JP4976647B2 - 炭化珪素半導体基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体基板の製造方法 Download PDF

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本発明は炭化珪素半導体基板の製造方法に関し、特に各種半導体デバイスの基板に利用可能な炭化珪素半導体基板の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)単結晶は、珪素(Si)単結晶に比べてバンドギャップが2倍〜3倍、飽和電子速度が2倍、絶縁破壊電界強度が1桁近く大きい、といった様々な優れた特性を有している。そのため、SiCは、高温動作デバイス、高周波デバイス、そしてパワーデバイスに利用可能なSiに代わる次世代材料として期待されている。また、SiCの単結晶基板は、近年研究が盛んに行われている窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウムおよびこれらの混晶を成長するための下地基板としても、サファイア基板やSi基板に比べて熱伝導率が良い、格子不整合が小さい、といった理由から、広く用いられるようになってきている。
SiC単結晶ウェハは、現在のところ改良Lely(レーリー)法と呼ばれる手法によりSiCを結晶成長して形成するのが主流となっている(参考:例えば、St.G.Muller et al., J.Cryst.Growth, 211 (2000), pp.325-332)。
図6は改良レーリー法に用いる結晶成長装置の断面概略図である。
この図6に示す結晶成長装置100では、グラファイトのるつぼ101を用い、その内側上面に欠陥の著しく少ない高品質のSiC単結晶の種結晶102を配置するとともに、その底部に高純度SiCのパウダーソース103を配置する。るつぼ101は、この状態で密閉され、インダクションコイル104への高周波電力の印加により、断熱材105を介して誘導加熱される。その際は、種結晶102付近の温度T1を2200℃〜2300℃とし、パウダーソース103付近の温度T2を2300℃〜2400℃として、かつ、種結晶102とパウダーソース103との間が1℃/mm〜2℃/mmの緩やかな温度勾配となるようにする。それにより、温度の若干低い種結晶102に数百μm/h以上の成長レートでSiC単結晶を成長させることができる。なお、温度T1,T2は、それぞれ放射温度計を用いて測定される。このようにして形成されるSiC単結晶のインゴットを切り出し、それを研磨、エッチングすることにより、SiC単結晶ウェハを得ることができる。
しかしながら、このようにして形成されるSiC単結晶ウェハは、X線透過トポグラフィー像によると、ウェハ全面に渡って結晶の歪みが存在しており、それに起因する各種欠陥を数多く有していることが知られている(参考:例えば、D.Hobgood et al., Mater.Sci.Forum, Vols.338-342, (2000), pp.3-8)。
SiC単結晶には、同一組成で異なる結晶構造を持つポリタイプが数多く存在するが、そのうち4H型や6H型に代表される六方晶SiCのウェハ内に存在する欠陥としては、らせん転位、マイクロパイプ、小傾角粒界、積層欠陥等がある。
らせん転位とは、六方晶のc軸に平行に走るらせん状の転位のことであり、転位のずれの方向と大きさを表すバーガースベクトルが1c以上のものをいう。ここで、1cのcはらせん転位の走る方向のc軸を表し、1cの1はらせんが一回りしたときに転位にc軸方向の単位結晶格子1つ分の長さのずれが生じることを表す。
マイクロパイプとは、ウェハ表面から裏面に貫通する中空の欠陥のことで、バーガースベクトルが4H−SiCでは3c以上になった場合、すなわちらせんが一回りしたときに転位が単位結晶格子長さ3つ分ずれている場合に発生するといわれている。
また、ウェハはc軸方向が若干異なる単結晶からなり、それぞれ隣り合う単結晶の粒界において結晶格子の不整合が起こり、それが小傾角粒界といわれるものである。
