JP4958579B2 - 磁力式固定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、射出成形機などの機械装置に金型などのクランプ対象物を固定する為の磁力式固定装置に関し、特に磁力発生機構を組み込んだクランププレートを機械装置の盤面に対して磁力を介して簡単に着脱できるように構成したものに関する。
従来、射出成形機において、その固定盤と可動盤への金型の固定は、複数のボルト又は油圧式のクランプ装置等により行うことが多いが、固定盤と可動盤に磁石盤(吸着盤)を装着し、その磁石盤で発生させた磁力により、磁石盤の固定面に金型を吸着させて固定する磁力式固定装置が実用化されている。
特許文献1の射出成形機では、固定盤と可動盤に夫々複数のマグネットユニット(第1磁力発生機構)を組み込んだクランププレート(磁石盤)を複数のボルトで固定し、複数のマグネットユニットで発生させる磁力により金型をクランププレートの固定面に固定するように構成してある。上記の各マグネットユニットは、鋼製ブロックと、この鋼製ブロックの外周側に配置された複数の永久磁石と、鋼製ブロックの背面側に配置されたアルニコ磁石と、このアルニコ磁石の外周を囲繞するコイルとを有し、コイルへの通電の方向に応じてアルニコ磁石の磁界の方向を逆方向へ切換えることができる。
金型をクランププレートの固定面に固定する場合、操作盤を操作することにより、各マグネットユニットのコイルに所定方向の電流が数秒間通電されて、アルニコ磁石と複数の永久磁石とで、金型が磁路の一部となる磁界を発生させて、複数のマグネットユニットが金型を吸着する吸着状態に切換えられる。
一方、金型の固定を解除する場合は、操作盤を操作することにより、各マグネットユニットのコイルに金型を吸着する場合とは逆方向の電流が数秒間通電されて、アルニコ磁石の磁界の方向を切換えることにより、金型を磁路の一部としない磁界を発生させて、複数のマグネットユニットが金型を吸着しない非吸着状態に切換えられる。
特開2005−169840号公報
ところで、クランププレートは、種々の形状や寸法の金型を固定できるように構成されているが、クランププレートには、複数のマグネットユニットが組み込まれるため所定の厚みが必要となり、クランププレートは固定盤や可動盤の厚さに近い厚さの厚盤状に形成されている。そのため、射出成形機のディライトが小さくなる。また、プレス機械に磁力式固定装置を装着した場合も、射出成形機の場合と同様に、プレス機械のダイハイトが小さくなる。
型厚寸法の大きな金型を固定盤と可動盤に固定する場合、クランププレートを装着した状態ではディライトが不足して金型を固定盤と可動盤の間にセットすることができない場合には、固定盤と可動盤から夫々クランププレートを取外してから、固定盤と可動盤の盤面に金型を複数のボルトやクランプ装置で固定する必要がある。
しかし、クランププレートは、固定盤と可動盤の盤面に複数のボルトやクランプ装置で固定されているため、固定盤や可動盤からクランププレートを取外すのに多大の労力と時間がかかり、射出成形機の稼働率が低下してしまう。
また、プレス機械や工作機械において、小さな金型やワークピースなどを固定する場合に、大きな固定面を有するクランププレートで固定したのでは、クランププレートの固定面に大きなスペースが余ってしまうため無駄が多い。 そこで、複数種類のサイズの異なるクランププレートを用意しておき、使用する金型やワークピースなどのサイズに合わせて最適なクランププレートを使用することが考えられるが、この場合にも、クランププレートを盤面に簡単に着脱できることが望ましい。
本発明の目的は、射出成形機などの機械装置に装備される磁力式固定装置であって、クランププレートを機械装置の盤面に対して簡単に着脱することができる磁力式固定装置を提供することである。
請求項1の磁力式固定装置は、金型などのクランプ対象物を固定する固定面を有し且つ機械装置の盤面に固定されるクランププレートと、このクランププレートに組み込まれ磁力によりクランプ対象物を固定面に固定する複数の第1磁力発生機構とを有する磁力式固定装置において、前記クランププレートの前記固定面と反対側の取付け面を前記盤面に固定する複数の第2磁力発生機構を、前記クランププレートに設けたことを特徴とする。
この磁力式固定装置は、射出成形機やプレス機械や工作機械などの機械装置に装備される。この磁力式固定装置では、クランププレートに、複数の第1磁力発生機構と複数の第2磁力発生機構が設けられている。クランププレートを機械装置の盤面に固定する場合、複数の第2磁力発生機構で発生させた磁力により、機械装置の盤面を磁路の一部とする磁路が形成されて、クランププレートの取付け面が機械装置の盤面に固定される。
