JP4151143B2 - 電極被覆用低融点ガラス粉末およびプラズマディスプレイ装置 - Google Patents

電極被覆用低融点ガラス粉末およびプラズマディスプレイ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ITO(スズがドープされた酸化インジウム)または酸化スズ(フッ素、アンチモン、等がドープされた酸化スズを含む)等の透明電極を絶縁被覆するのに適した低融点ガラス粉末、およびプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄型の平板型カラー表示装置が注目を集めている。このような表示装置においては、画像を形成する画素における表示状態を制御するために各画素に電極を形成しなくてはならない。画像の質の低下を防ぐために、このような電極として透明電極が用いられている。透明電極としては、板ガラス表面上に形成されたITOまたは酸化スズの薄膜が多く用いられる。
【0003】
このような透明電極は、特に前記表示装置においては、精細な画像を実現するために細い線状に加工される。そして各画素を独自に制御するためには、このような微細に加工された透明電極相互の絶縁性を確保する必要がある。ところが、板ガラスの表面に水分が存在したり板ガラス中にアルカリ成分が存在したりする場合、透明電極間に板ガラス表面を介して若干の電流が流れてしまう場合がある。このような電流を防止するには、透明電極間に絶縁層を形成することが有効である。画像の質の低下を防ぐためには、この絶縁層は透明であることが好ましい。
【0004】
このような絶縁層を形成する絶縁材料としては種々のものが知られているが、なかでも、透明であり信頼性の高い絶縁材料であるガラスが広く用いられている。ガラスを用いて被覆する方法としては、スパッタ法等高真空下で被膜する方法もあるが、ガラス粉末と有機ビヒクルを混練したペースト状インク(以下ガラスペーストという。)を塗布し焼成する方法が経済的に好ましい。
【0005】
特に、最近大型平面カラーディスプレイとして期待されているプラズマディスプレイ装置(典型的には、前面基板、背面基板および隔壁によりセルが区画形成されており、セル中でプラズマ放電を発生させることにより画像を形成する表示装置)の前面基板においては、前記透明電極をプラズマから保護するプラズマ耐久性に優れたガラス被覆層が必須である。
【0006】
特開昭50−23414(米国特許第3923530号)には、ガス・パネル表示装置の製造に用いられる誘電体ガラス組成物として、62.4〜69.6重量%のPbO、13.6〜20.0重量%のB23、5.8〜13.6重量%のSiO2、0.2〜1.0重量%のAl23、を必須とする誘電体ガラス組成物が開示されている。
【0007】
特開平8−119665には、PDP(プラズマディスプレイパネル)の背面基板の導体上にオーバーコートした際に結晶化することなく下の導体が見えるガラス組成物として、室温〜300℃の熱膨張係数が62×10-7〜76×10-7/℃であり、60〜70重量%のPbO、12〜17重量%のSiO2、8〜15重量%のB23、5〜12重量%のZnO、0.1〜5重量%のAl23、からなるガラス組成物が開示されている。そして、ガラス粉末の粒径が0.5μmより小さいとペースト化が困難になり、5μmより大きいと焼成時充分流動して緻密な厚膜を形成することが困難になって厚膜中にボイドを生じやすくなり、いずれも好ましくない、と記載されている。
【0008】
特開平10−67534には、反射型PDPの製造に用いられる透明性・透視性に優れた被膜形成用低融点ガラスとして、2〜7重量%のSiO2、15〜25重量%のB23、0〜8重量%のAl23、3〜15重量%のZnO、60〜75重量%のPbOを含有し、CaO+MgO+SrO+BaOが0〜6重量%であり、軟化点が450〜480℃、熱膨張係数が77×10-7〜90×10-7/℃である被膜形成用低融点ガラスが開示されている。
【0009】
前記のようなガラス被覆層は、たとえば特開平7−105855に開示されているように、一般に2層構造とされる。前記透明電極に直接接触する下層のガラス層はより高い軟化点Θ11(たとえば580℃)を有する低融点ガラスを主成分とし、より高い焼成温度Θ21(たとえば550〜560℃)で焼成される。下層のガラス層を被覆する上層のガラス層はより低い軟化点Θ12(たとえば470℃)を有する低融点ガラスを主成分とし、下層のガラス層形成後、より低い焼成温度Θ22(たとえば530℃)で焼成される。
