JP5679691B2 - 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 - Google Patents
樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5679691B2 JP5679691B2 JP2010103587A JP2010103587A JP5679691B2 JP 5679691 B2 JP5679691 B2 JP 5679691B2 JP 2010103587 A JP2010103587 A JP 2010103587A JP 2010103587 A JP2010103587 A JP 2010103587A JP 5679691 B2 JP5679691 B2 JP 5679691B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- resin
- decorative
- film
- resin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
Description
とりわけ、成形体の最表面を、支持体としての基材と、基材上に意匠を施すための意匠層を備える加飾フィルムで加飾して加飾成形品を得る方法は、そのまま成形体表面にインク等を使って表面に印刷する方法よりも、より意匠の自由度が高く、たとえば三次元的な凹凸を有する成形体表面にも容易に加飾することが可能であるといった利点を有する。
1つは成形体が樹脂成形体の場合のみ用いられる、射出成形同時貼合法と呼ばれる手法である。この射出成形同時貼合法は、さらに2つに分けられる。1つは、加飾フィルムを、射出成形の雌雄金型間に挿入し、その金型の一方の側から溶融樹脂を射出して、射出成形体を形成すると同時にその成形体に上記のフィルムを貼合する方法であり、これはインモールド法とも呼ばれることがある。もう1つの方法は、加飾フィルムを、真空成形や圧空成形等により予備賦形してから射出成形金型内に挿入し、そこに溶融樹脂を射出して、加飾フィルムと一体成型する方法である。これはインサートモールド法とも呼ばれることがある。このような射出成形同時貼合法は、例えば、特開昭59−31130号公報(特許文献1)、特開昭62−196113号公報(特許文献2)、特開平7−9484号公報(特許文献3)等にて提案されている。
また、環境意識の高まりから加飾フィルムの基板としてポリ乳酸系フィルムを用いることも特開2005−15783号公報(特許文献6)にて提案されている。
しかしながら、ポリ乳酸系フィルムを用いた加飾フィルムは、加飾成形品において、透明性等が劣るという技術課題がある。
即ち、印刷等の意匠を施した加飾フィルムは、成形体と一体化されて最表面を飾るためのフィルムであるため、特に、透明性が要求される。
即ち、本発明の第1の目的は、
1.ポリ乳酸(A成分)を含む樹脂フィルムであって、当該ポリ乳酸(A成分)が、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分を含むポリ乳酸であり、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含み、その環状構造を直接構成する原子の数が8〜50の範囲にある化合物(C成分)を含み、ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上で、MD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%且つ100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜100MPaの範囲にあることを特徴とする、樹脂フィルムによって達成することができる。
{ステレオコンプレックス結晶化度(S)は示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(△Hmsc)より次式(I)により求めた。
[数1]
(S)=〔△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)〕×100 (I)}
2.MD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%且つ100%伸張時応力(100℃測定値)が0.5〜25MPaの範囲にある、上記1に記載の樹脂フィルム。
3.樹脂フィルムが、さらにアクリル系樹脂(B成分)を含む、上記1または2記載の樹脂フィルム。
4.樹脂フィルムが、ポリ乳酸(A成分)、アクリル系樹脂(B成分)及びカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含む、上記1または2記載の樹脂フィルム。
6.Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である上記5記載の樹脂フィルム。
8.Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である上記7記載の樹脂フィルム。
10.Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基である、上記9記載の樹脂フィルム。
11.Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである、上記9または10記載の樹脂フィルム。
13.Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基である上記12記載の樹脂フィルム。
14.Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである上記12または13記載の樹脂フィルム。
15.上記1〜14のいずれか記載の樹脂フィルムを基板とし、該基板上に意匠層を備える加飾フィルムによって達成される。
上記の発明には以下も包含される。
16.基板が略非結晶状態である、上記15記載の加飾フィルム。
17.成形体の表面に上記15記載の加飾フィルムが積層一体化されてなる加飾成形品によって達成される。
上記の発明には以下も包含される。
18.成形体が樹脂成形体である、上記17記載の加飾成形品。
19.樹脂成形体がステレオコンプレックスポリ乳酸を含む、上記18記載の加飾成形品。
20.上記17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
21.上記17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体との貼合を加飾フィルムを加熱した状態で、真空下に成形体表面と接触させることによって行い、且つ、加熱前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
22.上記18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合を、加飾フィルムを予備賦形した後に射出成形の金型内に挿入し、ついで成型物材料となる樹脂を金型内に射出するインサートモールド法によって行い、且つ、予備賦形前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、
