JP2005320227A - 無鉛低融点ガラス組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低融点無鉛のガラス組成物であって、例えばPDPの誘電体層形成用ガラス素材として有用なガラス組成物を提供する。
【解決手段】 無鉛低融点ガラス組成物であって、重量%表示でSiO25〜20%、B2O325〜40%、ZnO40〜55%、K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種5〜25%、MnO20.01〜5%及びFe2O3, Cr2O3, V2O5, Pr6O11, Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤0.01〜10%を含有し、且つB2O3とZnOとの重量比がB2O3/ZnO=0.45〜1.0の範囲内にあることを特徴とするガラス組成物、並びに更に所定量のP2O5の所定量を含有するか、GeO2、CeO2、Al2O3などの透明性向上剤の所定量を含有する上記ガラス組成物。
【選択図】なし
【解決手段】 無鉛低融点ガラス組成物であって、重量%表示でSiO25〜20%、B2O325〜40%、ZnO40〜55%、K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種5〜25%、MnO20.01〜5%及びFe2O3, Cr2O3, V2O5, Pr6O11, Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤0.01〜10%を含有し、且つB2O3とZnOとの重量比がB2O3/ZnO=0.45〜1.0の範囲内にあることを特徴とするガラス組成物、並びに更に所定量のP2O5の所定量を含有するか、GeO2、CeO2、Al2O3などの透明性向上剤の所定量を含有する上記ガラス組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、無鉛低融点ガラス組成物、より詳しくはフラットパネルディスプレイ、以下「FPD」という)の誘電体層などの形成に適した無鉛低融点ガラス組成物に関する。
テレビジョン、コンピューター等のFPDとしては、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)をはじめとして、液晶ディスプレイ、FED(Field Emission Display)、無機EL(Inorganic Electro Luminescence)などが知られている。このFPDの分野においては、その大型化、薄型化、軽量化の特徴から、特に、PDPが次世代のディスプレイとして注目されてきている。該PDPは、2枚の基板ガラス間に、隔壁にて仕切られた多数のセル(微小放電空間)を形成させ、各セル内表面に蛍光体を配し、該セル中に放電ガスを充填した構造を有しており、上記セル内の電極間放電によって放電ガスを励起し、その際、発する紫外線により基底状態にある蛍光体を発光させて画素を形成するものである。
通常、AC型PDPは、その前面ガラス基板の片面(背面基板と向き合う面)に表示電極である透明電極及びバス電極と、これを被覆する誘電体層を設け、また背面ガラス基板の片面(前面基板と向き合う面)に、上記電極と直交するように複数のアドレス電極を形成し、該電極部分を含む基板上面全面を誘電体層で被覆し、非電極部分に相当する上記誘電体層上に、形成されるセル間でのクロストークを防止するための隔壁を設置し、最終的に該隔壁の側面及び底面に蛍光体を配置して製造されている。
上記PDPを初めとする各種FPDの誘電体層の形成には、専ら低融点のガラスが粉末形態で用いられている。即ち、該低融点ガラス粉末を通常500〜600℃程度の温度で焼成メルトして一体化して、誘電体層等が形成されている。該ガラス粉末としては、所望の低融点特性を満足し、しかもガラス特性を幅広く選択できることから、従来、鉛を含有するPbO-SiO2-B2O3系ガラスが汎用されてきた。
該鉛を含有するガラス材料は、優れた性質を有するものではあったが、昨今の環境問題を考慮すると、有害な鉛成分を多量に含む点より、その利用は好ましくなく、回避すべきものであり、更に、このガラス材料は、電極とガラス中の鉛成分との接触による不具合が発生するおそれがある。
従って、FPD業界においては、上記鉛を含有するガラスに代替できる鉛成分を含まないガラスの開発が望まれており、この要望に合わせて、種々の鉛不含ガラス、例えばZnO-B2O3-SiO2系ガラス、P2O5系ガラス、Bi2O3-SiO2系ガラス、BaO-B2O3-Al2O3系ガラス等が既に提案されてきている。
しかしながら、従来、汎用されてきた鉛を含有するPbO-SiO2-B2O3系ガラスに匹敵する性能を奏し得る鉛不含のガラス組成物は、未だ開発されていない。しかも、上記ビスマス系ガラス(Bi2O3-SiO2系ガラス)は、ビスマス自体の毒性が問題となり、また資源としても量が少なく高価であることから、FPDへのこれらの利用は得策とは考えられない。
本願人らも、以前から、鉛不含のこの種ガラス組成物につき鋭意研究を重ねてきており、既にZnO-B2O3-SiO2系ガラスにR2O(R=K, Na及びLi)を配合したガラス組成物(特許文献1参照)、R2O, NaF及びTiO2を配合したガラス組成物(特許文献2参照)などを研究、開発している。
近年、これらの提案された各種のガラス組成物を利用して形成される誘電体層が、黄色や褐色に黄変する好ましくない現象が報告されている。この黄変は、次のように考えられる。即ち、前面ガラス基板に設けられる表示電極、即ち透明電極及びバス電極、並びに背面ガラス基板に設けられるアドレス電極には、一般にAgが用いられており、これらの電極を絶縁被覆するための誘電体層の形成時に、誘電体層形成用ガラスを溶融焼成すると、電極中のAgが酸化されてイオン化し、ガラス中に溶け出して拡散する(マイグレーション、migration)。この拡散したAgイオンは、特に誘電体層形成用ガラスの構成成分であるNaイオンなどのアルカリ金属イオンによって還元され易く、この還元によって誘電体層内にAgが析出し、これが凝集してコロイド化する。この凝集コロイドの発生が黄変を招く(例えば非特許文献1参照)。
しかるに、上記Agイオンのマイグレーション及び黄変によれば、(1)得られるPDPなどのFPDにおいて、特に青色の輝度の低下がおこり色度が悪化する、(2)Agコロイドは導電性であるため、誘電体の絶縁耐性が低下する、(3)コロイド粒子の析出によって、前面板誘電体層の場合では透過性が低下し、背面板誘電体層の場合では反射率が低下し、PDPなどのFPDの輝度が低下する等の弊害が生じる。
上記Agのマイグレーションおよびこれによる黄変は、誘電体層形成用ガラス組成物或いはその施工のためのガラスペースト中に、MnO2などを配合することによって、解消できることが知られている(特許文献3-5参照)。
