JP2002178170A - 差厚ブランク材及びその製造方法 - Google Patents

差厚ブランク材及びその製造方法

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JP2002178170A
JP2002178170A JP2000385752A JP2000385752A JP2002178170A JP 2002178170 A JP2002178170 A JP 2002178170A JP 2000385752 A JP2000385752 A JP 2000385752A JP 2000385752 A JP2000385752 A JP 2000385752A JP 2002178170 A JP2002178170 A JP 2002178170A
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friction stir
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Koichi Matsumoto
公一 松本
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレス成形性及び量産時の信頼性を向上させ
ることができる差厚ブランク材及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 補強板材12の一長辺の端部である2箇
所の角部を主板材11の一長辺の端部である2箇所の角
部に位置合わせし、補強板材13及び14の各一角部を
主板材11の残りの2箇所の角部に位置合わせして補強
板材12乃至14を主板材11上に積層する。このと
き、補強板材12乃至14と主板材11との間には、例
えばナイロンエポキシ樹脂製の接着剤(図示せず)を塗
布しておくことが好ましい。その後、補強板材12乃至
14と主板材11とを、夫々複数箇所で摩擦撹拌接合
(FSW)により接合することにより、複数の接合部1
5を形成する。この結果、主板材11と補強板材12乃
至14とが一体化されて差厚ブランク材1が形成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車の内装パネル
に好適なアルミニウム又はアルミニウム合金製の差厚ブ
ランク材に関し、特に、プレス成形時の割れの抑制を図
った差厚ブランク材に関する。
【0002】
【従来の技術】複数の鋼板の端面を突き合わせて溶接で
接合することによって1枚の鋼板を製造する技術が、例
えば特開平10−180470号公報に開示されてい
る。このようにして製造された板材は、テーラードブラ
ンク材とよばれており、接合により一体化された後に、
例えばプレス成形によって特定の部材形状に加工され
る。
【0003】このようなテーラードブランク材によれ
ば、高い強度が要求される部分に高強度材又は厚い鋼板
を使用することにより、補強材を別途使用しなくても必
要な強度及び剛性を確保することが可能になる。また、
接合される複数の鋼板の一部に端材を使用することによ
り、材料の歩留まりが向上するので、金型数を減少させ
ることができると共に、必要な部材を低コストで製造す
ることが可能になる。更に、肉厚配分を容易に最適化す
ることとができるので、必要な強度及び剛性を確保しつ
つ最も軽量な部材を得ることができるようにもなる。
【0004】このように、テーラードブランク材には種
々の効果があり、鋼板については既に実用化されてい
る。このため、鋼板よりも軽量化の点で優れているアル
ミニウム又はアルミニウム合金板(以下、アルミニウム
及びアルミニウム合金を総称してアルミニウムとい
う。)への適用も検討されている。例えば、アルミニウ
ム板を接合して製造されたテーラードブランク材をプレ
ス成形して所望の形状の部材を得ようとする試みがなさ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウム板のプレス成形性については、鋼板ほどの知識の
集積がなされていないのが現状である。また、鋼板同士
を突き合わせて溶接した場合には、溶接部の強度は母材
よりも高くなるが、アルミニウム板同士を突き合わせ溶
接した場合には、溶接部の強度の方が低くなる。具体的
には、鋼板では、(溶接部の耐力/母材の耐力)×10
0(%)の値が150%程度であるのに対し、5000