23.上記17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態にないものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法、によって達成することができる。
<樹脂フィルム>
本発明における、樹脂フィルムは、ポリ乳酸(A成分)を含む樹脂フィルムであって、当該ポリ乳酸(A成分)が、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分を含むポリ乳酸であり、ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上で、MD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%且つ100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜100MPaの範囲にあることを特徴とする。
{ステレオコンプレックス結晶化度(S)は示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(△Hmsc)より次式(I)により求めた。
[数2]
(S)=〔△Hmsc / (△Hmh +△Hmsc)〕×100 (I)}
フィルム破断伸度(100℃測定値)は破断時の長さから引張前のサンプル長を引いた値を引張前のサンプル長で割った値の%として算出した。100%伸長時応力(100℃測定値)は荷伸曲線の100%伸張時の荷重を引張前のサンプル断面積で割って算出(MPa)した。
本発明において、樹脂フィルムは、ポリ乳酸(A成分)を含む。ポリ乳酸(A成分)は、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分を含み、ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上である。
未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(ΔHmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(ΔHmsc)より次式(I)により求められる値である。
[数3]
(S)=〔ΔHmsc / (ΔHmh + ΔHmsc)〕×100 (I)
ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上である樹脂フィルムを用いると、この樹脂フィルムから得られる加飾フィルム、および、加飾成形品において、表面の透明性を高く保つことができる。また、加飾成形品表面の耐熱性も高いものとなる。
[数4]
ΔHcsc > 1J/g (30)
[数5]
ΔHcsc > 3J/g (31)
さらに好ましくは、
[数6]
ΔHcsc > 5J/g (32)
最も好ましくは、
[数7]
ΔHcsc > 10J/g (33)
である。
より好ましくは80/20から20/80、さらに好ましくは30/70から70/30、とりわけ好ましくは40/60から60/40の範囲であり、理論的には1/1にできるだけ近い方が好ましく選択される。
例えば、L‐ラクチドまたはD‐ラクチドを金属含有触媒の存在下、開環重合することにより製造することができる。また金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を、所望により結晶化させた後、あるいは結晶化させることなく、減圧下または常圧から加圧下、不活性ガス気流の存在下、あるいは非存在下、固相重合させ製造することもできる。さらに有機溶媒の存在または非存在下、乳酸を脱水縮合させる直接重合法により製造することができる。
なかでもスズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種の金属を含有する脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラートが好ましい。
なかでも、スズ(II)化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ステアリン酸スズ(II)、塩化スズ(II)などが好適に例示される。
かかる失活剤としては例えばイミノ基を有し且つ重合金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式 xH2O・yP2O5で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体などが例示される。
具体的には、ポリ乳酸は、300℃を超える温度で成形を行うと樹脂の熱分解のためフィルム品が着色し、商品としての価値が低いものとなってしまう可能性が高い。
結晶化核剤の使用量はポリ乳酸に対し0.05から5wt%、より好ましくは0.06から2wt%、さらに好ましくは0.06から1wt%の範囲が選択される。
上述のアクリル系樹脂(B成分)は、シクロヘキシルメタクリレート、4−tert−ブチルシクロへキシルメタクリレート、メチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルより選ばれる1種以上の単量体を重合したものである。これらの単量体は、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なかでも、メタクリル酸メチルの単独重合体または他の単量体との共重合体が好ましい。
本発明において、ポリ乳酸成(A成分)、樹脂フィルムに好ましく含めてよいC成分、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物、について説明する。C成分は環状構造を有する(以下、C成分を環状カルボジイミド化合物と略記することがある。)。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(2)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(a)」ということがある。)を挙げることができる。
さらに、本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(3)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(b)」ということがある。)を挙げることができる。
Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(4)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(c)」ということがある。)を挙げることができる。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qcは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
かかる環状カルボジイミド化合物(c)としては、下記化合物を挙げることができる。
Medium−and Large−Membered Rings from Bis(iminophosphoranes):An Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.61,No.13,4289−4299,1996.
