JP2007332009A - 無鉛絶縁ガラス組成物および無鉛絶縁ガラスペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温で焼成可能で、且つアルミニウム膜との反応性の低い絶縁体膜を形成し得る無鉛絶縁ガラス組成物および無鉛絶縁ガラスペーストを提供する。
【解決手段】 絶縁体層を構成する低融点ガラスは、例えば、B2O3を20〜50(mol%)の範囲内、SiO2を15〜30(mol%)の範囲内、ZnOを5〜40(mol%)の範囲内、CaO、SrO、BaOを合計で5〜15(mol%)の範囲内、Li2O、Na2O、K2Oを合計で10〜25(mol%)の範囲内、Al2O3、ZrO2、TiO2を合計で3〜20(mol%)の範囲内から成る無鉛ガラスであるため、陽極配線がアルミニウム膜で構成される場合にも、ガラスと陽極配線との反応が好適に抑制される。また、ガラス転移点が510(℃)程度、軟化点が580(℃)程度以下と、何れも低いことから、例えば600(℃)程度以下の低温で焼成が可能である。
【選択図】なし
【解決手段】 絶縁体層を構成する低融点ガラスは、例えば、B2O3を20〜50(mol%)の範囲内、SiO2を15〜30(mol%)の範囲内、ZnOを5〜40(mol%)の範囲内、CaO、SrO、BaOを合計で5〜15(mol%)の範囲内、Li2O、Na2O、K2Oを合計で10〜25(mol%)の範囲内、Al2O3、ZrO2、TiO2を合計で3〜20(mol%)の範囲内から成る無鉛ガラスであるため、陽極配線がアルミニウム膜で構成される場合にも、ガラスと陽極配線との反応が好適に抑制される。また、ガラス転移点が510(℃)程度、軟化点が580(℃)程度以下と、何れも低いことから、例えば600(℃)程度以下の低温で焼成が可能である。
【選択図】なし
Description
本発明は、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display:以下、VFDという)の絶縁ガラス層およびプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、PDPという)の誘電体層等の表示装置の絶縁体層や、回路基板のグレーズや導体配線保護等に用いられる無鉛絶縁ガラスおよび無鉛絶縁ガラスペーストに関する。
例えば、絶縁性の基板上に絶縁体層を設けることが、VFDおよびPDP等の表示装置分野や、回路基板分野等で行われている。
VFDは、例えばそれぞれガラスから成る前面板および背面板を枠状のスペーサを介して互いに気密に接合することによって真空容器を構成し、その真空容器内に陽極(アノード)、制御電極(グリッド)、およびフィラメント状陰極(カソード)とから成る3極管構造を設け、そのアノード上に塗着された蛍光体から発光させる電子表示素子である。VFDでは、カソードから発生させられた電子を、アノードとの間の高さ位置に設けられているグリッドとの電位差で加速制御し、蛍光体層に選択的に入射させることによってその蛍光体層を発光させる。このようなVFDは低い動作電圧で鮮明に表示されると共に、発光色の異なる蛍光体層を用意することによりカラー表示が可能となる等の特徴があるため、音響機器や自動車の表示パネルの表示部品等に多用されている。
通常、上記アノードおよびアノード用配線は、背面板内面に形成されるが、これらのうちアノード用配線は、表示に関与しないように絶縁膜で被覆される。この絶縁膜の形成後には、電極焼成、蛍光体焼成、封着、排気等の焼成工程が続くことから、絶縁膜材料にはこれらの加熱に耐え得る耐熱性が要求されるため、ガラス組成物が好適に用いられる。また、上記アノードおよびアノード用配線は、厚膜銀やアルミニウム蒸着膜等で構成されるが、後者が主流であるため、アルミニウムとの反応性の低い絶縁膜が求められている。
また、このような絶縁膜材料は、PDP等の他の表示装置の絶縁体層や、回路基板のグレーズ或いは導体配線保護等にも用いられる。近年では、何れの用途においても、環境問題や作業衛生等への配慮から、有害な鉛を含まない無鉛絶縁ガラス組成物が望まれている。鉛はガラスの軟化点を低下させるために極めて有効な成分であり、無鉛絶縁ガラス組成物では、軟化点を十分に低くすることが第1に考慮される。
そこで、従来から多数の無鉛絶縁ガラス組成物が提案されている。例えば、表面に回路が形成されたアルミナ基板のグレーズや蛍光管等の封着用途で、ZnOが50〜80(wt%)、B2O3が5〜35(wt%)、P2O5が1〜20(wt%)、Al2O3が0〜10(wt%)、MgOが0〜15(wt%)、CaOが0〜10(wt%)、BaOが0〜5(wt%)の組成としたものがある(例えば特許文献1を参照。)。或いは、蛍光表示管の絶縁膜や、制御電極が頂部に設けられる隔壁を形成する等の用途で、BaOが5〜40(mol%)、ZnOが20〜55(mol%)、B2O3が15〜50(mol%)、SiO2が0〜25(mol%)の組成としたものがある(例えば特許文献2を参照。)。これらの組成によれば、鉛ガラス並の600(℃)以下の低温焼成が可能とされている。
