JPH08319450A - 水性フッ素樹脂塗料 - Google Patents

水性フッ素樹脂塗料

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JPH08319450A
JPH08319450A JP13031095A JP13031095A JPH08319450A JP H08319450 A JPH08319450 A JP H08319450A JP 13031095 A JP13031095 A JP 13031095A JP 13031095 A JP13031095 A JP 13031095A JP H08319450 A JPH08319450 A JP H08319450A
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emulsion
polymerizable
mol
vinyl
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JP13031095A
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Kazuhiko Maeda
一彦 前田
Satoru Kobayashi
悟 小林
Kentaro Tsutsumi
憲太郎 堤
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Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フルオロオレフィン30〜65モル%、一般
(式中、nは7〜9の整数を表す。)で表される重合性
不飽和カルボン酸0.1〜20モル%、一般式 (式中、Rは−(AO)n−を表し、Aは炭素数2から
4のアルキレン基、nは0〜20の整数を表す。)で表
される重合性アリル化合物1〜30モル%、ビニルエス
テルまたはビニルエーテル20〜70モル%を必須成分
として乳化重合法によって共重合させたフッ素系共重合
体の水系エマルジョンに対して、分子中に2個以上のヒ
ドラジノ基を有する硬化剤を配合した水性フッ素樹脂塗
料。 【効果】 本発明の水系エマルジョンから調製した水性
フッ素樹脂塗料は、有機溶剤を含まないことから環境へ
の影響が軽減され、塗料のエマルジョン状態が極めて安
定であり、形成された塗膜は、耐水性、耐候性ととも
に、特に耐汚染性に優れるという顕著な効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は常温硬化可能な1液型の
水性フッ素樹脂塗料に関する。
【0002】
【従来技術】従来からフッ素系共重合体の優れた耐候性
を利用したフッ素樹脂塗料が工業化されている。特に硬
化部位を持った溶剤可溶型のフッ素系共重合体が合成さ
れ(たとえば特開昭57−34107号公報、特開昭6
1−57609号公報など。)、建築、自動車、化学工
業などの分野における耐候性塗料として数多く応用され
ている。これらの塗料樹脂の主成分はクロロトリフルオ
ロエチレンなどのフッ素系原料であり、共重合成分とし
てビニルエステルやビニルエーテルなどの炭化水素系モ
ノマーを使用することによって樹脂の溶解性を増大させ
たものである。また、環境面を重視し有機溶媒の排出量
を抑えた水系、粉体、ハイソリッド型塗料も活発に研究
開発され実用化されつつある。
【0003】これらのうち水系フッ素樹脂塗料では架橋
部位を付与させることが難しく、これまでは乳化重合で
製造した高分子量体エマルジョンをそのまま塗装するい
わばラッカータイプの水系塗料を用いるケースが多かっ
た。そのため常温架橋用の硬化剤の研究が進められ、オ
キサゾリン系化合物や自己乳化型ポリイソシアネートな
どが開発されているが、架橋が十分でなかったり、2液
型であったりする点が問題とされている。
【0004】一方、アクリル酸エステル系水性塗料で
は、カルボニル樹脂とヒドラジン残基含有化合物による
常温架橋性の1液エマルジョン塗料が開発されている
(特開昭57−3850、特開平4−81447な
ど。)。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た塗料においても耐候性の面で課題が残されており、フ