しかしながら、本発明者らは研究の結果、上記MnO2のペースト中への配合は、むしろ、該MnO2自体の色調によって得られる誘電体層を著しく黒色に着色させ、得られる誘電体層は、その透明性が極端に低下すること、また、ガラス組成物中へのMnO2の配合も、Agのマイグレーションによる黄変は抑制できるものの、該MnO2自体の配合による着色が無視できないことを確認した。特に、前面ガラス基板上に形成される誘電体層は、できるだけ透明性の高いことが要求されることを考慮すると、上記のようなMnO2を配合したペーストの利用による誘電体層の形成は、致命的である。
更に、本発明者らは、引き続き研究を重ねる課程において、誘電体層形成用ガラスを電極被覆のためにガラス基板に焼成する際に、該誘電体層形成用ガラスの膨張係数をガラス基板のそれとできるだけ一致させても、得られる誘電体層はガラス基板に対して高い引張応力を示してガラス基板に歪みを生じさせ、誘電体層形成面が凸状に湾曲したり、逆に、高い圧縮応力を示して該誘電体層形成面が凹状に湾曲したりする場合があるという事実を見出した。
このようなガラス基板に対して高い応力を与える誘電体層の形成は、ガラス基板の平行性(フラット性)を維持できない点からFPDの性能を低下させることは勿論のこと、更に、以下のような重大な欠点を伴う。即ち、ガラス基板に引張応力を生じさせる誘電体層の形成は、ガラス基板自体が引張応力に対して弱いために、ガラス基板を容易に破壊させる。逆に、ガラス基板に高い圧縮応力が働くような誘電体層の形成では、誘電体層にクラックが発生し、該部分を起点として、同様にガラス基板の破壊が容易に起こる。
特開2000-226232号公報
特開2000-226231号公報
特開平11-111181号公報
特開2000-169764号公報
特許第3389243号明細書
J. E. SHELBY, et al., Journal of Non Crystalline Solids, Vol.150 (1982), pp.107-117
本発明の目的は、上述したように、FPDの誘電体層形成用の鉛不含のガラス組成物であって、電極に利用されるAgのマイグレーションを防止でき、しかも着色も抑制された透明性に優れた誘電体層を与えるガラス組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガラス基板に対してその破壊のおそれのある危険な応力を与えない誘電体層を形成可能なガラス組成物を提供することにある。
更に本発明の他の目的は、鉛、ビスマス等の安全性に問題がある成分を利用することなく、低い焼成温度で焼成でき、高い透明性、安定した耐電圧等の優れた特性を発揮するFPDの誘電体層を形成可能なガラス組成物を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために、更に鋭意研究を重ねた結果、(1)特定のガラス組成を有する誘電体層形成用ガラス組成物中に、Agイオンのマイグレーションを防止するために、そのガラス成分としてMnO2を配合する際に認められる該MnO2の配合に起因する誘電体層の着色が、誘電体形成用ガラス組成物中に更に特定の金属酸化物をガラス色調調整剤として配合することによって防止できること、(2)上記MnO2及びガラス色調調整剤を併用してなる誘電体層形成用ガラス組成物において、K2O及びNa2Oを特定比率で併用するときには、ガラス基板に対する応力が低く、従ってガラス基板のフラット性を維持してその破壊のおそれのない誘電体層が容易に形成できること、(3)更に上記誘電体形成用ガラス組成物にP2O5を配合する時には、得られる組成物のガラス色調調整効果をより一層安定化させ得、またこの組成物を利用して形成される誘電体層の透明性を更に向上できること、及び(4)更に上記誘電体形成用ガラス組成物にGeO2、CeO2及び/又はAl2O3の所定量を配合する時には、この組成物を利用して形成される誘電体層の透明性をより一層向上できることを見出した。本発明は上記各知見を基礎として、更に検討を重ねた結果完成されたものである。本発明は下記項1〜8に記載のガラス組成物、誘電体層及びPDPを提供する。
項1. 無鉛低融点ガラス組成物であって、重量%表示で
SiO2 5 〜20%
B2O3 25 〜40%
ZnO 40 〜55%
K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種 5 〜25%及び
MnO2 0.01〜5%
Fe2O3, Cr2O3, V2O5, Pr6O11, Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤 0.01〜10%
を含有し、且つB2O3とZnOとの重量比がB2O3/ZnO=0.45〜1.0の範囲内にあることを特徴とするガラス組成物。
SiO2 5 〜20%
B2O3 25 〜40%
ZnO 40 〜55%
K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種 5 〜25%及び
MnO2 0.01〜5%
Fe2O3, Cr2O3, V2O5, Pr6O11, Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤 0.01〜10%
を含有し、且つB2O3とZnOとの重量比がB2O3/ZnO=0.45〜1.0の範囲内にあることを特徴とするガラス組成物。
項2. K2O及びNa2Oをそれぞれ2.5〜12.5重量%含有し且つそれらの重量比がK2O/Na2O=0.2〜5.0の範囲内にある、項1に記載のガラス組成物。
項3. 更に、P2O5を15重量%以下含有する、項1または2に記載のガラス組成物。
項4. 更に、GeO2、CeO2及びAl2O3からなる群から選ばれる少なくとも1種の透明性向上剤をGeO215重量%以下、CeO25重量%以下及びAl2O35重量%以下含有する、項1または2に記載のガラス組成物。
項5. 更に、P2O5を15重量%以下と共に、GeO2、CeO2、Al2O3及びLi2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種の透明性向上剤を、GeO215重量%以下、CeO25重量%以下、Al2O35重量%以下及びLi2O10重量%以下含有する、項1または2に記載のガラス組成物。
項6. PDPの電極を被覆する誘電体層を形成するガラスとして用いられる項1または2に記載のガラス組成物。
項7. 項1または2に記載のガラス組成物によって形成されたPDPの誘電体層。
項8. 項7に記載の誘電体層を有するPDP。
本発明によれば、PDPなどのFPDの誘電体層の形成に適した鉛不含のガラス組成物であって、電極に利用されるAgのマイグレーションを防止でき、しかも着色を抑制された透明性(前面板誘電体の場合)もしくは反射率(背面板誘電体の場合)に優れた誘電体層を与えるガラス組成物、特に、ガラス基板に対してその破壊のおそれのある危険な応力を与えない誘電体層を形成可能な上記ガラス組成物が提供される。このものはその利用によって優れた性能を有する誘電体層を形成することができ、得られる誘電体層を有するPDPなどは、その大型化、薄型化、軽量化の特徴から平面ディスプレイとして有用である。本発明はこのようなFDP、特にPDP、及びその誘電体層をも提供するものである。
