JP4972408B2 - グルカン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性プラスチックとして使用可能なグルカン誘導体(例えば、セルロースアシレート誘導体)とその製造方法、並びにグルカン誘導体で構成されたフィルムに関する。
セルロース、デンプン(又はアミロース)、デキストランなどのグルコースを構成単位とするグルカンは、熱可塑性を有しておらず、そのままでは、プラスチック(熱可塑性プラスチック)として使用できない。そのため、このようなグルカン(特にセルロース)は、熱可塑化のため、アシル化(アセチル化など)されることにより、熱可塑性プラスチックとして利用されている。
前記グルカンのうち、特に、セルロースは、アシル化され、セルロースアシレート(特に、セルロースアセテート)として種々の用途に用いられている。例えば、平均置換度2.4〜2.5程度のセルロースアセテート(セルロースジアセテート)は、熱可塑性の観点から、可塑剤を含む形態で熱成形に用いられている。しかし、このようなセルロースジアセテートは、ヒドロキシル基を多く有しているため、吸湿性が高く、寸法安定性が低いなどの問題がある。また、セルローストリアセテート(平均置換度2.8〜2.9程度)は、ヒドロキシル基が少なく、吸湿性の問題をある程度改善できるが、熱成形性が悪いため、塩化メチレンなどの限定された溶媒を用いた成形法で、フィルム、繊維などに加工されているのが実状である。
特に、セルローストリアセテートは光学的等方性に優れるため、写真感光材料の支持体、液晶表示装置の偏光板保護フィルム、位相差フィルムやカラーフィルタなどとして利用されている。すなわち、セルローストリアセテートは、主鎖に対して略直交する方向に延びるアセチル基により、配向しても複屈折が極めて小さいという特色がある。つまり、アセチル基が主鎖方向に対して直交した方向に向いているため、主鎖を配向させても複屈折は殆ど生じず、面内で光学的に等方なフィルムが得られやすい。このことが、セルローストリアセテートが、偏光板保護フィルムとして利用される最大の理由になっている。
なお、セルローストリアセテートは、ガラス転移温度Tgが120℃程度に認められるものの、融点Tmが明確でなく、加熱すると溶融よりも熱分解が先行する。そのため、セルローストリアセテートフィルムは、前記のように熱成形に不向きであり、溶融成膜法により得ることができず[Cellulose Commun Vol.5, No.2 (1998)(非特許文献1)]、溶融成膜法で二軸延伸することも事実上困難である。
従来の光学的二軸性を有する位相差フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアミドなどのフィルム)は、波長が長いほど位相差が小さくなる特色を有しており、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性を付与することは困難である。そのため、広帯域用に用いるためには、複数の位相差フィルムを積層して必要な特性を得ている。1枚の位相差フィルムにより前記性能を得るためには、位相差フィルムに入射する波長(λ)において、レタデーション(Re)がλ/4になるのが好ましいが、そのためには、前記特性とは逆の特性、すなわち、波長が長いほどReが大きくなる特性が必要となる。
特開2002−62430号公報(特許文献1)には、セルローストリアセテートを検討し、延伸により前記波長特性(波長分散特性)を有する位相差フィルムが得られたことが記載されている。しかし、現実にはセルローストリアセテートは延伸性に乏しく、延伸に伴って延伸ムラが生成し、位相差ムラ、ひいては表示ムラが生じる。低置換度のセルロースアセテートやセルロース混合脂肪酸エステルを用いて延伸可能なセルロース誘導体のフィルムを得る試みがなされているが、延伸性、レタデーション(厚み方向のレタデーションRth)、耐湿性を満足できない。
このように、セルロースアセテートは、熱溶融性および延伸性に乏しい。このような理由としては、前記のように、(1)セルロースアセテートの溶融温度が分解温度に近いため、成形可能な温度幅が狭いこと、(2)セルロースのグルコース環が剛直であるととともに、セルロースのグルコシド結合(β−グルコシド結合)が硬くかつ曲がりにくいため、エチレン系高分子などに比べて自由度が小さいことなどが挙げられる。特に、後者の理由のため、溶融時に分子の絡み合いが少なく、しかも、溶融粘度の剪断速度依存性が高くなり、熱溶融成形時の僅かな剪断速度の変化により、溶融粘度変化を生じ、厚みむらなどを生じやすい。
セルロースアセテートの熱溶融性や溶融成形性を改良する技術も報告されている。例えば、特開昭55−16062号公報(特許文献2)には、低置換度のセルロースアセテートに可塑剤を添加して成形性を改善する方法が開示されている。しかし、このような方法でも、熱成形性を充分に改善できない。また、前記セルロースジアセテートの場合と同様に、ヒドロキシル基の割合が多いため、吸湿性が高い。
一方、特開昭60−188401号公報(特許文献3)には、遊離水酸基を有する脂肪酸セルロースエステル(セルロースアセテートなど)に対してその無水グルコース単位あたり0.5〜4.0モルの環状エステル(ε−カプロラクトンなど)を付加させて得られる脂肪酸セルロースエステル系熱可塑性成形材料が開示されている。この文献には、内部可塑化により、多量の可塑剤を添加することなく、射出成形、押出成形などにより成形加工でき、シート、フィルムなどの成形品に使用できることも記載されている。特開昭60−155710号公報(特許文献4)には、前記特許文献2の脂肪酸セルロースエステル(変性酢酸セルロース)を170〜350℃で溶融し、空気中に紡出する糸状形成法が開示されている(特許請求の範囲)。特開昭60−212422号公報(特許文献5)には、カプロラクトンからなるエステルをグラフト鎖として有するグラフト重合体(セルロースエステル)が開示されている。この文献には、グラフト重合体のグラフト鎖末端に存在する1級水酸基を、イソシアネート基、酸ハライド基、エポキシ基との反応に利用し、化学的に変性させたり、網状化できることが記載されている。
しかし、これらの文献に記載のセルロースエステルでは、成形性を比較的改善できるものの、前記と同様にヒドロキシル基を有しており、吸湿性が高いため、寸法安定性が低下しやすい。
なお、特開昭63−221101号公報(特許文献6)には、セルロース誘導体に残存する水酸基にε−カプロラクトンを開環重合させてセルロース誘導体にε−カプロラクトンの重合鎖をグラフトし、この重合鎖末端の水酸基にさらにシリル基を導入した変性セルロース誘導体が開示されている。この文献には、シリル基の導入に用いるシリル基含有化合物として、ヒドロキシル基と反応可能な基(カルボキシル基、イソシアネート基など)および加水分解縮合性基(ケイ素原子に結合した塩素原子、アルコキシ基など)を有する化合物を例示している。また、この文献には、前記変性セルロース誘導体が、塗料ビヒクルとして使用されること、塗膜形成とともに若干の水分と接触することによりシリル基含有化合物中の加水分解可能な基が加水分解してシリル基相互が架橋することが記載されている。
特開2002−62430号公報(特許請求の範囲) 特開昭55−16062号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−188401号公報(特許請求の範囲、第2頁右下欄) 特開昭60−155710号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−212422号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−221101号公報(特許請求の範囲、第2頁右下欄〜第3頁右下欄、第5頁右上欄) Cellulose Commun Vol.5, No.2 (1998)
