JP4967190B2 - 水性塗料組成物、塗装方法及び塗装物品 - Google Patents
水性塗料組成物、塗装方法及び塗装物品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料組成物、塗料、塗装方法及び塗装物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属、無機、プラスチック、木材、紙、皮革、繊維等の製品は、その表面の保護、意匠性及び機能性の付与等の目的で表面被覆が行われており、種々の塗料が開発されている。
【0003】
例えば、建材等の基材を工場で塗装する場合は、有機溶剤を含有する溶剤系塗料又は溶剤系表面処理剤を使用できるが、既設建物等を施工場所で塗装する場合は、作業安定性、環境保全性等の理由から水性塗料の使用が要請されている。また、塗膜の耐水性等の向上を目指して架橋系塗料も検討されており、特に1液状態で貯蔵安定性に優れ、常温で架橋できる1液常温架橋型塗料の開発が望まれている。
【0004】
近年、特に都市部では屋外建造物の雨筋汚染が問題になっており、それを改善する塗料の開発が要請され、種々の手法が検討されている。
特開平1−198653号公報には、フルオロオレフィン系共重合体に低汚染化剤として親水性基とポリフルオロアルキル基を含有する共重合体を添加した有機溶剤系塗料用組成物が記載されているが、水系1液常温架橋型塗料については記載されていない。
【0005】
特開平4−33942号公報には、フルオロオレフィン系樹脂の水性分散体と、フルオロアルキル基含有樹脂の水性分散体とを含有する水性塗料組成物について記載されており、塗膜の撥水撥油性は向上するが、耐雨筋汚染性は低い。また、硬化剤による架橋も例示されているが、水性塗料組成物の貯蔵安定性に問題がある。
【0006】
特開平11−256070号公報には、炭素炭素二重結合とフルオロアルキル基とを有する単量体、及び炭素炭素二重結合と水溶性基とを有する単量体、及びその他の炭素炭素二重結合を有する単量体からなる重合体を含む水性コーティング材が記載されており、塗膜の撥水撥油性は向上するが、耐雨筋汚染性は低い。
【0007】
特開平11−349694号公報には、ポリフルオロアルキル基と親水性基とを有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を練り込んだ樹脂成形体が記載されているが、該重合体を塗料へ適用した記載はない。また、汚れ防止性の記載はあるが、耐雨筋汚染性の記載はない。
【0008】
特開平7−097497号公報、特開平9−165490号公報、特開平10−316923号公報、特開平11−76935号公報には、カルボニル基とヒドラジド誘導体との反応で架橋する水系1液常温架橋型塗料によって塗膜の耐汚染性を向上させたと記載されているが、塗膜の耐雨筋汚染性の向上効果は低い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塗料安定性が高く、表面の光沢が高く、耐雨筋汚染性とその持続性に優れる塗膜を形成できる1液常温架橋型の水性塗料組成物、塗装方法及び塗装物の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記共重合体(A)、共重合体(A)以外であって、フルオロオレフィン類及び含フッ素アルキレンオキシド類のうち少なくとも1種を含む単量体を重合して得られるフッ素系重合体を含む重合体(B)、及びヒドラジノ基を有し重合体ではない化合物(C)を、共重合体(A)/重合体(B)/化合物(C)=0.1〜100/100/下記Wの質量比で含有し水を含有することを特徴とする水性塗料組成物を提供する。
共重合体(A):ポリフルオロアルキル基を有する単量体(a)の0.1〜99%、ケトン性カルボニル基またはアルデヒド性カルボニル基を有し、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(b)の0.1〜80%、
ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体若しくはその塩類、スルホ基を有する単量体若しくはその塩類、リン酸残基を有する単量体若しくはその塩類、アミノ基を有する単量体若しくはその塩類、水酸基を有する単量体、アミド残基を有する単量体、またはアルコキシアルキル基を有する単量体であり、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(c)の1〜99%、及び、
ポリオキシアルキレン鎖を有さず、カルボキシ基及びその塩類を有さず、スルホ基及びその塩類を有さず、リン酸残基及びその塩類を有さず、アミノ基及びその塩類を有さず、水酸基を有さず、アミド残基を有さず、アルコキシアルキル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さず、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さない単量体(d)の0〜80%、を共重合して得られる共重合体。
W:化合物(C)中のヒドラジノ基の数(X)/水性塗料組成物に含有される共重合体(A)及び重合体(B)中のケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基の数(Y)=0.01〜100の比となる量。
【0011】
また、前記水性塗料組成物を被塗物に塗装することを特徴とする塗装方法、及び、前記水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装物品、を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における共重合体(A)は、ポリフルオロアルキル基を有する単量体(a)と、カルボニル基を有し、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(b)と、親水性基を有し、カルボニル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(c)と、親水性基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さず、カルボニル基を有さないの単量体(d)とを共重合して得られる共重合体である。
【0013】
単量体(a)としては、CH2=CR5COOR6Rf、CH2=CR5COO(CH2)nNR7SO2Rf、CH2=CR5COO(CH2)nNR7CORf、CH2=CR5COOCH2CH(OH)(CH2)nRf等が挙げられる。ただし、nは1〜10の整数を、Rfは炭素数1〜18のポリフルオロアルキル基を、R5は水素原子又はメチル基を、R6は炭素数1〜6の2価有機基を、R7は水素原子又は炭素数1〜6の1価有機基を、表す。
【0014】
Rfは直鎖状でもよく、分岐状でもよく、エーテル性の酸素原子を含んでもよい。Rfの具体例としては、CF3−、F(CF2)2−、H(CF2)2−、F(CF2)3−、F(CF2)4−、H(CF2)4−、F(CF2)5−、F(CF2)6−、F(CF2)3OCF(CF3)−、H(CF2)6−、F(CF2)7−、F(CF2)8−、H(CF2)8−、F(CF2)9−、CF3CF(CF3)(CF2)6−、F(CF2)10−、H(CF2)10−、F(CF2)11−、F(CF2)12−、H(CF2)14−、F(CF2)16−、F(CF2)18−等が挙げられる。
