2802037 B2 JP2802037 B2 JP 2802037B2
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正 五味
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被覆材組成物に関し、さ
らに詳しくは床の表面に塗布した場合に強靱で光沢に優
れた皮膜を形成することができる安定な被覆材組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】木材、コンクリート、ビニルタイル、ラ
バータイル、リノリウムタイル等の床に被覆する被覆材
組成物には、塗布時に良好な作業性を有し、かつ乾燥後
に得られる皮膜が光沢に優れ、歩行時の靴によるブラッ
クヒールマークがつき難く、耐久性に優れたものである
ことが要求される。これらの性能の他に、通常の洗剤に
よる手入れでは光沢を保持し得る耐洗剤性の他、汚れや
損傷がひどくなった場合に、物理的除去ではなく化学的
手法により容易に除去される除去性が必要である。これ
らの相反する性質を両立させて、除去性に優れ、かつ強
靱な皮膜を形成させる目的で、乳化共重合体に多価金属
イオンや多価金属錯体を配合した被覆材組成物が提案さ
れてきた(特開平2−219863号公報、及び特公昭
47−15597号公報)。しかし、多価金属イオンを
重合体エマルジョンに直接添加すると、金属イオンの添
加時にエマルジョンの凝集が起こり易いので、多量の乳
化剤が必要になるという問題があり、多価金属錯体を使
用する場合にも、塗布後に乾燥して錯体が分解する際に
錯体の配位子であるアミンやアンモニアが揮発してアミ
ン臭やアンモニア臭を発生させるという問題があった。
また、これらの被覆材組成物に使用される多価金属は、
亜鉛、コバルト、カドミウム、ニッケル、クロム、ジル
コニウム、錫、タングステン、アルミニウム等の重金属
であり、環境汚染の観点から好ましいものではなかっ
た。
【0003】被覆材組成物を塗布した際のアミン臭を解
決する方法として、重合体エマルジョンに酸化亜鉛を分
散させる方法が提案されている(特開昭57−1175
52号公報)。この方法によれば、アクリル系共重合体
を含むエマルジョン中に、例えば攪拌混合して酸化亜鉛
を分散せしめることにより、安定で、かつ乾燥時にアミ
ン臭がしない被覆材組成物が得られるが、使用される金
属が重金属の亜鉛であり、また酸化亜鉛が水に極めて不
溶性であるためにエマルジョン中の重合体油滴中に酸化
亜鉛が移行し難く、エマルジョンを長時間放置すると酸
化亜鉛が沈澱するという問題があった。後者の問題点を
解決するために、特定の温度下で遷移金属を重合体と反
応させて得られる組成物も提案されているが(特開平2
−219863号公報)、使用される金属は、例えば亜
鉛、アルミニウム、錫、タングステン、ジルコニウム等
の重金属であり、該金属により環境を汚染することが危
惧されていた。また、重金属以外の金属、例えば2価の
アルカリ金属を使用しても交差結合剤としては不適当で
あることが認識されていた(例えば特開平2−2198
63号公報の第536頁右下欄3〜4行参照)。さらに
加温下で亜鉛等の金属を反応させた場合にはエマルジョ
ン油滴間で重合体架橋が形成されてしまい、エマルジョ
ンの安定性を損なうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、重金
属を含有せず、塗布乾燥時にアンモニア臭やアミン臭が
ない強靱な皮膜を形成する安定な被覆材組成物を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検
討した結果、驚くべきことに2価金属のカルシウムを重
合体の交差結合剤として使用し、カルシウム化合物を重
合体エマルジョン中で反応させる前に、重合体エマルジ
ョンのpHを調節することにより効率よくカルシウムを
重合体と反応させることができ、塗布乾燥後に強靭な皮
膜を形成することができる安定な被覆材組成物が得られ
ることを見出し、上記の課題を解決した本発明の被覆材
組成物を完成するに至った。すなわち本発明は、エチレ
ン系不飽和モノマーの重合体を含むエマルジョンからな
る被覆材組成物であって、該重合体の酸価が20〜20
0であり、該重合体の酸官能基に対して0.05〜0.