【0010】
焼成温度Θ21を軟化点Θ11より低く設定することにより、焼成時のガラス層と電極材料との反応による泡発生を防止できる、とされる。また、焼成温度Θ22を軟化点Θ12より高く設定することにより、上層のガラス層表面をより平坦にできる、とされる。なお、本発明者らは、2層構造の上層のガラス層形成に際し焼成温度を該上層のガラス層の軟化点より高くすることにより、該上層のガラス層中の泡の浮上もあわせて促進しその除去を図っている、と推定している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガラス粉末を用いたガラスペーストをガラス基板上に塗布し、これを焼成してガラス被覆層を形成した前面基板は、透明性が低かった。
また、従来のような2層構造のガラス被覆層にあっては、単層構造のガラス被覆層の場合に比べ、工程が増加する、等の問題があった。
本発明は、以上のような問題を解決する、電極被覆に適した低融点ガラス粉末およびプラズマディスプレイ装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、積算ふるい下10%径が1.0μm以下、50%径が0.3〜5.0μm、積算ふるい下90%径が10.0μm以下、である粒度を有し、かつ軟化点が480〜620℃である低融点ガラスの粉末を含有する、電極被覆用低融点ガラス粉末、を提供する。
また、前記電極被覆用低融点ガラス粉末を焼成して得られる低融点ガラスにより、ガラス基板表面に形成された透明電極が被覆されている前面基板を有するプラズマディスプレイ装置、を提供する。
【0013】
また、ガラス基板表面に透明電極が形成されており、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスからなるガラス層により該透明電極が被覆されている前面基板を有するプラズマディスプレイ装置であって、前記前面基板は、波長550nmの光の透過率が70%以上、濁度が20%以下、であるプラズマディスプレイ装置(本発明のプラズマディスプレイ装置の第1の態様)、および、
ガラス基板上の透明電極が、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスからなるガラス層により被覆されているプラズマディスプレイ装置であって、該ガラス層に存在する直径10μm以上の泡の泡密度が5×103個/mm3以下であるプラズマディスプレイ装置(本発明のプラズマディスプレイ装置の第2の態様)、を提供する。
【0014】
本発明者らは、透明電極を絶縁被覆するガラス被覆層について鋭意研究を重ねた結果、ガラス被覆層の透明性がガラス被覆層中の泡に大きく左右されることを見出した。さらに、ガラス被覆層中の泡が、ガラスペースト焼成時にガラスから発生するものではなく、焼成前のガラスペースト塗布層中に存在するガラス粒子間の空隙が、焼成時にガラス粒子が軟化流動にともない球形になったものであることを見出し、本発明に至った。
【0015】
また、本発明者らは、ガラスペースト焼成時に起る透明電極の電気特性劣化が、透明電極を焼成工程の早い段階でガラスにより完全に被覆することにより防止できる、すなわち軟化点の低いガラスの粉末を含有するガラスペーストを塗布し、焼成して透明電極を被覆することにより防止できることを見出し、本発明に至った。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、積算ふるい下10%径D10とは、粒度分布を表わす体積基準・積算分布曲線の10%に相当する粒子径であり、50%径D50とは、粒度分布を表わす体積基準・積算分布曲線の50%に相当する粒子径であり、積算ふるい下90%径D90とは、粒度分布を表わす体積基準・積算分布曲線の90%に相当する粒子径である。
【0017】
本発明でいう低融点ガラスは、軟化点が480〜620℃のガラスである。本発明でいう低融点ガラス粉末は、このような低融点ガラスの粉末であり、620℃以下の焼成温度で透明電極を緻密に被覆できる。620℃を超えるような焼成温度で透明電極の被覆を行なうと透明電極が低融点ガラスによって著しく侵食され、透明電極の電気特性が劣化する問題が生じる。
【0018】
