JP5124893B2 - 水性塗料用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料用組成物、塗料、塗装方法及び塗装物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無機物、プラスチックス、木材、紙、皮革、繊維等の製品は、その表面の保護、意匠性及び機能性の付与等の目的で表面被覆が行われており、種々の塗料が開発されている。特に、フッ素樹脂塗料は、耐候性に優れた被覆材として種々の用途に使用されている。フッ素樹脂塗料は、その他の合成樹脂塗料に比較して、格段に優れた耐候性を有するが、耐汚染性についてはそれほどの優位性が認められず、その改善が要請されている。
【0003】
また、工場で建材等の基材を塗装する場合は、有機溶剤を含有する溶剤系塗料又は溶剤系表面処理剤を使用できるが、施工済みの建物等を塗装する場合には、作業安定性、環境保全性等の理由から水性塗料の使用が要請されている。そして、合成樹脂塗料を改良し、塗膜表面の耐汚染性を向上する技術が種々検討されている。
【0004】
WO94/06870には、有機塗料組成物にテトラアルコキシシラン又はその縮合物を添加する手法が記載されている。この手法では、雨筋汚れに対する耐汚染性(以下、耐雨筋汚れ性という。)を発現するには多量の添加が必要であるうえ、塗料中の水分によりテトラアルコキシシラン又はその縮合物の加水分解及び縮合反応が進み高分子化するため分散性が低下し有機塗料組成物の保存安定性が不充分である。
【0005】
特開平8−337754には、水性塗料用組成物に含フッ素アルコキシシラン又はその縮合物を添加する手法が記載されている。含フッ素アルコキシシラン又はその縮合物の分散性及び塗膜の耐汚染性は向上するが、水性塗料用組成物の可使時間が短かく、耐汚染性の持続性も不充分である。
【0006】
WO97/11130には、含フッ素アルコキシシラン又はその縮合物について記載されている。耐汚染性は向上するが、耐汚染性の持続性は不充分である。
特開平10−110078には、水性フッ素樹脂塗料にテトラアルコキシシランとアルキルトリアルコキシシランとの混合処理物を添加する手法が記載されている。しかし、塗膜の初期光沢が低い。また、耐汚染性が不充分である。
【0007】
特開平11−343462、WO99/05228及び特開2000−44836には、合成樹脂の水性塗料にポリオキシエチレングリコールで変性したアルコキシシランの縮合物を添加する手法が記載されている。この手法は、塗膜の初期光沢は高いが、耐汚染性は不充分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を改善すべく、表面の光沢が高く、耐汚染性とその持続性に優れる塗膜を形成できる水性塗料用組成物、塗料、塗装方法及び塗装物品の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フルオロオレフィン類、含フッ素アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、及び含フッ素アルキレンオキシド類のうち少なくとも1つの含フッ素モノマーを含むモノマーを共重合して得られるフッ素樹脂を含む合成樹脂(A)の100部に対し、下式1で表されるシラン化合物及び/又は下式1で表されるシラン化合物の縮合物(B)の0.1〜50部と、下式2で表されるシラン化合物及び/又は下式2で表されるシラン化合物の縮合物(C)の1〜20部と、を含有し、前記(B)と前記(C)とがあらかじめ混合処理されてなることを特徴とする水性塗料用組成物を提供する。
(R1)aSi(OR2)4−a・・・式1
(R3)bSi(OR4)4−b・・・式2
ただし、式1において、aは1〜3の整数を、R1は炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する1価有機基を、R2は1価有機基又は水素原子を、表す。R1の1つ以上はフッ素含有(すなわち1つ以上のフッ素原子が結合している)1価有機基であり、残余のR1及びR2からなる群から選ばれる1つ以上はポリオキシアルキレン鎖を有する基、酸で中和した塩基性基、及び塩基で中和した酸性基のうち少なくとも1つを有する1価有機基である。式2において、bは0〜3の整数を、R3はフッ素不含(すなわちフッ素原子が結合していない)1価有機基を、R4は1価有機基又は水素原子を、表す。
【0010】
また、前記水性塗料用組成物を含有することを特徴とする塗料、前記塗料を被塗物に塗装することを特徴とする塗装方法、及び、前記塗料から形成された塗膜を有することを特徴とする塗装物品、を提供する。
なお、本明細書において、「部」は「質量部」を意味する。また、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して(メタ)アクリル酸と表記し、(メタ)アクリレート等の表記も同様である。
【0011】
本発明における合成樹脂(A)としては、公知の種々の合成樹脂が特に制限なく用いられる。具体例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。合成樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、耐候性や耐薬品性に優れるフッ素樹脂を単独で用いるか、主成分とすることが好ましい。
【0012】
フッ素樹脂としては、含フッ素モノマーの重合体又はその他のモノマーとの共重合体が用いられる。含フッ素モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その他のモノマーも、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
含フッ素モノマーの具体例としては、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフルオロオレフィン類、含フッ素アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、含フッ素アルキレンオキシド類等が挙げられる。特にフルオロオレフィン類が、耐久性に優れるので好ましい。
【0014】
