JP3163285U - 成形機械のエジェクタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形機械において金型を交換する場合、エジェクタロッドを交換する際の交換作業負荷交換に要する時間やコストを低減することができる、成形機械のエジェクタ装置を提供する。【解決手段】エジェクタ装置7は、複数のロッド挿通孔10に摺動自在に挿入される複数のエジェクタロッド11を有する。エジェクタロッド11の基端部がエジェクタプレート12に固定された複数のベースロッド15と、これらベースロッド15に着脱可能な複数の着脱ロッド16とを有し、各ベースロッド15の先端部に着脱ロッド16の基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定機構14を有し、各着脱ロッド16は、基端部にマグネット式ロッド固定機構14の一部を組み込んだ鋼製の基端側ロッド部28と、基端側ロッド部28の先端部に固着されたアルミニウム製の先端側ロッド部29とで構成された。【選択図】図4

Description

本考案は、成形機械のエジェクタ装置に関し、特に、エジェクタロッドを交換する場合の交換作業負荷を低減するものに関する。
従来、成形機械としての射出成形機では、固定プラテンと可動プラテンに金型(固定金型と可動金型)が取付けられ、可動プラテンが固定プラテンに接近・離隔する方向へ駆動されて、金型の型閉めと型開きが行われる。型閉めされた金型内のキャビティに溶融状の合成樹脂が供給され、その溶融状の合成樹脂が硬化して成形品が形成され、金型の型開き後、エジェクタ装置により成形品が金型からエジェクトされる。
射出成形機のエジェクタ装置では、可動プラテンの背面側にエジェクタプレートが配設され、1又は複数のエジェクタロッドが可動プラテンに摺動自在に挿通され、このエジェクタロッドの基端部がエジェクタプレートに固定されている。エジェクタプレートがプラテンに対して接近・離隔する方向へ駆動されることで、エジェクタロッドが進出したエジェクト位置と退入した待機位置とに亙って進退駆動される。
エジェクタピンは1本の連続した一体型のピンに構成され、このエジェクタピンの基端部をエジェクタプレートに固定する構造として、エジェクタピンをエジェクタプレートに貫通させ、エジェクタプレートにその背面側からリテーナプレートを複数のボルトで締結し、このエジェクタプレートとリテーナプレートとでエジェクタピンの基端鍔部を挟持した構造(例えば、特許文献1参照)や、エジェクタピンの基端部をエジェクタプレートに螺合締結した構造(例えば、特許文献2参照)が公知である。
特許文献3に記載の射出成形機のエジェクタ装置では、エジェクタプレートにエアシリンダがプラテンの方に向けて固定され、そのシリンダロッドにエジェクタピンの基端鍔部がジョイントを介して連結されている。エジェクタピンの基端鍔部は、ジョイントの凹部に軸直交方向から係合解除可能に係合され、ボルトで回り止めされた状態で固定されている。このボルトを取外してエジェクタピンを交換することができる。
尚、特許文献4に記載の射出成形機のエジェクタ装置では、エジェクタピンが、金型に組込まれて入れ子型に挿通された先端側エジェクタピンと、基端部がエジェクタプレートに固定された基端側エジェクタピンとを有し、基端側エジェクタピンにより先端側エジェクタピンが押動される。入れ子型の熱膨張によるエジェクタピンの作動不良を防止するために、先端側エジェクタピンの軸直交方向への移動を許容できる構造になっている。
特開平5−245847号公報 特開2000−301580号公報 特開2007−98957号公報 特開2005−254514号公報
従来の射出成形機のエジェクタ装置では、当該射出成形機において金型を交換する際、新たな金型(金型の形状やサイズ等)に応じてエジェクタピンの配置を変更するために、エジェクタピンを交換しなければならない場合がある。しかし、エジェクタピンは1本の連続した一体型のピンに構成されたものであり、特許文献1,2のようにエジェクタピンの基端部をエジェクタプレートに固定する構造では、エジェクタピンの交換作業負荷が大きく、エジェクタピンの交換に要する時間やコストが大きくなる。
即ち、特許文献1に記載のエジェクタ装置では、エジェクタピンを交換する場合、エジェクタプレートにリテーナプレートを着脱する、そのために、複数のボルトを操作する、しかも、リテーナプレートにその背面側からエジェクタピンを着脱する、という煩雑で負荷が大きい作業が必要になる。
