ところで中空形材の場合、これを構成する板材は比較的厚さが薄いため、摩擦撹拌接合加工時の回転ツールの押圧荷重によって端部の板が変形してしまう恐れがあるといった問題があった。そこで、特許文献1のパネル構造体では、端部の板を厚くしたり、中空形材にリブを設けたりするなどして、中空形材を回転ツールの押圧荷重に耐えうる構成としていた。しかしながら、このような構成では、端部の板が薄い既存の中空形材に対して適用することができず、中空形材を形成するための型を改造しなければならなかった。
特許文献2の押出形材では、端部の板に凹溝を形成しているため、厚さが薄い部分が形成され、その部分に回転ツールの押圧荷重が集中して変形していた。特許文献2では、端部の板を変形させることで、高さが相違する中空形材同士の接合を行うようにしているが、接合部分に隙間ができてしまい、中空形材同士の接合強度が低下するといった問題が残っていた。
このような観点から、本発明は、接合すべき中空形材の板材の厚さが薄い場合であっても、中空形材に変形を生じさせ難い摩擦撹拌接合を行うことができる中空形材の接合方法および接合構造を提供することを課題とする。
このような課題を解決するための請求項1に係る発明は、第1の板と、この第1の板と対向する第2の板と、前記第1の板の端部と前記第2の板の端部とを接続する第3の板とを備えた中空形材同士を接合する中空形材の接合方法において、前記中空形材同士の間に中間プレートを介設して、前記中空形材同士を互いに離間させて配置するとともに、前記第3の板がそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合うように前記中空形材同士を配置し、回転させた摩擦撹拌接合用の回転ツールを前記中間プレートの端面に押し当てて、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材間に中間プレートを介設することで、突合せ部分の部材の厚さが厚くなるので、回転ツールの押圧荷重に対する剛性を高めることができ、中空形材が変形し難くなる。さらに、中間プレートを中空形材とは別途に設けることで突合せ部分の厚さを厚くしているので、第3の板が薄い既存の中空形材に対しても適用することができ、従来のような新たな中空形材を形成するための型を改造する必要がないので、コストアップを防止することができる。また、中空形材が変形しにくいので、突合せ部分に隙間が発生しにくく、接合強度の低下を防止できる。
請求項2に係る発明は、第1の板と、この第1の板と実質的に平行な第2の板と、前記第1の板の端部と前記第2の板の端部とを接続するものであって前記第1の板におよび前記第2の板に実質的に直交する第3の板とを備えた中空形材同士を接合する中空形材の接合方法において、前記中空形材同士の間に中間プレートを介設して、前記中空形材同士を互いに離間させて配置するとともに、それぞれの前記第1の板が互いに同一平面上に位置し、前記第3の板はそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合うように前記中空形材同士を配置し、回転させた摩擦撹拌接合用の回転ツールを前記中間プレートの端面に押し当てて、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする中空形材の接合方法である。
かかる接合方法は、断面矩形状の中空形材の接合方法であって、請求項1と同様に、突合せ部分の部材の厚さが厚くなり、回転ツールの押圧荷重に対する剛性を高めることができ、中空形材を変形しにくくすることができる。また、第3の板が薄い既存の中空形材に対しても適用することができ、従来のような新たな中空形材を形成するための型を改造する必要がないので、コストアップを防止することができる。また、中空形材が変形しにくいので、突合せ部分に隙間が発生しにくく、接合強度の低下を防止できる。さらに、中空形材の幅寸法の誤差に応じて、厚さの異なる中間プレートを設ければ、接合後の連結中空形材の幅寸法の精度を高めることができる。
請求項3に係る発明は、第1の板と、この第1の板と対向する第2の板と、前記第1の板の端部と前記第2の板の端部とを接続する第3の板とを備え、さらに前記第1の板と前記第3の板との交差部から前記第2の板まで延出するリブまたは前記第2の板と前記第3の板との交差部から前記第1の板まで延出するリブを備えた中空形材同士を接合する中空形材の接合方法であって、前記中空形材同士の間に中間プレートを介設して、前記中空形材同士を互いに離間させて配置するとともに、前記第3の板がそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合うように前記中空形材同士を配置し、回転させた摩擦撹拌接合用の回転ツールを前記中間プレートの端面に押し当てて、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材に第3の板の一端から延出するリブを設けたことによって、回転ツールの押圧荷重をリブが分散して受けることができ、前記押圧荷重に対する剛性を高めることができ、中空形材が変形し難くなる。これによって、突合せ部分に隙間が発生しにくく、接合強度の低下を防止できる。
請求項4に係る発明は、前記中空形材同士の間に中間プレートを介設して、前記中空形材同士を互いに離間させて配置するとともに、前記第3の板はそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合い、さらに前記中間プレートが互いに接続される前記中空形材の表面から突出して突条を形成するように構成され、回転させた摩擦撹拌接合用の回転ツールを前記中間プレートの端面に押し当てて、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突条の体積を適宜調整することで、回転ツールによって突合せ部分に押し込まれる金属量を確保できるので、突合せ部分に空洞欠陥や表面の凹み等が発生せず、表面が平坦で精度の高い接合部を得ることができる。また、突合せ部分に突条を形成するために、中間プレートの高さを大きくするだけでよく、中空形材の端部に凸部を形成する場合と比較して型の改造等の必要がないので、コストアップを防止できる。
請求項5に係る発明は、前記中空形材は、前記第3の板の外面側に前記第1の板および前記第2の板を実質的に延長するような係合突条を備え、前記中間プレートは、その表面に前記係合突条が挿入されて係合する溝を備えており、前記係合突条を前記溝に嵌合して係合させた状態で、前記第3の板がそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合うように前記中空形材同士を配置し、回転させた摩擦撹拌接合用の回転ツールを前記中間プレートの端面に押し当てて、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項4に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材と中間プレートを突き合せる際の位置決めを容易に行えるとともに、中空形材と中間プレートとが互いに中間プレートの長手方向にずれないので、回転ツールの押圧荷重に対する剛性を高めることができるとともに、安定した状態で摩擦撹拌接合を行うことができる。
請求項6に係る発明は、前記中間プレートの両面に突き合わされた前記中空形材の前記第1の板をベッドに載置した状態で、上方から摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、回転ツールの押圧荷重を確実に受けることができ、容易かつ確実に摩擦撹拌接合を行うことができる。
請求項7に係る発明は、前記中間プレートと前記第3の板との突合せ部分には、微小隙間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突合せ部分の微小隙間以外の部分同士が密に接触して、接合強度を高めることができる。
請求項8に係る発明は、前記中空形材の第3の板で前記中間プレートを両面から挟み込んだ状態で、前記突合せ部分を摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中間プレートをその両面から中空形材の第3の板でそれぞれ押圧することで、回転ツールの押圧荷重に耐え得る剛性を高めることができる。
