JP4965806B2 - 銀被覆用粉末、銀被覆用ガラス・ペースト、およびグリーンシート - Google Patents

銀被覆用粉末、銀被覆用ガラス・ペースト、およびグリーンシート Download PDF

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Description

本発明は、銀を導体成分として含む膜を被覆するための銀被覆用粉末、銀被覆用ガラス・ペースト、およびグリーンシートに関するものである。
例えば、面放電AC型PDP(Plasma Display Panel:プラズマ・ディスプレイ・パネル)の前面板、或いは複写機や印刷機のトナー定着用加熱ローラ等の一形式として、ガラス板やガラス管等の絶縁体の一面に銀(Ag)を導体成分とする膜(以下、本願においては、導体として用いられるか抵抗体として用いられるかを問わず、便宜上「銀導体膜」という)を設けると共に、その銀導体膜の略全体をガラス膜で覆った構造体が知られている。例えば、AC型PDPの前面板においては、透明なガラス平板の一面に放電電極或いはバス配線として機能する複数本の銀導体膜が互いに平行に設けられ、且つその略全長が誘電体膜として機能するガラス膜で覆われる。また、例えば、トナー定着用加熱ローラにおいては、ガラス或いはセラミックス等の絶縁材料製円筒の表面に抵抗発熱体として機能する銀を含む抵抗体膜が螺旋状等の適宜の形状で設けられ、且つその略全体が保護膜として機能するガラス膜で覆われる。
上記のような銀導体膜を銀被覆ガラス膜で覆う構造を形成するに際しては、例えば、ガラス基板等の基体の上に銀ペーストを厚膜印刷法で印刷し且つ焼成して、或いは蒸着等の薄膜法でその構成材料を固着して銀導体膜を形成した後、その上にガラス・ペーストを塗布し且つ焼成してガラス膜を生成する。このようにして生成された銀被覆ガラス膜が、本来の色調、例えば無色透明に保たれず、銀導体膜上やその近傍において黄変する問題があった。この黄変は、ガラス膜の形成時の加熱に起因して銀導体膜中のAgイオンが移動し、更にガラス膜内に拡散するために生じるものと考えられている。
因みに、例えばAC型PDPの前面板においては、黄変したガラスを光が透過するため色むらや輝度の低下が引き起こされる。また、トナー定着用加熱ローラのような光の透過が不要な他の用途においても、外観の悪化によって商品価値が低下する。しかも、黄変はガラス膜やガラス基板の化学組成の変動で生じるため、それらの物性や機能の経時的な変化が生じる可能性も否定できない。
そこで、ガラス膜の黄変を抑制することを目的として、ガラス・ペーストを構成するガラス粉末に、MnO2、CeO2、SnO2、およびSbO2の何れかを含む無鉛ガラス、遷移金属の酸化物であるCu2O、CoO、Cr2O3、Fe2O3、NiO等の何れかを含む鉛ガラス、Mn化合物やCr化合物等の酸化剤を含む低融点ガラス、CeO2およびCuOを合計で0.1〜1(mol%)含む低融点ガラス、CuOを0.05〜1(wt%)、MnO2を0.05〜1(wt%)の範囲で含む低融点ガラス等を用いることが提案されている(例えば特許文献1〜特許文献5等を参照)。何れにおいても、上記各成分が銀の還元延いては銀コロイドの生成を抑制するため黄変が抑制されるものと考えられている。また、黄変抑制を目的とするものではないが、ガラスの透明性の向上を目的として、CuをCuO換算で0.1〜0.9(wt%)含む鉛ガラス、PbO2、Pb(NO3)2、PbSO4、CuO、SnO2、Sb2O3、Sb2O5、およびCeO2の少なくとも一種を3.7(wt%)以下の範囲で含む鉛ガラスや、CuOを0.1〜0.5(wt%)、CeO2を0〜1(wt%)含む鉛ガラス等も提案されている(例えば特許文献6〜特許文献8等を参照)。
特開2003−104753号公報 特許第3317161号公報 特開2002−25341号公報 特開2003−192376号公報 特開2004−323297号公報 特開2001−206732号公報 特開2001−261370号公報 特開2002−145637号公報
上記特許文献1〜特許文献5に記載されている黄変対策は、鉛ガラスにおいては十分に有用であり、視認不可能な程度まで黄変を抑制できる。しかしながら、無鉛ガラスにおいては鉛ガラスに比べて黄変抑制効果が低く、一層の黄変対策が求められていた。特に、処理温度を鉛ガラス並に低くする目的で軟化点が低くなるように組成を調整した低軟化点(或いは低融点)ガラスにおいて、上記傾向は顕著である。また、鉛ガラスにおいても、例えば表示装置の色純度を一層高める目的で黄変を一層抑制することが望まれていた。