一方、機械装置の盤面からクランププレートの固定を解除する場合は、複数の第2磁力発生機構で発生させた磁力により、機械装置の盤面を磁路の一部としない磁路が形成されて、機械装置の盤面からクランププレートの固定が解除される。このように、クランププレートに設けた複数の第2磁力発生機構で発生させた磁力により、機械装置の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することできる。
請求項2の磁力式固定装置は、請求項1の発明において、前記クランププレートは、前記固定面と第1磁力発生機構とを備えた第1クランププレートと、前記取付け面と第2磁力発生機構とを備えた第2クランププレートと、これら第1,第2クランププレートを連結する連結機構と、これら第1,第2クランププレートの間に挟着された非磁性体からなる非磁性体シートとを備えたことを特徴とする。
請求項3の磁力式固定装置は、請求項2の発明において、前記機械装置は射出成形機であり、クランプ対象物は金型であることを特徴とする。
請求項4の磁力式固定装置は、請求項2の発明において、前記機械装置はプレス機械であり、クランプ対象物は金型であることを特徴とする。
請求項5の磁力式固定装置は、請求項2の発明において、前記機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースが固定されるワークパレットであることを特徴とする。
請求項6の磁力式固定装置は、請求項2の発明において、前記機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、クランププレートの固定面と反対側の取付け面を盤面に固定する複数の第2磁力発生機構を、クランププレートに設けたので、複数の第2磁力発生機構で発生させた磁力により、機械装置の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することできる。これにより、クランププレートの着脱作業に要する時間を短縮することができ、作業効率が向上する。
また、クランププレートを機械装置の盤面に対して簡単に着脱することができるので、数種類のサイズのクランププレートを用意した場合に、使用する金型に合わせて最適なクランププレートに簡単に交換することができる。
請求項2の発明によれば、クランププレートは、固定面と第1磁力発生機構とを備えた第1クランププレートと、取付け面と第2磁力発生機構とを備えた第2クランププレートと、これら第1,第2クランププレートを連結する連結機構と、これら第1,第2クランププレートの間に挟着された非磁性体からなる非磁性体シートとを備えたので、第1クランププレートの第1磁力発生機構から第2クランププレート側へ向かう磁束を、非磁性体シートによって遮断することができ、同様に、第2クランププレートの第2磁力発生機構から第1クランププレート側へ向かう磁束を、非磁性体シートによって遮断することができる。
これにより、第1磁力発生機構で発生した磁束が第2磁力発生機構で発生した磁束に影響を及ぼさないし、第2磁力発生機構で発生した磁束が第1磁力発生機構で発生した磁束にも影響を及ぼさない。それ故、他方の磁力発生機構で発生した磁束の影響を受けないように、第1,第2クランププレートの厚みを厚くする必要がないので、クランププレートを小型化できる。
請求項3の発明によれば、機械装置は射出成形機であり、クランプ対象物は金型であるので、射出成形機において、金型取付け盤の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することができる。
請求項4の発明によれば、機械装置はプレス機械であり、クランプ対象物は金型であるので、プレス機械において、金型取付け盤の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することができる。
請求項5の発明によれば、機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースが固定されるワークパレットであるので、工作機械において、ワークパレット取付け盤の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することができる。
請求項6の発明によれば、機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースであるので、工作機械において、ワークピース取付け盤の盤面に対してクランププレートを簡単に着脱することができる。
本発明の磁力式固定装置は、金型などのクランプ対象物を固定する固定面を有し且つ機械装置の盤面に固定されるクランププレートと、このクランププレートに組み込まれ磁力によりクランプ対象物を固定面に固定する複数の第1磁力発生機構とを有し、クランププレートの固定面と反対側の取付け面を盤面に固定する複数の第2磁力発生機構を、クランププレートに設けたものである。
本実施例は、射出成形機に本発明を適用した場合の一例である。