ッ素系の1液エマルジョン塗料の開発が期待され、研究
が活発化している。もともと、水性塗料の1液架橋系は
その架橋構造から耐水性や耐候性が低下しやすいという
欠点が予想され、それを克服する優れた性能バランスを
有するエマルジョン組成の開発が期待されている。
【0006】本発明は、常温架橋性を有する水性フッ素
樹脂塗料であって、耐水性、耐候性、耐汚染性などにす
ぐれた塗膜を形成でき、さらに塗料として1液タイプが
可能な水性フッ素樹脂塗料を提供するものである。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、水性フ
ッ素樹脂塗料の架橋性について鋭意検討した。その結
果、少なくともフルオロオレフィン、特定の構造を有す
る重合性不飽和カルボン酸、特定の構造を有するアセト
アセチル基含有のアリル化合物、ビニルエステルやビニ
ルエーテルなどの炭化水素系化合物を共重合させたフッ
素系共重合体の水系エマルジョンに対して、分子中に2
個以上のヒドラジノ基を有する化合物を硬化剤として用
いることで、常温で1液安定性を有し、しかもフッ素樹
脂塗料の中でも非常に高い耐候性、耐汚染性を示すこと
を見いだし、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は少なくともフルオロオ
レフィン30〜65モル%、一般式
【0009】
【化3】
【0010】(式中、nは7〜9の整数を表す。)で表
される重合性不飽和カルボン酸0.1〜20モル%、一
般式
【0011】
【化4】
【0012】(式中、Rは−(AO)n−を表し、Aは
炭素数2から4のアルキレン基、nは0〜20の整数を
表す。)で表される重合性アリル化合物1〜30モル
%、ビニルエステルまたはビニルエーテル20〜70モ
ル%を必須成分として乳化重合法によって共重合させた
フッ素系共重合体の水系エマルジョンに対して、分子中
に2個以上のヒドラジノ基を有する硬化剤を配合した水
性フッ素樹脂塗料である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本明細書
において「部」は「重量部」をいうものとする。本発明
にかかるフッ素系共重合体に使用するフルオロオレフィ
ンとしてはクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオ
ロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオ
ロイソブテン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレ
ン、フッ化ビニルなどであり、その組成比は全単量体の
30〜65モル%であり、35〜55モル%が好まし
い。これらのフルオロオレフィンが30モル%未満の場
合は塗膜の耐候性が低下し、65モル%を超えるとフッ
素系共重合体の水分散性が低下してしまうので好ましく
ない。
【0014】本発明に使用する一般式(1)で表される
重合性不飽和カルボン酸は、炭素数10〜12(n=7
〜9)の直鎖状のアルケニル基とカルボン酸基のみから
なることを特徴とし、このことにより、水系エマルジョ
ン塗料であるにも拘わらず実施例で示すような極めて耐
候性の高い塗膜を形成できるものと考えられる。すなわ
ち、一般式(1)の構造からなる重合性不飽和カルボン
酸は反応性乳化剤として働き、乳化重合反応における乳
化剤の使用量を低減することが可能となり、塗料化した
際に残存する乳化剤の量を減らすことができ耐候性の低
下を軽減することができるものと考えられる。また、本
発明にかかる重合性不飽和カルボン酸は乳化剤としてエ
マルジョン粒子と水との界面に存在して常に水と接触す
ることになるが、分子内に加水分解を受ける構造を持た
ないことから、化学的に安定であり、重合反応における
乳化状態の安定性、フッ素系共重合体の水系エマルジョ
ンの保存安定性および機械的安定性、硬化剤を添加し塗
料した場合の保存安定性並びに、塗料から形成された塗
膜の耐候性などにすぐれたものになったものと考えられ
る。
【0015】本発明にかかる一般式(1)で表される重
合性不飽和カルボン酸は、nが7〜9であることが重要
であり、nが7未満では水に溶解しやすくなるため乳化