なお、上記特許文献1は無鉛ガラスに関するものであって、その[0007]〜[0009]等には軟化点が500〜600(℃)の低軟化点ガラスを対象とする旨が記載されている。しかしながら、実施例には焼成温度が540〜595(℃)のガラスのみが記載され、しかも、その比較例37〜40の評価結果である表12に示されるように、評価したガラスは全てb値が7以下の比較的黄変の弱いものだけである。すなわち、黄変の著しい一般的な無鉛ガラスに関する評価は為されておらず、本発明者の追試によれば黄変を十分に抑制できる結果は得られなかった。また、上記特許文献3にも、[0007]等に無鉛ガラスが適用対象として記載されているが、実施例は鉛ガラスのみについて記載されており、本発明者が無鉛ガラスについて追試しても有効な結果は得られなかった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、黄変を一層抑制できる銀被覆用粉末、銀被覆用ガラス・ペースト、およびグリーンシートを提供することにある。
斯かる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、銀を導体成分とする導体膜を覆うガラス膜を形成するために用いられる銀被覆用粉末であって、ガラス粉末中に2価のCuおよび4価のCeを共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で混合したことにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、銀被覆用ガラス粉末がビヒクル中に分散させられて成り、銀を導体成分とする導体膜を覆うガラス膜を形成するために用いられる銀被覆用ガラス・ペーストであって、2価のCuおよび4価のCeを共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で含むことにある。
また、前記目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、焼成処理が施されることによってガラス膜を形成するために用いられるグリーンシートであって上記銀被覆用ガラス・ペーストからシート状に成形されたことにある。
前記第1発明の銀被覆用粉末によれば、ガラス粉末中に2価のCuおよび4価のCeを共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で混合したことから、この混合粉末から例えばペーストを調製し、そのペーストで銀導体膜を覆って塗布し、焼成処理を施して銀被覆ガラス膜を形成した場合にも、その黄変が好適に抑制される。
また、前記第2発明の銀被覆用ガラス・ペーストによれば、ペースト中に2価のCuおよび4価のCeが共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で含まれることから、このガラス・ペーストを銀導体膜を覆って塗布し、焼成処理を施して銀被覆ガラス膜を形成した場合にも、その黄変が好適に抑制される。
また、前記第3発明のグリーンシートによれば、上記銀被覆用ガラス・ペーストから成形されることから、これを銀導体膜を覆って重ねて例えば圧着し、焼成処理を施すことにより銀被覆ガラス膜を形成した場合にも、その黄変が好適に抑制される。
上記のように黄変が抑制される理由は明らかではないが、本発明者は以下のように推定する。すなわち、ガラス中に銀が拡散することによる黄変を抑制するためには、下記(1)式に示される還元反応を抑制し延いては生成したAg+のコロイド化を抑制すればよいと考えられる(例えば前記特許文献1等を参照)。その還元抑制作用は、Cuのように銀よりも酸化され易く且つ2通り以上の価数(Cuの場合は1価および2価)を採りうる金属元素が、価数の大きい状態(すなわちCuO等の高酸化状態)でガラス中に含まれることによって働くものと推定される。すなわち、ガラス膜を生成するための焼成時に下記(2)式に従ってO2-が生成し、そのO2-によってAg+がAg2Oに戻されるものと考えられる。
Ag2O → 2Ag++O2- ・・・(1)
2CuO → 2Cu2++2O2- ・・・(2)
2CuO → Cu2O+1/2O2 ・・・(3)
しかしながら、前記各特許文献では添加した金属元素を高酸化状態に保つことの必要性について何ら考慮されていない。何れも、高酸化数の金属元素をガラス粉末の製造時にガラス原料に混合しているが、その金属元素はガラス粉末の製造過程における溶解時に還元され、低酸化状態に変化する。この反応は、例えば、上記(3)式に示されるようなものであると推定される。このように低酸化状態に変化した元素は銀の還元抑制作用が著しく弱くなり、却って銀の還元を促進する方向にも作用する。そのため、ガラス膜形成のための加熱時において、鉛ガラスでは黄変がある程度抑制されるものの、黄変の著しい無鉛ガラスでは黄変抑制作用が殆ど得られなくなるものと考えられる。
また、前記銀被覆用粉末および前記銀被覆用ガラス・ペーストは、2価のCuおよび4価のCeを共に酸化物粉末で含むものであるが、Ceも2通り以上の価数すなわち3価および4価を採り得るものであって、4価はそのうちの高酸化状態であることから、2価のCuと同様に銀の還元を抑制する効果を有する。そのため、後述するように着色や積分透過率の低下などを理由としてCuの含有量が一定値以下に制限される場合にも、Ceを併用することによって高酸化数の元素の量をCu単独の場合よりも多くして、銀の還元を一層抑制することができる。なお、Ceも下記(4)式に示されるように高酸化数(4価)のCeO2から低酸化数(3価)のCe2O3に変化することから、単にCeを含むだけでは足りず、4価のCeを含んでいる必要がある。
