JPWO2007129722A1 - ヒドロキシ酸変性グルカン誘導体およびその成形体 - Google Patents

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Abstract

耐加水分解性および耐熱性に優れた変性グルカン誘導体(例えば、環状エステル変性セルロースアシレートなど)を提供する。グルカン誘導体(例えば、セルロースアセテートなど)に、ラクトンなどのヒドロキシ酸成分をグラフト重合させてヒドロキシ酸変性グルカン誘導体を製造する方法において、グルカン誘導体に置換するヒドロキシ酸成分の割合などを調整したり、特定の触媒や溶媒を用いてヒドロキシ酸成分をグラフト重合させるなどの方法により、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が45℃以上であり、かつ酸価が20mgKOH/g以下である変性グルカン誘導体を得る。

Description

本発明は、熱可塑性プラスチックとして使用可能なヒドロキシ酸変性グルカン誘導体(例えば、ラクトンなどの環状エステル変性セルロースアシレート誘導体)、その製造方法、およびこの変性グルカン誘導体で形成された成形品に関する。
セルロース、デンプン(又はアミロース)、デキストランなどのグルコースを構成単位とするグルカンは、熱可塑性を有しておらず、そのままでは、プラスチック(熱可塑性プラスチック)として使用できない。そのため、このようなグルカン(特にセルロース)は、熱可塑化のため、アシル化(アセチル化など)されることにより、熱可塑性プラスチックとして利用されている。
前記グルカンのうち、特に、セルロースは、アシル化され、セルロースアシレート(特に、セルロースアセテート)として種々の用途に用いられている。例えば、平均置換度2.4〜2.5程度のセルロースアセテート(セルロースジアセテート)は、熱可塑性の観点から、可塑剤を含む形態で熱成形に用いられている。
このようなセルロースアシレートを変性することにより、溶解性、熱溶融性や溶融成形性を改良する技術も報告されている。例えば、特開昭59−86621号公報(特許文献1)には、セルロース誘導体(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、シアノエチルセルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)の存在下で環状エステル(ε−カプロラクトンなど)の開環重合触媒を加えて、環状エステルを開環重合させるグラフト重合体の製造方法が開示されている。この文献には開環重合反応において、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属及びその誘導体、ピリジンなどの三級アミン、トリエチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム及びその誘導体、テトラブチルチタネートなどのアルコキシチタン化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズラウレートなどの有機金属化合物、塩化スズなどの金属ハロゲン化物を用いることができることが記載されている。具体的には、例えば、実施例1において、酢酸セルロース100部、ε−カプロラクトン244.4部、キシレン55部を加えて、90℃に加温し、酢酸セルロースを溶解させた後、攪拌を続けながらテトラブチルチタネート0.0024部を含むキシレン30部を加えて150℃で20時間加熱し反応させることにより、淡黄色の透明なグラフト重合体が得られたことが記載されている。
また、特開昭60−188401号公報(特許文献2)には、遊離水酸基を有する脂肪酸セルロースエステル(セルロースアセテートなど)に対してその無水グルコース単位あたり0.5〜4.0モルの環状エステル(ε−カプロラクトンなど)を付加(グラフト)させて得られる脂肪酸セルロースエステル系熱可塑性成形材料が開示されている。この文献には、脂肪酸セルロースエステルへの環状エステルの付加は、開環重合触媒の存在下で両者を適当な溶媒中もしくは無溶媒で加熱することによって得られることが記載されており、適当な触媒として、前記文献と同様に、テトラブチルチタネート、ジブチルスズラウレートなどの有機金属化合物、塩化スズなどの金属ハロゲン化合物、アルカリ金属、三級アミンなどを例示している。また、この文献には、内部可塑化により、多量の可塑剤を添加することなく、射出成形、押出成形などにより成形加工でき、シート、フィルムなどの成形品に使用できることも記載されている。具体的には、例えば、実施例1において、セルロースアセテート100g、ε−カプロラクトン64.4g、キシレン73.1gを加えて、140℃に加温し、セルロースアセテートを均一に溶解させた後、攪拌を続けながらチタンテトラブトキシド0.664mgを含むキシレン4gを加えて140℃で加熱し反応させることにより、淡黄色の透明なグラフト重合体が得られたことが記載されている。なお、この文献の方法では、環状エステルの付加反応において、アシル基の加水分解が生じるためか、生成物として環状エステル付加脂肪酸セルロースエステルのアシル置換度が、原料となる脂肪酸セルロースエステルのアシル置換度に比べて低下し、所望のアシル置換度の環状エステル付加物を得ることが困難である。例えば、この文献の実施例では、原料段階において、アセチル置換度2.39のセルロースアセテートを用い、アセチル置換度が最高で2.25のε−カプロラクトン付加セルロースアセテートを得ている。そして、このようなアセチル置換度2.25程度の環状エステル変性セルロースアセテートでは、吸水性が大きく、成形できたとしても吸湿して大きく寸法変化するため、実用的な寸法安定性が望めない。
さらに、特開2001−181302号公報(特許文献3)には、水酸基を有するセルロース誘導体に、環状エステルの開環重合触媒の存在下で、環状エステル類を開環グラフト重合して環状エステル変性セルロース誘導体を製造する際に、常圧沸点が140℃以上の溶剤であって、水酸基を有するセルロース誘導体および環状エステル変性セルロース誘導体が溶解可能で、環状エステルの開環重合の開始剤となる官能基を持たない溶剤(シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなど)中で重合を行う環状エステル変性セルロース誘導体の製造方法が開示されている。この文献の方法では、沸点140℃以上のセルロース誘導体に対する良溶媒を用いることにより、反応系の粘度上昇を抑制してグラフト重合させることができる。具体的には、実施例1では、反応器に、絶乾燥状態の酢酸セルロース100部、精製ε−カプロラクトン50部、精製シクロヘキサノン50部を加え、反応系内の水分濃度を0.1質量%以下にして、180℃に加熱、攪拌して酢酸セルロースを均一に溶解させたのち、触媒としてオクチル酸スズ(II)0.24部を、滴下により加え、2時間反応させている。
なお、この文献には、前記溶剤は、原料である水酸基を有する酢酸セルロースおよび生成物である環状エステル変性セルロース誘導体を溶解し、かつ、環状エステル類の開環重合の開始剤となる水酸基やアミノ基のような官能基を含有しないものであればよく、このような溶剤として、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノイックラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン、γ−ノナノイックラクトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、4−ノナノン、5−ノナノンなどを例示しているが、これらの溶媒のうち、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、4−ノナノン、および5−ノナノンは酢酸セルロースを溶解しないセルロースエステルに対する貧溶媒である。
さらにまた、特開平11−255870号公報(特許文献4)には、セルロース誘導体の存在下で環状エステルの開環重合触媒を加えて、ラクトンとラクチドとを開環混成グラフト重合させることを特徴とする生分解性を備えたセルロース誘導体混成グラフト化組成物の製造方法が開示されている。
しかし、これらの文献に記載の方法では、前記特許文献4の段落番号[0038]などにも記載されているように、環状エステルのホモポリマー(オリゴマー)が多量に副生する。このような環状エステルのオリゴマーは、カルボキシル基を有しており、生成物中の酸価を増大させる。そのため、生成物中にこのようなオリゴマーを含んでいると、セルロースアシレートが加水分解しやすくなる。さらに、このようなオリゴマーは生成物の外観を悪化させ、しかもブリードアウトにより製品品質を低下させる。また、これらの文献に記載の方法で得られる変性されたセルロースアシレートは、環状エステルのポリマー部分(例えば、グラフト部分、ホモポリマー部分など)の割合が大きすぎるためか、耐熱性が十分でない場合が多い。
このような理由から、環状エステルのオリゴマーを生成物から除去することが好ましい。このようなオリゴマーの除去は、前記文献においても行われており、例えば、前記特許文献1の実施例1では、得られたグラフト重合体にアセトンを加え、溶解した後、四塩化炭素に沈殿した固体を真空乾燥した後、四塩化炭素により10時間ソックスレー抽出を行っている。また、前記特許文献2の実施例1では、セルロースアセテートにε−カプロラクトンおよびキシレンを加えて溶解させ、チタンテトラブトキシドを含むキシレンを加えて140℃で反応させたのち、反応物を再沈させてソックスレー抽出を10時間行っている。
しかし、再沈をはじめとする環状エステルオリゴマーを除去する操作は、オリゴマーのみならず、流動性に寄与する低分子量成分、特にグラフト化している低分子量成分をも除去してしまい、生成物の流動性や耐衝撃性が損なわれる。すなわち、単純に得られた生成物を精製すると、樹脂としての特性が損なわれ、成形性が低下する虞がある。そして、前記のように、オリゴマーを除去することなく使用すると、前記と同様に加水分解などの影響を低減できない。また、再沈やソックスレー抽出法を大規模化して射出成形用の樹脂を製造することは一般にプロセスが複雑化し、かつ精製工程に長時間を要するため、製造コストが高くなる。したがって、熱可塑性のグルカン誘導体を工業的に市場に供することも困難である。
特開昭59−86621号公報(特許請求の範囲、第2頁左上及び右上欄、実施例) 特開昭60−188401号公報(特許請求の範囲、第2頁右下欄、実施例) 特開2001−181302号公報(特許請求の範囲、段落番号[0023]、段落番号[0029]、実施例) 特開平11−255870号公報(特許請求の範囲、段落番号[0038])
従って、本発明の目的は、溶融流動性に優れ、耐熱性と耐加水分解性とを両立できる熱可塑性ヒドロキシ酸変性グルカン誘導体(例えば、環状エステル変性セルロースアシレートなど)、その製造方法およびこの変性グルカン誘導体で形成された成形体(例えば、射出成形体)を提供することにある。