先ず、射出成形機1について説明する。
図1に示すように、射出成形機1(機械装置)は、クランプ対象物としての金型M(固定金型M1と可動金型M2)を固定する為の相対向する固定盤2及び可動盤3と、金型Mの型締めと型開きを行う為に固定盤2に対して可動盤3を接近/離隔する方向に駆動する油圧シリンダ(又は駆動モータ)を有する可動盤駆動機構4と、可動盤3を接近/離隔方向に移動自在にガイド支持する4本のガイドロッド5と、型締め状態で金型M内のキャビティに溶融状の合成樹脂を供給する為の射出筒6aを有する射出機構6と、可動金型M2から成形品を取り出すエジェクト機構7等を備えている。
この射出成形機1により射出成形を行う場合、可動盤駆動機構4により可動盤3が固定盤2に接近する方向に駆動されて、固定金型M1に可動金型M2が押圧されて型締め状態となり、この状態で、射出筒6aの先端から金型M内に溶融状の合成樹脂が射出されて、射出成形品が成形される。その後、可動盤駆動機構4により可動盤3が固定盤2から離隔する方向に駆動されて、可動金型M2が固定金型M1から離隔して型開き状態となる。この状態で、エジェクト機構7により射出成形品が可動金型M2からエジェクトされる。
エジェクト機構7は、エジェクターピン8と、このエジェクターピン8の基端部が連結されたエジェクター板8aと、このエジェクター板8aを介してエジェクターピン8を進退駆動する流体圧シリンダ8b(例えば、エアシリンダ)とを備え、エジェクターピン8が、可動盤3の中央部分に形成されたエジェクターピン穴3cに挿通されている。
図2、図3に示すように、固定盤2と可動盤3は夫々側面視で正方形状に形成され、固定盤2の4つの角部の近傍部の挿通孔2aに、4本のガイドロッド5が夫々挿通した状態で固定され、可動盤3の4つの角部の近傍部の挿通孔3aに、4本のガイドロッド5が夫々摺動自在に挿通され、可動盤3が固定盤2に対して接近/離隔する方向にガイドされている。
次に、固定金型M1を固定盤2に固定する磁力式固定装置10Aと、可動金型M2を可動盤3に固定する磁力式固定装置10Bについて説明する。
図1〜図4に示すように、磁力式固定装置10Aは、固定盤2に金型M1を固定する為の固定面30aを備えたクランププレート11と、磁力により金型M1を固定面30aに固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13A(これが第1磁力発生機構に相当する)と、磁力によりクランププレート11の固定面30aと反対側の取付け面31aを固定盤2の盤面に固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13B(これが第2磁力発生機構に相当する)とを備えている。
磁力式固定装置10Bは、可動盤3に金型M2を固定する為の固定面34aを備えたクランププレート12と、磁力により金型M2を固定面34aに固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13A(これが第1磁力発生機構に相当する)と、磁力によりクランププレート12の固定面34aと反対側の取付け面35aを可動盤3の盤面に固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13B(これが第2磁力発生機構に相当する)とを備えている。
クランププレート11は、金型M1を固定する為の第1クランププレート30と、固定盤2の盤面に固定する為の第2クランププレート31と、第1,第2クランププレート30,31を連結する8本のボルト33(これが連結機構に相当する)と、第1,第2クランププレート30,31の間に挟着された非磁性体(例えば、SUS304)からなる非磁性体シート32とを有する。
第1,第2クランププレート30,31は、固定盤2とほぼ同サイズの磁性体である鋼製のプレートであり、固定盤2の4つの角部に対応するほぼ正方形部分が夫々除去されている。第1クランププレート30の左端には、金型M1を固定する固定面30aが形成され、第1クランププレート30には、磁力により金型M1を固定面30aに固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13Aが組み込まれている。第2クランププレート31の右端には、固定盤2の盤面に固定する取付け面31aが形成され、第2クランププレート31には、磁力により取付け面31aを固定盤2の盤面に固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13Bが組み込まれている。
非磁性体シート32は約1mmの厚さに形成され、固定盤2の4つの角部に対応するほぼ正方形部分が夫々除去されている。第1,第2クランププレート30,31は、第1,第2クランププレート30,31の間に非磁性体シート32を挟着した状態で8本のボルト33により連結されている。尚、非磁性体シート32は、SUS304以外に銅や樹脂などで構成してもよい。