2CeO2 → Ce2O3+1/2O2 ・・・(4)
また、好適には、前記銀被覆用ガラス粉末または前記銀被覆用ガラス・ペーストにおいて、前記2価のCuおよび前記4価のCeは何れも酸化物粉末で含まれる。上記銀被覆用ガラス粉末を製造するに際しては、ガラス粉末に酸化物粉末を混合すれば足り、上記銀被覆用ガラス・ペーストを製造するに際しては、ガラス・ペーストの調製時にガラス粉末および酸化物粉末をビヒクル中に分散させれば足りる。そのため、ガラス粉末を製造する際のガラス溶解時に2価のCuや4価のCeを添加する場合のようなそれらCuおよびCeが還元される問題が生じ得ないので、2価のCuおよび4価のCeを含む銀被覆用ガラス粉末および銀被覆用ガラス・ペーストを容易に製造することができる。
因みに、本発明者等は、本発明に至る過程で、ガラス粉末を製造する際のガラス溶解時にCuやCeを添加した場合には、その溶解を還元雰囲気で行うとCuやCeが還元されるため、酸化雰囲気で行うことが好ましいことを見出した。しかしながら、大気中等の酸化雰囲気で溶解しても、CuやCeの還元を完全に防止することは困難であり、溶解条件に応じてそれらの相当量が還元され1価のCuおよび3価のCeになる。すなわち、溶解時の雰囲気を調整すれば、ガラス中に含まれるCuおよびCeをある程度の割合でそれぞれ2価および4価に保つことが可能であり、2価のCuまたは4価のCeを含むガラス粉末を得ることができる。したがって、このようにして製造されるものも本願発明の範囲に含まれるが、それら2価のCuおよび4価のCeの割合を高くすることは著しく困難であるため、前記のように酸化物粉末で混合することが好ましい。
また、好適には、前記銀被覆用ガラス粉末および前記銀被覆用ガラス・ペーストにおいて、前記酸化物粉末は500(nm)以下の平均粒径を備えたものである。このようにすれば、酸化物粉末が著しく微細であることから、ガラス膜の焼成過程においてCuおよびCeがガラス中に好適に溶け込み、組織的に一体化させられる。そのため、酸化物粉末の形態でペースト中に添加されていても、例えば1(μm)以上の粉末が添加された場合のようにガラス膜中に視認可能な状態で点在することはなく、黄変抑制作用が好適に得られる。酸化物粉末の平均粒径は、一層好適には、200(nm)以下であり、100(nm)以下が更に好ましい。また、ペースト中における分散性の観点から、1(nm)以上の平均粒径とすることが好ましい。
また、好適には、前記銀被覆用ガラス・ペーストにおいて、前記2価のCuおよび4価のCeは、それらの合計量が酸化物換算で前記ガラス粉末100重量部に対して0.01乃至5.0重量部の範囲内の割合で含まれるものである。含有量が0.01重量部未満では、黄変抑制効果が弱くなり、例えばb値が20以上のような黄変が著しいガラス膜に対する有効性が著しく減じられる。また、含有量が5.0重量部を超えると、ガラスに溶け込み難くなるので、酸化物粉末による着色が生じ易くなる。合計量は、一層好適には、0.1〜1.0重量部の範囲内である。
一層好適には、2価のCuは0.01〜0.6重量部の範囲で含まれる。0.6重量部を超えると、ガラスに溶け込んだときのCuOによる着色が生じ易くなる。したがって、黄変を抑制するために合計量で0.6重量部を超える酸化物粉末を添加する場合には、2価のCuを0.6重量部以下に留め、残部を4価のCeとすることが好ましい。2価のCuは、一層好適には、0.05重量部以上の割合で含まれる。
また、好適には、前記銀被覆用ガラス・ペーストは、透光性を有する絶縁体の表面に設けられた銀を導体成分とする導体膜を覆ってガラス膜を形成した場合におけるその導体膜近傍の変色部の440(nm)の波長の光の透過率が、そのガラス膜の非変色部における光の透過率の85(%)以上である。すなわち、前記銀被覆ガラス膜は、CuおよびCeの少なくとも一方を含み、且つ前記導体膜近傍の変色部における440(nm)の波長の光の透過率が、非変色部における光の透過率の85(%)以上である。このようにすれば、黄変が生じることによって透過率が著しく低下させられる440(nm)程度の波長の光の透過率が十分に高く保たれることから、黄変が一層抑制された銀被覆ガラス膜を備えた構造体が得られる。
また、好適には、前記銀被覆用ガラス粉末は、所定のガラス粉末と2価のCu酸化物粉末とを混合することによって製造される。また、前記銀被覆用ガラス・ペーストは、所定のガラス粉末と2価のCu酸化物粉末とを所定のビヒクルと混合することによって製造される。
また、好適には、前記グリーンシートは、前記銀被覆用ガラス粉末を所定のビヒクルに分散して調製したスラリーを用いて、良く知られたドクターブレード法等のシート成形法で製造される。或いは、所定のガラス粉末と、2価のCu酸化物粉末とをビヒクルに分散して調製したスラリーを用いて同様にシート成形することもできる。