本発明の他の目的は、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が低減され、しかも、成形性に優れているヒドロキシ酸変性グルカン誘導体、その製造方法およびこの変性グルカン誘導体で形成された成形体(例えば、射出成形体)を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐熱性と耐加水分解性とを両立できるヒドロキシ酸変性グルカン誘導体を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、グルカン誘導体(例えば、セルロースアセテートなど)に、ラクトンなどのヒドロキシ酸成分をグラフト重合させて得られるヒドロキシ酸変性グルカン誘導体において、グルカン誘導体に置換するヒドロキシ酸成分の割合などを調整したり、特定の触媒や溶媒を用いてグルカン誘導体にヒドロキシ酸成分をグラフト重合させるなどの方法により、耐熱性と耐加水分解性とを両立できるヒドロキシ酸変性グルカン誘導体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のヒドロキシ酸変性グルカン誘導体(変性グルカン誘導体)は、グルカン誘導体と、このグルカン誘導体のヒドロキシル基に、ヒドロキシ酸成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖とで構成されている。そして、このような本発明のヒドロキシ酸変性グルカン誘導体は、通常、JIS K 7191−2(1996年発行)に記載のB法(負荷力0.45MPa)に準じて測定した荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度が45℃以上であり、かつ酸価が20mgKOH/g以下である。
前記変性グルカン誘導体において、前記グルカン誘導体は、セルロースアシレート(例えば、アセチル基の平均置換度1.5〜2.95のセルロースアセテート)であってもよい。特に、前記グルカン誘導体は、成形性などの観点から、アシル基の平均置換度2.3以上のセルロースアシレート(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースC2−4アシレート)であってもよい。前記ヒドロキシ酸成分は、ヒドロキシ酸(例えば、乳酸などのヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸など)、ラクトン(例えば、C4−10ラクトンなど)、および環状ジエステル(例えば、ラクチドなどのC4−10環状ジエステル)から選択された少なくとも1種であってもよい。
また、前記グラフト鎖において、グラフト重合したヒドロキシ酸成分の割合が、グルカン誘導体のグルコース単位(又はグルカン誘導体を構成するグルコース単位)1モルに対して、ヒドロキシ酸換算で平均0.001〜5モル程度であってもよく、特にヒドロキシ酸換算で平均1.2モル以下(例えば、0.05〜1.2モル)であってもよい。
本発明の変性グルカン誘導体は、副生したヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が比較的少なく、例えば、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合は1〜20重量%程度であってもよい。また、前記変性グルカン誘導体において、グルカン誘導体単位と、グラフト鎖およびヒドロキシ酸成分の単独重合体(又はヒドロキシ酸成分で形成された構成単位)との割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜45/55程度であってもよい。さらに、本発明の変性グルカン誘導体において、揮発性成分の含有割合が5重量%以下であってもよい。
代表的な前記変性グルカン誘導体には、(i)グルカン誘導体が、アシル基の平均置換度2.3以上のセルロースC2−4アシレートであり、(ii)グルカン誘導体単位と、グラフト鎖およびヒドロキシ酸成分の単独重合体との割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜45/55であり、(iii)酸価が10mgKOH/g以下であり、(iv)ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が4〜15重量%であり、(v)揮発性成分の含有割合が3重量%以下であり、かつ(vi)メルトフローレートが、200℃および5kgfの条件下で、1〜20g/10分である変性グルカン誘導体などが含まれる。
本発明の変性グルカン誘導体は、耐加水分解性や耐熱性、さらには成形性に優れている。そのため、本発明の変性グルカン誘導体は、熱成形、特に、射出成形に用いるための変性グルカン誘導体であってもよい。
本発明の変性グルカン誘導体の製造方法は、特に限定されないが、通常、溶媒中、グルカン誘導体とヒドロキシ酸成分とを、触媒の存在下で反応させる工程(グラフト反応工程)を少なくとも含んでいる。このようなグラフト反応工程は、特に、単独でヒドロキシ酸成分の重合を開始しない金属錯体の存在下で行ってもよい。また、前記グラフト反応工程において、水分含有量が1重量%以下のグルカン誘導体を使用してもよく、溶媒を20℃において水に対する溶解度が10重量%以下の溶媒で構成してもよい。また、前記方法は、グラフト反応工程により生成した反応混合物を、加熱下で脱揮する、特に、加熱下で攪拌しつつ[特に、溶融混練しつつ(又は溶融混練したまま)]脱揮する(例えば、溶融したままの反応混合物を混練押出機を通しながら揮発性成分を脱揮又は留去する)脱揮工程を含んでいてもよい。このような方法では、反応混合物を精製することなく(例えば、再沈及び/又は抽出することなく)加熱下で攪拌(又は溶融)してもよい。代表的には、脱揮工程において、グラフト反応工程により生成した揮発性成分を含む液状の反応混合物を、加熱下で攪拌(又は溶融混練)しつつ脱揮してもよい。
本発明には、前記変性グルカン誘導体(又は変性グルカン誘導体で構成された組成物)で形成された成形体も含まれる。
なお、本明細書において、「平均置換度」とは、グルコース単位の2,3および6位のヒドロキシル基のうち、誘導体化(エーテル化、エステル化、グラフト化など)されたヒドロキシル基(例えば、アシル基、グラフト鎖)の置換度(置換割合)の平均(又はグルコース単位の2,3および6位における誘導体化されたヒドロキシル基の平均モル数)を意味し、セルロースエステルなどにおける「平均置換度」と同意である。
また、本明細書において、「ヒドロキシ酸成分」とは、ヒドロキシ酸のみならず、ヒドロキシ酸の低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)、ヒドロキシ酸の環状エステルも含む意味に用いる。
さらに、本明細書において、用語「ヒドロキシ酸変性グルカン誘導体」とは、樹脂特性(例えば、荷重たわみ温度、酸価など)において、ヒドロキシ酸変性グルカン誘導体のみならず、ヒドロキシ酸成分の単独重合体(例えば、ヒドロキシ酸変性グルカン誘導体の製造又は合成において副生する重合体、すなわち、グルカン誘導体にグラフト化せず、ヒドロキシ酸成分そのものが単独重合したポリマー又はオリゴマー)を含む意味に用いる場合がある。なお、「ヒドロキシ酸成分の単独重合体」とは、グルカン誘導体にグラフト化していない重合体であり、単一のヒドロキシ酸成分が重合した重合体および複数のヒドロキシ酸成分が重合した共重合体を含む意味に用いる。
本発明の変性グルカン誘導体(例えば、変性セルロースアシレートなど)では、溶融流動性に優れ、耐熱性と耐加水分解性とを両立できる。そして、本発明の変性グルカン誘導体は、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が低減され、しかも、成形性に優れている。そのため、本発明の変性グルカン誘導体は、射出成形などの熱成形に好適である。また、本発明では、このような耐熱性と耐加水分解性とを両立できるヒドロキシ酸変性グルカン誘導体を効率よく製造できる。
発明の詳細な説明
本発明のヒドロキシ酸変性グルカン誘導体(単に変性グルカン誘導体ということがある)は、グルカン誘導体(ヒドロキシル基を有するグルカン誘導体)と、このグルカン誘導体のヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖とで構成されている。そして、このような本発明のヒドロキシ酸変性グルカン誘導体は、通常、特定の荷重たわみ温度および酸価を有している。
(グルカン誘導体)
グルカン誘導体としては、ヒドロキシ酸成分がグラフト重合するためのヒドロキシル基を有している限り特に限定されないが、通常、グルカンのグルコース単位のヒドロキシル基の一部が誘導体化(エーテル化、エステル化など)されたグルカン誘導体であってもよい。すなわち、前記グルカン誘導体は、グルカンのグルコース単位(又はグルコース骨格)に含まれるヒドロキシル基(グルコース単位の2,3および6位に位置するヒドロキシル基)に、アシル基などが置換(結合)して誘導体化されたグルカン誘導体であって、前記ヒドロキシル基の一部が残存したグルカン誘導体である場合が多い。ヒドロキシル基を有するグルカン誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
グルカンとしては、特に限定されず、例えば、β−1,4−グルカン、α−1,4−グルカン、β−1,3−グルカン、α−1,6−グルカンなどが挙げられる。代表的なグルカンとしては、例えば、セルロース、アミロース、デンプン、レンチナン、デキストランなどの多糖類が挙げられる。これらのグルカンうち、産業的な観点から、セルロース、デンプン(又はアミロース)が好ましく、特に、セルロースが好ましい。グルカンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
具体的なグルカン誘導体としては、例えば、エーテル化されたグルカン、エステル化されたグルカンなどが挙げられる。以下に、代表的なグルカン誘導体として、セルロース誘導体について詳述する。
セルロース誘導体としては、セルロースエーテル[例えば、アルキルセルロース(例えば、C1−4アルキルセルロース)、ヒドロキシルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシC2−4アルキルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(ヒドロキシC2−4アルキルC1−4アルキルセルロースなど)、シアノアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース(カルボキシメチルセルロースなど)など]、セルロースエステル(セルロースアシレート;硝酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの無機酸及び有機酸の混酸セルロースエステルなど)などが挙げられる。