また、PDPの誘電体層や隔壁を形成する等の用途で、ZnOが45〜60(wt%)、B2O3が23〜35(wt%)、SiO2が5〜25(wt%)、R2O(K2O、Na2O、Li2Oの総和)が4〜14(wt%)、RO(CaO、BaO、MgOの総和)が0〜3(wt%)、TiO2が0〜5(wt%)の組成としたものがある(例えば特許文献3を参照。)。この組成によれば、軟化点が550(℃)以下、透明性が高く、熱膨張係数が75〜85×10-7(/℃)、誘電率が7.0以下、耐電圧が1(kV)以上で、高い耐水性および耐薬品性が得られるとされている。
また、基板表面を被覆し、或いは、その表面に設けた導電体や半導体パターンを被覆する等の用途で、B2O3が64〜90(wt%)、ZnOが5〜15(wt%)、R2O(RはK、Na、またはLi)が4〜20(wt%)、SiO2が0〜8(wt%)の組成としたものがある(例えば特許文献4を参照。)。この組成によれば、PDPの厚膜銀などで構成されるバス電極や酸化インジウム錫等で構成される透明電極が浸食され難いとされている。
また、PDPやVFDのアルミニウム電極を被覆する等の用途で、SiO2が5〜45(mol%)、B2O3が10〜60(mol%)、ZnOが20〜60(mol%)、Li2O、Na2O、K2Oの合計が1〜25(mol%)、MgO、CaO、SrO、BaOの合計が0〜30(mol%)、Bi2O3が0〜15(mol%)、Al2O3とZrO2の合計が0〜10(mol%)、SnO2とCeO2の合計が0〜5(mol%)、CuO、CoO、MoO3、NiOの合計が1〜5(mol%)の組成としたものがある(例えば特許文献5,6を参照。)。この組成によれば、アルミニウム電極を被覆した際に絶縁体膜にピンホールが生じ難いとされている。
また、PDPの酸化インジウム錫や酸化錫から成る透明電極或いはこれに厚膜銀電極を積層したものを被覆する等の用途で、B2O3が10〜60(wt%)、SiO2が1〜20(wt%)、ZnOが5〜55(wt%)、Al2O3が0〜11(wt%)、CaOが0〜30(wt%)、SrOが0〜30(wt%)、BaOが0〜30(wt%)、Li2Oが0〜30(wt%)、Na2Oが0〜30(wt%)、K2Oが0〜30(wt%)、CuOとCeO2の合計が0.3〜0.9(wt%)の組成としたものがある(例えば特許文献7を参照。)。この組成によれば、透明性が高く、銀電極を被覆した際にも発色が抑制され、しかも比誘電率の小さいガラス層が得られるとされている。
また、PDPやLCD等の表示装置用の基板の絶縁性被膜や封着材料等の用途で、SiO2が5〜13(wt%)、B2O3が38〜50(wt%)、ZnOが27〜38(wt%)、R2O(Li2O、Na2O、K2Oの合計)が5〜18(wt%)の組成としたSiO2−B2O3−ZnO−R2O系無鉛低融点ガラスがある(例えば特許文献8を参照。)。この組成によれば、PDPの前面板および背面板の誘電体層を形成した場合にもピンホールが生じ難いとされている。
また、PDPの透明電極を絶縁被覆する用途で、B2O3が20〜50(mol%)、SiO2が5〜35(mol%)、ZnOが10〜30(mol%)、Al2O3が0〜10(mol%)、SrOが0〜10(mol%)、BaOが6〜16(mol%)、Li2Oが2〜16(mol%)、Na2OとK2Oの合計が0〜10(mol%)、Bi2O3が0〜9(mol%)、CuOとCeO2の合計が0〜2(mol%)で、(B2O3+SiO2+Al2O3)/(BaO+Bi2O3)が3.25以上の組成としたものがある(例えば特許文献9を参照。)。この組成によれば、PDPの前面板の誘電体層に用いた場合に、高い可視光透過率が得られるとされている。
国際公開WO01/90012
特開2001−058844号公報
特開2000−226232号公報
特開2002−274883号公報
特開2002−362941号公報
特開2002−362942号公報
特開2004−035297号公報
特開2005−145772号公報
特開2005−314201号公報
しかしながら、前記特許文献1は、アルミナ基板等へのグレーズや蛍光管の封着に用いるガラスを提供するものであって、鉛ガラスと同等の低温焼成を可能とすることを目的とするものであることから、アルミニウム膜との反応については全く考慮されていない。
また、前記特許文献2は、蛍光表示管の絶縁膜等の形成に用いるガラスを提供することを目的とするものであるが、その着眼点は鉛ガラスと同等の600(℃)以下で焼成可能とすることにあり、背面板上に設けられる電極との反応は全く考慮されていない。