特許文献2に記載のエジェクタ装置では、エジェクタピンを交換する場合、エジェクタピンを回転させて、エジェクタピンの基端部をエジェクタプレートに締結・締結解除する、特に、エジェクタピンの基端部をエジェクタプレートに締結する際には、エジェクタピンの基端ネジ部をエジェクタプレートのネジ穴に位置決めしつつ行う、そこでエジェクタピンを回転させる大きな力が必要になる、という負荷が大きい作業が必要になる。また、その際、エジェクタプレートが損傷する可能性もある。
特許文献3に記載のエジェクタ装置では、エジェクタピンの基端鍔部が、エアシリンダに連結されたジョイントの凹部に軸直交方向から係合解除可能に係合され、ボルトで回り止めされた状態で固定され、このボルトを取外してエジェクタピンを交換することができるが、そのエジェクタピンがプラテンに挿通された状態では、エジェクタピンの基端鍔部を軸直交方向へ移動させること、つまり、ジョイントへの連結・連結解除を行うことが困難である。また、エジェクタピンの配置変更に対応するために、使用しないエアシリンダを含む複数のエアシリンダを設けておくことも非常に不合理である。
数百t〜千数百tクラスの中型・大型の射出成形機の場合、金型を交換する際、エジェクタピンの配置を変更する場合が多く、エジェクタピンの交換作業も度々必要になる。しかし、エジェクタピンの長さ、太さが大きくなり、例えば、650t程度の射出成形機では、エジェクタピンの直径が35〜50mm程度、長さが1m程度にもなるため、エジェクタピンの重量も重くなる。故に、エジェクタピンの交換作業負荷が非常に大きくなる。
本考案の目的は、成形機械において金型を交換する場合、エジェクタロッドを交換する際の交換作業負荷を低減することができ、エジェクタロッドの交換に要する時間やコストを低減することができる、成形機械のエジェクタ装置を提供することである。
請求項1の成形機械のエジェクタ装置は、成形機械のプラテンに貫通状に形成された複数のロッド挿通孔と、前記プラテンの背面側に配設されたエジェクタプレートと、エジェクタプレートを前記プラテンに接近・離隔する方向へ駆動するエジェクタ駆動手段と、前記複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿通される複数のエジェクタロッドとを有する成形機械のエジェクタ装置において、前記複数のエジェクタロッドは、複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿入され且つ基端部がエジェクタプレートに固定された複数のベースロッドと、これらベースロッドに着脱可能な複数の着脱ロッドとを有し、前記各ベースロッドの先端部に着脱ロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を有し、前記各着脱ロッドは、磁性体で構成され且つ基端部にマグネット式ロッド固定手段の一部を組み込んだ基端側ロッド部と、軽金属材料で構成され且つ基端側ロッド部の先端部に固着された先端側ロッド部とで構成されたことを特徴としている。
この成形機械のエジェクタ装置では、金型を交換する際、新たな金型に応じて、不必要なエジェクタロッドの着脱ロッドをベースロッドから取り外し、又は、新たに必要なエジェクタロッドのベースロッドに着脱ロッドを装着することで、必要なエジェクタロッドを簡単に構成することができる。着脱ロッドの先端側ロッド部を軽金属材料で構成したので、着脱ロッドの重量が軽くなり、エジェクタロッドの交換作業負荷を低減することができる。
請求項2の成形機械のエジェクタ装置は、成形機械のプラテンに貫通状に形成された複数のロッド挿通孔と、前記プラテンの背面側に配設されたエジェクタプレートと、エジェクタプレートを前記プラテンに接近・離隔する方向へ駆動するエジェクタ駆動手段と、前記複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿通される複数のエジェクタロッドとを有する成形機械のエジェクタ装置において、前記エジェクタプレートに各エジェクタロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を有し、前記各エジェクタロッドは、磁性体で構成され且つ基端部にマグネット式ロッド固定手段の一部を組み込んだ基端側ロッド部と、軽金属材料で構成され且つ基端側ロッド部の先端部に固着された先端側ロッド部とで構成されたことを特徴としている。
