JP4963953B2 - 水系金属表面処理剤、金属表面処理方法及び表面処理金属材料 - Google Patents

水系金属表面処理剤、金属表面処理方法及び表面処理金属材料 Download PDF

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本発明は、金属を素材としたシートコイルや成形品の表面に、耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性を付与すると共に、クロムを含まない皮膜を形成させるために用いる水系金属表面処理剤、当該処理剤を用いての金属表面処理方法、並びに、優れた耐食性等を奏する表面処理金属材料(表面被覆金属材料)に関する。更に詳しくは、鉄、亜鉛、亜鉛めっき鋼、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼、アルミニウム、アルミニウム合金を素材とする自動車部材、家電製品、更には外壁材、農業用ビニールハウスの支柱等の建材製品、ガードレール、防音壁、排水溝等の土木製品に使用されるシートコイル、成形加工品、鋳造品等に対して、優れた耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性、更には優れた耐薬品性、塗装密着性、耐指紋性を付与すると共に、クロムを含まない皮膜を形成させるために用いる水系金属表面処理剤、当該処理剤を用いての金属表面処理方法、並びに、優れた耐食性等を奏する表面処理金属材料(表面被覆金属材料)に関する。
鋼、亜鉛めっき鋼、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼等の鋼材、アルミニウム材、亜鉛材等の金属は、大気中の水分や酸素、塩素イオン、硫酸イオン等の腐食性イオンによって酸化され腐食する結果、腐食生成物により景観を損ねる、金属そのものの強度低下を引き起こす等、様々な不具合をもたらしている。
これらの腐食を防止する方法として、従来からクロム酸クロメート、リン酸クロメート等のクロムを含有する処理液に金属材料表面を接触させてクロメート皮膜を形成させる反応型クロメート処理方法、クロム酸塩又はクロム酸塩とシリカを主成分とした処理液を金属表面に塗布し乾燥する塗布型クロメート処理方法があり、広い分野で古くから使用されてきた。これらのクロメート処理を用いて形成された皮膜は優れた耐食性を有しているが、その処理液は発癌性で有害な6価クロムを含有しており、廃水処理に手間やコストがかかる他、処理によって形成された皮膜中にも6価クロムが含まれているので、環境汚染及び人体への悪影響の懸念から使用規制の方向にある。欧州におけるEU指令のRoHSは、家電用製品への6価クロムを含む4元素、2化合物の使用を2006年7月以降は禁止することを明確化しており、これに連動して、日本国内の大手電機メーカー、OA機器メーカーは、6価クロムのみならずクロム化合物を含む有害物質の使用を自主規制している。
このように、クロムフリーの表面処理剤が望まれており、クロムを使用しない防錆技術に関し多くの提案がなされている。例えば、特許文献1に記載の技術は、互いに反応し得る特定構造のシランカップリング剤をベースに無機酸を配合させた処理剤に関するものであり、特許文献2に記載の技術は、更に特定構造のフェノール樹脂を配合させた処理剤に関するものである。また、本発明者らも、優れた耐食性等を有する皮膜を形成し得る、特定のバナジウム化合物をベースとした処理剤、処理方法及び処理金属材料に関する提案をしている(特許文献3)。
これまでに開示された技術は、特定の処理条件、特定の使用条件によってはクロメート代替になり得るものの、本来クロメートが有する高い耐食性、耐薬品性、密着性をクロメート処理と同等の処理条件(付着量、塗布条件、乾燥条件、ポットライフ等)で、同等の性能を付与できるものではなく、コスト面、設備面を含めた真の意味での、クロメートに代替し得るクロメートフリー技術は未だ達成されていないのが実情である。
特開平8−73775号公報 特開平9−241576号公報 特開2002−30460号公報
そこで、本発明は、従来技術で成し得なかったクロメートと同等以上の耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性を有し、かつ、耐薬品性、塗装密着性、耐指紋性、加工性を付与することが可能であると共に、広範囲のpHで高濃度でも長期に安定な、クロムを含有しない水系金属表面処理剤、当該処理剤を用いての金属表面処理方法、並びに、優れた耐食性等を奏する表面処理金属材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前述した課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のバナジウム化合物を用いた処理剤で金属表面を処理することで、クロメートと同等以上の耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性を有し、かつ、耐薬品性、塗装密着性、耐指紋性、加工性を付与し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。概略、本発明は、特定のバナジウム化合物をベースとした、クロムを含有しない、特に耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性を有する無機ベースの水系金属表面処理剤と、その処理方法と、当該方法により処理された金属材料に関する発明である。更には、有機高分子や樹脂と、前記のバナジウム化合物とを含み、かつ、クロムを含有しない、特に耐食性、耐指紋性、耐黒変性、耐薬品性、塗装密着性、加工性に優れた有機ベースの水系金属表面処理剤と、その処理方法と、当該方法により処理された金属材料に関する発明である。更には、金属表面に前記の無機系水系金属表面処理剤や有機無機含有の水系金属表面処理剤を塗布して乾燥することで形成された無機ベースの皮膜上又は有機ベース皮膜上に、耐食性、耐薬品性、加工性等を付与する有機系の樹脂コーティングをする耐指紋性付与金属板の処理方法と、当該方法により処理された金属材料に関する発明である。更には、金属表面に前記の無機系水系金属表面処理剤又は有機無機含有の水系金属表面処理剤を塗布して乾燥することで形成された無機ベースの皮膜上又は有機ベース皮膜上に、プレコート鋼板(PCM)に用いられるPCMプライマー塗装を施し、次いでその上層としてPCMトップコートを施すPCM鋼板の製造方法と、当該方法により得られたPCM鋼板材に関する発明である。
本発明(1)は、一般式(I):
Figure 0004963953
(式中、Mは、NHと、脂肪族アミン、脂肪族ヒドロキシルアミン、芳香族アミン及び芳香族ヒドロキシルアミンの4級アンモニウムイオンと、アルカリ金属と、アルカリ土類金属とからなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Pは、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン、有機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;Fは、フッ素を含有する無機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;xは0〜10であり;yは0〜10であり;zは0〜10であり;wは0〜10であり;z+w=0.2以上であり;Vの価数は、4価及び/又は3価である)で示されるバナジウム化合物(a)の少なくとも1種を添加することにより得られる、クロムを含有しない水系金属表面処理剤(A)である。
本発明(2)は、バナジウム化合物(a)におけるVの価数が4価である、前記発明(1)の水系金属表面処理剤である。
本発明(3)は、Zr化合物、Ti化合物及びSi化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b)が更に添加されている、前記発明(1)又は(2)の水系金属表面処理剤である。
本発明(4)は、化合物(b)が、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタニウム水素酸、ヘキサフルオロシリコン水素酸、これらのアンモニウム塩、これらのアルカリ金属塩及びこれらのアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b1)と、一般式(II):
Figure 0004963953
(式中、Maは、H、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Acは、炭酸、硫酸、硝酸及び酢酸からなる群より選択される、少なくとも1種の酸アニオンであり;qは0〜3であり;rは0〜3であり;sは0〜3であり;tは0.5〜3である)で示される、少なくとも1種のジルコニウム化合物(b2)と、少なくとも1種のコロイダルシリカ(b3)と、少なくとも1種のアルカリケイ酸塩(b4)と、少なくとも1種の有機シラン化合物(b5)とからなる群より選択される、少なくとも1種の化合物である、前記発明(3)の水系金属表面処理剤である。
本発明(5)は、Mg化合物、Al化合物、Ni化合物、Co化合物及びFe化合物からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物(c)が更に添加されている、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの水系金属表面処理剤である。
本発明(6)は、水系金属表面処理剤(A)が、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分(d)を含有する、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの水系金属表面処理剤である。
本発明(7)は、成分(d)が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、前記発明(6)の水系金属表面処理剤である。