また、前記特許文献3は、PDPの絶縁膜や隔壁の形成に用いるガラスを提供するものであって、低温焼成が可能で誘電率や耐電圧等の改善を目的とするものであり、前記特許文献4は、PDP等においてPbOやBi2O3等を含むことなく被膜形成が容易なガラスを提供するものであって、厚膜銀から構成されるバス配線との相互浸食の抑制も目的として挙げられているが、アルミニウム膜等との反応は全く考慮されていない。
また、前記特許文献5、6は、アルミニウム膜との反応を抑制することを目的とするものであるが、これらの実施例によれば、直径5(μm)以上の気泡が未だ残存しており、ピンホールの発生が十分に抑制されているとは言えない。例えば、VFDでは瞬間的にDC500(V)以上の高電圧が印加される場合があるが、このような場合にも絶縁性が保たれることが要求される。上記のような大きさのピンホールが存在すると絶縁性維持に問題がある。
また、前記特許文献7は、PDPの透明電極やこれに積層される厚膜銀電極を被覆するガラスを提供するものであって、その誘電率を低くすることを目的とするものであることから、アルミニウム膜等との反応は全く考慮されていない。
また、前記特許文献8は、PDPやLCD等の絶縁体膜や封着材料を提供するものであって、銅電極の上に形成した場合に誘電体膜にピンホールが生じることを抑制すること等を目的とするものであることから、アルミニウム膜との反応性は全く考慮されていない。
また、前記特許文献9は、PDPの透明電極の絶縁被覆に用いるガラス組成物を提供するものであって、高い可視光透過率を得ることを目的とするものであるから、アルミニウム膜との反応は全く考慮されていない。
すなわち、前記特許文献1〜9に記載された従来の無鉛絶縁ガラス組成物は、アルミニウム膜との反応が全く考慮されていないか、考慮されていても反応抑制が不十分なものに留まっていた。また、環境負荷の面でも不十分なものがあった。そのため、アルミニウム膜との反応が一層抑制され且つ環境負荷の低い無鉛絶縁ガラス組成物が望まれていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、低温で焼成可能で、且つアルミニウム膜との反応性の低い絶縁体膜を形成し得る無鉛絶縁ガラス組成物および無鉛絶縁ガラスペーストを提供することにある。
斯かる目的を達成するための第1発明の無鉛絶縁ガラス組成物の要旨とするところは、B2O3を20〜50(mol%)の範囲内、SiO2を15〜30(mol%)の範囲内、ZnOを5〜40(mol%)の範囲内、RO(但し、RはCa、Sr、Baの少なくとも一種)を5〜15(mol%)の範囲内、R'2O(但し、R'はLi、Na、Kの少なくとも一種)を10〜25(mol%)の範囲内、Al2O3、ZrO2、およびTiO2を合計で3〜20(mol%)の範囲内でそれぞれ含むことにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の導電性ペーストの要旨とするところは、前記第1発明の無鉛絶縁ガラス組成物と、所定の有機溶剤およびベヒクルとを含むことにある。
前記第1発明によれば、無鉛絶縁ガラス組成物は、前記組成を有することから、アルミニウムから成る導体膜とも反応し難く延いては発泡やピンホールの生じることが好適に抑制されると共に、ガラス転移点が低いので低温で焼成可能な絶縁体膜を形成することができる。
また、前記第2発明によれば、上記第1発明の無鉛絶縁ガラス組成物が用いられているので、アルミニウムから成る導体膜とも反応し難く且つ低温で焼成可能な絶縁体膜を形成することができる。
なお、前記所定の有機溶剤は、例えば、ターピネオール、BDGA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、メンタノール(ジヒドロターピネオール)等が好適に用いられる。これらの中でも特にBDGAが好ましい。
また、前記ベヒクルは、例えば、溶剤成分としてターピネオール、BDGA、メンタノールを含み、樹脂成分として重合度の異なるエチルセルロースを混合したものを含み、更に、適宜、可塑剤としてDMP(ジメチルフタレート)、DEP(ジエチルフタレート)等が添加されたものである。これらの中でも、特に、溶剤成分としてメンタノールを含み、樹脂成分として重合度粘性が10倍異なるエチルセルロース2種程度を混合したものを含むものが好ましい。
また、第1発明および第2発明によれば、VFDの背面基板の絶縁体層に用いた場合にも、ガラスの成分が揮発することが抑制されるので、揮発したガラス成分によってカソードが劣化することが抑制され、延いては輝度の劣化が生じ難い利点がある。