この成形機械のエジェクタ装置では、金型を交換する際、新たな金型に応じて、不必要なエジェクタロッドをエジェクタプレートから取り外し、又は、新たに必要なエジェクタロッドをエジェクタプレートに装着することで、必要なエジェクタロッドを簡単に構成することができる。エジェクタロッドの先端側ロッド部を軽金属材料で構成したので、エジェクタロッドの重量が軽くなり、エジェクタロッドの交換作業負荷を低減することができる。
請求項3の成形機械のエジェクタ装置は、請求項1又は2の考案において、前記軽金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金の中から選択される何れかの金属であることを特徴としている。
請求項4の成形機械のエジェクタ装置は、請求項1〜3の何れか1つの考案において、前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部に平面部が形成されたことを特徴としている。
請求項5の成形機械のエジェクタ装置は、請求項1〜3の何れか1つの考案において、前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にローレットが形成されたことを特徴としている。
請求項6の成形機械のエジェクタ装置は、請求項1〜3の何れか1つの考案において、前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にスプライン溝が形成されたことを特徴としている。
請求項1の考案によれば、各ベースロッドの先端部に着脱ロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を備えたので、ベースロッドに対して着脱ロッドを簡単に確実に着脱することができる。成形機械において金型を交換する際、新たな金型に応じて、不必要なエジェクタロッドの着脱ロッドをベースロッドから取り外し、又は、新たに必要なエジェクタロッドのベースロッドに着脱ロッドを装着し、プラテンに取付けられる金型に応じて、必要なエジェクタロッドを簡単に構成することができる。着脱ロッドの先端側ロッド部は軽金属材料で構成されたので、着脱ロッドの重量を軽くすることができ、エジェクタロッドの交換作業負荷を低減することができる。それ故、エジェクタロッドの交換に要する時間やコストを低減することができる。
請求項2の考案によれば、エジェクタプレートに各エジェクタロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を備えたので、エジェクタプレートに対してエジェクタロッドを簡単に確実に着脱することができる。成形機械において金型を交換する際、新たな金型に応じて、不必要なエジェクタロッドをエジェクタプレートから取り外し、又は、新たに必要なエジェクタロッドをエジェクタプレートに装着し、プラテンに取付けられる金型に応じて、必要なエジェクタロッドを簡単に構成することができる。エジェクタロッドの先端側ロッド部は軽金属材料で構成されたので、エジェクタロッドの重量を軽くすることができ、エジェクタロッドの交換作業負荷を低減することができる。それ故、エジェクタロッドの交換に要する時間やコストを低減することができる。
請求項3の考案によれば、軽金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金の中から選択される何れかの金属であるので、着脱ロッド又はエジェクタロッドの先端側ロッド部を安価に製作することができる。
請求項4の考案によれば、各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部に平面部が形成されたので、着脱ロッド又はエジェクタロッドを着脱する際に手で掴んで操作し易い。
請求項5の考案によれば、各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にローレットが形成されたので、着脱ロッド又はエジェクタロッドを着脱する際に手で掴んで操作し易い。