9化学当量のカルシウム化合物が架橋しており、環境を
汚染する金属が含まれていないことを特徴とする被覆材
組成物を提供するものである。
【0006】本発明に使用される重合体は、エチレン系
不飽和モノマーの重合により製造された重合体であり、
水に溶解または分散することができ、かつ酸官能基を有
し酸価が20〜200の範囲のものであればいかなるも
のを使用してもよい。一般には酸性モノマーであるアク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水
マレイン酸、ビニルフェノール等のエチレン系不飽和モ
ノマーを全モノマーに対して3〜20重量%で使用して
製造された重合体を使用することができる。上記のモノ
マーの他に使用されるモノマーは、用途に応じた諸特性
をもたらす様に適宜当業者により選択されるが、例えば
ラジカル触媒の存在下に軟質重合体若しくは硬質重合体
を形成できる重合性コモノマーを挙げることができる。
【0007】重合により軟質重合体を与えるコモノマー
の例としては、第一及び第二アルキルアクリレート、第
一及び第二アルキルメタクリレートや飽和モノカルボン
酸のビニルエステル等を挙げることができ、好ましいエ
チレン系不飽和化合物としてアクリレート、イタコネー
ト、メタクリレートを挙げることができ、好ましいエス
テルとしては炭素数8個以下のアルキル基を有するもの
を挙げることができる。軟質重合体を与えるモノマーと
して具体的には、以下の式:H2C=C(R1)-COOR2(式中、R
1は水素またはメチル基であり、R1がメチル基であると
きはR2は炭素原子数5ないし18の第一または第二アル
キル基を示し、R1が水素であるときはR2 が炭素原子数が
18個以下、好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜
4個のアルキル基を示す)で示されるモノマーを挙げる
ことができ、さらに具体的には、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブ
チルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミル
アクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、オクチルアクリレート、3,5,5
−トリメチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレー
ト、ドデシルアクリレート、セチルアクリレート、オク
タデシルアクリレート、オクタデセニルアクリレート、
n−アミルメタクリレート、sec−アミルメタクリレ
ート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、オク
チルメタクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシル
メタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタ
クリレート、オクタデシルメタクリレート、及びブトキ
シエチルアクリレートまたはブトキシエチルメタクリレ
ートの様な置換アルキル基を有するものを挙げることが
できる。さらに軟質重合体を与えるモノマーとしてエチ
レン、プロピレン、ブタジエン、クロロプレン、イソブ
テン、及びイソプレンを挙げることができる。
【0008】重合により硬質重合体を与える重合性エチ
レン系不飽和モノマーとしては、炭素原子数4個以下の
アルキル基を有するアルキルメタクリレート、炭素原子
数2個以下のアルキル基を有するアルキルアクリレー
ト、tert−アミルメタクリレート、tert−ブチルまたは
tert−アミルアクリレート、シクロヘキシル、ベンジ
ル、またはイソボルニルアクリレートまたはメタクリレ
ート、アクリロニトリル、またはメタクリロニトリル、
スチレン、塩化ビニル、クロロスチレン、酢酸ビニル、
およびα−メチルスチレンを挙げることができる。より
具体的には、以下の式:H2C=C(R3)-X (式中、R3は水素
またはメチル基であり、Xはニトリル、フェニル、メチ
ルフェニル、およびエステル生成基、−COOR4 (ただし
R4はシクロヘキシル、メチル、エチル、または炭素原子
数4〜5のtert−アルキルである)、またはR3がメチル
であるときには炭素原子数2〜4個のアルキル基を示
す)で示されるモノマーを挙げることができ、さらに具
体的にはメチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレ
ート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリ
レート、sec−ブチルメタクリレート、及びtert−ブ
チルメタクリレートを挙げることができる。またアクリ
ルアミドやメタクリルアミドも有用である。
【0009】本発明に使用される重合体としては以上の