本発明無鉛低融点ガラス組成物は、上記項1に記載の構成を採用したことに基づいて、PDPを初めとして各種FDPの誘電体層形成用ガラスとしての要求性能を満足し、しかも、Agイオンのマイグレーション及び黄変を防止すると共に着色も防止して、透明性に優れた誘電体層を容易に形成できる特徴を有している。
即ち、本発明組成物は、(1)鉛などの有害物質を含まないことは勿論のこと、(2)600℃以下、通常500〜600℃の低温で基板ガラスに焼成することができ、(3)前面板誘電体に使用した場合では高い透明性を、また背面板誘電体に使用した場合では高い反射率を有する誘電体層を形成できる。また、(4)上記焼成によって、適正な熱膨張係数、ガラス基板に対する適正な応力、誘電率、耐電圧、耐水性を有する誘電体層としてのガラス皮膜を形成できる。特に、本発明組成物は、これを前面ガラス基板上に施工することによって、無色透明で、結晶化などによる失透のおそれはなく、耐電圧が高いレベルで安定した誘電体層を形成できる特徴を有している。また、本発明組成物は、これを背面ガラス基板上に施工することによって、白色不透明で、耐電圧が高いレベルで安定した誘電体層を形成できる特徴を有している。
前記項2に記載の構成を採用した本発明組成物は、前記優れた特徴を有するに加えて、更に、ガラス基板に与える応力が非常に低い誘電体層を容易に形成できるという特徴を備えている。
前記項3に記載の構成を採用した本発明組成物は、前記優れた特徴を保持し、殊に、P2O5の配合に基づいて色調調整効果をより安定して発揮でき、また得られるガラスの透明性を更に向上できる。
前記項4に記載の構成を採用した本発明組成物は、前記優れた特徴を保持し、殊に、得られるガラスの透明性をより一層向上させ得る。
本発明ガラス組成物は、従来のPbO-SiO2-B2O3系ガラスと同様に、粉末化及びペースト化して、例えばPDPの前面基板の透明電極(及びバス電極)上に施工(塗布、焼成)して、誘電体ガラス層とすることができる。また、本発明ガラス組成物は、粉末化後、必要に応じて白色顔料、無機質フィラーを混合してペースト化して、例えばPDPの背面基板のアドレス電極上に塗布、焼成して、誘電体ガラス層乃至は反射層を形成させることができる。尚、この背面基板上への誘電体層の形成の場合、場合によっては、得られるガラス層の一部を誘電体層と一体化した隔壁として利用する場合がある。このような誘電体層と一体化した隔壁を形成させる場合、本発明ガラス組成物は、該隔壁として利用されてもよい。
本発明ガラス組成物の構成ガラス成分
以下、本発明ガラス組成物につき詳述すれば、これは前記特定の成分を所定の配合量(重量%、以下同じ)範囲及び比率(重量比、以下同じ)で配合されることが重要である。
本発明ガラス組成物の構成ガラス成分
以下、本発明ガラス組成物につき詳述すれば、これは前記特定の成分を所定の配合量(重量%、以下同じ)範囲及び比率(重量比、以下同じ)で配合されることが重要である。
本発明ガラス組成物において、SiO2成分は、ガラスの骨格となる成分であり、ガラスの軟化温度及び粘性を上昇させ、ガラスの耐水性を向上させる。この成分は5〜20%の範囲から選択される。これが5%を下回るとガラス化が困難となるか、ガラス化できても得られるガラスは耐水性に乏しく、透過率、耐電圧が低くなる。20%を上回ると、軟化温度が上昇し、目的とする焼成温度での焼成が困難である。
B2O3成分もガラスの骨格となる成分であり、ガラスの軟化温度及び粘性を低下させる。この成分は25〜40%の範囲から選択される。これが25%を下回ると軟化温度が上昇しすぎる。40%を越えると、得られるガラスは耐水性に乏しくなる。
ZnO成分は、ガラスの修飾成分であり、40〜55%の範囲から選択される。これが40%を下回ると、得られるガラスは軟化温度が上昇し、しかも、耐電圧が低下する欠点がある。55%を越えると、得られるガラスは耐水性に乏しくなる。
上記B2O3成分とZnO成分との比率は、B2O3/ZnO=0.5〜1.0の範囲内とすることによって、本発明の所望の特性を得ることができる。この比率が、上記範囲を外れると焼成温度に影響を与えるほか、得られる誘電体層の透明性、耐電圧、耐水性などを低下させる不利がある。
K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種の成分は、総量として5〜25%の範囲から選択される。これが5%を下回ると軟化温度を上昇させる。25%を上回ると、ガラスの線膨張係数が85×10-7/℃を越え、更に耐電圧が極端に低下する。
この成分は、その一種を単独で利用することもできるが、特に両者を併用するのが好ましい。両者の併用割合は、それぞれ2.5〜12.5%の範囲であって且つK2O/Na2Oが0.2〜5.0、より好ましくは0.3〜3.0の重量比となる範囲から選ばれる。この併用によれば、得られるガラス組成物をガラス基板に適用して形成させた誘電体層は、該ガラス基板に与える応力を非常に低いものとするという利点がある。
MnO2は、酸化剤として作用する。これを配合して得られるガラスをAg電極上に焼成して誘電体ガラス層を形成させる際に、Agが該電極から誘電体ガラス層にイオン化して拡散し、該ガラス層内で還元されてAg金属として析出し、その後凝集してコロイド化してガラスを黄変させる現象(Agのマイグレーション)を防止する作用を奏し得る。該成分は、0.01〜5%の範囲で用いられる。これが0.01%未満では上記効果を期待できなくなる。5%を上回ると、着色が強くなることから、PDPなどの発光色調を変化させ、この色調変化は、後述する色調調整剤の配合によっても調整できなくなる欠点がある。
尚、本発明者らの研究によれば、MnO2成分は、これをガラス中に配合することによって、上述した所望の効果を奏し得るが、ガラス組成物とは別個に誘電体層の形成のためのガラスペーストにこれを配合するときには、該ペーストの焼成によって得られる誘電体層の外観を黒色の半透明状とし、著しく透明性を低下させることが確認されている。
Fe2O3、Cr2O3、V2O5、Pr6O11、Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤は、0.01〜10%の範囲から選択して配合することによって、前記MnO2成分を配合したガラスを焼成して得られる誘電体層の着色を防止乃至低減させて、その透明性を維持、改善する効果を奏する。これらの各成分は、その1種を単独で用いることで該効果を十分に発揮でき、勿論、2種以上を併用することによっても同様の効果を奏し得る。但し、その場合の配合量は、合計量が上記0.01〜10%の範囲内となるものとする。
上記各成分の内で、CuOは、CuO2とは異なって、得られるガラスを、誘電体ガラスが理想とする寒色系(青〜緑青色)に着色させる働きがある。従って、得られるガラスの色調を寒色系に調整する場合には、配合されるのが好ましい。
これらの各成分の内では、特に、Fe2O3、Cr2O3、V2O5及びCuOが好ましい。これらの好ましい成分中、Fe2O3、Cr2O3及びCuOは、より好ましくは0.1〜1.0%の範囲で配合され、この範囲内での利用によって目的とする透明性改善効果を奏し得る。また、V2O5は、上記Fe2O3等と比較すると若干その効果が弱いが、上記範囲内で比較的多量配合することによって同様の効果を奏し得る。V2O5は、好ましくは1.0〜5.0%の範囲から選ばれる。