New Models for the Study of the Racemization Mechanism of Carbodiimides.Synthesis and Structure(X−ray Crystallography and 1H NMR) of Cyclic Carbodiimides, Pedro Molina etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.43,No8,1944−1946,1978.
Macrocyclic Ureas as Masked Isocyanates, Henri Ulrich etal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.48,No.10,1694−1700,1983.
Synthesis and Reactions of Cyclic Carbodiimides,R.Richteretal.
Journal of Organic Chemistry,Vol.59,No.24,7306−7315,1994.
A New and Efficient Preparation of Cyclic Carbodiimides from Bis(iminophosphoranea)and the System Boc2O/DMAP,Pedro Molina etal.
(上記式中、Ar1およびAr2は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい芳香族基である。E1およびE2は各々独立に、ハロゲン原子、トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基からなる群から選ばれる基である。Araは、フェニル基である。Xは、下記式(i−1)から(i−3)の結合基である。)
本発明の樹脂フィルムには、A,B,C成分以外の熱可塑性樹脂、安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤、充填剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤および耐衝撃性安定剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することができる。本発明に用いられるポリ乳酸は、安定剤を含有することが好ましい。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れたポリ乳酸フィルムを得ることができる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオ−ル−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物として、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス[3−(3’−メチル−5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ジアミン、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4―トリアゾール、N,N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等を挙げることができる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
結晶化促進剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01から30重量部、より好ましくは0.05から20重量部である。
本発明のポリ乳酸フィルムにおいて帯電防止剤は1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。帯電防止剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部に対し、好ましくは0.05から5重量部、より好ましくは0.1から5重量部である。
本発明の樹脂フィルムを得るには、押し出し成形、キャスト成形等の公知の成形手法を用いることができる。例えば、Tダイ、Iダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、製膜することができる。
従って延伸温度としては、Tg−10℃以上がより好ましく、Tg−5℃以上がさらに好ましく、Tc+10℃以下がより好ましく、Tc+5℃以下がさらに好ましい。
熱処理は1秒から30分の範囲で実施することが好ましい。熱処理温度が高いときは相対的に短い時間で、熱固定処理温度が低いときは相対的に長い時間の熱処理を要する。
本発明において、加飾フィルムとは、樹脂フィルムを基板とし、少なくとも該基板上に意匠層を備えたものを意味する。
また、本発明において「意匠層」とは、加飾フィルムがその対象とする成形品に対していわゆる意匠を付与可能な層であればよく、例えば、印刷層、着色層、金属薄膜層、無機薄膜層、表面凹凸を有する賦形層等や、これらの多層構造等を挙げることができ、基板自体で意匠層としての効果を兼ねさせることができれば1層構成としてもよい。
その他、本発明の効果を奏する範囲内であれば、意匠層、接着層、粘着層等に用いられる材料、およびその形成方法は、加飾シートに用いられる公知のものをいずれも採用できる。
加飾成形品の製造方法としては特に限定は無く、射出成形同時貼合法、真空貼合法等が好ましく用いられるが、特に射出成形同時貼合法の一種であるインサートモールド法、真空貼合法がより好ましく用いられる。
[数8]
Sc(%)=〔ΣISCi/(ΣISCi+IHM)〕×100 (II)
[ここで、ΣISCi=ISC1+ISC2+ISC3、ISCi(i=1から3)はそれぞれ2θ=12.0°, 20.7°, 24.0°付近の各回折ピークの積分強度、IHMは2θ=16.5°付近に現れるホモ結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMを表す。]