なお、本発明は、例えば、面放電構造のAC型PDPの前面板に銀導体を覆うガラス膜を形成する場合に好適に用いられるが、本発明は、銀導体膜がガラス膜に覆われた構造を有するものであれば種々のものに適用でき、例えば、対向放電構造のAC型PDPの前面板および背面板等の他の表示装置や、トナー定着用加熱ローラ、サーマル・プリンタのヘッド等の他の構造体にも同様に適用できる。
また、本発明が面放電構造のAC型PDPに適用される場合において、前面板は銀導体膜および透明導体膜が積層された導体が設けられるものであっても、銀導体膜のみが設けられるものであってもよい。特に、後者においては、銀導体膜がガラス基板から成る前面板に直に接することになるため、黄変が一層生じ易くなることから、本発明のガラス・ペーストおよび銀被覆ガラス膜を備えた構造体を適用することが一層有効である。
また、ガラス膜で被覆される銀導体膜は、例えば厚膜で構成されるが、薄膜であっても差し支えない。
また、ガラス粉末の組成は特に限定されず、用途の応じた適宜のものとすることができる。例えば、PbO-SiO2-Al2O3系、PbO-SiO2-B2O3-Al2O3系、ZnO-B2O3-SiO2系、ZnO-B2O3-SiO2-Al2O3系等、種々の鉛ガラスや無鉛ガラスに適用される。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の銀被覆ガラス膜を備えた構造体の一適用例である面放電AC型PDP10を一部を切り欠いて示す斜視図であり、図2は、その前面板16の部分的に拡大して示す断面図である。これら図1、図2において、PDP10は、それぞれの略平坦な一面12、14が向かい合うように所定間隔を隔てて互いに平行に配置され、図示しない周縁部において気密に封着された互いに同様な寸法および形状の前面板16および背面板18と、それら前面板16および背面板18との間に形成された気密空間を一方向に沿って配列された複数の放電空間20に区画形成する複数本の長手状の隔壁22とを備えて構成されている。これら前面板16および背面板18は、例えば透光性を有する軟化点が700(℃)程度のソーダライム・ガラス等から成るものである。
上記の前面板16上には、上記隔壁22の長手方向と直交する一方向に沿って互いに平行に配置された複数対の表示放電電極24a、24b(以下、特に区別しないときは単に表示放電電極24という)が、各対相互に一定の中心間隔を以て備えられる。複数本の表示放電電極24の各々は、幅広の透明電極28と、表示放電電極24の各対毎の外側位置においてその透明電極28に重ねて設けられた細幅の金属電極30とから構成されたものである。透明電極28は、例えばITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)やATO(Antimon Tin Oxide :酸化アンチモン錫)等の透明導体材料から成るものであり、高い可視光透過率を有している。一方、金属電極30は、その透明電極28の導電性を補うものであって、銀を導体成分とする例えば厚膜導体から成るものであり、殆ど光を通さないが細幅に設けられるためその遮光が問題となることはない。このように構成された表示放電電極24は、前面板の内面12の略全面に設けられた誘電体層32およびその上に設けられた保護膜34で覆われている。なお、図2においては保護膜34を省略した。
上記金属電極30は、例えば、球状或いはフレーク状の銀粉末をガラス粉末と共にビヒクル中に分散させ、厚膜スクリーン印刷法を用いて予め定められた厚みに塗布され且つ焼成処理が施されることにより形成されたものである。
また、前記の誘電体層32は、その表面に電荷を蓄えることにより内面12上において対を成す電極24a,24b間で交流放電を発生させるためのものであって、前記の電極24a,24b上における厚さ寸法が例えば40(μm)程度となるように設けられている。この誘電体層32は、例えば下記の表1に示されるような有鉛系のPbO-B2O3-SiO2-Al2O3系低軟化点ガラス(ガラス1,ガラス2)、或いは無鉛系のZnO-B2O3-SiO2-Al2O3系低軟化点ガラス(ガラス3,ガラス4)等に、2価のCuおよび4価のCeの少なくとも一方がイオンまたは酸化物の形態で、ガラス成分100重量部に対して酸化物換算した合計量で0.01〜5.0重量部の範囲内、例えばそれぞれ0.1重量部ずつ含まれたものである。これらCuおよびCeは、その一部または全部が、下記のガラス構成成分により形成されたネットワークすなわちガラス組織中に入り込んでいる。
Figure 0004965806
なお、誘電体層32を構成するガラスは、上記組成に限られない。例えば、各構成成分(mol%)が、それぞれSiO2 5〜50(%)、B2O3 5〜50(%)、ZnO 5〜40(%)、Al2O3 3〜20(%)、Bi2O3 0〜50(%)、{Li2O、K2O、Na2O}を合計で5〜20(%)、{MgO、CaO、SrO、BaO、CuO}合計で0〜20(%)、{TiO2、ZrO2、SnO2、CeO2}合計で0〜10(%)の範囲内で含まれる無鉛系ガラスが好適に用いられる。