なお、前記組成のうち、B2O3はガラス形成成分であることから、20(mol%)以上が必要である。含有量が多くなってもガラス転移点や軟化点の上昇が少ない傾向にあるが、化学的安定性は低下する傾向にあるため、50(mol%)以下に留める必要がある。化学的安定性の面からは、25〜45(mol%)の範囲が一層好ましい。
また、SiO2もガラス形成成分であって、含有量が多くなるほど化学的安定性が向上する傾向にあるが、同時に軟化点も高くなる。化学的安定性を確保するためには15(mol%)以上が必要であり、軟化点を十分に低い値に保つためには30(mol%)以下に留める必要がある。また、これらの観点から、15〜27(mol%)の範囲が一層好ましい。
また、ZnOはガラスの転移点や軟化点を低下させる成分であるが、含有量が多くなるほどアルミニウムとの反応が生じ易くなって絶縁性能を低下させる。ガラス転移点や軟化点を十分に低くするためには、5(mol%)以上が必要である。一方、アルミニウムとの反応を十分に抑制するためには、40(mol%)以下に留める必要がある。これらの観点から、含有量は6(mol%)以上が一層好ましく、35(mol%)以下が一層好ましい。なお、ZnOを15(mol%)以上含有する場合には、Bi2O3を1〜5(mol%)の範囲内で含むことが好ましい。
また、ROはガラスを安定化させるための成分であるが、含有量が多くなるほど熱膨張係数が大きくなる傾向がある。十分な安定性を得るためには5(mol%)以上の含有量が必要である。一方、熱膨張係数を十分に小さい値に留めるには、含有量を15(mol%)以下に留める必要がある。これらの観点からROの含有量は、8(mol%)以上が一層好ましく、12(mol%)以下が一層好ましい。
また、R'2Oはガラスの転移点や軟化点を低下させるために必要が成分であるが、多くなるほどアルミニウムとの反応性が高くなり、延いては絶縁性能が低下する。ガラス転移点や軟化点を十分に低くするためには、10(mol%)以上の含有量が必要である。一方、アルミニウムとの反応を十分に抑制するためには、25(mol%)以下に留める必要がある。これらの観点から、R'2Oの含有量は、15(mol%)以上が一層好ましく、20(mol%)以下が一層好ましい。
また、Al2O3はガラスの安定性を向上させるための必須成分であり、ZrO2およびTiO2はガラスの耐水性を向上させる成分であるが必須ではない。十分な安定性および耐水性を得るためには、これら3成分の含有量を合計で1(mol%)以上にすることが必要である。一方、これら3成分が多くなるほど軟化点が高くなると共にガラスが生じ難くなるので、含有量は合計で20(mol%)以下に留めることが必要である。これらの観点から、上記3成分の合計量は、3(mol%)以上が一層好ましく、5(mol%)以上が更に好ましい。また、15(mol%)以下に留めることが一層好ましい。
なお、ガラスの軟化点を低くすることを目的として、硼酸や燐酸をガラス骨格成分として用いることも提案されている。しかしながら、これらを骨格成分とするガラスは、化学的安定性に劣る問題がある。また、ハロゲン化物ガラスも軟化点が低い特徴があるが、ガスの発生や電極との反応があることから表示装置や基板等には適さない。
ここで、好適には、前記無鉛絶縁ガラス組成物は、熱膨張係数が65〜80(ppm)の範囲内である。このようにすれば、VFDやPDP等の表示装置に用いられるガラス基板の熱膨張係数と同程度であるから、熱膨張係数の相違に起因する絶縁膜の破損等が好適に抑制される。
また、好適には、前記無鉛絶縁ガラス組成物は、ガラス転移点が510(℃)以下である。このようにすれば、従来から用いられている鉛ガラスと同程度の温度で焼成が可能であるから、適用する基板の構成材料や製造工程を特に変更することなく、鉛ガラスを代替できる利点がある。また、ガラス転移点が510(℃)以下であれば、焼成温度を600(℃)以下にして、絶縁膜焼成時の基板等の変形を抑制することができる。
また、好適には、無鉛絶縁ガラスペーストは、所定量の酸化剤を含むものである。このようにすれば、アルミニウムから成る導体膜上に塗布される場合にも、その導体膜との反応が一層抑制される。ペースト中に含まれている酸化剤は、焼成時に加熱されると酸素を放出し、その酸素が導体膜を構成するアルミニウムと化合してその表面にAl2O3の被膜が生成されることによって反応が抑制されるものと考えられる。
また、好適には、無鉛絶縁ガラスペーストは、前記無鉛絶縁ガラス組成物100重量部に対してAg2Oを1.0重量部以下の範囲で含むものである。このようにすれば、アルミニウムから成る導体膜との反応が一層抑制される。ペースト中に含まれているAg2Oは、焼成時に加熱されると酸素原子Oを放出し、その酸素原子が電極のアルミニウムと化合してその表面にAl2O3の被膜が生成されることによって反応が抑制されるものと考えられる。すなわち、Ag2Oは前記酸化剤として作用するものと考えられる。Ag2Oは、僅かでも含まれていれば反応を抑制する効果が得られるが、高価であるため1.0重量部以下に留めることが好ましい。反応を一層抑制するためには、含有量を0.1重量部以上にすることが好ましく、0.5重量部以上とすることが更に好ましい。