請求項9に係る発明は、前記中間プレートは、高さ方向両端にフランジ部をそれぞれ有しており、前記中空形材を前記中間プレートの両端のフランジ部間に嵌合した状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
ところで、中間プレートの高さ方向とは、第3の板が第1の板側から第2の板側に向かって延びる方向をいう。このような方法によれば、中間プレートの剛性を高めるとこができ、回転ツールの押圧荷重に対する突合せ部分の剛性を高めることができる。さらに、中空形材を中間プレートに嵌めこむことで、中空形材相互の位置決めを確実かつ容易に行うことができる。
請求項10に係る発明は、前記フランジ部の厚さは、前記中空形材の厚さ寸法の0.2〜1.0倍の範囲内にあることを特徴とする請求項9に記載の中空形材の接合方法である。
ところで、中空形材の厚さとは、第1の板の表面と第2の板の表面との距離をいい、第3の板の上下方向長さをいう。
このような方法によれば、中空形材の板厚の減少を防ぎ、所要の強度を得ることが容易となる。なお、フランジ部の厚さが中空形材の厚さ寸法の0.2倍未満では、中空形材の厚さ寸法の増加による厚さの補償が不十分になり得、一方、フランジ部の厚さが中空形材の厚さ寸法の1.0倍を超えると、接合後に突出部が残るため、金属材のロスが発生するとともに、接合に要する時間が増加してしまう。したがって、これらを除いた前記範囲をフランジ部の厚さとしている。
請求項11に係る発明は、前記フランジ部の幅は、前記回転ツールのショルダ径の0.8〜1.0倍の範囲内にあることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、回転ツールのショルダ部の下端面によりフランジ部を押さえることができ、撹拌ピンによりフランジ部を塑性流動化でき、健全な摩擦撹拌接合を行うことができる。なお、フランジ部の幅が回転ツールのショルダ径の0.8倍未満では、フランジ部の断面積が不十分となり、一方、フランジ部の幅が回転ツールのショルダ径の1.0倍を超えると、回転ツールの通過後に発生するバリが多くなり、金属材のロスが発生するとともに、バリの除去に要する時間が増加してしまう。したがって、これらを除いた前記範囲をフランジ部の幅としている。
請求項12に係る発明は、前記ベッドは、前記突条を収容可能な突条収容溝を有しており、前記突条を前記ベッドの前記突条収容溝に収容した状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項6に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材ががたつくことなく、摩擦撹拌接合することができる。
請求項13に係る発明は、前記中間プレートと前記第3の板とが、両面テープで接着された状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材と中間プレートとが互いに中間プレートの長手方向にずれないので、回転ツールの押圧荷重に対する剛性を高めることができるとともに、安定した状態で摩擦撹拌接合を行うことができる。
請求項14に係る発明は、前記中間プレートと前記第3の板とが、接着剤で接着された状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、中空形材と中間プレートとが互いに中間プレートの長手方向にずれないので、回転ツールの押圧荷重に対する剛性を高めることができるとともに、安定した状態で摩擦撹拌接合を行うことができる。
請求項15に係る発明は、前記中間プレートと前記第3の板との間に、低融点金属ハンダが設けられた状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突合せ部分で低融点金属ハンダが溶融しやすく、接合強度を高めることができる。
請求項16に係る発明は、前記中間プレートは、その両面に低融点金属ハンダを収容するハンダ収容溝を有しており、前記ハンダ収容溝に前記低融点金属ハンダを収容した状態で、摩擦撹拌接合することを特徴とする請求項15に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突合せ部分で低融点金属ハンダが溶融しやすく、接合強度を高めることができるとともに、容易な加工で低融点金属ハンダを中間プレートに固定することが可能である。
請求項17に係る発明は、前記低融点金属ハンダは、摩擦撹拌領域に接するように配置されることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、低融点金属ハンダを確実に溶融させることができる。
請求項18に係る発明は、前記低融点金属ハンダは、摩擦撹拌領域内に配置されることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によっても、低融点金属ハンダを確実に溶融させることができる。
請求項19に係る発明は、前記低融点金属ハンダは、亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムのうち一種または二種以上を主成分として構成された合金材であることを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突合せ部分で低融点金属ハンダが特に溶融しやすく、接合強度を高めることができる。
請求項20に係る発明は、前記低融点金属ハンダは、亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムのうち一種または二種以上を主成分とした合金材で構成された中空の鞘と、この鞘の内部に充填されたアルカリ金属塩化物および亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムの塩化物のうち二種以上を混合した混合物粉末とからなることを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、突合せ部分で低融点金属ハンダ表面の酸化が抑制されて、接合強度を高めることができる。
請求項21に係る発明は、前記中空形材の内空部には裏当部材が設けられており、この裏当部材は、前記第3の板の内側面と前記第1の板および前記第2の板の内側面とに当接していることを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載の中空形材の接合方法である。
このような方法によれば、回転ツールの押圧荷重に対する突合せ部分の剛性をさらに高めることができる。
請求項22に係る発明は、第1の板と、この第1の板と対向する第2の板と、前記第1の板の端部と前記第2の板の端部とを接続する第3の板とを備えた中空形材同士を接合する中空形材の接合構造において、前記中空形材同士の間に中間プレートを介設して、前記中空形材同士を互いに離間させて配置するとともに、前記第3の板がそれぞれ前記中間プレートの両面に突き合うように前記中空形材同士を配置し、前記各第3の板と前記中間プレートとの突合せ部分に摩擦撹拌領域を有することを特徴とする中空形材の接合構造である。
このような構成によれば、回転ツールの押圧荷重に対する剛性が高く、中空形材が変形しにくく、接合強度が高い中空形材の接合構造を安価で提供することができる。さらに、中間プレートを中空形材とは別途に設けることで突合せ部分の厚さを厚くしているので、第3の板が薄い既存の中空形材に対しても適用することができ、従来のような新たな中空形材を形成するための型を改造する必要がないので、コストアップを防止することができる。また、中空形材が変形しにくいので、突合せ部分に隙間が発生することはなく、接合強度の低下を防止できる。
本発明に係る中空形材の接合方法および接合構造によれば、接合すべき中空形材の板材の厚さが薄い場合であっても、中空形材の変形を抑えつつ摩擦撹拌接合を行うことができるといった優れた作用効果を得ることができる。
本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