好ましいセルロース誘導体には、アシルセルロース(又はセルロースアシレート)が含まれる。セルロースアシレートにおいて、アシル基は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、アルキルカルボニル基[例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などのC2−10アルキルカルボニル基(例えば、C2−8アルキルカルボニル基、好ましくはC2−6アルキルカルボニル基、さらに好ましくはC2−4アルキルカルボニル基)など]、シクロアルキルカルボニル基(例えば、シクロヘキシルカルボニル基などのC5−10シクロアルキルカルボニル基など)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、カルボキシベンゾイル基などのC7−12アリールカルボニル基など)などが挙げられる。アシル基は、単独で又は2種以上組み合わせてセルロースのグルコース単位に結合していてもよい。これらのアシル基のうち、アルキルカルボニル基が好ましい。特に、これらのアシル基のうち、少なくともアセチル基がグルコース単位に結合しているのが好ましく、例えば、アセチル基のみが結合していてもよく、アセチル基と他のアシル基(C3−4アシル基など)とが結合していてもよい。
代表的なセルロースアシレートとしては、セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−6アシレート、好ましくはセルロースC2−4アシレートなどが挙げられ、特にセルロースアセテート(特に、セルロースジアセテート又はセルローストリアセテート)が好ましい。
グルカン誘導体(特に、セルロース誘導体、例えば、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート)において、平均置換度(アシル基などの平均置換度、グルコース単位の2,3および6位における誘導体化されたヒドロキシル基のグルコース単位1モルあたりの平均モル数)は、0.5〜2.999の範囲から選択でき、例えば、0.5〜2.99(例えば、0.7〜2.98)、好ましくは0.8〜2.97(例えば、1〜2.96)、さらに好ましくは1.5〜2.95[例えば、1.7以上(例えば、1.8〜2.95、好ましくは1.9〜2.93)]、特に2.25以上[例えば、2.3以上(例えば、2.3〜2.95)、好ましくは2.35〜2.93(例えば、2.38〜2.88)、さらに好ましくは2.4以上(例えば、2.5〜2.85)]であってもよく、通常2〜2.95(例えば、2.05〜2.92)であってもよい。比較的高い置換度[例えば、平均置換度2.25以上(例えば、2.3以上、好ましくは2.4以上)]を有するグルカン誘導体を用いると、耐湿性などにおいて有利である。また、比較的高い置換度を有するグルカン誘導体は、グルカン誘導体の含水率を低減しやすい。そのため、変性グルカン誘導体の製造において、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の生成を十分に低減するのに有用である。しかも、含水率を低減しやすいため、成形品の寸法安定性に優れ、屈折率の変化を低減できる。なお、ヒドロキシ酸成分が、ラクトン成分とα−ヒドロキシ酸成分[α−ヒドロキシ酸及び環状ジエステルから選択された少なくとも1種(例えば、乳酸及び/又はラクチド)]とで構成されている場合、グルカン誘導体において、アシル基などの平均置換度は、特に、2.6以下[例えば、1.5〜2.55、好ましくは2.5未満(例えば、1.7〜2.49)、さらに好ましくは1.8〜2.48、通常1.9〜2.46(例えば、2〜2.45)程度]であってもよい。このような平均置換度を有するグルカン誘導体を用いると、ヒドロキシ酸成分をα−ヒドロキシ酸成分で構成しても、グラフトによりグルカン誘導体を可塑化しやすく、熱可塑化の観点で有利である。
また、グルカン誘導体(例えば、セルロースアシレートなどのセルロース誘導体)において、ヒドロキシル基(残存するヒドロキシル基、グルコース単位のヒドロキシル基)の割合は、特に制限されないが、グルコース単位1モルに対して、例えば、平均0.01〜2.5モル(例えば、0.05〜2モル)、好ましくは0.1〜1.5モル(例えば、0.2〜1.2モル)、さらに好ましくは0.3〜1モル(例えば、0.4〜0.7モル)程度であってもよい。
グルカン誘導体(又はグルカン)の重合度は、変性グルカン誘導体を所望の目的に使用できれば特に制限はなく、現在工業的に入手可能な市販品と同程度であれば好適に使用可能である。例えば、グルカン誘導体の平均重合度(粘度平均重合度)は、70以上(例えば、80〜800)の範囲から選択でき、100〜500、好ましくは110〜400、さらに好ましくは120〜350程度であってもよい。
なお、グルカン誘導体(セルロースアシレートなど)は、市販の化合物(例えば、セルロースアセテートなど)を使用してもよく、慣用の方法により合成してもよい。例えば、セルロースアシレートは、通常、セルロースをアシル基に対応する有機カルボン酸(酢酸など)により活性化処理した後、硫酸触媒を用いてアシル化剤(例えば、無水酢酸などの酸無水物)によりトリアシルエステル(特に、セルローストリアセテート)を調製し、過剰量のアシル化剤(特に、無水酢酸などの酸無水物)を不活性化し、脱アシル化又はケン化(加水分解又は熟成)によりアシル化度を調整することにより製造できる。アシル化剤としては、酢酸クロライドなどの有機酸ハライドであってもよいが、通常、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのC2−6アルカンカルボン酸無水物などが使用できる。
なお、一般的なセルロースアシレートの製造方法については、「木材化学(上)」(右田ら、共立出版(株)1968年発行、第180頁〜第190頁)を参照できる。また、他のグルカン(例えば、デンプンなど)についても、セルロースアシレートの場合と同様の方法でアシル化(および脱アシル化)できる。
グラフト鎖は、このグルカン誘導体のヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分がグラフト重合(又は反応)して形成されている。すなわち、変性グルカン誘導体では、元のグルカンを構成するグルコース単位のヒドロキシル基が、誘導体化された基(アシル基など)およびヒドロキシ酸成分のグラフト鎖によって置換されている。なお、変性グルカン誘導体は、誘導体化(アシル化、グラフト化など)されることなく残存したヒドロキシル基(未置換のヒドロキシル基)を有していてもよい。
(ヒドロキシ酸成分)
ヒドロキシ酸成分としては、ヒドロキシ酸、環状エステルなどが挙げられる。これらのヒドロキシ酸成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。本発明では、環状エステルを好適に用いることができる。
ヒドロキシ酸(オキシカルボン酸)としては、脂肪族オキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸(L−乳酸、D−乳酸、又はこれらの混合物(又はD,L−乳酸))、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸(好ましくはα−ヒドロキシC2−6アルカンカルボン酸、さらに好ましくはα−ヒドロキシC2−4アルカンカルボン酸)などが例示できる。なお、ヒドロキシ酸は、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)化されていてもよい。これらのヒドロキシ酸のうち、特に、α−ヒドロキシ酸[特に、乳酸(L−乳酸、D―乳酸、又はこれらの混合物)]が好ましい。ヒドロキシ酸は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
環状エステルとしては、分子内に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を有し、かつ、グルカン誘導体に対してグラフト可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、ラクトン(又は環状モノエステル、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ラウロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、β,δ−ジメチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトンなどのC3−20ラクトン、好ましくはC4−15ラクトン、さらに好ましくはC4−10ラクトン)、環状ジエステル(例えば、グリコリド、ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド又はこれらの混合物)などのC4−15環状ジエステル、好ましくはC4−10環状ジエステルなど)などが挙げられる。
これら環状エステルのうち、好ましい環状エステルとしては、得られる変性グルカン誘導体の溶融成形性や機械的物性が使用目的に適合するように適宜選択が可能であり、例えば、C4−10ラクトン(例えば、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのC5−8ラクトン)、C4−10環状ジエステル[ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、又はそれらの混合物)など]が挙げられる。より好ましい環状エステルとしては、例えば、ε−カプロラクトン、ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、又はそれらの混合物)などが挙げられる。
環状エステルは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。2種以上組み合わせる場合、好ましい組合せとしては、例えば、ε−カプロラクトンとラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド、又はそれらの混合物)との組み合わせなどが例示できる。
(グラフト鎖)
グラフト鎖の平均重合度(又はグラフト鎖を構成するヒドロキシ酸成分のヒドロキシ酸換算での平均付加モル数)は、ヒドロキシ酸換算(例えば、ε−カプロラクトンではヒドロキシヘキサン酸換算、ラクチドでは乳酸換算など)で、例えば、1〜50、好ましくは1.5〜30(例えば、1.8〜25)、さらに好ましくは2〜20(例えば、2.5〜18)、特に3〜15、通常1〜20(好ましくは2〜12、さらに好ましくは3〜10)程度であってもよい。特に、グラフト鎖が、少なくともα−ヒドロキシ酸成分[例えば、α−ヒドロキシ酸及び/又は環状ジエステル(例えば、乳酸およびラクチドから選択された少なくとも1種)]で構成されたヒドロキシ酸成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖である場合、グラフト鎖の平均重合度は、ヒドロキシ酸換算で、例えば、1〜13、好ましくは1.5〜12(例えば、2〜12)、さらに好ましくは2.5〜11(例えば、3〜10)程度であってもよい。グラフト鎖の重合度を上記のような範囲に調整すると、グルカン誘導体(セルロースアシレートなど)の優れた特性を損なうことなく、高い耐熱性を効率よく変性グルカン誘導体に付与できる。なお、本発明の変性グルカン誘導体は、後述するように、ヒドロキシ酸成分の単独重合体を含んでいてもよい。このようなヒドロキシ酸成分の単独重合体を含む場合において、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の平均重合度は、上記グラフト鎖の平均重合度(例えば、1〜50程度)と同様の範囲であってもよい。