本発明ガラス組成物は、上記各成分を所定割合で組み合わせて利用することに基づいて、前記した特性、即ち、Agイオンのマイグレーション防止に利用されるMnO2の配合に起因する誘電体層の着色を防止する効果(色調調整効果)、軟化点600℃以下、線熱膨張係数75〜85×10-7/℃、高い透明性(前面板誘電体の場合)、高い反射率(背面板誘電体の場合)、適正な熱膨張係数、ガラス基板に対する適正な応力、誘電率、耐電圧、良好な耐水性等を発揮することができる。
本発明は上記各成分に加えて、更にP2O5を配合したガラス組成物を提供する。このガラス組成物は、P2O5の配合に基づいて、上記色調調整効果をより安定して発揮でき、また得られるガラスの透明性を更に向上できる。このP2O5成分は、15重量%以下、好ましくは4〜12重量%の範囲で配合できる。15重量%を超えると、色調調整効果が強くなりすぎて、色差b*値を上昇させ、誘電体層を黄変させる不利がある。また、P2O5成分の添加は、ガラスからのアルカリ金属成分の溶出を抑制する効果もある。
本発明は、更に、GeO2、CeO2、Al2O3及びLi2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種の透明性向上剤を、GeO2では15重量%以下、好ましくは3〜12重量%の範囲、CeO2では5重量%以下、好ましくは0.1〜3重量%の範囲、Al2O3では5重量%以下、好ましくは1〜3重量%の範囲、及びLi2Oでは10重量%以下、好ましくは0.5〜8重量%の範囲(但し、Li2Oの配合はP2O5を配合する場合、即ちP2O5との併用の場合に限る)含有するガラス組成物をも提供する。
これらの透明性向上剤は、一種単独で用いることもでき、また二種以上を併用することもできる。いずれもその配合によって得られるガラスの透明性を一層向上させ得る。これらの内では、特にAl2O3が好ましい。該Al2O3はガラス中で4配位をとり、SiO2の網目構造の位置に入ってガラスの失透及び分相を抑制する働きを奏する。
本発明ガラス組成物は、上記各ガラス成分の所定量を必須成分として含有することを前提として、更に必要に応じて、他の適当なガラス成分を含有することもできる。この必要に応じて添加配合できるガラス成分及びその配合量は、得られるガラスの特性に悪影響を与えないもの及び範囲から適宜選択できる。該ガラス成分の具体例としては、例えばRO(CaO、BaO、MgO、SrOなど)、TiO2、SnO、WO3、La2O3、ZrO2、Ta2O5、Sb2O3等を例示できる。これらは1種又は2種以上用いることができ、その添加配合量は、いずれも3重量%以内であるのが望ましい。これらの配合は融着温度、耐水性などの微調整に役立つ場合がある。
本発明ガラス組成物を利用した誘電体層の形成
以下、本発明ガラス組成物を利用してPDPなどのFDPの誘電体層を形成させる方法につき詳述する。該誘電体層の形成に当たって、本発明ガラス組成物は粉末化される。該粉末化は常法に従うことができる。例えば本発明に従うガラス粉末は、前記成分組成となるように各原料化合物を混合し、得られる混合バッチを約1000〜1250℃で溶融し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレーク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミル等の適当な粉砕器を用いて、湿式乃至乾式粉砕することにより調製できる。
本発明ガラス組成物を利用した誘電体層の形成
以下、本発明ガラス組成物を利用してPDPなどのFDPの誘電体層を形成させる方法につき詳述する。該誘電体層の形成に当たって、本発明ガラス組成物は粉末化される。該粉末化は常法に従うことができる。例えば本発明に従うガラス粉末は、前記成分組成となるように各原料化合物を混合し、得られる混合バッチを約1000〜1250℃で溶融し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレーク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミル等の適当な粉砕器を用いて、湿式乃至乾式粉砕することにより調製できる。
かくして得られる本発明ガラス組成物の粉末は、特に限定されるわけではないが、通常約0.1〜30μmの範囲の粒度を有しているのが望ましい。かかる粒度は公知の慣用される方法に従い容易に調整できる。また上記方法に従い得られる粉末粒子は、更に必要に応じて分級して、上記範囲内の適当な粒度、より好ましくは約0.5〜10μmの範囲の粒度に調整することができる。
本発明ガラス組成物を用いて誘電体層を形成させる方法は、基本的には従来から知られている各種方法に従うことができる。以下、その方法をPDP用の前面ガラス基板上への誘電体層の形成と背面ガラス基板上への誘電体層の形成とに分けて、それぞれ詳述する。尚、以下の説明に用いるPDPの代表例の概略図を図1に示す。以下の記載においては、該図1の符号を引用する。
(1) 透明電極(2)を設けたPDP前面ガラス基板(1)上への誘電体ガラス層(4)の形成
AC型の前面基板(1)には、通常のソーダライムガラス或いは高歪点ガラスが用いられ、該ガラスの背面基板(10)と向き合う片面に透明電極(2)(ITO膜)と、該透明電極上に導電性の高いバス電極(3)(厚膜材料によるAg電極)がパターニング配置される。このAg電極(3)上を、全面に亘って本発明ガラス組成物で被覆して誘電体ガラス層(4)を形成させる。更にこの誘電体ガラス層は一般には、MgOからなる保護層(5)でその表面を被覆される。
(1) 透明電極(2)を設けたPDP前面ガラス基板(1)上への誘電体ガラス層(4)の形成
AC型の前面基板(1)には、通常のソーダライムガラス或いは高歪点ガラスが用いられ、該ガラスの背面基板(10)と向き合う片面に透明電極(2)(ITO膜)と、該透明電極上に導電性の高いバス電極(3)(厚膜材料によるAg電極)がパターニング配置される。このAg電極(3)上を、全面に亘って本発明ガラス組成物で被覆して誘電体ガラス層(4)を形成させる。更にこの誘電体ガラス層は一般には、MgOからなる保護層(5)でその表面を被覆される。
本発明ガラス組成物は、一般に上述した無鉛低融点ガラス組成物を有機ヴィヒクルと混合して適当なペースト状形態に調整してこの誘電体形成用ガラスとして利用される。ここで、用いられる有機ヴィヒクルとしては、一般にこの種ガラスペーストに利用されている各種のもののいずれでもよく、これらは通常樹脂の溶剤溶液からなっている。該樹脂としては、セルロース系樹脂及びアクリル系樹脂が好ましいものとして例示できる。該セルロース系樹脂には、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース等が、アクリル系樹脂には、ポリブチルアクリレート、ポリイソブチルメタクリレート等が含まれる。上記樹脂は、一般には調製されるガラスペースト組成物中にその1種を単独で又は2種以上を併用して、合計量が0.5〜20%程度の範囲で配合されるのが好ましい。また該ガラスペーストには、更に必要に応じて、通常添加配合できることの知られている添加剤、例えば沈殿防止剤、分散剤、基板ガラスとの接着性向上剤等を適宜配合することができる。