本発明(8)は、水系金属表面処理剤(A)が、少なくとも1種の水系潤滑剤(e)を含有する、前記発明(1)〜(7)のいずれか一つの水系金属表面処理剤である。
本発明(9)は、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤(A)を、金属材料表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することにより、金属材料表面に乾燥付着重量0.02〜3g/mの皮膜を形成させる工程を含む、金属表面処理方法である。
本発明(10)は、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤(A)を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板又はアルミニウム板の表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することにより、乾燥付着重量0.02〜1g/mの皮膜を形成させる工程を含む、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板又はアルミニウム板の一時防錆表面処理方法である。
本発明(11)は、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤(A)を、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することにより、付着量0.02〜1g/mの皮膜を形成させる工程を含む、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板又は化成処理アルミニウム板の後シーリング表面処理方法である。
本発明(12)は、前記発明(6)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤(A)を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することにより、乾燥付着重量0.3〜3g/mの皮膜を形成させる工程を含む、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板又は化成処理アルミニウム板の耐指紋性表面処理方法である。
本発明(13)は、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤(A)を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面の表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することで乾燥付着重量0.02〜2g/mの皮膜を形成させ、次いで、その皮膜上に、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分(好適には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分)を含有する耐指紋性付与処理剤(B1)を塗布した後、乾燥(好適には40〜250℃で)することで0.1〜2g/mの有機皮膜を形成させる工程を含む、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板又は化成処理アルミニウム板の耐指紋性表面処理方法である。
本発明(14)は、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つの水系金属表面処理剤を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面に塗布し乾燥(好適には40〜250℃で)することで乾燥付着重量0.02〜2g/mの皮膜を形成させ、次いで、その皮膜上に、PCMプライマー塗料(B2)を乾燥膜厚で1〜30μmになるよう塗布してで乾燥(好適には100〜250℃で)した後、更に上層にPCMトップコート(B3)を乾燥膜厚で2〜10μmになるよう塗布して乾燥(好適には100〜250℃で)する工程を含む、PCM鋼板の製造方法である。
本発明(15)は、前記発明(9)〜(14)のいずれか一つの方法により得られた、金属材料、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板、化成処理アルミニウム板又はPCM鋼板である。
本発明(16)は、前記発明(15)の金属材料、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板、化成処理アルミニウム板又はPCM鋼板が所定の形状に加工された、金属製品又はその部品である。
以下、本発明の最良形態について説明する。但し、以下の記載は、あくまでも最良形態であり当該記載に限定されるものではない。例えば、数値範囲の上限や下限を好適範囲として記載しているが、当該上限や下限を超えた場合であっても、本発明の構成要件を充足する限り、本発明の技術的範囲内である。加えて、本表面処理剤は、使用時には水溶液の形態であるが、使用時に水で希釈する濃縮タイプや水を添加する乾燥タイプも本表面処理剤の概念に包含される。以下では、液状の水系表面処理剤を例にとり説明する。
まず、本発明に係る水系金属表面処理剤(A)を説明する。本発明に係る水系金属表面処理剤(A)は、一般式(I):
Figure 0004963953
(式中、Mは、NHと、脂肪族アミン、脂肪族ヒドロキシルアミン、芳香族アミン及び芳香族ヒドロキシルアミンの4級アンモニウムイオンと、アルカリ金属と、アルカリ土類金属とからなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Pは、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオンと、リンを含有する酸基を有する有機酸アニオンと、リンを含有する酸基を有する錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;Fは、フッ素を含有する無機酸アニオンと、フッ素を含有する錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;xは0〜10であり;yは0〜10であり;zは0〜10であり;wは0〜10であり;z+w=0.2以上であり;Vの価数は、4価又は3価である)で示されるバナジウム化合物(a)の少なくとも1種を添加することにより得られる。以下、本バナジウム化合物(a)を詳述する。
まず、当該バナジウム化合物(a)は、バナジウムが4価又は3価であるオキシバナジウムカチオンと、リンを含有するアニオン及びフッ素を含有するアニオンの少なくとも一方とを必須的に含有し、Mイオンや水酸イオンを任意的に取り込んだ、塩又は錯化合物である。尚、バナジウム化合物(a)を表す一般式(I)において、水和水を要素として盛り込んでいないが、水和水を持つ形で存在するものもバナジウム化合物(a)に包含されるものとする。以下、各要素を詳述する。
まず、必須要素である4価及び3価であるオキシバナジウムカチオンは、夫々、VO2+及びVOである。ここで、バナジウムは4価であることが好適である。
次に、必須要素であるアニオンの内、リンを含有するアニオンは、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン(PIno)と、リンを含有する酸基を有する有機酸アニオン(Porg)と、リンを含有する酸基を有する錯化合物アニオンとからなる群より選択される少なくとも1種のアニオンである。ここで、「リンを含有する酸基」とは、リンを含有するオキソ酸であり、例えば、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン基を挙げることができる。尚、式(I)中の「P」は、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン(PIno)、リンを含有する酸基を有する有機酸アニオン(Porg)及びこれらの錯化合物アニオンを表す総称としての記号であり、これらの中の1種又は2種以上の組み合わせであってもよく、「z」は、その合計の数値である。
ここで、バナジウム化合物(a)において、無機酸アニオン(PIno)は、特に金属素材との反応性が高く、優れた密着性が付与されるため、耐食性を高める他、耐黒変性、耐熱黄変性、耐薬品性(例えば耐アルカリ性)を高める効果が大きい。有機酸アニオン(Porg)は、オキシバナジウムカチオンと配位結合し得るものが多く、キレート作用により水溶液中で安定なバナジウム化合物(a)を形成するのに有効である他、本発明の処理剤を金属表面に塗布乾燥して皮膜形成させる際、オキシバナジウムカチオン又は他の金属カチオンを介して三次元構造を形成するため、造膜性を高め加工部の耐食性、加工部の塗装密着性を向上させる効果が大きい。
リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン(PIno)としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、縮合リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサメタリン酸等の無機酸の少なくとも1個の水素が遊離した無機酸アニオンを挙げることができ、リンを含有する酸基を有する有機酸アニオン(Porg)としては、例えば、1−ヒドロキシメタン−1、1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロパン−1、1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸、2−ヒドロキシホスホノ酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミン−N,N,N´,N´−テトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミン−N,N,N´,N´−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン−N,N,N´,N´´,N´´−ペンタ(メチレンホスホン酸)、2−ホスホン酸ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、イノシトールヘキサホスホン酸、フィチン酸等の有機ホスホン酸、有機リン酸等の少なくとも1個の水素が遊離した有機酸アニオンを挙げることができる。