請求項6の考案によれば、各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にスプライン溝が形成されたので、着脱ロッド又はエジェクタロッドを着脱する際に手で掴んで操作し易い。
実施例1のエジェクタ装置を有する射出成形機と金型(型閉め状態)の正面図である。 射出成形機と金型(型開き状態)の要部の正面図である。 図1のIII −III 線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 着脱ロッドの正面図である。 ベースロッドの先端側部分の斜視図である。 着脱ロッドの基端側部分の斜視図である。 図4のVIII−VIII線断面図である。 ベースロッドと着脱ロッドの吸着状態を示す図8のIX−IX線断面図である。 ベースロッドと着脱ロッドの非吸着状態を示す図9相当図である。 実施例2のエジェクタ装置を有する射出成形機と金型の正面図である。 図11のXII −XII 線断面図である。 実施例2のエジェクタロッドの正面図である。 変更例1の図5相当図である。 変更例2の図13相当図である。 変更例3の図5相当図である。 変更例4の図13相当図である。
以下、本考案を実施するための形態について説明する。
図1〜図3に示すように、成形機械としての射出成形機1は、金型M(固定金型M1と可動金型M2)が取付けられる相対向する1対のプラテン2,3(固定プラテン2と可動プラテン3)、金型Mの型締めと型開きを行うために可動プラテン3を固定プラテン2に接近・離隔する方向に駆動する油圧シリンダ(又は電動モータ)を有するプラテン駆動機構4、可動プラテン3を前記接近・離隔する方向に移動自在にガイド支持する4本のガイドロッド5、型締めされた金型M内のキャビティに溶融状態の合成樹脂を供給する射出筒6aを有する射出機構6、可動金型M2から成形品をエジェクトするエジェクタ装置7を備えている。
固定金型M1は固定プラテン2の金型固定面2aに複数のメカ式のクランプ装置(図示略)により固定され、同様に、可動金型M2は可動プラテン3の金型固定面3aに複数のメカ式のクランプ装置(図示略)により固定されている。この金型固定面2a,3aにはサイズ・形状が異なる複数種類の金型を着脱可能である。
この射出成形機1で射出成形を行う場合、プラテン駆動機構4により可動プラテン3が固定プラテン2に接近する方向に駆動され、図1に示すように、可動金型M2が固定金型M1に押圧されて型締め状態となり、この状態で、射出筒6aの先端から金型M内のキャビティに溶融状の合成樹脂が供給されて成形品が成形される。その後、プラテン駆動機構4により可動プラテン3が固定プラテン2から離隔する方向に駆動され、図2に示すように、可動金型M2が固定金型M1から離隔して型開き状態となり、この状態で、エジェクタ装置7により成形品が可動金型M2からエジェクトされる。
エジェクタ装置7について詳しく説明する。尚、図1に矢印で示す左右方向を左右方向として適宜説明する。図1〜図10に示すように、エジェクタ装置7は、可動プラテン3に左右方向に貫通状に形成された複数(例えば、13個)のロッド挿通孔10と、複数のロッド挿通孔10の全部に摺動自在に挿通される左右方向に長い複数(例えば、13本)のエジェクタロッド11と、可動プラテン3の背面側(左側)に配設されたエジェクタプレート12と、可動プラテン3に対してエジェクタプレート12を可動プラテン3に接近・離隔する左右方向へ駆動するエジェクタ駆動機構13と、エジェクタプレート12に固定された複数のベースロッド15に複数の着脱ロッド16を着脱自在に固定する為の複数組のマグネット式ロッド固定機構(マグネット式ロッド固定手段)14とを備えている。
複数のロッド挿通孔10の数及び配置、各ロッド挿通孔10の直径、複数のエジェクタロッド11の数及び配置、各エジェクタロッド11の長さ及び直径、エジェクタプレート12のサイズ等は、射出成形機1で使用予定の複数種類の金型に基づいて設定されている。エジェクタ駆動機構13は、流体圧シリンダ13aを有するものである。エジェクタ駆動機構13により、可動プラテン3に対してエジェクタプレート12を左右方向へ駆動することで、エジェクタピン11が進出したエジェクト位置(図2参照)と退入した待機位置(図1参照)とに亙って進退駆動される。