上記樹脂の溶剤溶液を構成する溶剤も通常知られている各種のものでよく、特に限定されない。一般には、樹脂の溶解性に優れ、粘稠性のオイルを形成し得るものが好ましい。これには中沸点及び高沸点のエステル系溶剤、エーテル系溶剤、石油系溶剤等が含まれる。具体例としては、例えばブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、ナフサ、ミネラルターペン等の石油系溶剤等が例示できる。之等は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
以下、上記ガラスペーストの調製とこれを用いた誘電体ガラス層の形成方法につき詳述すれば、まず上記樹脂を比較的高沸点の溶剤に溶解したオイル中に、所定量の本発明ガラス組成物を、三本ロール、ボールミル、サンドミル等の分散機で分散させて、スラリー状乃至ペースト状物(ガラスペースト)を調製し、次いでこのガラスペーストを、例えばドクターブレード法、ロールコート法、スクリーン印刷法、テーブルコーター、リバースコーター、スプレー法等の各種方法に従い、透明電極及びバス電極を設けた前面基板上に塗布施工する。また、予め、本発明ガラス組成物にてドライなグリーンシートを形成させた後、このシートを、透明電極を設けた前面ガラス基板上にラミネートすることもできる。
上記の如くして前面ガラス基板上に形成されたガラス組成物を、次いで成形炉中で約500〜600℃の温度で焼成することにより、所望の誘電体ガラス層を得ることができる。
かくして得られる誘電体ガラス層は、通常膜厚15〜35μmとされ、この膜厚で充分な電気絶縁性及び放電特性を有する。その耐電圧は、通常1kV以上、誘電率は周波数1MHzにおいて8F/m以下であり、鉛含有の誘電体ガラス層のそれは、10F/m以上と高いため、それに比べて消費電力を下げること、もしくは、膜厚をうすくすることが可能である。特に、該ガラス層は、鉛不含のために電極とガラスとの反応がなく、このことからも優れた誘電特性を有している。
また、該ガラス層は透明で表面平滑である。該層の表面平滑性は、欠陥のないMgO保護層の形成を容易なものとし、ひいては安定した放電特性を保証する。この平滑な表面を得るために、特に好ましくは、本発明ガラス組成物の粉末を予め分級して巨大粒子を除去し、更に該粉末のペーストをスクリーン等でこして用いるのがよい。
(2) PDP背面ガラス基板(10)のアドレス電極(8)上への誘電体ガラス層(7)の形成
背面ガラス基板(10)上には、一般には、例えばシリコン酸化膜のパッシベーション膜上に前面ガラス基板(1)の透明電極(2)と直交する形となるようにストライプ状のアドレス電極(8)が、厚膜Agペーストにより形成され、該電極を被覆するように背面ガラス基板全面に誘電体ガラス層(7)が形成される。更に、上記電極に隣接する形で多数の隔壁(6)が形成され、各隔壁毎に赤、青、緑の蛍光体(9)がアドレス電極(8)上及び隔壁(6)側面に形成される。
(2) PDP背面ガラス基板(10)のアドレス電極(8)上への誘電体ガラス層(7)の形成
背面ガラス基板(10)上には、一般には、例えばシリコン酸化膜のパッシベーション膜上に前面ガラス基板(1)の透明電極(2)と直交する形となるようにストライプ状のアドレス電極(8)が、厚膜Agペーストにより形成され、該電極を被覆するように背面ガラス基板全面に誘電体ガラス層(7)が形成される。更に、上記電極に隣接する形で多数の隔壁(6)が形成され、各隔壁毎に赤、青、緑の蛍光体(9)がアドレス電極(8)上及び隔壁(6)側面に形成される。
本発明ガラス組成物は、これを適当なペースト状物として、上記アドレス電極を被覆する誘電体ガラス層の形成のために利用される。ここで調製されるペースト状及び誘電体ガラス層の形成は、前記したPDP前面ガラス基板の透明電極上に形成される誘電体ガラス層の場合と同様のものとすることができる。また、形成される誘電体ガラス層の膜厚も同様に約25〜35μmの範囲とすることができる。
この誘電体ガラス層は、電極間のリークを防止するための絶縁層としての役目と放電発光時の輝度向上のための反射板としての役目を有するものであるため、該ガラス層には、輝度向上のために適当な無機顔料や無機フィラー等が配合されるのが好ましい。之等無機顔料等の配合は、本発明ガラス組成物中にその適当量を添加することにより行い得る。
上記無機顔料としては、白色系無機顔料を例示できる。その利用によれば、放電発光時にPDPの背面を白色とすることによって光の反射を良好なものとし、PDPの輝度の向上をはかり得る。かかる白色系無機顔料としては、通常この種ガラス組成物に配合されることの知られている各種のもの、例えばTiO2(酸化チタン)系顔料や、ZnO(酸化亜鉛)系顔料等を例示できる。
上記無機顔料の配合量は、得られるガラスの焼成皮膜の着色に必要な最小限に止めるのが好ましい。それは、無機顔料自体が本来焼成時にメルトしないものであり、その添加は焼成皮膜をポーラスなものとする傾向があるためである。該無機顔料の配合量は、通常、本発明ガラス組成物重量の30重量%まで、より好ましくは20重量%までとなる量から選ばれるのがよい。
また、本発明組成物中に添加配合することのできる無機フィラーとしては、一般に、この種誘電体ガラス層に添加配合できることの知られている各種のもの、例えばAl2O3、SiO2、ZrO2、ZrSiO2、MgO等の焼成温度を調整するものや、β−ユークリプトタイト、β−スポジューメン、溶融シリカ、コージェライト等の得られるガラス層の熱膨張係数を微調整するためのものを挙げることができる。之等はその一種を単独で用いることもでき、また二種以上を混合して用いることもできる。それらの粒径は、一般には約0.1〜10μmの範囲から選ばれるのが好ましい。之等の無機フィラーの本発明ガラス組成物中への配合量は、これが増加するにつれて得られるガラス組成物の焼成皮膜がポーラスとなる傾向にあるため、必要最小量とするのが好ましく、通常はガラス組成物重量の30重量%まで、好ましくは20重量%までとされるのがよい。
更に、上記無機フィラーの他の例としては、各アドレス電極上の誘電体ガラス層に蓄積される電荷を適度にリークして誤放電を防止するための、Ni、Cr等の金属微粒子を挙げることができる。之等の配合量は、各アドレス電極間の絶縁性を損なうおそれのない範囲から適宜選択することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例及び比較例を挙げる。尚、例中、部及び%はいずれも重量基準によるものである。
各例で得られたガラス組成物粉末について、以下の特性を試験し、その性能を評価した。
(1)軟化温度及び結晶化点
軟化温度は、プラズマディスプレイの前面板と背面板を封着する際、400〜500℃で熱処理するため、500℃以上が必要であり、また、600℃以上ではガラス基板の変形が起こるため、600℃以下である必要がある。すなわち、軟化温度は500〜600℃の範囲である必要がある。また結晶化点は、焼成温度が軟化温度以上でなければ透明で緻密な誘電体層が得られず、また、結晶化点付近もしくはそれ以下の温度でも結晶が発生し、透明性を著しく低下させるため、軟化温度と結晶化点の間に幅が必要であり、その差は100℃以上であるのが望ましい。この軟化温度及び結晶化点は以下の方法により試験した。