次に、必須要素であるアニオンの内、フッ素を含有するアニオンは、フッ素を含有する無機酸アニオンと、フッ素を含有する錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンである。尚、式(I)中の「F」は、フッ素を含有する無機酸アニオン及び錯化合物アニオンを表す総称としての記号であり、これらの中の1種又は2種以上の組み合わせであってもよく、「w」は、その合計の数値である。
ここで、バナジウム化合物(a)において、フッ素を含有する無機酸アニオン及び錯化合物アニオンは、金属への配位力が大きいため、オキシバナジウムカチオンと水溶液中で安定な化合物を形成する効果に優れている他、金属素材をエッチングする作用を持つため、本発明の処理剤を金属表面に塗布乾燥して皮膜形成させる際、素材金属表面と反応し高い密着性を付与することができ、耐食性は勿論のこと、耐黒変性、耐熱黄変性、耐アルカリ性等の耐薬品性を向上させる効果がある。
フッ素を含有する無機酸アニオン又はフッ素を含有する錯化合物アニオン(F)としては、フッ素イオン、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタニウム水素酸、ヘキサフルオロシリコン水素酸、ヘキサフルオロハフニウム水素酸、フッ化錫水素酸等の酸から少なくとも一つの水素が遊離したアニオン又はこれらの錯化合物アニオンを挙げることができる。
ここで、バナジウム化合物(a)を構成するこれらアニオンにおいて、PInoとPorgを含有していることが、それぞれのアニオンの特徴を活かすことができるためより好適である。また、PInoとPorgとFとを含有することが、更に好適である。加えて、オキシバナジウムカチオンの価数よりも、リンを含有するアニオン(P)及びフッ素を含有するアニオン(F)の総価数が多いことが、水溶化の観点からより好適である。即ち、バナジウム化合物(a)を構成する任意のPをP、任意のFをFiとすると、オキシバナジウムイオンが4価(VO2+)の場合、2<(ΣziPival+ΣwiFival)<10であることが好ましい。また、3価(VO)の場合、1<(ΣziPival+ΣwiFival)<5であることが好ましい。ここで、PivalはPiの価数、ziはPのモル数、FivalはFiの価数、wiはFiのモル数である。
次に、任意要素であるMイオンは、バナジウム化合物(a)のアニオンを中和するカチオンである。例えば、アンモニウムイオン(NH );脂肪族アミン、脂肪族ヒドロキシアルキルアミン、芳香族アミン及び芳香族ヒドロキシアルキルアミンの4級アンモニウムイオン、例えば、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミン等の4級アンモニウムイオン;アルカリ金属、例えば、Na、K、Li、Rb、Cf、Fr;アルカリ土類金属、例えば、Ca2+、Ba2+、Mg2+、Sr2+、Ra2+を挙げることができる。これらのカチオンは、特に水系金属表面処理剤のpHが5以上で、特にアルカリ側にある場合、バナジウム化合物(a)が安定に溶解して存在するための対イオンともいい得る。ここで、金属表面上で皮膜化する際には遊離し、皮膜に残存しない方が皮膜の性能上望ましく、これらカチオンの中で、アンモニウムイオンや沸点が250℃以下のアミン化合物の4級アンモニウムイオンであることが好適である。尚、上記において「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基や化合物等を意味し、好適には炭素数1〜15の、直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素骨格を有するものを指す(より好適には1〜8)。また、脂肪族及び芳香族共に、炭素骨格の一部がヘテロ原子で置換されているものや、炭素骨格の水素の一部が置換されているものも包含する。
次に、任意要素であるOHは、化合物(a)内に存在していなくともよいが、存在している場合には、高いpHで安定化するので好適である。
次に、バナジウム化合物(a)における各要素の存在比について説明する。一般式(I)において、xは、0〜10であり、より好適には0〜6である。yは、0〜10であり、より好適には0〜6である。zは、0〜10であり、より好適には0.2〜6である。wは、0〜10であり、より好適には0.2〜6である。但し、z+wの総和は、0.2以上であり、0.2〜14であることが好適であり、より好適には0.5〜10である。z+wの総和が0.2以下であるときには、表面処理剤中で安定に存在できない場合があり、他方、14以上であるときには、本処理剤によって形成された皮膜の耐水性が不足し、耐食性、耐アルカリ性等が劣る場合がある故である。
次に、4価のオキシバナジウムを含有するバナジウム化合物(a)の具体例を挙げる。まず、4価のオキシバナジウムとリンを含有する酸基を有する無機酸アニオン又は有機酸アニオンとの化合物としては、例えば、VO(HPO4)、β-VOHPO4、NH4VOPO4、LiVOPO4、NaVOPO4、KVOPO4、Mg0.5VOPO4、VO(H2PO4)2、(NH44VO(PO4) 2、NH4VO(HPO4)(H2PO4)、LiVO(HPO4)(H2PO4)、KVO(HPO4)(H2PO4)、NaVO(HPO4)(H2PO4)、(NH4)2VO(HPO4)2、Li2VO(HPO4)2、Na2VO(HPO4)2、K2VO(HPO4)2、MgVO(HPO4)2、(NH4)2VO(OH)(PO4)、H4VO(OH)2(PO4)、(NH4)3VO(OH)(HPO4)2、NH4VO(OH)(H2PO4)2、VO(PO4)2/3、(NH4)VO(HP2O7)、VO(P2O7)1/2、NaVO(HP2O7)、Mg2VO(P2O7)、(NH4)2VO(OH)(PO4)、Mg2NH4VO(OH)(P2O7)(H2PO4)2、VO(H3P3O10)、(NH4)3VO(OH)(H3P3O10)2、(NH4)6VO(HPO4)(H3P3O10)(P2O7)、(NH4)2VO(C2H4P2O7)、Li2VO(C2H4P2O7)、Na2VO(C2H4P2O7)、K2VO(C2H4P2O7)、MgVO(C2H4P2O7)、BaVO(C2H4P2O7)、CaVO(C2H4P2O7)、(NH4)3.8Mg0.1VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)3.6Ba0.2VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)3.7Al0.1VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)4.2Ca0.4VO(PO4)(C2H4P2O7)、VO(C2H4P2O7)0.5、(NH4)3VO(C2H4P2O7)(H2PO4)、(NH4)3VO(C2H4P2O7)(H2PO4)、(NH4)4VO(OH)(H2PO4)(C2H4P2O7)、(NH44VO(PO4)(C2H4P2O7)3/4、Li2VO(C2H4P2O7)0.5(HPO4)、K2VO(C2H4P2O7)0.5(HPO4)、Na2VO(C2H4P2O7)0.5(HPO4)、(NH4)4VO(C6H12P6O24)、(NH4)VO(C6H12P6O24)1/2、VO(C6H6P6O24)1/6、LiMgVO(C6HP6O24)5/12、(NH4)Mg2VO(OH)(C6H12P6O24)、(NH4)AlVO(C6H6P6O24)1/2を挙げることができる。次に、4価のオキシバナジウムとフッ素を含有するアニオン又は錯アニオンとの化合物としては、例えば、VOF2、NH2VOF3、Li2VOF4、Na(NH4)VOF4、KMgVOF5、Mg0.5VOF3、VO(HZrF6)2、(NH4)2VO(ZrF6)2、(NH4)2VO(HZrF6)2F2、(NH4)3.8Mg0.1VO(ZrF6)2F2、VO(HTiF6)2、(NH4)2VO(TiF6)2、(NH4)2VO(HTiF6)2F2、(NH4)3.8Mg0.1VO(TiF6)2F2、(NH4)3.8Mg0.1VO(SiF6)2F2、(NH4)2.4Ba0.3VO(SiF6)2Fを挙げることができる。次に、4価のオキシバナジウムと、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン又は有機酸アニオンと、フッ素を含有するアニオン又は錯アニオンとの化合物としては、例えば、VO(H2PO4)F、NH4VO(HPO4)F、LiVO(HPO4)F、(NH4)KVO(PO4)F、NaVO(HPO4)F、VO(H2PO4)(HZrF6)、(NH4)4VO(HPO4)2(HZrF6)2、(NH4)4VO(HPO4)(TiF6)2、(NH4)MgVO(PO4)(HSiF6)2、(NH4)2SrVO(PO4)(HSiF6)(ZrF6)、(NH4)AlVO(HPO4)(TiF6)2、VO(P2O7)1/4F、CaVO(HP2O7)F、Mg2VO(H2P2O7)(ZrF6)、(NH4)4VO(OH)(PO4)(TiF6)、Mg2(NH4)2VO(OH)(P2O7)(HSiF6)、VO(H4P3O10)(HZrF6)、(NH4)3VO(OH)(H3P3O10)(TiF6)、(NH4)3VO(C2H4P2O7)F、(NH4)3.6Mg0.2VO(C2H4P2O7)F2、MgLiVO(C2H4P2O7)(HZrF6)、AlLiVO(C2H4P2O7)(TiF6)、(NH4)2VO(H2PO4)(C2H4P2O7)0.75F等を挙げることができる。