従って、本発明の目的は、吸湿性を高いレベルで抑制でき、熱可塑性プラスチックとして成形するのに有用な新規なグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、可塑剤との相溶性や溶剤溶解性に優れ、幅広い範囲の物性(弾性率、伸度など)を向上するのに有用なグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、吸湿性を高いレベルで抑制でき、熱可塑性プラスチックとして成形するのに有用な新規なグルカン誘導体を、簡便にかつ効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、寸法安定性に優れ、繊維、フィルム(特に、光学フィルム)などの成形体を得るのに有用なグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)およびその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アシル基およびラクトンで構成されたグラフト鎖を有するグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)において、グラフト鎖の末端などに位置するヒドロキシル基を、アセチル基などの保護基(非反応性保護基)で保護すると、熱可塑性プラスチックとして好適に成形できるとともに、グルカン誘導体の吸湿性を高レベルで抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のグルカン誘導体は、アシル基と、ラクトン及びオキシカルボン酸から選択された少なくとも一種のグラフト成分で構成されたグラフト鎖(又はグラフト成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖、又はグラフト成分が重合したグラフト鎖)とがグルカンのグルコース単位に結合したグルカン誘導体であって、前記グラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部が保護基により保護されている。前記グルカンは、セルロースであってもよい。前記グラフト鎖は、C4-16ラクトン(ε−カプロラクトンなど)で構成されていてもよく、グラフト鎖のヒドロキシル基がアシル基[例えば、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などのC2-8アルキルカルボニル基、好ましくはC2-4アルキルカルボニル基、特にアセチル基)]で保護されていてもよい。グルコース単位に結合した前記アシル基の平均置換度は、例えば、1〜2.99程度であってもよく、グラフト鎖の平均置換度は0.01〜2程度であってもよい。代表的なグルカン誘導体には、例えば、グルコース単位に結合したアシル基が少なくともアセチル基で構成されており、前記アシル基の平均置換度が1.5〜2.95であり、C5-10ラクトンで構成されたグラフト鎖の平均置換度が0.05〜0.8であり、前記グラフト鎖のヒドロキシル基がアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などのC2-6アルキルカルボニル基など)で保護されているグルカン誘導体などが含まれる。
また、グルコース単位に結合したアシル基の平均置換度とグラフト鎖の平均置換度との割合は、前者/後者=0.3/0.7〜0.992/0.008程度であってもよく、アシル基の平均置換度とグラフト鎖の平均置換度との合計は2.5〜3程度であってもよい。
前記グルカン誘導体の製造方法は、例えば、アシル基がグルコース単位に結合したアシル化グルカンに、ラクトン及びオキシカルボン酸から選択された少なくとも一種のグラフト成分をグラフト化する工程と、このグラフト化により生成したグラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部を、保護基に対応する保護剤を用いて保護する工程とを含む。前記保護剤は、アシル化剤(例えば、アセチル化剤、プロピオニル化剤など)であってもよい。特に、グラフト鎖のヒドロキシル基をアセチル化する場合には、保護剤がイソプロペニルアセテートであってもよい。
前記製造方法では、保護工程において、グルコース単位に残存するヒドロキシル基をアシル化してもよい。例えば、前記製造方法は、アシル化グルカンとして、グルコース単位に残存するヒドロキシル基を有するアシル化グルカンを使用するグルカン誘導体の製造方法であって、保護剤としてアシル化剤を用いることにより、保護工程において、グラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部をアシル化するとともに、前記グルコース単位に残存するヒドロキシル基(又はヒドロキシル基の一部)をアシル化する製造方法であってもよい。
本発明のグルカン誘導体は、高レベルで吸湿性が抑制されており、熱可塑性プラスチックとして使用できるため、種々の成形体(例えば、繊維、フィルムなど)として好適に利用できる。そのため、本発明には、前記グルカン誘導体で構成された成形体も含まれる。このような成形体(又は成形品)は、前記グルカン誘導体を射出成形することにより得られる成形体(射出成形体)であってもよい。また、前記成形体は、例えば、前記グルカン誘導体で構成されたフィルム[特に、グルカン誘導体がセルロースアシレート誘導体であるフィルム(特に、液晶表示装置用光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムなどの光学フィルム)]などであってもよい。
なお、本明細書において、「誘導体」とは、アシル基およびグラフト鎖(ヒドロキシル基の少なくとも一部が保護されたグラフト鎖)を有する化合物を意味し、「セルロースアシレート誘導体」とは、アシル基がセルロースに結合した「セルロースアシレート」に、グラフト鎖(ヒドロキシル基の少なくとも一部が保護されたグラフト鎖)が結合した化合物を意味する。
また、本明細書において、「平均置換度」とは、グルコース単位においては、グルコース単位の2,3および6位のヒドロキシル基に対する置換度(置換割合)であり、セルロースエステルなどにおける「平均置換度」と同意である。
本発明の新規なグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)は、グラフト鎖を有し、このグラフト鎖のヒドロキシル基がアシル基などにより保護されているので、吸湿性を高いレベルで抑制でき、熱可塑性プラスチックとして成形するのに有用である。また、可塑剤との相溶性や溶剤溶解性に優れ、幅広い範囲の物性(弾性率、伸度など)を向上するのに有用である。さらに、本発明では、吸湿性を高いレベルで抑制でき、熱可塑性プラスチックとして成形するのに有用な新規なグルカン誘導体を、簡便にかつ効率よく製造できる。このような新規なグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)は、吸湿性が著しく抑制されているので、寸法安定性に優れ、繊維、フィルム(特に、光学フィルム)などの成形体を得るのに有用である。
発明の詳細な説明
[グルカン誘導体]
本発明のグルカン誘導体は、アシル基とグラフト鎖とがグルカンのグルコース単位に結合したグルカン誘導体であって、前記グラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部が保護基により保護されている。すなわち、前記グルカン誘導体は、グルカンのグルコース単位(又はグルコース骨格)に含まれるヒドロキシル基(グルコース単位の2,3および6位に位置するヒドロキシル基)に、アシル基と前記グラフト鎖とが置換(結合)しており、前記グラフト鎖のヒドロキシル基(通常、末端ヒドロキシル基)の少なくとも一部が保護基により保護(又はキャップ)されている。
(グルカン)
グルカンとしては、特に限定されず、例えば、β−1,4−グルカン、α−1,4−グルカン、β−1,3−グルカン、α−1,6−グルカンなどが挙げられる。代表的なグルカンとしては、例えば、セルロース、アミロース、デンプン、レンナチン、デキストランなどの多糖類が挙げられる。これらのグルカンうち、産業的な観点から、セルロース、デンプン(又はアミロース)が好ましく、特に、セルロースが好ましい。グルカンは、単独で又は2種以上合わせてもよい。