重合体の他、ビニルホルメート、ビニルアセテート、ビ
ニルプロピオネート、ビニルブチレート、及びビニルベ
ンジレートの様なビニルアルコールのエステルの重合体
を挙げることができる。例えばポリ(ビニルアセテー
ト)及びビニルアセテートと、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、アクリレートまたはメタクリレー
トエステル等との共重合体を挙げることができる。
【0010】これらの重合体は、例えばブロック共重合
体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、コアーシェ
ル重合体として、水若しくは有機溶媒の存在下に、例え
ば乳化重合、溶液重合により製造することができる。乳
化重合にあたりモノマーを乳化させるには、例えば米国
特許第2,754,280号や同第2,795,564
号等に記載された方法に従えばよく、乳化剤としてアニ
オン系、カチオン系、またはノニオン系の乳化剤、好ま
しくはアニオン系若しくはノニオン系の乳化剤を使用す
ればよい。例えばアルキルスルホン酸、アリールスルホ
ン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキル硫酸、ア
リール硫酸、及びアルキルアリール硫酸のアルカリ金属
塩、アンモニウム塩やアミン塩等が好適に使用できる。
これらの乳化剤はモノマーの全量に対して0.5〜10重
量%の割合で使用すればよい。重合開始剤として過硫酸
アンモニウムや過硫酸カリウム等のラジカル開始剤を使
用する場合には、単独で、若しくは二亜硫酸カリウムや
チオ硫酸ナトリウムの様な促進剤と組合せて使用すれば
よい。これらの開始剤、促進剤はモノマーの全量に対し
て通常0.1〜5.0重量%で使用される。また、メルカプ
タン、ポリメルカプタン、ポリハロゲン化物を含む連鎖
移動剤を使用してもよい。これらはモノマーの全量に対
して通常0.01〜1.0重量%で使用される。
【0011】本発明に好適に使用される重合体は分子量
が約10,000〜1000,000の共重合体であり、酸価が20〜
200、好ましくは30〜80のものである。これらの
重合体は上記の様にして水中エマルジョンとして調製さ
れる。乳化共重合によるアクリル系共重合体水性エマル
ジョンの例としては、モノマー成分として (a)α,β−
不飽和カルボン酸を6〜10重量%、 (b)メタアクリル
酸メチルを50〜74重量%、 (c)炭素原子数2〜8個
のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを2
0〜40重量%等を用いて、当業者に周知の乳化剤、重
合開始剤を添加して乳化重合させて製造したものを挙げ
ることができる。
【0012】上記の重合体エマルジョンは通常pHが2〜
4の範囲で調製される。本発明の被覆材組成物を製造す
るには、例えば、上記の様にして製造された重合体エマ
ルジョンに塩基を添加して該重合体エマルジョンのpHを
6〜9、好ましくはpH7.5〜8.5となる様に調整した後
にカルシウム化合物と反応させることが好適である。該
塩基としては、例えばアンモニア、アミンを例示するこ
とができ、アミンとしてはジエチルアミノエタノール、
モノエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルア
ミン等を使用することができる。これらのうち、ジエチ
ルアミノエタノールを使用することが好ましい。これら
の塩基を重合体エマルジョンに添加するにあたっては、
重合体の乳化重合過程で添加してもよいが、製造された
重合体エマルジョンに添加することが好ましい。例えば
アンモニア水を添加する場合には10重量%以下のアン
モニアを含むアンモニア水を重合体エマルジョンのpHが
6〜8となる様に全量を一時に添加するか、若しくは必
要量を数回に分割して添加すればよい。添加の方法は滴
下等の方法により5〜15分間にわたって行えばよい。
疎水性の強い重合体エマルジョンを使用する場合にはpH
を8〜9とすることが好ましく、親水性の強い重合体エ
マルジョンを使用する場合にはpHを6〜8の範囲とする
ことが好ましい。該塩基を添加した後、重合体エマルジ
ョンをさらに30分〜2時間攪拌することにより、エマ
ルジョン中の重合体油滴が膨潤し、重合体の酸官能基が
ミセルの表面に配向する様になり、カルシウム化合物に
よって容易に架橋が形成される様になる。塩基を添加し
た後の重合体エマルジョンのpHが9を越えると、塩基と
して使用したアンモニアやアミンの臭気が目立つ様にな
るので好ましくない。該攪拌操作は、好ましくは塩基を
添加した後の重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度
が、塩基の添加前の重合体エマルジョンの最低皮膜形成
温度を5℃以上、好ましくは10℃以上下回る様に行え
ばよい。
【0013】塩基を添加した後の重合体エマルジョン
