JP2002035961A - 摩擦撹拌接合法 - Google Patents

摩擦撹拌接合法

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JP2002035961A
JP2002035961A JP2000225098A JP2000225098A JP2002035961A JP 2002035961 A JP2002035961 A JP 2002035961A JP 2000225098 A JP2000225098 A JP 2000225098A JP 2000225098 A JP2000225098 A JP 2000225098A JP 2002035961 A JP2002035961 A JP 2002035961A
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JP2000225098A
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Yoshitaka Nagano
善隆 長野
Seiji Tazaki
清司 田崎
Shigetoshi Jogan
茂利 成願
Takenori Hashimoto
武典 橋本
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Honda Motor Co Ltd
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 径大の回転子と、該回転子の端面の回転軸線
上に突出して設けられた径小のプローブとを備えた接合
工具を用い、厚さ方向に段差を生じる態様で合わされた
2個の接合部材を、合わせ部又はその近傍において接合
一体化する摩擦撹拌接合法であって、高位側の接合部材
の肉を段部のすみ部内に充填することにより、得られる
接合継手の接合強度を高くすることのできる摩擦撹拌接
合法を提供すること。 【解決手段】 接合工具20の回転子21の回転軸線Qを、
低位側の接合部材1側に傾斜させる。さらに、回転子21
の回転方向を、接合方向Mの後方側において、回転子21
の端面21aが高位側の接合部材2から低位側の接合部材
1へと回転する方向Lに設定する。この状態で、両接合
部材1、2の合わせ部5に挿入されたプローブ22を合わ
せ部5に沿って移動させることにより、両接合部材1、
2を接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、テーラ
ードブランク材等の自動車その他の輸送機器の金属製部
材の製造に用いられる摩擦撹拌接合法に関する。
【0002】
【従来の技術】摩擦撹拌接合法は、固相接合法の範疇に
入り、接合部材である金属材の種類に制限を受けない、
接合時の熱歪みによる変形が少ない等の優れた利点を有
し、近年、様々な構造物の接合手段として用いられてい
る。
【0003】図7及び図8は、厚さ方向に段差が生じる
態様で突き合わされた2個の接合部材をこの摩擦撹拌接
合により突合せ接合する場合について、示している。
【0004】同図において、(51)は薄肉の平板状の金
属製第1接合部材、(52)は厚肉の平板状の金属製第2
接合部材である。各接合部材(51)(52)は幅方向の端
面を突合せ面(53)とするものであり、同図では、これ
ら両接合部材(51)(52)は裏面同士が面一に連なった
態様にして幅方向の端面同士が突き合わされており(突
合せ部55)、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応
した段差が生じている。(54)は両接合部材(51)(5
2)の段部を示し、(54a)はこの段部(54)のすみ部を
示している。
【0005】(60)は摩擦撹拌接合用の接合工具であ
る。この接合工具(60)は、径大の円柱状回転子(61)
と、該回転子(61)の端面(61a)の回転軸線(Q’)
上に突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ
(62)とを備えている。
【0006】この接合工具(60)を用いて両接合部材
(51)(52)を突合せ接合する場合には、突合せ部(5
5)に段差が生じているから、接合中に、摩擦熱にて軟
化した両接合部材(51)(52)の軟化部中の肉が接合工
具(60)のプローブ(62)近傍から飛散することがあ
り、また摩擦熱の発生量が不足して接合欠陥が生じ易
く、そのため良好な接合部(W’)を形成することが困
難であった。