なお、グラフト鎖(特にラクチドなどのα−ヒドロキシ酸成分のグラフト鎖)の重合度や分子量が大きくなると、グラフト鎖部分が結晶性を有するため、変性グルカン誘導体に、ガラス転移温度以上の熱履歴が作用すると、結晶化により白化などが生じやすくなる。このため、用途に応じて、グラフト鎖の重合度や分子量を比較的小さくしてもよい[例えば、平均重合度で20以下としてもよい]。
変性グルカン誘導体において、グラフト重合したヒドロキシ酸成分の割合は、例えば、グルカン誘導体の(又はグルカン誘導体を構成する)グルコース単位1モルに対して、ヒドロキシ酸換算で、平均0.0001〜10モル(例えば、0.005〜8モル)の範囲から選択でき、例えば、0.05〜5モル(例えば、0.1〜4.5モル)、好ましくは0.15〜4モル(例えば、0.2〜3.5モル)、さらに好ましくは0.3〜3モル、通常0.35〜3.2モル程度であってもよく、特に3モル以下(例えば、0.1〜2.5モル、好ましくは0.15〜2モル、さらに好ましくは0.2〜1.8モル)、通常、1.2モル以下{例えば、0.02〜1.2モル(例えば、0.05〜1.2モル)、好ましくは1モル以下[例えば、0.05〜1モル(例えば、0.1〜0.9モル)]、さらに好ましくは0.5モル未満(例えば、0.1〜0.45モル)程度}であってもよい。なお、前記ヒドロキシ酸成分の割合(モル)とは、グラフト鎖の重合度が、1又は1より大きいか否かにかかわらず、変性グルカン誘導体(セルロースアシレートなど)のグルコース単位全体に付加(又はグラフト)したヒドロキシ酸成分の平均付加モル数を示す。このような比較的少ない割合でヒドロキシ酸成分をグラフト化させると、グルカン誘導体(例えば、セルロースアシレート)の荷重たわみ温度やガラス転移温度を大きく低下させることなく保持しつつ、グルカン誘導体を効率よく変性できる。
変性グルカン誘導体において、グラフト鎖の平均置換度(すなわち、グルカン誘導体のヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分がグラフトしたグラフト鎖の平均置換度、ヒドロキシ酸成分でグラフト置換されたヒドロキシル基の平均置換度、グルコース単位の2,3および6位におけるグラフト重合により誘導体化されたヒドロキシル基のグルコース単位1モルあたりの平均モル数)は、例えば、0.01〜2(例えば、0.015〜1.5)、好ましくは0.02〜1(例えば、0.025〜0.8)、さらに好ましくは0.03〜0.7(例えば、0.035〜0.6)、特に0.04〜0.5(例えば、0.045〜0.4)程度であってもよい。
なお、ヒドロキシ酸成分をラクトン成分(例えば、ラクトン)とα−ヒドロキシ酸成分[例えば、乳酸、環状ジエステル(ラクチドなど)など]とで構成する場合、変性グルカン誘導体において、グラフト重合したラクトン成分とグラフト重合したα−ヒドロキシ酸成分との割合は、ヒドロキシ酸換算で、前者/後者(モル比)=99/1〜1/99、好ましくは95/5〜5/95(例えば、90/10〜10/90)、さらに好ましくは80/20〜20/80(例えば、75/25〜25/75)程度であってもよい。
また、変性グルカン誘導体において、グラフト鎖以外の誘導体化されたヒドロキシル基(例えば、アシル基)の平均置換度(モル数)とグラフト鎖の平均置換度(モル数)との割合は、前者/後者=40/60〜99.9/0.1(例えば、50/50〜99.5/0.5)、好ましくは70/30〜99/1(例えば、75/25〜98.5/1.5)、さらに好ましくは80/20〜98/2(例えば、85/15〜97.5/2.5)程度であってもよい。
なお、変性グルカン誘導体において、ヒドロキシル基(残存ヒドロキシル基)の割合(又はグルコース単位1モルに対して、誘導体化又はグラフト化されることなく残存したヒドロキシル基の割合)は、グルコース単位1モルに対して、例えば、平均0〜1.2モルの範囲から選択でき、例えば、0.01〜1モル、好ましくは0.02〜0.8モル、好ましくは0.03〜0.7モル、さらに好ましくは0.04〜0.6モル、通常0.05〜0.55モル程度であってもよい。
なお、変性グルカン誘導体において、誘導体化された基(アシル基など)やグラフト鎖の平均置換度、ヒドロキシル基濃度、グラフト鎖の重合度(分子量)などは、慣用の方法、例えば、核磁気共鳴スペクトル(NMR)(H−NMR、13C−NMRなど)などを用いて測定できる。
なお、変性グルカン誘導体は、通常、ヒドロキシル基を有していてもよい。このようなヒドロキシル基には、グラフト鎖の末端のヒドロキシル基、グルコース単位に残存したヒドロキシル基などが挙げられる。このようなヒドロキシル基は、変性グラフト誘導体の吸湿性を抑制又は調整するなどの目的により、必要に応じて保護基により保護してもよい。
保護基としては、ヒドロキシル基を保護可能な非反応性基であれば特に限定されず、例えば、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、2−シクロヘキシル−2−プロピル基、ヘキシル基、クロロメチル基などの置換基(ハロゲン原子など)を有していてもよいC1−12アルキル基(好ましくはC1−6アルキル基)など]、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などの置換基を有していてもよいC5−8シクロアルキル基)、芳香族炭化水素基(フェニル基などのC6−12アリール基、ベンジル基などのアラルキル基など)、架橋環式炭化水素基(アダマンチル基など)などの炭化水素基;オキサシクロアルキル基(例えば、5〜8員オキサシクロアルキル基);アルコキシアルキル基(例えば、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル基)などのアセタール系保護基;アルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニルなどのC1−10アルキルカルボニル基)、シクロアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基などのアシル基などが挙げられる。
保護基は、単独で又は2種以上組み合わせて、ヒドロキシル基を保護してもよい。
保護基によりヒドロキシル基が保護された変性グルカン誘導体において、保護基の割合(又はグラフト鎖のヒドロキシ基の保護割合)は、グラフト鎖1モルに対して、0.7〜1モルの範囲から選択でき、例えば、0.9〜1モル、好ましくは0.95〜0.999モル程度であってもよい。
また、変性グルカン誘導体は、わずかであるが、カルボキシル基を有している場合がある。このようなカルボキシル基もまた、前記ヒドロキシル基と同様に保護(又は封止)されていてもよい。
本発明の変性グルカン誘導体は、前記変性グルカン誘導体に加えて、ヒドロキシ酸成分の単独重合体(ポリマー又はオリゴマー)を含んでいてもよい。このようなヒドロキシ酸成分の単独重合体は、前記変性グルカン誘導体の製造において生成する副生成物(非グラフト成分)として変性グルカン誘導体に含まれている場合が多い。本発明の変性グルカン誘導体では、後述する特定の酸価を有しており、このようなヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が比較的低減されている。ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合は、変性グルカン誘導体全体に対して、30重量%以下(例えば、0〜25重量%程度)の範囲から選択でき、例えば、20重量%以下(例えば、0.5〜18重量%程度)、好ましくは16重量%以下(例えば、1〜15重量%程度)、さらに好ましくは14重量%以下(例えば、2〜13重量%程度)であってもよい。
このようなヒドロキシ酸成分の単独重合体は、通常、末端にカルボキシル基を有しており、前記のように酸価との関係では低減することが好ましいが、変性グルカン誘導体の樹脂特性(溶融流動性、耐衝撃性など)の観点からは、上記のような小割合であれば含んでいることが好ましい。そのため、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合は、変性グルカン誘導体全体に対して、例えば、1〜20重量%(例えば、2〜18重量%)、好ましくは3〜16重量%(例えば、4〜15重量%)、さらに好ましくは5〜13重量%程度であってもよい。
また、本発明の変性グルカン誘導体において、グルカン誘導体(又はグルカン誘導体単位、例えば、セルロースアシレート(単位)など)と、グラフト鎖およびヒドロキシ酸成分の単独重合体(すなわち、ヒドロキシ酸成分で形成された構成単位、ヒドロキシ酸成分由来の構成単位)との割合は、前者/後者(重量比)=99/1〜30/70(例えば、97/3〜35/65)、好ましくは95/5〜40/60(例えば、93/7〜45/55)、さらに好ましくは90/10〜50/50(例えば、88/12〜52/48)、特に85/15〜55/45(例えば、83/17〜58/42)程度であってもよく、通常95/5〜45/55(例えば、95/5〜60/40、好ましくは95/5〜65/35、さらに好ましくは94/6〜68/32、特に93/7〜75/25)程度であってもよい。本発明では、上記のようにグルカン誘導体の重量割合が比較的大きい変性グルカン誘導体を好適に使用することができる。このような重量割合は、後述の荷重たわみ温度などの物性にも大きく影響を与え、例えば、ヒドロキシ酸成分の割合が同じであれば、ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有量が低減されるほど、曲げ特性(剛性)が向上し、荷重たわみ温度(耐熱性)も上昇する。
さらに、本発明の変性グルカン誘導体において、揮発性成分(又は低沸点成分)の含有割合は、変性グルカン誘導体全体に対して、例えば、5重量%以下[例えば、0(又は検出限界)〜4.5重量%程度]、好ましくは4重量%以下(例えば、0.3〜3.5重量%程度)、さらに好ましくは3重量%以下(例えば、0.5〜2.5重量%程度)、特に2重量%以下(例えば、0.7〜1.8重量%程度)であってもよい。なお、揮発性成分としては、例えば、変性グルカン誘導体の製造に使用した溶媒、未反応のヒドロキシ酸成分などが挙げられる。このような揮発性成分は、変性グルカン誘導体の特性(耐加水分解性)や成形性に影響を与える場合があるため、できる限り低減されているのが好ましい。特に未反応のヒドロキシ酸成分は、酸価を上昇させる要因となるため、極力変性グルカン誘導体から除去されているのが好ましい。一方、本発明の変性グルカン誘導体では、前記のように、ヒドロキシ酸成分の単独重合体を比較的小割合で含有していてもよい。このようなヒドロキシ酸成分の単独重合体を低割合で含み、かつ揮発性成分の含有割合が高いレベルで低減されている変性グルカン誘導体では、溶融流動性などの樹脂特性を損なうことなく、酸価を低減できるため、効率よく樹脂特性と耐加水分解性とを両立できる。なお、このような揮発性成分は、後述するように、変性グルカン誘導体を合成後、脱揮(特に溶融混練しつつ脱揮)することにより効率よく低減できる。