【0015】
R6の具体例としては、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−CH(CH3)CH2−、−C(CH3)2−、−(CH2)4−、−(CH2)5−、−CH2CH(CH2CH2CH3)−等が挙げられる。
R7の具体例としては、H−、CH3−、H(CH2)2−、H(CH2)3−、H(CH2)4−等が挙げられる。
単量体(a)は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
共重合体(A)において、単量体(a)に基づく重合単位の割合は、0.1〜99%(質量基準である。特記ないかぎり以下同じ。)である。割合が少なすぎても多すぎても耐雨筋汚染性が低下する。好ましくは0.5〜70%、より好ましくは1〜50%である。
【0017】
単量体(b)のカルボニル基を有する単量体としては、カルボニル基(−CO−)を有し、該基の片方には炭素原子が結合し、もう一方には炭素原子又は水素原子が結合する単量体である。すなわち、本明細書においては単量体(b)におけるカルボニル基とは、カルボキシ基、アミド結合などに存在するカルボニル基は除き、ケトンに存在するカルボニル基(以下、ケトン性カルボニル基という。)又はアルデヒドに存在するカルボニル基(以下、アルデヒド性カルボニル基という。)をいう。同様に、単量体(c)、単量体(d)における「カルボニル基を有さない」とは、「ケトン性カルボニル基又はアルデヒド性カルボニル基を有さない」ことをいう。また、「共重合体(A)及び重合体(B)中のカルボニル基の数」についても「ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基の数」をいう。
【0018】
アルデヒド性カルボニル基を有する単量体(b)としては、(メタ)アクロレイン、クロトンアルデヒド、β−ホルミルスチレン、β−ホルミル−α−メチルスチレン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジメチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジエチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジプロピルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−α−ブチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α,β−トリメチルプロパナール等が挙げられる。
【0019】
ケトン性カルボニル基を有する単量体(b)としては、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルプロピルケトン、ビニルイソプロピルケトン、ビニルブチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ビニルtert−ブチルケトン、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジルケトン、ジビニルケトン、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
単量体(b)としては、特にアクロレイン、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレート及びビニルメチルケトンが好ましい。
単量体(b)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
共重合体(A)において、単量体(b)に基づく重合単位の割合は、0.1〜80%である。割合が少なすぎると耐雨筋汚染性の持続性が低下し、多すぎると耐雨筋汚染性が低下する。好ましくは0.2〜50%、より好ましくは1〜30%である。
【0022】
単量体(c)としては、ポリオキシアルキレン(以下、POAという。)鎖を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体又はその塩類、スルホ基を有する単量体又はその塩類、リン酸残基を有する単量体又はその塩類、アミノ基を有する単量体又はその塩類、水酸基を有する単量体、アミド残基を有する単量体、アルコキシアルキル基等を有する単量体等が挙げられる。
【0023】
POA鎖としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖が好ましく、POE鎖が最も好ましい。また、POA鎖が、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合鎖のように2種以上のモノマーの共重合鎖からなる場合にはランダム共重合鎖でもブロック共重合鎖でもよい。また、POA鎖の片方の末端基は、水酸基でもよく、炭素数1〜6のアルキル基でもよい。
【0024】
POA鎖のオキシアルキレン単位の重合度は1〜100が好ましい。POE鎖の場合には、重合度が低いと親水性が不足し、高いと塗膜が軟化し、汚れが付着しやすくなる。POE鎖の重合度は2〜30がより好ましい。
【0025】
POA鎖を有する単量体(c)の具体例としては、CH2=CHOCH2CyCH2O(C2H4O)kH(ここで、Cyは1,4−シクロヘキシレン基、kは1〜100の整数、特記ないかぎり以下同じ)、CH2=CHOC4H8O(C2H4O)kH、CH2=CHCOO(C2H4O)k+1H、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)k+1H、CH2=CHCOO(C2H4O)p+1(C3H6O)qH(ここで、p+qは1〜100の整数、特記ないかぎり以下同じ)、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)p+1(C3H6O)qH、等が挙げられる。上式中、C2H4Oは(CH2)2Oを、C3H6OはCH2CH(CH3)Oを、C4H8Oは(CH2)4Oを、それぞれ表し、以下同じである。
【0026】
POA鎖を有する単量体の市販品としては、M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AM−90G、AMP−10G、 AMP−20G、AMG−60G(以上新中村化学工業社製)、PE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、PP−500、PP−800、PP−1000、70FEP−350B、55PET−800、50POEP−800B、 AP−400、AE−350(以上、日本油脂社製)等が挙げられる。
【0027】
カルボキシ基を有する単量体(c)又はその塩としては、(メタ)アクリル酸、3−ブテン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
スルホ基を有する単量体(c)又はその塩としては、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、N−(2−スルホ−1,1−ジメチル)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩等が挙げられる。