【0007】そこで、本出願人は、このような問題を解
決するため鋭意研究した結果、図8に示すように、接合
工具(60)の回転子(61)の回転軸線(Q’)を低位側
の接合部材(即ち、第1接合部材(51))側に傾斜さ
せ、この状態で、回転しているプローブ(62)を段部
(54)のすみ部(54a)内から突合せ部(55)に挿入す
るとともに、該プローブ(62)を突合せ部(55)に沿っ
て両接合部材(51)(52)に対し相対的に移動(移動方
向M’)させることにより、両接合部材(51)(52)を
接合する方法を提案した(特開平10−249553号
公報参照)。
【0008】この提案方法によれば、プローブ(62)近
傍から飛散した両接合部材(51)(52)の肉を回転子
(61)の端面(61a)で反射することができるし、回転
子(61)の回転軸線(Q’)の低位側の接合部材(51)
側への傾斜角θ’を適宜変更することにより、摩擦熱の
発生量を適度に調整することができるようになり、接合
欠陥の発生を防止し得て良好な接合部(W’)を形成す
ることができるようになる。さらに、この提案方法で
は、接合中に、回転子(61)の端面(61a)を、突合せ
部(55)から突出している高位側の接合部材(即ち、第
2接合部材(52))の肩部(52a)に圧接することによ
って、当該肩部(52a)をその表面が斜面になるように
塑性変形させることができるようになり、段部(54)に
生じる応力集中を緩和することができるという利点があ
る。なお、P’は接合部材(51)(52)のプローブ挿入
位置における表面の法線を示している。
【0009】ところで、こうして得られる突合せ接合継
手の接合強度をより一層高くするためには、高位側の接
合部材(52)の肩部(52a)の肉を段部(54)のすみ部
(54a)内に充填することが望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この提
案方法によれば、回転子(61)の回転方向を、例えば、
接合方向(M’)の後方側において、回転子(61)の端
面(51a)が低位側の接合部材(51)から高位側の接合
部材(52)へと回転する方向(この回転方向をRとす
る)に設定して、接合を行った場合には、接合方向
(M’)の後方側において、回転子(61)の端面(61
a)に圧接されている高位側の接合部材(52)の肩部(5
2a)の肉が、回転子(61)の回転力を受けて段部(54)
から遠ざかる方向に塑性流動されることになり、このた
め当該肩部(52a)の肉を段部(54)のすみ部(54a)内
に充填することが困難になる。
【0011】この発明は、このような難点を解消するた
めになされたもので、その目的は、厚さ方向に段差を生
じる態様で合わされた2個の接合部材を、合わせ部又は
その近傍において接合一体化する摩擦撹拌接合法であっ
て、高位側の接合部材の肉を両接合部材の段部のすみ部
内に充填することにより、得られる接合継手の接合強度
を高くすることのできる摩擦撹拌接合法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明は、径大の回転子と、該回転子の端面の回
転軸線上に突出して設けられた径小のプローブと、を備
えた接合工具を用い、厚さ方向に段差を生じる態様で合
わされた2個の接合部材の合わせ部又はその近傍に、回
転する前記プローブを両接合部材の段部のすみ部内側か
ら挿入した挿入状態に配置するとともに、回転する前記
回転子の端面を高位側の接合部材に圧接し、この状態で
プローブを合わせ部に沿って相対的に移動させることに
より、両接合部材を接合する摩擦撹拌接合法であって、
前記回転子の回転軸線を低位側の接合部材側に傾斜させ
るとともに、前記回転子の回転方向を、接合方向の後方
側において、回転子の端面が高位側の接合部材から低位
側の接合部材へと回転する方向に設定して、接合を行う
ことを特徴としている。
【0013】この摩擦撹拌接合法においては、接合工具
の回転子の回転軸線を低位側の接合部材側に傾斜させる
とともに、回転子の回転方向を、接合方向の後方側にお
いて、回転子の端面が高位側の接合部材から低位側の接
合部材へと回転する方向に設定して、接合を行うことに
より、接合方向の後方側において、回転子の端面に圧接
されている高位側の接合部材の肉が、回転子の端面から
の圧接力と回転子の回転力とを受けて低位側の接合部材
側に塑性流動されるようになる。この結果、高位側の接
合部材の肉が段部のすみ部内に効率良く充填されるよう
になり、もって得られる接合継手の接合強度が向上す
る。
