JP4167435B2 - アルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、アルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法に係り、特に、アルミニウム合金製の基板材と補強板材とを、互いに重ね合わせた状態下で接合して、一体化することにより、アルミニウム合金製プレス成形用ブランク材を製造する方法の改良された技術に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、所望のプレス製品を得る際には、1枚の金属板を所定の形状に切断して、プレス成形用ブランク材を製造し、その後、このブランク材に対してプレス成形を実施する技術が、一般に採用されてきているが、近年では、複数の金属板を互いに突き合わせて溶接することにより接合し、一体化して、1枚のプレス成形用ブランク材、所謂テーラードブランク材を製造し、そして、このプレス成形用ブランク材に対して所定のプレス成形を行なうことによって、所望のプレス製品を得るようにしたプレス成形技術が、例えば、自動車の内装パネル用のプレス製品を得る際等に、多く採用されている。
【0003】
このようなプレス成形用ブランク材を用いたプレス成形技術においては、プレス成形用ブランク材が、複数の金属板を互いに突合せ溶接により接合して、一体化せしめることにより、製造されているところから、その製造時に、切断加工等による廃棄材料が何等生じないばかりでなく、一般的なプレス成形技術では使用不能な小型の金属板を、ブランク材の形成材料として利用することが出来、それによって、材料コストの低減を有利に図ることが可能となるのであり、しかも、かかるプレス成形用ブランク材として、高強度の材質の金属板や厚い金属板等からなる補強板材と、それよりは強度や厚さの小さな金属板とを一体的に接合してなるブランク材を用いれば、必要な部位に必要なだけの強度が付与されたプレス製品を容易に得ることが出来る等といった数々のメリットが得られるのである。
【0004】
ところで、近年においては、上述の如き数々のメリットに加えて、前述せるような特徴的なプレス成形用ブランク材を用いたプレス製品の軽量化を実現するために、アルミニウム合金製の板材の複数を一体的に突合せ溶接してなるプレス成形用ブランク材を用いて、所望のプレス成形を行なう試みも為されている。しかしながら、よく知られているように、アルミニウム合金材料同士を突合せ溶接して得られる溶接部の強度は、母材の強度よりも不可避的に小さくなってしまうため、そのようなアルミニウム合金製の板材同士を突合せ溶接してなるアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材を用いたプレス成形では、溶接部(接合部)における延び(変形量)が大きいと、プレス成形途中に、プレス成形用ブランク材が、その溶接部で破断(割れ)してしまうことが、往々にしてあったのである。
【0005】
かかる状況下、特開2001−122154号公報には、上述の如き問題を解消すべく提案されたアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材(差厚ブランク材)が、明らかにされている。即ち、このプレス成形用ブランク材は、アルミニウム合金製の主板材の表面上に、アルミニウム合金製の補強板材が重ね合わされた(積層された)状態下で、それら主板材と補強板材とが接合され、一体化せしめられて、構成されている。そして、このような構成とされたプレス成形用ブランク材においては、主板材の表面上に、補強板材との溶接部が形成されることとなるため、複数のアルミニウム合金板材を突合せ溶接する場合とは異なって、溶接部の強度が主板材にて補強され、それによって、プレス成形時における溶接部での破断の発生が有利に防止され得るのである。
【0006】
ところが、前記公報に開示のプレス成形用ブランク材にあっては、補強板材の主板材に対する接合手法として、各種の接着剤を用いて、主板材と補強板材の互いの重合せ面を接着する接着手法や、主板材の表面と補強板材の側面とを溶接する公知の溶融溶接手法が採用されているところから、接着手法を利用した場合には、十分な接合強度を得ることが困難となるといった問題が生じ、また、溶融溶接手法を採用した際には、溶接部に多量に生ずるバリを除去するための余分な作業を行なう必要が生ずるばかりでなく、場合によっては、溶接部にブローホールや酸化物巻き込み等の溶接特有の接合不良が発生する恐れさえもあったのである。