本発明の変性グルカン誘導体は、ヒドロキシ酸成分がグラフトしたグラフト鎖を有しているにもかかわらず、通常、比較的高い荷重たわみ温度を有しており、耐熱性が高い。本発明の変性グルカン誘導体の荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度は、40℃以上(例えば、43〜150℃程度)の範囲から選択でき、例えば、45℃以上(例えば、46〜140℃程度)、好ましくは48℃以上(例えば、50〜130℃程度)、さらに好ましくは50℃以上(例えば、52〜120℃程度)、特に55℃以上(例えば、57〜100℃程度)であってもよく、通常45〜110℃(例えば、50〜105℃、好ましくは55〜100℃)程度であってもよい。なお、変性グルカン誘導体の上記荷重たわみ温度は、JIS K 7191−2に記載のB法(負荷力0.45MPa)に準じて測定できる。また、変性グルカン誘導体の上記荷重たわみ温度は、例えば、グルカン誘導体単位とヒドロキシ酸成分で形成された構成単位との割合、ヒドロキシ酸成分のグラフト割合、グラフト鎖の重合度、グルカン誘導体の種類(置換度、アシル基などの置換基の種類など)などを調整することにより調整できる。
なお、本発明の変性グルカン誘導体のガラス転移温度は、例えば、70℃以上(例えば、73〜220℃程度)、好ましくは75〜200℃(例えば、78〜190℃)、さらに好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは85〜160℃程度であってもよく、通常90〜155℃(例えば、95〜150℃)程度であってもよい。
また、本発明の変性グルカン誘導体は、適度な流動性を有し、成形性に優れている。例えば、本発明の変性グルカン誘導体のメルトフローレートは、200℃および5kgf(49N)の条件下で、0.1〜30g/10分、好ましくは0.5〜25g/10分、さらに好ましくは1〜20g/10分程度であってもよく、通常0.3〜18g/10分[例えば、0.5〜16g/10分、好ましくは0.7〜12g/10分、さらに好ましくは0.8〜10g/10分、特に1〜8g/10分(例えば、1.2〜5g/10分)]程度であってもよい。
本発明の変性グルカン誘導体の酸価は、通常、20mgKOH/g以下(例えば、0(又は検出限界)〜18mgKOH/g程度)、好ましくは15mgKOH/g以下(例えば、0.1〜12mgKOH/g程度)、さらに好ましくは10mgKOH/g以下(例えば、0.3〜9mgKOH/g程度)、特に8mgKOH/g以下(例えば、0.5〜7mgKOH/g程度)であってもよく、通常0.2〜10mgKOH/g(例えば、0.4〜8mgKOH/g)程度であってもよい。本発明の変性グルカン誘導体は、上記のように通常酸価が小さいため、耐加水分解性に優れている。なお、酸価は、前記ヒドロキシ酸成分の単独重合体および未反応のヒドロキシ酸成分の含有量などを低減することにより小さくすることができる。
(変性グルカン誘導体の製造方法)
本発明の変性グルカン誘導体は、グルカン誘導体とヒドロキシ酸成分とを反応(開環重合反応又は縮合反応)させる工程(グラフト反応工程)を経ることにより得ることができる。すなわち、グルカン誘導体にヒドロキシ酸成分をグラフト重合することにより変性グルカン誘導体を調製できる。このようなグラフト反応工程は、通常、溶媒中で行ってもよい。なお、グラフト反応(グラフト重合反応)は、ヒドロキシ酸成分として環状エステル(例えば、ラクトン、ラクチドなどの環状ジエステル)を用いるときには、環状エステルの開環を伴う開環反応(開環重合反応、開環グラフト化反応)であり、ヒドロキシ酸(乳酸、ヒドロキシヘキサン酸など)を用いるときには縮合反応(縮合グラフト化反応)である。本発明では、通常、環状エステルを用いた開環グラフト化反応を好適に利用できる。
グラフト重合(特に、環状エステルを用いた開環重合反応)に使用するグルカン誘導体およびヒドロキシ酸成分の水分含有量は、それぞれ、できるだけ少ない方が好ましく、グルカン誘導体の全体又はヒドロキシ酸成分の全体に対して1重量%以下[例えば、0(又は検出限界)〜0.8重量%程度]、好ましくは0.7重量%以下(例えば、0.0001〜0.6重量%程度)、好ましくは0.5重量%以下(例えば、0.001〜0.45重量%程度)、さらに好ましくは0.4重量%以下(例えば、0.01〜0.35重量%程度)であってもよい。なお、水分含有量は、慣用の方法、例えば、蒸留、乾燥剤(硫酸マグネシウムなど)に対する接触、加熱乾燥などにより低減できる。
反応(グラフト重合)において、ヒドロキシ酸成分の割合(使用割合)は、特に制限されず、グルカン誘導体100重量部に対して、例えば、1〜300重量部(例えば、5〜250重量部)、好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは15〜150重量部(例えば、20〜120重量部)程度であってもよく、通常110重量部以下(例えば、5〜105重量部、好ましくは8〜100重量部、さらに好ましくは10〜90重量部、特に15〜80重量部程度)であってもよい。
反応(又はグラフト重合)は、ヒドロキシ酸成分の種類(例えば、環状エステル)にもよるが、慣用の触媒[例えば、有機酸類、無機酸類、金属(アルカリ金属、マグネシウム、亜鉛、スズ、アルミニウムなど)、金属化合物[スズ化合物(ジブチルチンラウレート、塩化スズ)、有機アルカリ金属化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物(チタンアルコキシドなど)、有機ジルコニウム化合物など]など]の存在下で行ってもよい。触媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
特に、触媒(グラフト重合触媒)として、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)のグラフト重合(特に、環状エステルを用いた開環重合反応)の触媒となる化合物であって、かつ、単独で重合を開始しない金属錯体(又は金属化合物)を使用してもよい。前記金属錯体は、環状エステルなどのヒドロキシル基を持たないモノマーと共存してもそれら2成分のみでは重合を開始せず、グルカン誘導体や系中に不純物として存在する水のような、ヒドロキシル基を有する化合物が存在して初めて重合を開始し得る。このような触媒(及び後述の特定溶媒)を使用することにより、触媒由来のヒドロキシ酸成分の単独重合体(ホモポリマー)の生成を著しく抑制できる。また、このような触媒(および後述の特定溶媒)を用いると、前記特許文献1の方法において見られるようなアシル基の置換度の低下を生じることがなく、グラフト重合後の生成物(すなわち、変性グルカン誘導体)において、原料としてのグルカン誘導体のアシル置換度を反映でき、所望のアシル置換度(およびグラフト鎖置換度)を有する変性グルカン誘導体を効率よく得ることができる。
前記重合を開始しない金属錯体(金属化合物)は、中心金属とこの中心金属に配位する配位子とで構成されており、前記金属錯体を構成する具体的な配位子(又は環状エステルに対する重合開始活性を示さない配位子又は環状エステルに対して不活性な配位子)としては、例えば、一酸化炭素、ハロゲン原子(塩素原子など)、酸素原子、炭化水素[例えば、アルカン(C1−20アルカンなど)、シクロアルカン、アレーン(ベンゼン、トルエンなど)など]、β−ジケトン(アセチルアセトンなどのβ−C5−10ジケトンなど)、カルボン酸[例えば、アルカン酸(酢酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸などのC1−20アルカン酸)などの脂肪族カルボン酸;安息香酸などの芳香族カルボン酸など]、炭酸、ホウ酸などに対応する配位子(例えば、ハロ、アルキル、アシルアセトナト、アシル)などが挙げられる。これらの配位子は、単独で又は2種以上組み合わせて中心金属に配位していてもよい。
代表的なグラフト重合触媒としては、アルコキシ基(及びヒドロキシル基)及び/又はアミノ基(第3級アミノ基以外のアミノ基)を配位子として有しない金属錯体、例えば、アルカリ金属化合物(炭酸アルカリ金属塩、酢酸ナトリウムなどのカルボン酸アルカリ金属塩など)、アルカリ土類金属化合物(例えば、炭酸アルカリ土類金属塩、酢酸カルシウムなどのカルボン酸アルカリ土類金属塩)、亜鉛化合物(酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛など)、アルミニウム化合物(例えば、トリアルキルアルミニウム)、ゲルマニウム化合物(例えば、酸化ゲルマニウムなど)、スズ化合物[例えば、スズカルボキシレート(例えば、オクチル酸スズ(オクチル酸第一スズなど)などのスズC2−18アルカンカルボキシレート、好ましくはスズC4−14アルカンカルボキシレート)、アルキルスズカルボキシレート(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズトリオクチレートなどのモノ又はジC1−12アルキルスズC2−18アルカンカルボキシレートなど)などのスズ(又はチン)カルボキシレート類;アルキルスズオキサイド(例えば、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどのモノ又はジアルキルスズオキサイドなど);ハロゲン化スズ;ハロゲン化スズアセチルアセトナト;無機酸スズ(硝酸スズ、硫酸スズなど)など]、鉛化合物(酢酸鉛など)、アンチモン化合物(三酸化アンチモンなど)、ビスマス化合物(酢酸ビスマスなど)などの典型金属化合物又は典型金属錯体;希土類金属化合物(例えば、酢酸ランタン、酢酸サマリウムなどのカルボン酸希土類金属塩)、チタン化合物(酢酸チタンなど)、ジルコニウム化合物(酢酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネートなど)、ニオブ化合物(酢酸ニオブなど)、鉄化合物(酢酸鉄、鉄アセチルアセトナトなど)などの遷移金属化合物が挙げられる。
これらの触媒のうち、特に、スズカルボキシレート類などのスズ錯体(又はスズ化合物)が好ましい。触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
反応(グラフト重合反応)において、前記触媒の割合(使用割合)は、前記グルカン誘導体のヒドロキシル基1モルに対して、例えば、10−7〜10−1モル、好ましくは5×10−7〜5×10−2モル、さらに好ましくは10−6〜3×10−2モル程度であってもよい。
また、反応(グラフト重合反応)は、無溶媒又は溶媒中で行ってもよく、通常、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えば、炭化水素類、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、窒素含有溶媒(ニトロメタン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)などを使用してもよく、過剰のヒドロキシ酸成分(例えば、ラクトン、ラクチドなど)を溶媒に用いてもよい。溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、環状エステルを用いた開環重合反応系では、前記特定の触媒に加えて、水に対する溶解度が小さい特定の溶媒を使用することにより、重合系又は反応における水の影響を極力抑えることができるためか、ヒドロキシ酸成分のホモポリマーの生成を高いレベルで抑制しつつ変性グルカン誘導体を得ることができる。具体的には、グラフト重合反応に用いる溶媒の20℃における水に対する溶解度は、10重量%以下[例えば、0(又は検出限界)〜8重量%]の範囲から選択でき、例えば、7重量%以下(例えば、0.0001〜6重量%程度)、好ましくは5重量%以下(例えば、0.0005〜4重量%程度)、さらに好ましくは3重量%以下(例えば、0.0008〜2重量%程度)、特に1重量以下(例えば、0.001〜0.8重量%、好ましくは0.002〜0.5重量%、さらに好ましくは0.003〜0.3重量%程度)であってもよい。