その他のモノマーとしては、炭化水素系オレフィン類、アルキルビニルエーテル類、アルキルイソプロペニルエーテル類、アルキルアリルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、カルボン酸アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
炭化水素系オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
【0015】
アルキルビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
アルキルイソプロペニルエーテル類としては、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニルエーテル等が挙げられる。
アルキルアリルエーテル類としては、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等が挙げられる。
【0016】
カルボン酸ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクタン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、オクタデカン酸ビニル等が挙げられる。
カルボン酸アリルエステル類としては、酢酸アリル、プロピオン酸アリル等が挙げられる。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、含フッ素アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のモノマーが共重合されることにより、水性塗料用組成物の分散安定性を向上させたり、基材への密着性等の塗料特性を向上できる。
【0018】
上記その他のモノマーには、官能基を有するモノマーが含まれてもよい。
官能基を有するモノマーとしては、水酸基を有するモノマー類、カルボキシ基を有するモノマー類又はその塩、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノマー類、エポキシ基を有するモノマー類、加水分解性シリル基を有するモノマー類等が挙げられる。
【0019】
水酸基を有するモノマー類としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1−ビニロキシメチル−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
カルボキシ基を有するモノマー類又はその塩としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸又はそれらの塩等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有するモノマー類としては、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルにエチレンオキシドを平均10分子付加したモノマー等が挙げられる。
【0021】
エポキシ基を有するモノマー類としては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するモノマー類としては、ビニルトリメトキシシラン、3−ビニロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0022】
含フッ素モノマーとその他のモノマーとの共重合体において、含フッ素モノマーの共重合割合があまりに少ないと耐久性が低下するので、含フッ素モノマーの共重合割合は30〜90モル%、特に40〜80モル%、が好ましい。官能基を有するモノマーが共重合されない場合には、その他のモノマー(ただし、官能基を有するモノマーを除く。)の共重合割合は10〜70モル%、特に20〜60モル%、が好ましい。
【0023】
官能基を有するモノマーが共重合される場合には、その他のモノマー(ただし、官能基を有するモノマーを除く。)の共重合割合は9〜69モル%、特に18〜58モル%、が好ましく、官能基を有するモノマーの共重合割合は1〜20モル%、特に2〜15モル%、が好ましい。
【0024】
その他のモノマーを共重合することにより、水性塗料用組成物の分散安定性、塗膜の透明性、基材への密着性等が向上する。また、官能基を有するモノマーを共重合することにより、塗膜の強度、硬度、密着性、耐久性等がさらに向上する。
【0025】
本発明における(B)は、式1で表されるシラン化合物及び/又はその縮合物である。式1において、aは1〜3の整数を表す。aは1が好ましい。R1は1価有機基を、R2は1価有機基又は水素原子を表し、R1の1つ以上はフッ素含有1価有機基である。分子中にR1が2つ以上含まれる場合には、R1は同一でもよく、異なっていてもよい。
該フッ素含有1価有機基中には、酸素原子、硫黄原子、塩素原子等の原子が含まれていてもよい。ただし、フッ素含有1価有機基は、炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する。R1の炭素数は1〜20が好ましい。
【0026】
フッ素含有1価有機基としては、Rf1−、Rf1OCONHR5−、Rf1SCONHR5−、Rf2CONHR5−、Rf2SO2N(R6)R5−等が挙げられる。ただし、Rf1は炭素数2〜18の含フッ素アルキル基を、Rf2は炭素数1〜18のペルフルオロアルキル基を表す。Rf1及びRf2にはエーテル性酸素原子を含んでもよい。R5は炭素数1〜10の2価有機基を、R6は炭素数1〜10の1価有機基を表す。
【0027】
Rf1の具体例としては、
CF3CH2−、
CF3CH2CH2−、
H(CF2)2CH2−、
F(CF2)2CH2−、
F(CF2)2CH2CH2−、
F(CF2)3CH2CH2−、
H(CF2)4CH2−、
(CF3)2CFCH2CH2−、
F(CF2)4CH2CH2−、
H(CF2)6CH2−、
F(CF2)5CH2CH2−、
F(CF2)7CH2−、
F(CF2)3OCF(CF3)CH2−、
F(CF2)6CH2CH2−、
H(CF2)8CH2−、
F(CF2)8CH2CH2−、
F(CF2)9CH2CH2−、