【0014】また、この発明に係る摩擦撹拌接合法にお
いて、回転する前記回転子の端面を両接合部材に跨らせ
た態様で高位側の接合部材に圧接し、この状態で接合を
行う場合には、回転子の端面を両接合部材に跨らせる態
様とすることにより、該回転子の端面が両接合部材で支
持されるようになって接合工具の姿勢(即ち、接合姿
勢)が安定し、もって良好な接合部を確実に形成できる
ようになるし、さらには該回転子の端面が両接合部材に
当接することで摩擦熱をより一層多く発生させ得るよう
になって、摩擦熱不足による接合欠陥を防止できるよう
になる。
【0015】また、この発明に係る摩擦撹拌接合法にお
いて、段差をΔT、低位側の接合部材の肉厚をT1、プ
ローブの回転軸線の低位側の接合部材側への傾斜角をθ
0(θ0は0°を超え90°未満の範囲内での任意の角
度)とする一方、接合工具として、回転子が円柱状のも
ので且つ該回転子の端面における外径をD、プローブの
長さをLとすると、 D>ΔT/sinθ0 …(i) ΔTcosθ0<L≦ΔTcosθ0+T1/cosθ0 …(ii) の関係式を満足しているものを用いることが、望まし
い。
【0016】すなわち、接合工具において、回転子の端
面における外径Dが関係式(i)を満足していることに
より、Dが両接合部材に跨らせ得る大きさに設定され
る。また、プローブの長さLが上記関係式(ii)におけ
るΔTcosθ0<Lの式を満足することにより、回転子の
端面を両接合部材に跨らせた態様のもとで、Lが合わせ
部に挿入し得る長さに設定される。さらに、Lが上記関
係式(ii)におけるL≦ΔTcosθ0+T1/cosθ0の式
を満足することにより、合わせ部又はその近傍に挿入さ
れたプローブの先端が接合部材を貫通して裏面側へと突
き出てしまう不具合を阻止し得るようになる。したがっ
て、接合工具として、上記二つの関係式(i)及び(i
i)を満足する回転子及びプローブを備えたものを用い
ることにより、回転子の端面を両接合部材に確実に跨ら
せ得るようなり、しかもプローブの先端が接合部材の裏
面から突き出ない条件下で、該プローブを合わせ部又は
その近傍に挿入し得るようになり、もって良好な接合部
を確実に形成し得るようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施形態を図面
を参照して説明する。
【0018】図1〜図5は、この発明の第1実施形態を
示している。図1において、(1)は薄肉の平板状の第
1接合部材、(2)は厚肉の平板状の第2接合部材であ
る。各接合部材(1)(2)はいずれもアルミニウム又
はその合金製であり、幅方向の端面を突合せ面(3)と
するものである。この突合せ面(3)は接合部材(1)
(2)の表面及び裏面に対して垂直に形成されている。
この第1実施形態では、これら両接合部材(1)(2)
は裏面同士が面一に連なった態様にして幅方向の端面同
士が突き合わされており(突合せ部5)、このため、厚
さ方向に両者の肉厚差に対応した段差が生じている。そ
して、両接合部材(1)(2)の裏面に当てられた裏当
て(図示せず)によってこの状態に支持されている。図
1(ロ)において、(4)は、両接合部材(1)(2)
の表面における段差が生じている部位、即ち両接合部材
(1)(2)の段部を示しており、(4a)はこの段部
(4)のすみ部を示している。
【0019】(20)は摩擦撹拌接合用の接合工具であ
る。この接合工具(20)は、径大の円柱状回転子(21)
と、該回転子(21)の端面(21a)の回転軸線(Q)上
に突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(2
2)とを備えている。回転子(21)及びプローブ(22)
はいずれも両接合部材(1)(2)よりも硬質で且つ接
合時に発生する摩擦熱に耐え得る耐熱材料から形成され
ている。また、プローブ(22)の外周面には、摩擦熱に
て軟化した両接合部材(1)(2)の肉を撹拌するため
の凸部(図示せず)が設けられている。また、回転子
(21)の端面(21a)は、回転軸線(Q)に直交する平
面内にあり、この実施形態では平坦面からなる。
【0020】この接合工具(20)を用いて両接合部材
(1)(2)を突合せ接合する場合には、まず、接合工
具(20)の回転子(21)をその回転軸線(Q)を中心に
所定の回転方向(この回転方向については後述する。)
に回転させることによりプローブ(22)を回転させる。
そして、図3に示すように、回転している回転子(21)
の回転軸線(Q)を低位側の接合部材(即ち、第1接合
部材(1))側に傾斜させた状態で、回転しているプロ