系又は6000系のアルミニウム合金板では、60乃至
80%程度に過ぎない。このため、プレス成形時に張力
が加わる部位に溶接部が含まれていると、その部分の強
度が低いので、溶接部の変形量が他の部位よりも大きく
なる。更に、アルミニウム板では、溶接部を含む部分の
破断伸びは、母材のみのものの5割程度と小さいため、
プレス成形途中に、主に溶接部で割れ(破断)が生じる
ことが多い。従って、鋼板の場合と同様の方法で複数の
アルミニウム板を突き合わせ溶接して製造されたテーラ
ードブランク材をプレス成形することによっては、成形
高さが低い簡単な形状の製品しか作ることができない。
【0006】このため、アルミニウム合金板を突き合わ
せ溶接してテーラードブランク材を製造する場合には、
プレス成形による変形量が激しくなるコーナ部から遠く
離れた場所が接合部になるようにするのが一般的であ
る。しかし、この場合には、溶接部の形成位置及びテー
ラードブランク材自体の形状に対する制限が大きく、鋼
板の場合よりも低い効果しか得られなくなってしまう。
【0007】また、アルミニウム板同士を溶接によって
突き合わせ接合した場合には、溶接部に溶接欠陥が存在
するか否かによって強度が著しく変動するため、量産時
における信頼性が低いという問題点もある。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、プレス成形性及び量産時の信頼性を向上さ
せることができる差厚ブランク材及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る差厚ブラン
ク材は、互いに板厚が異なる部位を有しプレス成形によ
って加工される差厚ブランク材であって、アルミニウム
又はアルミニウム合金からなる1枚の主板材と、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金からなり前記主板材上に積
層された補強板材と、が摩擦撹拌接合により一体化され
て形成されていることを特徴とする。
【0010】本発明においては、主板材だけでは強度及
び剛性が不足する部位に補強板材を設けることにより、
重量の増加を抑制しながら必要な強度及び剛性を確保す
ることができる。この際、複数枚の板材を突き合わせて
構成されるテーラードブランク材とは異なり、単一の板
材からなる1枚の主板材が全面にわたって存在している
ため、プレス成形時に割れが極めて生じにくく、成形高
さが比較的高い部材であっても容易に成形することが可
能になる。従って、接合箇所に対する制限はほとんどな
いため、要求される強度及び剛性に応じて主板材及び補
強板材の厚さだけでなく、摩擦撹拌接合を行う場所をも
自由に最適化することが可能である。また、補強板材に
は端材を使用することも可能であるため、材料歩留まり
を向上させてコストを低減することも可能である。な
お、複数枚の補強板材が1箇所に積層されていてもよ
い。
【0011】また、単一の主板材に補強板材が摩擦撹拌
接合されるので、接合部の一部に欠陥があったとして
も、これを原因として強度が極端に低下することはな
く、高い信頼性を得ることが可能である。更に、部位毎
の板厚差が大きい場合、従来の突き合わせによるもので
は製造が困難であるが、本発明では積層の後に摩擦撹拌
接合が行われて形成されているので、容易に製造するこ
とができる。
【0012】なお、前記主板材と前記補強板材とが接着
された後摩擦撹拌接合されていることが好ましい。主板
材と補強板材とが端面ではなく比較的広い面積の表面で
接することになるため、接着剤による接着により、接合
の信頼性が向上するだけでなく、耐振性が向上する。こ
の場合、接着剤としては、例えばポリビニルアルコール
系、ゴム系、エポキシ、アクリル、ポリエステル及びポ
リアミド等を使用することができる。
【0013】また、前記摩擦撹拌接合が前記補強板材の
端部において行われてその端部と前記主板材の表面との
間に前記主板材の表面に対して表面が傾斜する接合部が
形成されていると、補強板材が設けられている部分と設
けられていない部分との間での形状の変化が比較的なだ
らかになるため、主板材の補強板材が設けられていない
部分への応力集中が緩和されてプレス成形時に割れがよ
り一層生じにくくなる。
【0014】更に、前記プレス成形後の部材は、開口部
及び凹凸部からなる群から選択された少なくとも一の部
位を有してもよい。このような開口部及び凹凸部は、主