図1で1は基板(樹脂フィルム)、2は加飾フィルム、3は意匠層、4は接着層または粘着層、5は成形体、6は加飾成形品であり、7は加飾成形品の最表面である。図1で3の意匠層は1と4との間にあるが、1の表面のいずれかまたは両方にあっても良い。
図2で11は基板(樹脂フィルム)、12は意匠層、13は加飾フィルム、14は加飾成形品、15は成形体、7は加飾成形品の最表面である。図2では12の意匠層は13の加飾フィルムの最表面にあるが、11の基板(樹脂フィルム)と15の成形体の間にあっても良い。
本発明において加飾フィルムを貼合して加飾成形品とする対象の成形体としては、金属成形体、樹脂成形体のいずれも採用することができる。樹脂成形体として用いられる樹脂としては特に限定は無く、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族のポリケトン樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
樹脂成形体の製法としては特に限定は無く、目的に応じて、圧縮成形法、射出成形法、回転成形法、注入成形、反応射出成形等が選択されるが、成形性、生産性の観点から好ましくは射出成形法である。樹脂成形体の射出成形において加飾フィルムと同時に一体化させる方法であるインモールド成形、インサートモールド成形等を利用してもよい。
(1)ポリL−乳酸(PLLA1)の製造:
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。得られたポリL−乳酸(PLLA1)の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
PLLA1の製造において、L−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更したこと以外は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA1)を得た。得られたポリD−乳酸(PDLA1)の重量平均分子量(Mw)は15.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
上記操作で得られたPLLA1とPDLA1とを各50重量部およびリン酸金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−71:0.1重量部)を、2軸混練装置の第一供給口より供給、シリンダー温度250℃で溶融混練し、ステレオコンプレックスポリ乳酸(SCPLA1)を得た。ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は216℃であった。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを撹拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2 雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
(1)C1:ステレオコンプレックスポリ乳酸;
上記操作で得られたSCPLA1と同じである。
上記操作で得られたSCPLA1とアクリル系樹脂としての三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記することがある。)、商品名「アクリペットVH001」をそれぞれSCPLA1、80重量部、PMMA、20重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してSCPLA1とPMMAとの組成物(C2)を得た。ガラス転移点(Tg)は59℃、融点は216℃であった。
SCPLA1、100重量部、TX1、1.0重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して組成物(C3)を得た。ガラス転移点(Tg)は56℃、融点は215℃であった。
上記操作で得られたSCPLA1、80重量部、三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレート、商品名「アクリペットVH001」20重量部、TX1、1.0重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してブレンド組成物(C4)を得た。ガラス転移点(Tg)は59℃、融点は216℃であった。
上記操作で得られたPLLA1と同じである。
以下に記す樹脂フィルムの評価結果は表1に記す。
(1)樹脂フィルム(F1)の製造:
樹脂C1を100℃で5時間乾燥させた後、225℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度225℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F1−1)を得た。膜厚は100μmであった。その後、この未延伸フィルムをテンター横一軸延伸機により延伸温度75℃、倍率1.2倍にて延伸した後、同設備にて115℃にて熱固定を実施することにより、厚み85μmのフィルム(F1−2)を得た。
樹脂C2を100℃で5時間乾燥させた後、225℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度228℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F2−1)を得た。膜厚は200μmであった。その後、この未延伸フィルムを逐次縦横2軸延伸機により縦延伸の延伸温度75℃、倍率2倍に、横延伸の延伸温度80℃、倍率2倍にて延伸した後、同設備にて135℃にて熱固定を実施することにより、厚み73μmのフィルム(F2−2)を得た。
樹脂C3を100℃で5時間乾燥させた後、226℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度228℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F3−1)を得た。膜厚は120μmであった。フィルム製膜時にイソシアネートガス臭は全くしなかった。その後、この未延伸フィルムをテンター横一軸延伸機により延伸温度75℃、倍率1.2倍にて延伸した後、同設備にて125℃にて熱固定を実施することにより、厚み100μmのフィルム(F3−2)を得た。