水に対する溶解度が小さい溶媒としては、具体的には、例えば、脂肪族炭化水素類[例えば、アルカン(例えば、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのC7−20アルカンなど)、シクロアルカン(例えば、シクロヘキサンなどのC4−10シクロアルカン)など]、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン(o,m又はp−キシレン)、エチルベンゼンなどのC6−12アレーン、好ましくはC6−10アレーン)、脂肪族ケトン類[例えば、ジアルキルケトン(例えば、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジn−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのC5−15ジアルキルケトン、好ましくはC7−10ジアルキルケトン)など]、鎖状エーテル類[例えば、ジアルキルエーテル(C6−10ジアルキルエーテルなど)、アルキルアリールエーテル(アニソールなど)など]などの非ハロゲン系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、ハロアルカン(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパンなどのハロC1−10アルカン)、ハロシクロアルカン(クロロシクロヘキサンなどのハロC4−10シクロアルカン)、ハロゲン系芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロメチルベンゼン、クロロエチルベンゼンなどのハロC6−12アレーン、好ましくはハロC6−10アレーンなど)などのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
溶媒の割合は、溶媒の種類などにもよるが、グルカン誘導体100重量部に対して、50重量部以上(例えば、55〜500重量部程度)の範囲から選択でき、例えば、60〜450重量部(例えば、65〜400重量部)、好ましくは60〜300重量部(例えば、65〜250重量部)、さらに好ましくは70〜200重量部(例えば、75〜190重量部)、特に80〜180重量部(例えば、85〜170重量部、好ましくは90〜150重量部)程度であってもよい。また、溶媒の割合は、グルカン誘導体及びヒドロキシ酸成分の総量100重量部に対して、例えば、10〜200重量部、好ましくは30〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部(例えば、50〜100重量部)、通常45〜90重量部(例えば、50〜80重量部)程度であってもよい。
また、水に対する溶解度が小さい溶媒(20℃における水に対する溶解度が10重量%以下の溶媒)で溶媒を構成する場合、溶媒全体に対する前記水に対する溶解度が小さい溶媒の割合は、例えば、30重量%以上(例えば、35〜100重量%程度)、好ましくは40重量%以上(例えば、45〜99重量%程度)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、55〜95重量%程度)、特に60重量%以上(例えば、65〜90重量%程度)であってもよい。
反応(グラフト化反応)は、常温下で行ってもよく、通常、反応を効率よく行うため、加温下で行ってもよい。具体的な反応温度は、溶媒の種類にもよるが、例えば、60〜250℃、好ましくは80〜220℃、さらに好ましくは100〜180℃(例えば、105〜170℃)、通常110〜160℃程度であってもよい。
反応は、空気中又は不活性雰囲気(窒素、ヘリウムなどの希ガスなど)中で行ってもよく、通常不活性雰囲気下で行うことができる。また、反応は、常圧又は加圧下で行ってもよい。さらに、グラフト化は、攪拌しながら行ってもよい。
なお、反応は、ヒドロキシ酸成分のホモポリマーの生成や副反応を効率よく抑えるため、出来る限り水分が少ない状態で行ってもよい。例えば、反応(特に、開環重合反応)において、グルカン誘導体、ヒドロキシ酸成分、および溶媒の総量に対する水分含有量は、例えば、0.3重量%以下[0(又は検出限界)〜0.25重量%程度]、好ましくは0.2重量%以下(例えば、0.0001〜0.18重量%程度)、さらに好ましくは0.15重量%以下(例えば、0.0005〜0.12重量%程度)、特に0.1重量%以下(例えば、0.001〜0.05重量%程度)であってもよい。なお、縮合反応によりグラフト化する場合には、水よりも高沸点の溶媒を用い、共沸などを利用して生成する水を除去しつつ反応を行ってもよい。
グラフト重合反応において、反応時間は、特に制限されないが、例えば、10分〜24時間、好ましくは30分〜10時間、さらに好ましくは1〜6時間程度であってもよい。
なお、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を保護する場合、保護は、前記反応(グラフト化)で得られた生成物を分離(及び精製)し、この分離(及び精製)したグラフト生成物と、前記保護基に対応する保護剤[例えば、酸ハライド、酸無水物などのアシル化剤、アルケニルアシレート(例えば、酢酸イソプロペニルなど)などのヒドロキシル基の保護剤;カルボジイミド化合物などのカルボキシル基の保護剤など]とを反応させて行ってもよく、前記グラフト化と同一の反応系で連続して行ってもよい。同一の反応系で行う場合、反応系の粘度を下げるため、必要に応じて、溶媒を添加してもよく、グラフト化において予め多量又は過剰量のヒドロキシ酸成分を使用し、この過剰量のヒドロキシ酸成分を溶媒として用いてもよい。
グラフト反応工程で生成した反応混合物[又はグラフト反応終了後(グラフト重合後、グラフト重合およびヒドロキシル基の保護後)の反応混合物](又は反応生成物)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、中和、沈澱などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を用いて、分離精製してもよい。なお、本発明では、前記反応混合物から、通常、ヒドロキシ酸成分の単独重合体を除去しない場合が多い。すなわち、本発明では、反応混合物から、反応生成物として、ヒドロキシ酸成分の単独重合体を含む変性グルカン誘導体を分離する場合が多い。反応混合物を精製(再沈、抽出などにより精製)すると、前記揮発性成分を除去できるものの、ヒドロキシ酸成分の単独重合体なども分離されるため、得られる生成物の溶融流動性などを低下させる虞がある。
前記方法は、グラフト反応工程後、グラフト反応工程で生成した反応混合物(例えば、反応液)を加熱処理する工程(特に反応混合物からヒドロキシ酸成分の単独重合体を除去することなく加熱処理する工程)を含んでいてもよい。このような加熱処理工程は、通気加熱処理、真空加熱処理などを利用した工程であってもよく、特に、加熱しつつ(特に加熱下で攪拌しつつ)脱揮(又は揮発性成分を留去)する脱揮工程(又は脱揮押出工程)であってもよい。
このような加熱処理工程は、代表的には、加熱下で攪拌しつつ[例えば、溶融混練(特に溶融混練押出し)しつつ]脱揮(又は揮発性成分を留去)する脱揮工程(又は脱揮押出工程)であってもよい。このような加熱処理工程(特に脱揮工程)により、反応生成物(又は変性グルカン誘導体)に含まれる揮発性成分を確実にかつ効率よく除去できる。特に、前記反応混合物を精製することなく、加熱処理(特に、溶融押出ししつつ脱揮)すると、前記ヒドロキシ酸成分の単独重合体などの溶融流動性に関与する成分をある程度残存させつつ、揮発性成分を高いレベルで除去できる。しかも、再沈、抽出などの精製操作を必要としないため、本発明の変性グルカン誘導体を効率よく製造できる。
なお、加熱処理工程(脱揮工程)に供する反応混合物は、前記慣用の分離手段(例えば、蒸留など)により予め溶媒成分などが除去された混合物であってもよく、グラフト反応後の溶媒や未反応モノマーを含む混合物であってもよい。代表的には、脱揮工程において、グラフト反応工程により生成した揮発性成分(溶媒、未反応モノマーなど)を含む液状の反応混合物を、加熱(特に加熱下で攪拌又は溶融混練)しつつ脱揮してもよい。溶媒や未反応モノマーを含む反応混合物をそのまま脱揮工程に供すると、溶媒や未反応モノマーを除去する工程を省略でき、効率的である。なお、液状成分(溶媒、未反応モノマーなど)を含む液状の反応混合物を溶融混練しつつ脱揮すると、液状成分が除去されるに伴って固体状となった反応混合物が溶融混練される。
なお、脱揮工程は、脱揮機能(又は脱揮装置)を備えた混練機(通常、押出機)を用いて行うことができる。脱揮装置は、通常、例えば、脱揮口(ベント口)、冷却トラップ、真空ポンプ、及びそれらを連結する配管などで構成される。
加熱処理(溶融混練)において、加熱処理温度(又は混練温度)は、例えば、80〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは120〜200℃程度であってもよく、通常150〜210℃程度であってもよい。
なお、加熱処理は、溶媒や未反応モノマーを前記のような範囲まで十分に除去できる範囲で、出来る限り、短時間に行ってもよい。長時間にわたって加熱処理を行うと、反応生成物(変性グルカン誘導体)が着色する虞があるが、短時間に適度な加熱処理を行うと、このような着色を防止又は抑制しつつ効率よく揮発性成分を除去できる。このような観点から、加熱処理時間(例えば、溶融混練時間)は、特に、10時間以下(例えば、5分〜9時間)、好ましくは8時間以下(例えば、10分〜7時間)、さらに好ましくは6時間以下(例えば、20分〜5時間)であってもよい。
[変性グルカン誘導体の用途、樹脂組成物および成形体]
本発明の変性グルカン誘導体は、熱可塑性プラスチックとして利用でき、粉粒状、ペレット(樹脂ペレット、マスターバッチペレットなど)状、溶媒を含む組成物(ドープ、コーティング組成物など)などの形態で使用できる。また、前記変性グルカン誘導体は、樹脂組成物を構成してもよい。このような樹脂組成物において、グルカン誘導体は、単独で又は2種以上組みあわせて使用できる。また、前記樹脂組成物は、樹脂成分として、他の樹脂、例えば、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、熱可塑性エラストマー、前記範疇に属さないグルカン誘導体(例えば、セルロースアセテートなどのセルロースアシレート)などを含んでいてもよい。他の樹脂は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
前記樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、充填剤(フィラー)又は補強剤、着色剤(染顔料)、導電剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