本発明のグルカン誘導体は、前記のように、グルコース単位のヒドロキシル基を介して、アシル基および特定のグラフト鎖が結合している。なお、後述するように、本発明のグルカン誘導体は、ヒドロキシル基(未置換のヒドロキシル基)を有していてよい。
(アシル基)
アシル基としては、グルカン誘導体の用途に応じて適宜選択でき、例えば、アルキルカルボニル基[例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などのC1-10アルキルカルボニル基(例えば、C2-8アルキルカルボニル基、好ましくはC2-6アルキルカルボニル基、さらに好ましくはC2-4アルキルカルボニル基)など]、シクロアルキルカルボニル基(シクロヘキシルカルボニル基などのC5-10シクロアルキルカルボニル基など)、アリールカルボニル基(ベンゾイル基などのC7-12アリールカルボニル基など)などが挙げられる。アシル基は、単独で又は2種以上組みあわせてグルコース単位に結合していてもよい。これらのアシル基のうち、アルキルカルボニル基が好ましい。特に、これらのアシル基のうち、少なくともアセチル基がグルコース単位に結合しているのが好ましく、例えば、アセチル基のみが結合していてもよく、アセチル基と他のアシル基(C3-4アシル基など)とが結合していてもよい。
特に、グルカン誘導体がセルロースアシレート誘導体である場合、グルコース単位に結合したアシル基をアセチル基と他のアシル基(特にプロピオニル基)とで構成すると、光学特性を保ったまま、熱可塑性や延伸性に適したセルロースアシレート誘導体(セルロースアセテートプロピオネートなど)が得られる。なお、このようなグルコース単位に結合した他のアシル基(プロピオニル基など)は、後述するように、保護工程において導入することもできる。
(グラフト鎖)
前記グルカン誘導体において、グラフト鎖は、ラクトン及びオキシカルボン酸から選択された少なくとも一種のグラフト成分で構成されている。
ラクトンとしては、分子内に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を有する環状化合物であって、グルカンに対してグラフト重合可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、分子内に1つのエステル基を有するラクトン[β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、アルキルカプロラクトン(α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトンなど)などのC3-20ラクトン、好ましくはC4-15ラクトン、さらに好ましくはC5-10ラクトン]、分子内に複数(特に2つ)のエステル基を有するラクトン(グリコリド、ラクチドなどの環状ジエステルなど)などが挙げられる。
オキシカルボン酸(ヒドロキシカルボン酸)としては、脂肪族オキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸などのヒドロキシC2-10アルカンカルボン酸などが例示できる。これらのオキシカルボン酸のうち、熱流動性の観点から、特に、α−ヒドロキシカルボン酸、ω−ヒドロキシカルボン酸が好ましい。
グラフト成分は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。これらのグラフト成分のうち、グラフト重合性の観点から、ラクトン(特に、ε−カプロラクトンなどの分子内に1つのエステル基を有するC4-15ラクトン)が好ましい。
前記グラフト成分で構成されたグラフト鎖は、少なくとも末端に、ラクトン又はオキシカルボン酸由来のヒドロキシル基を有しており、このようなヒドロキシル基はグルカン誘導体の耐湿性を低下させる。本発明では、このようなグラフト鎖のヒドロキシル基を、保護基で保護(又は封鎖又はキャップ)することにより、吸湿性(又は吸水性)を高レベルで抑制し、グルカン誘導体(特にセルロースアシレート誘導体)の耐湿性を向上できる。
(保護基)
保護基としては、ヒドロキシル基を保護可能な非反応性基であれば特に限定されず、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−シクロヘキシル−2−プロピル基、ヘキシル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などの置換基(ハロゲン原子など)を有していてもよいC1-12アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基)など]、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などの置換基を有していてもよいC5-8シクロアルキル基)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ナフチル基などのC6-12アリール基、ベンジル基などのアラルキル基など)、架橋環式炭化水素基(デカリニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基などの置換基を有していてもよい2乃至4架橋環式C3-30炭化水素基)などの炭化水素基;オキサシクロアルキル基(例えば、テトラヒドロフラニル基などの5〜8員オキサシクロアルキル基);アルコキシアルキル基(例えば、1−メトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−メトキシ−イソプロピル基などのC1-6アルコキシ−C1-6アルキル基)などのアセタール系保護基;アルキルカルボニル基(ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、t−ブチリル、バレリル、イソバレリルなどのC1-10アルキルカルボニル基、好ましくはC2-8アルキルカルボニル基、さらに好ましくはC2-6アルキルカルボニル基、特にC2-4アルキルカルボニル基)、シクロアルキルカルボニル基(シクロヘキシルカルボニル基などのC5-8シクロアルキルカルボニル基、好ましくはC5-6シクロアルキルカルボニル基)、アリールカルボニル基(ベンゾイル基などのC6-10アリール−カルボニル基など)などのアシル基(前記例示のアシル基など)などが挙げられる。
なお、前記保護基には、水に対する反応性基[例えば、ケイ素原子にハロゲン原子やアルコキシ基が置換した基(アルコキシシリル基、ハロシリル基など)などの加水分解縮合性基など]は含まれない。
保護基は、単独で又は2種以上組みあわせて、グラフト鎖を保護してもよい。
これらの保護基のうち、非脱離性保護基、例えば、アルキル基、アシル基などが好ましい。特に、グルカン誘導体をフィルム(光学フィルムなど)などに用いる場合、好ましい保護基としては、アシル基[特に、C2-8アルキルカルボニル基(アセチル基など)などのアルキルカルボニル基]などが挙げられる。
好ましいグルカン誘導体は、グルカンとしてのセルロースに、アシル基と前記グラフト鎖(ヒドロキシル基が保護されたグラフト鎖)とが結合したセルロースアシレート誘導体(特に、セルロースアセテート誘導体)である。
本発明のグルカン誘導体(又はグルカン)の粘度平均重合度は、20〜1000(例えば、50〜800)程度の範囲から選択でき、例えば、80〜600(例えば、100〜500)、好ましくは200〜450(例えば、250〜400)、さらに好ましくは270〜380(例えば、280〜350)程度であってもよい。
(アシル基およびグラフト鎖の割合)
前記グルカン誘導体において、グルコース単位に結合したアシル基の平均置換度は、0.5〜2.999の範囲から選択でき、例えば、1〜2.99(例えば、1.5〜2.98)、好ましくは2〜2.97、さらに好ましくは2.5〜2.96、特に2.7〜2.95(例えば、2.8〜2.92)、通常1.5〜2.95(例えば、1.5〜2.90)程度であってもよい。なお、「グルコース単位に結合したアシル基」とは、グルコース由来のヒドロキシル基(2,3および6位のヒドロキシル基)に置換したアシル基を意味し、グラフト鎖のヒドロキシル基を保護する保護基としてのアシル基を含まない。