板材及び/又は補強板材に積層前に予め形成されていて
もよく、摩擦撹拌接合後の前記プレス成形と同時又はそ
の後に形成されてもよい。凹凸部は、例えばエンボス加
工によって1方向又は互いに交差する2方向に沿って繰
り返して形成されていてもよい。
【0015】更にまた、本発明に係る差厚ブランク材
は、前記プレス成形の後に自動車の内装パネル、例えば
ドアのインナーパネル、バックドアのパネル、サイドパ
ネル及びフロアサイドパネル等として使用されてもよ
い。
【0016】また、前記主板材及び前記補強板材は、夫
々3000系アルミニウム合金、5000系アルミニウ
ム合金、6000系アルミニウム合金及び7000系ア
ルミニウム合金からなる群から選択された一種のアルミ
ニウム合金からなることが好ましい。なお、「3000
系」、「5000系」、「6000系」及び「7000
系」には、JIS規格だけでなくAA規格によるものも
含まれる。これらのアルミニウム合金のうち、特に60
00系アルミニウム合金はリサイクル特性の点で優れて
いる。なお、AA又はJIS規格における5000系ア
ルミニウム合金はMgの含有量が4質量%以上のもので
あり、6000系アルミニウム合金はMgの他にSiが
一定の範囲内で含有されているものであるが、必ずしも
各成分元素の含有量は、規格の範囲内に入っていなくて
も、適宜変更することができる。即ち、具体的な用途及
び要求される特性に応じて、他の元素が含有されていて
もよい。また、1000系又は3000系等のアルミニ
ウム合金製であってもよい。
【0017】本発明に係る差厚ブランク材の製造方法
は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる1枚の
主板材上にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる
補強板材を積層する工程と、前記主板材と前記補強板材
とを摩擦撹拌接合する工程と、を有することを特徴とす
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係る差厚
ブランク材及びその製造方法について、添付の図面を参
照して具体的に説明する。図1(a)乃至(c)は本発
明の第1の実施例に係る差厚ブランク材並びにその製造
方法及び加工方法を工程順に示す斜視図である。また、
図2は第1の実施例により製造された差厚ブランク材の
一部を示す断面図である。
【0019】第1の実施例では、図1(a)に示すよう
に、1枚の主板材11及び3枚の補強板材12乃至14
を使用して差厚ブランク材を製造する。これらの板材は
いずれも、例えば6000系アルミニウム合金製であ
る。主板材11は矩形形状を有し、その板厚は均一であ
る。補強板材12も矩形形状を有し、その長さは主板材
11のそれと等しく、その幅は主板材11のものよりも
狭く、例えば1/5程度である。補強板材13及び14
も矩形形状を有し、その長さ及び幅は主板材のものより
も小さく、例えば1/5程度である。
【0020】先ず、図1(b)に示すように、補強板材
12の一長辺の端部である2箇所の角部を主板材11の
一長辺の端部である2箇所の角部に位置合わせし、補強
板材13及び14の各一角部を主板材11の残りの2箇
所の角部に位置合わせして補強板材12乃至14を主板
材11上に積層する。このとき、補強板材12乃至14
と主板材11との間には、例えばナイロンエポキシ樹脂
製の接着剤(図示せず)を塗布しておくことが好まし
い。
【0021】その後、図1(b)及び図2に示すよう
に、補強板材12乃至14と主板材11とを、夫々複数
箇所で摩擦撹拌接合(FSW)により接合することによ
り、複数の接合部15を形成する。この結果、主板材1
1と補強板材12乃至14とが一体化されて差厚ブラン
ク材1が形成される。
【0022】次いで、図1(c)に示すように、プレス
成形により、例えば差厚ブランク材1の中央部に凸部を
形成することにより、例えばパネル用部材3を形成す
る。更に、パネル用部材3の周辺部にトリミング等を施
して所望の形状にする。
【0023】このように、第1の実施例によれば、主板
材11の表面上に補強板材12乃至14を摩擦撹拌接合
して差厚ブランク材1を製造しているので、突き合わせ
溶接によって製造されるテーラードブランク材と比し
て、部位毎の板厚の差が大きいブランク材を得ようとす
る場合であっても、容易に製造することができる。ま