複数のエジェクタロッド11は、複数のロッド挿通孔10の全部に摺動自在に挿入され且つ基端部がエジェクタプレート12に固定された複数(例えば、13本)の磁性体製(例えば、鋼製)のベースロッド15と、ベースロッド15にマグネット式ロッド固定機構14を介して着脱可能な複数の着脱ロッド16とを有する。但し、金型M2から成形品をエジェクトするのに必要な着脱ロッド16だけが装着されていて、その他の着脱ロッド16は取り外されて保管されている。エジェクタロッド11がエジェクト位置のときに、ベースロッド15の先端部が可動金型M2よりも可動プラテン3側(左側)に位置し、可動プラテン3の盤面から突出しないように構成されている(図2参照)。
図4に示すように、各ベースロッド15の基端部(左端部)には、小径のネジ軸部15bが形成され、このネジ軸部15bがエジェクタプレート12に形成されたネジ穴12aに螺合され、ロッド本体15aとネジ軸部15bとの境界の段部15cがエジェクタプレート12に押圧されることで、ベースロッド15の基端部がエジェクタプレート12に螺合締結されている。
複数の着脱ロッド16は、射出成形機1で使用予定の複数種類の金型に基づく数及び長さとなるように設けられている。例えば、各ロッド挿通孔10に対して、1本又は長さが異なる複数本の着脱ロッド16が設けられている。
図4、図5に示すように、各着脱ロッド16は、磁性体(例えば、鋼製)で構成された基端側ロッド部28と、軽金属材料(例えば、アルミニウム)で構成された先端側ロッド部29とで構成されている。尚、着脱ロッド16の軽量化を図る為、基端側ロッド部28の長さは、短い所定の長さ(例えば、50〜100mm)である。各先端側ロッド部29の基端部には、小径のネジ軸部29aが形成されている。基端側ロッド部28の先端面とネジ軸部29aに接着剤を塗布した後、ネジ軸部29aを基端側ロッド部28の先端部に形成されたネジ穴28aに螺合させて、先端側ロッド部29が螺合と接着により基端側ロッド部28に固着されている。各先端側ロッド部29の長さ方向中央部よりもやや基端寄りの外周部の両面には、平面部30が形成されている。
図4、図6〜図10に示すように、マグネット式ロッド固定機構14は、各着脱ロッド16の基端部(左端部)をベースロッド15の先端部(右端部)に磁力で吸着させるものであり、各ベースロッド15の先端部に設けられた複数(例えば、6個)の第1マグネット20と、各着脱ロッド16の基端部に設けられた複数(例えば、6個)の第2マグネット21とを備えている。ベースロッド15の先端面15eと着脱ロッド16の基端面16aは共に鉛直平滑面に形成され、これらの面15e,16a同士が当接して前記磁力により安定した状態で固定される。例えば、マグネット20,21はネオジウム磁石である。
複数の第1マグネット20は、ベースロッド15の先端部に、その中央部分の径方向外側において周方向に等間隔(例えば、60度間隔)おきに、且つ、周方向に隣り合うマグネット20の磁極が左右反対になるように配置されている。各第1マグネット20は、長さが短くてベースロッド15の直径の1/5〜1/4程度の直径を有する丸軸形状に形成されている。複数の第1マグネット20は、その先端面がベースロッド15の先端面15eに臨むように、ベースロッド15に形成されたマグネット取付穴15fに嵌合固着されている。
同様に、複数の第2マグネット21は、着脱ロッド16の基端部に、その中央部分の径方向外側において周方向に等間隔(例えば、60度間隔)おきに、且つ、周方向に隣り合うマグネット21の磁極が左右反対になるように配置されている。各第2マグネット21は、長さが短くて着脱ロッド16の直径の1/5〜1/4程度の直径を有する丸軸形状に形成されている。複数の第2マグネット21は、その基端面が着脱ロッド16の基端面16aに臨むように、着脱ロッド16に形成されたマグネット取付穴16bに嵌合固着されている。
そして、マグネット式固定機構14は、複数の第1,第2マグネット20,21を設けたことにより、図9に示すように、磁極が反対の第1,第2マグネット20,21の周方向位置を一致させることで着脱ロッド16の基端部をベースロッド15の先端部に吸着させ、この状態から、着脱ロッド16をベースロッド15に対して60度又はその整数倍回転させることで磁極が同じ第1,第2マグネット20,21の反発力を利用して、着脱ロッド16をベースロッド15から取外し可能に構成してある。