クランププレート12は、金型M2を固定する為の第1クランププレート34と、可動盤3の盤面に固定する為の第2クランププレート35と、これら第1,第2クランププレート34,35を連結する8本のボルト37(これが連結機構に相当する)と、これら第1,第2クランププレート34,35の間に挟着された非磁性体(例えば、SUS304)からなる非磁性体シート36とを有する。
第1,第2クランププレート34,35は、固定盤2とほぼ同サイズの磁性体である鋼製のプレートであり、固定盤2の4つの角部に対応するほぼ正方形部分が夫々除去されている。第1クランププレート34の右端には、金型M2を固定する固定面34aが形成され、磁力により金型M2を固定面34aに固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13Aが組み込まれている。第2クランププレート35の左端には、可動盤3の盤面に固定する取付け面35aが形成され、第2クランププレート35には、磁力により取付け面35aを可動盤3の盤面に固定する吸着力を発生させる複数のマグネットユニット13Bが組み込まれている。
非磁性体シート36は、約1mmの厚さに形成され、可動盤3の4つの角部に対応するほぼ正方形部分が夫々除去されている。第1,第2クランププレート34,35は、第1,第2クランププレート34,35の間に非磁性体シート36を挟着した状態で8本のボルト37により連結されている。尚、非磁性体シート36は、SUS304以外に銅や樹脂などで構成してもよい。
図1、図2に示すように、クランププレート11の第1クランププレート30の後端部に1対のコネクタ21が装着され、中央部分にロケートリング30cが装着されている。1対のコネクタ21は、複数のマグネットユニット13Aに電流を供給する制御盤からの電気配線を接続するものである。ロケートリング30cは金型M1のロケートリング(図示略)を嵌合させて金型M1を固定面30aに確実に位置決めするものである。
クランププレート11の第2クランププレート31の後端部にも、1対のコネクタが装着されており、この1対のコネクタは、複数のマグネットユニット13Bに電流を供給する制御盤からの電気配線を接続するものである。操作盤を操作することにより、第1クランププレート30の各マグネットユニット13A又は第2クランププレート31の各マグネットユニット13Bに制御盤から電力が供給されるよう構成されている。
図1、図3、図4に示すように、クランププレート12の第1クランププレート34の後端部にも1対のコネクタ26が装着され、下端部に金型M2の落下を防止する為の落下防止ブロック27が装着され、中央部に1対のエジェクターピン穴29が設けられている。クランププレート12の第2クランププレート35の後端部にも1対のコネクタ28が装着されている。尚、固定金型M1と可動金型M2の上端部に吊りピース(図示略)を装着することで、その金型M1,M2をワイヤ等で吊り下げて搬送する。
次に、マグネットユニット13A,13Bについて詳細に説明する。
前述のように、クランププレート11,12には、異なる配置でもって複数のマグネットユニット13A,13Bが設けられているが、マグネットユニット13A,13Bは基本的に同構造のものであるので、クランププレート12の第1,2クランププレート34,35に設けたマグネットユニット13A,13Bについて、図5〜図8に基づいて後述する。尚、複数のマグネットユニット13A,13Bの配置については、クランププレート11の形状とサイズ、固定予定の金型Mの形状とサイズ等に基づいて適宜変更可能である。
例えば、図2に示すように、固定盤2のクランププレート11の第1クランププレート30には、3個のマグネットユニット13Aを上下左右方向に隣接状に配設して1組のマグネットユニット群とし、クランププレート11の中心を基準とする点対称位置に、4組のマグネットユニット群、合計12個のマグネットユニット13Aが配設されている。尚、図示しないが、固定盤2のクランププレート11の第2クランププレート31においても、第1クランププレート30と同様の配置で、12個のマグネットユニット13が配設されている。
図3に示すように、可動盤3のクランププレート12の第1クランププレート34には、4個のマグネットユニット13Aを上下左右に隣接状に配設して1組の第1マグネットユニット群とし、クランププレート11の中心を基準とする点対称位置に、4組のマグネットユニット群、合計16個のマグネットユニット13が配設されている。
図4に示すように、可動盤3のクランププレート12の第2クランププレート35には、4個のマグネットユニット13Bを上下左右に隣接状に配設して1組の第1マグネットユニット群とし、クランププレート11の中心を基準とする点対称位置に、4組のマグネットユニット群、合計16個のマグネットユニット13が配設されている。