積層欠陥とは、c軸に対する積層順序が、そのポリタイプのものと異なるときの欠陥である。六方晶SiCの結晶構成原子がとる格子位置はc軸方向から見て3つであり、それらをA,B,Cサイトとした場合、例えば4H−SiCではc軸方向に沿って、ABCB,ABCB,ABCB,・・・、と繰り返すのが理想の結晶構造であるが、この理想の結晶構造と積層順序が異なる場合に生じるのが積層欠陥である。
これらの欠陥密度は、最近の報告では、らせん転位で103個/cm2、マイクロパイプで1〜30個/cm2、小傾角粒界で103個/cm2、積層欠陥で105個/cm2などとなっている(参考:例えば、H.Lendenmann et al., Materials Sci.Forum, Vols.339-393, (2002), pp.1259-1264)。そして、これらの欠陥のうちいくつかは、半導体デバイス内に存在するとその特性を劣化させる場合があることが知られている。
なお、従来は、例えば、低欠陥密度のSiC半導体基板を形成するため、Si基板上に形成したSiC表面に、あるいはSiC単結晶基板の表面に、陽極化成(陽極酸化)やイオン注入によって破断層を形成し、引き続きその結晶方位を引き継ぐSiC単結晶層を適当な厚みでホモエピタキシャル成長により形成し、その後ウォータージェット等で破断層を切断して、その成長させたSiC単結晶層をその下地基板から分離する方法が提案されている(特許文献1参照)。そして、この分離したSiC単結晶層を、デバイス形成のためのSiC半導体基板として利用する試みがなされている。
特開2003−95798号公報
前述のように、SiC半導体基板に存在する欠陥は、デバイス特性を劣化させてしまう場合がある。例えば、らせん転位がデバイスに存在する場合には、絶縁破壊電界強度が材料の持つ理想値に対して80%以下に低下してしまうという報告がある(P.G.Neudeck et al, IEEE Trans. Electron. Dev., vol.46, (1999), p.478)。また、積層欠陥がデバイスに存在する場合には、そのオン状態時のある電流値における電圧値が動作時間とともに増加していってしまうという報告がある(H.Lendenmann et al., Materials Sci.Forum, Vols.339-393, (2002), pp.1259-1264)。
パワーデバイスでは、数A以上の電流値が必要であり、そのためにはデバイス面積として少なくとも数mm2を必要とする。その場合、上記のような欠陥密度ではSiC半導体基板に欠陥が存在するため、デバイスの絶縁耐圧、リーク電流、オン電圧の経時変化に対する安定性等の特性について、SiCが持つ材料特性から予想される特性よりも劣った特性しか得られなくなってしまう。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、欠陥密度が小さく、各種半導体デバイスに好適に用いることのできるSiC半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、SiCのエピタキシャル層を含むSiC半導体基板の製造方法において、SiC単結晶からなる下地ウェハの表面に、空孔の割合が大きくSiCの密度が小さい構造を持った第1多孔質層と、前記第1多孔質層上に、前記第1多孔質層よりも空孔の割合が小さくSiCの密度が大きい構造を持った第2多孔質層とを形成する工程と、形成された前記第2多孔質層の表面の空孔を珪素または炭素を含んだガスを用いてシリコンの融点以上である1400℃以上の温度でアニール処理を行うことによって閉塞する工程と、空孔が閉塞された前記第2多孔質層の上にSiCのホモエピタキシャル層を形成する工程と、を有することを特徴とするSiC半導体基板の製造方法が提供される。