ーブ(22)を段部(4)のすみ部(4a)内から突合せ部
(5)に挿入することにより、該プローブ(22)を挿入
状態に配置する。さらに、回転している回転子(21)の
端面(21a)を、両接合部材(1)(2)に跨らせた態
様で、突合せ部(5)から突出している高位側の接合部
材(即ち、第2接合部材(2))の肩部(2a)に圧接す
る。なお、Pは接合部材(51)(52)のプローブ挿入位
置における表面の法線を示している。また、θ0(0°
<θ0<90°)は、このPに対する回転子(21)の回
転軸線(Q)の低位側の接合部材(1)側への傾斜角を
示している。
【0021】ここで、前記接合工具(20)において、図
5に示すように回転子(21)の端面(21a)における外
径D及びプローブ(22)の長さLは、次のように設定さ
れている。すなわち、低位側の接合部材(1)の肉厚を
T1、高位側の接合部材(2)の肉厚をT2とし(図3参
照)、段差をΔT(=T2−T1)、回転子(21)の回転
軸線(Q)の低位側の接合部材(1)側への傾斜角をθ
0(θ0は0°を超え90°未満の範囲内での任意の角
度)とすると、D及びLは、次の二つの関係式(i)及
び(ii)を満足するように設定されている。
【0022】 ・D>ΔT/sinθ0 …(i) ・ΔTcosθ0<L≦ΔTcosθ0+T1/cosθ0 …(ii) なお、図5において、dはプローブ(22)の外径を示し
ている。
【0023】この二つの関係式(i)及び(ii)を満足
した回転子(21)及びプローブ(22)を備えた接合工具
(20)を用いることにより、傾斜角がθ0のもとで回転
子(21)の端面(21a)を両接合部材(1)(2)に跨
らせることができるようになって、回転子(21)の端面
(21a)が高位側の接合部材(2)の肩部(2a)と低位
側の接合部材(1)の表面との2点で支持され、この結
果、当該接合工具(20)の姿勢が安定する。さらには、
回転子(21)の端面(21a)が両接合部材(1)(2)
に当接することで摩擦熱をより多く発生させ得るように
なって、摩擦熱不足による接合欠陥を防止できるように
なる。
【0024】そして、この状態で、プローブ(22)を突
合せ部(5)に沿って移動(その方向M)させる。この
プローブ(22)の移動方向(M)が接合方向になる。こ
のとき、図2に示すように、回転子(21)の回転軸線
(Q)を移動方向(M)の後方側に僅かに傾斜させて回
転子(21)の端面(21a)における移動方向(M)の前
部を高位側の接合部材(2)の肩部(2a)から浮き上が
らせ、この状態で、プローブ(22)を移動させることが
望ましい。こうすることにより、回転子(21)の端面
(21a)における移動方向(M)の前部が高位側の接合
部材(2)の肩部(2a)表面に存在することのある微細
な凹凸に引っ掛かる不具合を防止し得るようになって、
プローブ(22)をスムーズに所定方向に移動させること
ができるようになる。
【0025】ここで、回転子(21)の回転方向は、図1
〜図3に示すように、接合方向(M)の後方側において
(即ち、回転子(21)の接合部材(1)(2)に対する
移動方向の後方側において)、回転子(21)の端面(21
a)が高位側の接合部材(2)から低位側の接合部材
(1)へと回転する方向(この回転方向をLとする)に
設定されている。
【0026】プローブ(22)の回転に伴い発生する摩擦
熱と、回転子(21)の端面(21a)と両接合部材(1)
(2)の表面との摺動に伴い発生する摩擦熱とによっ
て、両接合部材(1)(2)はプローブとの接触部分近
傍において軟化するとともに、高位側の接合部材(2)
の肩部(2a)が回転子(21)の端面(21a)からの圧接
力を受けてその表面が斜面になるように塑性変形され
る。更には、接合方向(M)の後方側において、摩擦熱
にて軟化した当該肩部(2a)の肉が、回転子(21)の端
面(21a)からの圧接力と回転子(21)の回転力とを受
けて低位側の接合部材(1)側に塑性流動され、この結
果、当該肩部(2a)の肉が段部(4)のすみ部(4a)内
に効率良く充填されるようになる。
【0027】こうして肩部(2a)の肉が段部(4)のす
み部(4a)内に充填されながら、摩擦熱にて軟化した両
接合部材(1)(2)の肉が、プローブ(22)の回転力
を受けて撹拌混合されるとともに、プローブ(22)の移
動に伴って該プローブ(22)の通過溝を埋めるように塑
性流動したのち、摩擦熱を急速に失って冷却固化され
る。この現象がプローブ(22)の移動に伴って順次繰り
返されていき、最終的に両接合部材(1)(2)が突合