本発明を実施するための最良の第一の実施形態として、図1に示すように、中空形材10,10同士を直線状に接合する接合方法を例に挙げて説明する。
本実施形態では、中空形材10は、第1の板11と、この第1の板11と実質的に平行な第2の板12と、第1の板11の端部11aと第2の板12の端部12aとを接続するものであって第1の板11および第2の板12に実質的に直交する第3の板13とを備えている。すなわち、中空形材10は、断面が略矩形形状を呈しており、第3の板13は、第1の板11および第2の板12の両端部11a,12a(図1では一端のみを図示)を接続するように構成されている。互いに接続される中空形材10,10の形状・寸法に特に制限はないが、本実施形態では厚さ寸法(第3の板13の長さ寸法)を同一にすることが望ましい。
中空形材10は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金など摩擦撹拌可能な金属材料から構成されている。本実施形態では、一方の中空形材10および他方の中空形材10を、同一組成の金属材料(例えばアルミニウム合金)で形成している。アルミニウムまたはアルミニウム合金で中空形材を構成する場合は押出形材として形成される。
本発明においては、中空形材10,10間には、中間プレート20が介設されることを特徴とする。中空形材10,10同士を接合する際には、その間に中間プレート20を介設して、中空形材10,10同士を互いに離間させて配置するとともに、第3の板13がそれぞれ中間プレート20の両面に突き合うように中空形材10,10同士を配置する。
中間プレート20は、中空形材10,10同士の突合せ部分21で第3の板13に沿って設けられる板材である。中間プレート20は、中空形材10の厚さ(第1の板11の表面と第2の板12の表面との距離)と同等の高さ(図1中、上下方向を示し、中間プレート20を平らに置いた場合の幅をいう)を有しており、中空形材10,10間に介設された際に、中間プレート20の上下両端部が、第1の板11および第2の板12の表面と面一になるように構成されている。また、中間プレート20は、第3の板13の長手方向(図1の紙面表裏方向)に沿っては位置されており、各第3の板13,13の長手方向の長さと同等の長さを備えるように形成されている。中間プレート20は、中空形材10と同様に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金など摩擦撹拌可能な金属材料から構成されている。本実施形態では、中間プレート20は、中空形材10と同一組成の金属材料で形成されている。
次に、接合に用いる回転ツール30を説明する。
回転ツール30は、工具鋼など中空形材10や中間プレート20よりも硬質の金属材料からなり、円柱状を呈するショルダ部31と、このショルダ部31の下端面32に突設された撹拌ピン(プローブ)33とを備えて構成されている。回転ツール30の寸法・形状は、中空形材10および中間プレート20の材質や厚さ等に応じて設定すればよい。
ショルダ部31の下端面32は、塑性流動化した金属を押えて周囲への飛散を防止する役割を担う部位であり、本実施形態では、平面状に成形されている。ショルダ部31の外径の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、第3の板13と中間プレート20と他の第3の板13とを合わせた厚さ寸法と同等の寸法となっている。
撹拌ピン33は、ショルダ部31の下端面32の中央から垂下しており、本実施形態では、先細りの円錐台状に成形されている。また、撹拌ピン33の周面には、螺旋状に刻設された撹拌翼(図示せず)が形成されている。撹拌ピン33の外径の大きさに特に制限はないが、本実施形態では、撹拌ピン33の先端部が、中間プレート20の厚さ寸法(図1中、水平方向寸法)より若干大きい径となり、撹拌ピン33の基端部が、第3の板13と中間プレート20と他の第3の板13とを合わせた厚さ寸法よりも小さい径となるように形成されている。
なお、撹拌ピン33の長さは、例えば、3〜10(mm)、直径は2〜10(mm)、ショルダ部31の直径は、例えば6〜25(mm)である。また、回転ツール30の回転速度は500〜15000(rpm)、送り速度は0.05〜2(m/分)で、中空形材10,10の突合せ部分21を押さえる押込み力は1〜20(kN)程度で、中空形材10および中間プレート20の材質や板厚および形状に応じて適宜選択される。
以下、本実施形態に係る接合方法を詳細に説明する。
中空形材10,10同士を接合するに際しては、図1の(a)に示すように、まず、中空形材10,10の間に中間プレート20を介設して、中空形材10,10同士を互いに離間させて配置する。すなわち、各中空形材10,10は、各第3の板13,13が互いに所定の間隔をあけて対向するように配置され、それぞれ中間プレート20の両面に突き合うようになっている。中間プレート20は、中空形材10の厚さと寸法と同等の高さ(図1中、上下方向)に形成されているので、中間プレート20の上下両端部と、中空形材10の第1の板11の表面および第2の板12の表面とか略面一となる。また、中間プレート20はその長手方向において、第3の板13と同等の寸法を有しているので、中間プレート20の長手方向両端部と、第3の板13の長手方向両端部と略面一となる。
ここで、万一、中空形材10の幅寸法(図1中、水平方向の寸法)に製造誤差が生じていた場合は、中間プレート20の表面を部分的に研磨するなどして、中空形材10の幅寸法が大きくなっている部分の中間プレート20を薄くする。このようにすれば、中空形材10、中間プレート20および中空形材10を互いに当接させたときに、全体として中空形材10,10を接合したパネルの幅寸法が統一される。
以上のような状態で、中空形材10,10および中間プレート20は、ベッド40上に載置される。本実施形態では、ベッド40は、表面が平面状に形成されており、突合せ部分21の中心となる中間プレート20が、ベッド40の重心近傍などの安定した部分に載置される。このとき、中空形材10,10は、図示しない治具によって拘束され、中間プレート20は、中空形材10,10に挟み込まれて挟持される。このように、中空形材10,10および中間プレート20をベッド40上に載置することで、後記する摩擦撹拌接合時の回転ツール30の押圧荷重を確実に受けることができ、安定した状態で容易かつ確実に摩擦撹拌接合を行うことができる。
その後、回転ツール30を、中間プレート20の適所に設けた接合開始位置の直上に移動させ、続いて、回転ツール30を回転させつつ下降させて、撹拌ピン33を接合開始位置に押し付ける。
そして、撹拌ピン33が中間プレート20および中空形材10,10の突合せ部分21の表面に接触すると、摩擦熱によって撹拌ピン33の周囲にある金属(中間プレート20および中空形材10,10)が塑性流動化し、撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入される。
このとき、突合せ部分21には、回転ツール30の押圧荷重がかかるが、突合せ部分21では、一対の第3の板13,13と中間プレート20とが合わされて、押圧荷重に耐えうるための十分な厚さが確保される。したがって、突合せ部分21が座屈して変形することは殆んどない。また、回転ツール30の撹拌ピン33の先端部が、中間プレート20の厚さ寸法より若干大きい径となり、基端部が、第3の板13と中間プレート20と他の第3の板13とを合わせた厚さ寸法よりも小さい径となるように形成されているので、回転ツール30によって塑性流動化した流動部21aは、中空形材10の内表面まで広がらず、板厚全体に亘ることがないので、中空形材10の変形を防止できる。
図1の(b)に示すように、撹拌ピン33の全体が突合せ部分21に入り込み、かつ、ショルダ部31の下端面32の全面が突合せ部分21の表面に接触したら、回転ツール30を回転させつつ、中間プレート20および第3の板13の長手方向(図1中、紙面表裏方向)に沿って相対移動させる。