また、本発明では上記課題を解決するために、SiCのエピタキシャル層を含むSiC半導体基板の製造方法において、SiC単結晶からなる下地ウェハの表面に、空孔の割合が大きくSiCの密度が小さい構造を持った第1多孔質層と、前記第1多孔質層上に、前記第1多孔質層よりも空孔の割合が小さくSiCの密度が大きい構造を持った第2多孔質層とを形成する工程と、形成された前記第2多孔質層の空孔をアルゴンまたはアルゴンにシラン、ジボランを加えた雰囲気でシリコンの融点以上である1400℃以上の温度でアニール処理を行うことによって閉塞する工程と、空孔が閉塞された前記第2多孔質層の上にSiCのホモエピタキシャル層を形成する工程と、を有することを特徴とするSiC半導体基板の製造方法が提供される。
このようなSiC半導体基板の製造方法によれば、SiC単結晶の下地ウェハ表面に多孔質層を形成し、例えば珪素または炭素を含んだガスを用いて、若しくはアルゴンまたはアルゴンにシラン、ジボランを加えた雰囲気で、シリコンの融点以上である1400℃以上の高温のアニール処理を行うなどすることによって、その多孔質層表面の空孔を閉塞した後に、その上にSiCのホモエピタキシャル層を形成する。これにより、多孔質層表面の転位を広い領域に渡って消滅させることが可能になり、多孔質層の上層には欠陥の少ないホモエピタキシャル層が形成されるようになる。
また、このようにして形成されたホモエピタキシャル層は、多孔質層を切断することによって下地ウェハ側から分離され、それによってホモエピタキシャル層を含んだSiC半導体基板が得られるようになる。
本発明のSiC半導体基板の製造方法は、SiC単結晶の下地ウェハ表面に形成した多孔質層表面の空孔を閉塞し、その上にSiCのホモエピタキシャル層を形成する。これにより、欠陥密度の低いホモエピタキシャル層を形成することができる。このホモエピタキシャル層を各種デバイスのSiC半導体基板として用いることにより、その製造歩留まりを向上させることが可能になる。
また、ホモエピタキシャル層分離後の下地ウェハを次のホモエピタキシャル層形成の種結晶ウェハとして再利用することもできるので、1枚の下地ウェハから複数枚のSiC半導体基板が形成可能であり、SiC半導体基板およびそれを用いた各種半導体デバイスの製造コストを大幅に低減することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
まず、SiC半導体基板の形成方法の概略について説明する。
図1はSiC半導体基板の形成フローの一例である。
SiC半導体基板の形成の際は、まず、これを形成するための下地になるSiC単結晶のウェハ(下地ウェハ)を改良レーリー法により形成する(ステップS1)。この下地ウェハには、通常、その結晶に歪みが発生しており、下地ウェハは、それに起因した各種欠陥を有している。
このような下地ウェハの形成後は、その表面領域にSiCの多孔質層を形成する(ステップS2)。ここでは、下地ウェハに対してフッ酸(HF)溶液を用いた陽極化成を行い、その表面領域のSiCをエッチングすることによって多孔質層を形成する。
そして、この陽極化成による多孔質層の形成後に、適当な雰囲気中で高温のアニール処理を行い、多孔質層のSiCの表面拡散を引き起こして表面層を形成し、それによって多孔質層表面に露出する空孔を閉塞する(ステップS3)。また、ウェハ表面は、空孔閉塞とともに、このアニール処理によって平坦化されるようになる。
その後、この空孔が閉塞された多孔質層の表面層にSiCをホモエピタキシャル成長してホモエピタキシャル層を形成する(ステップS4)。このホモエピタキシャル層は、最終的に半導体デバイス形成に利用可能なSiC半導体基板となる部分である。したがって、このホモエピタキシャル層は、その用途に応じた厚みで形成される。
ホモエピタキシャル層の形成後は、多孔質層を横方向(平面方向)にウォータージェット等で切断し、ウェハをホモエピタキシャル層の側と下地ウェハの側とに分離する(ステップS5)。分離されたホモエピタキシャル層の側は、SiC半導体基板として半導体デバイス形成に用いられ、また、分離されたもう一方の側である下地ウェハは、次のホモエピタキシャル層を形成するための種結晶ウェハとして再利用される。
このように、上記のSiC半導体基板の形成方法においては、多孔質層の形成後でホモエピタキシャル層の形成前に、アニール処理を行って多孔質層表面に露出する空孔を閉塞する表面層を形成する。