なお、無鉛絶縁ガラスペーストは、Ag2Oの他に、またはAg2Oに代えて他のフィラーを含んでも良い。フィラーは、Ag2Oと同様に酸化剤として機能するものであってもよいし、それ以外のものでもよい。また、この他、必要に応じて黒色顔料等の適宜の着色剤を含んでも良い。
また、好適には、前記無鉛絶縁ガラス組成物および無鉛絶縁ガラスペーストは、アルミニウムから成る導体上に絶縁膜を設けるために用いられるものである。本発明のガラス組成物およびガラスペーストの用途は特に限定されないが、アルミニウムから成る導体はガラスと反応し易いので、本発明は、その被覆用途に特に有効である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の絶縁ガラス組成物で絶縁膜を形成したVFD10を一部を切り欠いて示す斜視図である。図1において、VFD10は、所定の発光パターンに形成された蛍光体層22を複数個所に備えたガラス、セラミックス、琺瑯などの絶縁体材料、例えばソーダライムガラス製の基板12と、枠状に形成されたガラス製のスペーサ14と、透明なカバー・ガラス板16と、複数本の陽極端子18p、複数本のグリッド端子18g、およびカソード端子18kとを備えたものである。それら基板12およびカバー・ガラス板16がスペーサ14を介して相互にガラス封着されることにより長手平箱状の気密容器が構成され、その内部にそれらの部材により囲まれた真空空間が形成されている。
基板12の表示面20には、種々の形状に形成された多数の蛍光体層22が備えられ、各々グリッド電極24および補助グリッド電極26により囲まれている。この補助グリッド電極26は、例えばグリッド電極24と電気的に絶縁され且つ全面共通に設けられている。また、これらグリッド電極24および補助グリッド電極26は、表示面20に設けられたグリッド配線30,32、およびその長辺に沿って設けられた多数の端子パッド28を介して前記のグリッド端子18gに接続されている。
また、基板12の両端部には、前記カソード端子18kを備えた一対の端子部材34が固設されており、これに固着されたアンカ36および図示しないサポート間に直熱型カソード(陰極)として機能する細線状の複数本のフィラメント(フィラメント・カソード)38が基板12の長手方向に平行であって基板12の表示面20から離隔した所定の高さ位置となるように張設(すなわち、蛍光体層22の上方に架設)されている。このフィラメント38は、表面に電子放出層として(Ba,Sr,Ca)O等の仕事関数の低いアルカリ土類金属の酸化物固溶体がコーティングされたタングステン(W)ワイヤ等から成るものである。なお、蛍光表示管10には、気密容器内の真空度を高めるためのゲッタや、気密容器が形成された後に排気して内部を真空にするための排気管或いは排気穴等が備えられているが、これらは省略した。
図2は、上記表示面20の一部を拡大して詳細に示す図であり、図3は、その断面の要部を更に拡大して示す図である。表示面20には、例えば厚膜導体から成る陽極配線40が陽極端子18pに接続されるように設けられており、その上には、スルーホール42を適宜備えた厚膜ガラス材料等から成る絶縁体層44が固着されている。絶縁体層44の上には、蛍光体層22よりも若干大きい平面形状のグラファイト等から成る陽極46がスルーホール42を介して陽極配線40のうちの所定のものと導通する位置に形成されている。蛍光表示管10においては、前記蛍光体層22はこの陽極46上に形成される。また、蛍光体層22の周囲には、例えば厚膜ガラス材料製のリブ状壁48,50が立設されている。前記のグリッド電極24および補助グリッド電極26は、例えば厚膜導体から成るものであって、これらリブ状壁48,50の頂部に設けられている。
このように構成された蛍光表示管10において、上記フィラメント38から放出された熱電子は、その零(V)のフィラメント38に対して例えば20(V)程度の正電圧が印加されたグリッド電極24により加速されるので、例えば、グリッド電極24に順次に加速電圧を印加して走査すると共にその走査に同期して所望の蛍光体層22が接続された陽極配線40に正電圧を印加すると、その蛍光体層22に熱電子が衝突してその蛍光体層22が発光させられる。したがって、グリッド電極24の走査の一周期ごとに正電圧を印加する陽極配線40を変更することにより所望の発光表示を得ることができる。
ところで、前記の陽極配線40は、例えば厚さ寸法が1.0(μm)程度の薄いアルミニウム薄膜或いは15(μm)程度の厚さ寸法を備えた厚膜導体から成るものである。また、前記の絶縁体層44は、例えば黒色顔料およびフィラーを含む低融点ガラス等から成る厚膜絶縁体であり、例えば30〜40(μm)程度の厚さ寸法で設けられている。