次に、クランププレート12の第1クランププレート34に組み込まれたマグネットユニット13Aについて詳しく説明する。図5〜図7に示すように、マグネットユニット13Aは、固定面34aに臨む磁性体からなる鋼製ブロック20(これが磁性部材に相当する)と、その背面側に配設された第1アルニコ磁石21と、第1アルニコ磁石21に巻装され且つ第1アルニコ磁石の極性を切換える為の第1コイル22と、鋼製ブロック20の外周側に配設された複数(例えば、8個)のネオジウム磁石からなる永久磁石23とを有し、マグネットユニット13Aは、金型M2を吸着する吸着状態と、金型M2を吸着しない非吸着状態とに切換え可能に構成されている。尚、隣接するマグネットユニット13A間の永久磁石23は、それらのマグネットユニット13Aの永久磁石23としても兼用される。
鋼製ブロック20と第1アルニコ磁石21は正方形状に形成され、鋼製ブロック20にはボルト穴20aが形成され、第1アルニコ磁石21には穴部21aが形成されている。凹部34bに配置された第1アルニコ磁石21と第1コイル22を、鋼製ブロック20と第1クランププレート34の底壁部34cとの間に挟み込んだ状態で、これらが、ボルト穴20aと穴部21aを挿通する非磁性体(例えば、SUS304)からなる6角穴付きボルト24により、第1クランププレート34に締結されている。複数の永久磁石23は、何らかの固定手段により鋼製ブロック20や第1クランププレート34に固着されている。
図7に示すように、隣り合う2つのマグネットユニット13Aにおいて、一方の鋼製ブロック20に対する永久磁石23の磁極と、他方の鋼製ブロック20に対する永久磁石23の磁極は逆になっている。第1アルニコ磁石21は、第1コイル22で発生する磁界の磁気誘導により磁極を反転できるものであるが、隣り合う2つのマグネットユニット13Aにおいて、一方の鋼製ブロック20に対する第1アルニコ磁石21の磁極と、他方の鋼製ブロック20に対する第1アルニコ磁石21の磁極は逆になっている。
次に、クランププレート12の第2クランププレート35に組み込まれたマグネットユニット13Bについて詳しく説明する。図5〜図7に示すように、マグネットユニット13Bは、取付け面35aに臨む磁性体からなる鋼製ブロック20(これが磁性部材に相当する)と、その背面側に配設された第1アルニコ磁石21と、第1アルニコ磁石21に巻装され且つ第1アルニコ磁石の極性を切換える為の第1コイル22と、鋼製ブロック20の外周側に配設された複数(例えば、8個)のネオジウム磁石からなる永久磁石23とを有し、マグネットユニット13Bは、可動盤3の盤面を吸着する吸着状態と、可動盤3の盤面を吸着しない非吸着状態とに切換え可能に構成されている。尚、隣接するマグネットユニット13B間の永久磁石23は、それらのマグネットユニット13Bの永久磁石23としても兼用される。
鋼製ブロック20と第1アルニコ磁石21は正方形状に形成され、鋼製ブロック20にはボルト穴20aが形成され、第1アルニコ磁石21には穴部21aが形成されている。凹部35bに配置された第1アルニコ磁石21と第1コイル22を、鋼製ブロック20と第2クランププレー35の底壁部35cとの間に挟み込んだ状態で、これらが、ボルト穴20aと穴部21aを挿通する非磁性体(例えば、SUS304)からなる6角穴付きボルト24により、第2クランププレート35に締結されている。複数の永久磁石23は、何らかの固定手段で鋼製ブロック20や第2クランププレート35に固着されている。
図7に示すように、隣り合う2つのマグネットユニット13Bにおいて、一方の鋼製ブロック20に対する永久磁石23の磁極と、他方の鋼製ブロック20に対する永久磁石23の磁極は逆になっている。第1アルニコ磁石21は、第1コイル22で発生する磁界の磁気誘導により磁極を反転できるものであるが、隣り合う2つのマグネットユニット13Bにおいて、一方の鋼製ブロック20に対する第1アルニコ磁石21の磁極と、他方の鋼製ブロック20に対する第1アルニコ磁石21の磁極は逆になっている。
次に、この射出成形機1の磁力式固定装置10A,10Bの作用・効果について説明する。磁力式固定装置10A,10Bにより、金型Mを固定盤2と可動盤3に固定する場合に先ず、クランププレート11を固定盤2に固定し且つクランププレート12を可動盤3に固定する。クレーン等の搬送手段により、クランププレート11を固定盤2の左側に搬送し、クランププレート12を可動盤3の右側に搬送する。このとき、クランププレート11,12の複数のマグネットユニット13Bを図8のように作動停止させて非吸着状態にし、固定盤2と可動盤3に複数のマグネットユニット13Bによる磁力が作用しないようにして行う。