本発明におけるガラスペーストは、本発明の電極被覆用低融点ガラス粉末(以下単に低融点ガラス粉末という。)、印刷性を付与するための有機ビヒクル、等からなる。
【0019】
本発明の低融点ガラス粉末は、D10が1.0μm以下、D50が0.3〜5.0μm、D90が10.0μm以下、である。D10が1.0μmより大、またはD50が5.0μmより大、またはD90が10.0μmより大、である場合、ガラスペーストを塗布して形成した塗布層中の、低融点ガラス粉末のガラス粒子間の空隙が増加し、その結果焼成によって形成されたガラス被覆層中の泡が増加する。D50は、好ましくは3.4μm以下、より好ましくは2.5μm以下、特に好ましくは1.6μm以下、である。
【0020】
なお、前記ガラス粒子間の空隙が増加する原因は、ガラス粒子径の増大およびガラス粒子の充填率の低下である。また、D50が0.3μmより小である場合、低融点ガラスの粉砕に要する時間が過大となり、コストが増加する。好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、である。また、D90は、好ましくは9.5μm以下である。
【0021】
本発明の低融点ガラス粉末としては、軟化点が480〜620℃であるガラスの粉末を用いる。理由は以下のとおりである。
【0022】
プラズマディスプレイ装置の前面基板のガラス基板上にITOまたは酸化スズ等の薄膜を透明電極として形成する場合、そのようなガラス基板に用いられるガラスとしてはガラス転移点が550〜620℃のものが広く用いられている。この場合、ガラス基板の熱変形を避けるために、透明電極被覆のためのガラスペーストの焼成は焼成温度620℃以下で行なわれる。この場合、ガラスペースト中の低融点ガラス粉末の軟化点は、該低融点ガラスが充分軟化流動するためには、620℃以下でなければならない。また、焼成工程の早い段階で透明電極を低融点ガラスにより完全に被覆し透明電極の電気特性劣化を防止するためにも、ガラスペースト中の低融点ガラス粉末の軟化点は620℃以下でなければならない。前記軟化点は、好ましくは600℃以下、より好ましくは590℃以下である。
【0023】
また、プラズマディスプレイ装置において、ITOまたは酸化スズ等の透明電極のみでは電気抵抗が高すぎる場合、これら透明電極上にAgやAlや3層構造のCr−Cu−Cr等の金属層(以下金属電極という。)を形成する場合がある。このような金属電極が形成されている場合、軟化点が480℃未満のガラスの粉末を含有するガラスペーストを焼成して金属電極を被覆すると、これら金属電極が侵食されたり、金属電極の存在を介してITOや酸化スズ等の透明電極の侵食が促進されたりするおそれがある。前記軟化点は、好ましくは500℃以上、より好ましくは530℃以上、特に好ましくは550℃以上である。
【0024】
前記ガラス基板としては、50〜350℃の平均線膨張係数(以下単に膨張係数という。)が80×10-7〜90×10-7/℃であるガラス基板が広く用いられている。このような場合、ガラス基板との膨張特性をマッチングさせガラス基板のそりや強度の低下を防止するために、膨張係数が60×10-7〜90×10-7/℃の低融点ガラスの粉末を用いることが好ましい。
【0025】
膨張係数が60×10-7/℃未満では、ガラス基板に過大な引張応力が、またガラス被覆層に過大な圧縮応力がそれぞれはたらき、前面基板が破損するおそれがある。より好ましくは65×10-7/℃以上、特に好ましくは70×10-7/℃以上である。90×10-7/℃超では、ガラス基板に過大な圧縮応力が、またガラス被覆層に過大な引張応力がはたらき、やはり前面基板が破損するおそれがある。より好ましくは85×10-7/℃以下、特に好ましくは80×10-7/℃以下である。
【0026】
本発明の低融点ガラス粉末としては、酸化物基準の重量%表示で、PbO:40〜80%、B23:0〜25%、SiO2:10〜60%、MgO:0〜15%、CaO:0〜15%、ZnO:0〜25%、Al23:0〜15%、から実質的になる低融点ガラスの粉末を用いることが好ましい。
【0027】
該低融点ガラスは実質的に、より好ましくは、PbO:50〜75%、B23:0〜13%、SiO2:17〜40%、MgO:0〜10%、CaO:0〜10%、ZnO:0〜10%、Al23:0〜10%、からなり、特に好ましくは、PbO:55〜70%、B23:0〜7.5%、SiO2:20〜35%、MgO:0〜5%、CaO:0〜5%、ZnO:0〜5%、Al23:0〜9%、からなる。