リン酸残基を有する単量体(c)又はその塩としては、リン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル類及びそれらの塩等が挙げられる。
【0028】
アミノ基を有する単量体(c)又はその塩としては、2−(N−メチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びそれらの塩等が挙げられる。
【0029】
水酸基を有する単量体(c)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
アミド残基を有する単量体(c)としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0031】
アルコキシアルキル基を有する単量体(c)としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単量体(c)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
共重合体(A)において、単量体(c)に基づく重合単位の割合は、1〜99%である。割合が少なすぎても多すぎても耐雨筋汚染性が低下する。好ましくは10〜90%、より好ましくは30〜80%である。
【0033】
単量体(d)としては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類等が挙げられる。また、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)に含まれる官能基以外の官能基を有する単量体も挙げられる。
【0034】
炭化水素系オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の芳香族基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0035】
イソプロペニルエーテル類としては、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニルエーテル等が挙げられる。
アリルエーテル類としては、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等が挙げられる。
【0036】
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクタン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、オクタデカン酸ビニル等が挙げられる。
アリルエステル類としては、酢酸アリル、プロピオン酸アリル等が挙げられる。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(オキシエチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ(オキシエチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0039】
クロロオレフィン類としては、塩化ビニル、1,2−ジクロロエチレン、塩化ビニリデン、塩化イソプロペニル、塩化アリル等が挙げられる。
共役ジエン類としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0040】
単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)に含まれる上記の官能基以外の官能基を有する単量体としては、エポキシ基、加水分解性シリル基、シアノ基を有する単量体等が挙げられる。
【0041】
エポキシ基を有する単量体(d)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシ−1−ブテン等が挙げられる。
【0042】
加水分解性シリル基を有する単量体(d)としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
シアノ基を有する単量体(d)としては、(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、ケイ皮酸ニトリル等が挙げられる。
単量体(d)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
共重合体(A)において、単量体(d)に基づく重合単位の割合は、0〜80%である。割合が多すぎると耐雨筋汚染性が低下する。単量体(d)に基づく重合単位は任意成分であり、含有されても含有されなくてもよいが、含有される場合は、0.1〜50%が好ましく、1〜30%がより好ましい。
【0045】
共重合体(A)の配合量は、重合体(B)100部(質量基準である。以下同じ。)に対して0.1〜100部である。配合量が少なすぎると耐雨筋汚染性が低下し、多すぎると耐候性が低下する。好ましくは0.5〜50部、より好ましくは1〜30部である。
【0046】
共重合体(A)の数平均分子量は、1000〜1000000が好ましく、3000〜100000がより好ましい。数平均分子量が小さすぎると耐雨筋汚染性が低下し、大きすぎると塗膜表面への移行が難しくなり耐雨筋汚染性が低下する。
【0047】
本発明における重合体(B)としては、共重合体(A)以外の、公知の種々の重合体が特に制限なく用いられる。具体例としては、フッ素系重合体、アクリル系重合体、シリコン変性アクリル系重合体、ウレタン系重合体、メラミン系重合体、シリコーン系重合体、エポキシ系重合体、ポリエステル系重合体等が挙げられる。これらの重合体は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合体(B)は、フッ素系重合体を含有することが耐候性や耐薬品性に優れるので好ましく、フッ素系重合体のみからなることがより好ましい。
【0048】
本発明における重合体(B)として、フッ素系重合体と他の重合体との混合物を使用する場合には、他の重合体としてはアクリル系重合体が耐雨筋汚染性の持続性に優れるので好ましく、特にカルボニル基を有するアクリル系重合体がより好ましい。フッ素系重合体/アクリル系重合体の混合割合は、好ましくは99/1〜20/80、より好ましくは98/2〜50/50である。
フッ素系重合体としては、含フッ素単量体の重合体又は含フッ素単量体と含フッ素単量体以外の単量体との共重合体が好ましく用いられる。
【0049】
含フッ素単量体としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフルオロオレフィン類、含フッ素アルキレンオキシド類等が挙げられる。含フッ素単量体は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特にフルオロオレフィン類が耐久性に優れるので好ましい。
【0050】
含フッ素単量体以外の単量体としては、含フッ素単量体と共重合可能な単量体が用いられる。具体例としては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類等が挙げられる。また、官能基を有する単量体が含まれてもよい。