剤として機能せず、また重合収率も低下するので本発明
の効果を達成することはできない。一方、nが9以上で
は疎水性が強くなり、乳化作用が著しく低下してしまう
ので好ましくない。本発明において、重合性不飽和カル
ボン酸は全単量体の0.1〜20モル%の範囲で使用
し、3〜10モル%が特に好ましい。0.1モル%未満
では反応性乳化剤としての効果が少なく、20モル%を
超えると塗膜の耐水性が低下するため好ましくない。本
発明にかかる一般式(1)で表される重合性不飽和カル
ボン酸としては、9−デセン酸、10−ウンデシレン
酸、11−ドデシレン酸などが例示できるが、特に好ま
しくは10−ウンデシレン酸である。
【0016】本発明のフッ素系共重合体の架橋部位とし
て機能するアセトアセチル基は一般式
【0017】
【化5】
【0018】(式中、Rは−(AO)n−を表し、Aは
炭素数2から4のアルキレン基、nは0〜20の整数を
表す。)で表される重合性アリル化合物を共重合するこ
とで導入できる。ここでAOとしては、例えば、
【0019】
【化6】
【0020】で表されるオキシアルキレン基を挙げるこ
とができるがこれに限られない。また、(AO)nは単
一のオキシアルキレン基からなることも2種類以上のオ
キシアルキレン基からなることもできる。nが20を超
えると塗膜の耐水性が低下し好ましくない。この重合性
アリル化合物(2)の製造法は限定されないが、例え
ば、後に述べる各種のヒドロキシ基含有のアリル化合物
にジケテンを反応させる方法を挙げることができる。こ
の方法は両者を混合して常温または80℃以下で攪拌す
ることよりなり、高収率で目的を達することができる。
市販品としては昭和電工(株)のアセト酢酸アリルなど
が挙げられる。
【0021】この重合性アリル化合物は前述の重合性不
飽和カルボン酸との共存状態でエマルジョン粒子の外側
に集まりやすくなり、効率的に硬化反応が進行するもの
と考えられる。
【0022】一般式(2)で表される重合性アリル化合
物の共重合可能な組成比は全単量体の1〜30モル%で
あり、2〜10モル%が好ましい。1モル%以下では塗
膜にしたとき架橋が十分でなく、30モル%以上では樹
脂自体の耐候性が低下しかつ硬化剤の必要量が増えるた
め塗膜強度も低下するので好ましくない。
【0023】また、本発明に使用する共重合可能なビニ
ルエステルおよびビニルエーテルは特に限定されない
が、具体的には、ビニルエステルとして、重合性があり
分子中にカルボニル基を有するエステル系化合物、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック9酸ビ
ニル、バーサチック10酸ビニル、安息香酸ビニル、シ
クロヘキサン酸ビニル等が挙げられる。また、ビニルエ
ーテルとしては、例えばメチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテルなど、ヒドロキシメチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキ
シアルキルビニルエーテル類、ジエチレングリコールモ
ノビニルエーテルなどのポリエチレングリコールモノビ
ニルエーテル類などが挙げられる。また、乳化性を改良
する目的でポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのポリアルキレングリコール鎖を有したビ
ニルエーテルも使用できる。さらに、トリメトキシビニ
ルシラン、トリエトキシビニルシラン、ジエトキシメト
キシビニルシランなどのアルコキシビニルシラン系化合
物なども前述のビニルエステルやビニルエーテルに配合
して使用することが可能である。また、分子内にヒドロ
キシ基を有するアリルエーテルやクロトン酸変性化合物
などの、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテ
ル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチ
レングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリ
コールモノアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエ
ーテルなどのアルキレングリコールモノアリルエーテル
類、クロトン酸ヒドロキシエチルなどのクロトン酸変性
化合物、分子中にヒドロキシ基を2つ有するグリセリン
モノアリルエーテルやεカプロラクトン変性のアリルエ
ーテルも前述のビニルエステルやビニルエーテルと併用
することが可能である。本発明に使用するこれらのビニ
ルエステルやビニルエーテルは全単量体の20〜70モ
ル%であり、30〜50モル%が好ましい。20モル%
未満では重合反応性が低く、70モル%を超えると実質
的にフッ素含量が低下するため耐候性の劣るものとなる
ので好ましくない。
【0024】本発明にかかるフッ素系共重合体の共重合
においては、該ビニルエステルやビニルエーテルにあら
かじめビニルエステル系樹脂や(メタ)アクリル酸エス
テル系樹脂を溶解混合して反応させることもできる。こ
れらの樹脂の添加は、塗膜の光沢や耐汚染性の向上の目
的で使用できる。特にガラス転移点が30℃以上の樹脂
の添加によって塗膜の拭き取り汚染性が改善できる。ま
た、屋外暴露においても面汚れが改善できる。ここで使
用できるビニルエステル系樹脂や(メタ)アクリル酸エ
ステル系樹脂としては、使用する重合性単量体であるビ
ニルエステルまたはビニルエーテルに溶解可能なもので
あって、かつフッ素系共重合体と相溶すれば特に限定さ
れない。
【0025】さらに本発明にかかるフッ素系共重合体の
成分として、エチレン、プロピレン、塩化ビニルなどの
オレフィン類もフッ素系共重合体の改質のために適宜添
加可能である。
【0026】本発明にかかるフッ素系共重合体の重合方
法は、その製造においては通常のラジカル重合法が採用
でき、その重合形態としては乳化重合が採用できる。本
発明にかかるフッ素系共重合体では、重合性不飽和カル
ボン酸の使用により乳化剤をなくすか、大幅に添加量を
低減することが可能であるが、アニオン系乳化剤または
ノニオン系乳化剤を用いることも可能である。本発明で
使用できるアニオン系乳化剤としては、例えば、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート塩、ポ
リオキシエチレンアルキルフェノールサルフェート塩、
スチレンスルホン酸塩、ビニルサルフェート塩またはこ
れらの誘導体などが挙げられる。これらの塩としては、
アルカリ金属水酸化物による塩、アンモニア、またはト
リエチルアミンなどの揮発性塩基による塩などをあげる
ことができる。ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシ
エチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸
エステル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド
ブロック共重合体、フルオロアルキルカルボン酸塩、フ
ルオロアルキル硫酸塩などがあげられる。これらの乳化
剤の使用量は、用いた単量体の組成、および水相中での
単量体の濃度にもよるが乳化重合させるべき単量体の総
重量100部に対して5部未満で使用することが好まし
い。使用量が5部を超えると塗膜の耐水性、耐候性が低
下するので好ましくない。
【0027】本発明にかかるフッ素系共重合体の乳化重
合に用いられるラジカル重合開始剤は一般的な乳化重合
に用いられるものであれば特に限定されないが、これら
のうち水溶性開始剤が特に好ましく適用できる。このよ
うな水溶性開始剤としては、例えば、過酸化水素などの
無機系過酸化物、クメンハイドロパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサ
イド、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキ
シドなどの有機系過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、アゾビ
スイソブチルアミジンの塩酸塩、アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビスシアノ吉草酸などのアゾ系開始剤、あ
るいは以上のような開始剤と亜硫酸ナトリウム、チオ硫
酸ナトリウム、ナトリウムビサルファイト、ナトリウム