上記絶縁体層44を構成する低融点ガラスは、例えば、B2O3を20〜50(mol%)の範囲内、例えば37.25(mol%)と、SiO2を15〜30(mol%)の範囲内、例えば15.69(mol%)と、ZnOを5〜40(mol%)の範囲内、例えば8.08(mol%)と、CaO、SrO、BaOを合計で5〜15(mol%)の範囲内、例えばCaOを7.10(mol%)、SrOを2.34(mol%)と、Li2O、Na2O、K2Oを合計で10〜25(mol%)の範囲内、例えばLi2Oを8.33(mol%)、Na2Oを4.17(mol%)、K2Oを4.17(mol%)と、Al2O3、ZrO2、TiO2を合計で3〜20(mol%)の範囲内、例えば、Al2O3を4.90(mol%)、ZrO2を4.90(mol%)、TiO2を2.94(mol%)とから成る無鉛ガラスである。
また、上記絶縁体層44に含まれている黒色顔料は、例えば、Cu-Cr-Co-Mn-Mo系複合酸化物またはCu-Cr-Mn系複合酸化物から成るものであり、フィラーは、例えば、酸化銀(Ag2OおよびAgO)から成るものである。
上記絶縁体層44は、例えば、所定のガラス原料を混合して溶融することによって前記組成を有するガラスを合成し、そのガラスを例えば平均粒径が1.5〜2.0(μm)程度の粉末に粉砕し、黒色顔料、フィラーである酸化銀、有機溶剤、およびベヒクルを混合してガラスペーストを調製し、前記陽極配線40等が形成された基板12の表示面20に、これを印刷して焼成処理を施すことによって得られる。
そのため、陽極配線40がアルミニウム膜で構成される場合にも、前記組成を有するガラスはアルミニウムとの反応が生じ難いことから、ガラスペーストを陽極配線40を覆うように塗布して焼成処理を施す際に、ガラスと陽極配線40との反応が好適に抑制される。その結果、絶縁体層44に発泡やピンホールが生じ難いので、絶縁耐圧が十分に高い絶縁体層44が得られる。また、前記組成を有するガラス組成物は、ガラス転移点が510(℃)程度、軟化点が580(℃)程度以下と、何れも低いことから、例えば600(℃)程度以下の低温で焼成が可能である。
しかも、前記絶縁体層44を形成するためのガラスペーストには、Ag2Oがフィラーとして含まれていることから、これが酸化剤として作用するので、絶縁体層44と陽極配線40との反応が一層抑制される。
以下、本発明の更に具体的な実施例を説明する。
B2O3源として硼酸を、SiO2源として二酸化珪素を、ZnO源として酸化亜鉛を、CaO源として炭酸カルシウムを、SrO源として炭酸ストロンチウムを、Li2O源として炭酸リチウムを、Na2O源として炭酸ナトリウムを、K2O源として炭酸カリウムを、Al2O3源として酸化アルミニウムを、ZrO2源として酸化ジルコニウムを、TiO2源として酸化チタンを、それぞれ使用し、これらを種々の調合比で調合して、白金ルツボに投入して例えば1200〜1400(℃)で30分〜1時間程度の加熱処理を施すことにより、下記の表1に示す実施例1〜8の組成のガラスフリットを得た。また、同様にして、調合比のみを変更することにより、下記の表2に示す比較例1〜8のガラスフリットを得た。次いで、得られたガラスフリットを粉砕装置で例えば平均粒径が1.5〜2.0(μm)程度になるまで粉砕し、粉末を得た。表1,2において、「溶融温度」は、ガラスフリットを得る際の加熱処理温度である。
上記のようにして得られたガラス粉末を5(g)量り取り、直径20(mm)の円柱状にプレス成形し、目的の製造条件温度(例えば、約580(℃))にて焼成し、ガラスの溶融状況を確認した。また、別途、ガラス粉末を用い、示差熱分析計(DTA)にてガラス転移点、屈伏点、および軟化点を測定し、参考データを取得した。
また、得られたガラス粉末を厚み5(mm)×幅5(mm)×長さ20(mm)程度の大きさにプレス成形し、DTAで得られた軟化点よりも10(℃)だけ高い温度で焼成し、熱膨張測定用試料とした。次に、この試料を熱機械分析計(TMA)にて昇温速度10(℃/min)で温度を上昇させつつ変位量を測定し、熱膨張曲線を得た。熱膨張曲線の傾きから熱膨張係数を求め、熱膨張曲線の第1変曲点からガラス転移点を決定し、更に、熱膨張曲線の極大ピークから屈伏点を決定した。得られた熱膨張係数、ガラス転移点、および屈伏点を前記の表1,2に示す。なお、比較例の一部については、熱膨張係数、ガラス転移点、および屈伏点を測定しなかった。