上記のように2価のCuおよび4価のCeを含むことから、誘電体層32は、銀導体膜である金属電極30を覆って設けられているにも拘わらず、その金属電極30中のAgイオンがその誘電体層32内や前面板16内に拡散することが抑制されるので、それらの黄変延いては外観劣化や可視光透過率の低下が好適に抑制されている。ここで、可視光透過率は、例えば誘電体層32の表面26から光を入射させて、前面板16の裏面27から射出される光量を測定して求めたものである。なお、透過率は、入射光の入射方向を表面26に対して垂直に設定し、裏面27に対して垂直を成す向きで射出された光だけを測定した直線透過率と、積分球を用いることにより前面板16および誘電体層32内およびそれらの界面や表面で屈折或いは散乱して射出方向が変化した光も測定した積分球透過率とをそれぞれ測定したが、何れにおいても従来に比較して可視光透過率が高められることを確認できた。例えば、前記ガラス1の組成の誘電体層32のb値および550(nm)と440(nm)における積分球透過率の差が、CuOおよびCeO2を添加しない場合ではb値が22程度で積分球透過率の差が12(%)程度であったものが、それぞれを0.1重量部ずつ添加したものでは例えばb値が1程度で積分球透過率の差が3(%)程度まで低下した。
上記の誘電体層32は、例えば、前面板内面12に透明電極28および金属電極30を形成した後、ガラス粉末をビヒクル中に分散させたガラス・ペーストを用意し、厚膜スクリーン印刷法を用いて内面12の全面にそれら電極28,30を覆って印刷し、軟化点よりも例えば10〜30(℃)程度だけ高い温度、例えば550(℃)程度の温度で30分間程度保持する加熱処理を施すことによって生成される。このとき、ガラス・ペーストには、ガラス粉末をビヒクル中に分散させるに際して、同時に、CuO粉末およびCeO2粉末の少なくとも一方が例えば合計で0.01〜5.0重量部添加される。これらCuO粉末およびCeO2粉末は、気相法、例えば材料を2000〜3000(℃)程度の超高温で溶かして噴射し、急冷する製法で製造されたものであり、例えば、10(nm)程度の極めて微細な平均粒径を備えた球状の超微粉である。なお、上記ビヒクルは、例えば、エチルセルロースやアクリル等の樹脂成分(有機結合剤)をターピネオールやブチルカルビトールアセテート等の有機溶剤に分散したものが好適に用いられる。
上記の加熱処理時において、CuOおよびCeO2は、例えば一部または全部がその酸化数を維持したまま還元され、ガラス組織中に入り込む。そのため、生成されるガラス膜すなわち誘電体層32は、高酸化状態のCu或いはCeを含んだガラス組織を有することとなる。したがって、銀を導体成分とする金属電極30を覆って形成されても、熱処理の際にその銀が還元されることがそれらCu、Ceによって抑制されるので、黄変が抑制され、延いては高い可視光透過率を有するのである。
要するに、本実施例においては、ガラス・ペースト中に2価のCuおよび4価のCeがイオンまたは酸化物の形態で含まれることから、このガラス・ペーストを銀導体膜である金属電極30を覆って塗布し、焼成処理を施して誘電体層32を形成すると、ペースト中に含まれるCuOおよびCeO2が銀の還元を抑制するため、その生成過程における黄変が好適に抑制される。
なお、前記図1において、36はアンダーコート、38は書込電極、40はオーバーコート、42は蛍光体層である。これらの構成は面放電構造のAC型PDP10において良く知られたものであって、本実施例を理解するために必要では無いので、詳細な説明は省略する。
以下、前記誘電体層32を構成するガラス粉末の組成やガラス・ペーストに添加するCu等の添加形態や添加量等を種々変更して、形成されるガラス膜の特性を評価した結果を説明する。なお、以下に説明する試験においては、黄変を色差計(例えば、ミノルタ(株)製 CR-300 色彩色差計)で測定したb値で評価した。b値は黄色度を表すものであって、その値が大きいほど黄変が著しいと言える。一般に、黄変は、b値が10以上で顕著になるが、5以下であれば肉眼では認識し得ない。
下記の表2は、それぞれ平均粒径が10(nm)のCuO粉末およびCeO2粉末を、前記表1に示す何れかの組成から成るガラスを用いたガラス・ペーストに添加して、添加量とb値および透過率の測定結果とをまとめたものである。表2には、ガラス中にCuおよびCeを添加した本発明の他の実施態様と、ペースト中にCuOのみを添加した他の実施態様と、ガラス中にCuのみを添加した他の実施態様と、CuOおよびCeO2を何れも添加しない比較例とを併せて示した。ガラス・ペーストの調製方法や誘電体層32の形成方法等は、何れのサンプルにおいても、前述した前面板10の場合と同様である。但し、ガラス膜の膜厚は20(μm)とした。また、ガラス粉末を製造するに際してガラス構成成分の加熱溶解は全て空気中で行った。
Figure 0004965806