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2−、
F(CF2)10CH2CH2−、
F(CF2)12CH2CH2−、
F(CF2)14CH2CH2−、
F(CF2)16CH2CH2−等が挙げられる。
【0028】
Rf2の具体例としては、
CF3−、
F(CF2)2−、
F(CF2)3−、
F(CF2)4−、
F(CF2)5−、
F(CF2)6−、
F(CF2)7−、
F(CF2)3OCF(CF3)CF2−、
F(CF2)8−、
F(CF2)9−、
(CF3)2CF(CF2)6−、
F(CF2)10−、
F(CF2)12−、
F(CF2)14−、
F(CF2)16−等が挙げられる。
【0029】
R5の具体例としては、
−(CH2)2−、
−(CH2)3−、
−(CH2)4−、
−CH2CH(CH3)CH2−、
−(CH2)5−等が挙げられる。
R6の具体例としては、CH3−、H(CH2)2−、H(CH2)3−、H(CH2)4−等が挙げられる。
【0030】
R1及びR2からなる群から選ばれる1種以上は親水性基を有する1価有機基である。分子中に2つ以上の親水性基を有する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。親水性基としては、ノニオン性、カチオン性又はアニオン性の親水性基が挙げられる。
【0031】
ノニオン性の親水性基としては、ポリオキシアルキレン(以下、POAという。)鎖が好ましい。水性媒体中での分散性を向上させるためには、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖が好ましい。POA鎖としては、POE鎖が最も好ましい。また、POA鎖が、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合鎖のように2種以上のモノマーの共重合鎖からなる場合にはランダム共重合鎖でもブロック共重合鎖でもよい。POA鎖のオキシアルキレン単位の重合度は1〜100が好ましい。POE鎖の場合には、重合度が低いと親水性が不足し、高いと塗膜が軟化し、汚れが付着しやすくなる。POE鎖の重合度は2〜30がより好ましい。
【0032】
カチオン性の親水性基としては、酸で中和した塩基が好ましい。具体例としては、中和した1級アミノ基、2級アミノ基又は3級アミノ基等が挙げられ、中和した3級アミノ基が最も好ましい。
塩基の中和に使用される酸としては、カルボン酸類、有機スルホン酸類、無機酸等が挙げられ、無機酸がより好ましい。
カチオン性の親水性基の炭素数は2〜20が好ましい。
【0033】
アニオン性の親水性基としては、塩基で中和した酸性基が好ましい。具体例としては、塩基で中和したカルボキシ基、リン酸残基、酸性リン酸エステル基、亜リン酸残基、スルホ基又はスルフィ基等である。塩基で中和したカルボキシ基がより好ましい。
酸性基の中和に使用される塩基としては、有機アミン類、アンモニア、4級アンモニウムヒドロキシド、無機塩基等が挙げられ、有機アミン類又はアンモニアがより好ましい。
アニオン性の親水性基の炭素数は2〜20が好ましい。
【0034】
R1がフッ素含有1価有機基でなく親水性基を有する1価有機基でもない場合、炭素数1〜20の1価有機基が好ましい。合成樹脂(A)との相溶性及び耐汚染性の向上の点から、炭素数10以下の1価有機基がより好ましい。1価有機基中には酸素原子、硫黄原子、窒素原子、塩素原子を含んでいてもよいが、1価有機基は炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する。
【0035】
R2 が、親水性基を有する1価有機基ではない場合、アルキル基、アルコキシアルキル基又は前記Rf1が好ましい。特にCH3−、H(CH2)2−、H(CH2)3−、H(CH2)4−等の炭素数1〜6のアルキル基、CH3OCH2CH2−等の炭素数1〜6のアルコキシアルキル基、CF3CH2−、CF3(CH2)2−、H(CF2)2CH2−、F(CF2)2CH2−、F(CF2)2(CH2)2−、F(CF2)2(CH2)3−等の炭素数1〜6のRf1がより好ましい。また、分子中にR2が2つ以上含まれる場合には、R2は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0036】
本発明における(C)は、式2で表されるシラン化合物及び/又はその縮合物である。式2において、bは0〜3の整数を表す。bは0又は1が好ましく、0がより好ましい。R3はフッ素不含1価有機基を、R4は1価有機基又は水素原子を、表す。分子中にR3が2つ以上含まれる場合には、R3は同一でもよく、異なっていてもよい。分子中にR4が2つ以上含まれる場合には、R4は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0037】
R3としては、親水性基又は炭素数1〜20の1価有機基が好ましい。親水性基としては、前記ノニオン性、カチオン性又はアニオン性の親水性基が挙げられる。炭素数1〜20の1価有機基としては、合成樹脂(A)との相溶性及び耐汚染性の向上の点から、炭素数10以下の1価有機基がより好ましく、1価有機基中には酸素原子、硫黄原子、窒素原子、塩素原子を含んでいてもよい。ただし、1価有機基は、炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する。特に、CH3−、H(CH2)2−、H(CH2)3−、H(CH2)4−等の炭素数1〜6のアルキル基、官能基を含む炭素数2〜8の1価有機基が好ましい。
【0038】
式2におけるR4としては、親水性基、アルキル基、アルコキシアルキル基又は前記Rf1が好ましい。親水性基としては、前記ノニオン性、カチオン性又はアニオン性の親水性基が挙げられる。アルキル基としては、CH3−、H(CH2)2−、H(CH2)3−、H(CH2)4−等の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルコキシアルキル基としては、CH3OCH2CH2−等の炭素数1〜6のアルコキシアルキル基が好ましい。前記Rf1としては、CF3CH2−、CF3(CH2)2−、H(CF2)2CH2−、F(CF2)2CH2−、F(CF2)2(CH2)2−等の炭素数1〜6のRf1がさらに好ましい。