また、グルコース単位に結合したアシル基がアセチル基と他のアシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基などのC3-6アルキルカルボニル基、好ましくはC3-4アルキルカルボニル基など)とで構成されたグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3-6アシレート)において、アセチル基と他のアシル基との割合(又はアセチル基の平均置換度と他のアシル基の平均置換度との割合)は、例えば、前者/後者(モル比)=99/1〜1/99、好ましくは95/5〜5/95、さらに好ましくは90/10〜7/93程度であってもよい。特に、アセチル基の置換度を比較的大きくする場合、アセチル基と他のアシル基との割合は、前者/後者(モル比)=99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは94/6〜70/30程度であってもよく、(ii)アセチル基の置換度を比較的小さくする場合、アセチル基と他のアシル基との割合(又は平均置換度の割合)は、前者/後者(モル比)=50/50〜1/99、好ましくは40/60〜3/97、さらに好ましくは20/80〜5/95程度であってもよい。
また、前記グルカン誘導体において、グルコース単位に結合したグラフト鎖(又はヒドロキシル基が保護されたグラフト鎖)の平均置換度は、例えば、0.01〜2(例えば、0.01〜1.5)、好ましくは0.02〜1.2(例えば、0.03〜1)、さらに好ましくは0.05〜0.8、特に0.08〜0.5(例えば、0.09〜0.3)程度であってもよい。
アシル基の平均置換度と前記グラフト鎖の平均置換度との割合は、前者/後者=0.1/0.9〜0.995/0.005(例えば、0.3/0.7〜0.992/0.008)、好ましくは0.5/0.5〜0.99/0.01、さらに好ましくは0.6/0.4〜0.98/0.02程度であってもよい。
なお、アシル基の平均置換度とグラフト鎖の平均置換度の合計(総平均置換度)は、3に近い値であり、例えば、2.5〜3、好ましくは2.7〜2.999、さらに好ましくは2.9〜2.998、特に2.95〜2.995程度であってもよい。
また、前記グルカン誘導体のグラフト鎖において、保護基の割合(又はグラフト鎖のヒドロキシ基の保護割合)は、グラフト鎖1モルに対して、0.7〜1モルの範囲から選択でき、例えば、0.9〜1モル、好ましくは0.95〜0.999モル、さらに好ましくは0.97〜0.998(例えば、0.98〜0.997)程度であってもよい。
なお、前記グルカン誘導体は、耐湿性を損ねない範囲であれば、ヒドロキシル基(例えば、未置換及び/又は未保護のヒドロキシル基)を有していてもよい。例えば、前記グラフト鎖のヒドロキシル基は、少なくとも一部において保護されていればよく、保護基により保護されていないヒドロキシル基を含んでいてもよい。また、前記グルカン誘導体は、グルコース単位のヒドロキシル基(未置換のヒドロキシル基)を有していてもよい。このようなヒドロキシル基は、多すぎると前記グルカン誘導体の耐湿性を低下させる虞がある。
そのため、前記グルカン誘導体において、このようなヒドロキシル基(例えば、グルコース単位のヒドロキシル基および/またはグラフト鎖のヒドロキシル基など)の割合(濃度)は、できるだけ少ないのが好ましく、グルカン誘導体を構成するグルコース単位1モルに対して、0〜0.5モルの範囲から選択でき、例えば、0〜0.2モル、好ましくは0.001〜0.1モル、さらに好ましくは0.003〜0.05モル(例えば、0.005〜0.01モル)程度であってもよい。特に、前記グルカン誘導体において、グラフト鎖のヒドロキシル基(保護基により保護されていないヒドロキシル基)の割合は、グラフト鎖1モルに対して、0〜0.3モルの範囲から選択でき、例えば、0〜0.1モル、好ましくは0.001〜0.05モル、さらに好ましくは0.002〜0.03モル(例えば、0.003〜0.02モル)程度であってもよい。
本発明のグルカン誘導体では、このように極めて高レベルでグルカン誘導体のヒドロキシル基がアシル化及び/又は保護されているので、吸湿性を著しく抑制しつつ、熱可塑性プラスチックとして好適に利用できる(例えば、熱成形できる)。
前記グラフト鎖の数平均重合度(又はグラフト鎖を構成するグラフト成分の平均モル数)は、グラフト鎖あたり、0.5〜300の範囲から選択でき、例えば、1〜100、好ましくは1.5〜80、さらに好ましくは1.8〜50(例えば、2〜30)、特に5〜25(例えば、10〜20)程度であってもよい。また、グラフト成分の置換モル数は、グルカン誘導体を構成するグルコース単位1モルあたり、平均0.05〜100モルの範囲から選択でき、例えば、0.08〜50モル、好ましくは0.1〜30モル、さらに好ましくは0.15〜10モル(例えば、0.2〜5モル)程度であってもよい。
さらに、前記グルカン誘導体において、グラフト率[(グラフト鎖の重量/グルカンの重量)×100(%)]は、例えば、1〜500%、好ましくは5〜300%、さらに好ましくは8〜200%程度であってもよい。
なお、グルカン誘導体において、アシル基やグラフト鎖の置換度、ヒドロキシル基濃度、グラフト成分の割合などは、慣用の方法、例えば、核磁気共鳴スペクトル(NMR)(1H−NMR、13C−NMRなど)などを用いて測定できる。
[グルカン誘導体の製造方法]
本発明のグルカン誘導体は、グルカンにアシル基および前記グラフト鎖を結合させ、前記グラフト鎖のヒドロキシル基を保護基に対応する保護剤を用いて保護することにより得ることができる。アシル基の結合、グラフト鎖の結合および保護剤による保護の順序は限定されず、例えば、(i)アシル基が結合したアシル化グルカン(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート)に、前記グラフト成分をグラフトさせたのち、グラフト鎖のヒドロキシル基を前記保護剤を用いて保護してもよく、(ii)グルカンに前記グラフト成分をグラフトし、グラフト鎖のヒドロキシル基を前記保護剤を用いて保護したのち、アシル基を結合させてもよく、(iii)グルカンに前記グラフト成分をグラフトし、アシル基を結合させたのち、前記グラフトにより生成したグラフト鎖のヒドロキシル基を前記保護剤を用いて保護してもよい。
本発明では、効率よくグルカン誘導体を製造するという観点から、通常、上記方法(i)によりグルカン誘導体を製造する場合が多い。すなわち、前記グルカン誘導体は、通常、アシル基がグルコース単位に結合したグルカン(アシル化グルカン)に、前記グラフト成分をグラフト化する工程(グラフト化工程)と、このグラフト化により生成したグラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部を、保護基に対応する保護剤を用いて保護する工程(保護工程)とを含む場合が多い。
(グラフト化工程)
グラフト化工程において、アシル基がグルコース単位に結合したアシル化グルカン(セルロースアシレートなど)は、市販の化合物(例えば、セルロースアセテートなど)を使用してもよく、慣用の方法により合成してもよい。例えば、セルロースアシレートは、通常、セルロースをアシル基に対応する有機カルボン酸(酢酸など)により活性化処理した後、硫酸触媒を用いてアシル化剤(例えば、無水酢酸などの酸無水物)によりトリアシルエステル(特に、セルローストリアセテート)を調製し、過剰量のアシル化剤(特に、無水酢酸などの酸無水物)を分解し、脱アシル化又はケン化(加水分解又は熟成)によりアシル化度を調整することにより製造できる。アシル化剤としては、酢酸クロライドなどの有機酸ハライドであってもよいが、通常、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのC2-6アルカンカルボン酸無水物などが使用できる。
なお、一般的なセルロースアシレートの製造方法については、「木材化学(上)」(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁)を参照できる。また、他のグルカン(例えば、デンプンなど)についても、セルロースアシレートの場合と同様の方法でアシル化(および脱アシル化)できる。