樹脂C4を100℃で5時間乾燥させた後、226℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度228℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F4−1)を得た。膜厚は130μmであった。フィルム製膜時にイソシアネートガス臭は全くしなかった。その後、この未延伸フィルムをテンター横一軸延伸機により延伸温度78℃、倍率1.3倍にて延伸した後、同設備にて125℃にて熱固定を実施することにより、厚み105μmのフィルム(F4−2)を得た。
樹脂C5を100℃で5時間乾燥させた後、190℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度193℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルム(F5−1)を得た。膜厚は130μmであった。その後、この未延伸フィルムをテンター横一軸延伸機により延伸温度78℃、倍率1.3倍にて延伸した後、同設備にて145℃にて熱固定を実施することにより、厚み104μmのフィルム(F5−2)を得た。
真空成形用の加飾フィルムにはすべて粘着層を基板とする樹脂フィルムの片面に層厚約25μmで設置した。なお、この粘着層は市販の剥離ポリエステルフィルムに挟まれた高透明粘着シートを用い粘着層を転写することで形成した。
なお、下記の実験例13にて用いる加飾フィルムにおいては、基板としての樹脂フィルム(F1−1)上に黒色の印刷層をスクリーン印刷法にて設け、さらにその上に当該粘着層を同じ方法で形成した。これを加飾フィルムD13とする。
帝人化成(株)製のポリカーボネート(PC)である商品名『パンライトAD5503』を120℃で6時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度280℃、金型温度100℃にて図3の形状を有する樹脂成形体PC−Aを製造した。また、同様の条件にて図4の形状を有する樹脂成形体PC−Bを製造した。いずれも平面概略図の長辺が15cm、短辺が10cmである。なお、本発明で用いた図3、図4の形状を有する樹脂成形体の厚みは約2mmとした。
さらに、上記ステレオコンプレックス結晶を形成し得るポリ乳酸であるC1を110℃で5時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度280℃、金型温度110℃にて図3の形状を有する樹脂成形体scPLA−Aを製造した。
なお、図3で31は樹脂成形体PC−Aで、32は以下説明するヘーズ測定点であり、33は鋭角な折れ曲がりの部分である。一方、図4で41は樹脂成形体PC−Bで、42は以下説明するヘーズ測定点である。
(1)ヘーズ評価:
下記実施例、参考例、比較例においては、樹脂成形体に貼合された樹脂フィルムおよび貼合前の樹脂フィルムの透明性を評価するために、ヘーズ測定を実施した。なお、樹脂成形体においては、図3、4の樹脂成形体の中央部のヘーズ測定点(符号32、符号42)を、ヘーズ測定器の光線と加飾フィルムとを垂直にしてヘーズを測定した。なお、上記方法で製造した樹脂成形体PC−Aのみ、樹脂成形体PC−Bのみを同方法で測定したヘーズは各0.4%であり、ほとんど光散乱の無い透明な状態であるため、この方法により、樹脂フィルムの樹脂成形体への貼合後のヘーズが評価可能である。日本電色工業(株)の商品名『COH−300A』を用いてヘーズ値(%)を評価した。
また、実施例9〜12で用いる樹脂成形体の透明性を確認するために、ポリメチルメタクリレートである商品名『アクリペットVH』を80℃で6時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度240℃、金型温度70℃にて図4の形状を有する樹脂成形体を射出した。上記と同様にヘーズを測定した結果、ヘーズ値は0.3%であることが分かり、樹脂成形体単体としては透明性が高いことがわかった。
ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器;示差屈折計((株)島津製作所製)RID−6Aカラム;東ソ−(株)TSKgelG3000HXL、TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したもの、あるいは東ソ−(株)TSKgelG2000HXL、TSKgelG3000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したものを使用した。
クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入し測定した。
DSC(TAインストルメント社製,商品名『Q10』)を用いて試料を、第一サイクルにおいて、窒素気流下、20℃/分で260℃まで昇温し、ガラス転移温度(Tg)、ステレオコンプレックス相ポリ乳酸結晶融点(Tmsc)、ステレオコンプレックス相ポリ乳酸結晶化温度(Tcsc)、ステレオコンプレックス相ポリ乳酸結晶融解エンタルピー(ΔHmsc)、ホモ相ポリ乳酸結晶融解エンタルピー(ΔHmh)および結晶化熱量(ΔHc)を測定した。
ステレオコンプレックス結晶化度は上記測定で得られたステレオコンプレックス相およびホモ相ポリ乳酸結晶融解エンタルピーより、下記式(II)により求めた値である。
[数9]
S=[ΔHmsc /(ΔHmh +ΔHmsc)]×100 (II)
(但し、ΔHmscはステレオコンプレックス相結晶の融解エンタルピー、ΔHmhはホモ相ポリ乳酸結晶の融解エンタルピー)
アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
合成した環状カルボジイミド化合物は1H−NMR、13C−NMRによって確認した。NMRは日本電子(株)製の商品名『JNR−EX270』を使用した。溶媒は重クロロホルムを用いた。
合成した環状カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格の有無は、FT−IRによりカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の確認を行った。FT−IRはサーモニコレー(株)製の商品名『Magna−750』を使用した。