なお、回転ツール30を移動させる際には、ショルダ部31の軸線を鉛直線に対して進行方向の後ろ側へ僅かに傾斜させてもよいし、傾斜させずに鉛直としてもよい。ショルダ部31の軸線を傾斜させずに鉛直にすると、回転ツール30の方向転換が容易となり、複雑な動きが可能となる。以上のように回転ツール30を移動させると、その撹拌ピン33の周囲にある第3の板13,13および中間プレート20が順次塑性流動化して混ざり合うとともに、撹拌ピン33から離れた位置では、塑性流動化していた金属が再び硬化して、中空形材10,10と中間プレート20が一体的に固結される。
その後、回転ツール30が接合終了位置に達したら、回転ツール30を回転させつつ上昇させて撹拌ピン33を接合終了位置から離脱させる。
以上のように、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図1の(c)に示すように、中間プレート20と中空形材10,10をベッド40上で反転させて、中空形材10,10と中間プレート20との突合せ部分21に対して前記と同様の工程を行い、他方の面を摩擦撹拌接合する。これによって、中空形材10,10の両面において、摩擦撹拌接合がなされ、中空形材10,10同士が確実に固定される。
かかる中空形材の接合方法によれば、中空形材10,10間に中間プレート20を介設することで、突合せ部分21の縦方向の部材(第3の板13,13および中間プレート20)の全体厚さが厚くなるので、回転ツール30の押圧荷重に対する剛性を高めることができる。また、中間プレート20は両側から第3の板13,13に挟み込まれているので、中間プレート20へ伝わった荷重が第3の板13,13へと確実に伝達され、部材の厚さ分の剛性を有効に生かすことができる。
また、中空形材10では、その端部の第3の板13の板厚が薄く、圧縮力に弱いので、その部分の剛性を高めるためには、第3の板の厚さを厚くしたり、中空形材内にリブを設けたりする必要があったが、本実施形態によれば、中間プレート20を中空形材10,10間に介設するだけで突合せ部分21の厚さを容易に厚くできる。
以上のように、突合せ部分21の剛性が高くなることで、回転ツール30の押圧荷重に対抗することができ、中空形材10,10の第3の板13が変形しにくくなり、寸法精度の高い中空形材の接合構造を得ることができる。さらに、中間プレート20を中空形材10,10とは別途に設けることで突合せ部分21の厚さを厚くしているので、第3の板13が薄い既存の中空形材10に対して適用することができ、第3の板の厚さを厚くするなどした新たな中空形材を形成するための型を改造形成する必要がないので、コストアップを防止することができる。また、中空形材10の変形を抑えることができるので、突合せ部分21に隙間が発生しにくく、接合強度の低下を防止できる。
さらに、中空形材10,10の幅寸法(図1中、水平方向の寸法)の誤差が生じた場合に、その寸法誤差に応じて厚さの異なる中間プレート20を設ければ、寸法誤差を吸収することができ、接合後の連結中空形材の幅寸法の精度が高い中空形材の接合構造を得ることができる。
なお、前記の実施形態では、断面が略矩形形状の中空形材10を例に挙げて説明したが、中空形材の形状を断面矩形形状に限定する趣旨ではなく、第1の板と第2の板とが平行ではない関係で対向する場合でも本発明は適用可能であるのは勿論である。
[第二の実施形態]
第二の実施形態は、図2に示すように、中空形材10,10同士を直線状に接合する接合方法であって、中間プレート20aが、中空形材10の表面(上面および下面)より突出するように構成された形態である。
具体的には、中間プレート20aは、第一の実施形態の中間プレート20(図1参照)よりも高さ(図2中、上下方向の寸法)が広く形成されており、中空形材10の厚さ(第1の板11の表面と第2の板12の表面との距離)よりも長い寸法となっている。これによって、中間プレート20aは、その上下両端部が中空形材10の第1の板11および第2の板12の両表面から、上下に所定長さ突出して突条22を構成するようになっている。突条22部分の金属材料の一部は、摩擦撹拌接合の際にバリ(図示せず)となり、摩擦撹拌接合後に取り除かれる。
一方、本実施形態のベッド40aには、突条22を収容するための突条収容溝41が形成されている。突条収容溝41は、ベッド40aに形成された直線状の可動部43を上下移動させることで形成される。突条収容溝41の深さは、可動部43の昇降移動量を調整することで決定され、突条22の突出寸法と同等の寸法になるように構成されている。そして、中空形材10,10および中間プレート20aは、ベッド40aの突条収容溝41に突条22が収容されるように向きを合わせて、ベッド40a上に載置される。
なお、その他の中空形材10および回転ツール30などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
中空形材10,10同士を接合する際の回転ツール30の動作は、基本的には第一の実施形態と同じであるが、回転ツール30を、接合開始位置の直上から下降させたときに、最初に中間プレート20aの上端部に当接する。このとき、摩擦熱によって最初は撹拌ピン33の周囲にある中間プレート20aの上端部が塑性流動化して、撹拌ピン33が下降するに連れてその周囲の中空形材10,10も塑性流動化し、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入される。
このとき、突合せ部分21には、回転ツール30の押圧荷重がかかるが、第一の実施形態と同様に、突合せ部分21では、一対の第3の板13,13と中間プレート20aとが合わされて、押圧荷重に耐えうるための十分な厚さが確保される。したがって、突合せ部分21が座屈して変形することはない。
図2の(b)に示すように、撹拌ピン33の全体が突合せ部分21に入り込み、かつ、ショルダ部31の下端面32の全面が中空形材10の表面に接触したら、回転ツール30を回転させつつ、中間プレート20および第3の板13の長手方向(図1中、紙面表裏方向)に沿って、接合終了位置まで相対移動させる。このとき、突条22部分の金属材料の一部は、バリ(図示せず)となるが、このバリは摩擦撹拌接合後に取り除かれる。
その後、回転ツール30が接合終了位置に達したら、回転ツール30を回転させつつ上昇させて撹拌ピン33を接合終了位置から離脱させる。
以上のように、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図2の(c)に示すように、中間プレート20aと中空形材10,10をベッド40a上で反転させる。このとき、ベッド40aの可動部43を上昇させて、ベッド40aを平面状にしておくとよい。その後、中空形材10,10と中間プレート20aとの突合せ部分21に対して前記と同様の工程を行い、他方の面を摩擦撹拌接合する。これによって、中空形材10,10の両面において、摩擦撹拌接合がなされ、中空形材10,10同士が確実に固定される。
以上のような本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の作用効果の他に、中間プレート20aの高さ寸法を大きくして突条22を形成したことによって、回転ツール30によって突合せ部分21に押し込まれる金属量を増加することができるので、空洞欠陥などの少ない、健全な接合部を形成することができる。また、突条22の大きさを調整することで、接合後の突合せ部分21の表面を凹みのない平坦な面に形成したり、凹部や凸部を形成したりすることができる。
また、突合せ部分21に突条22を形成するためには、中間プレート20aの高さ寸法を大きくするだけでよく、中空形材の端部に凸部を形成する場合と比較すると、型の改造等を行う必要がないので、コストアップを防止できる。
ベッド40aには突条収容溝41が形成されているので、突条22を突条収容溝41で支持できるとともに、中空形材10,10を他の平面部分で支持できるので、回転ツール30の押圧荷重を確実に受けることができ、中空形材10,10が変形することなく、容易かつ確実に摩擦撹拌接合を行うことができる。さらに、ベッド40aは、可動部43を昇降させることで、突条収容溝41の深さを変更できるので、種々の寸法の突条を確実に支持することができる。
[第三の実施形態]