また、得られたガラス粉末の各々に、フィラー(酸化剤)としてAg2Oをガラス粉末100重量部に対して1.0重量部の割合で混合すると共に、顔料を適量混合し、これにベヒクルおよび溶剤中を混合して、ガラスペーストを調製し、アルミニウム膜を蒸着した基板上に印刷し焼成してガラス膜を生成した。ベヒクルは適宜のものを用いることができるが、例えば、後述する表4に示されるように、4(cP)のエチルセルロースを2.0重量部と、45(cP)のエチルセルロースを0.2重量部と、メンタノールを18.7重量部とを混合したものを用いた。また、溶剤としては、BDGAを用いた。ペーストの調合組成は、ガラス粉末65.24(wt%)、フィラー(酸化剤)0.66(wt%)、顔料3.20(wt%)、ベヒクル20.90(wt%)、溶剤10.00(wt%)とした。
上記のようにして生成されたガラス膜の各々の発泡の状態、基板の反りを評価した結果を、前記表1,2に示した。なお、発泡状態は、耐電圧特性評価用のアルミニウム薄膜電極が形成されたソーダライムガラス基板に絶縁層を印刷形成した試料の絶縁層焼成表面を、実体顕微鏡にて25倍の倍率で観察して評価し、全く泡の発生内包が認められないものを○、一箇所でも泡の発生が認められたものを×とした。また、基板の反りは、アルミニウム薄膜電極が形成されていないソーダライムガラス基板を用い、基板表面の約85(%)を占める面積のべたパターンを印刷焼成して、焼成後に平行定盤上にてすきまゲージを用いて測定し、50(μm)以下を◎、100(μm)以下を○、200(μm)以下を△、200(μm)を超えたものを×とした。
上記評価結果によれば、Si-B-Zn-アルカリ系の実施例1〜5は、ガラス転移点が500(℃)程度以下、屈伏点も578(℃)以下と、何れも十分に低く、一方、熱膨張係数は7.5〜7.9(ppm)と、ガラス基板と同程度であった。また、発泡は何れも認められず、基板の反りも100(μm)以下に留まった。しかしながら、Li量を減じ、Zn量を多く、Biを添加した実施例6〜8では、ガラスの粘性が低下するので、基板の反りが50(μm)以下と、一層少なく、安定したガラス膜が得られる。なお、測定値は特に示さないが、ガラス組成の実施例1〜8の耐電圧特性については、ペースト組成の実施例9または10に示される組成に従って評価したところ、何れも平均耐圧1.0(kV)以上且つ最低耐圧0.5(kV)以上という判断基準に対して合格の結果が得られた。
これに対して、比較例1は、SiO2が過少でB2O3も比較的少ない範囲に留められていることから化学安定性が劣り、しかも、ZnO成分がやや多いことからアルミニウム膜との反応性が増している。そのため、発泡が多数発生すると共に、反りも200(μm)を超える程度まで大きくなるので、絶縁体層44の構成材料として不適当である。また、比較例2は、アルカリ金属量が6.50(mol%)と過少であることから、粘性が高くなるので、発泡が多数発生し、絶縁体層44の構成材料として不適当である。また、比較例3は、燐酸を骨格材料とすることによって軟化点を低下させたものであるが、発泡が多く、化学的安定性も不十分であった。また、比較例4は、アルカリ土類金属が含まれていないことから、化学的安定性に劣り、発泡および基板反り共に不十分な結果となった。また、比較例5は、ZnO成分がやや多いことからアルミニウム膜との反応性が増している。そのため、発泡が多数発生すると共に、反りも200(μm)を超える程度まで大きくなり、更に、熱膨張係数も過大になるので、絶縁体層44の構成材料として不適当である。また、比較例6は、アルカリ土類金属が過多であると共にアルカリ金属が過少であるため、軟化点が高過ぎる結果となっている。また、比較例7、8は、実施例1に対して、Li2Oを0に、Na2Oを増加させ、SiO2、CaO、SrOを減少させたものであるが、アルミニウム膜との反応性は抑えられているが、アルカリ金属が過少であるため軟化点が上昇する。そのため、屈伏点が上昇すると共に熱膨張係数が過大になることから、反りが大きくなっている。
次に、前記実施例1のガラス組成を用いて、ペーストの調合組成を種々変更して特性を比較した結果を説明する。
下記の表3は、調合組成および特性評価結果をまとめたものである。実施例9〜12は、酸化剤(フィラー)としてAg2Oを用い、ガラスに対して0.1〜2.0(wt%)の範囲で混合したものであり、比較例9〜12は、酸化剤を含まないか、他の酸化剤を混合したものである。なお、これらの実施例および比較例は、酸化剤の種類および量を異なるものとした他は、全て同一の調合仕様とした。なお、顔料としては、Cu-Cr-Co-Mn-Mo系複合酸化物またはCu-Cr-Mn系複合酸化物を用いた。また、表4にベヒクルの組成を示す。また、溶剤としてはBDGAを用いた。
上記の表3において、各特性値は、各調合で調製したガラスペーストを、ソーダライムガラス基板上に形成された厚さ寸法が1.0(μm)程度のアルミニウム薄膜上にスクリーン印刷法によって塗布し、連続ベルト炉にて、最高保持温度580(℃)で約5分間保持して焼成処理を施し、絶縁層を形成して測定した。絶縁層の焼成後の厚さ寸法は、25〜30(μm)である。