【0039】
(C)の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチル基の一部がエチル基に置換されているテトラメトキシシラン、メチル基の一部がプロピル基及び/又はブチル基に置換されているテトラメトキシシラン、エチル基の一部がプロピル基及び/又はブチル基に置換されているテトラエトキシシラン、テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)シラン、テトラキス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)シラン、テトラキス(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシ)シラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、及びそれらの縮合物が挙げられる。
【0040】
(C)の配合量は、合成樹脂(A)100部に対して0〜50部である。(C)は任意成分であり、含有されても含有されなくてもよいが、配合量が少ないと耐汚染性が充分でない場合がある。多すぎると光沢及び耐汚染性が低下する。好ましくは0.1〜30部、より好ましくは1〜20部、である。
【0041】
本発明において、(B)及び/又は(C)が縮合物である場合は、それら縮合物の数平均分子量は、いずれも200〜100000が好ましく、200〜20000がより好ましい。数平均分子量が大きすぎると(B)や(C)の塗膜表面への移行が困難になり、耐雨筋汚れ性が低下する。
【0042】
本発明の水性塗料用組成物には、(B)とともに、必要に応じて(C)が含有されるが、(C)が含有される場合には、(B)と(C)とをあらかじめ混合処理することも好ましい。混合処理した後、合成樹脂(A)と混ぜて本発明の水性塗料用組成物を製造することも好ましい。
【0043】
(B)と(C)との混合処理時に後述するアルコキシシラン縮合触媒を加えて撹拌混合することも好ましい。縮合触媒を加えて撹拌混合した場合には、(B)と(C)との間に共縮合物も生成していると推定される。したがって、本発明の水性塗料用組成物においては、(B)及び(C)に加えて、(B)と(C)との共縮合物を含有することも本発明の好ましい実施形態の1つとみなすことができる。
【0044】
共縮合物が含有される場合は、共縮合物の含有量が少なすぎると耐雨筋汚れ性が発揮されにくくなり、多すぎると塗膜の耐水性、耐候性が充分でないうえ、耐雨筋汚れ性が発揮されにくくなる。共縮合物の数平均分子量は、塗膜表面への移行が良好な200〜100000が好ましく、200〜20000がより好ましい。
【0045】
本発明において、好ましい各成分の組合わせの例を表1に示す。○が好ましく、◎がより好ましい。
【0046】
【表1】
【0047】
ここで、A−1〜A−4はそれぞれ次の共重合体を示し、B−1〜B−2、C−1〜C−2は、それぞれ次のシラン化合物類を示す。
A−1:テトラフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルとPOA鎖を有するモノマーとの共重合体、
A−2:クロロトリフルオロエチレンとアルキルビニルエーテルとPOA鎖を有するモノマーと水酸基を有するモノマーとの共重合体、
A−3:テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンとの共重合体、
A−4:テトラフルオロエチレンと炭化水素オレフィンとの共重合体と(メタ)アクリレート共重合体のブレンド物。
【0048】
B−1:式1において、aが1であり、R1がRf(CH2)2−であり、R2の1つがPOE鎖を含む親水性基であり、他のR2がメチル基及び/又はエチル基であるアルコキシシラン、
B−2:式1において、aが1であり、R1がRfOCONH(CH2)3−であり、R2の1つがPOE鎖を含む親水性基であり、他のR2がメチル基及び/又はエチル基であるアルコキシシラン。
【0049】
C−1:式2において、bが0であり、R4がメチル基及び/又はエチル基であるアルコキシシラン、
C−2:式2において、bが0であり、R4がメチル基、エチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基及びPOE鎖を含む親水性基からなる群から選ばれる1種以上であるアルコキシシラン。
【0050】
本発明の水性塗料用組成物は、アルコキシシラン縮合触媒を含んでいてもよい。縮合触媒の含有量としては、塗膜の着色、光沢の低下等を防ぐため、(B)と(C)との合計の100部に対して10部以下が好ましい。
縮合触媒としては、金属キレート、金属エステル、金属アルコキシド等の金属化合物触媒、リン酸エステル、アミン類、酸無水物、有機スルホン酸等が挙げられる。縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
金属化合物触媒としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛等の金属の化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセトネート)、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラキス(2−アミノエチル)チタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(マレイン酸モノエステル)、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジ(マレイン酸モノエステル)、ジブチルスズジアセテート等が挙げられる。
【0052】
本発明の水性塗料用組成物の奏する耐汚染性及び高光沢の発現機構は、以下のように考えられる。すなわち、フッ素含有1価有機基は撥油性や耐泥汚れ性を発現することから、(B)の含有により耐汚染性が奏される。また、フッ素含有1価有機基は表面エネルギーが低いので、(B)は塗膜表面へ移行しやすく、少量の(B)の含有でも優れた耐汚染性が奏される。また、(B)においてフッ素含有1価有機基が炭素原子を介してケイ素原子に結合しているので、長期にわたり耐汚染性を持続する。