メタビサルファイト、ナトリウムビチオサルフェート、
スルホキシル酸ホルムアルデヒドナトリウム、還元糖な
どの還元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤、
さらにこれらの組み合わせに金属として少量の鉄、第一
鉄塩、硫酸銀、硫酸銅などを共存させた開始剤系などを
使用することができる。これらのラジカル重合開始剤の
最適使用量は、その種類、水系乳化液中の単量体濃度、
重合温度などの条件にもよるが、総単量体100部あた
り0.05〜5部の範囲で使用することが好ましい。こ
れらのラジカル重合開始剤の添加方法は重合開始時の一
括添加でも、反応途中での分割添加でもよい。
【0028】本発明の乳化重合に際して用いる水は、単
量体組成、乳化剤濃度などにもよるが単量体100部に
対して50〜400部の範囲で使用することができる
が、このうち特に70〜200部の範囲が好ましい。5
0部未満では得られたエマルジョンの粒子径が大きくな
り、保存安定性、塗膜の指触乾燥速度の低下が生じ、4
00部を超えると得られた水系エマルジョンの固形分濃
度が低くなる。また、得られた乳化重合物は適宜水を添
加、または除去し、水系エマルジョンの最終固形分濃度
を調整することが可能である。また重合工程の温度は、
用いるラジカル重合開始剤にもよるが、通常0〜150
℃である。
【0029】1液常温架橋タイプの水系エマルジョン塗
料として使用する場合、本発明に使用する硬化剤として
は分子中に2個以上のヒドラジノ基(−NHNH2)を
有する化合物が好ましい。この場合はヒドラジノ基と一
般式(2)の重合性アリル化合物の脱水反応で架橋反応
が進行すると予測できる。すなわちこの場合は硬化剤を
添加した後も常温で安定であり、水中では架橋反応は進
行しないが、塗装後水が蒸発するにつれてアセトアセチ
ル基とヒドラジノ基の間で脱水反応が進行し架橋が起こ
るものと推定される。具体的には、炭素数2〜10のジ
カルボン酸から誘導されるジヒドラジド類、例えば蓚酸
ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒド
ラジド、セバシン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラ
ジド、グルタル酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジ
ド、フマル酸ジヒドラジドなどのカーボン数2〜10程
度のジカルボン酸ジヒドラジド類、エチレン−1,2−
ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブ
チレン−1,4−ジヒドラジンなどの脂肪族の水溶性ジ
ヒドラジン類、またはヒドラジノ基を有するビニル化合
物を重合または共重合して側鎖にヒドラジノ基を導入さ
れた水溶性ヒドラジノ基含有重合体などが挙げられる。
これらの硬化剤は加熱することで簡単に水溶液にでき、
水系エマルジョンに配合することができる。配合量とし
てはフッ素系共重合体の100部に対して1部〜30部
の範囲で使用でき、さらに好ましくは2部〜15部であ
る。1部未満では塗膜中で架橋反応が十分進まず、30
部を超えると塗膜の強度が低下するので好ましくない。
【0030】さらに本発明の水性フッ素樹脂塗料では、
塗料化にともなう種々の添加剤、例えばブチルセロソル
ブ、ブチルカルビトールアセテートなどの増膜助剤、ト
リポリリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ノニオン
系乳化剤などの顔料分散剤、チタン白、カドミニウムイ
エロー、カーボンブラック、フタロシアニン系化合物、
アゾ系化合物などの顔料をはじめとして、分散助剤、消
泡剤、沈降防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安
定剤、防錆剤、防カビ剤、増粘剤などを特に制限なくエ
マルジョンの粒子中または水中に添加することが可能で
ある。
【0031】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明する。
【0032】
【実施例】
合成例1 電磁攪拌機付きの内容量2リットルのSUS製オートク