た、差厚ブランク材1においては、全面にわたって単一
の板材から構成された主板材11が存在しているので、
プレス成形によっても割れが極めて生じにくく、成形高
さが比較的高い形状の部材(例えば、自動車の内装パネ
ル)を容易に得ることができる。更に、補強板材12乃
至14の形状及び大きさによっては、端材を使用するこ
ともできるので、従来のテーラードブランク材と同様
に、材料の歩留まりを高くしてコストを低減することも
可能である。また、軽量化、強度及び剛性についても、
少なくとも従来のテーラードブランク材と同程度のもの
を得ることが可能である。更に、1枚の主板材11上に
補強板材12乃至14が摩擦撹拌接合されているので、
接合部15に欠陥があった場合でも、これを原因として
差厚ブランク材1又はパネル用部材3の強度が極端に低
下することがなく、高い信頼性を確保することができ
る。
【0024】なお、2枚の板材を接合する方法として
は、アーク溶接等を行う方法も挙げられるが、本実施例
のように摩擦撹拌接合によって接合した場合には、次の
ような種々の利点がある。先ず、溶加材が不要であるた
め、接合部の組成が母材の組成からほとんど変化しな
い。このため、溶接部の強度等を見積もることがより容
易なものとなる。また、アーク溶接は、全てのアルミニ
ウム合金に行うことはできないが、摩擦撹拌接合はどの
ような組成であっても行うことが可能である。更に、ア
ーク溶接は補強板材の周囲にのみ行うことが可能である
が、摩擦撹拌接合は、図1(b)に示すように、補強板
材の中心部等にも行うことが可能である。即ち、接合箇
所の自由度が大きい。従って、その後のプレス成形等の
曲げ加工等における応力分布等を考慮して接合箇所を選
択することが可能である。
【0025】また、図1(c)に示すように、パネル用
部材3に開口部18を形成してもよい。この開口部18
は、主板材11と補強板材12とを摩擦撹拌接合する前
に主板材11に形成してもよく、摩擦撹拌接合後でプレ
ス成形前に形成してもよい。更に、パネル用部材3に凹
凸部(図示せず)を形成してもよい。この凹凸部も、プ
レス成形と同時に形成してもよく、その前後に別工程に
よって形成してもよい。
【0026】また、主板材及び補強板材の平面形状及び
材質は特に限定されるものではない。更に、補強板材を
設ける位置は、好ましくはその後にプレス成形等を施さ
れる際に強度の補強が必要とされる位置であり、補強板
材の板厚はその箇所にどの程度の強度が必要とされるか
によって適宜調整することができる。更にまた、差厚ブ
ランク材1をプレス成形することによって得る部材は、
パネル用部材に限定されるものではない。
【0027】更に、摩擦撹拌接合を行った後に、信頼性
向上等を目的として更にアーク溶接等によりすみ肉溶接
等を行ってもよい。
【0028】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図3(a)乃至(c)は本発明の第2の実施例に
係る差厚ブランク材並びにその製造方法及び加工方法を
工程順に示す斜視図である。
【0029】第2の実施例では、図3(a)に示すよう
に、1枚の主板材21及び1枚の補強板材22を使用し
て差厚ブランク材を製造する。これらの板材はいずれ
も、第1の実施例と同様に、例えば6000系アルミニ
ウム合金製である。主板材21は矩形形状の板が長手方
向において2箇所で屈曲された形状、即ち「コ」の字型
の形状を有し、その板厚は均一である。補強板材22も
「コ」の字型の形状を有しているが、その幅は主板材2
1のものよりも狭く、例えば1/3乃至1/2程度であ
る。以下の説明では、「コ」の字型形状の内側の面を内
面、外側の面を外面という。
【0030】先ず、図3(b)に示すように、補強板材
22の内面における2箇所の屈曲部主板材11の外面に
おける2箇所の屈曲部に位置合わせして補強板材22主
板材21上に積層する。このとき、補強板材22と主板
材21との間には、第1の実施例と同様に、例えばナイ
ロンエポキシ樹脂製の接着剤(図示せず)を塗布してお
くことが好ましい。
【0031】その後、図3(b)に示すように、補強板
材22と主板材21とを複数箇所で摩擦撹拌接合により
接合することにより、複数の接合部25を形成する。こ
の結果、主板材21と補強板材22とが一体化されて差
厚ブランク材2が形成される。
【0032】次いで、図3(c)に示すように、エンボ
ス加工(プレス成形)により、例えば主板材21の2箇