次に、3価のオキシバナジウムを含有するバナジウム化合物(a)の具体例を挙げる。まず、3価のオキシバナジウムとリンを含有する酸基を有する無機酸アニオン又は有機酸アニオンとの化合物としては、例えば、VO(H2PO4)、NH4VOHPO4、LiVOHPO4、NaVOHPO4、KVOHPO4、Mg0.5VOHPO4、(NH42VO(PO4)、LiVO(HPO4)、MgVO(H2PO4)3、(NH4)3VO(OH)(PO4)、(NH4)2VO(HP2O7)、VO(P2O7)1/4、NaVO(H2P2O7)、Mg2VO(HP2O7)、(NH4)2VO(OH)(HPO4)、Mg2NH4VO(OH)(P2O7)(H2PO4)、VO(H3P3O10)、(NH4)2VO(OH)(H3P3O10)、(NH4)3VO(HPO4)(H3P3O10)(NH4)3VO(C2H4P2O7)、Li3VO(C2H4P2O7)、MgVO(C2H4P2O7)3/4、BaVO(C2H4P2O7) 3/4、CaVO(C2H4P2O7)3/4、(NH4)4.8Mg0.1VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)4.6Ba0.2VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)4.7Al0.1VO(PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH4)5.2Ca0.4VO(PO4)(C2H4P2O7)、VO(C2H4P2O7)0.25、(NH4)3VO(C2H4P2O7)、(NH4)4VO(C2H4P2O7)(H2PO4)、(NH4)4VO(OH)(H2PO4)(C2H4P2O7)0.75、(NH44VO(PO4)(C2H4P2O7)1/2、Li2VO(C2H4P2O7)0.5(H2PO4)、K2VO(C2H4P2O7)0.5(H2PO4)、Na2VO(C2H4P2O7)0.5(H2PO4)、(NH4)5VO(C6H12P6O24)、(NH4)2VO(C6H12P6O24)1/2、VO(C6H6P6O24)1/12、LiMgVO(C6H6P6O24)4/12、(NH4)2Mg2VO(OH)(C6H12P6O24)、(NH4)2AlVO(C6H6P6O24)1/2等を挙げることができる。次に、3価のオキシバナジウムとフッ素を含有するアニオン又は錯アニオンとの化合物としては、例えば、VOF、NH2VOF2、Li2VOF3、Na(NH42VOF4、KMgVOF4、Mg0.5VOF2、VO(HZrF6)、(NH4)2VO(ZrF6)、(NH4)2VO(HZrF6)2F、(NH4)3.8Mg0.1VO(ZrF6)2F、VO(HTiF6)、(NH4)3VO(TiF6)2、(NH4)2VO(HTiF6)2F、(NH4)3.8Mg0.1VO(TiF6)2F、(NH4)3.8Mg0.1VO(SiF6)2F、(NH4)3.4Ba0.3VO(SiF6)2F等を挙げることができる。次に、3価のオキシバナジウムと、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン又は有機酸アニオンと、フッ素を含有するアニオン又は錯アニオンとの化合物としては、VO(H2PO4)1/2F1/2、NH4VO(H2PO4)F、LiVO(H2PO4)F、(NH4)KVO(HPO4)F、NaVO(H2PO4)F、VO(H2PO4)1/2(HZrF6)1/2、(NH4)4VO(HPO4)2(HZrF6)、(NH4)4VO(HPO4)(TiF6)、(NH4)MgVO(PO4)(HSiF6)、(NH4)3SrVO(PO4)(HSiF6)(ZrF6)、(NH4)2AlVO(HPO4)(TiF6)2、VO(HP2O7)1/4F、CaVO(H2P2O7)F、Mg2VO(H2P2O7)(HZrF6)、(NH4)4VO(OH)(PO4)(HTiF6)、Mg2(NH4)3VO(OH)(P2O7)(HSiF6)、VO(H4P3O10)1/2(HZrF6)1/2、(NH4)3VO(OH)(H3P3O10)(HTiF6)、(NH4)4VO(C2H4P2O7)F、(NH4)3.6Mg0.2VO(C2H4P2O7)F、MgLi2VO(C2H4P2O7)(HZrF6)、AlLiVO(C2H4P2O7)(HTiF6)等が挙げられる。
これらのオキシバナジウム化合物は、例えば次の方法によって製造可能である。尚、高純度のものを得るという観点では、以下の方法3が好適である。
<方法1>
V2O4又はV2O3を、リンを含有する酸基を有する無機酸若しくは有機酸又はフッ素を含有する酸若しくは錯フッ化物酸に高温(常圧若しくはオートクレーブ中で80℃〜120℃)で溶解させる。
<方法2>
比較的揮発性の高い有機物との化合物若しくは有機錯体、例えば、バナジウム(IV)エトキシド、バナジウム(III)エトキシド等のアルコキシド、オキシバナジウムアセチルアセトネート(IV)、バナジウムアセチルアセトネート(III)等のβジケトン錯体を、リンを含有する酸基を有する無機酸若しくは有機酸又はフッ素を含有する酸若しくは錯フッ化物酸に加熱しながら完全に溶解させ、水分と構成していた有機成分が完全に蒸発するまで加熱乾燥又は真空乾燥して、構成していた有機成分を除去する。尚、蒸発乾固させることがより好ましい。
<方法3:特開2001−233608号公報記載の方法>
五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム等の5価のバナジウム化合物を、リンを含有する酸基を有する無機酸若しくは有機酸又はフッ素を含有する酸若しくは錯フッ化物酸に完全に溶解させ、適当な還元剤を添加して4価若しくは3価のオキシバナジウム化合物を得る。還元剤としては、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン化合物、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシホスホン酸等が好ましい。例えば、V2O5及びH3PO4からVOPO4・2H2Oを得た後、NH2OH・HClを用いて還元してVO(PO4)2/3・5H2Oが得られる。尚、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヒドロキシホスホン酸を還元剤に選べば、リンを含有する酸基を有する無機酸、若しくは有機酸を予め添加しなくてもよい。
次に、バナジウム化合物(a)以外の、本発明に係る水系金属表面処理剤中の各種成分について詳述する。まず、本発明に係る水系金属表面処理剤には、Zr化合物、Ti化合物及びSi化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b)が更に添加されていることが好適である。
ここで、化合物(b)は、例えば、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタニウム水素酸、ヘキサフルオロシリコン水素酸、これらのアンモニウム塩、これらのアルカリ金属塩及びこれらのアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b1)と、一般式(II):
Figure 0004963953
{式中、Maは、H、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Acは、炭酸、硫酸、硝酸及び酢酸からなる群より選択される、少なくとも1種の酸アニオンであり;qは0〜3(好適には0〜2)であり;rは0〜3(好適には0〜2)であり;sは0〜3(好適には0〜2)であり;tは0.5〜3(好適には0.5〜2)である}で示される、少なくとも1種のジルコニウム化合物(b2)と、少なくとも1種のコロイダルシリカ(b3)と、少なくとも1種のアルカリケイ酸塩(b4)と、少なくとも1種の有機シラン化合物(b5)とからなる群より選択される、少なくとも1種の化合物である。
ここで、ジルコニウム化合物(b2)としては、塩基性炭酸ジルコニウム{Zr2(CO3)(OH)2O2}、炭酸ジルコニウムアンモニウム{(NH42[Zr(CO32(OH)2]}、炭酸ジルコニウムカリウム{K2[Zr(OH)2(CO32]}、硝酸ジルコニル{ZrO(NO3)}、酢酸ジルコニル{ZrO(CHCOO)2)}、硫酸ジルコニル、{H2Zr(OH)2(SO42}からなる群より選択される少なくとも1種であることが好適である。硫酸系、硝酸系以外のものであることが更に好適である。
また、コロイダルシリカ(b3)としては、SiOを水に分散した湿式シリカゾルや乾式シリカゾルであることが好適である。
また、アルカリケイ酸塩(b4)としては、SiO2・nMb2O(ここで、nは1〜5であり、Mbはアルカリ金属である)で示される無機珪素化合物であることが好適である。
また、有機シラン化合物(b5)としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリキシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリキシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のテトラ又はトリメトキシシラン等を挙げることができる。また、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のテトラ又はトリメトキシシラン等のテトラ又はトリメトキシシランと、グリシドールとの脱メタノール反応により得られるグリシジル基含有メトキシシランの部分縮合物であっても構わない。これらの中で、互いに反応し得る2分子を予め結合させた多官能の複合シランカップリング剤であることがより好ましく、ビニル基含有シラン同士の重合物、イソシアネート基含有シランとアミノ基含有のシランとの反応物、アミノ基含有のシランとエポキシ基含有シランの反応物の少なくとも1種であることが好ましく、アミノ基含有のシランとエポキシ基含有シランの反応物であることが特に好ましい。