【0051】
炭化水素系オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等の芳香族基含有ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0052】
イソプロペニルエーテル類としては、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニルエーテル等が挙げられる。
アリルエーテル類としては、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等が挙げられる。
【0053】
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクタン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、オクタデカン酸ビニル等が挙げられる。
アリルエステル類としては、酢酸アリル、プロピオン酸アリル等が挙げられる。
【0054】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(オキシエチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ(オキシエチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、4−クロロ−3−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
【0056】
クロロオレフィン類としては、塩化ビニル、1,2−ジクロロエチレン、塩化ビニリデン、塩化イソプロペニル、塩化アリル等が挙げられる。
共役ジエン類としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0057】
官能基を有する単量体の官能基としては、POA鎖、カルボキシ基又はその塩類、酸無水物残基、アルデヒド性カルボニル基、ケトン性カルボニル基、スルホ基又はその塩類、リン酸残基又はその塩類、アミノ基又はその塩類、水酸基、アミド残基、アルコキシアルキル基、エポキシ基、加水分解性シリル基、シアノ基等が挙げられる。
【0058】
POA鎖としては、POE鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖が好ましく、POE鎖が最も好ましい。POA鎖が、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合鎖のように2種以上のモノマーの共重合鎖からなる場合にはランダム共重合鎖でもブロック共重合鎖でもよい。POA鎖のオキシアルキレン単位の重合度は1〜100が好ましい。POE鎖の場合には、重合度が低いと親水性が不足し、高いと塗膜が軟化し、汚れが付着しやすくなる。POE鎖の重合度は2〜30がより好ましい。
【0059】
POA鎖を有する単量体の具体例としては、CH2=CHOCH2CyCH2O(C2H4O)kH、CH2=CHOC4H8O(C2H4O)kH、CH2=CHCOO(C2H4O)k+1H、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)k+1H、CH2=CHCOO(C2H4O)p+1(C3H6O)qH、CH2=C(CH3)COO(C2H4O)p+1(C3H6O)qH、等が挙げられる。
【0060】
カルボキシ基を有する単量体又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−ブテン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、及びそれらの塩等が挙げられる。
酸無水物残基を有する単量体としては、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0061】
アルデヒド性カルボニル基を有する単量体としては、(メタ)アクロレイン、クロトンアルデヒド、β−ホルミルスチレン、β−ホルミル−α−メチルスチレン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジメチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジエチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α−ジプロピルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−α−ブチルプロパナール、β−(メタ)アクリロイルオキシ−α,α,β−トリメチルプロパナール等が挙げられる。
【0062】
ケトン性カルボニル基を有する単量体としては、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルプロピルケトン、ビニルイソプロピルケトン、ビニルブチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ビニルtert−ブチルケトン、ビニルフェニルケトン、ビニルベンジルケトン、ジビニルケトン、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、3−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート、4−(アセトアセトキシ)ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
スルホ基を有する単量体又はその塩としては、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、N−(1−スルホ−1−メチル)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩等が挙げられる。
リン酸残基を有する単量体又はその塩としては、リン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル類及びそれらの塩等が挙げられる。
【0064】
アミノ基を有する単量体又はその塩としては、2−(N−メチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びそれらの塩等が挙げられる。
【0065】
水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
アミド残基を有する単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0067】
アルコキシアルキル基を有する単量体としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルシンナメート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエーテル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシ−1−ブテン等が挙げられる。
【0068】