上記の表2において、(1)〜(5)にそれぞれ付した「ガラス1」〜「ガラス4」は、それぞれ各欄に示す評価に用いたガラスの種類を表している。また、「添加形態」は、誘電体層32を形成するに際してCuO粉末およびCeO2粉末を添加した段階を表したものである。この「添加形態」欄において、「ガラス」は、ガラス粉末を製造する際の加熱溶解時にガラス構成成分に混合して添加したことを、「ペースト」は、ガラス・ペーストを製造する際にビヒクル中に添加したことをそれぞれ意味する。ガラス中に添加する場合には、CuO粉末およびCeO2粉末として平均粒径が5(μm)程度のものを用いた。なお、「無し」は、CuOおよびCeO2を添加していないものである。また、(3)に示す評価ではCuOのみを添加している。また、「CuO(重量部)」および「CeO2(重量部)」は、それぞれの添加量をガラス粉末100重量部に対する重量部で表した。また、「b値」は、電極24a,24b上に誘電体層32を設け、背景を黒色としてその表面26側および裏面27側から色差計で測定した。「b値(表)」は表面26側の測定値、「b値(裏)」は裏面27側の測定値である。また、「透過率低下」は、550(nm)の波長の光の積分球透過率τ550(%)と440(nm)の波長の光の積分球透過率τ440(%)とからτ550−τ440で算出した値である。また、(3)に示す「積分透過率」は、550(nm)の波長における透過率を、誘電体層32および金属電極30を設けていないガラス基板をブランクとして測定した値である。
上記表2の(1)に示されるように、ガラス1では、CuOおよびCeO2を添加しない場合には、表面26側におけるb値が22と高いのに対し、何れかまたは両方を添加した場合には、b値が著しく低下する。但し、同一添加量で比較すると、ガラス中添加よりもペースト中添加の方が改善効果が高い。また、このガラス1でペースト中に添加する場合には、CuO単独では0.10重量部以上、CeO2と併用する場合には合計で0.10重量部以上において、表面側b値が1まで、裏面側b値が2までそれぞれ低下して特性的に略飽和した。CeO2単独では0.10重量部の添加で表面側、裏面側共にb値が3であって、CuOの添加よりもやや劣る結果となったが、十分な改善が認められる。このデータから、CeO2も0.20重量部以上の添加量で表面側b値が1程度まで低下することが期待できる。何れにしても、表面26側のb値は、9以下に低下し、表示品質上、無視できる程度になる。また、裏面27側におけるb値は、CuO、CeO2を添加しない場合でも4程度と低いため僅かではあるが改善が認められた。
また、表2の(2)に示されるように、ガラス2では、ガラス1に比較して無添加の場合のb値が低く、表面26側でも10程度に留まっている。しかしながら、このようなガラス2においても、CuOおよびCeO2の何れかまたは両方を添加することでb値が一層低下することや、ガラス中添加よりもペースト中添加の方が改善効果の高いことが確かめられた。CuO、CeO2をそれぞれ0.10重量部添加すると、表面26側のb値は、ガラス中添加でも4、ペースト中添加では2まで低下する。また、CuOの0.01重量部程度、CeO2の0.04重量部程度の添加量でも、僅かながらも改善効果が認められる。また、裏面27側では、無添加の場合のb値が3であるが、CuO、CeO2の添加により2まで低下する。このように、ガラス2においても、添加量を多くするほどb値が低下する。
また、表2の(3)は、ガラス2においてCuOのみを添加してb値および550(nm)における積分球透過率を評価したものである。無添加の場合には、b値が表面26側で10、裏面27側で3程度であるが、CuOを添加すると、何れの添加方法の場合にも添加量が多いほどb値が低下する傾向がある。すなわち、添加量が0.10重量部では、表面26側、裏面27側のb値が、ガラス中添加でそれぞれ5、2に低下し、ペースト中添加ではそれぞれ2、2に低下する。5.00重量部にすると、表面26側、裏面27側のb値が、ガラス中添加ではそれぞれ−4、1に低下し、ペースト中添加ではそれぞれ−2、1に低下する。
しかしながら、積分透過率は、無添加の場合が88(%)程度であるのに対し、添加量が多くなるほど低下する傾向がある。添加量が0.10重量部ではガラス中、ペースト中の何れの添加形態でも87(%)程度の透過率に保たれるが、5.00重量部まで添加量を多くすると、ガラス中添加では65(%)程度、ペースト中添加では67(%)まで透過率が低下する。そのため、b値を低くする観点ではCuOの添加量が多いほど好ましいが、透過率を高く保つ観点ではCuOの添加量が少ないほど好ましく、上記評価結果によれば、CuO単独の場合には5.00重量部程度がガラス2における上限である。
また、表2の(4)に示すガラス3では、無添加の場合のb値が28程度とやや高いが、ペースト中にCuO、CeO2をそれぞれ0.50重量部添加することにより、b値を2まで低下させることができた。なお、このガラス3では、各0.2重量部の添加では改善が認められるもののb値が14と高い値に留まり、不十分であった。すなわち、無鉛系のガラス3では、鉛系のガラス1,2に比較して黄変抑制のために必要となるCuO、CeO2量が多くなる。