アニール処理を行わずに陽極化成後の多孔質層上にそのままホモエピタキシャル層を形成した場合には、その際その多孔質層表面に残る空孔の影響によって、形成後のホモエピタキシャル層内に柱状の空孔が形成されてしまうようになる。このようにして形成されてしまった柱状の空孔を回避して基板に素子を形成することは容易ではない。
しかし、多孔質層の形成後でホモエピタキシャル層の形成前にアニール処理によって多孔質層表面の空孔を閉塞しておくことにより、ホモエピタキシャル成長時に多孔質層上層に形成されるホモエピタキシャル層への空孔の伝播が抑制され、空孔の閉塞を行わなかった場合に比べ、よりいっそう欠陥密度の低いSiC半導体基板を形成することが可能になる。
以下、SiC半導体基板の形成方法を図2から図5を参照してより詳細に説明する。
図2は多孔質層形成工程の断面概略図、図3は表面層形成工程の断面概略図、図4はホモエピタキシャル層形成工程の断面概略図、図5はウェハ分離工程の断面概略図である。
図2に示すように、まず、改良レーリー法により形成された下地ウェハ1の表面近傍の領域に多孔質層2を形成する。この多孔質層2は、下地ウェハ1の陽極化成によって形成することができる。
ここで、陽極化成法について述べる。
下地ウェハ1の陽極化成では、まず、下地ウェハ1を例えば3vol%のHF水溶液中に浸漬した後、この下地ウェハ1に正バイアスを印加し、負バイアスの印加された電極をHF水溶液中に浸漬して電流を流す。このときの電流密度は5mA/cm2とする。この場合には、まず、下地ウェハ1上に、数nm径の微細孔が数十nm間隔で存在する構造を持つ多孔質層2aが形成される。このようにHFを用いて下地ウェハ1内のSiCをエッチングする際は、用いるHF溶液の種類(溶媒の種類)によっても異なるが、上記程度の電流密度であれば、一般には数時間のエッチングで厚さ10μm程度の多孔質層2aを得ることができる。
その後、電流密度を100mA/cm2に増加させる。その結果、数十nm径の空孔が数nm間隔の柱状のSiCで隔てられたような、空孔の割合が大きくSiCの密度が小さい構造を持った多孔質層2bが、多孔質層2aよりも更に下地ウェハ1内部方向に形成されるようになる。この場合もHF溶液の種類によって異なるが、上記程度の電流密度であれば、一般には数分間のエッチングで厚さ0.5μm程度の多孔質層2bを得ることができる。
このように多孔質層2aの形成後、電流密度を上げてその内側にもう一層別の多孔質層2bを形成することにより、下地ウェハ1の表面領域には、密度(空孔割合)の異なる2層構造の多孔質層2が形成されるようになる。
転位が存在する領域は、結晶ストレスのため局所的に結晶の格子間の結合強度が弱くなっていると考えられる。したがって、その場合、多孔質層2を形成するためのHFを用いたエッチング時には、転位近傍の領域が優先的にエッチングされるようになる。このエッチングによって多孔質層2の空孔の大きさをその内部方向に大きくしていくと、そのエッチング前に欠陥が持っていたバーガースベクトルの情報は失われる。このような状態にした上で、多孔質層2(多孔質層2a)の表面のみその空孔を閉塞すれば、広い領域に渡って転位のない表面を形成することが可能になる。
すなわち、空孔はエッチング時に転位部分やその周囲の化学的に弱い領域から拡大していき、十分に空孔サイズを大きくすれば2つ以上の転位を含ませることができる。それらの転位の持つバーガースベクトルが、例えば右巻きと左巻きのらせん転位のように、互いに打ち消す方向になっていれば、空孔を閉塞した場合にその転位を消滅させることが可能になる。
多孔質層2の表面の微細孔は、例えば、1400℃以上の高温で、常圧アルゴン(Ar)雰囲気において、30分以上のアニール処理を行うことによって閉塞することができる。このようなアニール処理の結果、多孔質層2aにはSiCの表面拡散により、図3に示すように、その微細孔が閉塞された表面層3が形成される。