加水分解性シリル基を有する単量体としては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0069】
シアノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、ケイ皮酸ニトリル等が挙げられる。
【0070】
含フッ素単量体以外の単量体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素単量体以外の単量体を共重合することにより、顔料分散性の向上、塗膜の造膜性や下地への密着性の向上、塗膜の硬度、強度、伸度、光沢等の向上等の効果が得られやすい。
【0071】
含フッ素単量体と含フッ素単量体以外の単量体との共重合体においては、含フッ素単量体の共重合割合があまりに少ないと耐久性が低下するので、含フッ素単量体の共重合割合は、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは40〜80モル%である。含フッ素単量体以外の単量体の共重合割合は、好ましくは10〜70モル%、より好ましくは20〜60モル%である。官能基を有する単量体が共重合される場合には、官能基を有する単量体の共重合割合は、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%である。
【0072】
本発明における化合物(C)は、ヒドラジノ基(NH2NH−)を有する化合物である。好ましくは、ジヒドラジド、3官能以上の多官能ヒドラジド、3官能以上の多官能セミカルバジド等のような、分子中に2個以上のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体が好ましい。
【0073】
ジヒドラジドとしては、カルボノヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ヘプタン二酸ジヒドラジド、オクタン二酸ジヒドラジド、ノナン二酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ヘキサデカン二酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノ二酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の二塩基酸ジヒドラジド、1,4−ビス(ヒドラジノ)ナフトエ酸、2,6−ビス(ヒドラジノ)ナフトエ酸、4,4’−ビス(ヒドラジノ)ビフェニル、2,6−ビス(ヒドラジノ)ピリジン、1,4−ビス(ヒドラジノ)シクロヘキサン等のビス(ヒドラジノ)化合物、2,4−トリレンビスセミカルバジド、ジフェニルメタン−4,4’−ビスセミカルバジド等のビス(セミカルバジド)化合物等が挙げられる。
【0074】
3官能以上の多官能ヒドラジドとしては、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ピロメリット酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等の多塩基酸のカルバジド、1,3,5−トリス(ヒドラジノ)ベンゼン等のトリス(ヒドラジノ)化合物、1,4,5,8−テトラキス(ヒドラジノ)ナフトエ酸等のテトラキス(ヒドラジノ)化合物、多官能イソシアナートとヒドラジンとの反応物等の多官能セミカルバジド誘導体類、アルキル(メタ)アクリレートのオリゴマー等のアルコキシカルボニル基を含有するオリゴマーとヒドラジンとの反応物等が挙げられる。
【0075】
本発明の水性塗料組成物において、共重合体(A)、重合体(B)及び化合物(C)は、共重合体(A)/重合体(B)/化合物(C)=0.1〜100/100/前記Wの質量比で、含有される。
共重合体(A)の配合量が少なすぎると耐雨筋汚染性が低下し、多すぎると耐候性が低下する。共重合体(A)/重合体(B)/化合物(C)=0.5〜50/100/Wが好ましく、1〜30/100/Wがより好ましい。
【0076】
Wは、水性塗料組成物に含有されるヒドラジノ基の数(X)と共重合体(A)及び重合体(B)中のカルボニル基の数(Y)の比が0.01〜100となる量である。ここで、重合体(B)がカルボニル基を有さない場合には、Yは共重合体(A)中のカルボニル基の数であり、重合体(B)がカルボニル基を有する場合には、Yは共重合体(A)中のカルボニル基の数と重合体(B)中のカルボニル基の数の和である。
【0077】
化合物(C)中のヒドラジノ基と共重合体(A)及び重合体(B)中のカルボニル基との縮合反応は、水中においては極めて遅く、本発明の水性塗料組成物は安定である。一方、水性塗料組成物が塗装され、塗膜から水分が蒸発すると室温でもヒドラジノ基とカルボニル基とが縮合反応し架橋を生起する。すなわち、本発明の水性塗料組成物は1液常温架橋型の水性塗料用組成物を与える。
【0078】
Wが小さすぎると共重合体(A)や重合体(B)の架橋が不充分で耐雨筋汚染性及びその持続性が低下し、大きすぎると架橋が不充分になるうえ過剰の化合物(C)によって耐雨筋汚染性が低下する。WはX/Yの比が0.05〜20となる量が好ましく、0.2〜5となる量がより好ましい。
【0079】
本発明の水性塗料組成物の奏する優れた耐雨筋汚染性の発現機構は、以下のように考えられる。すなわち、共重合体(A)には、表面エネルギーの低いポリフルオロアルキル基が存在するので、塗膜表面へ移行しやく、少量の配合でも塗膜表面における共重合体(A)の含有量が高くなる。また、ポリフルオロアルキル基は、防汚性を発現するので、優れた耐雨筋汚染性を奏する。さらに、共重合体(A)中の親水性基は、降雨時に塗膜に付着した汚れの離脱効果を発現し、耐雨筋汚染性が向上する。また、化合物(C)によって架橋された共重合体(A)は、耐雨筋汚染性等の耐久性が向上するとともに、汚れの塗膜内への拡散が防止される。さらに、重合体(B)中にカルボニル基が存在する場合は、共重合体(A)、重合体(B)及び化合物(C)が相互に結合し塗膜の耐雨筋汚染性がより長期に持続する。
【0080】
本発明の水性塗料組成物には、必要に応じて、化合物(C)以外の架橋剤、着色剤、造膜助剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、皮バリ防止剤、顔料分散剤等の通常水性塗料に添加される添加剤を混合してもよい。
化合物(C)以外の架橋剤としては、ポリイソシアナート類、アミノプラスト、多塩基酸無水物、アジリジン誘導体、オキサゾリン誘導体等が挙げられる。
【0081】
ポリイソシアナート類としては、ヘキサメチレンジイソシアナートやイソホロンジイソシアナート等のポリイソシアナート化合物、メチルシリルトリイソシアナート等のシリルイソシアナート化合物及び/又はこれらの縮合物や多量体、フェノール等のブロック化剤でイソシアナート基をブロックしたブロック化ポリイソシアナート化合物等が例示される。特に無黄変タイプのものが好ましい。
【0082】
アミノプラストとしては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等が採用される。特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコールの1種又は2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロール化メラミンが好ましい。