に、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、またはこれらの
混合物等のカルシウム化合物を添加して反応させること
により、本発明の被覆材組成物を製造することができ
る。上記のカルシウム化合物は市販の粉末状のものを使
用すればよいが、好ましくは粒度が0.2〜0.5ミクロン
の微細グレードのものを使用すればよい。これらのカル
シウム化合物の使用量は、上記の重合体の酸官能基に対
し、0.05〜0.9化学等量、好ましくは0.3〜0.6化学
等量とすればよい。カルシウムイオンの含有量が上記の
範囲を下回ると、得られる皮膜の強靱性が失われるとい
う問題が生じ、カルシウムイオンの含有量が上記の範囲
を上回ると、製品安定性やレベリング性に問題が生じ
る。上記のカルシウム化合物を重合体エマルジョン中に
分散させ、カルシウム化合物を重合体と反応させる方法
としては、所定量の粉末状カルシウム化合物を重合体エ
マルジョンに添加して攪拌混合する方法の他、カルシウ
ム化合物の水性溶液若しくは水性分散体を別途製造し、
重合体エマルジョンに添加する方法を挙げることができ
る。後者の方法において使用される水性溶液若しくは水
性分散体は、水性溶媒にカルシウム化合物を10〜50
重量%で添加した後に攪拌溶解ないしは攪拌分散させれ
ばよい。攪拌にはホモミキサー、ニーダー等を使用すれ
ばよい。
【0014】上記の反応工程は、室温ないしは加温下の
いずれの温度においても行うことができるが、好ましく
は、カルシウム化合物を添加した重合体エマルジョンの
温度が重合体のガラス転移温度(Tg)付近、特に好ま
しくはTgより高い温度に維持しつつ行えばよい。反応
温度が低すぎるとカルシウム化合物がエマルジョン中の
重合体油滴に取り込まれ難く、重合体との反応がおこな
われず、カルシウム化合物が重合体エマルジョンに沈澱
を生ずるという問題が生じ、特に反応温度が重合体エマ
ルジョンの分解温度を上回ると本発明の被覆材組成物の
製造が困難になるので好ましくない。反応は使用したカ
ルシウム化合物がエマルジョン形態の被覆材組成物から
沈澱しなくなるまで、すなわち均一エマルジョン形態の
被覆材組成物が得られるまで継続して行えばよいが、よ
り具体的には、得られた本発明の被覆材組成物の最低皮
膜形成温度が、塩基の添加後においてカルシウムイオン
を含有しない重合体エマルジョンの最低皮膜形成温度を
5℃以上、好ましくは10℃以上高くなる様に継続して
行うことが好ましい。一般的には重合体中の酸官能基の
40%以上がカルシウムで架橋された場合に、最低皮膜
形成温度が10℃以上高くなる。
【0015】本発明の被覆材組成物には、上記の成分の
他に、公知成分であるパラフィン、モンタン、ポリエチ
レンワックス等のワックス類;ロジン変性マレイン酸樹
脂、スチレン−マレイン酸樹脂等のアルカリ可溶性樹
脂;ジブチルフタレート、トリブトキシエチルホスフェ
ート等の可塑剤;ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の
膜形成剤;フッ素系界面活性剤等を挙げることができ
る。これらのうち、ワックス、アルカリ可溶性樹脂成分
は重合体に対して約5〜70重量%で使用される。これ
らの成分は、重合体エマルジョンに直接混合するか、水
性分散液として、単独で若しくはカルシウム化合物とと
もに添加される。この様にして製造される本発明の被覆
材組成物は、最終的にpH6〜8の範囲になる様に調製さ
れることが好ましい。pHが6を下回ると製品安定性や塗
布後に形成される皮膜のレベリング性が低下する傾向が
あり、pHが8を上回ると被覆材組成物の再塗布性や乾燥
時のアンモニア臭やアミン臭が強いので好ましくない。
被覆材組成物のpH調節には、上述した塩基の他、アルカ
リ金属水酸化物、または炭酸ガスや酢酸等の酸を使用す
ればよく、これらはカルシウム化合物と重合体との反応
工程中で、若しくは反応終了後に必要量を適宜添加すれ
ばよい。
【0016】本発明の被覆材組成物を使用する場合に
は、木材、コンクリート、ラバータイル、ビニルタイ
ル、リノリウムタイル等の床面に対して、本発明の被覆
材組成物総重量に対して重合体含有率が3〜40重量
%、総樹脂含有率が5〜50重量%となる様に調製した
組成物を、一回ないしは複数回重ねて塗布し、最低皮膜
形成温度以上の温度で乾燥すればよい。このような塗布
方法により、光沢と耐久力に優れた樹脂皮膜が得られ
る。また、形成された皮膜を除去するにあたっては、ア
ミン、アルカリ金属水酸化物、キレート剤、界面活性剤
等を水に溶解した除去剤を剥離する被覆面に塗布し、パ
ット等を取り付けた電気ポリッシャー等で擦り洗浄する
ことにより容易に皮膜を除去することができる。
【0017】
【発明の効果】本発明の被覆材組成物は、長期にわたっ
て安定であり、かつ重金属を含有しないので環境汚染の
心配がない。また、金属錯体を使用しないので塗布乾燥
時に錯体分解によるアンモニア不快臭もない。本発明の