所の屈曲部に挟まれた部分の外面で補強板材21に覆わ
れていない領域の中央部に凹部24を形成することによ
り、「コ」の字型部材4を形成する。更に、「コ」の字
型部材4に所定の加工を施して所望の形状にする。
【0033】このように、第2の実施例によれば、主板
材21の表面上に補強板材22を摩擦撹拌接合して差厚
ブランク材2を製造しているので、プレス成形によって
も割れが極めて生じにくく、深さが比較的深い凹部24
を具備した部材を容易に得ることができる。更に、第1
の実施例と同様に、補強板材22の形状及び大きさによ
っては、端材を使用することもでき、従来のテーラード
ブランク材と同様に、材料の歩留まりを高くしてコスト
を低減することも可能である。また、軽量化、強度及び
剛性についても、少なくとも従来のテーラードブランク
材と同程度のものを得ることが可能である。更に、単一
の板材からなる主板材21上に補強板材22が摩擦撹拌
接合されているので、接合部25に欠陥があった場合で
も、これを原因として差厚ブランク材2又は「コ」の字
型部材4の強度が極端に低下することがなく、高い信頼
性を確保することができる。
【0034】次に、本発明の第3の実施例について説明
する。図4は本発明の第3の実施例に係る差厚ブランク
材を示す平面図である。
【0035】第3の実施例に係る差厚ブランク材5は、
1個の主板材31に3個の補強板材32乃至34が接着
及び摩擦撹拌接合されて構成されている。補強板材32
乃至34は、複数箇所で主板材31に接合され、複数の
接合部35が形成されている。そして、主板材31の補
強板材32乃至34が接合された表面とは反対側の表面
に突出する複数の円錐状(コーン状)の凹部36がプレ
ス成形により形成されて、インナーパネルが製造され
る。その後、複数の凹部36は、前記反対側表面の各頂
部において樹脂を介してアウターパネルに接合される。
【0036】本実施例においても、一枚の板材からなる
主板材31の表面上に補強板材32乃至34を摩擦撹拌
接合して差厚ブランク材5を製造しているので、プレス
成形によっても割れが極めて生じにくく、深さが比較的
深い凹部36を具備した部材を容易に得ることができ
る。更に、第1及び第2の実施例と同様の効果を得るこ
とも可能である。
【0037】なお、第1乃至第3の実施例においては、
補強板材の中央部等で摩擦撹拌接合を行っているが、補
強板材の主板材との境界部で摩擦撹拌接合を行ってもよ
い。図5は補強板材の主板材との境界部で摩擦撹拌接合
を行った場合の接合部を示す断面図である。
【0038】補強板材42の主板材41との境界部で摩
擦撹拌接合を行った場合には、図5に示すように、接合
部45によって補強板材42の角部に存在していた直角
部分がなくなり、接合部45の表面は主板材41の表面
に対して傾斜した面となる。このため、主板材41の補
強板材42が設けられていない部位への応力集中が緩和
され、この部位でのプレス成形時の割れがより一層生じ
にくくなる。
【0039】また、補強板材の端部に、鉤状の凸部が形
成されていてもよい。このような凸部が形成されていれ
ば、この凸部を主板材の側面に係合させることができ、
位置決めを容易に行うことができるようになる。このよ
うな補強板材には、例えば押出材を使用することができ
る。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
主板材だけでは強度及び剛性が不足する部位に補強板材
を設けることにより、重量の増加を抑制しながら必要な
強度及び剛性を確保することができる。この際、複数枚
の板材を突き合わせて構成されるテーラードブランク材
とは異なり、単一の板材からなる1枚の主板材が全面に
わたって存在しているため、プレス成形時に割れが極め
て生じにくく、成形高さが比較的高い部材であっても容
易に成形することができる。従って、接合箇所に対する
制限はほとんどないため、要求される強度及び剛性に応
じて主板材及び補強板材の厚さだけでなく、摩擦撹拌接
合を行う場所をも自由に最適化することができる。ま
た、補強板材には端材を使用することも可能であるた
め、材料歩留まりを向上させてコストを低減することも
できる。更に、単一の主板材に補強板材が摩擦撹拌接合
されるので、接合部の一部に欠陥があったとしても、こ
れを原因として強度が極端に低下することはなく、高い
信頼性を得ることができる。更にまた、部位毎の板厚差
が大きい場合、従来の突き合わせによるものでは製造が