なお、このアニール処理は、Arにシラン(SiH4)、ジボラン(B26)を加えたSiの飽和蒸気圧雰囲気で行うようにしてもよい。また、Si単結晶等のSi単体を用い、それをアニール炉内に配置し、アニール処理時にそれを溶融させることによって炉内にSi蒸気を発生させるようにしてもよい。このようにSiを含んだガスを用いてアニール処理を行うことにより、より効果的に多孔質層2a表面の微細孔を閉塞することが可能になる。
さらに、炭素(C)の飽和蒸気圧雰囲気でアニール処理を行うようにしても、同様に多孔質層2a表面の微細孔を閉塞することが可能である。その場合、プロパン(C38)、メタン(CH4)、エチレン(C24)、アセチレン(C22)、ブタン(C410)等を含んだガス雰囲気でアニール処理を行うようにすればよい。
さらに、SiCの昇華性を考慮し、例えば数mTorr以下といった低圧のSiH4やC38雰囲気でアニール処理を行うようにしてもよい。
次いで、図4に示すように、表面層3の上にホモエピタキシャル成長を行って、SiCのホモエピタキシャル層4を形成する。その際の形成温度は、Siの融点による制約を受けないので、1400℃以上に設定することが可能である。このホモエピタキシャル層4の形成では、後述のようにウェハが空孔割合の大きな多孔質層2bの部分で切断されて分離されるのでその機械的強度を保持するために、1018cm-3オーダー以上の濃度で、その厚みが100μm以上である低抵抗ホモエピタキシャル層を形成する。
ホモエピタキシャル層4の原料ガスに例えばSiH4とC38を用いた場合、一般にその原料ガスのC/Si比が低い条件(Si分圧が高い条件)で成長を行った方がその下地に存在する空孔が閉塞しやすいことが知られている。したがって、例えば、ホモエピタキシャル層4の成長初期は通常よりも低いC/Si比とし、その後通常のC/Si比にして成長を行うようにすれば、たとえ表面層3に空孔が残っていたとしても、それを効果的に閉塞して、欠陥の極めて少ないホモエピタキシャル層4を形成することができるようになる。
なお、形成したホモエピタキシャル層4上には異なる濃度、伝導型、膜厚のホモエピタキシャル層を更に形成可能であり、それらの条件は半導体デバイスの種類やその仕様によって任意に設定することができる。また、ホモエピタキシャル層4表面に陽極化成を行ってその上に更にホモエピタキシャル成長を行うことも可能である。
多孔質層2の形成後でホモエピタキシャル層4の形成前にアニール処理を行わなかった場合には、多孔質層2の表面にはおよそ1010個/cm2程度の密度で空孔が存在しており、形成されるホモエピタキシャル層には柱状の空孔がその程度の密度で存在するようになる。前述のように、このような柱状の空孔を回避しての基板への素子形成は容易ではない。
これに対し、多孔質層2の形成後にアニール処理を行って表面層3を形成した場合には、それによって多孔質層2の表面の空孔が閉塞されて欠陥の非常に少ない表面が得られるため、ホモエピタキシャル層4に空孔が形成されるのを抑え、素子形成が行える基板面積の制限を取り除くことが可能になる。
ホモエピタキシャル層4の形成後は、図5に示すように、多孔質層2bを切断し、この部分でウェハを2つに分離する。この分離には、例えば、ウェハ側面から高圧の水を吹き付けて機械的に剥離を生じさせるウォータージェット分離法を用いることができる。
このようにして分離された2つのウェハ、すなわちホモエピタキシャル層4および多孔質層2a,2bからなるウェハと下地ウェハ1および多孔質層2bからなるウェハとは、それぞれCMP法によりその多孔質層2a,2bが研磨される。研磨によるダメージ層は、例えば熱酸化膜の形成とその酸化膜の除去により取り除かれる。
分離されたこれら2つのウェハのうち、ホモエピタキシャル層4を含む側のウェハは、デバイス形成が行われるSiC半導体基板として利用される。また、分離されたもう一方のウェハは、次の多孔質層2を形成する際の種結晶ウェハとして再利用される。
なお、下地ウェハに複数の多孔質層およびホモエピタキシャル層を積層形成した場合も同様にウォータージェット分離法等によって各多孔質層を切断すればよい。これにより、1枚の下地ウェハから複数枚のSiC半導体基板を得ることができる。