そして、本発明の変性グルカン誘導体(及びその組成物)は、種々の成形体(繊維などの一次元的成形体、フィルム、シート、塗膜(又は薄膜)などの二次元的成形体、湾曲又は立体形状の三次元的成形体など)を形成するのに有用である。
前記変性グルカン誘導体の成形法としては、公知の成形方法、例えば、押出成形法、射出成形法、射出圧縮成形法、トランスファー成形法、ブロー成形法、塗布法(スピンコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、ディップコーティング法、キャスティング成形法などの溶液成膜法)、紡糸法(溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法など)などを利用できる。特に、本発明の変性グルカン誘導体は、耐加水分解性および耐熱性に優れているため、溶融混練工程を経る成形法、例えば、押出成形法、射出成形法(特に射出成形法)であっても好適に利用できる。
本発明の変性グルカン誘導体は、成形性に優れ、種々の成形体(又は成形品、例えば、射出成形品)は、各種用途、例えば、オフィスオートメーション(OA)・家電機器分野、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、自動車などの輸送車両分野、家具・建材などの住宅関連分野、雑貨分野などの各パーツ、ハウジングなどに好適に使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例において、各種特性は以下の条件で測定した。
[組成分析]
(1)水分
固体(粉体)の水分は、加熱式水分気化装置を備えたカールフィッシャー式電量法水分測定装置((株)ダイヤインスツルメンツ製)を用いて、JISK0113(2005年発行)に準拠して測定した。例えば、下記の実施例において原料として用いた酢酸セルロースの水分を測定する場合、気化装置の加熱炉の温度は200℃に設定した。
(2)モノマー転化率
グラフト反応終了後のモノマー転化率は、脱揮精製前の反応液中のε−カプロラクトンモノマー(以下、「CLM」と略す)の残存量をHPLC法によって決定することにより算出した。CLM残存量は、クエン酸−n−ブチルを標準物質とした内部標準法で決定した。HPLC装置の構成及び測定条件は以下のとおりである:
[使用機器]
(a)ポンプ:(株)島津製作所製、「LC−10AD」
(b)デガッサー:(株)エルマ製、「ERC−3612」
(c)RI検出器:日本分光(株)製、「RI−930」
(d)オーブン:(株)島津製作所製、「CTA−10A」
[測定条件]
(a)展開剤:クロロホルム
(b)カラム構成:昭和電工(株)製GPCカラム「Shodex K−801」2本および「Shodex K−802」2本の計4本を連結して構成
(c)カラム温度:40℃
(d)流量:1ml/min。
(3)揮発成分量
グラフト反応終了後の残存モノマーと溶媒を合わせて揮発成分とし、脱揮精製後の精製物中に残存する揮発成分の量(重量%)をガスクロマトグラフィー法(GC法)で決定した。
[GC機器及び測定条件]
(a)GC:(株)島津製作所製、「GC−14A」
(b)カラム:Agilent J&W「DB−FFAP」
(c)定量法:絶対検量線法
(d)溶液調製:試料を2−ブタノン溶媒で2重量%に希釈した溶液をGC測定に供した。
(4)酸価
生成物の酸価は、JISK0070(1992年発行)に準拠し、フェノールフタレインを指示薬とした中和滴定法によって測定した。
(5)変性グルカン誘導体の特性値
実施例中で用いる変性グルカン誘導体の特性値に関する用語を以下のように定義する:
(i)「CL/CA」は、脱揮精製後生成物中の酢酸セルロース(CA)由来構造成分と、ε−カプロラクトン(CL)由来構造成分(グラフト鎖および単独重合体)の重量比を表す。
(ii)「CL単独重合体含有率」は、重合終了液を脱揮精製して得られた生成物中に残存するε−カプロラクトンの単独重合体(以下、「CL単独重合体」と略す)の重量分率[%]を表す。
(iii)「MS(CL)」は、グルコース単位1モルあたりの、グルコース単位に結合したグラフト鎖を構成するε−カプロラクトン単位の平均総モル数(平均モル置換度)を表す。
(iv)「DS(PCL)」は、グルコース単位1モルあたりの、グルコース単位に結合したグラフト鎖の平均総モル数(平均置換度)を表す。
(v)「DP(PCL)」は、グラフト鎖およびCL単独重合体の数平均重合度である。
上記(i)〜(v)の特性値は、H−NMR測定により求めた。
なお、CL単独重合体およびグラフト鎖におけるカプロラクトン単位は、H−NMRスペクトルにおいて同一の化学シフトを示すが、CL単独重合体の末端基がカルボキシル基であることを利用してCL単独重合体とグラフト鎖とを区別できる。また、上記特性値(i)〜(v)は、(1)酢酸セルロースのアセチル基の平均置換度は反応前後において変わらず、かつ(2)グラフト鎖とCL単独重合体とは、数平均重合度(又は鎖長)において同じであるとして算出した。
[機械物性評価]
(1)試験片
引張特性評価に用いた試験片の形状は、JISK7139(1996年発行)の多目的試験片A形に準拠した。その他の機械特性評価用には、前記多目的試験片を切削して、該規格の付属書Aに準拠した形状の試験片を作製した。
(2)射出成形
前記多目的試験片は、射出成形によって作製した。射出成形条件はJISK7152(1995年発行)に準拠し、東芝機械(株)製、射出成形機 IS−100Eを使用した。詳細な射出成形条件としては、例えば、シリンダー温度170〜200℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒(射出15秒、冷却時間10〜15秒)の条件で行った。射出成形に供した樹脂ペレットは、予め棚式熱風乾燥機にて90℃で10時間以上乾燥を行った。
(3)引張特性
引張特性試験は、JISK7161(1994年発行)に準拠し、試験速度5mm/分で行い、引張破壊応力及び引張破壊時呼びひずみを測定した。
(4)曲げ特性
曲げ特性試験は、JISK7171(1994年発行)に準拠し、試験速度2mm/分で行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(5)耐衝撃性
耐衝撃性試験は、JISK7111(1996年発行)に準拠し、JIS K7139(1996)の付属書Aに準拠したノッチなし試験片を用いて、シャルピー衝撃強度を測定した。
(6)耐熱性
耐熱性試験は、JISK7191−2(1996年発行)に準拠し、A法(負荷力 1.80MPa)又はB法(負荷力 0.45MPa)の条件下で得られる荷重たわみ温度を測定した。
[溶融流動性評価]
溶融流動性は、JISK7210(1995年発行)に準拠し、200℃,49.03N(5.00kgf)の条件下で、10分間あたりのメルトフローレート(MFR)[g]を測定した。
(実施例1)
撹拌機およびダブルヘリカル型撹拌翼を備えた反応器に、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41、グルコース単位あたりの分子量263.2、比重1.33、重合度140)7.0kg(予め棚式熱風乾燥機にて90℃で10時間以上予備乾燥したもの)を投入し、反応器を120℃に加温しつつ乾燥窒素気流下で撹拌しながら酢酸セルロースにさらに2時間乾燥を施した。乾燥終了後の酢酸セルロースの水分量は0.30重量%であった。そして、反応器にモノマー(ε−カプロラクトン)3.0kg、溶媒(シクロヘキサノン)5.7kgを投入し、反応器を140℃に加温しながら乾燥窒素雰囲気下で2時間撹拌し、内容物を均一な溶液状態とした。その後、反応器に触媒(モノブチルスズトリオクチレート)10gを溶解させたシクロヘキサノン1.0kgを投入し、反応系を160℃に昇温して5時間重合反応を行った。モノマー転化率は、2時間で53%、5時間で97.7%であった。
重合反応終了後、反応液を脱揮装置を備えた押出機に導入し、190℃で揮発成分を留去しながらストランド状に押出し、ペレタイザーで切断して透明感のあるペレット状の生成物を得た。生成物中の揮発成分量(残存モノマー量と残存溶媒量の総和)は1.4重量%であった。
脱揮精製後生成物(以下、単に「生成物」と呼ぶことがある)中の酢酸セルロース由来構造成分と、ε−カプロラクトン由来構造成分(グラフト鎖および単独重合体)の重量比CL/CAは29.7/70.3であり、原料に使用した酢酸セルロースとε−カプロラクトンモノマーの重量比(以下、「(CL/CA)」と表す)の30/70に十分近い値であった。また、生成物の酸価は6.55mgKOH/g、残存するε−カプロラクトンの単独重合体、すなわちCL単独重合体の含有率は7.6重量%、グラフト共重合体の特性値は、MS(CL)0.73、DS(PCL)0.13、DP(PCL)5.5であった。
また、生成物のMFR(メルトフローレート)は3.3g/10minであり、190℃で射出成形が可能であった。射出成形片の機械物性は、引張破壊応力30MPa、引張破壊時呼びひずみ18%、曲げ強度42MPa、曲げ弾性率1,670MPa、シャルピー衝撃強度5.4kJ/m、荷重たわみ温度65℃(0.45MPa条件)であった。
(比較例1)
撹拌機、およびダブルヘリカル形撹拌翼を備えた反応器に、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41、グルコース単位あたりの分子量263.2、比重1.33、重合度140)7.0kg(予め乾燥は行わなかった)を投入し、反応器を120℃に加温しつつ乾燥窒素気流下で撹拌しながら酢酸セルロースにさらに2時間乾燥を施した。乾燥終了後の酢酸セルロースの水分は1.6重量%であった。そして、反応器にモノマー(ε−カプロラクトン)3.0kg、溶媒(シクロヘキサノン)5.7kgを投入し、反応器を140℃に加温しながら乾燥窒素雰囲気下で2時間撹拌し、内容物を均一な溶液状態とした。その後、反応器に触媒(モノブチルスズトリオクチレート)10gを溶解させたシクロヘキサノン1.0kgを投入し、反応系を160℃に昇温して5時間重合反応を行った。
重合反応終了後、実施例1と同様の脱揮精製操作によって得られた生成物のCL/CA比は30.7/69.3であり、仕込み比(CL/CA)の30/70に十分近い値であった。一方、酸価は33.8mgKOH/gと高く、生成物は加水分解しやすいものであった。生成物において、CL単独重合体の含有率は23.7重量%、グラフト共重合体の特性値は、MS(CL)0.25、DS(PCL)0.08、DP(PCL)3.28であった。なお、生成物中の揮発成分量(残存モノマー量と残存溶媒量の総和)は1.3重量%であった。
また、生成物のMFRは15.6g/10minであり、190℃で射出成形が可能であった。射出成形片の機械物性は、引張破壊応力26MPa、引張破壊時呼びひずみ23%、曲げ強度34MPa、曲げ弾性率1,450MPa、シャルピー衝撃強度8.3kJ/m、荷重たわみ温度60℃(0.45MPa条件)であった。
(実施例2)