被覆材組成物により得られる乾燥皮膜は、主成分たる重
合体にカルシウム架橋がなされているので強靱であり、
光沢、レベリング性、除去性等の諸性質にも極めて優れ
たものであるので有用である。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるこ
とはない。尚、以下の実施例、比較例、及び参考例にお
いて「有効成分」とは、各樹脂の含有率(濃度)を示す
(単位:重量%)。
【0019】参考例1 水性アクリル系樹脂の製造 攪拌装置、還流冷却器、滴下ロート、温度計、及び窒素
導入管を備えた反応容器に窒素を封入後、脱イオン水、
乳化剤を加え、その後水浴中で60℃まで加温した。攪
拌中に触媒及びモノマーの他、必要に応じて分子量調節
剤(表1参照)を2時間かけて徐々に滴下して重合を完
了させ、有効成分40%のアクリル系樹脂エマルジョン
(A−F)を得た。
【0020】
【表1】
【0021】実施例
【表2】
【0022】
【表3】 (注4)74.6gの脱イオン水に10gの酢酸カルシウ
ム及び15.4gの28%アンモニア水を加えて攪拌し、
酢酸カルシウム錯体溶液を製造した(カルシウム含有
量:2.5%) (注5)ロームアンドハース社製の低分子量アクリルエ
マルジョン(製品名:プライマルB−644、有効成分
42%) (注6)アライドケミカル社製の低分子量ポリエチレン
ワックス(Ac-392)を東邦化学工業株式会社でノニオン
系界面活性剤を用いて乳化したもの(製品名:ハイテッ
クE−4B、有効成分40%) (注7)大日本インキ工業株式会社製のフッソ系界面活
性剤(製品名:メガファックF−812、有効成分15
%)
【0023】性能評価
【表4】
【0024】評価方法 (1) 注8〜注14については日本フオアーポリッシュ工業
会規格(JFPA)に準じて性能評価を行った。 レベリング性:JFPA参考規格(1) 光沢度(%):JFPA規格−10(3回塗りの光沢度
を測定:%) 耐水性 :JFPA規格−13(白化現象の有無で
評価する) 耐洗剤性 :JFPA規格−14 除去性 :JFPA規格−15 再塗布性 :JFPA参考規格(2) 耐ブラックヒールマーク性:JFPA規格−11(ブラ
ックヒールマークの付着量を肉眼で観察し評価する) (2) 注15〜注17については以下の様に性能評価を行っ
た。耐磨耗性は、JFPA規格−10と同様の作業方法
により5回塗りした試験片を常温下に168時間乾燥放
置した後に、テーパー試験器にて磨耗度を測定して評価
した(磨耗輪:CS−17、200回転、磨耗量単位:
g) 皮膜硬度は、JFPA規格−10と同様の作業方法によ
り5回塗りした試験片を常温下に168時間乾燥放置し
た後に、ヌープ硬度計にて測定した。臭気性評価は、1
65m2の室内で各組成物1リットルあたり100m2の割
合で塗布した後、測定者10人中の採点により評価した
(評価基準、3:臭わない;2:普通;1:臭い)。
【0025】本発明組成物1〜10が全ての評価項目で
優れた性質を示し、フロアーポリッシュとしての性能及
び臭気等のあらゆる点ですぐれた被覆材組成物であった
のに対して、本発明組成物1及び3に対応する非架橋タ
イプの比較例組成物11及び14では、フロアーポリッ
シュとしての基本性能である耐水性、耐洗剤性、耐ブラ
ックヒールマーク性、耐磨耗性、皮膜硬度等の点で性能
が劣っていた。また、比較例組成物13では、酢酸カル
シウムアンモニア錯体を使用することによりフロアーポ
リッシュとしての基本的性能は一応満足するものであっ
たが、塗布後のアンモニア臭や光沢等に問題があった。
さらに重合体の酸官能基に対して1.0化学等量のカルシ
ウム化合物を架橋した比較例組成物12及び15は、製
品安定性(貯蔵安定性)やレベリング性に劣るものであ
った。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン系不飽和モノマーの重合体を含む
    エマルジョンからなる被覆材組成物であって、該重合体
    の酸価が20〜200であり、該重合体の酸官能基に対
    して0.05〜0.9化学当量のカルシウム化合物が架
    橋しており、環境を汚染する金属が含まれていないこと
    を特徴とする被覆材組成物。
  2. 【請求項2】該カルシウム化合物が、酸化カルシウム、
    水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、
    塩化カルシウムまたはこれらの混合物から選ばれる請求
    項1の被覆材組成物。
  3. 【請求項3】該重合体の分子量が、10,000〜1,
    000,000である請求項1の被覆材組成物。
JP6206888A 1994-08-31 1994-08-31 被覆材組成物 Expired - Fee Related JP2802037B2 (ja)

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