ここで、バナジウム化合物(a)に対する化合物(b)の添加量(総量)は、質量比で0.3〜15であることが好適であり、より好適には0.5〜10である。また、バナジウム化合物(a)に対する、化合物(b)の各成分の好適な添加量は以下の通りである。まず、化合物(b1)、(b2)、(b4)及び(b5)に関しては、(b1)/(a)=(b2)/(a)=(b4)/(a)=(b5)/(a)=0.2〜10が好適であり、0.5〜7であることがより好適である。また、化合物(b3)に関しては、(b3)/(a)=0.05〜5が好適であり、0.1〜3であることがより好適である。
加えて、本発明に係る水系金属表面処理剤には、Mg化合物、Al化合物、Ni化合物、Co化合物及びFe化合物からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物(c)が更に添加されていることが好適である。ここで、Mg化合物及びAl化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(c1)は、特に疵部の耐食性を向上させる効果がある。また、Ni化合物、Co化合物及びFe化合物から選択される少なくとも1種の化合物(c2)は、特に耐黒変性を向上させる効果がある(特に硝酸塩)。Mg化合物としては、例えば、リン酸マグネシウム、重リン酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の無機酸塩、酢酸マグネシウム、蟻酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、マロン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、アスコルビン酸マグネシウム等の有機酸塩が挙げられる。Al化合物としては、例えば、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の無機酸塩、酢酸アルミニウム、蟻酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、マロン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、アスコルビン酸アルミニウム等の有機酸塩が挙げられる。Ni化合物としては、例えば、リン酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル等の無機酸塩、酢酸ニッケル、蟻酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、乳酸ニッケル、マロン酸ニッケル、酒石酸ニッケル、アスコルビン酸ニッケル等の有機酸塩が挙げられる。Co化合物としては、例えば、リン酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、硫酸コバルト等の無機酸塩、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、シュウ酸コバルト、乳酸コバルト、マロン酸コバルト、酒石酸コバルト、アスコルビン酸コバルト等の有機酸塩が挙げられる。Fe化合物としては、例えば、リン酸第一鉄、リン酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の無機塩、酢酸第一鉄、酢酸第二鉄、蟻酸第一鉄、蟻酸第二鉄、シュウ酸第一鉄、シュウ酸第二鉄、乳酸第一鉄、乳酸第二鉄、マロン酸第一鉄、マロン酸第二鉄、酒石酸第一鉄、酒石酸第二鉄、アスコルビン酸第一鉄、アスコルビン酸第二鉄等の有機酸塩が挙げられる。
ここで、バナジウム化合物(a)に対する金属化合物(c)の添加量は、質量比で0.001〜0.5が好適であり、より好適には0.002〜0.3である。
加えて、本発明に係る水系金属表面処理剤は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分(d)を含有することが好適である。当該成分(d)は、加工部耐食性、加工部塗装密着性、耐薬品性等の向上効果がある。ここで、成分(d)としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好適である。以下、各成分について詳述する。
まず、アクリル樹脂は、どのような重合方法により得られたものであるかは特に限定されず、例えば、重合開始剤と乳化剤の存在下で重合する乳化重合、溶液重合、コアシェル型のシード重合等によって得られる、水溶性又は水分散性のアクリルモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。ここで、アクリル樹脂を構成するアクリルモノマーは、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーも特に限定されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエン、マレイン酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルシラン等を挙げることができる。また、ウレタン変性、エポキシ変性、シリル変性等の変性アクリル樹脂も使用可能である。
次に、ウレタン樹脂は、一分子内に2個以上のイソシアネート基を有するジイソシアネート又はポリイソシアネートと、一分子内に2個以上の水酸基を有するジオール又はポリオールとの縮合重合物である。ここで、界面活性剤や水溶性高分子等の分散剤を用いて水分散化した強制乳化タイプ及び構造中に親水基を含む自己乳化タイプの何れも使用可能であるが、強制乳化タイプは、皮膜化した後に遊離した分散剤が溶出し耐水性、塗装密着性を低下させる場合があるので、ソープフリーの自己乳化タイプを使用することがより好適である。ここで、使用可能なイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添MDI、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)等の支環化合物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメレチンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネン・ジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族イソシアネートを挙げることができ、支環イソシアネート、脂肪族イソシアネート等の無黄変タイプを使用したものがより好適である。また、使用可能なポリオール成分としては、1,3−プロパンジオール(1,3−PDO)、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、1,5−ペンタジオール(1,5−PD)、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD)、トリメチロールプロパン(TMP)等の直鎖脂肪族ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリオキシエチレンビスフェノールA
エーテルポリオール、ポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルポリオール、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンエーテルポリオール、ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールエーテルポリオール等のポリエーテルポリオール、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、セバシン酸、ダイマー酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−CHDM、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールとを縮合させたポリエステルポリオール、ポリマーポリオール(POP)、ポリカプロラクトンボリオール(PCL)、ポリカーボネートジオール(PCD)、ポリブタジエンポリオール(PBP)、ネオペンチルグリコール(NPG)、メチルペンタジオール(MPD)等を挙げることができる。これらの原料を用いて重合する際、ポリオール成分の一部として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール化アルキルスルホン酸等のジオール酸を用いて親水基を導入した自己乳化型のアニオンタイプ、N,N−ジエタノールアルキルアミン等のジオールアミンを用いて親水基を導入した自己乳化型のカチオンタイプを用いることができる。イソシアネートとポリオールの重合プレポリマーを水中に分散した後、ジオール、ジアミン等2個以上の活性水素をもつ低分子量化合物を鎖伸長剤として用いて、鎖伸長してより高分子化したものを用いることが可能である。また、アクリル変性、エポキシ変性、シリル変性等の変性ウレタンを使用することも可能である。
次に、エポキシ樹脂は、特に限定されず、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペンジフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物、上記単核多価フェノール化合物或いは多核多価フェノール化合物にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル化合物等、或いは、これらエポキシ化合物をベースに、エポキシ基をビニル変性、アクリル変性、リン酸変性、イソシアネート変性、アミン変性、シリル変性等の変性エポキシを挙げることができる。更には、界面活性剤、水溶性高分子等の分散剤を用いて水分散化した強制乳化タイプや、変性によって親水基を導入したソープフリーの自己乳化タイプも使用可能であり、後者を使用することがより好適である。