レーブに酪酸ビニル140g(40モル%)、10−ウ
ンデシレン酸24g(5モル%)、アセト酢酸アリル
(昭和電工製)19g(5モル%)、水742g、過硫
酸カリウム0.7g、炭酸ナトリウム10水塩0.2
g、ノニオン系乳化剤Newcol−504(日本乳化
剤製品)を4g仕込み、脱気、窒素置換を3回繰り返し
た後、クロロトリフルオロエチレン153g(50モル
%)を仕込んで、50℃で22時間重合を行った。重合
反応を終了してから、反応器内を脱気後、内容物を取り
出し、濃縮し、フッ素系共重合体の固形分48%の水系
エマルジョンを得た。
【0033】合成例2〜4 電磁攪拌機付きの内容量2リットルのSUS製オートク
レーブに表1に示した重量およびモル組成でモノマーを
仕込み、さらに水742g、過硫酸カリウム0.7g、
炭酸ナトリウム10水塩0.2g、Newcol−50
4を4g(合成例2は0g)仕込み、脱気、窒素置換を
3回繰り返した後、クロロトリフルオロエチレンを仕込
んで、50℃で22時間重合を行った。重合反応を終了
してから、反応器内を脱気後、内容物を取り出し、濃縮
し、フッ素系共重合体の固形分48%の水系エマルジョ
ンを得た。
【0034】合成例5〜9 電磁攪拌機付きの内容量2リットルのSUS製オートク
レーブに表1に示した重量およびモル組成でモノマーを
仕込み、さらに水742g、過硫酸カリウム0.7g、
炭酸ナトリウム10水塩0.2g、Newcol−50
4を4g仕込み、脱気、窒素置換を3回繰り返した後、
クロロトリフルオロエチレンを仕込んで、50℃で22
時間重合を行った。重合反応を終了してから、反応器内
を脱気後、内容物を取り出し、濃縮し、フッ素系共重合
体の固形分48%の水系エマルジョンを得た。合成例5
は重合性不飽和カルボン酸を使用しない場合、合成例6
は重合性不飽和カルボン酸として本発明の一般式に包含
されない6−ヘプテン酸を使用した場合、合成例7は重
合性不飽和カルボン酸として本発明の一般式に包含され
ない17−オクタデシレン酸を使用した場合、合成例8
は重合性不飽和カルボン酸として本発明の一般式に包含
されないヒドロキシブチルビニルエーテルと無水コハク
酸の反応物を使用した場合であり、合成例9はカルボニ
ル基含有アリル化合物を使用しない場合である。
【0035】
【表1】
【0036】・エマルジョン粒子径の測定 水系エマルジョン中の分散粒子の直径を粒子径測定装置
(堀場製作所(株)製CAPA−700)を用いて測定
した。 ・保存安定性 50℃ 1ヶ月後の安定性。
【0037】○:変化なし、×:粒子沈降。 ・機械的安定性 5000rpm 5分間の攪拌後の安定性。
【0038】○:変化なし、×:粒子径の増加あり。 実施例1〜5 合成例1〜4で調製した水系エマルジョンを用い、フッ
素系共重合体の100部に対して、大塚化学(株)製の
アジピン酸ジヒドラジドまたは側鎖にヒドラジノ基を有
する重合体APA−Lをあらかじめ水に12重量%で溶
かした硬化剤水溶液を表2に示した配合で添加し、1液
タイプの水性フッ素樹脂塗料を得た。
【0039】得られた水性フッ素樹脂塗料を150×7
0×2mmのアルミ板にアプリケータ塗装し、常温で3
日間乾燥硬化させた。形成された塗膜の膜厚は約30ミ
クロンであった。塗膜は平滑で透明性の高いものであっ
た。
【0040】この塗膜を用いて、光沢測定、キシレンラ
ビング試験、耐水性試験、耐汚染性暴露試験、カーボン
拭き取り性試験、促進耐候性試験を行った。結果を表2
に示す。
【0041】実施例6 合成例4で調製した水系エマルジョンに、酸化チタンの
水分散ペースト(酸化チタン含有率=72%)をフッ素
系共重合体100部に対して25部配合し、さらに、増
粘剤のヒドロキシエチルセルロース(信越化学製メトロ
ーズ)2部を3%水溶液として水系エマルジョンに添加
して水性塗料の白色エナメルを得た。
【0042】次に、実施例1で使用したアジピン酸ジヒ
ドラジド水溶液を用い表2の配合で1液タイプで白色の
水性フッ素樹脂塗料を得た。得られた水系白色塗料を1
50×70×2mmのアルミ板にスプレー塗装し、3日
間常温で硬化させた。得られた塗膜の膜厚は47ミクロ
ンであった。この塗膜の光沢は79%、キシレンラビン
グ試験は○、耐水性試験は○、耐汚染性暴露試験○、カ
ーボン拭き取り性試験○、促進耐候性試験は93%と実