グラフト化工程に用いるアシル化グルカンは、目的生成物としてのグルカン誘導体に対応するアシル置換度を有するグルカンであってもよく、目的生成物よりも低いアシル置換度を有するグルカンであってもよい。例えば、目的生成物が、前記グラフト鎖が結合したセルローストリアセテート(例えば、アセチル基の平均置換度2.8〜2.9程度)である場合、よりアシル置換度が小さいセルロースアセテート[例えば、平均置換度2.35〜2.55(特に、2.4〜2.5)程度のセルロースジアセテート]をグラフト工程に用い、グラフト化後の適当な段階において[通常、保護工程後、又は保護工程と並行(又は連続)して]、さらにアシル化してもよい。上記のような低いアシル置換度を有するグルカン(例えば、セルロースジアセテート)は、有機溶媒に対する溶解性に優れるため、様々な溶媒に対して高濃度に溶解させることができ、グラフト化反応に有利である。
以上のような理由で、アシル化グルカンとして、グルコース単位に残存するヒドロキシル基を有するアシル化グルカンを使用してもよい。そのため、グラフト工程に用いるアシル化グルカンの平均置換度(アシル基の平均置換度)は、例えば、0.8〜2.8(例えば、1〜2.75)、好ましくは1.5〜2.7、さらに好ましくは2〜2.6(例えば、2.3〜2.5)程度であってもよい。また、グラフト工程に用いるアシル化グルカンにおいて、ヒドロキシル基(残存するヒドロキシル基、グルコース単位のヒドロキシル基)の割合は、グルカンのグルコース単位1モルに対して、例えば、0.2〜2.2モル(例えば、0.25〜2モル)、好ましくは0.3〜1.5モル、さらに好ましくは0.4〜1モル(例えば、0.5〜0.7モル)程度であってもよい。なお、目的生成物(前記グルカン誘導体)は、このような残存するヒドロキシル基(又はその少なくとも一部)を、後述する保護工程や保護工程後において、さらにアシル化することにより得ることができる。
グラフト化は、グラフト成分の種類にもよるが、環状エステルの開環反応(開環重合)に用いられる触媒、例えば、有機酸類、無機酸類、有機スズ化合物又は有機酸スズ塩(ジブチルチンラウレートなど)、塩化スズ、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、有機アルミニウム化合物(アルキルアルミニウム塩など)、有機チタン化合物(テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのテトラアルコキシチタンなど)、有機ジルコニウム化合物などの触媒の存在下で行ってもよい。触媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。また、グラフト化は、無溶媒又は溶媒中で行ってもよく、通常、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、後述の溶媒、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類であってもよく、前記グラフト成分(例えば、ラクトン類)を溶媒に用いてもよい。
さらに、グラフト化は、常温又は加温下、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、グラフト化は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよい。なお、グラフト化条件(触媒の種類、溶媒、グラフト化温度など)については、前記特許文献3〜5などを参照できる。
(保護工程)
保護工程では、前記グラフト化(グラフト化工程)により生成したグラフト鎖のヒドロキシル基を、保護基に対応する保護剤を用いて保護する。すなわち、アシル基および前記グラフト鎖を有するグルカンと保護剤とを反応させることにより、グラフト鎖のヒドロキシル基(ヒドロキシル基の少なくとも一部)を保護(又はキャップ)する。
保護剤としては、保護基に対応する化合物(又は保護基を有する化合物)であって、前記ヒドロキシル基と反応して結合を形成可能な化合物であれば特に限定されない。例えば、保護基がアルキル基である場合には、金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシドなどのナトリウムアルコキシド)などを保護剤として用いることができ、保護基がアシル基である場合には、アシル化剤などを保護剤として好適に用いることができる。特に、保護剤としてアシル化剤を使用すると、残存するヒドロキシル基を有するアシル化グルカンのアシル化も行うことができる。
保護剤として用いるアシル化剤としては、酸ハライド(例えば、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライドなどのアルキルカルボニルクロライドなど)、酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸など)の他、アルケニルアシレート[例えば、1−アルケニルアシレート(例えば、酢酸イソプロペニルなどのC2-6アルカンカルボン酸イソプロペニルエステル)]なども含まれる。特に、1−アルケニルアシレート(酢酸イソプロペニルなど)をアシル化剤として使用すると、保護(アシル化)後に生成する副生物が、対応するケトン(例えば、アセトン)であるため、グルカン誘導体の回収や精製を簡略化できる。保護剤(例えば、アシル化剤)は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
保護剤の使用量は、グラフト鎖のヒドロキシル基1モルに対して、0.9〜8モル(例えば、1〜6モル)、好ましくは1.2〜5モル、さらに好ましくは1.5〜4モル程度であってもよい。
保護工程では、前記グルカンと保護剤との反応において、触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、塩基触媒{例えば、金属水酸化物(水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩など)などの無機塩基;アミン類[例えば、第3級アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミンなど]、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)などの有機塩基など}、酸触媒{例えば、無機酸(硫酸など)、有機酸[例えば、有機スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)、有機カルボン酸(酢酸など)など]など}などが挙げられる。触媒は単独で又は2種以上組みあわせてもよい。触媒の使用量は、前記グラフト鎖のヒドロキシル基1モルに対して、0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.8モル、さらに好ましくは0.05〜0.5モル程度であってもよい。
また、前記グルカンと保護剤との反応は、無溶媒又は溶媒(保護剤に対して非反応性の溶媒)中で行ってもよい。溶媒としては、保護剤に対して非反応性の溶媒であればよく、例えば、エーテル類(ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン類、シクロヘキサノンなど)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、窒素含有溶媒(ピリジンなど)などが挙げられる。溶媒は単独で又は2種以上組みあわせてもよい。溶媒の使用量は、例えば、前記グルカン1重量部に対して、0.3〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度であってもよい。
前記グルカンと保護剤との反応は、常温下又は加温下で行ってもよく、通常、加温下で行ってもよい。加温する場合、反応温度は、40〜150℃、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜110℃程度であってもよい。また、前記グルカンと保護剤との反応は、常圧下又は加圧下で行ってもよい。さらに、前記反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよい。なお、反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、さらに好ましくは1〜10時間程度であってもよい。