せ部(5)において接合一体化され、もって所望する突
合せ接合継手が得られる。
【0028】こうして得られた突合せ接合継手は、図4
に示すように、高位側の接合部材(2)の肩部(2a)が
塑性変形させられてその表面が斜面に形成されているの
で、段部(4)に生じる応力集中を緩和できるようにな
っていることはもとより、当該肩部(2a)の肉が段部
(4)のすみ部(4a)内に充填されているので、極めて
高い接合強度を有している。
【0029】さらに、この摩擦撹拌接合法によれば、接
合工具(20)の回転子(21)の端面(21a)を両接合部
材(1)(2)に跨らせることにより、接合工具(20)
の姿勢を安定させることができ、しかも回転子(21)の
端面(21a)が両接合部材(1)(2)に当接すること
で摩擦熱をより多く発生させることができるので、良好
な接合部(W)を確実に形成することができる。
【0030】図6は、この発明の第2実施形態を示して
いる。同図において、(11)は厚肉の平板状のアルミニ
ウム合金製第1接合部材、(12)は薄肉の平板状のアル
ミニウム合金製第2接合部材である。この第2実施形態
では、前記第1接合部材(11)の表面上に前記第2接合
部材(12)が重ね合わされており(重合せ部15)、この
ため、厚さ方向に第2接合部材(12)の肉厚に対応した
段差が生じている。そして、両接合部材(11)(12)の
裏面に当てられた裏当て(図示せず)によってこの状態
に支持されている。同図において、(14)は両接合部材
(11)(12)の段部を示しており、(14a)はこの段部
(14)のすみ部を示している。また、T1は第1接合部
材(11)の肉厚、T2は第2接合部材(2)の肉厚であ
る。
【0031】一方、接合工具(20)は、上記第1実施形
態と同一構成のもので、上記二つの関係式(i)及び(i
i)を満足した回転子(21)及びプローブ(22)を備え
ている。なお、この第2実施形態では、上記二つの関係
式(i)及び(ii)において、段差ΔTは高位側の接合
部材(12)の肉厚T2となる。
【0032】この接合工具(20)を用いて両接合部材
(11)(12)を段部(14)のすみ部(14a)内から重ね
接合する場合には、上記第1実施形態と同じ接合手順で
接合を行えば良い。これを簡単に説明すると、接合工具
(20)の回転している回転子(21)の回転軸線(Q)を
低位側の接合部材(11)側に傾斜させた状態で、回転し
ているプローブ(22)を両接合部材(11)(12)の重合
せ部(15)に段部(14)のすみ部(14a)内から挿入す
る。さらに、回転子(21)の端面(21a)を両接合部材
(11)(12)に跨らせた態様で高位側の接合部材(12)
の肩部(12a)に圧接する。この状態でプローブ(22)
を重合せ部(15)に沿って移動させる。これにより、両
接合部材(11)(12)が重合せ部(15)のプローブ通過
部位において接合一体化され、もって所望する重ね接合
継手が得られる。この場合において、回転子(21)の回
転方向は、接合方向の後方側において、回転子(21)の
端面(21a)が高位側の接合部材(12)から低位側の接
合部材(11)へと回転する方向(L)に設定されてい
る。
【0033】以上、この発明の実施形態について説明し
たが、この発明は上記実施形態に限定されるものではな
く、様々に設定変更可能である。
【0034】例えば、接合工具(20)のプローブ(22)
の突合せ部(5)や重合せ部(15)への挿入は、両接合
部材の長さ方向の端面から行っても良い。また、プロー
ブ(22)を突合せ部(5)や重合せ部(15)に挿入した
後で、回転子(21)の回転軸線(Q)を低位側の接合部
材(1、11)側に傾斜させても良い。さらに、回転子
(21)の回転軸線(Q)を傾斜させることにより、回転
子(21)の回転軸線(Q)を低位側の接合部材(1、1
1)側に傾斜させた状態を実現するのではなく、回転子
(21)の姿勢を固定しておいて両接合部材を傾斜させる
ことで、かかる状態を実現しても良い。また、プローブ
(22)を移動させて接合を行うのではなく、プローブ
(22)の位置を固定しておいて突合せ部(5)や重合せ
部(15)が順次このプローブ(22)を通過するように両
接合部材を移動させて接合を行っても良い。
【0035】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例を説明する。 <実施例1〜7>表1記載の肉厚を有する2個の平板状
のアルミニウム合金製接合部材(1)(2)を準備し、
上記第1実施形態で示された接合方法に従って両接合部
材(1)(2)を突合せ接合した。この接合の際に用い
た接合工具(20)は、上記二つの関係式(i)及び(i
i)を満足する回転子(21)及びプローブ(22)を備え
たもので、この接合工具(20)の回転子(21)の端面
(21a)を表1記載の傾斜角θ0で両接合部材(1)
(2)に跨らせた態様で接合を行った。 <比較例1>表1記載の肉厚を有する2個の平板状のア
ルミニウム合金製接合部材(1)(2)を準備し、接合
工具(20)の回転子(21)の回転方向を、接合方向
(M)の後方側において、回転子(21)の端面(21a)
が低位側の接合部材(1)から高位側の接合部材(2)
へと回転する方向(図3参照、この回転方向をRとす
る)に設定して、両接合部材(1)(2)を突合せ接合
した。この接合の際に用いた接合工具(20)は、上記二
つの関係式(i)及び(ii)を満足する回転子(21)及
びプローブ(22)を備えたもので、この接合工具(20)
の回転子(21)の端面(21a)を表1記載の傾斜角θ0で
両接合部材(1)(2)に跨らせた態様で接合を行っ
た。他の接合条件は上記第1実施形態で示された条件と
同じである。 <比較例2>表1記載の肉厚を有する2個の平板状のア
ルミニウム合金製接合部材(1)(2)を準備し、接合
工具(20)の回転子(21)の回転軸線(Q)を低位側の
接合部材(1)側に傾斜さないで(即ち、傾斜角θ0=
0°)、且つ回転子(21)の端面(21a)を両接合部材
(1)(2)に跨らせないで、両接合部材(1)(2)
を突合せ接合した。他の接合条件は上記第1実施形態で
示された条件と同じである。
【0036】以上の実施例1〜7、比較例1、2で得ら
れた突合せ接合継手について、接合状態を調べた。この
結果を表1に併せて示す。
【0037】
【表1】
【0038】なお、表1中の接合状態の欄において、○
は接合部(W)の表面状態が良好で且つ段部(4)のす
み部(4a)内に肩部(2a)の肉が不足なく充填されてい
たもの、△は接合部(W)の表面状態は良好であるが肩
部(2a)の肉の段部すみ部(4a)内への充填量が不足し
ているもの、×は接合部の表面状態が不良であり且つ肩
部(2a)の肉の段部すみ部(4a)内への充填量が不足し
ているものを示している。
【0039】この表1から分かるように、接合工具(2
0)の回転子(21)の回転軸線(Q)を低位側の接合部
材(1)側に傾斜させるとともに、回転子(21)の回転
方向を、接合方向(M)の後方側において、回転子の端
面が高位側の接合部材から低位側の接合部材へと回転す
る方向(L)に設定して、接合を行うことにより、良好
な接合部(W)を形成することができ、したがって接合
強度の高い突合せ接合継手を得ることができることを確
認し得た。
【0040】一方、接合工具(20)の回転子(21)の端
面(21a)を両接合部材(1)(2)に跨らせた態様で
突合せ接合を行った場合と、跨らせないで突合せ接合を
行った場合とについて、接合状態を評価した。この結
果、前者の場合には、摩擦熱を十分に発生させ得て良好
な接合部を形成することができた。これに対して、後者
の場合には、接合部に摩擦熱不足に伴う接合欠陥が生じ
ることが分かった。したがって、接合工具(20)の回転
子(21)の端面(21a)を両接合部材(1)(2)に跨
らせた態様で突合せ接合を行うことにより、良好な接合
部(W)を形成できることを確認し得た。
【0041】
【発明の効果】上述の次第で、この発明に係る摩擦撹拌
接合法によれば、接合工具の回転子のの回転軸線を低位
側の接合部材側に傾斜させるとともに、回転子の回転方
向を、接合方向の後方側において、回転子の端面が高位
側の接合部材から低位側の接合部材へと回転する方向に
設定して、接合を行うものであるから、接合方向の後方
側において、回転子の端面に圧接されている高位側の接
合部材の肉を、段部のすみ部内に効率良く充填すること
ができるようになって、得られる接合継手の接合強度を
向上させることができる。
【0042】また、この摩擦撹拌接合法において、回転
する回転子の端面を両接合部材に跨らせた態様で高位側
の接合部材に圧接し、この状態で接合を行う場合には、
両接合部材で回転子の端面が支持されるようになって接
合工具の姿勢が安定し、もって良好な接合部を確実に形
成できるようになるし、更には回転子の端面が両接合部
材に当接することで摩擦熱をより一層多く発生させ得る
ようになって、摩擦熱不足による接合欠陥を防止するこ
とができる。
【0043】また、この摩擦撹拌接合法において、接合
工具として、上記二つの関係式(i)及び(ii)を満足