第三の実施形態は、図3に示すように、中空形材10,10同士を直線状に接合する接合方法であって、中間プレート20cが、その高さ方向両端にフランジ部24,24をそれぞれ有しており、中空形材10,10を中間プレート20cの両端のフランジ部24,24間に嵌合した状態で、摩擦撹拌接合する形態である。
図3の(a)に示すように、中間プレート20cは、断面H字状を呈しており、上下のフランジ部24,24間の距離は、中空形材10,10の厚さ寸法と同等の長さとなっている。そして、フランジ部24,24間に中空形材10が嵌合して挿入され、第3の板13が中間プレート20cのウエブ部24aの表面に当接するようになっている。これによって、突合せ部分21において、フランジ部24が中空形材10,10の表面から突出する突条22aを構成することとなる。
フランジ部24は、その厚さT1(突条22aの突出長さ)が中空形材10の厚さ寸法T2の0.2〜1.0倍の範囲内になるように形成されている。これは、フランジ部24の厚さT1が中空形材10の厚さ寸法T2の0.2倍未満では、中空形材10の厚さ寸法T2の増加による厚さの補償が不十分になり得、一方、フランジ部24の厚さT1が中空形材10の厚さ寸法T2の1.0倍を超えると、接合後に突出部が残るため、金属材のロスが発生するとともに、接合に要する時間が増加して点に着目して、フランジ部24の厚さT1の範囲を前記のように設定した。これによれば、中空形材10の板厚の減少を防ぎ、所要の強度を得ることが容易となる。
フランジ部24は、その幅W(突条22aの幅)が回転ツール30のショルダ径Rの0.8〜1.0倍の範囲内になるように形成されている。これは、フランジ部24の幅Wが回転ツール30のショルダ径Rの0.8倍未満では、フランジ部24の断面積が不十分となり、一方、フランジ部24の幅Wが回転ツール30のショルダ径Rの1.0倍を超えると、回転ツール30の通過後に発生するバリが多くなり、金属材のロスが発生するとともに、バリの除去に要する時間が増加してしまう点に着目して、フランジ部24の幅Wの範囲を前記のように設定した。これによれば、これらを除いた前記の範囲をフランジ部24の幅Wとしている。これによれば、回転ツール30のショルダ部31の下端面32によりフランジ部24の全体を押さえることができ、撹拌ピン33によりフランジ部32を塑性流動化でき、健全な摩擦撹拌接合を行うことができる。
ベッド40aは、第二の実施形態と同様の構成であって、可動部43を、フランジ部24の厚さ寸法、下降させて、フランジ部24からなる突条22aを収容する突条収容溝41を形成する。
なお、その他の中空形材10および回転ツール30などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
摩擦撹拌接合を行うに際しては、まず、中空形材10,10間に中間プレート20cを介設する際に、各中空形材10,10を中間プレート20cに当接させるが、本実施形態では、中間プレート20cの上下にフランジ部24,24がそれぞれ形成されているので、中空形材10をフランジ部24,24間に嵌合させることができる。したがって、各フランジ部24,24が中空形材10の移動のガイドとなり、中空形材10,10と中間プレート20cの当接の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。また、中空形材10,10および中間プレート20cが互いに嵌合されているので移動しやすい。
中空形材10,10同士を接合する際の回転ツール30の動作は、基本的には第一の実施形態と同じであるが、回転ツール30を、接合開始位置の直上から下降させたときに、中間プレート20cの端部のフランジ部24に当接する。このとき、摩擦熱によって最初は撹拌ピン33の周囲にある中間プレート20cの端部のフランジ部24が塑性流動化して、撹拌ピン33が下降するに連れてその周囲の中空形材10,10も塑性流動化し、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入される。
このとき、突合せ部分21には、回転ツール30の押圧荷重がかかるが、第一の実施形態と同様に、突合せ部分21では、一対の第3の板13,13と中間プレート20cとが合わされて、押圧荷重に耐えうるための十分な厚さが確保される。したがって、突合せ部分21が座屈して変形することは殆んどない。また、中間プレート20cにおいては、上下両端のフランジ部24,24が補強リブの役目を果たしており、中間プレート20c自体の剛性が高くなるので、回転ツール30の押圧荷重に対する突合せ部分21の剛性をさらに高めることができる。
図3の(b)に示すように、撹拌ピン33の全体が突合せ部分21に入り込み、かつ、ショルダ部31の下端面32の全面が突合せ部分21の表面に接触したら、回転ツール30を回転させつつ、中間プレート20および第3の板13の長手方向(図1中、紙面表裏方向)に沿って、接合終了位置まで相対移動させる。その後、回転ツール30を回転させつつ上昇させて撹拌ピン33を接合終了位置から離脱させる。このとき、突条22部分の金属材料の一部は、バリ(図示せず)となるが、このバリは摩擦撹拌接合後に取り除かれる。
以上のように、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図3の(c)に示すように、中間プレート20cと中空形材10,10をベッド40a上で反転させる。このとき、ベッド40aの可動部43を上昇させて、ベッド40aを平面状にしておくとよい。その後、中空形材10,10と中間プレート20cとの突合せ部分21に対して前記と同様の工程を行い、他方の面を摩擦撹拌接合する。これによって、中空形材10,10の両面において、摩擦撹拌接合がなされ、中空形材10,10同士が確実に固定される。
以上のような本実施形態によれば、フランジ部24が突条22aを構成することとなるので、第一の実施形態の作用効果の他に、回転ツール30によって突合せ部分21に押し込まれる金属量を確保することができ、空洞欠陥などの少ない、健全な接合部を形成することができる。また、フランジ部24の厚さを調整することで、接合後の突合せ部分21の表面を凹みのない平坦な面に形成したり、凹部や凸部を形成したりすることができる。さらに、前記したように、中空形材10をフランジ部24,24間に嵌合させることで、当接の位置決めを正確かつ容易に行うことができるといった作用効果や、フランジ部24,24が補強リブの役目を果たすことで、中間プレート20c自体の剛性が高くなり、回転ツール30の押圧荷重に対する突合せ部分21の剛性をさらに高めることができるといった作用効果を得ることができる。
[第四の実施形態]
第四の実施形態は、図4に示すように、中空形材10a,10a同士を直角に接合する形態である。
かかる実施形態の中空形材10aは、第1の板11と、この第1の板11と実質的に平行な第2の板12と、第1の板11の端部11aと第2の板12の端部12aとを接続する第3の板13を備えている。ここで、第3の板13は、第1の板11および第2の板12に対して、45度傾斜して形成されている。中空形材10a,10a同士を直角に接合する突合せ部分25の内側入隅部分25aに相当する第1の板11と第3の板13との連結部では、第1の板11と第3の板13が135度の内角で鈍角に交差している。突合せ部分25の外側出隅部分25bに相当する第2の板12と第3の板13との連結部では、第2の板12と第3の板13とが45度の内角で鋭角に交差している。
なお、図4においては、中空形材10aの一端のみ図示しているが、多端は、接続される他の中空形材の形状・寸法に応じて、第3の板(図示せず)が、第1の板11および第2の板12に直交あるいは傾斜して形成されている。
互いに接合される中空形材10a,10aの第3の板13,13は、互いに平行になるように配置され、この第3の板13,13間には中間プレート20dが介設される。中間プレート20dは、高さ方向両端にフランジ部26a,26bを備えている。突合せ部分25の内側入隅部分25aに位置するフランジ部26aは、断面三角形に形成されており、その斜辺に相当する面27aが、互いに直角に配置された中空形材10a,10aの第1の板11,11の外側表面にそれぞれ当接するように構成されている。三角形の底辺に相当する面27bは、中間プレート20dの高さ方向と直交する方向に広がるように構成されている。突合せ部分25の外側出隅部分25bに位置するフランジ部26bは、断面V字状に形成されており、その内側の面27cが、互いに直角に配置された中空形材10a,10aの第2の板12,12の外側表面にそれぞれ当接するように構成されている。V字の底部分は、面取りされて平面状に形成されており、その底の面27dは、中間プレート20dの高さ方向と直交する方向に広がるように構成されている。