【0083】
多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸等の脂肪族多価カルボン酸無水物等が例示される。
着色剤としては、染料、有機顔料、無機顔料、メタリック顔料等が例示され、特に、無機顔料は、塗膜の耐候性に優れるので好ましい。
【0084】
造膜助剤としては、水性塗料組成物の安定性を損なわない有機溶剤が使用できる。具体例としては、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート等の多価アルコールモノアルキルエーテルの有機酸エステル類、3−エトキシプロピオン酸エステル類、酢酸3−メトキシ−3−メチルブチル等が挙げられる。
【0085】
可塑剤としては、公知のものが使用でき、具体例としては、ジオクチルフタレート等の低分子量可塑剤、ビニル重合体系可塑剤やポリエステル系可塑剤等の高分子量可塑剤等が挙げられる。
【0086】
本発明の水性塗料組成物の塗装方法としては、通常用いられる塗装方法が特に限定なく採用でき、刷毛又はローラーブラシを用いた塗装、エアスプレイ塗装、カーテンフローコータによる塗装、ロールコータによる塗装等が挙げられる。
【0087】
塗装で得られた塗膜は常温で乾燥し硬化塗膜を得るが、高温で焼き付け乾燥し短時間で硬化塗膜を得ることもできる。焼き付け温度は特に限定されないが、塗装する基材の耐熱温度以下が好ましい。通常は250℃以下の温度が好ましい。
【0088】
本発明の水性塗料組成物は、新設の基材又は物品にあらかじめ設置前に塗装してもよく、また基材又は物品を設置した後に塗装してもよい。また、既に塗装された基材又は物品に塗装する補修塗装にも適する。また特に、屋外で使用される基材又は物品の塗装に適する。
【0089】
本発明の水性塗料組成物は、コンクリート、自然石、ガラス等の無機系基材、又は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅、チタン等の金属系基材、の塗装用として好ましく適用できる。FRP、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の有機無機複合材にも適用できる。さらに、他の樹脂組成物によって被覆層が形成されている基材にも適用できる。
【0090】
本発明の水性塗料組成物の塗料用としての適用対象は、運輸、建築、土木、電気・電子分野において、例えば、自動車、電車、航空機、橋梁部材、鉄塔、タンク、パイプ、ビル外装用パネル、ドア、窓材、門扉、その他の建築部材、中央分離帯、ガードレール、その他の道路部材、通信機材、電気・電子部品等の産業資材が挙げられる。
【0091】
【実施例】
以下に合成例及び実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレンを標準物質として測定した値である。
以下で用いた化合物の略号を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
[共重合体(A)の合成]
合成例1(A1:FA/PME−400/DOAm共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの100g、PME−400の260g、DOAmの40g、連鎖移動剤DSHの16.2g、開始剤V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/PME−400/DOAm共重合体(共重合体A1)の溶液を得た。共重合体A1の重量平均分子量は6000であった。ロータリーエバポレータで共重合体A1の溶液からアセトンを留去し、固形分濃度90%まで濃縮した後、イオン交換水を加え固形分濃度50%の水性分散液A1Dを得た。
【0094】
合成例2(A2:FA/MA/DOAm共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの90g、MAの44g、DOAmの40g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/MA/DOAm共重合体(共重合体A2)の溶液を得た。共重合体A2の重量平均分子量は2400であった。共重合体A2の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A2Dを得た。
【0095】
合成例3(A3:FA/MAm/DOAm共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの90g、MAmの44g、DOAmの40g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/MAm/DOAm共重合体(共重合体A3)の溶液を得た。共重合体A3の重量平均分子量は2300であった。共重合体A3の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A3Dを得た。
【0096】
合成例4(A4:FA/PME−400/AAEMA共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの90g、PME−400の260g、AAEMAの50g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/PME−400/AAEMA共重合体(共重合体A4)の溶液を得た。共重合体A4の重量平均分子量は6000であった。共重合体A4の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A4Dを得た。
【0097】
合成例5(A5:FA/PME−400/DOAm/CHMA共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの100g、PME−400の230g、DOAmの30g、CHMAの40g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/PME−400/DOAm/CHMA共重合体(共重合体A5)の溶液を得た。共重合体A5の重量平均分子量は6000であった。共重合体A5の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A5Dを得た。
【0098】
合成例6(A6:FA/DEOMA/DOAm/CHMA共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの80g、 DEOMAの250g、DOAmの30g、CHMAの40g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/DEOMA/DOAm/CHMA共重合体(共重合体A6)の溶液を得た。共重合体A6の重量平均分子量は6000であった。共重合体A6の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A6Dを得た。
【0099】