樹脂成形体PC−Aおよび樹脂フィルム(F1−1〜F4−1)を用いた粘着層付きの加飾フィルムを、粘着層側を樹脂成形体側にして、布施真空株式会社製の真空貼合装置である商品名『NGF−0709』の真空チャンバー中に設置した。真空チャンバーを閉じて真空後、加飾フィルムを100℃に赤外線で加熱し、その後、加飾フィルムを樹脂成形体に貼合した。貼合後、真空チャンバー内の気圧を大気圧に戻し、樹脂成形体を取り出した。その後、120℃で3分間恒温槽に入れ、樹脂フィルムの結晶化を促進させ目的の樹脂成形体を得た。この樹脂成形体の初期のヘーズを表2で初期ヘーズとして記載した。
また、この樹脂フィルムをカッターにて樹脂成形体から剥がし、DSCにて測定した結晶化熱ΔHcscを表2に記載する。すべて0であり、結晶化は十分に進んでいることがわかった。また、Sは100%であり、結晶はステレオコンプレックス結晶であることがわかる。
さらに、この樹脂成形体を80℃DRY、60℃90%RH500時間の耐熱、耐湿熱試験を実施し、その後測定したヘーズも表2に記す。耐熱、耐湿熱試験ともに、樹脂成形体における樹脂フィルムの透明性は確保されていることが分かる。
樹脂成形体としてPC−Bを、樹脂フィルムとしてF1−2〜F4−2を用いた以外は実施例1と同様に成形体を製造、および評価した。結果を表2に示す。
あらかじめ樹脂フィルム(F1−1〜F4−1)の形状を、図4の樹脂成形体を被覆できるように同型に真空成形機により予備賦形し、これを射出成形機に挿入して、溶融樹脂を挿入して一体化させるインサートモールド法により樹脂成形体を製造した。
射出成形する樹脂は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である商品名『アクリペットVH』を80℃で6時間乾燥後、射出成形機にてシリンダー温度240℃、金型温度70℃にて射出した。図4の形状を有する樹脂フィルムと樹脂成形体が一体となった樹脂成形体を製造した。実施例1と同様に評価した結果を表2に記す。
樹脂フィルムをF1−1とした加飾フィルムD13を用い、樹脂成形体としてはscPLA−Aを用いた以外は実験例1と同様に加飾成形品を製造した。外観評価したが、樹脂フィルムが透明であり、観測者側から見て樹脂フィルムの裏側に形成されている黒色印刷層が鮮明に見えることを確認した。また、加飾フィルムと樹脂成形体との貼合の状態も極めて良好であった。
樹脂フィルムをF2−2とした以外は、実験例6と同様に加飾成形品を製造した。貼合状態を確認したが、同じ貼合成形法を用いた実験例1〜4と比較すると曲率の大きい部分に貼合ムラが観察されたが、透明性は高いことがわかった。評価結果は表2に記す。
樹脂フィルムとしてF5−1、F5−2を使用した以外は、それぞれ実験例1と同様に加飾成形品を製造した。貼合前にすでに樹脂フィルムのヘーズが高く、さらに真空貼合加工時にヘーズが悪化することが確認された。
2 加飾フィルム
3 意匠層
4 接着層または粘着層
5 成形体
6 加飾成形品
7 加飾成形品の最表面
11 基板(樹脂フィルム)
12 意匠層
13 加飾フィルム
14 加飾成形品
15 成形体
31 樹脂成形体PC−A
32 ヘーズ測定点
33 鋭角な折れ曲がりの部分
41 樹脂成形体PC−B
42 ヘーズ測定点
Claims (23)
- ポリ乳酸(A成分)を含む樹脂フィルムであって、当該ポリ乳酸(A成分)が、ポリD−乳酸成分及びポリL−乳酸成分を含むポリ乳酸であり、カルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含み、その環状構造を直接構成する原子の数が8〜50の範囲にある化合物(C成分)を含み、ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上で、MD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%且つ100%伸張時応力(100℃測定値)が0.1〜100MPaの範囲にあることを特徴とする、樹脂フィルム。
{ステレオコンプレックス結晶化度(S)は示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱(△Hmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱(△Hmsc)より次式(I)により求めた。
[数1]
(S)=〔△Hmsc/(△Hmh+△Hmsc)〕×100 (I)} - MD方向、TD方向におけるフィルム破断伸度(100℃測定値)100〜1000%且つ100%伸張時応力(100℃測定値)が0.5〜25MPaの範囲にあり且つ略非結晶状態である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムが、さらにアクリル系樹脂(B成分)を含む、請求項1または2記載の樹脂フィルム。
- 樹脂フィルムが、ポリ乳酸(A成分)、アクリル系樹脂(B成分)及びカルボジイミド基を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を少なくとも含む化合物(C成分)を含む、請求項1または2記載の樹脂フィルム。
- C成分が下記式(1)で表される請求項4記載の樹脂フィルム。
- Qは、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基である請求項5記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(2)で表される請求項5記載の樹脂フィルム。
- Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基である請求項7記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(3)で表される請求項5記載の樹脂フィルム。
- Qbは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基である請求項9記載の樹脂フィルム。
- Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項9または10記載の樹脂フィルム。