次に、固定盤2の盤面に、クランププレート11の第2クランププレート31の取付け面31aを位置決めして当接させ、可動盤3の盤面に、クランププレート12の第2クランププレート35の取付け面35aを位置決めして当接させる。
次に、操作盤を操作することにより、クランププレート11,12の第2クランププレート31,35の各マグネットユニット13Bに制御盤から電力が供給されて、第1コイル22に夫々所定の方向へ数秒間通電され、図7に示すように、第1アルニコ磁石21による磁束の向きが永久磁石23による磁束の向きと同じになるように、第1アルニコ磁石21の磁極が切換えられ、固定盤2と可動盤3を磁路の一部とする磁路が形成される。従って、固定盤2と可動盤3に鎖線で示すように磁束が通り、クランププレート11,12の第2クランププレート31,35の取付け面31a,35aが固定盤2と可動盤3の盤面に吸着して固定される。
次に、クレーン等の搬送手段により、金型M1,M2を連結した状態の金型Mを、固定盤2と可動盤3の間に搬送する。このとき、クランププレート11,12の複数のマグネットユニット13Aを図8のように作動停止させて非吸着状態にし、金型Mに複数のマグネットユニット13Aによる磁力が作用しないようにして行う。
次に、固定盤2、可動盤3のクランププレート11,12の固定面30a,34aに、金型M1,M2を位置決めして当接させ、金型M1の円形凸部をクランププレート11のロケートリング30cに嵌合させて中心合せを行なう。
金型M1,M2をクランププレート11,12の第1クランププレート30,34の固定面30a,34aに固定する場合、操作盤を操作することにより、クランププレート11,12の第1クランププレート30,34の各マグネットユニット13Aに制御盤から電力が供給されて、第1コイル22に夫々所定方向の電流が数秒間通電され、図7に示すように、第1アルニコ磁石21による磁束の向きが永久磁石23による磁束の向きと同じになるように、第1アルニコ磁石21の磁極が切換えられ、金型Mを磁路の一部とする磁路が形成される。従って、金型M1,M2に鎖線で示すように磁束が通り、金型M1,M2が固定面30a,34aに吸着して固定される。
一方、金型M1,M2をクランププレート11,12の第1クランププレート30,34の固定面11a,12aから固定を解除する場合、操作盤を操作することにより、クランププレート11,12の第1クランププレート30,34の各マグネットユニット13Aに制御盤から電力が供給されて、コイル22に金型M1,M2を固定する場合とは逆方向の電流が数秒間通電され、図8に示すように、アルニコ磁石21の磁極が反転し、アルニコ磁石21による磁束が固定面30a,34aから出ないようになり、金型M1,M2には磁力が作用しなくなって、クランププレート11,12の第1クランププレート30,34の固定面30a,34aから金型M1,M2を取外し可能となる。
次に、クランププレート11,12を取り外したり、交換したりする為、クランププレート11,12を固定盤2と可動盤3の盤面から固定を解除する場合、操作盤を操作することにより、クランププレート11,12の第2クランププレート31,35の各マグネットユニット13Bに制御盤から電力が供給されて、コイル22に固定盤2と可動盤3に固定する場合とは逆方向の電流が数秒間通電され、図7に示すように、アルニコ磁石21の磁極が反転し、アルニコ磁石21による磁束が取付け面31a,35aから出ないようになり、固定盤2と可動盤3の盤面には磁力が作用しなくなって、固定盤2と可動盤3の盤面からクランププレート11,12が取外し可能となる。
このように、クランププレート11,12の取付け面31a,35aを固定盤2と可動盤3の盤面に固定する複数のマグネットユニット13Bを、クランププレート11,12に設けたので、複数のマグネットユニット13Bで発生させた磁力により、固定盤2と可動盤3の盤面を磁路の一部とする磁路を形成したり、磁束が固定盤2と可動盤3の盤面に出ないようにすることで、固定盤2と可動盤3の盤面に対してクランププレート11,12を簡単に着脱することできる。これにより、クランププレート11,12の着脱作業に要する時間を短縮することができ、作業能率が向上し、射出成形機の稼働率が向上する。
各クランププレート11,12は、固定面30a,34aとマグネットユニット13Aとを備えた第1クランププレート30,34と、取付け面31a,35aとマグネットユニット13Bとを備えた第2クランププレート31,35と、これら第1,第2クランププレート30,31,34,35を連結する8本のボルト33,37と、これら第1,第2クランププレート30,31,34,35の間に挟着された非磁性体からなる非磁性体シート32,36とを備えたので、第1クランププレート30,34のマグネットユニット13Aから第2クランププレート31,35側へ向かう磁束を、非磁性体シート32,36によって遮断することができ、同様に、第2クランププレート31,35のマグネットユニット13Bから第1クランププレート30,34側へ向かう磁束を、非磁性体シート 32,36によって遮断することができる。