なお、その他の回転ツール30などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
摩擦撹拌接合するに際しては、まず、中空形材10a,10aを中間プレート20dに突き合せる。このとき、中間プレート20dの高さ方向両端にはフランジ部26a,26bがそれぞれ形成されているので、中空形材10aを、フランジ部26a,26bをガイドとして、その間に挿入させることができる。これによって、中空形材10a,10aと中間プレート20dの当接の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
内側入隅部分25aを摩擦撹拌接合する場合は、断面略V字状の溝を備えたベッド(図示せず)に中空形材10a,10aと中間プレート20dを固定して、上部から回転ツール30を回転させながら押し当てて行う。外側出隅部分25bを摩擦撹拌接合する場合は、断面略逆V字状の突条を備えたベッド(図示せず)に中空形材10a,10aと中間プレート20dを固定して、上部から回転ツール30を回転させながら押し当てて行う。このとき、中間プレート20dの高さ方向が鉛直方向になるように配置するとよい。
そして、中空形材10a,10a同士を接合する際は、回転ツール30を、中間プレート20dの高さ方向に沿うように移動させ、突合せ部分25に押し当てる。このとき、突合せ部分25では一対の第3の板13,13と中間プレート20dとが合わされて、押圧荷重に耐えうるための十分な厚さが確保される。また、回転ツール30の押圧荷重は、中間プレート20dの高さ方向に沿って真っ直ぐに加えられるので、突合せ部分21が変形しにくくなる。
また、回転ツール30を回転させながら、中間プレート20dの適所に設けた接合開始位置に撹拌ピン33を押し付ける際には、撹拌ピン33が最初に当接する面(フランジ部26aの三角形の底辺に相当する面27bと、フランジ部26bのV字の底の面取りされた面27d)は、ともに回転ツール30の押圧方向と直交する方向に広がるように構成されているので、回転ツール30がずれることなく安定した状態で回転できるとともに、撹拌ピン33の周囲の金属を均一に塑性流動化させることができる。このとき、フランジ部26a,26bの部分の金属材料の一部は、バリ(図示せず)となるが、このバリは摩擦撹拌接合後に取り除かれる。
さらに、第一の実施形態と同様に、回転ツール30の撹拌ピン33の先端部が、中間プレート20の厚さ寸法より若干大きい径となり、基端部が、第3の板13と中間プレート20と他の第3の板13とを合わせた厚さ寸法よりも小さい径となるように形成されているので、回転ツール30によって塑性流動化した流動部(図示せず)は、中空形材10aの内表面まで広がらず、板厚全体に亘ることがないので、中空形材10aが変形しにくくなる。
なお、本実施形態での、回転ツール30の回転速度や移動速度は、撹拌ピン33の寸法・形状、摩擦撹拌される中空形材10,10および中間プレート20の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、中空形材10,10を直線状に接合する場合と同等である。
かかる中空形材の接合方法によれば、中空形材10a,10aを直角に接合する場合であっても、第一の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。また、第1の板11および第2の板12に対する第3の板13の交差角度を調整すれば、直角以外の角度でも摩擦撹拌接合することが可能となる。
[第五の実施形態]
第五の実施形態は、図5に示すように、中空形材10c,10c同士を直線状に接合する接合方法であって、中空形材10cは、内部に補強用のリブ15が設けられているとともに、第3の板13の外面側に係合突条16,16が形成されており、さらに中間プレート20hは、その表面に係合突条16,16がそれぞれ挿入されて係合される溝29,29が形成されている形態である。
中空形材10cは、第1の板11と、この第1の板11と実質的に平行な第2の板12と、第1の板11の端部と第2の板12の端部とを接続するものであって第1の板11および第2の板12に実質的に直交する第3の板13とを備えている。すなわち、中空形材10は、断面が略矩形形状を呈しており、第3の板13は、第1の板11および第2の板12を端部で接続するように構成されている。
中空形材10cの内部に形成されたリブ15は、第2の板12と第3の板13との交差部から斜め下方に延出している。詳しくは、リブ15は、一端が第2の板12と第3の板13との交差部(第3の板13の上端)に接続されて、斜め下方に延出し、他端が第1の板11の内表面に接続されている。このような構成によれば、第1の板11の端部近傍と、第3の板13とリブ15とでトラス構造を構成することとなり、回転ツール30の押圧荷重を第3の板13とリブ15とで分散支持することができ、中空形材10cの回転ツール30の押圧荷重に対する剛性を高くすることができる。なお、リブ15は、第1の板11と第3の板13との交差部から、第2の板12の内表面に向かって斜め上方に延出して、第2の板12の内表面に接続するように形成してもよい。但し、回転ツール30の押圧荷重に対する剛性を高くする観点から考えれば、図12に示したように、第2の板12と第3の板13との交差部から第1の板11の内表面に向かって斜め下方に延出する構成とするのが好ましい。
中空形材10cの外面側に形成された係合突条16,16は、第1の板11および前記第2の板12を実質的にそれぞれ延長するように構成されている。係合突条16は、その外側面(中空形材10cの厚さ方向外側の面)が第1の板11(または第2の板12)の外表面と面一になるように形成されて、また、内側面(中空形材10cの厚さ方向内側の面)が先端側に向かって外表面に近づくように傾斜して形成されており、第3の板13から離れて先端に向かうに連れて薄くなるように形成されている。
中間プレート20hは、中空形材10cの表面(上面および下面)より外方に突出するように構成されており、中空形材10cの厚さ(第1の板11の表面と第2の板12の表面との距離)よりも長い寸法を有している。中間プレート20cに形成された溝29は、中間プレート10cの長手方向(図12の上下方向)の両端部近傍の両側面の4箇所にそれぞれ形成されている。溝29は、中空形材10cの係合突条16と同様の断面形状を有しており、係合突条16が密着して挿入され係合されるように構成されている。中間プレート20hの溝29のよりも外側は、中空形材10cの表面より外方に突出する突条を構成することとなる。
中間プレート20hの上下両端の突条部分は、その突出長さが中空形材10cの厚さ寸法の0.2〜1.0倍の範囲内になるように形成されており、中空形材10の板厚の減少を防ぎ、所要の強度を得ることが容易となる。また、前記突条部分の幅が回転ツール30のショルダ径の0.8〜1.0倍の範囲内になるように形成されており、回転ツール30のショルダ部31の下端面32により中間プレート20hの端面全体を押さえることができるので、撹拌ピン33によりフランジ部32を塑性流動化でき、健全な摩擦撹拌接合を行うことができる。
なお、中空形材10cおよび中間プレート20hの材質、また回転ツール30などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