- C成分が、下記式(4)で表される請求項5記載の樹脂フィルム。
- Qcは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基である請求項12記載の樹脂フィルム。
- Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーである請求項12または13記載の樹脂フィルム。
- 請求項1〜14のいずれか記載の樹脂フィルムを基板とし、該基板上に意匠層を備える加飾フィルム。
- 基板が略非結晶状態である、請求項15記載の加飾フィルム。
- 成形体の表面に請求項15記載の加飾フィルムが積層一体化されてなる加飾成形品。
- 成形体が樹脂成形体である、請求項17記載の加飾成形品。
- 樹脂成形体がステレオコンプレックスポリ乳酸を含む、請求項18記載の加飾成形品。
- 請求項17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体との貼合を加飾フィルムを加熱した状態で、真空下に成形体表面と接触させることによって行い、且つ、加熱前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、貼合を、加飾フィルムを予備賦形した後に射出成形の金型内に挿入し、ついで成型物材料となる樹脂を金型内に射出するインサートモールド法によって行い、且つ、予備賦形前の加飾フィルムの基板が略非結晶状態のものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
- 請求項17または18記載の加飾成形品の製造方法であって、加飾フィルムと成形体とを貼合するにあたり、加飾フィルムの基板が略非結晶状態にないものを用いることを特徴とする、加飾成形品の製造方法。
Priority Applications (12)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010103587A JP5679691B2 (ja) | 2010-04-28 | 2010-04-28 | 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 |
BR112012018682A BR112012018682A2 (pt) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | película. |
KR1020127022097A KR101859237B1 (ko) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | 필름 |
US13/575,327 US20120302676A1 (en) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | Film |
CA2786665A CA2786665A1 (en) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | Film |
SG2012053203A SG182593A1 (en) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | Film |
EP11737187.2A EP2530111A4 (en) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | MOVIE |
PCT/JP2011/051843 WO2011093478A1 (ja) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | フィルム |
CN201180017628.7A CN102812072B (zh) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | 膜 |
AU2011211260A AU2011211260A1 (en) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | Film |
RU2012136467/04A RU2012136467A (ru) | 2010-01-27 | 2011-01-25 | Пленка |
TW100102885A TWI596146B (zh) | 2010-01-27 | 2011-01-26 | film |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010103587A JP5679691B2 (ja) | 2010-04-28 | 2010-04-28 | 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011231240A JP2011231240A (ja) | 2011-11-17 |
JP5679691B2 true JP5679691B2 (ja) | 2015-03-04 |
Family
ID=45320889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010103587A Expired - Fee Related JP5679691B2 (ja) | 2010-01-27 | 2010-04-28 | 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5679691B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20150337097A1 (en) * | 2013-01-07 | 2015-11-26 | Toray Industries, Inc. | Polylactic acid sheet and method of producing same |
WO2014189021A1 (ja) * | 2013-05-24 | 2014-11-27 | 東レ株式会社 | ポリ乳酸系シート及びその製造方法 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2006095923A1 (ja) * | 2005-03-10 | 2008-08-21 | 東セロ株式会社 | ポリ乳酸系組成物、その組成物からなる成形品 |