困難であるが、本発明によれば、積層の後に摩擦撹拌接
合が行われて形成されているので、容易に製造すること
ができる。また、主板材と補強板材とが比較的広い面積
で接触するので、それらの間に接着剤を介在させて信頼
性をより向上させることができる。
【0041】また、請求項3に係る発明によれば、接合
部の表面が補強板材から主板材にかけて傾斜した面にな
るため、補強板材が設けられていない部分への応力集中
を緩和させてその部分での割れをより一層生じにくくす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(c)は本発明の第1の実施例に係
る差厚ブランク材並びにその製造方法及び加工方法を工
程順に示す斜視図である。
【図2】第1の実施例により製造された差厚ブランク材
の一部を示す断面図である。
【図3】(a)乃至(c)は本発明の第2の実施例に係
る差厚ブランク材並びにその製造方法及び加工方法を工
程順に示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施例に係る差厚ブランク材を
示す平面図である。
【図5】補強板材の主板材との境界部で摩擦撹拌接合を
行った場合の接合部を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2、5;テーラードブランク材 3、4;部材 11、21、31、41;主板材 12、13、14、22、32、33、34、42;補
強板材 15、25、35、45;接合部 18;開口部 24、36;凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 21/10 C22C 21/10 // B23K 101:18 B23K 101:18 103:10 103:10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに板厚が異なる部位を有しプレス成
    形によって加工される差厚ブランク材であって、アルミ
    ニウム又はアルミニウム合金からなる1枚の主板材と、
    アルミニウム又はアルミニウム合金からなり前記主板材
    上に積層された補強板材と、が摩擦撹拌接合により一体
    化されて形成されていることを特徴とする差厚ブランク
    材。
  2. 【請求項2】 前記主板材と前記補強板材とが接着され
    た後摩擦撹拌接合されていることを特徴とする請求項1
    に記載の差厚ブランク材。
  3. 【請求項3】 前記摩擦撹拌接合が前記補強板材の端部
    において行われてその端部と前記主板材の表面との間に
    前記主板材の表面に対して表面が傾斜する接合部が形成
    されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の差
    厚ブランク材。
  4. 【請求項4】 前記プレス成形後の部材は、開口部及び
    凹凸部からなる群から選択された少なくとも一の部位を
    有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項
    に記載の差厚ブランク材。
  5. 【請求項5】 前記プレス成形の後に自動車の内装パネ
    ルとして使用されることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の差厚ブランク材。
  6. 【請求項6】 前記主板材及び前記補強板材は、夫々3
    000系アルミニウム合金、5000系アルミニウム合
    金、6000系アルミニウム合金及び7000系アルミ
    ニウム合金からなる群から選択された一種のアルミニウ
    ム合金からなることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れか1項に記載の差厚ブランク材。
  7. 【請求項7】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる1枚の主板材上にアルミニウム又はアルミニウム合
    金からなる補強板材を積層する工程と、前記主板材と前
    記補強板材とを摩擦撹拌接合する工程と、を有すること
    を特徴とする差厚ブランク材の製造方法。
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