【0028】
以下、上記組成の限定理由を、重量%を単に%と表記して説明する。
PbOは軟化点を下げるための必須成分である。40%に満たない場合は、軟化点が620℃を超え焼成温度620℃以下での透明で緻密な被覆の形成が困難となる。好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上である。80%を超える場合は、ガラス被覆層が黄色に着色するおそれがある。好ましくは、75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0029】
23は必須ではないが、ガラスを安定化する成分であり、25%以下の範囲で含有できる。25%を超えて含有すると、ガラスの流動性が増大し、ITOや酸化スズ等の透明電極を被覆する際の低融点ガラスの侵食性が著しく増大する。好ましくは13%以下、より好ましくは7.5%以下である。
【0030】
SiO2はガラスを安定化するための必須成分であるが、60%を超えるとガラスの軟化点が620℃を超える。好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。10%に満たないとPbO量が多くなりすぎ、低融点ガラスが黄色に着色するおそれがある。好ましくは17%以上、より好ましくは20%以上である。
【0031】
MgOは必須ではないが、ガラスを安定化する成分であり、15%以下の範囲で含有できる。15%を超えて含有すると、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難となるおそれがある。好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0032】
CaOは必須ではないが、ガラスを安定化する成分であり、15%以下の範囲で含有できる。15%を超えて含有すると、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難となるおそれがある。好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0033】
ZnOは必須ではないが、軟化点を下げるために25%以下の範囲で含有できる。25%を超えると、ガラス中に結晶が析出し低融点ガラスの透明性が低下するおそれがある。好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0034】
Al23は必須ではないが、ガラスを安定化する成分であり、15%以下の範囲で含有できる。15%を超えて含有すると、ガラスが失透しやすくなり、製造が困難になるおそれがある。好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下である。
【0035】
本発明における低融点ガラス粉末は実質的に上記成分からなるが、この他にも、膨張係数、軟化点、の調整、化学的耐久性、透明性、ガラス安定性の向上、のために、SrO、BaO、La23、TiO2、SnO2、ZrO2、CeO2、を合量で5%を超えない範囲で適宜含有させうる。また、Li2O、Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物やF等のハロゲン成分も、ガラスの軟化点を低下させる成分として、絶縁性等を阻害しない範囲で、合量で5%まで含有させ得る。
【0036】
本発明のプラズマディスプレイ装置の第1の態様においては、前面基板の透明電極は、本発明の低融点ガラス粉末に関連して先に述べた理由により、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスにより被覆されている。
【0037】
前面基板の、波長550nmの光の透過率が70%未満では、プラズマディスプレイ装置の画質が低下する。好ましくは75%以上、より好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上である。また、前面基板の濁度が20%超でも、プラズマディスプレイ装置の画質が低下する。好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下、特に好ましくは15%以下である。なお、前面基板に使用されるガラス基板自体の前記透過率および濁度の代表的な値は、ガラス基板厚さ2.8mmの場合、それぞれ90%、0.4%である。