軟化温度は、プラズマディスプレイの前面板と背面板を封着する際、400〜500℃で熱処理するため、500℃以上が必要であり、また、600℃以上ではガラス基板の変形が起こるため、600℃以下である必要がある。すなわち、軟化温度は500〜600℃の範囲である必要がある。また結晶化点は、焼成温度が軟化温度以上でなければ透明で緻密な誘電体層が得られず、また、結晶化点付近もしくはそれ以下の温度でも結晶が発生し、透明性を著しく低下させるため、軟化温度と結晶化点の間に幅が必要であり、その差は100℃以上であるのが望ましい。この軟化温度及び結晶化点は以下の方法により試験した。
ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は更にこの試料に無機顔料や無機フィラーを添加した後、白金セル中に投入し、理学電気株式会社製熱機械分析装置TAS-100を用いた示差熱分析により、常温〜800℃の温度範囲で、該試料の軟化温度及び結晶化点を求める。
(2)膨張係数
ガラス基板の膨張係数は約85×10-7/℃であり、誘電体層は、該ガラス基板に対して弱い引張応力を得る(誘電体層にクラックが発生しないようにするため)ために、その膨張係数が75〜85×10-7/℃である必要がある。ただし、無鉛誘電体ガラスは、必ずしも膨張係数とガラス基板に対する応力とが比例関係にはない。この膨張係数は、以下の方法により試験した。
ガラス基板の膨張係数は約85×10-7/℃であり、誘電体層は、該ガラス基板に対して弱い引張応力を得る(誘電体層にクラックが発生しないようにするため)ために、その膨張係数が75〜85×10-7/℃である必要がある。ただし、無鉛誘電体ガラスは、必ずしも膨張係数とガラス基板に対する応力とが比例関係にはない。この膨張係数は、以下の方法により試験した。
ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は更にこの試料に無機顔料や無機フィラーを添加した後、棒状に加工成形し、軟化温度付近の温度にて焼成し、所定長さに切断した後、理学電気株式会社製熱機械分析装置TAS-100を用いて、50〜350℃の温度範囲での伸び率を測定算出する。
(3)透明性
前面板誘電体は、蛍光体によって発光した光を透過する必要があるため、透明性が良好である必要がある。この透明性は、以下の方法により試験した。
前面板誘電体は、蛍光体によって発光した光を透過する必要があるため、透明性が良好である必要がある。この透明性は、以下の方法により試験した。
2mm厚のソーダライムガラス基板上に、ガラス粉末試料をターピネオールなどの溶剤にエチルセルロース樹脂などを5〜20%溶解させたヴィヒクルに分散させてペースト化したものを、焼成後に得られる焼成ガラス層の厚さが15〜35μmとなるように塗布し、軟化温度以上の温度で焼成する。2mm厚のソーダライムガラス基板をブランクとして、焼成ガラス層を形成させたガラス基板について、その透過率を、有限会社東京電色技術センター製の色と色差測定装置TC-8600を用いて、C光源、2度視の条件で測定し、HAZE(曇値)を、スガ試験機株式会社製直読ヘーズコンピューターHGM-2を用いて測定する。
上記試験の結果求められた透過率及びHAZE値から、下記基準により透明性を評価した。
◎:透明性が非常に良好であり、HAZE=20%未満,透過率=90%以上である。
○:透明性が良好であり、HAZE=20%以上〜30%未満,透過率=85%以上〜90%未満である。
△:やや失透傾向があり、HAZE=30%以上〜50%未満,透過率=75%以上〜85%未満である。
×:使用不可のレベルであり、HAZE=50%以上,透過率=75%未満である。
◎:透明性が非常に良好であり、HAZE=20%未満,透過率=90%以上である。
○:透明性が良好であり、HAZE=20%以上〜30%未満,透過率=85%以上〜90%未満である。
△:やや失透傾向があり、HAZE=30%以上〜50%未満,透過率=75%以上〜85%未満である。
×:使用不可のレベルであり、HAZE=50%以上,透過率=75%未満である。
(4)耐電圧
前面板および背面板にかかわらず、誘電体層には電圧がかかるため、該誘電体層には高いレベルで安定した耐電圧が必要である。この耐電圧は、以下の方法により試験した。
前面板および背面板にかかわらず、誘電体層には電圧がかかるため、該誘電体層には高いレベルで安定した耐電圧が必要である。この耐電圧は、以下の方法により試験した。
焼成タイプの銀ペーストを2mm厚のソーダライムガラス基板に印刷後、焼成して電極を形成させ、得られたガラス基板の銀電極形成面上に、ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は更にこの試料に無機顔料や無機フィラーを添加した後、ターピネオールなどの溶剤にエチルセルロース樹脂などを5〜20%溶解させたヴィヒクルに分散させてペースト化したものを、焼成後に得られる焼成ガラス層の厚さが15〜35μm前後になるよう塗布し、軟化温度以上の温度で焼成する。その上に、更に熱硬化タイプの銀ペーストを印刷後、加熱硬化させて電極を形成し、菊水電子工業株式会社製耐圧試験機875AZを用いて、両電極間に電圧をかけて、漏れ電流検出基準値1mAでリークする電圧を測定する。
測定結果に基づいて、下記基準により試料を評価した。
○:耐電圧が高いレベルで安定しており、耐電圧平均値=2000V以上である。
△:耐電圧は高いが安定しておらず、耐電圧平均値=1000V以上〜2000V未満である。
×:耐電圧が全く得られないことを表す。耐電圧平均値=1000V未満である。
○:耐電圧が高いレベルで安定しており、耐電圧平均値=2000V以上である。
△:耐電圧は高いが安定しておらず、耐電圧平均値=1000V以上〜2000V未満である。
×:耐電圧が全く得られないことを表す。耐電圧平均値=1000V未満である。
(5)色差
色差a*値は±10の範囲(+は赤色,−は緑色)、色差b*値は±20の範囲(+は黄色,−は青色)が望ましい。この色差は次の方法により測定した。
色差a*値は±10の範囲(+は赤色,−は緑色)、色差b*値は±20の範囲(+は黄色,−は青色)が望ましい。この色差は次の方法により測定した。
焼成タイプの銀ペーストを2mm厚のソーダライムガラス基板に印刷後、焼成して銀電極を形成させ、このガラス基板の銀電極形成面上に、ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は無機顔料や無機フィラーを添加し、ターピネオールなどの溶剤にエチルセルロース樹脂などを5〜20%溶解させたヴィヒクルに分散させてペースト化したものを、焼成後に得られる焼成ガラス層の厚さが15〜35μm前後になるよう塗布し、軟化温度以上の温度で焼成する。かくして得られるガラス基板上の焼成ガラス層面について、標準白板との色差を、コニカミノルタ センシング株式会社製分光測色計CM-3500dを用いて、C光源、反射色、2°視の条件で、色差のa*値及びb*値を測定する。