これにより、マグネットユニット13Aで発生した磁束がマグネットユニット13Bで発生した磁束に影響を及ぼさないし、マグネットユニット13Bで発生した磁束がマグネットユニット13Aで発生した磁束にも影響を及ぼさない。それ故、他方のマグネットユニット13A,13Bで発生した磁束の影響を受けないように、第1,第2クランププレー30,31,34,35の厚みを厚くする必要がないので、クランププレート11,12を小型化できる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]変更例1として、図9に示すように、磁力式固定装置10A,10Bをプレス機械1Aに適用することも可能である。
プレス機械1Aは、金型M(固定金型M1と可動金型M2)を固定する為の相対向するボルスタープレート40及びスライド41などを備えている。ボルスタープレート40の上面には、クランププレート11の第2クランププレート31の取付け面31aが磁力により固定され、クランププレート11の第1クランププレート30の固定面30aには、固定金型M1が磁力により固定されている。
スライド41の下面には、クランププレート12の第2クランププレート35の取付け面35aが磁力により固定され、クランププレート12の第1クランププレート34の固定面34aには、可動金型M2が磁力により固定されている。この場合、プレス機械1Aにおいても、ボルスタープレート40やスライド41に対してクランププレート11,12を簡単に着脱することができる。また、クランププレート11,12をボルスタープレート40の上面とスライド41の下面に対して簡単に着脱することができるので、数種類のサイズのクランププレート11,12を用意した場合に、使用する金型Mに合わせて最適なクランププレートに簡単に交換することができる。
3]磁力式固定装置をテーブルやイケールを備えた工作機械に適用することも可能である。この場合、機械加工に供するワークピースが固定されたワークパレットや機械加工に供するワークピースを簡単に着脱することができる。
4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
実施例の射出成形機の要部と金型の正面図である。 固定盤と第1クランププレートの側面図である。 可動盤と第1クランププレートの側面図である。 可動盤に取り付けた第2クランププレートの側面図である。 マグネットユニットの構成を示す側面図である。 マグネットユニットの分解斜視図である。 可動盤のクランププレート(吸着状態)の断面図である。 可動盤のクランププレート(非吸着状態)の断面図である。 変更例1に係るプレス機械の要部と金型の正面図である。
符号の説明
1 射出成形機
1A プレス機械
10A,10B 磁力式固定装置
11,12 クランププレート
13A,13B マグネットユニット
30,34 第1クランププレート
31,35 第2クランププレート
32,36 非磁性体シート
33,37 ボルト

Claims (6)

  1. 金型などのクランプ対象物を固定する固定面を有し且つ機械装置の盤面に固定されるクランププレートと、このクランププレートに組み込まれ磁力によりクランプ対象物を固定面に固定する複数の第1磁力発生機構とを有する磁力式固定装置において、
    前記クランププレートの前記固定面と反対側の取付け面を前記盤面に固定する複数の第2磁力発生機構を、前記クランププレートに設けたことを特徴とする磁力式固定装置。
  2. 前記クランププレートは、前記固定面と第1磁力発生機構とを備えた第1クランププレートと、前記取付け面と第2磁力発生機構とを備えた第2クランププレートと、これら第1,第2クランププレートを連結する連結機構と、これら第1,第2クランププレートの間に挟着された非磁性体からなる非磁性体シートとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の磁力式固定装置。
  3. 前記機械装置は射出成形機であり、クランプ対象物は金型であることを特徴とする請求項2に記載の磁力式固定装置。
  4. 前記機械装置はプレス機械であり、クランプ対象物は金型であることを特徴とする請求項2に記載の磁力式固定装置。
  5. 前記機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースが固定されるワークパレットであることを特徴とする請求項2に記載の磁力式固定装置。
  6. 前記機械装置は工作機械であり、クランプ対象物は機械加工に供するワークピースであることを特徴とする請求項2に記載の磁力式固定装置。
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