【0038】
また、透明電極は、たとえば幅0.5mmの帯状であり、それぞれの帯状電極が平行するように形成される。各帯状電極中心線間の距離は、たとえば0.83〜1.0mmであり、この場合、透明電極がガラス基板表面を占める割合は50〜60%である。
【0039】
本発明のプラズマディスプレイ装置の第2の態様においても、前面基板の透明電極は、同じく先に述べた理由により、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスにより被覆されている。
【0040】
透明電極を被覆するこのガラス層中に存在する直径10μm以上の泡の泡密度が5×103個/mm3超では、ガラス層の光透過率が低下し、プラズマディスプレイ装置の画質が低下する。また、ガラス層中に存在する泡は絶縁破壊の大きな要因であり、ガラス層の耐電圧特性が低下する。好ましくは、3×103個/mm3以下である。ここで泡密度とは、ガラス層1mm3当りの泡の個数である。
【0041】
本発明のプラズマディスプレイ装置の第1の態様または第2の態様において透明電極を被覆するガラス層は、本発明の低融点ガラス粉末を含有するガラスペーストを塗布して焼成することにより形成することが好ましい。
【0042】
本発明においては軟化点が480℃以上である低融点ガラスを用いて透明電極を被覆するため、低融点ガラス被覆層による透明電極侵食のおそれが少なく、したがって透明電極の被覆層を単層構造とすることができる。なお、従来の2層構造の下層を、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスにより形成し、かつ、前面基板の、波長550nmの光の透過率が70%以上、濁度が20%以下、となるようにしてもよい。また、前記下層を、軟化点が480〜620℃である低融点ガラスにより形成し、かつ、該下層に存在する直径10μm以上の泡の泡密度が5×103個/mm3以下としてもよい。
【0043】
本発明のプラズマディスプレイ装置は、たとえば交流方式のものであれば次のようにして製造される。
図1に示すように、ガラス基板1aの表面にパターニングされた透明電極2およびバス線(図示せず)を形成したのち、本発明の低融点ガラス粉末を塗布・焼成してガラス層3を形成し、最後に保護膜として酸化マグネシウムの層(図示せず)を形成し、前面基板10とする。一方、ガラス基板1bの上には、パターニングされたアドレス用電極5を形成したのち、ストライプ状に隔壁6を形成し、さらに蛍光体層4を印刷・焼成して背面基板20とする。
【0044】
前面基板10と背面基板20の周縁にシール材(図示せず)をディスペンサで塗布し、透明電極2とアドレス用電極5が対向するように組み立ててパネル化し、焼成してプラズマディスプレイ装置とする。そしてプラズマディスプレイ装置内部を排気して、放電空間7にNeやHe−Xeなどの放電ガスを封入する。
なお、上記の例は交流方式のものであるが、本発明は直流方式のものにも適用できる。
【0045】
【実施例】
表に示す組成(単位:重量%)となるように、酸化鉛、無水ホウ酸、ケイ砂、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナを混合し、1300℃の白金ルツボ中で1時間溶融し、薄板状ガラスに成形した後、ボールミルで粉砕し、低融点ガラス粉末を得た。その粒度D10、D50、D90(単位:いずれもμm)、軟化点(単位:℃)、膨張係数(単位:10-7/℃)、を表に示す。
【0046】
粒度D10、D50、D90:(株)マイクロトラック製のマイクロトラック(商品名)を用いてJIS R1629に則りレーザ光回折法で測定した。
軟化点:示差熱分析計を用いてを測定した。
膨張係数:低融点ガラス粉末を成形後、530〜580℃で10分間焼成して得た焼成体を直径5mm、長さ2cmの円柱状に加工し、熱膨張計で50〜350℃の平均線膨張係数を測定した。
【0047】
前記低融点ガラス粉末100gを、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートまたはα−テルピネオールにエチルセルロースを7〜12重量%溶解した有機ビヒクル25gと混練し、ガラスペーストを作製した。
【0048】