US8178628B2 (en) * | 2006-07-21 | 2012-05-15 | Nec Corporation | Aliphatic polyester resin composition and method for production thereof |
JP5222484B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2013-06-26 | 帝人株式会社 | ポリ乳酸組成物 |
JP2009155413A (ja) * | 2007-12-26 | 2009-07-16 | Toray Ind Inc | 加飾用ポリ乳酸系樹脂シート並びにそれを用いた加飾部材 |
JP5329826B2 (ja) * | 2008-03-03 | 2013-10-30 | ユニチカ株式会社 | 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体 |
JP2009249517A (ja) * | 2008-04-08 | 2009-10-29 | Teijin Ltd | 色相および湿熱安定性に優れたポリ乳酸組成物 |
CN102320977B (zh) * | 2008-12-15 | 2014-11-12 | 帝人株式会社 | 环状碳化二亚胺化合物 |
AU2009327883A1 (en) * | 2008-12-15 | 2011-06-30 | Teijin Limited | Resin composition containing cyclic carbodimide |
SG172169A1 (en) * | 2008-12-15 | 2011-07-28 | Teijin Ltd | Method for using cyclic carbodimide |
JP5604060B2 (ja) * | 2009-06-12 | 2014-10-08 | 帝人株式会社 | ポリエステルの製造方法 |
JP5588631B2 (ja) * | 2009-06-12 | 2014-09-10 | 帝人株式会社 | 環状カルボジイミドを含有する樹脂組成物 |
-
2010
- 2010-04-28 JP JP2010103587A patent/JP5679691B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011231240A (ja) | 2011-11-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101693052B1 (ko) | 고리형 카르보디이미드를 함유하는 수지 조성물 | |
JP5492561B2 (ja) | フィルム | |
CA2786665A1 (en) | Film | |
JP2011033798A (ja) | 偏光板、その製造方法、およびそれを用いた液晶表示装置 | |
JP2011245788A (ja) | 多層フィルムおよびそれを用いた偏光板 | |
JP5654258B2 (ja) | 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 | |
JP5563328B2 (ja) | ポリ乳酸樹脂組成物およびそれよりなるフィルム | |
JPWO2013146625A1 (ja) | 樹脂組成物 | |
KR20140138130A (ko) | 수지 조성물 및 그 성형체 | |
JP5584016B2 (ja) | 太陽電池裏面保護膜用二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた太陽電池裏面保護膜 | |
JP2015150781A (ja) | 3次元造形物の製造方法およびこれにより得られた3次元造形物 | |
JP5679691B2 (ja) | 樹脂フィルム、それよりなる加飾フィルム並びに加飾成形品 | |
KR20200089585A (ko) | 폴리에스테르 필름 및 이의 제조 방법 | |
JP5529456B2 (ja) | ポリ乳酸フィルムおよびその製造方法 | |
JP6193724B2 (ja) | ポリ乳酸樹脂組成物および成形品 | |
JP5829382B2 (ja) | 多層フィルム | |
JP5679700B2 (ja) | 光学用脂肪族ポリエステルフィルム | |
JP2012101449A (ja) | ポリ乳酸フィルム | |
JP2010181561A (ja) | 光学用ポリ乳酸フィルムおよびその製造方法 | |
JP5475558B2 (ja) | 電気絶縁用ポリエステルフィルム | |
JP5679705B2 (ja) | 脂肪族ポリエステル系樹脂白色フィルムおよびそれを用いた反射板 | |
JP5567366B2 (ja) | 樹脂組成物およびフィルム | |
JP2011256335A (ja) | ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた二軸配向フィルム | |
JP6404053B2 (ja) | イミド構造含有(メタ)アクリル系樹脂 | |
JP5662004B2 (ja) | 光学用ポリ乳酸フィルムおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130424 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140701 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140820 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141209 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150106 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5679691 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |