JP3931118B2 - 突合せ継手の製造方法、摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

突合せ継手の製造方法、摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、輸送機器、家電機器、産業機器等における金属製部材として用いられる突合せ継手の製造方法、突合せ継手、該突合せ継手を製造する際に好適に用いられる摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置に関する。
【0002】
なお、この明細書では、説明の便宜上、接合部材の厚さ方向両側の面のうち、主接合工具の主プローブが埋入される側の面を「表面」と呼び、この面とは反対側の面、つまり副接合工具の副プローブが埋入される側の面を「裏面」と呼ぶ。
【0003】
【従来の技術】
摩擦撹拌接合は、固相接合の範疇に入り、接合部材である金属材の種類に制限を受けない、接合に伴う熱歪みによる変形が少ない等の優れた利点を有しており、近年、この摩擦撹拌接合によって様々な構造物が組立製造されている。
【0004】
この摩擦撹拌接合を図15を参照して説明する。同図において、(101)は薄肉の板状金属製第1接合部材、(102)は厚肉の板状金属製第2接合部材である。これら両接合部材(101)(102)は、裏面(101B)(102B)同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士が突き合わされており(その突合せ部(103))、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を表面(101A)(102A)側にて生じている。
【0005】
同図において、(150)は摩擦撹拌接合用の接合工具である。この接合工具(150)は、円柱状回転子(151)と、該回転子(151)の端面(151a)に突設されたピン状プローブ(152)とを有している。回転子(151)の端面(151a)における直径は、プローブ(152)の直径より径大に設定されている。
【0006】
この接合工具(150)を用いて両接合部材(101)(102)の突合せ部(103)を接合する場合には、まず接合工具(150)の回転しているプローブ(152)を両接合部材(101)(102)の突合せ部(103)に表面側から埋入する。そして、この埋入状態で、プローブ(152)を突合せ部(103)に沿って両接合部材(101)(102)に対して相対的に移動させる。これにより、突合せ部(102)がプローブ(152)の通過部分において該プローブ(152)により接合されていく。図16は、この摩擦撹拌接合によって両接合部材(1)(2)が接合一体化された突合せ継手の断面図である。同図において、(103')は両接合部材(101)(102)の接合された突合せ部を示しており、(106)はこの突合せ部(103')に形成された接合部である。
【0007】
ところで、一般に摩擦撹拌接合では、接合工具(150)のプローブ(152)を突合せ部(103)中に奥深くまで埋入した状態で接合を行うことが、突合せ部(103)を接合部材(101)(102)の厚さ方向全体に亘って接合できるようになる点で、望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにプローブ(152)を埋入した状態で接合を行うと、接合中に当該プローブ(152)の先端が両接合部材(101)(102)の突合せ部(103)の裏面から突き出てしまって両接合部材(101)(102)の裏面に当接されている裏当て部材(図示せず)に接触し、該プローブ(152)が破損する虞がある。そこで、このような不具合を防止すべく、通常、プローブ(152)は、その先端と両接合部材(101)(102)の突合せ部(103)の裏面との間に少し距離をおいた状態にして埋入される。しかしながら、このような埋入状態で接合を行うと、突合せ部(103)を厚さ方向全体に亘って接合することができず、このため、図16に示すように、両接合部材(101)(102)の接合された突合せ部(103')の裏面の表層部に、ルート残り部(R)が残存することがあった。このルート残り部(R)は、得られる突合せ継手の接合強度を低下させる原因となる。
【0009】
殊に、図15に示すように両接合部材(101)(102)が厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置されている場合には、特にルート残り部(R)が残存し易かった。すなわち、両接合部材(101)(102)の表面側に段差を生じていることから、接合工具(150)の回転子(151)の端面(151a)を両接合部材(101)(102)の表面上に安定良く載置することが困難であり、回転子(151)が不本意に第1接合部材(101)側や第2接合部材(102)側へ傾き易かった。このように回転子(151)が傾いてしまうと、プローブ(152)の突合せ部(103)への埋入深さが変化してしまうことから、安全を見込んでプローブ(152)の埋入深さを更に浅く設定する必要があり、このため、ルート残り部(R)が残存し易かった。
【0010】
さらに、この場合には、接合工具(150)の回転軸線は、通常、図15に示すように第1接合部材(101)側へ傾斜されるとともに、この傾斜状態でプローブ(152)が突合せ部(103)に埋入されるので、プローブ(152)の突合せ部(103)への埋入深さを正確に設定することが困難であった。
【0011】
その上、接合中に第2接合部材(102)の肩部(102a)が塑性変形することでプローブ(152)の埋入深さが深くなるから、やはり安全を見込んでプローブ(152)の埋入深さを浅く設定する必要があり、このためルート残り部(R)が残存し易かった。
【0012】
もとより、接合部材(101)(102)の製造ロット間には、少なからず肉厚寸法についてバラツキが生じているため、プローブ(152)の埋入深さを一定に設定することが困難であり、この点からもルート残り部(R)が残存し易かった。
【0013】
そこで、このルート残り部(R)を接合するため、副プローブを有する副接合工具(図示せず)を用い、この副接合工具の回転している副プローブを、プローブ(152)により接合された突合せ部(103')に裏面側から埋入し、そして該副プローブを接合された突合せ部(103')に沿って両接合部材(101)(102)に対して相対的に移動させることにより、ルート残り部(R)を接合する方法が提案される。
【0014】
しかしながら、この提案方法では、両接合部材(101)(102)の接合された突合せ部(103')の裏面にアンダーカット部等の凹部が生じるという難点があった。このように凹部が生じると、得られた接合継手の接合強度や外観品質が低下するという問題が生じる。
【0015】
この発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、突合せ継手の裏面にルート残り部が残存する不具合を防止することができ、その上、突合せ継手の裏面にアンダーカット部等の凹部が生じる不具合を防止することのできる突合せ継手の製造方法、これにより得られた突合せ継手、摩擦撹拌接合法及びこれに好適に用いられる摩擦撹拌接合装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、第1発明は、裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を、該突合せ部に沿って摩擦撹拌接合することにより、突合せ継手を得る突合せ継手の製造方法であって、両接合部材の突合せ部を、該突合せ部に裏面側から埋入され副接合工具の回転している副プローブによって、該突合せ部に沿って摩擦撹拌接合する、副プローブによる接合工程と、両接合部材の、前記副プローブにより接合された突合せ部を、該突合せ部に表面側から埋入され主接合工具の回転している主プローブによって、該突合せ部に沿って摩擦撹拌接合する、主プローブによる接合工程と、を含んだことを特徴としている(請求項1)。
【0017】
この第1発明に係る突合せ継手では、両接合部材の突合せ部の、ルート残り部となる部分を、副プローブによって予め接合しておく。この副プローブによる接合によって、両接合部材の接合された突合せ部の裏面にはアンダーカット部等の凹部が生じることになる。しかしながら、主プローブによる接合工程時に主接合工具は両接合部材の表面に押し付けられることから、この押付け圧によって凹部の底部が押し出されるものとなり、もって該凹部が殆ど存在しなくなる。この結果、突合せ継手の接合強度や外観品質が向上する。したがって、例えば、突合せ継手の表面及び裏面を塗装する際に生じることのある、凹部に起因する塗膜欠陥の発生を防止することができ、このため、突合せ継手の表面及び裏面に塗膜を良好に形成することができる。
【0018】
この発明において、各接合部材としては、例えば金属製のものが用いられ、特にアルミニウム又はその合金製のものや、銅又はその合金製のものが好適に用いられる。また、両接合部材は、互いに同じ材質のものであっても良いし、異なる材質のものであっても良い。また、両接合部材は、互いに肉厚が等しいものであっても良いし、後述するように互いに肉厚が相異するものであっても良い。
【0019】
また、副プローブによる接合は、例えば次のように行われる。すなわち、副接合工具の回転している副プローブを、両接合部材の突合せ部に裏面側から埋入した状態に配置し、この状態で、副プローブを突合せ部に沿って両接合部材に対して相対的に移動させることにより、副プローブによる接合が行われる。
【0020】
一方、主プローブによる接合は、例えば次のように行われる。すなわち、主接合工具の回転している主プローブを、両接合部材の、副プローブにより接合された突合せ部に表面側から埋入した状態に配置し、この状態で、主プローブを、副プローブにより接合された突合せ部に沿って両接合部材に対して相対的に移動させることにより、主プローブによる接合が行われる。
【0021】
第1発明において、両接合部材は、互いに肉厚が相異するものであることが望ましい(請求項2)。なお、この場合には、両接合部材の表面側には、両接合部材の肉厚差に対応した段差が厚さ方向に生じることとなる。
【0022】
また、前記主接合工具は、少なくとも端面が前記主プローブより径大の主回転子を有するとともに、該主回転子の端面に前記主プローブが突設されたものであり、前記副接合工具は、少なくとも端面が前記副プローブより径大の副回転子を有するとともに、該副回転子の端面に前記副プローブが突設されたものであり、前記主接合工具において、主回転子の端面における外径をD1、主プローブの長さをL1とし、前記副接合工具において、副回転子の端面における外径をD2、副プローブの長さをL2とし、両接合部材のうち薄肉の接合部材の肉厚をtとすると、
前記主接合工具として、
D1>D2 …(i)
L1≧t/2 …(ii)
の関係式を満たしたものを用いるとともに、
前記副接合工具として、
L2≦t/2 …(iii)
の関係式を満たしたものを用いることが望ましい(請求項3)。
【0023】
この場合には、主接合工具の主回転子の端面からの押付け圧を凹部へ確実に伝達することができ、このため、該凹部を確実に解消することができる。
【0024】
また、2個の裏当て部を有するとともに、両裏当て部の当て面側に両接合部材の肉厚差に対応した段差を生じる態様で両裏当て部が並んだ裏当て部材を用い、両接合部材のうち薄肉の接合部材の表面を前記裏当て部材の両裏当て部の当て面のうち高位側の当て面に当接させるとともに、厚肉の接合部材の表面を低位側の当て面に当接させ、この状態で、前記副プローブによる接合工程を行うことが望ましい(請求項4)。
【0025】
この場合には、副プローブによる接合工程時に、各接合部材の表面を対応する裏当て部によって確実に受けることができる。なお、2個の裏当て部は、互いに一体に形成されていても良いし、互いに別体に形成されていても良い。
【0026】
また、2個の裏当て部を有するとともに、一方の裏当て部の当て面と他方の裏当て部の当て面とが面一に連なる態様で両裏当て部が並んだ裏当て部材を用い、両接合部材のうち薄肉の接合部材の裏面を前記裏当て部材の両裏当て部のうちいずれか一方の当て面に当接させるとともに、厚肉の接合部材の裏面を他方の当て面に当接させ、この状態で、前記主プローブによる接合工程を行うことが望ましい(請求項5)。
【0027】
この場合には、主接合工具からの押付け圧によって凹部の底部が押し出されて当て面に押し付けられ、これにより、接合された突合せ部の裏面が平坦状に形成される。この結果、突合せ継手の外観品質が更に向上する。なお、2個の裏当て部は、互いに一体に形成されていても良いし、互いに別体に形成されていても良い。
【0028】
また、互いに別体の2個の裏当て部を有するとともに、各裏当て部の当て面に接合部材が1個ずつ装着され、且つ両裏当て部のうち少なくとも一方の裏当て部が、その当て面が他方の裏当て部の当て面に対して高位側又は低位側に位置するように移動可能に構成された裏当て部材を用いて、前記副プローブによる接合工程と前記主プローブによる接合工程とを行うことが望ましい(請求項6)。
【0029】
この場合には、同一の裏当て部材を用いて、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を行うことができ、このため、接合作業能率が向上する。
【0030】
また、第1発明において、両接合部材の突合せ部に裏面側から前記副接合工具の回転している副プローブを埋入した状態に配置するとともに、両接合部材の突合せ部における前記副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から前記主接合工具の回転している主プローブを埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材の突合せ部が順次副プローブ及び主プローブを通過するように、両接合部材を副プローブ及び主プローブに対して相対的に移動させることにより、前記副プローブによる接合工程と前記主プローブによる接合工程とを同時に行うことが望ましい(請求項7)。
【0031】
この場合には、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を同時に行うことができるため、接合作業能率が向上する。
【0032】
第2発明は、突合せ継手であって上記第1発明に係る突合せ継手の製造方法により得られたことを特徴としている(請求項8)。
【0033】
この場合には、高い接合強度や優れた外観品質を有する突合せ継手が提供される。
【0034】
第3発明は、裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を、該突合せ部に沿って接合する摩擦撹拌接合法であって、両接合部材の突合せ部を、該突合せ部に裏面側から埋入され副接合工具の回転している副プローブによって、該突合せ部に沿って接合する、副プローブによる接合工程と、両接合部材の、前記副プローブにより接合された突合せ部を、該突合せ部に表面側から埋入され主接合工具の回転している主プローブによって、該突合せ部に沿って接合する、主プローブによる接合工程と、を含んだことを特徴としている(請求項9)。
【0035】
この場合には、上記第1発明と同じ作用を奏し得る。
【0036】
また、両接合部材は、互いに肉厚が相異するものであることが望ましい(請求項10)。
【0037】
また、前記主接合工具は、少なくとも端面が前記主プローブより径大の主回転子を有するとともに、該主回転子の端面に前記主プローブが突設されたものであり、前記副接合工具は、少なくとも端面が前記副プローブより径大の副回転子を有するとともに、該副回転子の端面に前記副プローブが突設されたものであり、前記主接合工具において、主回転子の端面における外径をD1、主プローブの長さをL1とし、前記副接合工具において、副回転子の端面における外径をD2、副プローブの長さをL2とし、両接合部材のうち薄肉の接合部材の肉厚をtとすると、前記主接合工具として、上記関係式(i)及び(ii)の双方を満たしたものを用いるとともに、前記副接合工具として、上記関係式(iii)を満たしたものを用いることが望ましい(請求項11)。
【0038】
第4発明は、突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を接合するための摩擦撹拌接合装置であって、互いに別体の2個の裏当て部を有するとともに、各裏当て部の当て面に接合部材が1個ずつ装着される裏当て部材を備え、前記裏当て部材は、前記両裏当て部のうち少なくとも一方の裏当て部が、その当て面が他方の裏当て部の当て面に対して高位側又は低位側に位置するように移動可能に構成されていることを特徴としている(請求項12)。
【0039】
この場合には、同一の裏当て部材を用いて、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を行うことができ、このため、接合作業能率が向上する。
【0040】
また、前記一方の裏当て部は、流体圧シリンダ装置によって移動されるものとなされていることが望ましい(請求項13)。
【0041】
この場合には、前記一方の裏当て部に移動方向の駆動力を強く付与することができ、このため、当該一方の裏当て部を確実に移動させることができる。なお、流体圧シリンダ装置としては、油圧シリンダ装置やエアシリンダ装置が特に好適に用いられる。
【0042】
第5発明は、裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を、該突合せ部に沿って接合するための摩擦撹拌接合装置であって、両接合部材の裏面側に配置された回転可能な副プローブを有する副接合工具と、両接合部材の表面側における、前記副プローブの位置より接合方向後方側の位置に配置された回転可能な主プローブを有する主接合工具と、を備え、両接合部材の突合せ部に裏面側から回転している副プローブが埋入されるとともに、両接合部材の突合せ部における副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から回転している主プローブが埋入された状態で、両接合部材の突合せ部が順次副プローブ及び主プローブを通過するように、両接合部材を副プローブ及び主プローブに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合するものとなされていることを特徴としている(請求項14)。
【0043】
この場合には、両接合部材の接合された突合せ部の裏面にアンダーカット部等の凹部が生じる不具合を防止することができる。しかも、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を同時に行うことができ、接合作業能率が向上する。
【0044】
また、両接合部材は、互いに肉厚が相異するものであることが望ましい(請求項15)。
【0045】
また、前記主接合工具は、少なくとも端面が前記主プローブより径大の主回転子を有するとともに、該主回転子の端面に前記主プローブが突設されたものであり、前記副接合工具は、少なくとも端面が前記副プローブより径大の副回転子を有するとともに、該副回転子の端面に前記副プローブが突設されたものであり、前記主接合工具において、主回転子の端面における外径をD1、主プローブの長さをL1とし、前記副接合工具において、副回転子の端面における外径をD2、副プローブの長さをL2とし、両接合部材のうち薄肉の接合部材の肉厚をtとすると、前記主接合工具は、上記関係式(i)及び(ii)の双方を満たしたものであり、前記副接合工具は、上記関係式(iii)を満たしたものであることが望ましい(請求項16)。
【0046】
この場合には、主接合工具の主回転子の端面からの押付け圧を凹部へ確実に伝達することができ、このため、該凹部を確実に解消することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の幾つかの好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0048】
図1〜図11は、この発明の第1実施形態に係る突合せ継手の製造方法、摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置を説明するための図である。
【0049】
図1において、(1)は薄肉の板状(詳述すると平板状)第1接合部材、(2)は厚肉の板状(詳述すると平板状)第2接合部材である。各接合部材(1)(2)はいずれもアルミニウム又はその合金製である。第1接合部材(1)の肉厚はtであり、第2接合部材(2)の肉厚はTである。そして、これら両接合部材(1)(2)は、裏面(1B)(2B)同士が面一に連なる態様で幅方向の一端部同士が突き合わされており(その突合せ部(3))、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を両接合部材(1)(2)の表面(1A)(2B)側にて生じている。同図において、(4)は段部を示しており、(4a)はこの段部(4)のすみ部を示している。この第1実施形態に係る突合せ継手の製造方法により得られる突合せ継手は、例えば自動車のテーラードブランク材として用いられるものである。
【0050】
図4において、(91)はこの第1実施形態に係る摩擦撹拌接合装置である。この摩擦撹拌接合装置(91)は、図2に示すように摩擦撹拌接合用の主接合工具(50)と、図3に示すように摩擦撹拌接合用の副接合工具(60)とを備えている。
【0051】
主接合工具(50)は、両接合部材(1)(2)の表面側に配置されるものであって、図2に示すように円柱状の主回転子(51)と、該主回転子(51)の端面(15a)の回転中心部に回転軸線(P1)上に沿って一体に突設されたピン状主プローブ(52)とを有している。主回転子(51)の端面(51a)における直径D1は、主プローブ(52)のそれより径大に設定されている。L1は、主プローブ(52)の、主回転子(51)の端面(51a)から突出した長さを示している。
【0052】
副接合工具(60)は、両接合部材(1)(2)の裏面側に配置されるものであって、図3に示すように円柱状の副回転子(61)と、該副回転子(61)の端面(61a)の回転中心部に回転軸線(P2)上に沿って一体に突設されたピン状副プローブ(62)とを有している。副回転子(61)の端面(61a)における直径D2は、副プローブ(62)のそれより径大に設定されている。L2は、副プローブ(62)の、副回転子(61)の端面(61a)から突出した長さを示している。
【0053】
主接合工具(50)において、主回転子(51)の端面(51a)における直径D1及び主プローブ(52)の長さL1は、次の二つの関係式(i)及び(ii)の双方を満たしている。
【0054】
D1>D2 …(i)
L1≧t/2 …(ii)
【0055】
一方、副接合工具(60)において、副プローブ(62)の長さL2は、次の関係式(iii)を満たしている。
【0056】
L2≦t/2 …(iii)
【0057】
特に、この第1実施形態では、主接合工具(50)及び副接合工具(60)は、L1>L2の関係式と、L1>t/2の関係式と、L2<t/2の関係式とを満たしたものである。
【0058】
主接合工具(50)及び副接合工具(60)は、ともに、両接合部材(1)(2)よりも硬質で且つ接合時に発生する摩擦熱に耐え得る耐熱材料から形成されている。また、主プローブ(52)及び副プローブ(62)の外周面には、ともに、摩擦熱にて軟化した接合部材(1)(2)の肉を撹拌するための撹拌用突部が螺旋状等に設けられている。主回転子(51)の端面(51a)及び副回転子(61)の端面(61a)はともに、この実施形態では平坦状に形成されている。なお、この発明では、端面(51a)(61a)は、その外周縁部から回転中心部に向かって略皿状に窪んだ形状になっていても良い。
【0059】
さらに、この摩擦撹拌接合装置(91)は、図4に示すように、次のような略板状の裏当て部材(30)を備えている。
【0060】
この裏当て部材(30)は、同図に示すように、互いに別体の2個の板状第1裏当て部(13)及び板状第2裏当て部(23)を有している。第1裏当て部(13)の当て面(13a)及び第2裏当て部(23)の当て面(23a)はともに平坦状に形成されており、且つ略水平状に配置されている。さらに、両裏当て部(13)(23)はその幅方向において突合せ状に並んでおり、両者の間には隙間が殆ど生じていない。また、各裏当て部(13)(23)は、対応する接合部材(1)(2)を支持する支持部材としての役割をも有している。
【0061】
第1裏当て部(13)は、流体圧シリンダ装置としての第1油圧シリンダ装置(10)によって、該第1裏当て部(13)の当て面(13a)が第2裏当て部(23)の当て面(23a)に対して高位側及び低位側に位置するように、移動されるものとなされている。同じく、第2裏当て部(23)は、流体圧シリンダ装置としての第2油圧シリンダ装置(20)によって、該第2裏当て部(23)の当て面(23a)が第1裏当て部(13)の当て面(13a)に対して高位側及び低位側に位置するように、移動されるものとなされている。この実施形態では、各裏当て部(13)(23)は、上下方向に移動される(つまり昇降移動される)ものとなされている。
【0062】
各油圧シリンダ装置(10)(20)は、図5に示すように、シリンダ本体(11)(21)と該シリンダ本体(11)(21)に進退自在に装着されたロッド(12)(22)とを有している。そして、シリンダ本体(11)(21)の位置が固定された状態で、ロッド(12)(22)の先端部に、対応する裏当て部(13)(23)が接続されている。そして、油圧シリンダ装置(10)(20)を作動させてロッド(12)(22)を進退移動させることにより、該ロッド(12)(22)の先端部に接続された裏当て部(13)(23)が、上述したように上下に移動されるものとなされている。
【0063】
次に、この摩擦撹拌接合装置(91)を用いて両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を接合する手順について説明する。
【0064】
まず、図4及び図5に示すように、第1油圧シリンダ装置(10)を作動させてそのロッド(12)を進出移動させ、これにより、第1裏当て部(13)の当て面(13a)を第2裏当て部(23)の当て面(23a)より高位側に位置させて、裏当て部(13)(23)の当て面(13a)(23s)に垂直な方向(即ち、裏当て部の厚さ方向)に、両接合部材(1)(2)の肉厚差に対応した段差を両裏当て部(13)(23)の当て面(13a)(23a)側にて生じさせる。この段差は、両接合部材(1)(2)の肉厚差と同一寸法である。なお、第2油圧シリンダ装置(20)を作動させてそのロッド(22)を退入移動させることにより、第1裏当て部(13)の当て面(13a)を第2裏当て部(23)の当て面(23a)より高位側に位置させても良いことはもちろんである。
【0065】
そして、図5に示すように、第1接合部材(1)の表面(1A)を下側にして該第1接合部材(1)の表面(1A)を第1裏当て部(13)の当て面(13a)に面接触状態に当接させる。同じく、第2接合部材(2)の表面(2A)を下側にして該第2接合部材(2)の表面(2A)を第2裏当て部(23)の当て面(23a)に面接触状態に当接させる。さらに、両接合部材(1)(2)を突合せ状態に配置させる。これにより、両接合部材(1)(2)の裏面(1B)(2B)同士が面一に連なる態様となる。この状態で、各接合部材(1)(2)を裏当て部(13)(23)に固定治具(図示せず)で固定する。
【0066】
なお、この第1実施形態では、第1接合部材(1)の表面(1A)及び第2接合部材(2)の表面(2A)の全面に亘って、それぞれ第1裏当て部(13)の当て面(13a)及び第2裏当て部(23)の当て面(23a)が面接触状態に当接されている。
【0067】
次いで、副接合工具(60)の副プローブ(62)による接合工程を次のように行う。すなわち、副接合工具(60)の副回転子(61)及び副プローブ(62)を、回転軸線(P2)を中心に所定方向(K2、この回転方向は後述する。)に回転させる。そして、図4及び図5に示すように、回転している副プローブ(62)を両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から埋入した状態に配置する。更に、副回転子(61)の端面(61a)を両接合部材(1)(2)の裏面(1B)(2B)に押し付けた状態に配置する。これにより、副プローブ(62)の全体が突合せ部(3)に埋入される。したがって、該副プローブ(62)の突合せ部(3)への埋入深さはL2となる。なお、副プローブ(62)の突合せ部(3)への埋入は、両接合部材(1)(2)の長さ方向の一端面から行っても良い。
【0068】
この状態で、副プローブ(62)を突合せ部(3)に沿って移動させる。図4において、TDは、この副プローブ(62)の移動方向を示している。この副プローブ(62)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が裏面側から副プローブ埋入位置にて副プローブ(62)により該突合せ部(3)に沿って浅く接合されていく。
【0069】
すなわち、副プローブ(62)の回転により発生する摩擦熱と、副回転子(61)の端面(61a)と両接合部材(1)(2)の裏面(1B)(2B)との摺動に伴い発生する摩擦熱とによって、両接合部材(1)(2)は副プローブ埋入位置近傍にて軟化するとともに、この軟化した両接合部材(1)(2)の肉が副プローブ(62)の回転力を受けて撹拌混合される。そして、副プローブ(62)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の肉が副プローブ(62)の通過溝を埋めるように塑性流動したのち、摩擦熱を失って冷却固化される。この現象が副プローブ(62)の移動に伴い順次繰り返されていき、もって、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が裏面側から副プローブ(62)によって接合される。
【0070】
この第1実施形態では、副プローブ(62)は両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)の全長に亘って移動され、このため、突合せ部(3)は両接合部材(1)(2)の全長に亘って接合されることとなる。
【0071】
この副プローブ(62)による接合によって、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)の、ルート残り部(R)(図16参照)となる部分が予め接合されることとなる。なお、図4において、(JD)は接合方向を示しており、この第1実施形態では、接合方向(JD)は副プローブ(62)の移動方向(TD)と同じ方向となる。(3')は副プローブ(62)により接合された突合せ部を示している。また、(5)は副プローブ(62)による接合によって形成された接合部を示している。この接合部(5)は突合せ部(3')に沿って形成されている。また、図6は、この副プローブ(62)により接合一体化された両接合部材(1)(2)の断面図を示している。