その上、それら接着手法や溶融溶接手法の何れを採用する場合にあっても、主板材に接合された補強板材の角部や、補強板材の主板材側とは反対側にビードにより突出形成される突出部等によって、主板材における補強板材の重合せ面に対して略垂直な方向に立ち上がる壁部が、補強部材の外周部の全周に亘って存在せしめられることとなるため、プレス成形時に、それらの角部や突出部にて形成される壁部が邪魔となり、かかる壁部によって、プレス成形操作のスムーズな進行が妨げられるといった、大きな問題が内在していたのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、アルミニウム合金製の基板材の一方の面上に、アルミニウム合金製の補強板材を重ね合せて、接合してなるプレス成形用ブランク材を、安定した接合品質と優れた生産性、更には高度なプレス成形性と、プレス成形操作をスムーズに進行させ得る良好な取扱性をもって、有利に製造することが出来る方法を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、アルミニウム合金製の基板材の一方の面上に、アルミニウム合金製の補強板材を重ね合わせた状態下で、それら基板材と補強板材とを接合して、一体化することによって、プレス成形に用いられるブランク材を製造するにあたり、前記基板材に対して、該基板材の厚さよりも厚い前記補強板材を用いて、それを重ね合わせた後、該補強板材が重ね合わされる該基板材の前記一方の面と該補強板材の側面とで形成される角部に対して、回転治具の先端に同心的に設けたピンを、該回転治具と共に一体回転させつつ斜めに差し込み、該角部に沿って移動せしめて、該基板材と該補強板材とを摩擦撹拌接合することで、それら基板材と補強板材の重ね隅肉接合を行なって、表面が側方に向かって該基板材側に傾斜する傾斜面とされた接合部を、該角部に沿って延びるように形成することにより、該基板材と該補強板材とを一体化せしめることを特徴とするアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法を、その要旨とするものである。
【0009】
すなわち、この本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法にあっては、基板材の一方の面上に補強板材を重ね合わせた状態下で、基板材と補強板材とを接合するようにしたものであるため、プレス成形途中での破断の発生が効果的に防止され得るのであり、そして、基板材と補強板材との接合方式として、それらが何等溶融せしめられることなく接合される固相接合の一種たる摩擦撹拌接合方式が採用されているところから、基板材と補強板材とを接着剤にて接着するよりも、優れた接合強度が得られるのであり、また、それらを溶融溶接する場合とは異なって、バリや溶接特有の接合不良の発生が解消され、しかも入熱が少なく、接合部の強度低下や歪みが有利に抑制され得るのである。更に、基板材の接合部形成側とは反対側の面において、接合部との対応部位と、それ以外の部位との間で、同一の外観も、有利に確保され得るのである。
【0010】
その上、かかる本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法においては、上述の如き摩擦撹拌接合手法を利用して、基板材と補強板材の重ね隅肉接合を行なうことにより、表面が側方に向かって基板材側に傾斜する傾斜面とされた接合部を、補強板材が重ね合わされる基材板の一方の面と補強板材の側面とで形成される角部に沿って延びるように形成して、基板材と補強板材とを一体化するようにしたものであるところから、それら基板材と補強板材とを接着したり、溶融溶接したりする場合とは異なって、補強板材の外周部に、補強板材の角部や、補強板材の基板材側とは反対側に、ビードにより突出形成される突出部等にて、基板材における補強板材の重合せ面に対して略垂直な方向に立ち上がる壁部を何等形成することなく、若しくはその形成範囲を可及的に小さく為しつつ、かかる補強部材の外周部が、滑らかな傾斜面形態と為され得るのであり、それによって、プレス成形時に、それらの角部や突出部にて形成される壁部が邪魔となって、プレス成形操作のスムーズな進行が妨げられるようなことが、効果的に皆無ならしめられ得るのである。
【0011】
従って、このような本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法によれば、アルミニウム合金製の基板材の一方の面上に、アルミニウム合金製の補強板材を重ね合せて、接合してなるプレス成形用ブランク材を、安定した接合品質と優れた生産性、更には高度なプレス成形性と、プレス成形操作をスムーズに進行させ得る良好な取扱性をもって、極めて有利に製造することが可能となるのである。
【0012】
なお、かくの如き本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法によれば、前記回転治具の先端部に設けたピンを該回転治具と共に一体回転させつつ前記角部に差し込んだ状態下において、該回転治具の先端のエッジ部を、前記基板材の前記補強板材が重ね合わされる一方の面に接触させることなく、該ピンを、該角部に沿って移動せしめるように構成される。
【0013】