しているものを用いる場合には、回転子の端面を両接合
部材に確実に跨らせ得るようなり、しかもプローブの先
端が接合部材の裏面から突き出ない条件下で、該プロー
ブを合わせ部又はその近傍に挿入し得るようになるか
ら、良好な接合部をより一層確実に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示す図で、(イ)は
両接合部材の突合せ接合途中の状態の斜視図、(ロ)は
(イ)中のI−I線要部拡大断面図である。
【図2】図1(イ)中のII−II線要部拡大断面図であ
る。
【図3】図1(イ)中のIII−III線要部拡大断面図であ
る。
【図4】接合後の状態を示す、図3に対応する図であ
る。
【図5】接合工具の要部正面図である。
【図6】この発明の第2実施形態を示す図で、両接合部
材の重ね接合途中の状態の断面図である。
【図7】従来の摩擦撹拌接合法を示す図で、両接合部材
の突合せ接合途中の状態の斜視図である。
【図8】図7中のVII−VII線要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…低位側の接合部材(第1接合部材) 2…高位側の接合部材(第2接合部材) 2a…高位側の接合部材の肩部 3…突合せ面 4…段部 4a…段部のすみ部 5…突合せ部(合わせ部) 11…低位側の接合部材(第1接合部材) 12…高位側の接合部材(第2接合部材) 14…段部 14a…段部のすみ部 15…重合せ部(合わせ部) 20…接合工具 21…回転子 21a…回転子の端面 22…プローブ M…移動方向(接合方向) L…回転子の回転方向 W…接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田崎 清司 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 成願 茂利 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 (72)発明者 橋本 武典 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 Fターム(参考) 4E067 AA05 BG00 DA13 DA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 径大の回転子(21)と、該回転子の端面
    (21a)の回転軸線(Q)上に突出して設けられた径小
    のプローブ(22)と、を備えた接合工具(20)を用い、 厚さ方向に段差を生じる態様で合わされた2個の接合部
    材(1、2;11、12)の合わせ部(5、15)又はその近
    傍に、回転する前記プローブ(22)を両接合部材の段部
    (4、14)のすみ部(4a、14a)内から挿入した挿入状
    態に配置するとともに、回転する前記回転子の端面(21
    a)を高位側の接合部材(2、12)に圧接し、この状態
    でプローブ(22)を合わせ部(5、15)に沿って相対的
    に移動させることにより、両接合部材を接合する摩擦撹
    拌接合法であって、 前記回転子(21)の回転軸線(Q)を低位側の接合部材
    (1、11)側に傾斜させるとともに、前記回転子(21)
    の回転方向を、接合方向(M)の後方側において、回転
    子の端面(21a)が高位側の接合部材(2、12)から低
    位側の接合部材(1、11)へと回転する方向(L)に設
    定して、接合を行うことを特徴とする摩擦撹拌接合法。
  2. 【請求項2】 回転する前記回転子の端面(21a)を両
    接合部材に跨らせた態様で高位側の接合部材(2、12)
    に圧接し、この状態で接合を行う請求項1記載の摩擦撹
    拌接合法。
  3. 【請求項3】 段差をΔT、低位側の接合部材の肉厚を
    T1、回転子の回転軸線の低位側の接合部材側への傾斜
    角をθ0(θ0は0°を超え90°未満の範囲内での任意
    の角度)とする一方、接合工具(20)として、回転子
    (21)が円柱状のもので且つ該回転子の端面(21a)に
    おける外径をD、プローブ(22)の長さをLとすると、 D>ΔT/sinθ0 …(i) ΔTcosθ0<L≦ΔTcosθ0+T1/cosθ0 …(ii) の関係式を満足しているものを用いる請求項1又は2記
    載の摩擦撹拌接合法。
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