【0053】
(C)は(B)と共縮合し、(B)のフッ素含有1価有機基を塗膜表面に固定し、さらに緻密なシリケート層を形成するのに有効である。したがって、本発明の水性塗料用組成物は、これら成分の相乗効果によって耐汚染性、特に耐雨筋汚れ性に優れる塗膜を形成できる。また、(B)は分散性に優れ、(C)の分散性も向上できるので、(B)及び(C)が、塗膜へ微細に分散する結果、高い光沢を発現する。
【0054】
本発明の水性塗料用組成物には、必要に応じて硬化剤、着色剤、造膜助剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、皮張り防止剤、顔料分散剤等、通常の水性塗料に用いられる添加剤を混合してもよい。
硬化剤としては、ポリイソシアネート類、アミノプラスト、多塩基酸無水物、ヒドラジド誘導体、カルボジイミド誘導体、アジリジン誘導体、オキサゾリン誘導体等が挙げられる。
【0055】
ポリイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネート等のシリルイソシアネート化合物及び/又はこれらの縮合物や多量体、フェノール等のブロック化剤でイソシアネート基をブロックしたブロック化ポリイソシアネート化合物等が例示される。特に無黄変タイプのものが好ましい。
【0056】
アミノプラストとしては、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等が例示される。特にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールの1種又は2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミンが好ましい。
多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸等の脂肪族多価カルボン酸無水物等が例示される。
【0057】
着色剤としては、染料、有機顔料、無機顔料、アルミニウムペースト等のメタリック顔料等が例示される。耐候性に優れるので無機顔料の使用が好ましい。
造膜助剤としては、分散液の安定性を損なわない有機溶剤が使用できる。ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールモノアルキルエーテル類、多価アルコールモノアルキルエーテル類の有機酸エステル類、3−エトキシプロピオン酸エステル類等が例示される。
【0058】
可塑剤としては、ジオクチルフタレート等の可塑剤、ビニル重合体系の可塑剤やポリエステル系の可塑剤等の高分子量可塑剤等が例示される。
塗装方法としては、刷毛及びローラーブラシを用いた塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、カーテンフローコータによる塗装、ロールコータによる塗装等、通常用いられる塗装方法が特に限定なく採用できる。塗膜の乾燥は、常温で実施してもよく、さらに温度を上げて実施してもよい。
【0059】
得られた水性塗料用組成物を含む塗料は、新設の基材・物品にあらかじめ設置前に塗装してもよく、また基材・物品を設置した後に塗装してもよい。また、既に塗装された基材・物品に塗装する補修塗装にも適する。特に、屋外で使用される基材・物品の塗装に適する。
【0060】
塗装される基材としては、コンクリート、自然石、ガラス等の無機材料、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅、チタン等の金属、繊維強化プラスチックス、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の複合材料等が挙げられる。
塗装される物品としては、自動車、電車等の車両、航空機、ビル外装用パネル、ドア、窓、門等の建築部材、道路の中央分離帯、ガードレール等の道路部材、橋梁部材、鉄塔、タンク、パイプ、通信機材、電気及び電子部品等が例示される。
【0061】
【実施例】
以下に、合成例及び実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレンを標準物質として測定した値である。
【0062】
[ベース塗料調製]
ベース白塗料1:クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという。)/エチルビニルエーテル(以下、EVEという。)/シクロヘキシルビニルエーテル(以下、CHVEという。)/4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(以下、HBVEという。)/4−ヒドロキシブチルビニルエーテルにエチレンオキシドを平均10分子付加したモノマーに基づく重合単位を、50/15/33/1.5/1.5(モル%)の割合で含有するフッ素樹脂1の水性分散液を用意した。固形分濃度は50質量%、分散微粒子の平均粒径は140nmであった。
【0063】
上記含フッ素樹脂1の水性分散液の71部、造膜助剤(Cs−12、チッソ社製)の3.6部、増粘剤(レオビスCR、ヘキスト合成社製)の0.3部、酸化チタン(CR−97、石原産業社製)の15.4部、顔料分散剤(ノプコスパース44−C、サンノプコ社製)の0.8部、消泡剤(FSアンチフォーム90、ダウコーニング社製)の0.6部、及びイオン交換水の10.3部を混合してベース白塗料1を得た。ベース白塗料1中の含フッ素樹脂1の濃度は34.8質量%であった。
【0064】
ベース白塗料2:内容積2.5Lの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブに、イオン交換水の1100g、フッ素系アニオン性乳化剤(FC−143:住友スリーエム社製)の4.75g、ノニオン性乳化剤(N−1110;日本乳化剤社製)の2.2部、及びtert−ブチルアルコールの47gを仕込み、真空ポンプによる脱気、窒素ガスによる加圧を繰り返した。次に、テトラフルオロエチレンの72g、プロピレンの1.1g、及びエチレンの1.4gを仕込んだ。
【0065】
オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点で、圧力は1.34MPaを示した。過硫酸アンモニウム25質量%水溶液の2mLを添加し、重合を開始させた。圧力の低下に伴い、テトラフルオロエチレン/プロピレン/エチレンの50/25/25(モル%)の混合ガスを仕込み、圧力を維持した。また、過硫酸アンモニウム25質量%水溶液の30mLを連続的に加えた。8時間後、混合ガスの供給を停止し、オートクレーブを室温まで水冷し、未反応モノマーをパージし、含フッ素樹脂2の水性分散液を得た。混合ガスの後仕込み量は合計861.5gであった。水性分散液の固形分濃度は43.1質量%であった。
【0066】
上記含フッ素樹脂2の水性分散液の一部を遠心分離器にかけて沈降させ、ガラスフィルタで濾過し、減圧下で5時間かけて水分を除去した後、ハンマーミルで粉砕し、含フッ素樹脂2の粉末を得た。含フッ素樹脂2は、13C−NMRスペクトルによる組成分析の結果、テトラフルオロエチレン/プロピレン/エチレンに基づく重合単位を、52/28/20(モル%)の割合で含有し、融点は96.2℃であった。
【0067】
内容積200mLのガラス製フラスコに、上記含フッ素樹脂2の水性分散液の104gを仕込み、温度が70℃になるまで加温した。あらかじめ作成した、メタクリル酸メチルの1.2g、メタクリル酸tert−ブチルの6.2g、POE鎖を有するアルコールのメタクリル酸エステル(ブレンマーPE200、日本油脂社製)の0.6g、N−1110の0.04g、ラウリル硫酸ナトリウムの0.02g及びイオン交換水の10gを撹拌して乳化したプレエマルションを、1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌した後、過硫酸アンモニウム0.5質量%水溶液の1mLを添加し重合を開始させた。
【0068】
4.5時間後に含フッ素樹脂2とメタクリル酸エステル共重合体1の質量比が85:15の割合で含有された水性分散液を得た。水性分散液の固形分濃度は42.9質量%であった。
得られた水性分散液の71部、Cs−12の3.6部、レオビスCRの0.3部、CR−97の15.4部、ノプコスパース44−Cの0.8部、FSアンチフォーム90の0.6部及びイオン交換水の10.3部を配合してベース白塗料2を得た。ベース白塗料2中の樹脂成分の濃度は29.9質量%であった。
【0069】
[シラン化合物類の合成]
合成例1(シラン化合物B1):内容積300mLの三つ口フラスコに、ペルフルオロアルキル基を有するアルコキシシランCF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3(TSL8233、東芝シリコーン社製)の148g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。80℃に加熱し、平均分子量200のポリオキシエチレングリコール(ポリエチレングリコール200、東京化成社製)(以下、PEG200という。)の52gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除き、ペルフルオロアルキル基及びPOE鎖を有するシラン化合物B1を得た。シラン化合物B1の数平均分子量は700であった。
【0070】
合成例2(シラン化合物B2):内容積300mLの三つ口フラスコに、4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−1−ペンタノール(旭硝子社製)(以下、PFPAという。)の57g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。ついで、50℃で、イソシアネート基含有シランOCNCH2CH2CH2Si(OCH3)3(KBE9007、信越化学工業社製)の79gを3時間かけて滴下し、4時間反応させた。80℃に加熱しPEG200の64gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除き、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシ基及びPOE鎖を有するシラン化合物B2を得た。シラン化合物B2の数平均分子量は550であった。
【0071】
合成例3(シラン化合物C1):内容積300mLの三つ口フラスコに、テトラエトキシシラン(シリカ分28質量%、商品名エチルシリケート28、コルコート社製)(以下、ES28という。)の102g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。80℃に加熱し、PEG200の98gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除いた。ジブチルスズジラウレートの0.13g及びイオン交換水の7.1gを仕込み、80℃で4時間反応させてシラン化合物C1を得た。シラン化合物C1の数平均分子量は1600であった。
【0072】
合成例4(シラン化合物C3):内容積300mLの三つ口フラスコに、ES28の108g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。80℃に加熱し、PFPAの92gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除いた。ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の7.5gを仕込み、80℃で4時間反応させてシラン化合物C3を得た。シラン化合物C3の数平均分子量は1500であった。
【0073】
合成例5(シラン化合物C4):内容積300mLの三つ口フラスコに、POE鎖を有するアルコキシシランCH3O(CH2CH2O)mSi(OCH2CH3)3(mは約10、A−1230;日本ユニカー社製)の158g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。80℃に加熱し、PFPAの42gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除いて、シラン化合物C4を得た。シラン化合物C4の数平均分子量は800であった。
【0074】