このような構成を有するアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法においては、基板材と補強板材との摩擦撹拌接合時に、基板材の補強板材が重ね合わされる一方の面と、回転状態の回転治具のエッジ部との接触によって、基板材の一方の面におけるエッジ部との接触部の表層部分が塑性流動化し、接合部の形成に伴って、かかる表層部分が、接合部表面の傾斜面形態に対応して傾斜する傾斜部となってしまうようなことが、有利に回避され得るのであり、従って、かかる傾斜部の形成に起因して、回転治具のエッジ部に対する基板材の接触部が薄肉化してしまうようなことも、極めて効果的に解消され得ることとなるのである。
【0014】
また、本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法の別の有利な態様の一つによれば、前記基板材が載置可能な平面を有する鋼製治具を用い、かかる鋼製治具の平面上に、該基板材を、前記一方の面上に前記補強板材を重ね合わせた状態で載置した後、該補強板材側から該鋼製治具を磁石にて吸引せしめて、それら鋼製治具と磁石との間で、該基板材と該補強板材を挟持することにより、それら基板材と補強板材とを該鋼製治具に固定せしめた状態下で、該基板材と該補強板材とに対して、前記摩擦撹拌接合による重ね隅肉接合を行なうように構成される。
【0015】
このような構成を採用すれば、基板材と補強板材を固定するために用いられる鋼製治具に対して、それら基板材と補強板材とを、互いに重ね合せた状態で拘束するための特別な構造を付与する必要が、有利に解消され得て、かかる鋼製治具の構造、ひいてはアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材を製造するための設備の構造が、効果的に簡略化され得、その結果として、目的とするアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材を、簡略な設備で、極めて容易に製造することが可能となるのである。
【0016】
また、かくの如き構成を有するアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法においては、鋼製治具との間に、基板材と補強板材とを介在せしめた状態で、鋼製治具を吸引する磁石として、電磁石を用いれば、鋼製治具に対する基板材と補強板材の固定及びその解除が極めて容易に且つ迅速に為され得るといった利点が、得られるのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係るアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0018】
先ず、図1及び図2には、本発明に係る製造手法に従って製造されたアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の一例として、自動車の内装パネルを与えるプレス成形用ブランク材が、その正面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それら図1及び図2に示されるように、プレス成形用ブランク材10は、アルミニウム合金製の1枚の大きな板材からなる基板材12の平坦な上面13上に、かかる基板材12と同一のアルミニウム合金材料からなるものの、基板材12よりは十分に小さな矩形平板状の補強板材14が、その全体において重ね合わされた状態で、接合され、一体化せしめられて、構成されている。
【0019】
また、かかるプレス成形用ブランク材10においては、大きな基板材12に重ね合わされて、接合された補強板材14が、基板材12よりも所定寸法厚い厚さとされており、それによって、強度が、基板材12上に補強板材14が接合されてなる部分において、その他の基板材12のみからなる部分よりも、十分に大きくされているのである。なお、このようなプレス成形用ブランク材10を構成する基板材12と補強板材14を与えるアルミニウム合金材料の種類は、特に限定されるものではなく、目的とするプレス製品に要求される材質や特性等に応じて、同一種類のものや互いに異なる種類のものが適宜に選択されるのであり、また、それら基板材12と補強板材14のそれぞれの板厚も、プレス製品に対する要求強度等によって、種々変更され得るものである。
【0020】
そして、本実施形態のプレス成形用ブランク材10にあっては、特に、基板材12と補強板材14とが、摩擦撹拌接合方式を利用した重ね隅肉接合にて一体化されており、それによって、それら基板材12と補強板材14の接合部16が、補強板材14の外周部に沿って、略全周に連続して延びるように形成され、また、かかる接合部16の表面が、側方に向かって基板材12側に下傾する傾斜面18とされているのである。
【0021】
ところで、このような構造を有するプレス成形用ブランク材10を製造する際には、例えば、以下に示す如き手順に従って、その作業が進められることとなる。
【0022】
すなわち、先ず、図3に示される如く、基板材12の上面13上に、補強板材14を、その全体において重ね合せて、載置すると共に、それら基板材12と補強板材14とを、鋼製治具20の平面形態を呈する載置面22上に、基板材12の下面23を接触させた状態で、載置する。このとき、補強板材14は、基板材12の上面13において、最終的に得られるプレス製品の高い強度が要求される部位を与える部分の上に、載置されることとなる。
【0023】
次いで、図示しない所定のスタンドに固定された公知の電磁石25を補強板材14の基板材12との重合せ面とは反対側の面に当接させた後、この電磁石25に通電し、それら基板材12と補強部材14を介して、鋼製治具20を電磁石25にて吸引せしめる。これによって、基板材12と補強部材14とを、上述の如き互いに重ね合わされた状態で、電磁石25と鋼製治具20との間で挟持せしめて、鋼製治具20に固定するのである。
【0024】
その後、図4に示される如く、基板材12と補強板材14とを、以下のようにして摩擦撹拌接合することで、それら基板材12と補強板材14の重ね隅肉接合を行なう。
【0025】
すなわち、ロッド状の回転治具24の先端部に同心的に設けたピン26を、かかる回転治具24と共に、その軸心回りに一体回転させつつ、基板材12の上面13と、補強板材14の側面28とで形成される下側角部30における、その延長方向の一端部に斜めに差し込み、更に回転治具24の先端部が補強板材14の上側角部32に当接するまで差し込むことにより、それら補強板材14の上側角部32及び基板材12と補強板材14とで形成される下側角部30と、ピン26及び回転治具24の先端部(肩部)との接触面において摩擦熱を発生させて、その周囲を可塑化せしめると共に、ピン26の高速回転に伴う撹拌作用にて、下側角部30の両サイドに位置する基板材12の表層部と補強板材14の外周部の組織を互いに入り交じり合わせ、更に、かかるピン26及び回転治具24を、下側角部30に沿って、それの延長方向の他端部まで移動せしめることにより、組織が入り交じり合わされた基板材12の表層部と補強板材14の外周部にて、表面が、側方に向かって基板材12側に下傾する傾斜面18とされた接合部16を、下側角部30に沿って、その略全長に連続して延びるように形成し、以て、基板材12と補強板材14とを、それらの間で形成される下側角部30において一体的に接合するのである。このとき、可塑化された基板材12の表層部と補強板材14の外周部の肉部の逃げが、回転治具24の先端部にて抑制されるため、接合部16の傾斜面18は、下側角部30にピン26が差し込まれた状態での回転治具24の傾斜角度に応じた角度を有する傾斜形態とされることとなる。
【0026】
なお、この基板材12と補強板材14の接合工程では、好ましくは、補強板材14の四つの辺部に対応位置するように、基板材12との間で形成される四つの下側角部30の全てにおいて、基板材12と補強板材14とが、一体的に接合されることとなるが、その際には、例えば、一つの下側角部30に沿って延びる接合部16を形成する毎に、回転治具24と共に一体回転せしめられるピン26を該一つの下側角部30から、一旦、引抜いた後、前記鋼製治具20に固定される基板材12と補強板材14の位置や向きを変更したり、或いは回転治具24の進行方向を変更したりしながら、該一つの下側角部30に沿って延びる接合部16を形成する際と同様にして、別の下側角部30に沿って延びる接合部16をそれぞれ形成する作業が実施されることとなる。
【0027】
尤も、例えば、回転治具24が、補強板材14の四つの辺部に沿って、方向を変えながら移動され得るように構成されている場合には、一つの下側角部30に接合部16を形成する毎に、回転治具24と共に一体回転せしめられるピン26を、下側角部30から、一旦、引き抜いて、その後、再び別の下側角部30に差し込む操作が、省略され得ることとなる。また、その後のプレス成形操作において接合欠陥を惹起させることのない接合強度が確保可能であれば、必ずしも、補強板材14の各辺部に対応して位置する下側角部30の全てに対して、接合部16を形成する必要はない。
【0028】
さらに、このような基板材12と補強板材14の接合を行なう本工程では、回転治具24のピン26が下側角部30に斜めに差し込まれて、基板材12と補強板材14との接合の開始から、かかるピン26が下側角部30から引き抜かれて、基板材12と補強板材14との接合が終了するまでの間、回転治具24における先端部のエッジ部34が、基板材12の補強板材14が重ね合わされる上面13に対して何等接触することのないように、回転治具24の傾斜角度が調整されつつ、回転治具24とピン26とが、下側角部30に沿って移動せしめられることとなる。これによって、基板材12の上面13と回転治具24のエッジ部34との接触による摩擦熱にて、基板材12の表層部分が塑性流動化し、接合部16の形成と同時に、かかる表層部分が、接合部16の表面から連続して傾斜する傾斜部となって、基板板12が、そのような傾斜部の形成部位において薄肉化するようなことが、有利に回避され得るようになっているのである。
【0029】