次に、ポリエステル樹脂は、特に限定されず、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,4−CHDM、1,6−ヘキサンジオール等のポリオールとを縮合させたポリエステルポリオール、ポリマーポリオール(POP)、ポリカプロラクトンボリオール(PCL)、ポリカーボネートジオール(PCD)、ポリブタジエンポリオール(PBP)、ネオペンチルグリコール(NPG)、メチルペンタジオール(MPD)等のポリオールとの縮合樹脂を挙げることができ、モノマーの一部にトリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボキシル基が3個以上持つモノマーを使用し、未反応のカルボン酸をアルカリで中和して可溶化又は水分散した水系樹脂、或いは、モノマーの一部にスルホフタル酸等のスルホン化したモノマーを使用して可溶化又は水分散した水系樹脂が使用できる。
ポリアミド樹脂は、特に限定されず、例えば、εカプロラクタムの単独重合によって得られる6ナイロン、ヘキサメチレンジアミンと、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の2塩基酸との縮合重合物を挙げることができ、モノマーの一部に、アミノアルキルピペラジン等の3級アミノ基を有するジアミンを使用する等して水溶化又は水分散化したものが使用できる。
ポリオレフィン樹脂は、特に限定されず、例えば、エチレンとアクリル酸の共重合体、エチレンとメタアクリル酸の共重合体をベースとしたアイオノマー樹脂を挙げることができる。
フェノール樹脂は、特に限定されず、例えば、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペンジフェノール等の多核多価フェノール化合物をホルマリンと1級アミン又は2級アミンを用いてアミノ化したカチオン性樹脂を挙げることができる。
ここで、表面処理剤(A)中の成分(d)の含有量は、処理剤中の全不揮発成分を100質量%とした場合、0.1〜99質量%であることが好適である。特に、比較的薄膜で使用される一時防錆皮膜、有機コーティングの下地皮膜、或いはロールフォーミング等のしごき加工を受ける用途、耐熱用途、導電性が要求される用途等の場合には、金属表面処理剤(A)中の成分(d)の含有量は、処理剤中の全不揮発成分を100質量%としたとき、0.1〜30質量%が好適であり、0.2〜20質量%がより好適であり、0.5〜10質量%であることが更に好適である。更には、耐指紋性、加工性、潤滑性等耐指紋性膜、潤滑皮膜等に適用する場合には、金属表面処理剤(A)中の成分(d)の含有量は、全不揮発成分を100質量%としたとき、10〜99質量%が好適であり、20〜90質量%がより好適であり、30〜80質量%であることが更に好適である。
加えて、本発明に係る水系金属表面処理剤は、少なくとも1種の水系潤滑剤(e)を更に含有することが好適である。当該成分(e)としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、合成パラフィン、天然パラフィン等のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド系化合物を挙げることができ、ポリエチレンワックスがより好適である。
ここで、水系潤滑剤(e)の含有量は、処理剤中の全不揮発成分を100質量%としたとき、0.1〜30質量%が好適であり、0.2〜20質量%がより好適であり、0.5〜10重量部であることが更に好適である。
加えて、本発明に係る水系金属表面処理剤は、バナジウム化合物(a)を水溶液中で長期に亘ってより安定に存在させるために、還元性を有する化合物(f)を含有していてもよい。当該成分(f)としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン化合物、ホスホン酸、ホスフィン酸、ヒドロキシカルボン酸(例えば、酒石酸、リンゴ酸、L-アスコルビン酸、d-アスコルビン酸、グルコン酸、ヘプトグルコン酸、ジケトグロン酸)、ヒドロキシホスホン酸等の有機化合物を挙げることができ、ヒドロキシカルボン酸がより好適である。
ここで、化合物(f)を当該剤中に含有させる場合、バナジウム化合物(a)に対する還元性を有する化合物(f)の含有量(添加量)は、質量比で0.02〜50が好適であり、より好適には0.05〜30である。
加えて、本発明に係る水系金属表面処理剤は、増粘剤、レベリング剤、塗れ性向上剤、消泡剤、界面活性剤、タンニン酸、ベンゾトリアゾール、グアニジン系化合物等の防菌添加剤、水溶性のアルコール類、セロソルブ系溶剤を含有していてもよい。
本発明に係る水系金属表面処理剤中に添加する各成分について詳述したので、以下では、本発明に係る水系金属表面処理剤自体を説明する。まず、本処理剤の溶媒は、水系溶媒であり、例えば、水、水に水混和性の有機溶媒(例えば、メタノール、イソプロパノール、アセトン等)を添加したものを挙げることができる。ここで、当該処理剤は、VO2+及び/又はVOと、リン含有アニオン及び/又はフッ素含有アニオンとを必須的に含有し、VO2+及び/又はVO系処理剤に不必要に過剰量で存在していた、表面処理剤としての性能を阻害していたアニオン(例えば、硫酸イオンや硝酸イオン等)を、性能阻害しない程度まで排除したことを特徴とする。ここで、リン含有アニオンやフッ素含有アニオンは、VO2+及び/又はVOの作用を阻害せず、他方、過剰量の硫酸イオンや硝酸イオン等のアニオンは当該作用を阻害する。したがって、前者のみをアニオンとして含む式(I)のバナジウム化合物を表面処理剤の成分として用いることにより、過剰なカウンタアニオンの存在により作用を妨害されることを極力回避できる。具体的には、まず、処理液中において、高濃度で広いpH範囲で長期に亘って安定に存在し得るという作用を遺憾なく発揮できる。更に、本処理剤を金属表面に接液させると、バナジウム化合物が金属表面の電子密度の高い部位(カソード部)に析出し固着する(尚、接液後の加熱乾燥が本反応を促進)という作用をも遺憾なく発揮できる結果、非常に高い金属表面と皮膜の密着性を達成でき、優れた耐食性が付与される。更には、金属表面の腐食を抑制する作用も遺憾なく発揮できる。具体的には、オキシバナジウムカチオン(VO2+又はVO)が、金属表面の腐食反応におけるカソード部において、腐食生成物が形成されるよりも先に吸着し腐食電子をもらい固着する、という一連の腐食抑制メカニズムが妨害されない。
次に、本表面処理剤の製造方法について説明する。本表面処理剤の製造方法は、特に限定されず、溶媒に上記各成分を溶解又は分散させて得ることができる。また、上記各成分に関しては、溶解させる場合には常温下で行っても加熱(<100℃)下で行ってもよい。
次に、本表面処理剤の使用方法(金属材の表面処理方法)について説明する。尚、以下では、一般的な使用方法(用途)をまず説明し、次いで特定用途(一時防錆表面処理、後シーリング表面処理、耐指紋性表面処理、PCM鋼板の製造方法)に使用する際の留意事項を説明することとする。はじめに、当該方法は、金属材表面に塗布する工程と、塗布後に乾燥する工程を含む。尚、一般的には、当該方法は、前記塗布工程の前に、脱脂工程と水洗工程を含む。
そこで、まず塗布工程について説明する。塗布方法としては、従来の方法がそのまま適用でき、例えば、ロールコート、シャワーリンガーロール絞り、スプレー処理、浸漬処理、カーテンコート、フローコート、スピンコート等が可能である。また、塗布量に関しては、皮膜性能(特に耐食性)及び密着性を担保するために、金属材料表面に乾燥付着重量0.02〜3g/mの皮膜を形成させるような条件で塗布することが好適である。
次に、乾燥工程について説明する。まず、乾燥方法としては、従来の方法がそのまま適用でき、加熱乾燥や風乾を挙げることができる。ここで、塗布後の乾燥温度(到達板温度:PMT)は、40〜250℃が好適であり、50〜200℃がより好適である。
また、対象となる金属材は、鉄板、亜鉛板、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、溶融合金化亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミ−亜鉛合金メッキ鋼板、スズ−亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛−ニッケル合金メッキ鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板(単体のアルミニウム板のみならず、アルミニウム合金板を含む)、銅板、チタン板、マグネシウム板等、一般に公知の金属材やメッキ板に適用できる。また、化成処理された金属材を使用してもよい。ここで、化成処理は、接液することにより素材金属と反応し自己析出し得る化成処理液(例えば、通常塗装下地等に適用されるリン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸マグネシウム等を主成分としたリン酸塩処理液、ジルコニウム、チタン、タンニン酸、フィチン酸等を主成分としたクロムフリー化成処理液)を用いて金属表面に化成皮膜を形成させる処理であり、通常、皮膜形成後に水洗をして余剰の化成処理液を除去する。更には、複数種の素材の混在処理にも対応できる。これらの金属材は、処理前に湯洗、アルカリ脱脂等の通常の処理を行っても構わない。
次いで特定用途(一時防錆表面処理、後シーリング表面処理、耐指紋性表面処理、PCM鋼板の製造方法)に使用する際の留意事項を説明する。尚、以下の説明では、より好適な金属板に適用した場合を例に採るが、当該金属板にのみ適用可能という訳ではなく、これらに限定されるものではない(以下で述べる具体的数値は、適用可能な金属板すべてに当て嵌まるものと理解すべきである)。まず、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板又はアルミニウム板の一時防錆表面処理として本水系金属表面処理剤(A)を使用する場合、十分な皮膜性能(特に耐食性)と密着性を担保するため、乾燥付着重量が0.02〜1g/m2となるような条件で塗布することが好適である。
次に、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の後シーリング表面処理として本水系金属表面処理剤を使用する場合、十分な皮膜性能(特に耐食性)と密着性を担保するため、乾燥付着重量0.02〜1g/m2となるような条件で塗布することが好適である。