合成例6(シラン化合物C5):内容積300mLの三つ口フラスコに、ES28の71g及びトリエチルアミンの0.2gを仕込んだ。80℃に加熱し、PFPAの61gを10分かけて滴下し、さらにPEG200の68gを10分かけて滴下し、5時間反応させた。次いで100℃で5時間かけて揮発成分を除いた。ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の4.9gを仕込み、80℃で4時間反応させてシラン化合物C5を得た。シラン化合物C5の数平均分子量は2200であった。
【0075】
合成例7(混合処理物1):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B1の20g、テトラエトキシシランの縮合物(平均縮合度約5、シリカ分40質量%、商品名エチルシリケート40、コルコート社製)(以下、ES40という。)の180g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.8gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物1を得た。混合処理物1の数平均分子量は3000であった。
【0076】
合成例8(混合処理物2):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B1の180g、ES40の20g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.8gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物2を得た。混合処理物2の数平均分子量は3000であった。
【0077】
合成例9(混合処理物3):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B2の20g、ES40の180g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.8gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物3を得た。混合処理物3の数平均分子量は3000であった。
【0078】
合成例10(混合処理物4):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B1の20g、シラン化合物C1の180g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の2.0gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物4を得た。混合処理物4の数平均分子量は6300であった。
【0080】
合成例12(混合処理物6):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B1の20g、シラン化合物C3の180g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の2.2gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物6を得た。混合処理物6の数平均分子量は6400であった。
【0081】
合成例13(混合処理物7):内容積300mLのガラス製フラスコに、シラン化合物B1の20g、シラン化合物C4の180g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.6gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物7を得た。混合処理物7の数平均分子量は3600であった。
【0082】
合成例14(混合処理物8):内容積300mLのガラス製フラスコに、ES40の63g、シラン化合物C1の137g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の1.5gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物8を得た。混合処理物8の数平均分子量は2300であった。
【0083】
合成例15(混合処理物9):内容積300mLのガラス製フラスコに、ES40の180g、シラン化合物C3の20g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.6gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物9を得た。混合処理物9の数平均分子量は3500であった。
【0084】
合成例16(混合処理物10):内容積300mLのガラス製フラスコに、ES40の180g、シラン化合物C5の20g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の3.6gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物10を得た。混合処理物10の数平均分子量は3700であった。
【0085】
合成例17(混合処理物11):内容積300mLのガラス製フラスコに、ES28の150g、TSL8233の50g、ジブチルスズジラウレートの0.2g及びイオン交換水の12.6gを仕込み、80℃で4時間反応させて混合処理物11を得た。混合処理物11の数平均分子量は1400であった。
【0086】
[例1〜16]
合成例7〜17で得た混合処理物1〜11を表2及び3に示す混合割合でベース白塗料に添加し水性塗料用組成物を得た。該水性塗料用組成物を、200×95×8mmの大きさのアルミニウム板に、アプリケータを用いて、乾燥膜厚が20μmになるように塗装した。ついで、20℃、65%RHのもとで1週間乾燥させて塗装板を得た。塗料及び塗装板の評価結果を表2及び3に示す。例1〜8が実施例であり、例9〜16が比較例である。なお、使用した混合処理物1〜11及びES40における(B)及び(C)の組成比を表4及び5に示す。
【0087】
相溶性:ベース白塗料と混合処理物を混合後、20℃、65%RHのもとで1時間放置し、液分離の有無を目視で確認した。液分離のないものを○、液分離のあるものを×と記載した。