また、平均耐圧は、形成された絶縁層の各々について、例えば菊水電子(株)製直流耐圧試験機 TOS9201を用いて自動測定した。測定条件は、上限基準電流値を10(μA)、試験電圧最大4.0(kV)とした。調合組成の各々について18点の測定を行い、平均耐圧および最低耐圧に基づいて耐圧性を評価した。評価基準は以下の通りである。すなわち、平均耐圧が1.5(kV)以上且つ最低耐圧が0.5(kV)以上を◎、平均耐圧が1.0(kV)以上且つ最低耐圧が0.5(kV)以上を○、平均耐圧1.0(kV)未満を△、平均耐圧0.5(kV)未満を×とした。◎および○が絶縁体層44に用い得るだけの耐圧を有している合格品、△および×が耐圧が不足する不合格である。
上記各実施例および比較例の絶縁耐圧測定結果を図4に示す。図4において、●は測定値を、○は各実施例および比較例における平均値をそれぞれ表している。
上記測定結果によれば、酸化剤としてAg2Oを用いた実施例9〜12は、ばらつきは比較的大きいものの1.4〜2.0(kV)程度の良好な絶縁耐圧を有しており、少なくともガラス粉末に100重量部に対する割合で0.1〜2.0重量部の範囲で発泡が十分に抑制され、平均耐圧で1.0(kV)以上且つ最低耐圧で0.5(kV)以上の所望の絶縁耐圧が得られることが確かめられた。
これに対して、酸化剤を含まない比較例9、酸化剤としてZrO2、Al2O3、TiO2を用いた比較例10〜12では、何れも平均耐圧が1.0(kV)未満に留まり、所望の絶縁耐圧が得られなかった。酸化剤を含まない比較例9は、アルミニウム薄膜と絶縁層との境界面における発泡が著しいため、十分な絶縁耐圧が得られないものと考えられる。また、酸化剤としてZrO2を添加した比較例10では、酸化剤を何ら添加しない場合よりも却って発泡が増加し、絶縁耐圧が著しく低下した。また、酸化剤としてAl2O3或いはTiO2を添加した比較例11,12では、殆ど添加効果が得られなかった。但し、これら比較例9〜12は、VFD10の絶縁層として不適当であることから「比較例」としたものであり、耐電圧が低くとも差し支えのない他の用途にはこれら比較例9〜12のペーストも用い得る。そのような用途としては、チップ抵抗用オーバーコートガラス等の部品用オーバーコートガラスが挙げられる。
なお、上記の実施例9〜12の結果のうち、酸化剤Ag2Oの添加量が0.1(wt%)の実施例11は、絶縁耐圧が1.5(kV)未満に留まっている。したがって、Ag2Oの添加量が0.1(wt%)でも十分な効果を得ることができるが、0.5(wt%)以上とすることが一層好ましいことが判る。また、絶縁耐圧が1.5(kV)未満或いは1.0(kV)未満になる最大添加量は確認していないが、少なくとも2.0(wt%)の添加量では、1.0(wt%)の場合よりも絶縁耐圧が劣るものの、1.5(kV)以上の十分に高い絶縁耐圧が得られる。したがって、2.0(wt%)を超える添加量とすることは費用対効果の観点で好ましいとは言えない。以上により、Ag2Oの添加量は、2.0(wt%)以下の範囲が好ましく、特に、0.5〜2.0(wt%)の範囲が好ましいと言える。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10:VFD、12:基板、14:スペーサ、16:カバー・ガラス板、18:端子、20:表示面、22:蛍光体層、24:グリッド電極、26:補助グリッド電極、28:端子パッド、30,32:グリッド配線、34:端子部材、36:アンカ、38:フィラメント、40:陽極配線、42:スルーホール、44:絶縁体層、46:陽極、48,50:リブ状壁
Claims (6)
- B2O3を20〜50(mol%)の範囲内、SiO2を15〜30(mol%)の範囲内、ZnOを5〜40(mol%)の範囲内、RO(但し、RはCa、Sr、Baの少なくとも一種)を5〜15(mol%)の範囲内、R'2O(但し、R'はLi、Na、Kの少なくとも一種)を10〜25(mol%)の範囲内、Al2O3、ZrO2、およびTiO2を合計で3〜20(mol%)の範囲内でそれぞれ含むことを特徴とする無鉛絶縁ガラス組成物。
- 熱膨張係数が65〜80(ppm)の範囲内である請求項1の無鉛絶縁ガラス組成物。
- ガラス転移点が510(℃)以下である請求項1または請求項2の無鉛絶縁ガラス組成物。
- 前記請求項1乃至請求項3の何れかに記載の無鉛絶縁ガラス組成物と、所定の有機溶剤およびベヒクルとを含むことを特徴とする無鉛絶縁ガラスペースト。
- 所定量の酸化剤を含むものである請求項4の無鉛絶縁ガラスペースト。
- 前記無鉛絶縁ガラス組成物100重量部に対してAg2Oを1.0重量部以下の範囲で含むものである請求項4の無鉛絶縁ガラスペースト。
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