かくして、基板材12の上面13に、補強板材14を重ね合わせた状態下で、それら基板材12と補強板材14とを、摩擦撹拌接合方式を利用した重ね隅肉接合により、何等溶融せしめることなく接合し、一体化して、図1及び図2に示される如き構造を有する、目的とするプレス成形用ブランク材10を得るのである。
【0030】
このように、本実施形態では、基板材12の上面13上に、補強板材14を重ね合せた状態下で、それらを接合して、目的とするプレス成形用ブランク材10を製造するようにしたものであるため、プレス成形途中での破断の発生が効果的に防止され得るプレス成形用ブランク材10が、確実に製造され得るのである。
【0031】
また、かかる本実施形態においては、基板材12と補強部材14の接合方式として、それら基板材12と補強板材14とを何等溶融させることなく接合せしめる摩擦撹拌接合方式が採用されているところから、基板材12と補強板材14とを接着剤にて接着したり、溶融溶接したりする場合とは異なって、摩擦撹拌接合方式を採用することによって得られる優れた特徴、つまり、優れた接合品質と強度、外観、更には高度な生産性をもって、目的とするプレス成形用ブランク材10を、極めて有利に製造することが可能となるのである。
【0032】
そして、本実施形態においては、かかる摩擦撹拌接合方式を利用して、基板材12と補強板材14との重ね隅肉接合を行なうことにより、表面が側方に向かって基板材12側に下傾する傾斜面18とされた接合部16が、補強板材14の四つの辺部に対応位置するように延びる四つの下側角部30に沿って、その略全長に連続して延びるように形成されて、基板材12と補強板材14とが、それら四つの下側角部30において一体的に接合されることにより、目的とするプレス成形用ブランク材10が製造されるようになっているところから、基板材12と補強板材14とを接着や溶融溶接により接合する場合とは異なって、製造されるプレス成形用ブランク材10における補強板材14の外周部に、その全周に亘って、補強板材14の上側角部32や、かかる上側角部32から上方に向かって突出するように、ビードにて形成される突出部等にて、上方に向かって略垂直な方向に延びる壁部が、殆ど形成されることなく、かかる補強部材14の外周部が、滑らかな傾斜面形態と為され得るのである。
【0033】
それ故に、かかる本実施形態によれば、プレス成形時に、それらの角部や突出部にて形成される壁部が邪魔となって、プレス成形操作のスムーズな進行が妨げられるようなことのない、良好な取扱性を有するプレス成形用ブランク材10が、極めて容易に且つ有利に製造され得ることとなるのである。
【0034】
また、本実施形態においては、基板材12と補強板材14の摩擦撹拌接合時に、回転状態下の回転治具24のエッジ部34が基板材12の上面13に対して何等接触することのないように、回転治具24とピン26とが、下側角部30に沿って移動せしめられるようになっていることによって、基板材12の表層部分が、回転治具24のエッジ部34と接触して、塑性流動化し、接合部16の形成と同時に、接合部16の表面から連続して傾斜する傾斜部となって、基板板12が、そのような傾斜部の形成部位において薄肉化するようなことが回避され得るようになっているところから、更に一層優れた接合強度及び接合品質を有するプレス成形用ブランク材10が、より確実に製造され得るのである。
【0035】
さらに、本実施形態では、鋼製治具20の平面形態を呈する載置面22に、基板材12と補強板材14とを互いに重ね合せた状態で載置した状態下で、基板材12に当接せしめられた電磁石25に通電し、それら基板材12と補強板材14とを介して、鋼製治具20を電磁石25にて吸引せしめることにより、基板材12と補強板材14とが、互いに重ね合わされた状態で、電磁石25と鋼製治具20との間で挟持されて、鋼製治具20に固定され、そして、その状態下において、それら基板材12と補強板材14の摩擦撹拌接合が行なわれるようになっているところから、鋼製治具20に対して、基板材12と補強板材14を固定するための特別な構造を何等付与することなく、単に、電磁石25に通電したり、それを解消したりするだけで、基板材12と補強板材14とが、鋼製治具20に対して確実に固定され、またその固定状態が容易に且つ迅速に解除され得るのであり、それによって、目的とするプレス成形用ブランク材10を得るための設備の簡略化が有利に図られ得ると共に、その生産性が更に効果的に高められ得るのである。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した発明の実施の形態以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0037】
先ず、厚さ:1mm、幅:900mm、長さ:1500mmのJIS5052アルミニウム合金の板材を、基板材として準備する一方、厚さ:1.5mm、幅:400mm、長さ:800mmのJIS5052アルミニウム合金の板材を、補強板材として準備した。次いで、この準備された基板材の一方の面上に、補強板材を、その全体が接触するように重ね合せて、載置する一方、平面形態を呈する載置面を備えた鋼製治具を用い、かかる鋼製治具の載置面に、互いに重ね合わされた基板材と補強板材とを載置した。更に、その状態下で、補強板材の上面に、所定のスタンドに固定された電磁石を当接せしめると共に、かかる電磁石に通電して、基板材と補強板材を介して、鋼製治具を電磁石にて吸引することにより、それら基板材と補強板材とを、互いに重ね合せた状態で、鋼製治具に固定した。
【0038】
次ぎに、このような基板材と補強板材の鋼製治具に対する固定状態下において、回転治具として、先端のピン直径:4mm、ピン高さ:2mm、回転治具肩部(先端部)半径:10mmであるものを用い、回転数:1500rpm、接合速度:1m/分の条件下において、回転治具のピンを、基板材の上面と補強板材の側面とで形成される角部に斜めに差し込み、かかる角部に沿って移動させることにより、基板材と補強板材との摩擦撹拌接合による重ね隅肉接合操作を実施し、以て、接合部の表面が側方に向かって基板材側に傾斜する傾斜面とされた、目的とするプレス成形用ブランク材を得た。
【0039】
そして、かくして得られたプレス成形用ブランク材に対して、接合部に10%の延びが要求されるプレス成形を行なって、接合部における破断の発生の有無を視認により調べた。その結果、接合部には、何等の破断も認められなかった。このことから、本発明手法に従って、基板材に補強板材を重ね合わせた状態下で、それら基板材と補強板材とを摩擦撹拌接合することによって得られるプレス成形用ブランク材が、高度なプレス成形性を有するものであることが、明確に認識され得るのである。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従うアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法によれば、アルミニウム合金製の基板材の一方の面上に、アルミニウム合金製の補強板材を重ね合せて、接合してなるプレス成形用ブランク材を、安定した接合品質と優れた生産性、更には高度なプレス成形性と、プレス成形操作をスムーズに進行させ得る良好な取扱性をもって、極めて有利に製造することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明手法に従って製造されたプレス成形用ブランク材の一例を示す正面説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面説明図である。
【図3】図1に示されたプレス成形用ブランク材を製造する工程の一例を示す説明図であって、基板材上に補強板材を重ね合わせた状態で、それらを鋼製治具に固定した状態を示している。
【図4】図1に示されたプレス成形用ブランク材を製造する工程の別の例を示す説明図であって、基板材と補強板材とを摩擦撹拌接合している状態を示している。
【符号の説明】
10 プレス成形用ブランク材 12 基板材
14 補強板材 16 接合部
18 傾斜面 20 鋼製治具
24 回転治具 26 ピン
30 下側角部 34 エッジ部

Claims (2)

  1. アルミニウム合金製の基板材の一方の面上に、アルミニウム合金製の補強板材を重ね合わせた状態下で、それら基板材と補強板材とを接合して、一体化することによって、プレス成形に用いられるブランク材を製造するにあたり、
    前記基板材に対して、該基板材の厚さよりも厚い前記補強板材を用いて、それを重ね合わせた後、該補強板材が重ね合わされる該基板材の前記一方の面と該補強板材の側面とで形成される角部に対して、回転治具の先端に同心的に設けたピンを、該回転治具と共に一体回転させつつ斜めに差し込み、該角部に沿って移動せしめると共に、かかる回転治具の先端部のピンを該角部に差し込んだ状態下において、該回転治具の先端のエッジ部を、前記基板材の前記補強板材が重ね合わされる一方の面に接触させることなく、該ピンを、該角部に沿って移動せしめるようにして、該基板材と該補強板材とを摩擦撹拌接合することで、それら基板材と補強板材の重ね隅肉接合を行なって、表面が側方に向かって該基板材側に傾斜する傾斜面とされた接合部を、該角部に沿って延びるように形成することにより、該基板材と該補強板材とを一体化せしめることを特徴とするアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法。
  2. 前記基板材が載置可能な平面を有する鋼製治具を用い、かかる鋼製治具の平面上に、該基板材を、前記一方の面上に前記補強板材を重ね合わせた状態で載置した後、該補強板材側から該鋼製治具を磁石にて吸引せしめて、それら鋼製治具と磁石との間で、該基板材と該補強板材を挟持することにより、それら基板材と補強板材とを該鋼製治具に固定せしめた状態下で、該基板材と該補強板材とに対して、前記摩擦撹拌接合による重ね隅肉接合を行なうようにした請求項1に記載のアルミニウム合金製プレス成形用ブランク材の製造方法。
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