施例1の結果とほとんど差異はなかった。
【0043】比較例1〜4 合成例5、7、9で合成した水系エマルジョンを用い、
実施例1と同様にしてフッ素系共重合体の100部に対
して、大塚化学(株)製のアジピン酸ジヒドラジドをあ
らかじめ水に12重量%で溶かした硬化剤水溶液を5部
添加し、1液タイプの水性フッ素樹脂塗料を得た。
【0044】得られた水性フッ素樹脂塗料を150×7
0×2mmのアルミ板にアプリケータ塗装し、常温で3
日間乾燥硬化させた。形成された塗膜の膜厚は約35ミ
クロンであった。塗膜は平滑で透明性の高いものであっ
た。
【0045】この塗膜を用いて、光沢測定、キシレンラ
ビング試験、耐水性試験、耐汚染性暴露試験、カーボン
拭き取り性試験、促進耐候性試験を行った。結果を表2
に示す。比較例1は重合性不飽和カルボン酸を用いてい
ないため架橋がやや不十分となった。比較例2、3は重
合性不飽和カルボン酸のアルキレン基が長い場合と、種
類が異なりエステル結合を側鎖に含有するものを使用し
た場合であり、耐水性、耐候性に劣る結果となった。比
較例4は架橋部位がないため何れの性能についても劣る
結果を示した。
【0046】
【表2】
【0047】<評価方法> ・光沢測定 60度鏡面光沢試験による測定。 ・ラビング試験 キシレンで湿らせたガーゼを使用したラビング試験機
(100往復後の表面変化を3段階で評価)。
【0048】○:全く変化無し、△:キズや白化、×:
膨潤や溶解。 ・耐水性試験 3日硬化後の塗膜を水中で2週間浸積し、ハガレ、ブリ
スターなどの塗膜異常を観察する。
【0049】○:全く変化無し、△:わずかなブリスタ
ー、×:ブリスターやハガレが生じる。 ・耐汚染性暴露試験 塗装板を長辺の中央で135度に折り曲げ、地面に対し
て上部が45度、下部が90度をなすように設置して暴
露し、下部の塗装面に発生する雨スジ、及び45度面の
汚れを観察した。暴露は川越、6カ月間。
【0050】○:雨スジ発生なし、かつ45度面汚れ少
ない、△:薄い雨スジが発生、45度面汚れる、×:濃
い雨スジが発生、45度面かなり汚れる ・カーボン拭き取り性試験 カーボン/灯油の3%溶液を塗膜上に滴下し、20℃飽
和蒸気圧下で1日、50℃で2日間乾燥し、水洗いによ
る拭き取り性を観察した。
【0051】○:跡がほとんどなく拭き取れる、△:跡
が薄く残る、×:跡が濃く残り拭き取れない。 ・促進耐候性試験 サンシャインウエザオメータ4000時間による促進試
験(試験前後の60度光沢保持率)。
【0052】
【発明の効果】本発明の水性フッ素樹脂塗料は、有機溶
剤を含まないことから環境への影響が軽減され、実施例
において明らかにしたように、塗料のエマルジョン状態
が極めて安定であるとともに保存中に硬化が起こらず、
さらに該塗料は常温架橋が可能であり、形成された塗膜
は、耐水性、耐汚染性、耐候性に優れるという特徴を有
するため、建築物、自動車などを始め各種の物品への塗
装に使用できるという顕著な効果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フルオロオレフィン30〜65モル%、一
    般式 【化1】 (式中、nは7〜9の整数を表す。)で表される重合性
    不飽和カルボン酸0.1〜20モル%、一般式 【化2】 (式中、Rは−(AO)n−を表し、Aは炭素数2から
    4のアルキレン基、nは0〜20の整数を表す。)で表
    される重合性アリル化合物1〜30モル%、ビニルエス
    テルまたはビニルエーテル20〜70モル%を必須成分
    として乳化重合法によって共重合させたフッ素系共重合
    体の水系エマルジョンに対して、分子中に2個以上のヒ
    ドラジノ基を有する硬化剤を配合した水性フッ素樹脂塗
    料。
  2. 【請求項2】重合性不飽和カルボン酸がウンデシレン酸
    である請求項1記載の水性フッ素樹脂塗料。
  3. 【請求項3】重合性アリル化合物がアセト酢酸アリルで
    ある請求項1記載の水性フッ素樹脂塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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