合成例7(A7:PME−400/DOAm共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、PME−400の326.5g、DOAmの50g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、PME−400/DOAm共重合体(共重合体A7)の溶液を得た。共重合体A7の重量平均分子量は6400であった。共重合体A7の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A7Dを得た。
【0100】
合成例8(A8:FA/DOAm共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの332g、DOAmの133g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/DOAm共重合体(共重合体A8)の溶液を得た。共重合体A8の重量平均分子量は4900であった。共重合体A8の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A8Dを得た。
【0101】
合成例9(A9:FA/PME−400共重合体):撹拌機を備えた1Lのオートクレーブにアセトンの380g、FAの112g、PME−400の287g、DSHの16.2g、V−59の4gを仕込み、窒素雰囲気下撹拌しながら、60℃で18時間重合させ、FA/PME−400共重合体(共重合体A9)の溶液を得た。共重合体A9の重量平均分子量は6500であった。共重合体A9の溶液から合成例1と同様にして固形分濃度50%の水性分散液A9Dを得た。
【0102】
[重合体(B)の合成とベース白塗料の調製]
ベース白塗料1:内容積200mLの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブに、イオン交換水の105.3g、ノニオン性乳化剤N−1110の2g、ドデシル硫酸ナトリウムの0.2g、過硫酸アンモニウム25%水溶液の0.07g、炭酸カリウムの0.22g、亜硫酸水素ナトリウムの0.02g、エチルビニルエーテルの21.2g、シクロヘキシルビニルエーテルの21g、CH2=CHOCH2CyCH2OHの3.4g、CH2=CHOCH2CyCH2O(C2H4O)kH(kは平均値で約15である。)の8.2gを仕込み、氷で冷却し、窒素ガスで3.5気圧まで加圧した後、パージして1気圧に戻した。
【0103】
この加圧とパージを2回繰り返した後、真空ポンプを用いて1/1000気圧まで脱気し、残存空気を除去した後、クロロトリフルオロエチレンの56.7gを仕込み、30℃で12時間重合し、フッ素系重合体である重合体B1の水性分散液1を得た。水性分散液1中の重合体B1の平均粒径は140nmで、固形分濃度は50%であった。
【0104】
上記重合体B1の水性分散液1の71部、造膜助剤Cs−12(チッソ社製)の3.6部、増粘剤レオビスCR(ヘキスト合成社製)の0.3部、酸化チタンCR−97(石原産業社製)の15.4部、顔料分散剤ノプコスパース44−C(サンノプコ社製)の0.8部、消泡剤FSアンチフォーム90(ダウコーニング社製)の0.6部及びイオン交換水の10.3部を混合してベース白塗料1を得た。ベース白塗料1中の重合体B1の濃度は34.8%であった。
【0105】
ベース白塗料2:DOAmの15g、メチルメタクリレートの50g、ブチルメタクリレートの30g、MAの5g、N−1110の1g、ラウリル硫酸ナトリウムの0.3g、及びイオン交換水の100gを撹拌混合してプレエマルション1を作成した。ついで、内容積300mLのガラス製フラスコに、重合体B1の水性分散液1の170gを仕込み、温度が70℃になるまで加温した後、プレエマルション1の30gを1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌した後、過硫酸アンモニウム0.5%水溶液の1mLを添加し重合を開始させた。4.5時間後に、重合体B1と重合で生成した共重合体1とを質量比で17:3の割合で含有する水性分散液を得た。以下、重合体B1と重合で生成した共重合体1の混合物を重合体B2という。得られた重合体B2の水性分散液の固形分濃度は50%であった。
【0106】
得られた水性分散液の71部、Cs−12の3.6部、レオビスCRの0.3部、CR−97の15.4部、ノプコスパース44−Cの0.8部、FSアンチフォーム90の0.6部、及びイオン交換水の10.3部を配合してベース白塗料2を得た。ベース白塗料2中の重合体B2の濃度は34.8%であった。
【0107】
ベース白塗料3:内容積2.5Lの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブに、イオン交換水の1100g、フッ素系アニオン性乳化剤FC−143(住友スリーエム社製)の4.75g、N−1110の2.2部、及びtert−ブチルアルコールの47gを仕込み、真空ポンプによる脱気、窒素ガスによる加圧を繰り返した。次に、テトラフルオロエチレンの72g、プロピレンの1.1g及びエチレンの1.4gを仕込んだ。
【0108】
オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点で圧力1.34MPaを示した。70℃を維持して過硫酸アンモニウム25%水溶液の2mLを添加し、重合を開始させた。圧力の低下に伴い、テトラフルオロエチレン/プロピレン/エチレンの50/25/25(モル%)の混合ガスを仕込んで、圧力を維持した。また、過硫酸アンモニウム25%水溶液の30mLを断続的に加えた。8時間後、混合ガスの供給を停止しオートクレーブを室温まで水冷した後、未重合モノマーをパージし、フッ素系重合体2の水性分散液2を得た。混合ガスの後仕込み量は合計861.5gであった。水性分散液2の固形分濃度は43.1%であった。
【0109】
フッ素系重合体2の水性分散液2の一部を遠心分離器にかけて沈降させた後、ガラスフィルタで濾過し、減圧下で5時間かけて水分を除去した後、ハンマーミルで粉砕し、フッ素系重合体2の粉末を得た。13C−NMRスペクトルによる組成分析の結果、フッ素系重合体2の組成は、テトラフルオロエチレン/プロピレン/エチレンに基づく重合単位が、52/28/20(モル%)の割合であり、融点は96.2℃であった。
【0110】
内容積300mLのガラス製フラスコに、上記フッ素系重合体2の水性分散液2の170gを仕込み、フラスコ内を充分に窒素置換し、70℃に昇温し、プレエマルション1の26gを1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌し分散させた後、過硫酸アンモニウム0.5%水溶液の1mLを添加し重合を開始させた。4.5時間後に、フッ素系重合体2と後の重合で生成した共重合体1とを質量比で17:3の割合で含有する水性分散液を得た。以下、フッ素系重合体2と重合で生成した共重合体1の混合物を重合体B3という。得られた重合体B3の水性分散液の固形分濃度は43.8%であった。
【0111】
得られた水性分散液の71部、Cs−12の3.6部、レオビスCRの0.3部、CR−97の15.4部、ノプコスパース44−Cの0.8部、FSアンチフォーム90の0.6部、及びイオン交換水の10.3部を配合してベース白塗料3を得た。ベース白塗料3中の重合体B3の濃度は30.5%であった。
【0112】
[例1〜16]