次に、膜厚が200nmで幅が0.5mmのITO透明電極を、各ITO透明電極の中心線間距離が1.0mmとなるように平行に多数形成した、大きさ10cm×10cm、厚さ2.8mmのソーダライムシリカガラスのガラス基板を用意した。ITO透明電極が形成されている30mm×30mmの部分に該ガラスペーストを均一にスクリーン印刷後、120℃で10分間乾燥した。このガラス基板を昇温速度10℃/分で、表に示す焼成温度(単位:℃)に加熱し、さらにその温度に10分間維持して、焼成した。透明電極を被覆するガラス層の厚さは約10μmであった。
【0049】
焼成後のガラス基板の光透過率(単位:%)、濁度(単位:%)および泡数(単位:個/mm2)を測定した。以下に定義する泡密度(単位:103個/mm3)を含めて、結果を表に示す。
【0050】
光透過率:(株)日立製作所製の自記録分光光度計U−3500(積分球型)を用いて波長550nmの光の透過率を測定した。サンプルのない状態を100%とし、ガラス基板上に低融点ガラス粉末を焼成したサンプルの透過率を測定した。70%以上あれば合格とした。
【0051】
濁度:(株)スガ試験器製のヘーズメータ(ハロゲン球を用いたC光源)を使用。ハロゲン球からの光をレンズを通して平行光線とし、サンプルに入射させ、積分球により全光線透過率Ttと拡散透過率Tdを測定した。濁度は、
濁度(%)=(Td/Tt)×100
により算出した。20%以下であれば合格とした。
【0052】
泡数、泡密度:約10μmの厚さのガラス層を光学顕微鏡(透過光)を用いて倍率500で写真撮影し、得られた写真中の泡をカウントし、ガラス層の表面1mm×1mmあたりの泡数N(個/mm2)を求めた。泡密度は、膜厚を10μmとして、
泡密度(×103個/mm3)=N/10
により算出した。泡密度は5×103個/mm3以下であれば合格とした。
【0053】
【表1】
Figure 0004151143
【0054】
【表2】
Figure 0004151143
【0055】
【表3】
Figure 0004151143
【0056】
【表4】
Figure 0004151143
【0057】
表において、例1a、2a、3a、4a、5a、6a、7a、8〜18は実施例、例1b、2b、3b、4b、5b、6b、7b、19は比較例である。すべての比較例の粒度は、本発明の電極被覆用低融点ガラス組成物の低融点ガラス粉末の粒度の範囲外である。
【0058】
【発明の効果】
以上のように本発明の低融点ガラス粉末により、ITO等の透明電極または金属電極等各種電極の特性を低下させることなく絶縁被覆できる。また、本発明の低融点ガラス粉末により得られる絶縁被覆ガラス層は透明性・透視性に優れ、平面ディスプレイ用途に好適である。また、本発明のプラズマディスプレイ装置においては、透明電極または金属電極を被覆するガラス層による画質の低下はなく、また耐電圧特性の低下もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマディスプレイ装置を示す断面図。
【符号の説明】
1a:ガラス基板
1b:ガラス基板
2:透明電極
3:ガラス層
4:蛍光体層
5:アドレス用電極
6:隔壁
7:放電空間
10:前面基板
20:背面基板

Claims (5)

  1. 積算ふるい下10%径が1.0μm以下、50%径が0.3〜5.0μm、積算ふるい下90%径が10.0μm以下、である粒度を有し、かつ軟化点が480〜620℃である電極被覆用低融点ガラス粉末。
  2. 50%径が1.5μm以下である請求項1に記載の電極被覆用低融点ガラス粉末。
  3. 積算ふるい下90%径が4.0μm以下である請求項1または2に記載の電極被覆用低融点ガラス粉末。
  4. 酸化物基準の重量%表示で、PbO40〜80%、B 0〜25%、SiO 10〜60%、MgO0〜15%、CaO0〜15%、ZnO0〜25%、Al 0〜15%含有する請求項1、2または3に記載の電極被覆用低融点ガラス粉末。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電極被覆用低融点ガラス粉末を焼成して得られる低融点ガラスにより、ガラス基板表面に形成された透明電極が被覆されている前面基板を有するプラズマディスプレイ装置。
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