また、表2の(5)に示すガラス4では、無添加の場合のb値が20程度でガラス1と同程度であるが、同様に、CuOおよびCeO2の一方または両方の添加によってb値が低下することが確かめられた。この場合にも、他の3種のガラスと同様にガラス中添加よりもペースト中添加の方が改善効果が顕著である。また、ガラス3と同様に合計で1.00重量部程度の添加量を必要とするが、ペースト中添加であれば、b値を2程度まで低下させることができる。また、添加量が同量であれば、CuOの方がCeO2よりも高い効果が得られるのも同様である。
上記の通り、ガラス1〜4の何れにおいても、CuO、CeO2を添加するとb値が低下する効果が認められ、特に、ガラス中添加よりもペースト中添加の方が効果が顕著であった。但し、透過率を高く保つためには、十分に低いb値が得られる範囲で添加量を少なくする必要がある。すなわち、ガラス中添加の場合においては、CuOを5.00重量部添加すると積分透過率が65(%)程度に低下する。また、ペースト中添加の場合は、5.00重量部添加すると積分透過率が67(%)程度まで低下する。これよりも積分透過率が低くなると実用性が乏しくなるので、添加量は5重量部以下に留めることが好ましい。
図3はガラス2にCuO、CeO2を各0.1重量部添加した場合の、図4はガラス3にCuO、CeO2を各0.2重量部添加した場合の積分球透過率を、波長を横軸にとってそれぞれ示す図である。図中、「無添加」はCuOおよびCeO2を添加していないガラス膜である。それぞれ黒く塗りつぶした印は前面板16を構成するガラス板上に誘電体層32(すなわちガラス膜)を形成した場合の透過率を表しており、「-Ag」を付した白抜きの印は厚膜銀から成る金属電極30上に誘電体層32を形成した場合の透過率を表している。また、各図においてPDP10の表示上必要となる440〜650(nm)の波長範囲をRGBで示した。可視光の波長範囲はこれよりも外側に広がっているが、表示品質上はその外側の波長を無視して差し支えない。
図3において、ガラス2では、無添加のガラス膜の透過率はガラス板上に形成した場合には、650(nm)で90.2(%)程度、550(nm)で89.5(%)程度、440(nm)で88.6(%)程度であって、積分球透過率低下は0.9(%)程度の極めて小さな値である。ところが、これを金属電極30上に形成すると、650(nm)で88.6(%)程度、550(nm)で87.5(%)程度、440(nm)で71.2(%)程度であって、積分球透過率低下は16.3(%)もの大きな値になる。この積分球透過率低下は、緑色光の透過率と青色光の透過率との差を意味するものであり、このような大きな差が生じると、青色の輝度が緑色および赤色の輝度に対して相対的に低下することにより、黄色がかった発光になる。すなわち、この440(nm)の透過率の低下の大きさがb値の大きさに対応する。
また、ガラス中添加によるガラス膜の透過率はガラス板上に形成した場合には、650(nm)で88.9(%)程度、550(nm)で88.3(%)程度、440(nm)で85.6(%)程度であって、積分球透過率低下は2.7(%)程度の小さな値である。これを金属電極30上に形成すると、650(nm)で90.4(%)程度、550(nm)で89.2(%)程度、440(nm)で83.2(%)程度であって、積分球透過率低下は6.0(%)とやや増大する。
また、ペースト中添加によるガラス膜の透過率はガラス板上に形成した場合には、650(nm)で88.2(%)程度、550(nm)で87.8(%)程度、440(nm)で85.6(%)程度であって、積分球透過率低下は2.2(%)程度の小さな値である。これを金属電極30上に形成すると、650(nm)で91.2(%)程度、550(nm)で90.4(%)程度、440(nm)で85.6(%)程度であって、積分球透過率低下は4.8(%)とやや増大する。しかしながら、CuOおよびCeO2を添加したこれら2種のガラス膜によれば、無添加の場合に比較して積分球透過率低下が大幅に改善しており、特に、ペースト中添加の場合の方が添加効果が大きいことが判る。
また、図4において、ガラス3では、無添加のガラス膜の透過率はガラス板上に形成した場合には、650(nm)で93(%)程度、550(nm)で92(%)程度、440(nm)で91(%)程度であって、積分球透過率低下は1(%)程度の極めて小さな値である。ところが、これを金属電極30上に形成すると、650(nm)で86(%)程度、550(nm)で81(%)程度、440(nm)で32(%)程度であって、積分球透過率低下は49(%)もの大きな値になる。
これに対して、CuOおよびCeO2を添加した場合(ペースト中添加)には、ガラス膜の透過率はガラス板上に形成した場合には、650(nm)で84(%)程度、550(nm)で83(%)程度、440(nm)で81(%)程度であって、積分球透過率低下は2(%)程度の小さな値である。これを金属電極30上に形成すると、650(nm)で78(%)程度、550(nm)で74(%)程度、440(nm)で48(%)程度であって、積分球透過率低下は26(%)と増大する。しかしながら、この場合でも、CuOおよびCeO2を添加したことによって440(nm)近傍における透過率や積分球透過率低下が改善していることは明らかであり、十分に有用である。なお、前述したように、各0.2重量部の添加では、b値は14程度に留まり、各0.5重量部程度の添加によってb値を2まで低下させることができる。すなわち、添加量を多くすれば、440(nm)における透過率が十分に改善される。