なお、保護工程は、前記グラフト化工程で得られた生成物(アシル基および前記グラフト鎖を有するグルカン)を分離(及び精製)し、この分離(及び精製)したグラフト生成物と保護剤とを反応させてもよく、前記グラフト化工程と同一の反応系で連続して行ってもよい。保護工程を同一の反応系で行う場合、反応系の粘度を下げるため、必要に応じて、溶媒を添加してもよく、グラフト化工程において予め多量又は過剰量のグラフト成分(例えば、ラクトン)を使用し、この過剰量のグラフト成分を保護工程における溶媒として用いてもよい。
また、前記グラフト工程において、アシル化グルカンとして、グルコース単位に残存するヒドロキシル基を有するアシル化グルカンを使用する場合(又は目的生成物よりもアシル置換度の低いアシル化グルカンを使用した場合)には、さらに、目的生成物に対応するアシル化(グルコース単位のヒドロキシルのアシル化)を行うことができる。このようなグルコース単位のヒドロキシル基のアシル化は、保護工程の後の適当な段階で行ってもよい。このようなアシル化は、保護工程後の生成物を分離(及び精製)し、この分離(及び精製)物とアシル化剤とを、前記と同様の方法で反応させることにより行ってもよく、保護工程と同一の反応系で行ってもよい。例えば、保護工程の終了後、保護工程と同一の反応系にアシル化剤を添加して、さらにグルコース単位のヒドロキシル基のアシル化を行ってもよい。
一方、前記保護剤としてアシル化剤を使用する場合には、グラフト鎖のヒドロキシル基を保護(アシル化)するとともに、アシル化グルカンの残存するヒドロキシル基(グルカンのグルコース単位のヒドロキシル基)をアシル化することもできる。すなわち、保護剤としてアシル化剤を用いることにより、保護工程において、グラフト鎖のヒドロキシル基(又はその少なくとも一部)をアシル化するとともに、前記アシル化グルカンの残存するヒドロキシル基(又はその少なくとも一部)をアシル化することができる。このようなアシル化剤としては、代表的には、酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸など)などを挙げることができる。特に、残存ヒドロキシル基を有するアシル化グルカンを、無水プロピオン酸を含むアシル化剤でアシル化する場合には、アシル化グルカンの残存するヒドロキシル基をプロピオニル化することができるので、熱成形性や延伸性を向上できる。
保護剤としてアシル化剤を使用し、同一の反応系で保護およびアシル化を行う場合、保護工程(およびアシル化)におけるアシル化剤の使用量は、グルコース単位のヒドロキシル基及びグラフト鎖のヒドロキシル基の総量1モル(すなわち、残存するヒドロキシル基1モル)に対して、0.9〜5モル、好ましくは1〜4.5モル、さらに好ましくは1.2〜4モル程度であってもよい。
なお、反応終了後(保護工程後)の反応混合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、中和、沈澱などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。特に、触媒として、塩基触媒や酸触媒を使用した場合には、生成したグルカン誘導体の安定性を向上させるため、これらの触媒を適当な中和剤により中和してもよい。また、反応(グラフト工程、保護工程)において使用した成分(例えば、溶媒、グラフト成分など)は、必要に応じて、蒸留などの操作により回収してもよい。
このようにして得られるグルカン誘導体は、熱可塑性プラスチックとして利用でき、粉粒状、ペレット(樹脂ペレット、マスターバッチペレットなど)状、溶媒を含む組成物(ドープ、コーティング組成物など)などの形態で使用できる。
前記グルカン誘導体は、樹脂組成物を構成してもよい。このような樹脂組成物において、グルカン誘導体は、単独で又は2種以上組みあわせて使用できる。また、前記樹脂組成物は、樹脂成分として、他の樹脂、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、熱可塑性エラストマー、前記範疇に属さないグルカン誘導体(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート)などを含んでいてもよい。他の樹脂は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
前記樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、充填剤(フィラー)又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
[グルカン誘導体の成形体およびその成形法]
本発明のグルカン誘導体(又はその組成物)は、吸湿性が高いレベルで抑制されているとともに、成形性や溶剤溶解性などに優れており、熱可塑性プラスチックとして好適に使用できる。また、本発明では、グラフト鎖の付加量などを調整することにより、幅広い範囲の弾性率や伸度(又は延伸性)を有しているグルカン誘導体を得ることができる。そのため、本発明のグルカン誘導体(セルロースアシレート誘導体)は、種々の成形体(繊維などの一次元的成形体、フィルム、シート、塗膜(又は薄膜)などの二次元的成形体、三次元的成形体など)を成形するのに有用である。なお、シート(又はフィルム)は、単層のシートであってもよく、複数のシートを積層した積層シートであってもよい。このような積層シートにおいて、各シートは、それぞれ弾性率の異なるシートであってもよい。
本発明のグルカン誘導体の成形法としては、特に限定されず、慣用の成形法を適用できる。すなわち、前記グルカン誘導体は、熱可塑性を有しているため、溶融を伴う方法(押出成形、射出成形などの成形法、溶融紡糸法など)であっても効率よく成形できる。特に、グラフト鎖により結晶性が下がるため、可塑剤との相溶性が向上し、溶融を伴う成形を適用しやすくなる。また、溶剤溶解性にも優れているため、溶剤に対する溶解を利用する方法(例えば、溶液成膜法などの成形法、乾式紡糸法など)にも適用できる。特に、高いアシル置換度のグルカン(例えば、セルローストリアセテートなど)などであっても、グラフト鎖により結晶性を低下させて、溶剤溶解性を向上でき、従来のようなハロゲン系溶媒(塩化メチレンなど)を使用しなくても、高アシル置換度のグルカン誘導体(例えば、セルローストリアセテート誘導体)を溶剤に溶解させて成形(例えば、フィルム成形、紡糸など)できる。
そのため、前記グルカン誘導体の成形法としては、公知の成形方法、例えば、押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、塗布法(スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、キャスティング成形法などの溶液成膜法)、紡糸法(溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法など)などを利用して成形できる。
特に、本発明のグルカン誘導体(特に、セルロースアセテート誘導体などのセルロースアシレート誘導体)は、生産性の観点から、射出成形に好適に用いることができる。そのため、本発明には、前記グルカン誘導体(特に、セルロースアシレート誘導体)(又はその組成物)を射出成形することにより得られる成形体(又は成形品)も含まれる。射出成形における成形温度(シリンダー温度)は、特に限定されず、100〜250℃(例えば、100〜220℃)、好ましくは120〜240℃(例えば、120〜200℃)、さらに好ましくは130〜230℃(例えば、130〜180℃)程度であってもよい。また、金型温度は、特に限定されず、30〜150℃程度の範囲から選択でき、例えば、40〜120℃、好ましくは45〜110℃(例えば、50〜100℃)程度であってもよい。
また、本発明のグルカン誘導体[特に、グルカンとしてセルロースを使用して得られるセルロースアシレート誘導体(例えば、セルロースアセテート誘導体)]は、溶融紡糸や乾式紡糸などの方法により効率よく紡糸できるので、繊維を構成するのに有用である。