水性塗料組成物の安定性:ベース白塗料と混合処理物を混合後、50℃にて1週間保存し、安定性を目視で評価した。異常のないものを○、ゲル化したものを×と記載した。
【0088】
光沢:塗装板についてJIS Z8741に準じて、60度の鏡面光沢度を測定した。
促進汚れ性:塗装板を50℃、95%RHのもとで1日養生した後、疎水性カーボンブラックの5質量%水分散液を塗面に塗布し、60℃にて1時間乾燥した。ついで、ガーゼを用いて水洗した。試験前後の明度(L*値)を測定し、その差(△L*)を算出して、絶対値で記載した。なお、L*値は、SQ2000(日本電色工業社製)を用いて、JIS Z8730に従い測定した。
【0089】
耐斜面汚れ性:塗装板を100mmのところ(すなわち長手方向中央部)で折り曲げ、上部が水平面から30度の角度になり、下部が鉛直になるように塗装面を外にして、神奈川県川崎市において夏季に屋外曝露した。この塗装板の曝露3か月後の30度斜面のL*値を測定した。試験前後のL*値の差△L*を算出し、絶対値で記載した。
耐雨筋汚れ性:耐斜面汚れ性について評価した屋外曝露板について、垂直面の耐雨筋汚れ性を評価した。雨筋汚れが目立たないものを○、多少目立つものを△、目立つものを×と記載した。
【0090】
耐汚染性持続性:塗装板を50℃、95%RHのもとで1日養生する代わりに、塗装板についてJIS K5400 9.8.1に記載されるカーボンアーク灯式促進耐候性試験を360時間実施する以外は、促進汚れ性試験と同様にして試験前後の△L*を算出し絶対値で記載した。
促進耐候性:塗装板についてJIS K5400 9.8.1に記載されるカーボンアーク灯式促進耐候性試験を4000時間実施した。試験前後の塗装板の光沢を測定し、前後の光沢の百分比から光沢保持率を算出した。光沢保持率80%以上を○、光沢保持率80%未満を×と記載した。
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【発明の効果】
本発明の水性塗料用組成物は、塗装面に高い光沢の塗膜を形成できる。また、耐汚染性、耐雨筋汚れ性、耐泥汚れ性、汚れの洗浄性、汚れの離脱効果等に優れ、かつ、それら特性の持続性に優れる塗膜を形成できる。また、耐候性に優れる塗膜を形成できる。
Claims (8)
- フルオロオレフィン類、含フッ素アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、及び含フッ素アルキレンオキシド類のうち少なくとも1つの含フッ素モノマーを含むモノマーを共重合して得られるフッ素樹脂を含む合成樹脂(A)の100部に対し、
下式1で表されるシラン化合物及び/又は下式1で表されるシラン化合物の縮合物(B)の0.1〜50部と、
下式2で表されるシラン化合物及び/又は下式2で表されるシラン化合物の縮合物(C)の1〜20部とを含有し、
前記(B)と前記(C)とがあらかじめ混合処理されてなることを特徴とする水性塗料用組成物。
(R1)aSi(OR2)4−a・・・式1
(R3)bSi(OR4)4−b・・・式2
ただし、式1において、aは1〜3の整数を、R1は炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する1価有機基を、R2は1価有機基又は水素原子を、表す。R1の1つ以上はフッ素含有1価有機基であり、残余のR1及びR2からなる群から選ばれる1つ以上はポリオキシアルキレン鎖を有する基、酸で中和した塩基性基、及び塩基で中和した酸性基のうち少なくとも1つを有する1価有機基である。式2において、bは0〜3の整数を、R3はフッ素不含1価有機基を、R4は1価有機基又は水素原子を、表す。 - aが1であり、R1がフッ素含有1価有機基であり、R2から選ばれる1つ以上はポリオキシアルキレン鎖を有する基、酸で中和した塩基性基、及び塩基で中和した酸性基のうち少なくとも1つを有する1価有機基であり、R2がポリオキシアルキレン鎖を有する基、酸で中和した塩基性基、及び塩基で中和した酸性基のうち少なくとも1つを有する1価有機基ではない基を含む場合には、アルキル基、アルコキシアルキル基、又はエーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素数2〜18の含フッ素アルキル基である請求項1に記載の水性塗料用組成物。
- フッ素含有1価有機基が、Rf1−、Rf1OCONHR5−、Rf1SCONHR5−、Rf2CONHR5−、又はRf2SO2N(R6)R5−で表される基である請求項1または2に記載の水性塗料用組成物(ただし、Rf1は炭素数2〜18の含フッ素アルキル基を、Rf2は炭素数1〜18のペルフルオロアルキル基を表し、Rf1及びRf2はエーテル性酸素原子を含んでもよい。R5は炭素数1〜10の2価有機基を、R6は炭素数1〜10の1価有機基を表す。)。
- (C)を含有し、(C)が、テトラエトキシシラン、メチル基の一部がエチル基に置換されているテトラメトキシシラン、メチル基の一部がプロピル基及び/又はブチル基に置換されているテトラメトキシシラン、エチル基の一部がプロピル基及び/又はブチル基に置換されているテトラエトキシシラン、テトラキス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)シラン、テトラキス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)シラン、テトラキス(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルオキシ)シラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの縮合物から選ばれる請求項1〜3のいずれかに記載の水性塗料用組成物。
- 縮合触媒を含む請求項1〜4のいずれかに記載の水性塗料用組成物。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の水性塗料用組成物及び水を含有することを特徴とする水性塗料。
- 請求項6に記載の水性塗料を被塗物に塗装することを特徴とする塗装物の製造方法。
- 請求項6に記載の水性塗料から形成された塗膜を有することを特徴とする塗装物品。
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