摩擦撹拌接合を行うに際しては、まず、図5および図6に示すように、接合する一対の中空形材10cの端面(図6では一方のみ図示)、すなわち、第3の板13の側面に、接着剤62(図5では太線にて図示している)を塗布する。接着剤62は、第3の板12の側面のうち、摩擦撹拌接合によって生成される塑性化領域が届かない位置(高さ方向中央部分)に塗布される(詳しくは図6参照)。その後に、中間プレート20hの両側から中空形材10c,10cをそれぞれ当接させて密着させる。このとき、中空形材10cに形成された係合突条16が、中間プレート20cに形成された溝29に挿入されるので、位置決めを容易且つ正確に行える。さらに、係合突条16および溝29の内側面が傾斜して形成されているので、係合突条16の溝29への挿入を円滑に行うことができる。そして、中間プレート20hが中空形材10cへと接着される。なお、接着剤62に代えて両面粘着テープを用いて、中間プレート20hを中空形材10cへ固着するようにしてもよい。
図5の(a)に示すように、中空形材10c,10cおよび中間プレート20hを、第二の実施形態と略同様のベッド40a上に載置する。このとき、中間プレート20hは中空形材10c,10cへと接着されているので、移動および設置が容易である。そして、中空形材10cの下側表面から下方に突出した中間プレート20hの下端部は、ベッド40a上に形成された端部収容溝44に収容される。端部収容溝44は、ベッド40aに形成された直線状の可動部43を上下移動させることで形成される。端部収容溝44の深さは、可動部43の昇降移動量を調整することで決定され、中間プレート20hの突出寸法と同等の寸法になるように構成されている。
中空形材10c,10c同士を接合する際の回転ツール30の動作は、基本的には第二の実施形態と同じであって、回転ツール30を、接合開始位置の直上から下降させたときに、最初に中間プレート20hの上端部に当接する。このとき、摩擦熱によって最初は撹拌ピン33の周囲にある中間プレート20hの上端部が塑性流動化して、撹拌ピン33が下降するに連れてその周囲の中空形材10c,10cも塑性流動化し、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入される。
このとき、突合せ部分21には、回転ツール30の押圧荷重がかかるが、突合せ部分21では、一対の第3の板13,13と中間プレート20hとが合わされるとともに、中空形材10c内にはリブ16が形成されているので、押圧荷重に耐えうるための十分な厚さが確保される。したがって、突合せ部分21が座屈して変形することはない。
また、中空形材10cに形成された係合突条16が、中間プレート20cに形成された溝29に挿入されているので、中間プレート20hは、中空形材10cに対して、図5中、上下方向(中間プレート20hの長手方向)の動きが規制されることとなる。したがって、回転ツール30の押圧荷重に対する中空形材10cおよび中間プレート20hの剛性を高めることができるとともに、安定した状態で摩擦撹拌接合を行うことができる。また、接着剤62によっても、中空形材10cと中間プレート20hとが接着されているので、中空形材10cと中間プレート20hとの一体物としての、回転ツール30の押圧荷重に対する剛性をさらに高めることができる。
その後、図5の(b)に示すように、撹拌ピン33の全体が突合せ部分21に入り込み、かつ、ショルダ部31の下端面32の全面が中空形材10の表面に接触したら、回転ツール30を回転させつつ、中間プレート20hおよび第3の板13の長手方向(図5中、紙面表裏方向)に沿って、接合終了位置まで相対移動させる。そして、回転ツール30が接合終了位置に達したら、回転ツール30を回転させつつ上昇させて撹拌ピン33を接合終了位置から離脱させる。このとき、中間プレート20hの上下両端の中空形材10cから突出した部分の金属材料の一部は、バリ(図示せず)となるが、このバリは摩擦撹拌接合後に取り除かれる。
以上のように、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図5の(c)に示すように、中間プレート20aと中空形材10c,10cをベッド40a上で反転させる。このとき、ベッド40aの可動部43を上昇させて、ベッド40aを平面状にしておくとよい。その後、中空形材10c,10cと中間プレート20hとの突合せ部分21に対して前記と同様の工程を行い、他方の面を摩擦撹拌接合する。これによって、中空形材10c,10cの上下両面において、摩擦撹拌接合がなされ、中空形材10c,10c同士が確実に固定される。
以上のような本実施形態によれば、第二の実施形態と同様の作用効果の他に、中空形材10cの内部にリブ15を形成したことによって、中空形材10cの回転ツール30の押圧荷重に対する剛性をさらに高くすることができるといった作用効果を得られる。さらに、中空形材10cに形成された係合突条16を、中間プレート20cに形成された溝29に挿入して接着剤62で固着しているので、回転ツール30の押圧荷重に対する中空形材10cおよび中間プレート20hの剛性をより一層高めることもできる。
なお、前記実施の形態では、中空形材10cの係合突条16と、中間プレート20hの溝29は、連続的に形成されているが、これに限られるものではなく、断続的に形成してもよい。但し、連続的に形成する方が、押出形材で切削加工することなく、中空形材10cと中間プレート20hを形成できるので加工が容易となって好ましい。
本実施の形態の他に、図7に示すような構成としてもよい。この実施形態は、中空形材10d,10dの第1の板11と第2の板12の端部の外側表面に、段部60がそれぞれ形成されており、中間プレート20iの溝29の外側が厚さ方向(図7中、左右方向)に広がってフランジ部61が形成されている。中間プレート20iの長手方向(図7中、上下方向)の長さは、図5の中間プレート20hと同等である。フランジ部61は、中空形材10dの段部60に係合するように構成されており、表面同士が密着するようになっている。
その他の構成および加工工程は、図5に示した第五の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態によれば、中空形材10dの段部60に、中間プレート20iのフランジ部61を係合させているので、互いに密着する面積が増大し、さらに接着剤62で接着しているので、摩擦撹拌接合前の回転ツール30の押圧荷重に対する中空形材10cおよび中間プレート20hの剛性をより一層高めることができる。
[第六の実施形態]
第六の実施形態は、図8に示すように、中空形材10,10同士を直線状に接合する接合方法であって、中間プレート20eと第3の板13との間に、低融点金属ハンダ50が設けられた状態で、摩擦撹拌接合する形態である。
低融点金属ハンダ50は、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)のうち一種または二種以上を主成分として、さらに必要に応じて、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)のうち一種または二種以上を少量添加して構成された合金材である。さらに詳しくは、低融点金属ハンダ50は、図10に示すように、亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムのうち一種または二種以上を主成分として、さらに必要に応じて、銅、銀、アルミニウムのうち一種または二種以上を少量添加して構成された合金材で構成された中空の鞘51と、この鞘51の内部に充填されたアルカリ金属塩化物および亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムの塩化物のうち二種以上を混合した混合物粉末52(塩化物フラックス)とから構成されている。このような構成によれば、70〜220℃程度の低温でハンダが溶融するとともに、溶融時の粘度が中空形材10,10や中間プレート20eの金属の塑性流動時の粘度よりも低く、中空形材10,10と中間プレート20eとの間に移動しやすくなる。さらに、低融点金属ハンダ50表面の酸化を抑制することができ、中空形材10,10と中間プレート20eの接合強度を高めることができる。