また、下記の表3は、ペースト中に添加するCuO、CeO2の種類を変更した場合の差異をガラス1について試験したものである。下記の表3において、「Cu酸化物」欄はCu酸化物およびCeO2の添加の有無および添加したCu酸化物の種類である。また、「粒径」欄は、添加したCu酸化物の平均粒径である。「無し」および「10nm」のものは前記表2のものを再掲した。
Figure 0004965806
上記の表3において、CuOを添加した場合のb値を比較すると、添加量が同一であっても、CuO粉末の粒径が大きくなるに従って表面側では値が大きくなることが判る。すなわち、平均粒径が500(nm)のものを添加すると、改善効果がやや低下し、800(nm)(すなわち0.8(μm))以上の大きいものを添加すると、添加効果は認められるものの、10(nm)程度の微粉を添加した場合に比較すると添加効果が著しく低くなる。したがって、添加するCuO粉末の粒径は500(nm)以下が好ましい。なお、裏面側b値は、10(nm)の場合が最も低いが、殆ど差は無い。また、Cuの酸化物であっても、Cuが1価であるCu2Oを添加した場合には、b値の改善効果が僅かに留められ、同程度の平均粒径を備えたCuO添加のものと比較して表面側b値が大きい。
すなわち、上記の表3によれば、CuOを添加しても平均粒径が大きいものでは黄変抑制効果が弱く、Cu2O粉末を添加しても黄変抑制効果は殆ど得られないことが判る。但し、前記表2のガラス3についてのデータと対比すれば、平均粒径の大きいものであっても添加量を多くすれば黄変を十分抑制できる可能性がある。例えば、800(nm)のCuO粉末を添加するものでは、添加量を例えば0.5重量部程度まで多くすれば、黄変を十分に抑制できるものと推察される。
また、下記の表4は、CuOおよびCeO2をガラス中に添加する場合の条件の最適化を検討したものである。表4において、「ガラス溶解雰囲気」欄の「還元(N2)」は、窒素ガス雰囲気中すなわち還元雰囲気中で加熱溶解したものである。この試験においても、ガラスを溶解する際に添加するCuO粉末およびCeO2粉末として平均粒径が5(μm)程度のものを用いた。
Figure 0004965806
上記表4に示されるように、同一の添加量であれば、還元雰囲気で加熱溶解した場合よりも、Air中すなわち酸化雰囲気で加熱溶解した場合の方がb値が低くなることが判る。すなわち、CuOおよびCeO2がガラス組織中に入り込む加熱溶解時の雰囲気調整も重要であり、少なくとも、鉛ガラスであるガラス1,ガラス2においては、Air雰囲気で加熱溶解することにより、黄変を目視認識が不能な程度まで抑制できる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明を適用して形成された銀被覆ガラス膜を備えた構造体の一例であるPDPの構成を説明するための一部を切り欠いて示す斜視図である。 図1のPDPの前面板の断面構造を説明する図である。 ガラス2組成のガラス膜の積分球透過率を銀導体の上に形成した場合と併せてCuOおよびCeO2の添加形態毎に波長を横軸にとって示すグラフである。 ガラス3組成のガラス膜の積分球透過率を銀導体の上に形成した場合と併せてCuOおよびCeO2の添加形態毎に波長を横軸にとって示すグラフである。 ガラス1組成のガラス膜の積分球透過率を銀導体の上に形成した場合と併せてガラス溶解雰囲気毎に波長を横軸にとって示すグラフである。 ガラス2組成のガラス膜の積分球透過率を銀導体の上に形成した場合と併せてガラス溶解雰囲気毎に波長を横軸にとって示すグラフである。
符号の説明
10:面放電AC型PDP、16:前面板、30:金属電極、32:誘電体層

Claims (3)

  1. 銀を導体成分とする導体膜を覆うガラス膜を形成するために用いられる銀被覆用粉末であって、
    ガラス粉末中に2価のCuおよび4価のCeを共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で混合したことを特徴とする銀被覆用粉末。
  2. 銀被覆用ガラス粉末がビヒクル中に分散させられて成り、銀を導体成分とする導体膜を覆うガラス膜を形成するために用いられる銀被覆用ガラス・ペーストであって、
    2価のCuおよび4価のCeを共に10乃至500(nm)の範囲内の平均粒径を備えた酸化物粉末で含むことを特徴とする銀被覆用ガラス・ペースト。
  3. 焼成処理が施されることによってガラス膜を形成するために用いられるグリーンシートであって、
    前記請求項の銀被覆用ガラス・ペーストからシート状に成形されたことを特徴とするグリーンシート。
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