図9に示すように、磁極が反対の第1,第2マグネット20,21の周方向位置が一致した状態で、周方向に隣り合う合計4つの第1,第2マグネット20,21による磁路が図9に矢印で示す磁路になって吸着力が最大になる。そして、この状態から着脱ロッド16を60度回転させると、各第1,第2マグネット20,21による磁路が図10に示す磁路になって吸着力が無くなり反発力が最大になる。
各ベースロッド15の先端部の中央部分には係合穴15gが形成され、係合穴15gの奥端から凹入状に六角レンチ穴15hが形成されている。六角レンチ穴15hに六角レンチを係合させてベースロッド15を回転させて、ベースロッド15をエジェクタプレート12に取付けることができる。各着脱ロッド16の基端部の中央部分には、係合穴15gに係合するように非磁性体(例えば、ステンレス製)の係合ピン25が左方突出状に固定的に取付けられている。係合ピン25は、その基端側部分が着脱ロッド16に形成されたピン取付凹部16cに嵌合固着されている。係合ピン25が係合穴15gにスムーズに挿入し得るように、係合ピン25の先端部は部分球状に形成されている。
以上説明した射出成形機1のエジェクタ装置7の作用・効果について説明する。
エジェクタ装置7は、複数のロッド挿通孔10、複数のエジェクタロッド11、エジェクタプレート12、エジェクタ駆動機構13を備えるとともに、特に、エジェクタプレート12に各エジェクタロッド11の一部である着脱ロッド16を取外し可能に固定する為の磁力を発生させるマグネット式ロッド固定機構14を備えたので、可動プラテン3の金型固定面3a側から各エジェクタロッド11の着脱ロッド16をベースロッド15に対して簡単に確実に着脱することができる。
射出成形機1において金型M2を交換する際、新たな金型M2に応じて、不必要なエジェクタロッド11の着脱ロッド16をベースロッド15から取り外し、又は、新たに必要なエジェクタロッド11のベースロッド15に着脱ロッド16を装着し、可動プラテン3に取付けられる金型M2に応じて、必要なエジェクタロッド11を簡単に構成することができる。着脱ロッド16の先端側ロッド部29は軽金属材料で構成されたので、着脱ロッド16の重量を軽くすることができ、エジェクタロッド11の交換作業負荷を低減することができる。それ故、エジェクタロッド11の交換に要する時間やコストを低減することができる。しかも、軽金属材料はアルミニウムであるので着脱ロッド16の先端側ロッド部29を安価に製作することができる。各先端側ロッド部29の外周部に平面部30が形成されたので、着脱ロッド16を着脱する際に手で掴んで操作し易い。
次に、本考案の実施例2について、図11〜図13に基づいて説明する。但し、実施例1と実質的に同一の構成には同一の符号を付し、異なる構成についてのみ説明する。
実施例2のエジェクタ装置7Aにおいては、一体型のエジェクタロッドに構成したものである。図12、図13に示すように、複数の一体型エジェクタロッド11Aは、複数のロッド挿通孔10の全部又は一部に摺動自在に挿通されるものである。各一体型エジェクタロッド11Aは、磁性体(例えば、鋼製)で構成された基端側ロッド部31と、軽金属材料(例えば、アルミニウム合金)で構成された先端側ロッド部32とで構成されている。尚、一体型エジェクタロッド11Aの軽量化を図る為、基端側ロッド部31の長さは、短い所定の長さ(例えば、50〜100mm)である。
各先端側ロッド部32の基端部には、小径のネジ軸部32aが形成されている。基端側ロッド部31の先端面とネジ軸部32aに接着剤を塗布した後、ネジ軸部32aを基端側ロッド部31の先端部に形成されたネジ穴31aに螺合させて、先端側ロッド部32が基端側ロッド部31に螺合と接着により固着されている。各先端側ロッド部32の先端側の外周部の両面には、平面部33が形成されている。尚、エジェクタプレート12も磁性体製(例えば、鋼製)である。
エジェクタプレート12と複数の一体型エジェクタロッド11Aには、エジェクトプレート12に一体型エジェクタロッド11Aを着脱自在に固定する為の複数組のマグネット式ロッド固定機構14Aが設けられている。マグネット式ロッド固定機構14Aは、エジェクタプレート12に各一体型エジェクタロッド11Aを固定する為の磁力を発生させるために、エジェクタプレート12のうちの一体型エジェクタロッド11Aが当接する部位に設けられた複数(例えば、6個)の第1マグネット40と、各一体型エジェクタロッド11Aの基端部に設けられた複数(例えば、6個)の第2マグネット41とを有し、一体型エジェクタロッド11Aとエジェクタプレート12とが吸着された状態から、一体型エジェクタロッド11Aを60度又はその整数倍回転させることで吸着力を低下させる。例えば、マグネット40,41はネオジウム磁石である。
実施例1の複数の第1マグネット20がベースロッド15の先端部に取付けられる構造と基本的に同様に、複数の第1マグネット40がエジェクタプレート12に取付けられ、実施例1の複数の第2マグネット21が着脱ロッド16の基端側ロッド部31の基端部に取付けられる構造と基本的に同様に、複数の第2マグネット41が一体型エジェクタロッド11Aの基端側ロッド部31の基端部に取付けられている。
故に、マグネット式ロッド固定機構14Aは、磁極が反対の第1,第2マグネット40,41の周方向位置を一致させることで一体型エジェクタロッド11Aの基端部をエジェクタプレート12に吸着させ、この状態から、一体型エジェクタロッド11Aをエジェクタプレート12に対して60度又はその整数倍回転させることで磁極が同じ第1,第2マグネット40,41の反発力を利用して、一体型エジェクタロッド11Aをエジェクタプレート12から取外し可能に構成されている。
また、エジェクタプレート12には係合穴12bが形成され、各一体型エジェクタロッド11Aの基端部の中央部分には、係合穴12bに係合するように非磁性体製(例えば、ステンレス製)の係合ピン46が左方突出状に固定的に取付けられている。実施例1の係合ピン25が着脱ロッド16の基端部に取付けられる構造と基本的に同様の構造で、係合ピン46が各一体型エジェクタロッド11Aの基端部に取付けられている。
このエジェクタ装置7Aによれば、当該射出成形機1において金型を交換する際、新たな金型に応じて、可動プラテン3の金型固定面3a側から、不必要な一体型エジェクタロッド11Aをエジェクタプレート12から取外し、また、新たに必要な一体型エジェクタロッド11Aをエジェクタプレート12に装着するように、一体型エジェクタロッド11Aを簡単に交換することができる。一体型エジェクタロッド11Aの先端側ロッド部32は軽金属材料で構成されたので、一体型エジェクタロッド11Aの重量を軽くすることができ、一体型エジェクタロッド11Aの交換作業負荷を低減することができる。それ故、一体型エジェクタロッド11Aの交換に要する時間やコストを低減することができる。
しかも、軽金属材料はアルミニウム合金であるので先端側ロッド部32を安価に製作することができる。各先端側ロッド部32の外周部に平面部33が形成されたので、一体型エジェクタロッド11Aを着脱する際に手で掴んで操作し易い。
前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
(1)実施例1において、図14に示すように、着脱ロッド16の先端側ロッド部29の外周部の全域にローレット34を形成してもよいし、外周部の一部にのみローレットを形成してもよい。
(2)実施例2において、図15に示すように、一体型エジェクタロッド11Aの先端側ロッド部32の外周部の全域にローレット36を形成してもよいし、外周部の一部にのみローレットを形成してもよい。
(3)実施例1において、図16に示すように、着脱ロッド16の先端側ロッド部29の外周部の全域にスプライン溝37を形成してもよいし、外周部の一部にのみスプライン溝を形成してもよい。
(4)実施例2において、図17に示すように、一体型エジェクタロッド11Aの先端側ロッド部32の外周部の全域にスプライン溝39を形成してもよいし、外周部の一部にのみスプライン溝を形成してもよい。
(5)実施例1,2において、先端側ロッド部29,32を、アルミニウムやアルミニウム合金の他にマグネシウム合金等の軽金属材料で構成可能である。
(6)実施例1,2において、エジェクタ駆動機構13については、その駆動源として流体圧シリンダの他に電動モータを採用可能であり、こうしたアクチュエータにより、トグル機構やボールネジ機構を介してエジェクタプレート12を駆動する等、種々のエジェクタ駆動機構を採用可能である。
(7)実施例1の着脱ロッド16において、先端側ロッド部29の基端部に嵌合軸部、基端側ロッド部28の先端部に嵌合穴を夫々設け、基端側ロッド部28の嵌合穴に先端側ロッド部29の嵌合軸部を焼き嵌めにて固着してもよい。また、基端側ロッド部28の嵌合穴に先端側ロッド部29の嵌合軸部を嵌合させて固定ピンで固定してもよい。尚、実施例2の一体型エジェクタロッド11Aにおいても同様である。