水性分散液A1D〜A9D及び化合物(C)としてADH又はPTHを、ベース白塗料1〜3に配合し水性塗料組成物を得た。各成分の配合部数(質量基準)を表2、表3及び表4に示す。200×95×8mmの大きさのアルミニウム板に該水性塗料組成物をアプリケータを用いて乾燥膜厚が20μmになるように塗装し、20℃、65%RHのもとで1週間乾燥させて塗装板を得た。水性塗料組成物及び塗装板の評価結果を表2、表3及び表4に示す。例1〜9が実施例であり、例10〜16が比較例である。
【0113】
水性塗料組成物の安定性:水性分散液(A1D〜A9D)、ベース白塗料1〜3及び化合物(C)を混合後、50℃にて一週間保存し、安定性を目視で評価した。異常のないものを○、ゲル化したものを×と記載した。
光沢:塗装板についてJIS Z8741に準じて60度の鏡面光沢度を測定した。数値が大きいほど光沢が優れることを示す。
【0114】
耐斜面汚染性:塗装板を100mmの部分で折り曲げ、上部が水平面から30度の角度になり、下部が鉛直になるように塗装面を外にして、神奈川県川崎市において屋外暴露した。この塗装板の暴露3ケ月後及び1年後の30度斜面のL*値を測定した。試験前後のL*値の差△L*を算出し、絶対値で記載した。なお、L*値は、SQ2000(日本電色工業社製)を用いて、JIS Z8730に従い測定した。数値が小さいほど耐斜面汚染性に優れることを示す。
【0115】
耐雨筋汚染性:耐斜面汚染性を評価した屋外曝露板について、垂直面の雨筋汚染の様子を評価した。雨筋汚れが目立たないものを○、多少目立つものを△、目立つものを×と記載した。
促進耐候性:塗装板についてJIS K5400 9.8.1に記載されるカーボンアーク灯式促進耐候性試験を4000時間実施した。試験前後の塗装板の光沢を測定し、両者の百分比として光沢保持率を算出した。光沢保持率80%以上を○、光沢保持率80%未満を×と記載した。
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
【発明の効果】
本発明によれば、表面の光沢が高く、防汚性、耐雨筋汚染性、汚れの易洗浄性、汚れの離脱性等に優れ、かつそれらの特性の持続性に優れ、かつ、耐候性に優れる塗膜を形成できる1液常温架橋型の水性塗料組成物が得られる。また、それらの優れた特性を有する塗膜を有する塗装物品が得られる。
Claims (5)
- 下記共重合体(A)、共重合体(A)以外であって、フルオロオレフィン類及び含フッ素アルキレンオキシド類のうち少なくとも1種を含む単量体を重合して得られるフッ素系重合体を含む重合体(B)、及びヒドラジノ基を有し重合体ではない化合物(C)を、共重合体(A)/重合体(B)/化合物(C)=0.1〜100/100/下記Wの質量比で含有し、水を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
共重合体(A):
ポリフルオロアルキル基を有する単量体(a)の0.1〜99%、
ケトン性カルボニル基またはアルデヒド性カルボニル基を有し、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(b)の0.1〜80%、
ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体若しくはその塩類、スルホ基を有する単量体若しくはその塩類、リン酸残基を有する単量体若しくはその塩類、アミノ基を有する単量体若しくはその塩類、水酸基を有する単量体、アミド残基を有する単量体、またはアルコキシアルキル基を有する単量体であり、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(c)の1〜99%、及び、
ポリオキシアルキレン鎖を有さず、カルボキシ基及びその塩類を有さず、スルホ基及びその塩類を有さず、リン酸残基及びその塩類を有さず、アミノ基及びその塩類を有さず、水酸基を有さず、アミド残基を有さず、アルコキシアルキル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さず、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さない単量体(d)の0〜80%、を共重合して得られる共重合体。
W:化合物(C)中のヒドラジノ基の数(X)/水性塗料組成物に含有される共重合体(A)及び重合体(B)中のケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基の数(Y)=0.01〜100の比となる量。 - 下記共重合体(A)、共重合体(A)以外であって、フルオロオレフィン類及び含フッ素アルキレンオキシド類のうち少なくとも1種を含む単量体を重合して得られるフッ素系重合体を含む重合体(B)、及びヒドラジノ基を有し重合体ではない化合物(C)を、共重合体(A)/重合体(B)/化合物(C)=0.1〜100/100/下記Wの質量比で含有し、水を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
共重合体(A):
ポリフルオロアルキル基を有する単量体(a)の0.1〜99%、
ケトン性カルボニル基またはアルデヒド性カルボニル基を有し、かつ、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(b)の0.1〜80%、
ポリオキシアルキレン鎖を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体若しくはその塩類、スルホ基を有する単量体若しくはその塩類、リン酸残基を有する単量体若しくはその塩類、アミノ基を有する単量体若しくはその塩類、水酸基を有する単量体、アミド残基を有する単量体、またはアルコキシアルキル基を有する単量体であり、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さない単量体(c)の1〜99%、
炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、および共役ジエン類から選ばれる単量体であり、ポリオキシアルキレン鎖を有さず、カルボキシ基及びその塩類を有さず、スルホ基及びその塩類を有さず、リン酸残基及びその塩類を有さず、アミノ基及びその塩類を有さず、水酸基を有さず、アミド残基を有さず、アルコキシアルキル基を有さず、ポリフルオロアルキル基を有さず、ケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基を有さない単量体(d)の0〜80%、を共重合して得られる共重合体。
W:化合物(C)中のヒドラジノ基の数(X)/水性塗料組成物に含有される共重合体(A)及び重合体(B)中のケトン性カルボニル基及びアルデヒド性カルボニル基の数(Y)=0.01〜100の比となる量。 - 化合物(C)が、ジヒドラジド、または分子中に2個以上のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体である請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水性塗料組成物を被塗物に塗装する塗装方法。
- 請求項4に記載の塗装方法により形成された塗膜を有することを特徴とする塗装物品。
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