繊維は、慣用の方法、例えば、グルカン誘導体(特に、セルロースアシレート誘導体)の溶液(ドープ)を前記紡糸法により紡糸し、溶媒を除去することにより製造できる。前記繊維の繊度は、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは2〜8デニール程度である。前記繊維の断面形状は、特に制限されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。
なお、ドープを調製するための有機溶媒は、塩素系有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど)であってもよく非塩素系有機溶媒であってもよい。本発明のグルカン誘導体(セルロースアシレート誘導体)は溶解性が高く、非塩素系有機溶媒に容易に溶解する。非塩素系有機溶媒としては、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上混合して使用でき、塩素系溶媒と非塩素系溶媒とを混合して使用してもよい。さらに、前記繊維は、非捲縮繊維であってもよく、捲縮繊維であってもよい。なお、溶媒の除去は、加熱条件、例えば、70〜200℃程度の温度で行うことができる。
さらに、前記グルカン誘導体[特に、前記セルロースアシレート誘導体(例えば、セルロースアセテート誘導体)]は、機械的特性、成形性などに優れ、寸法安定性にも優れているので、種々のフィルムを構成するのに有用である。しかも、このようなセルロースアシレート誘導体は、光学特性(低複屈折、透明性、光学的等方性など)に優れているので、光学材料、特に光学フィルムを形成するのに有用である。グルカン誘導体のフィルム(特に、セルロースアシレート誘導体のフィルム)の製造方法は、溶融製膜方法(押出成形法など)および溶液製膜方法(流延法又はキャスティング法など)のいずれであってもよいが、溶液製膜方法により平面性に優れたフィルムを製造してもよい。
溶液製膜方法において、フィルムは、グルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)と有機溶媒とを含むドープ(又は有機溶媒溶液)を剥離性支持体に流延し、生成した膜を剥離性支持体から剥離して乾燥することにより製造できる。
剥離性支持体は、通常、金属支持体(ステンレススチールなど)であり、ドラム状やエンドレスベルト状であってもよい。支持体の表面は、通常、鏡面仕上げされ平滑である。
ドープを調製するための有機溶媒は、前記と同様であり、塩素系有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルムなど)であってもよく、非塩素系有機溶媒であってもよい。本発明のグルカン誘導体(セルロースアシレート誘導体)は溶解性が高く、非塩素系有機溶媒に容易に溶解するため、非塩素系有機溶媒のドープを好適に調製できる。非塩素系有機溶媒としては、前記と同様に、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類などが例示できる。これらの溶媒は単独で又は二種以上混合して使用できる。
ドープには、種々の添加剤、例えば、可塑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤など)、滑剤(微粒子状滑剤)、難燃剤、離型剤などを添加してもよい。また、ドープには、レタデーション上昇剤(特開2001−139621号公報)、剥離剤(特開2002−309009号公報)などを添加してもよい。
なお、ドープは、慣用の方法、例えば、高温溶解法、冷却溶解法などを利用して調製できる。ドープ中のセルロースエステル濃度は、10〜35重量%、好ましくは15〜25重量%(例えば、15〜25重量%)程度であってもよい。また、高品質フィルム(液晶表示装置用フィルムなど)を得るため、ドープは濾過処理してもよい。
流延ダイなどを利用してドープを支持体上に流延し、乾燥することによりフィルムを製造できる。通常、ドープを支持体上に流延し、予備乾燥した後、有機溶媒を含む予備乾燥膜を乾燥することによりフィルムが製造される。
溶融製膜方法では、グルカン誘導体(セルロースアシレート誘導体)を押出機などで溶融混合し、ダイ(Tダイ、リングダイなど)から押出成形し、冷却することによりフィルムを製造できる。溶融混合温度は、例えば、120〜250℃程度の範囲から選択できる。
なお、本発明のグルカン誘導体(通常、セルロースアシレート誘導体)は、前記のように延伸性が高く、延伸倍率(すなわち配向度S)によりフィルムのレタデーション(Re、Rth)を制御しやすい。すなわち、レタデーション(Re、Rth)を制御するため、フィルムは配向していてもよい。フィルムは、慣用の方法(ドロー、延伸など)、例えば、一軸又は二軸により配向させることができ、引き取りロールのドロー比を利用して配向させてもよく、チャックでフィルムの端部を掴んで延伸して配向させてもよい。延伸方法としては、熱延伸が好ましく用いることができ、例えば、溶融製膜方法では、押出機のダイから押し出されるフィルム状溶融物を引き取り、一軸方向に引き延ばしつつ冷却ロールなどの冷却手段により冷却する方法、ダイから押し出されたフィルム状溶融物を冷却し、所定の温度(ガラス転移温度以上の温度であって、融点未満の温度)で延伸する方法などが例示できる。また、溶液製膜方法では、溶媒を含む予備乾燥フィルムを延伸することにより配向させてもよい。フィルムの生産性の観点からは、溶融成膜方法、特に溶融押出成形法が好ましい。また、フィルムは、少なくとも一方の方向(縦又は引き取り方向MD、又は幅方向TD)に配向していればよく、公差又は直交する方向に配向していてもよいが、二軸に延伸するのが最も好ましい。
フィルムの配向度(延伸倍率)は、少なくとも一方の方向に1.2〜8倍、好ましくは1.2〜4倍、さらに好ましくは1.2〜3倍、特に1.4〜2倍程度であり、通常、1.2〜1.8倍程度である。また、二軸延伸フィルムでは、MD方向に1.1〜8倍(例えば、1.1〜5倍、好ましくは1.1〜2倍、さらに好ましくは1.2〜1.5倍)程度、TD方向に1.0〜4倍(例えば、1.0〜3倍、好ましくは1.0〜2倍、さらに好ましくは1.1〜1.5倍)程度であってもよい。
フィルムの厚みは用途に応じて選択でき、例えば、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜100μm(例えば、20〜80μm)、特に20〜40μm程度であってもよい。
本発明のグルカン誘導体(例えば、セルロースアシレート誘導体)は、熱可塑性プラスチックとして好適に使用でき、吸湿性が高いレベルで抑制されているため、成形体において、寸法安定性を向上できる。しかも、可塑剤との相溶性や溶解溶剤性が高く、成形性(例えば、射出成形性)が高い。また、グラフト鎖を調整することにより、幅広い範囲の弾性率や伸度を有する成形体を得ることができる。そのため、本発明のグルカン誘導体(例えば、セルロースアシレート誘導体)は、種々の成形体、例えば、繊維、各種フィルム(包装用フィルム、光学フィルムなど)又はシートなどとして好適に利用できる。
本発明のグルカン誘導体で構成された成形体(又は成形品、例えば、射出成形品)は、各種用途、例えば、オフィスオートメーション(OA)・家電機器分野、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、自動車などの輸送車両分野、家具・建材などの住宅関連分野、雑貨分野などの各パーツ、ハウジングなどに好適に使用することができる。
特に、本発明のグルカン誘導体(特に、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート誘導体)又はそのフィルムは、光学的特性に優れるため、種々の光学フィルム、例えば、カラーフィルタ、写真感光材料の基材フィルム、液晶表示装置用フィルムなどとして利用できる。特に、本発明のフィルムは、偏光板の保護フィルム(例えば、偏光膜の少なくとも一方の面、特に両面の保護フィルム)、液晶表示装置用光学補償フィルム(位相差フィルムなど)として有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、商品名「酢酸綿 L40」、アセチル平均置換度2.45)100gおよびε−カプロラクトン190gをセパラブルフラスコに加え、140℃まで加熱して溶解させた。トリオクチル酸ブチルスズ0.14gおよびε−カプロラクトン10gを含む溶液を前記セパラブルフラスコに添加し、180℃で5時間反応(グラフト重合)させた。