次に、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の耐指紋性表面処理として本水系金属表面処理剤を使用する場合、十分な耐食性、耐指紋性、耐薬品性、密着性及び導電性を担保するため、乾燥付着重量0.3〜3g/m2となるような条件で塗布することが好適である。
次に、耐指紋性付与処理剤(B1)の下地剤として本水系金属表面処理剤(A)を使用する場合、十分な皮膜性能(特に耐食性)と密着性を担保するため、乾燥付着重量0.02〜2g/m2となるような条件で塗布することが好適である。
次に、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板のPCM塗装下地剤として本水系金属表面処理剤(A)を使用する場合、十分な皮膜性能(特に耐食性)と密着性を担保するため、乾燥付着重量0.02〜2g/m2となるような条件で塗布することが好適である。ここで、PCMプライマー塗料(B2)は、特に限定されず、プライマーの配合中にクロメート系の防錆顔料を使用しないプライマー(ノンクロメートプライマー)の全てが使用可能である。ここで、プライマーの塗布膜厚は、耐食性及び加工時の密着性を担保するため、乾燥膜厚で1〜30μmであることが好適である。また、ノンクロメートプライマーの焼き付け乾燥条件は、100〜250℃であることが好適である。更に、ノンクロメートプライマー上に塗布する塗膜PCMトップコート(B3)は、特に限定されず、通常の塗装用トップコート全てが使用可能である。ここで、塗布膜厚は、耐食性及び加工時の密着性を担保するため、乾燥膜厚で1〜30μmであることが好適である。尚、上記ノンクロメートプライマー及びトップコートの塗布方法は、特に限定されず、一般に使用される浸漬法、スプレー法、ロールコート法、エアースプレー法、エアレススプレー法等を挙げることができる。
次に、前記表面処理により皮膜が形成された金属材について説明する。まず、形成される皮膜の皮膜質量は、一般的には、前記のように、0.02〜3g/m(乾燥質量)であることが好適である。また、一時防錆表面処理の場合には、前記のように、0.02〜1g/m(乾燥質量)であることが好適であり、後シーリング表面処理の場合には、前記のように、0.02〜1g/m2(乾燥質量)であることが好適であり、耐指紋性表面処理の場合には、前記のように、0.3〜3g/m2(乾燥質量)であることが好適であり、耐指紋性付与処理剤(B1)の下地剤としての処理の場合には、前記のように、0.02〜2g/m2(乾燥質量)であることが好適であり、PCM塗装下地剤としての処理の場合には、前記のように、0.02〜2g/m2(乾燥質量)であることが好適である。
次に、本表面処理剤による皮膜が形成された金属材の利用方法(用途)について説明する。まず、当該金属材を所望の形状に加工することにより、各種金属製品を得ることができる。当該金属製品としては、例えば、自動車部材、家電製品、外壁材、農業用ビニールハウスの支柱等の建材製品、ガードレール、防音壁、排水溝等の土木製品に使用されるシートコイル、成形加工品、鋳造品等を挙げることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<供試材>
以下の市販の素材を供試材として使用した。
・溶融亜鉛めっき鋼板(GI)
板厚=0.5mm、目付量=90/90(g/m2
・電気亜鉛めっき鋼板(EG)
板厚=0.5mm、目付量=30/30(g/m
・溶融55%亜鉛合金めっき鋼板(GL)
板厚=0.8mm、目付量=90/90(g/m
<金属板の清浄方法>
中アルカリ脱脂剤{登録商標:ファインクリーナー4336、日本パーカライジング(株)製}薬剤濃度:20g/lを用い、処理温度:60℃、処理時間:20秒の条件で、上記金属材料の表面をスプレー処理し、表面に付着しているゴミや油を除去した。次いで、表面に残存しているアルカリ分を水道水により洗浄し、供試材の表面を清浄化した。
<処理剤>
本発明の金属表面処理剤(A)に使用した各成分を以下に示す。尚、バナジウム化合物(a)は、特開2001−233608号公報に記載の方法に従い製造した。
バナジウム化合物(a)
a1 VO(HPO4)
a2 (NH44VO(PO4)2
a3 (NH4)3VO(OH)(H3P3O10)2
a4 Li2VO(C2H4P2O7)
a5 (NH4)2VO(H2PO4)(C2H4P2O7)0.75F
a6 NaVO(H2P2O7)
a7 VOF2
a8 MgLi2VO(C2H4P2O7)(HZrF6)
化合物(b)
b1-1 (NH4)2ZrF6
b1-2 H2SiF6
b2-1 (NH4)2ZrO(OH)2(CO3)2
b3-1 スノーテックスN{日産化学(株)製}
b4-1 SiO2・3Na2O
b5-1 3−アミノプロピルトリメトキシシラン
b5-2 3−グリキシドキシプロピルトリメトキシシラン
金属化合物(c)
c-1 MgHPO
c-2 Ni(NO32
c-3 CoCO
水分散性樹脂(d)
d-1 St(20)/MMA(10)/AN(15)/2-HEMA(3)/AA(5)/BA(45)/GMA(2)
*括弧内は、モノマーのmol%
d-2 EA(85)/AA(15)のアンモニウム塩
d-3 カチオン性ウレタン樹脂
イソシアネート:IPDI
ポリオール :[テレフタル酸(50)/セバシン酸(40)/
N-メチルジエタノールアミン(10)/エチレングリコール(50)/
1,6−ヘキサンジオール(50)]のポリエステルポリオール
鎖伸長剤 :エチレンジアミン
4級化剤 :硫酸エチル
水系潤滑剤(e)
e-1 ケミパールW500(三井化学(株)製)
耐指紋性付与処理剤(B1)
B1-1 TOP−5237{日本パーカライジング(株)製}
ノンクロメートPCMプライマー(B2)
B2-1 Vニット#200{大日本塗料(株)製}
上塗り塗料(B3)
B3-1 Vニット#500{大日本塗料(株)製}
本実施例で用いた処理剤の組成を表1に示す。尚、表1中の「量」は質量%であり、溶媒として脱イオン水を用いた。また、溶媒/成分の合計=80/20とし、処理する際には目標の付着量になるよう適宜脱イオン水で希釈した。
Figure 0004963953
<試験及び評価方法>
処理剤の安定性試験
処理剤を40℃に2週間放置し、液外観を観察した。結果を表2に示す。
◎:ほとんど変化なし
○:若干の濁りあり
△:沈殿あり
×:ゲル化、又は多量の沈殿あり
Figure 0004963953
(a)一時防錆処理として
耐食性試験
試験板(GI)に対し、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を48時間実施した。耐白錆性を目視にて測定し評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表3に示す。
◎:白錆発生率5%未満
○:白錆発生率5%以上、10%未満
△:白錆発生率10%以上、50%未満
×:白錆発生率50%以上
耐黒変性試験
試験板を温度70℃、湿度98%の雰囲気に7日間放置し、色調の変化を色差計にて測定した。
◎:△Eが2未満
○:△Eが2以上、4未満
△:△Eが4以上、6未満
×:△Eが6以上
耐熱黄変性試験
試験板を300℃で30分間、加熱乾燥し、色調の変化を色差計にて測定した。
◎:△Eが2未満
○:△Eが2以上、4未満
△:△Eが4以上、6未満
×:△Eが6以上
Figure 0004963953
(b)耐指紋処理として
耐食性試験
処理平面部とエリクセン7mm張り出し加工を施した処理板(EG)を試験板として、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を120時間実施した。耐白錆性を目視にて測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表4に示す。
◎:白錆発生率5%未満
○:白錆発生率5%以上、10%未満
△:白錆発生率10%以上、50%未満
×:白錆発生率50%以上
耐薬品性試験
試験板に、日本パーカライジング(株)社製アルカリ脱脂剤パルクリーン364Sを20g/Lに建浴し、60℃に調整した脱脂剤水溶液を30秒間スプレーし、水洗した後、80℃で乾燥した。この板に対して、処理平面部とエリクセン7mm張り出し加工を施した処理板(EG)を試験板として、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を120時間実施した。耐白錆性を目視にて測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:白錆発生率5%未満
○:白錆発生率5%以上、10%未満
△:白錆発生率10%以上、50%未満
×:白錆発生率50%以上
塗膜密着性試験、塗装後耐食性試験
試験板に対し下記条件で塗装を施し、塗膜密着性試験を行った。
塗装条件塗料 :関西ペイント(株)社製アミラック#1000(商標)(白塗料)
塗装法:バーコート法、焼付 :140℃、20分間膜厚:25μm
塗装一次エリクセン密着性試験
試験板に対し、1mm角、100個の碁盤目をNTカッターで切り入れ、この供試材をエリクセン試験機で5mm押し出した後、この押し出し凸部に粘着テープによる剥離テストを行い、塗膜剥離個数にて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:剥離なし
○:剥離個数1個以上、10個未満
△:剥離個数11個以上、50個未満
×:白錆発生率51個以上
耐指紋性試験
試験板に指を押しつけ、指紋の痕跡状態に対し目視により耐指紋性を評価した。なお、判定基準は以下の通りである。
◎:指紋の痕跡が全く残らない
○:指紋の痕跡が極わずかに残る
△:指紋の痕跡が軽度に残る
×:指紋の痕跡が鮮明に残る
耐黒変性試験
試験板を温度70℃、湿度98%の雰囲気に7日間放置し、色調の変化を色差計にて測定した。
◎:△Eが2未満
○:△Eが2以上、4未満
△:△Eが4以上、6未満
×:△Eが6以上
Figure 0004963953
(c)PCM塗装下地として
耐食性試験