以上説明したように、上記のSiC半導体基板の形成方法によれば、SiC半導体基板内の欠陥密度を大幅に低減することができる。マイクロパイプ、らせん転位、積層欠陥、小傾角粒界の密度は、従来に比べてその値が1桁以上小さくなる。その結果、パワーデバイス等の各種半導体デバイスを歩留まり良く製造することが可能になる。
また、分離された種結晶ウェハを用いて上記の手順を繰り返すことにより、1枚の下地ウェハから複数枚のSiC半導体基板を形成することができるので、製造コストを大幅に低減することが可能になる。
SiC半導体基板の形成フローの一例である。 多孔質層形成工程の断面概略図である。 表面層形成工程の断面概略図である。 ホモエピタキシャル層形成工程の断面概略図である。 ウェハ分離工程の断面概略図である。 改良レーリー法に用いる結晶成長装置の断面概略図である。
符号の説明
1 下地ウェハ
2,2a,2b 多孔質層
3 表面層
4 ホモエピタキシャル層

Claims (7)

  1. 炭化珪素のエピタキシャル層を含む炭化珪素半導体基板の製造方法において、炭化珪素単結晶からなる下地ウェハの表面に、空孔の割合が大きく炭化珪素の密度が小さい構造を持った第1多孔質層と、前記第1多孔質層上に、前記第1多孔質層よりも空孔の割合が小さく炭化珪素の密度が大きい構造を持った第2多孔質層とを形成する工程と、形成された前記第2多孔質層の空孔を珪素または炭素を含んだガスを用いてシリコンの融点以上であ 1400℃以上の温度でアニール処理を行うことによって閉塞する工程と、空孔が閉塞された前記第2多孔質層の上に炭化珪素のホモエピタキシャル層を形成する工程と、を有することを特徴とする炭化珪素半導体基板の製造方法。
  2. 空孔が閉塞された前記第2多孔質層の上に炭化珪素の前記ホモエピタキシャル層を形成する工程の後に、前記第1多孔質層を切断して前記下地ウェハが含まれる側と前記ホモエピタキシャル層が含まれる側とに分離することによって前記ホモエピタキシャル層を含んだ炭化珪素半導体基板を得る工程を有することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  3. 形成された前記第2多孔質層の空孔を閉塞する工程においては、珪素の飽和蒸気圧雰囲気でアニール処理を行うことによって前記第2多孔質層の空孔を閉塞することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  4. 前記珪素の飽和蒸気圧雰囲気は、シランを含むガスまたは珪素単体を加熱して発生する珪素蒸気を含むガスを用いて形成されることを特徴とする請求項3記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  5. 形成された前記第2多孔質層の空孔を閉塞する工程においては、炭素の飽和蒸気圧雰囲気でアニール処理を行うことによって前記第2多孔質層の空孔を閉塞することを特徴とする請求項1記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  6. 前記炭素の飽和蒸気圧雰囲気は、プロパン、メタン、エチレン、アセチレンまたはブタンを含むガスを用いて形成されることを特徴とする請求項5記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  7. 炭化珪素のエピタキシャル層を含む炭化珪素半導体基板の製造方法において、炭化珪素単結晶からなる下地ウェハの表面に、空孔の割合が大きく炭化珪素の密度が小さい構造を持った第1多孔質層と、前記第1多孔質層上に、前記第1多孔質層よりも空孔の割合が小さく炭化珪素の密度が大きい構造を持った第2多孔質層とを形成する工程と、形成された前記第2多孔質層の空孔をアルゴンまたはアルゴンにシラン、ジボランを加えた雰囲気でシリコンの融点以上である1400℃以上の温度でアニール処理を行うことによって閉塞する工程と、空孔が閉塞された前記第2多孔質層の上に炭化珪素のホモエピタキシャル層を形成する工程と、を有することを特徴とする炭化珪素半導体基板の製造方法。
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