得られたグラフト物5.0gを、脱水したピリジン50gに室温で溶解し、室温で無水酢酸0.66gを添加した後、昇温し、75℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、生成物をメタノールに沈澱させ、よく洗浄したのち、真空乾燥した。得られたセルロースアセテート誘導体(精製物)の収量は4.9gであった。
得られたセルロースアセテート誘導体を、NMRにより分析したところ、グルコース単位に結合したアセチル基の平均置換度は2.82、グラフト鎖の平均置換度は0.18、グラフト鎖のヒドロキシル基のアセチル平均置換度は0.18(又はグラフト鎖のヒドロキシル基のアセチル基による保護割合はグラフト鎖1モルに対して1.00モル、すなわち、グラフト鎖のヒドロキシル基の全部がアセチル化されていた)、グルコース1モルあたりのε−カプロラクトンの平均置換モル数(付加モル数)は3.30モル、グラフト率は131%、グラフト鎖の数平均重合度は18.25であり、グルコース単位1個あたりに導入されたエステル結合のモル濃度は9.47mmol/gであった。
(実施例2)
酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、商品名「酢酸綿 L−40」、アセチル平均置換度2.45)50g、ε−カプロラクトン66.4g、およびキシレン20gをセパラブルフラスコに加えた、140℃まで加熱して溶解させた。テトライソプロピルチタネート0.1gおよびキシレン4.4gを含むキシレン溶液を、滴下ロートにより、前記セパラブルフラスコに添加し、140℃で5時間反応(グラフト重合)させた。反応後、125℃でさらに34.4gのキシレンを添加した。さらに60℃まで冷却し、メタンスルホン酸1.35gおよびキシレン6gを含むキシレン溶液を10分かけて滴下し、65℃で15分間、さらに昇温して85℃で1時間40分反応させた。さらに、イソプロペニルアセテート52gを15分かけて滴下し、攪拌下、85℃で4時間40分反応させたのち、冷却し、65〜70℃で中和のため、ピリジン1.3gを滴下して十分に混合したのち、4Lのメタノールに生成物を沈澱させたのち、メタノールを含む溶媒成分をデカンテーションで除去し、さらにメタノール2Lを加え、一夜放置したのち、デカンテーションで溶媒成分を除去した。なお、生成物を含むメタノール混合物は黄色に着色していた。さらに、約1Lのメタノールを用いて、2時間浸せきする操作を三回繰り返し、ろ過し、真空乾燥することによりセルロースアセテート誘導体(精製物)を得た。
得られたセルロースアセテート誘導体を、NMRにより分析したところ、グルコース単位に結合したアセチル基の平均置換度は2.90、グラフト鎖の平均置換度は0.10、グラフト鎖のヒドロキシル基のアセチル平均置換度は0.10(又はグラフト鎖のヒドロキシル基のアセチル基による保護割合はグラフト鎖1モルに対して1.00モル、すなわち、グラフト鎖のヒドロキシル基の全部がアセチル化されていた)、グルコース1モルあたりのε−カプロラクトンの置換モル数(付加モル数)は0.23モル、グラフト率は9.0%、グラフト鎖の数平均重合度は2.35であり、グルコース単位1個あたりに導入されたエステル結合のモル濃度は10.27mmol/gであった。
(実施例3)
酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、商品名「酢酸綿L−20」、アセチル平均置換度2.45)100g、ε―カプロラクトン100g、およびシクロヘキサノン134gをセパラブルフラスコに加え、140℃まで加熱して溶解させた。トリオクチル酸ブチルスズ0.25gおよびシクロヘキサノン10gを含む溶液を前記セパラブルフラスコに添加し、160℃で2時間反応(グラフト重合)させた。
得られたグラフト物5.0gを、脱水したピリジン50gに室温で溶解し、室温で無水プロピオン酸50g、ジメチルアミノピリジン0.5gを添加し、100℃で1時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、生成物をメタノールに沈殿させ、よく洗浄したのち、真空乾燥した。得られたセルロースアセテート誘導体(精製物)の収量は5.1gであった。
得られたセルロースアセテート誘導体を、NMRにより分析したところ、グルコース単位に結合したアセチル基の平均置換度は2.45、グルコース単位に結合したプロピオニル基の平均置換度は0.40、グラフト鎖の平均置換度は0.15、グラフト鎖のヒドロキシル基のプロピオニル平均置換度は0.15(又はグラフト鎖のヒドロキシル基のプロピオニル基による保護割合はグラフト鎖1モルに対して1.00モル)であり、グラフト鎖のヒドロキシル末端も全てプロピオニル化されていることが確認された。グルコース1モルあたりのε―カプロラクトンの平均置換モル数(付加モル数)は1.94モル、グラフト率は80.0%グラフト鎖の数平均重合度は12.9であり、グルコース単位1個当たりに導入されたエステル結合のモル濃度は9.55mmol/gであった。


Claims (11)

  1. アシル基と、ラクトン及びオキシカルボン酸から選択された少なくとも一種のグラフト成分で構成されたグラフト鎖とがセルロースのグルコース単位に結合したセルロース誘導体であって、前記グラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部がアシル基により保護されたセルロース誘導体。
  2. グラフト鎖がC4−16ラクトンで構成されている請求項1記載のセルロース誘導体。
  3. グルコース単位に結合したアシル基の平均置換度が1〜2.99であり、グラフト鎖の平均置換度が0.01〜2である請求項1記載のセルロース誘導体。
  4. グルコース単位に結合したアシル基が少なくともアセチル基で構成されており、前記アシル基の平均置換度が1.5〜2.95であり、C5−10ラクトンで構成されたグラフト鎖の平均置換度が0.05〜0.8である請求項1記載のセルロース誘導体。
  5. グルコース単位に結合したアシル基の平均置換度とグラフト鎖の平均置換度との割合が、前者/後者=0.3/0.7〜0.992/0.008であり、アシル基の平均置換度とグラフト鎖の平均置換度との合計が2.5〜3である請求項1記載のセルロース誘導体。
  6. アシル基がグルコース単位に結合したアシル化セルロースに、ラクトン及びオキシカルボン酸から選択された少なくとも一種のグラフト成分をグラフト化する工程と、このグラフト化により生成したグラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部を、アシル化剤を用いて保護する工程とを含む請求項1記載のセルロース誘導体の製造方法。
  7. アシル化剤がイソプロペニルアセテートである請求項記載の製造方法。
  8. アシル化セルロースとして、グルコース単位に残存するヒドロキシル基を有するアシル化セルロースを使用するセルロース誘導体の製造方法であって、アシル化剤を用いることにより、保護工程において、グラフト鎖のヒドロキシル基の少なくとも一部をアシル化するとともに、前記グルコース単位に残存するヒドロキシル基をアシル化する請求項記載の製造方法。
  9. 請求項1記載のセルロース誘導体を射出成形することにより得られる成形体。
  10. 請求項1記載のセルロース誘導体で構成されたフィルムであって、セルロース誘導体がセルロースアシレート誘導体であるフィルム。
  11. 液晶表示装置用光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムである請求項10記載のフィルム。
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