(6)誘電率
誘電率は前述した通り10F/m以下が望ましい。この誘電率は以下の方法により測定した。
誘電率は前述した通り10F/m以下が望ましい。この誘電率は以下の方法により測定した。
酸化被膜を形成させたステンレススチール基板上に、ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は更にこの試料に無機顔料や無機フィラーを添加した後、ターピネオールなどの溶剤にエチルセルロース樹脂などを5〜20%溶解させたヴィヒクルに分散させてペースト化したものを、焼成後に得られる焼成ガラス層が30〜50μmの厚さになるよう塗布し、軟化温度以上の温度で焼成する。得られた焼成ガラス層上に熱硬化タイプの銀ペーストを用いて、直径18mmの銀電極を形成させ、横河ヒューレットパッカード株式会社製4197Aインピーダンス/ゲインフェーズアナライザーを用いて静電容量を測定し、周波数1MHzの誘電率を算出する。
(7)耐水性
原料化合物を混合し、得られる混合バッチを約1000〜1250℃で溶融し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレーク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミルを用いて、湿式粉砕することにより得られたガラス粉末試料を用いて、適当なペースト化物とし、ソーダライムガラス基板上に約15〜35μmのガラス層を印刷、焼成する。
原料化合物を混合し、得られる混合バッチを約1000〜1250℃で溶融し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレーク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミルを用いて、湿式粉砕することにより得られたガラス粉末試料を用いて、適当なペースト化物とし、ソーダライムガラス基板上に約15〜35μmのガラス層を印刷、焼成する。
上記の試験の結果得られる焼成ガラス層の変化を肉眼で観察し、以下の基準により評価した。
○:透明感あり。
×:白化もしくは白濁半透明。
○:透明感あり。
×:白化もしくは白濁半透明。
(8)応力
誘電体層は、ガラス基板に対して、前述したように、応力を与えないかもしくは若干の圧縮応力を与えるのが好ましい。また、その応力値は10kg/cm2以下であるのが望ましい。この応力は以下の方法により試験した。
誘電体層は、ガラス基板に対して、前述したように、応力を与えないかもしくは若干の圧縮応力を与えるのが好ましい。また、その応力値は10kg/cm2以下であるのが望ましい。この応力は以下の方法により試験した。
ソーダライムガラス基板上に、ガラス粉末試料を、背面板誘電体の場合は更にこの試料に無機顔料や無機フィラーを添加した後、ターピネオールなどの溶剤にエチルセルロース樹脂などを5〜20%溶解させたヴィヒクルに分散させてペースト化したものを、焼成後の焼成ガラス層が15〜35μmになるよう塗布し、軟化温度以上の温度で焼成する。得られたガラス基板を、幅3〜10mm、長さ20〜30mmになるように切断し、その切断面を#1000〜#1200のサンドペーパーで研摩し、神港精機株式会社製ポーラリメーターSPを用いて、ガラス基板に対する焼成ガラス層の応力の種類(圧縮または引張)及び応力の程度(kg/cm2)を求める。
実施例1及び2
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウムまたは酸化ナトリウム、酸化マンガン及びガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表1に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、約1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウムまたは酸化ナトリウム、酸化マンガン及びガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表1に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、約1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
得られた本発明ガラス組成物粉末につき行った前記試験の結果を表1に併記する。
表1に示す結果より、本発明ガラス組成物は、PDPの前面ガラス基板上への誘電体ガラス層の形成及び背面ガラス基板上への誘電体ガラス層(または隔壁)の形成のためのガラスとして、非常に優れた特性を有しており、かかる誘電体ガラス層の形成に有利に用い得ることが明らかである。
実施例3〜13
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン及びガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表2に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン及びガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表2に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
比較例1〜8
実施例3〜13において、溶融後に得られるガラス組成が、下記表3に示される通り本発明範囲を外れるもの(比較例1〜6)となるように、バッチ原料混合物を調製する以外は、同様にして、フレーク状の比較ガラスを得た。
実施例3〜13において、溶融後に得られるガラス組成が、下記表3に示される通り本発明範囲を外れるもの(比較例1〜6)となるように、バッチ原料混合物を調製する以外は、同様にして、フレーク状の比較ガラスを得た。
また、表3に比較例7及び8として記載の組成の鉛またはビスマスを含有するガラス組成物を同様にして調製した。
各表に示される結果より、本発明ガラス組成物粉末は、PDPの前面ガラス基板上への誘電体ガラス層の形成及び背面ガラス基板上への誘電体ガラス層(または隔壁)の形成のためのガラスとして、非常に優れた特性を有しており、かかる誘電体ガラス層の形成に有利に用い得ることが明らかである。これに対して、比較ガラス組成物粉末は、そのガラス組成として本発明必須成分を含有しないか、含有してもその配合量が本発明範囲を逸脱するか、または他のガラス組成であることに基づいて、本発明ガラス組成物粉末に見られる如き優れた性能を発揮できないものであることが明らかである。各比較ガラス組成物粉末についての詳細は、次の通りである。
比較例1:B2O3とZnOの比率が逆転しており、そのため、透明性,耐電圧の評価が低い。
比較例2:“1”よりもさらにB2O3の比率が高くなったため、耐水耐薬品性が低下し、湿式粉砕時にダメージを受け評価できなくなった。
比較例3:MnO2が存在していないため、色差b値が極端に高い値となった。