撹拌機およびダブルヘリカル型撹拌翼を備えた反応器に、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41、グルコース単位あたりの分子量263.2、比重1.33、重合度140)7.0kg(予め棚式熱風乾燥機にて90℃で10時間以上予備乾燥したもの)を投入し、反応器を120℃に加温しつつ乾燥窒素気流下で撹拌しながら酢酸セルロースにさらに2時間乾燥を施した。乾燥終了後の酢酸セルロースの水分は0.32重量%であった。そして、反応器にモノマー(ε−カプロラクトン)7.0kg、溶媒(ジイソプロピルケトン)5.7kgを投入し、反応器を130℃に加温しながら乾燥窒素雰囲気下で2時間撹拌し、内容物を均一な溶液状態とした。その後、反応器に触媒(モノブチルスズトリオクチレート)10gを溶解させたシクロヘキサノン1.0kgを投入し、反応系を140℃に昇温して5時間重合反応を行った。仕込み時の酢酸セルロースとε−カプロラクトンモノマーの重量比(CL/CA)は50/50であり、モノマー転化率は、5時間で95.1%であった。
重合反応終了後、実施例1と同様の脱揮精製操作によって透明感のあるペレット状の生成物を得た。生成物中の揮発成分量(残存モノマー量と残存溶媒量の総和)は1.1重量%であった。
生成物のCL/CA比は48.7/51.3と仕込み比に十分近く、酸価は、2.66mgKOH/g、CL単独重合体の含有率は11.0重量%、グラフト共重合体の特性値は、MS(CL)1.69、DS(PCL)0.08、DP(PCL)20.3であった。
生成物のMFRは15.4g/10minであり、190℃で射出成形が可能であった。射出成形片の機械物性は、引張破壊応力12MPa、引張破壊時呼びひずみ36%、曲げ強度12MPa、曲げ弾性率590MPa、シャルピー衝撃強度16kJ/m、荷重たわみ温度48℃(0.45MPa条件)であった。
(実施例3)
撹拌機およびダブルヘリカル型撹拌翼を備えた反応器に、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41、グルコース単位あたりの分子量263.2、比重1.33、重合度140)7.8kg(予め棚式熱風乾燥機にて90℃で10時間以上予備乾燥したもの)を投入し、反応器を120℃に加温しつつ乾燥窒素気流下で撹拌しながら酢酸セルロースにさらに2時間乾燥を施した。乾燥終了後の酢酸セルロースの水分は0.25重量%であった。そして、反応器にモノマー(ε−カプロラクトン)5.2kg、溶媒(ジイソプロピルケトン)8.1kgを投入し、反応器を130℃に加温しながら乾燥窒素雰囲気下で2時間撹拌し、内容物を均一な溶液状態とした。その後、反応器に触媒(モノブチルスズトリオクチレート)20gを溶解させたシクロヘキサノン1.2kgを投入し、反応系を140℃に昇温して5時間重合反応を行った。仕込み時の酢酸セルロースとε−カプロラクトンモノマーの重量比(CL/CA)は40/60であり、モノマー転化率は、5時間で99.1%であった。
重合反応終了後、実施例1と同様の脱揮精製操作によって透明感のあるペレット状の生成物を得た。生成物中の揮発成分量(残存モノマー量と残存溶媒量の総和)は1.3重量%であった。
生成物のCL/CA比は41.3/58.7と仕込み比に十分近く、酸価は3.45mgKOH/g、CL単独重合体の含有率は9.3重量%、グラフト共重合体の特性値は、MS(CL)1.26、DS(PCL)0.10、DP(PCL)13.1であった。
生成物のMFRは7.2g/10minであり、は190℃で射出成形が可能であり、射出成形片の機械物性は、引張破壊応力16MPa、引張破壊時呼びひずみ30%、曲げ強度22MPa、曲げ弾性率970MPa、シャルピー衝撃強度16.7kJ/m、荷重たわみ温度60℃(0.45MPa条件)であった。
(実施例4)
撹拌機およびダブルヘリカル形撹拌翼を備えた反応器に、酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41、グルコース単位あたりの分子量263.2、比重1.33、重合度140)8.0kg(予め棚式熱風乾燥機にて90℃で10時間以上予備乾燥したもの)を投入し、反応器を120℃に加温しつつ乾燥窒素気流下で撹拌しながら酢酸セルロースにさらに2時間乾燥を施した。乾燥終了後の酢酸セルロースの水分は0.24重量%であった。そして、反応器にモノマー(ε−カプロラクトン)2.0kg、溶媒(シクロヘキサノン)4.0kgを投入し、反応器を130℃に加温しながら乾燥窒素雰囲気下で2時間撹拌し、内容物を均一な溶液状態とした。続いて、ジイソプロピルケトン溶媒5.5kgを投入し、さらに1時間撹拌して、系を均一化した。その後、触媒(モノブチルスズトリオクチレート)18gを溶解させたジイソプロピルケトン0.5kgを投入し、反応系を140℃に昇温して5時間重合反応を行った。仕込み時の酢酸セルロースとε−カプロラクトンモノマーの重量比(CL/CA)は20/80であり、モノマー転化率は、5時間で91.2%であった。
重合反応終了後、実施例1と同様の脱揮精製操作によって透明感のあるペレット状の生成物を得た。生成物中の揮発成分量(残存モノマー量と残存溶媒量の総和)は1.4重量%であった。
生成物のCL/CA比は20.1/79.9と仕込み比に十分近く、酸価は5.72mgKOH/g、CL単独重合体の含有率は12.9重量%、グラフト共重合体の特性値は、MS(CL)0.19、DS(PCL)0.03、DP(PCL)7.1であった。
生成物のMFRは1.6g/10minであり、190℃で射出成形が可能であった。射出成形片の機械物性は、引張破壊応力46MPa、引張破壊時呼びひずみ11%、曲げ強度65MPa、曲げ弾性率2,570MPa、シャルピー衝撃強度4.0kJ/m、荷重たわみ温度88℃(0.45MPa条件)および66℃(1.8MPa条件)であった。
(比較例2)
比較のため、市販のポリスチレン(GPPS、(株)東洋スチレン製、グレード:トーヨースチロールMW4D)の特性を測定したところ、射出成形片の機械物性は、引張破壊応力45MPa、引張破壊時呼びひずみ1.7%、曲げ強度78MPa、曲げ弾性率3200MPa、シャルピー衝撃強度1.2kJ/m、荷重たわみ温度91℃(0.45MPa条件)、MFR2.3g/10minであった。
(比較例3)
比較のため、市販の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS、(株)東洋スチレン製、グレード:トーヨースチロールH450)の特性を測定したところ、射出成形片の機械物性は、引張破壊応力31MPa、引張破壊時呼びひずみ60%、曲げ強度54MPa、曲げ弾性率2440MPa、シャルピー衝撃強度10.1kJ/m、荷重たわみ温度90℃(0.45MPa条件)、MFR5.5g/10minであった。
結果を表1に示す。なお、表1において、「CA」は酢酸セルロース、「CL」はε−カプロラクトンを示す。
生成物のMFRは7.2g/10minであり、190℃で射出成形が可能であり、射出成形片の機械物性は、引張破壊応力16MPa、引張破壊時呼びひずみ30%、曲げ強度22MPa、曲げ弾性率970MPa、シャルピー衝撃強度16.7kJ/m、荷重たわみ温度60℃(0.45MPa条件)であった。

Claims (18)

  1. グルカン誘導体と、このグルカン誘導体のヒドロキシル基に、ヒドロキシ酸成分がグラフト重合して形成されたグラフト鎖とで構成されているヒドロキシ酸変性グルカン誘導体であって、JIS K 7191−2に記載のB法(負荷力0.45MPa)に準じて測定した荷重たわみ温度が45℃以上であり、かつ酸価が20mgKOH/g以下である変性グルカン誘導体。
  2. グルカン誘導体が、セルロースアシレートである請求項1記載の変性グルカン誘導体。
  3. グルカン誘導体が、アセチル基の平均置換度1.5〜2.95のセルロースアセテートである請求項1又は2に記載の変性グルカン誘導体。
  4. グルカン誘導体が、アシル基の平均置換度2.3以上のセルロースC2−4アシレートである請求項1又は2に記載の変性グルカン誘導体。
  5. ヒドロキシ酸成分が、ヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸、C4−10ラクトン、およびC4−10環状ジエステルから選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  6. グラフト鎖において、グラフト重合したヒドロキシ酸成分の割合が、グルカン誘導体のグルコース単位1モルに対して、ヒドロキシ酸換算で平均0.001〜5モルである請求項1〜5のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  7. グラフト鎖において、グラフト重合したヒドロキシ酸成分の割合が、グルカン誘導体のグルコース単位1モルに対して、ヒドロキシ酸換算で平均0.05〜1.2モルである請求項1〜6のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  8. ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が1〜20重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  9. グルカン誘導体単位と、グラフト鎖およびヒドロキシ酸成分の単独重合体との割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜45/55である請求項1〜8のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  10. 揮発性成分の含有割合が5重量%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  11. (i)グルカン誘導体が、アシル基の平均置換度2.3以上のセルロースC2−4アシレートであり、(ii)グルカン誘導体単位と、グラフト鎖およびヒドロキシ酸成分の単独重合体との割合が、前者/後者(重量比)=95/5〜45/55であり、(iii)酸価が10mgKOH/g以下であり、(iv)ヒドロキシ酸成分の単独重合体の含有割合が4〜15重量%であり、(v)揮発性成分の含有割合が3重量%以下であり、かつ(vi)メルトフローレートが、200℃および5kgfの条件下で、1〜20g/10分である請求項1〜10のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  12. 射出成形に用いる請求項1〜11のいずれかに記載の変性グルカン誘導体。
  13. 溶媒中、グルカン誘導体とヒドロキシ酸成分とを、単独でヒドロキシ酸成分の重合を開始しない金属錯体の存在下で反応させるグラフト反応工程を少なくとも含む請求項1〜12のいずれかに記載の変性グルカン誘導体を製造する方法。
  14. グラフト反応工程において、水分含有量が1重量%以下のグルカン誘導体を使用し、溶媒を20℃において水に対する溶解度が10重量%以下の溶媒で構成する請求項13記載の製造方法。
  15. グラフト反応工程により生成した反応混合物を、加熱下で攪拌しつつ脱揮する脱揮工程を含む請求項13記載の製造方法。
  16. 反応混合物を精製することなく加熱下で攪拌する請求項15記載の製造方法。
  17. 脱揮工程において、グラフト反応工程により生成した揮発性成分を含む液状の反応混合物を、加熱下で攪拌しつつ脱揮する請求項15記載の製造方法。
  18. 請求項1〜12のいずれかに記載の変性グルカン誘導体で形成された成形体。
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