塗膜に対し鋼板素地(GL)に到達する傷をカッターで入れ、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を480時間実施した。判定基準はカット部からの錆幅(mm)を測定した。結果を表5に示す。
◎:3mm未満
○:3mm以上〜5mm未満
△:5mm以上〜10mm未満
×:10mm以上
折り曲げ密着性試験
一次折り曲げ密着性試験
JIS−G3312の試験法に準じて、各試験板に対し20℃における折り曲げ内側間隔板2枚の2T折り曲げ試験を行い、テープ剥離後の剥離状態を下記の判定基準に準じて評価した。
◎:剥離なし
○:剥離面積10%未満
△:剥離面積10%以上〜50%未満
×:剥離面積50%以上
二次折り曲げ密着性試験
試験板を沸水中に2時間浸漬した後、一日放置し一次折り曲げ密着性試験と同様に曲げ試験を行った。判定基準は5.1.2.1と同様である。
コインスクラッチ性試験
各試験板に対して10円硬貨を45°の角度に設置し、表面の塗膜を3kgの荷重、一定速度でこすり、塗膜の傷つき性を判定した。尚、塗膜の傷つき性は下記判定基準で評価した。
◎:素地の露出が0%(プライマーのみ露出)
○:素地の露出が10%未満
△:素地の露出が10%以上〜50%未満
×:素地の露出が50%以上
Figure 0004963953
表2から分かるように、本発明の水系金属表面処理剤は、バナジウム化合物(a)の代わりに他のバナジウム化合物を用いた比較例に比べ、広範囲pHで優れた安定性を示した。更に、表3〜表5から、本発明の水系金属表面処理剤は、従来にない優れた耐食性、耐黒変性、耐熱黄変性、耐指紋性、耐薬品性、塗装密着性、加工性を付与し得る、クロムを含まない表面処理剤であることが分かる。

Claims (16)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004963953
    (式中、Mは、NHと、脂肪族アミン、脂肪族ヒドロキシルアミン、芳香族アミン及び芳香族ヒドロキシルアミンの4級アンモニウムイオンと、アルカリ金属と、アルカリ土類金属とからなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Pは、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン、有機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;Fは、フッ素を含有する無機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;xは0〜10であり;yは0〜10であり;zは0〜10であり;wは0〜10であり;z+w=0.2以上であり;Vの価数は、4価及び/又は3価である)で示されるバナジウム化合物(a)の少なくとも1種を添加することにより得られる、クロムを含有しない水系金属表面処理剤(A)を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面に塗布し乾燥することで乾燥付着重量0.02〜2g/m の皮膜を形成させ、次いで、その皮膜上に、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分を含有する耐指紋性付与処理剤(B1)を塗布した後、乾燥することで0.1〜2g/m の有機皮膜を形成させる工程を含む、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理亜鉛めっき鋼板、化成処理亜鉛合金めっき鋼板、化成処理アルミめっき鋼板又は化成処理アルミニウム板の耐指紋性表面処理方法。
  2. バナジウム化合物(a)におけるVの価数が4価である、請求項1記載の方法
  3. Zr化合物、Ti化合物及びSi化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b)が更に添加されている、請求項1又は2記載の方法
  4. 化合物(b)が、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタニウム水素酸、ヘキサフルオロシリコン水素酸、これらのアンモニウム塩、これらのアルカリ金属塩及びこれらのアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b1)と、一般式(II):
    Figure 0004963953
    (式中、Maは、H、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Acは、炭酸、硫酸、硝酸及び酢酸からなる群より選択される、少なくとも1種の酸アニオンであり;qは0〜3であり;rは0〜3であり;sは0〜3であり;tは0.5〜3である)で示される、少なくとも1種のジルコニウム化合物(b2)と、少なくとも1種のコロイダルシリカ(b3)と、少なくとも1種のアルカリケイ酸塩(b4)と、少なくとも1種の有機シラン化合物(b5)とからなる群より選択される、少なくとも1種の化合物である、請求項3記載の方法
  5. Mg化合物、Al化合物、Ni化合物、Co化合物及びFe化合物からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物(c)が更に添加されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法
  6. 水系金属表面処理剤(A)が、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分(d)を含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法
  7. 成分(d)が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6記載の方法
  8. 水系金属表面処理剤(A)が、少なくとも1種の水系潤滑剤(e)を含有する、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法
  9. 一般式(I):
    Figure 0004963953
    (式中、Mは、NH と、脂肪族アミン、脂肪族ヒドロキシルアミン、芳香族アミン及び芳香族ヒドロキシルアミンの4級アンモニウムイオンと、アルカリ金属と、アルカリ土類金属とからなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Pは、リンを含有する酸基を有する無機酸アニオン、有機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;Fは、フッ素を含有する無機酸アニオン及び錯化合物アニオンとからなる群より選択される、少なくとも1種のアニオンであり;xは0〜10であり;yは0〜10であり;zは0〜10であり;wは0〜10であり;z+w=0.2以上であり;Vの価数は、4価及び/又は3価である)で示されるバナジウム化合物(a)の少なくとも1種を添加することにより得られる、クロムを含有しない水系金属表面処理剤(A)を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミニウム板、化成処理を施した亜鉛めっき鋼板、化成処理を施した亜鉛合金めっき鋼板、化成処理を施したアルミめっき鋼板又は化成処理を施したアルミニウム板の表面に塗布し乾燥することで乾燥付着重量0.02〜2g/m の皮膜を形成させ、次いで、その皮膜上に、PCMプライマー塗料(B2)を乾燥膜厚で1〜30μmになるよう塗布して乾燥した後、更に上層にPCMトップコート(B3)を乾燥膜厚で2〜10μmになるよう塗布して乾燥する工程を含む、PCM鋼板の製造方法。
  10. バナジウム化合物(a)におけるVの価数が4価である、請求項9記載の方法。
  11. Zr化合物、Ti化合物及びSi化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b)が更に添加されている、請求項9又は10記載の方法。
  12. 化合物(b)が、ヘキサフルオロジルコニウム水素酸、ヘキサフルオロチタニウム水素酸、ヘキサフルオロシリコン水素酸、これらのアンモニウム塩、これらのアルカリ金属塩及びこれらのアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(b1)と、一般式(II):
    Figure 0004963953
    (式中、Maは、H、NH 、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選択される、少なくとも1種のカチオンであり;Acは、炭酸、硫酸、硝酸及び酢酸からなる群より選択される、少なくとも1種の酸アニオンであり;qは0〜3であり;rは0〜3であり;sは0〜3であり;tは0.5〜3である)で示される、少なくとも1種のジルコニウム化合物(b2)と、少なくとも1種のコロイダルシリカ(b3)と、少なくとも1種のアルカリケイ酸塩(b4)と、少なくとも1種の有機シラン化合物(b5)とからなる群より選択される、少なくとも1種の化合物である、請求項11記載の方法。
  13. Mg化合物、Al化合物、Ni化合物、Co化合物及びFe化合物からなる群より選択される少なくとも1種の金属化合物(c)が更に添加されている、請求項9〜12のいずれか一項記載の方法。
  14. 水系金属表面処理剤(A)が、水溶性樹脂及び水分散性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の成分(d)を含有する、請求項9〜13のいずれか一項記載の方法。
  15. 成分(d)が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項14記載の方法。
  16. 水系金属表面処理剤(A)が、少なくとも1種の水系潤滑剤(e)を含有する、請求項9〜15のいずれか一項記載の方法。
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