(8)本考案は、射出成形機1だけでなく、ダイカストマシン等の成形機械にも採用可能である。
(9)その他、当業者であれば、本考案の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能で、本考案はそのような変更形態も包含するものである。
1 射出成形機
3 可動プラテン
7,7A エジェクタ装置
10 ロッド挿通孔
11 エジェクタロッド
11A 一体型エジェクタロッド
12 エジェクタプレート
13 エジェクタ駆動機構
14,14A マグネット式ロッド固定機構
15 ベースロッド
16 着脱ロッド
28,31 基端側ロッド部
29,32 先端側ロッド部
30,33 平面部
34,36 ローレット
37,39 スプライン溝

Claims (6)

  1. 成形機械のプラテンに貫通状に形成された複数のロッド挿通孔と、前記プラテンの背面側に配設されたエジェクタプレートと、エジェクタプレートを前記プラテンに接近・離隔する方向へ駆動するエジェクタ駆動手段と、前記複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿通される複数のエジェクタロッドとを有する成形機械のエジェクタ装置において、
    前記複数のエジェクタロッドは、複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿入され且つ基端部がエジェクタプレートに固定された複数のベースロッドと、これらベースロッドに着脱可能な複数の着脱ロッドとを有し、
    前記各ベースロッドの先端部に着脱ロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を有し、
    前記各着脱ロッドは、磁性体で構成され且つ基端部にマグネット式ロッド固定手段の一部を組み込んだ基端側ロッド部と、軽金属材料で構成され且つ基端側ロッド部の先端部に固着された先端側ロッド部とで構成されたことを特徴とする成形機械のエジェクタ装置。
  2. 成形機械のプラテンに貫通状に形成された複数のロッド挿通孔と、前記プラテンの背面側に配設されたエジェクタプレートと、エジェクタプレートを前記プラテンに接近・離隔する方向へ駆動するエジェクタ駆動手段と、前記複数のロッド挿通孔に摺動自在に挿通される複数のエジェクタロッドとを有する成形機械のエジェクタ装置において、
    前記エジェクタプレートに各エジェクタロッドの基端部を永久磁石の磁力により取り外し可能に固定する為のマグネット式ロッド固定手段を有し、
    前記各エジェクタロッドは、磁性体で構成され且つ基端部にマグネット式ロッド固定手段の一部を組み込んだ基端側ロッド部と、軽金属材料で構成され且つ基端側ロッド部の先端部に固着された先端側ロッド部とで構成されたことを特徴とする成形機械のエジェクタ装置。
  3. 前記軽金属材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金の中から選択される何れかの金属であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形機械のエジェクタ装置。
  4. 前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部に平面部が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の成形機械のエジェクタ装置。
  5. 前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にローレットが形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の成形機械のエジェクタ装置。
  6. 前記各先端側ロッド部の外周部の少なくとも一部にスプライン溝が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の成形機械のエジェクタ装置。
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