比較例4:MnO2が存在しても、Fe2O3が存在しないため、色差a*値が極端に高い値となった。
比較例5:R2Oの含有量が少ないために膨張係数が低下し、そのため、応力が引張応力で高い値となった。
比較例6:R2Oとして、Li2Oを用いたため、結晶化が促進され、結晶化点が軟化点付近まで低下した。そのため、透明性が著しく低下した。
比較例7:PbO系有鉛誘電体ガラスであるため、誘電率が10F/m以上の高い値となった。
比較例8:Bi2O3系無鉛誘電体ガラスであるため、誘電率が10F/m以上の高い値となった。
比較例1:B2O3とZnOの比率が逆転しており、そのため、透明性,耐電圧の評価が低い。
比較例2:“1”よりもさらにB2O3の比率が高くなったため、耐水耐薬品性が低下し、湿式粉砕時にダメージを受け評価できなくなった。
比較例3:MnO2が存在していないため、色差b値が極端に高い値となった。
比較例4:MnO2が存在しても、Fe2O3が存在しないため、色差a*値が極端に高い値となった。
比較例5:R2Oの含有量が少ないために膨張係数が低下し、そのため、応力が引張応力で高い値となった。
比較例6:R2Oとして、Li2Oを用いたため、結晶化が促進され、結晶化点が軟化点付近まで低下した。そのため、透明性が著しく低下した。
比較例7:PbO系有鉛誘電体ガラスであるため、誘電率が10F/m以上の高い値となった。
比較例8:Bi2O3系無鉛誘電体ガラスであるため、誘電率が10F/m以上の高い値となった。
実施例14-26
実施例1-13で得られた各ガラス粉末を、無機顔料や無機フィラーとともに適当なペースト化物とし、焼成後に得られる焼成ガラス層の厚さが15〜35μmとなるようにソーダライムガラス基板上にそれぞれ塗布し、軟化温度以上の温度で焼成した。
実施例1-13で得られた各ガラス粉末を、無機顔料や無機フィラーとともに適当なペースト化物とし、焼成後に得られる焼成ガラス層の厚さが15〜35μmとなるようにソーダライムガラス基板上にそれぞれ塗布し、軟化温度以上の温度で焼成した。
標準白板をブランクとして、焼成ガラス層を形成させたガラス基板の反射率を、コニカミノルタ センシング株式会社製分光測色計CM-3500dを用いて、C光源、反射色、2°視の条件で、波長550nmにおける反射率を測定した。また、前記した試験法に従って(1)軟化温度及び結晶化点、(2)膨張係数、(4)耐電圧、(5)色差、(6)誘電率、(7)耐水性及び(8)応力についても測定を行った。
得られた結果は次の通りである。即ち、反射率は70%以上の値が得られ、その他の特性はいずれもほぼ同等の値が得られた。このことから、各ガラス粉末は、背面ガラス基板上への誘電体ガラス層(または隔壁)の形成のためのガラスとしても、非常に優れた特性を有しており、かかる誘電体ガラス層の形成に有利に用い得ることが明らかである。
実施例27-33及び比較例9及び10
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン、五酸化リン、ガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物及び透明性向上剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表4に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
実施例27-33及び比較例9及び10
酸化ケイ素、ホウ酸、特号亜鉛華、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン、五酸化リン、ガラス色調調整剤成分としての特定の金属酸化物及び透明性向上剤成分としての特定の金属酸化物からなる各原料を、溶融後に表4に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混合してバッチ原料混合物を調製し、1000〜1250℃で溶融した。取り出した溶融ガラスを水冷ロールに挟んで急冷して、フレーク状のガラスを得た。
次いで、得られたガラスをボールミル中、アルミナボールを用いて水湿式粉砕し、得られたスラリーを乾燥、ふるい分けし、その後分級して、粒径0.2〜10μmの本発明ガラス組成物粉末を得た。
得られたガラス粉末について行った前記試験の結果を、表4に併記する。
本発明ガラス組成物は、PDPなどのFPDの誘電体層形成用ガラスとして有用である。
(1)前面ガラス基板
(2)透明電極
(3)バス電極
(4)前面誘電体ガラス層
(5)保護層
(6)隔壁
(7)背面誘電体ガラス層
(8)アドレス電極
(9)蛍光体
(10)背面ガラス基板
(2)透明電極
(3)バス電極
(4)前面誘電体ガラス層
(5)保護層
(6)隔壁
(7)背面誘電体ガラス層
(8)アドレス電極
(9)蛍光体
(10)背面ガラス基板
Claims (8)
- 無鉛低融点ガラス組成物であって、重量%表示で
SiO2 5 〜20%
B2O3 25 〜40%
ZnO 40 〜55%
K2O及びNa2Oから選択される少なくとも1種 5 〜25%
MnO2 0.01〜5%及び
Fe2O3, Cr2O3, V2O5, Pr6O11, Nd2O3、Tl2O、CuO及びMoO3からなる群から選択される少なくとも1種のガラス色調調整剤 0.01〜10%
を含有し、且つB2O3とZnOとの重量比がB2O3/ZnO=0.45〜1.0の範囲内にあることを特徴とするガラス組成物。 - K2O及びNa2Oをそれぞれ2.5〜12.5重量%含有し且つそれらの重量比がK2O/Na2O=0.2〜5.0の範囲内にある、請求項1に記載のガラス組成物。
- 更に、P2O5を15重量%以下含有する、請求項1または2に記載のガラス組成物。
- 更に、GeO2、CeO2及びAl2O3からなる群から選ばれる少なくとも1種の透明性向上剤をGeO215重量%以下、CeO25重量%以下及びAl2O35重量%以下含有する、請求項1または2に記載のガラス組成物。
- 更に、P2O5を15重量%以下と共に、GeO2、CeO2、Al2O3及びLi2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種の透明性向上剤を、GeO215重量%以下、CeO25重量%以下、Al2O35重量%以下及びLi2O10重量%以下含有する、請求項1または2に記載のガラス組成物。
- プラズマディスプレイパネルの電極を被覆する誘電体層を形成するガラスとして用いられる請求項1または2に記載のガラス組成物。
- 請求項1または2に記載のガラス組成物によって形成されたプラズマディスプレイパネルの誘電体層。
- 請求項7に記載の誘電体層を有するプラズマディスプレイパネル。
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-
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- 2005-03-25 JP JP2005088094A patent/JP2005320227A/ja active Pending
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