本実施形態では、図8および図9に示すように、中間プレート20eの表面に、ハンダ収容溝28が形成されており、そのハンダ収容溝28に低融点金属ハンダ50が収容されている。ハンダ収容溝28は、中間プレート20eの長手方向(図8の(a)中、紙面表裏方向)に延びて形成されている。ハンダ収容溝28は、中間プレート20eの両面の、高さ方向両端近傍(塑性流動化の範囲内)の二箇所ずつの計四箇所に形成されており、中空形材10,10の表裏の各中空形材10,10と中間プレート20eとの接合に低融点金属ハンダ50がそれぞれ利用されるように構成されている。ハンダ収容溝28は、断面U字状に形成されており、曲線部分は、低融点金属ハンダ50の外径と同等の曲率で構成されている。なお、ハンダ収容溝28の形状は断面U字状に限定されるものではなく、低融点金属ハンダ50を収容可能な所定の断面を有していれば、断面V字状や断面矩形状など他の形状であってよい。
なお、その他の中空形材10および回転ツール30およびベッド40などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
中空形材10,10同士を接合する際の回転ツール30の動作は、基本的には第一の実施形態と同じであって、第一の実施形態と同様の作用効果を得ることができるが、その他に、第六の実施形態では、回転ツール30の回転による摩擦熱によって塑性流動化する撹拌ピン33の周囲にある金属の移動が、第一の実施形態と異なり、以下のような作用効果が得られる。
図8の(b)に示すように、回転ツール30が接合開始位置で下降して、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入されたときに、塑性流動化された金属21bの熱によってハンダ収容溝28内で低融点金属ハンダ50が溶融する。このとき、低融点金属ハンダ50は塑性流動化された金属21bよりも粘度が低いので、第3の板13と中間プレート20eとの間に移動して、接合部分の面積が大きくなるため、接合強度が高められる。
その後、図8の(c)に示すように、中空形材10,10と中間プレート20eを反転させて、反対側の突合せ部分21においても、同様の工程が施され、低融点金属ハンダ50によって、接合部分の面積が大きくなり、接合強度が高められるといった作用効果が得られる。
[第七の実施形態]
第七の実施形態は、図11に示すように、両表面に凹部23が形成された中間プレート20fが設けられている。中間プレート20fは、凹部23を除けば、第五の実施形態の中間プレート20eと同等の構成をしている。中間プレート20fの凹部23によって、第3の板13と中間プレート20fとの突合せ部分21に微小隙間23aが形成されることとなる。微小隙間23aの厚さは、摩擦撹拌される中空形材10,10および中間プレート20の材質や形状等に応じて設定されるものである。
また、その他の中空形材10および回転ツール30およびベッド40などの構成は、第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の作用効果の他に以下のような作用効果を得ることができる。図11の(b)に示すように、回転ツール30が接合開始位置で下降して、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入されたときに、撹拌ピン33と突合せ部分21との摩擦熱によって低融点金属ハンダ50が溶融し、低融点金属ハンダ50が微小隙間23aに所定長さ移動する。
その後、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図11の(c)に示すように、中間プレート20fと中空形材10,10をベッド40上で反転させて、他方の面の摩擦撹拌接合を行う。このとき、他方の面で低融点金属ハンダ50は微小隙間23aに移動する。これによって、低融点金属ハンダ50と第3の板13と中間プレート20fとの接触長さが長くなり、第3の板13と中間プレート20fの接合強度を高めることができる。
なお、本実施形態では、中間プレート20fは、表面に凹部23およびハンダ収容溝28が形成されて、厚さが薄くなっているが、微小隙間23aの寸法は僅かであり、ハンダ収容溝28の断面積も僅かであるので、突合せ部分21の厚さ寸法は、回転ツール30の押圧荷重に耐えうるための十分な厚さおよび断面積が確保される。したがって、突合せ部分21が変形しにくくなる。また、図示しないが、中間プレート20fの上下に突条を設けるようにしてもよい。
本実施形態では、ハンダ収容溝28と凹部23が中間プレート20fに形成されているが、図12に示すように、ハンダ収容溝28と凹部23を、中空形材10bの第3の板13の外表面にそれぞれ形成してもよい。このように構成しても、中空形材10bと中間プレート20との間に微小隙間23aが形成されるので、第七の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第八の実施形態]
第八の実施形態は、図13に示すように、中空形材10,10同士を直線状に接合する接合方法であって、第六の実施形態と同様に、中間プレート20gと第3の板13との間に、低融点金属ハンダ50が設けられた状態で、摩擦撹拌接合する形態であるが、低融点金属ハンダ50の固定方法が、第六の実施形態と異なる。
低融点金属ハンダ50は、第六の実施形態と同様の構成であり、図10に示すように、亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムのうち一種または二種以上を主成分として、さらに必要に応じて、銅、銀、アルミニウムのうち一種または二種以上を少量添加して構成された合金材で構成された中空の鞘51と、この鞘51の内部に充填されたアルカリ金属塩化物および亜鉛、スズ、ビスマス、インジウムの塩化物のうち二種以上を混合した混合物粉末52(塩化物フラックス)とから構成されている。
本実施形態では、図14の(a)および(b)に示すように、一対のローラ53,53で中間プレート20gと低融点金属ハンダ50を挟み込んで、ローラ53,53を回動させることで、低融点金属ハンダ50を扁平状に変形させて、中間プレート20gの表面に圧着させている。このように、低融点金属ハンダ50をローラ53,53で圧着することにより、第六の実施形態のように、中間プレートにハンダ収容溝を形成する必要がないので、低融点金属ハンダ50を容易に固定することができる。
本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の作用効果の他に以下のような作用効果を得ることができる。図13の(b)に示すように、回転ツール30が接合開始位置で下降して、最終的に撹拌ピン33が突合せ部分21に挿入されたときに、撹拌ピン33と突合せ部分21との摩擦熱によって低融点金属ハンダ50が溶融し、第3の板13と中間プレート20gとの間に広がる。特に、本実施形態では、中間プレート20gの表面から低融点金属ハンダ50が突出して圧着されているので、第3の板13と中間プレート20gとの間に微小な隙間23bが形成されているので、低融点金属ハンダ50が微小な隙間23bに移動する。その後、片面の摩擦撹拌接合が終了したら、図13の(c)に示すように、中間プレート20gと中空形材10,10をベッド40上で反転させて、他方の面の摩擦撹拌接合を行う。このとき、低融点金属ハンダ50は、微小隙間23bに移動する。これによって、低融点金属ハンダ50と第3の板13と中間プレート20gとの接触長さが長くなり、第3の板13と中間プレート20gの接合強度を高めることができる。
なお、図示しないが、中空形材の内空部に裏当部材を設けてもよい。裏当部材は、中空形材と同様に、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金などの金属材料から構成されている。裏当部材は、第3の板と沿ったプレート状に形成されており、第3の板の内側面と第1の板および第2の板の内側面とに当接するように構成されている。裏当部材は、中空形材の押出方向の端部から、押出方向に沿って挿入され、接着剤などで中空形材の内空部に固定される。このような裏当部材を設ければ、回転ツールの押圧荷重に対する突合せ部分の剛性をさらに高めることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、中空形材間に中間プレートが介設されていれば、前記の各実施形態における突条、微小隙間、低融点金属ハンダ等の各構成は、適宜組み合わせることが可能である。