【0072】
ここで、副接合工具(60)の副回転子(61)及び副プローブ(62)の回転方向(K2)は、接合方向(JD)後方側において、第1接合部材(1)から第2接合部材(2)へと回転する方向に設定されている。
【0073】
この副プローブ(62)による接合によって、図7に示すように、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')の裏面には、アンダーカット部等の凹部(7)が該突合せ部(3')に沿って生じる。同図において、(a)は、この凹部(7)の深さを示している。なお、同図では、凹部(7)の深さを誇張して示している。
【0074】
次いで、両接合部材(1)(2)を裏当て部材(30)から取り外す。そして、図8及び図9に示すように、第1油圧シリンダ装置(10)を作動させてそのロッド(12)を退入移動させ、これにより、第1裏当て部(13)の当て面(13a)を第2裏当て部(23)の当て面(23a)と同一高さ位置にし、すなわち第1裏当て部(13)の当て面(13a)と第2裏当て部(23)の当て面(23a)とが面一に連なる態様にする。なお、第2油圧シリンダ装置(20)を作動させてそのロッド(22)を進出移動させることにより、第1裏当て部(13)の当て面(13a)と第2裏当て部(23)の当て面(23a)とを同一高さ位置にしても良いことはもちろんである。
【0075】
そして、両接合部材(1)(2)を反転させたのち、図8及び図9に示すように、第1接合部材(1)の裏面(1B)を下側にして該第1接合部材(1)の裏面(1B)を第1裏当て部(13)の当て面(13a)に面接触状態に当接させるとともに、第2接合部材(2)の裏面(2B)を下側にして該第2接合部材(2)の裏面(2B)を第2裏当て部(23)の当て面(23a)を面接触状態に当接させる。この状態で、接合部材(1)(2)を裏当て部(13)(23)に固定治具(図示せず)で固定する。
【0076】
次いで、主接合工具(50)の主プローブ(52)による接合工程を次のように行う。すなわち、主接合工具(50)の主回転子(51)及び主プローブ(52)を、回転軸線(P1)を中心に所定方向(K1、この回転方向は後述する。)に回転させる。そして、図8に示すように、回転軸線(P1)を第1接合部材(1)側に傾斜させた状態で、回転している主プローブ(52)を、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')に表面側から埋入した状態に配置する。更に、主回転子(51)の端面(51a)を両接合部材(1)(2)の表面(1A)(2A)に押し付けた状態に配置する。この第1実施形態では、主回転子(51)の端面(51a)は、突合せ部(3')から表面側に突出している第2接合部材(2)の肩部(2a)(図9参照)に押し付けられた状態に配置されている。なお、主プローブ(52)の接合された突合せ部(3')への埋入は、両接合部材(1)(2)の長さ方向の一端面から行っても良い。また、主プローブ(52)を接合された突合せ部(3')に埋入した後で、回転軸線(P1)を第1接合部材(1)側に該第1接合部材(1)に対して相対的に傾斜させても良い。
【0077】
この状態で、主プローブ(52)を、接合された突合せ部(3')に沿って移動(その移動方向TD)させる。この主プローブ(52)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')が表面側から主プローブ埋入位置にて主プローブ(52)により該突合せ部(3')に沿って深く接合されていく。
【0078】
すなわち、主プローブ(52)の回転により発生する摩擦熱と、主回転子(51)の端面(51a)と第2接合部材(2)の肩部(2a)との摺動に伴い発生する摩擦熱とによって、両接合部材(1)(2)は主プローブ埋入位置近傍にて軟化するとともに、第2接合部材(2)の肩部(2a)が主回転子(51)の端面(51a)からの押付け力を受けてその表面が傾斜面になるように塑性変形される。更にこの塑性変形によって、当該肩部(2a)の肉の一部が段部(4)のすみ部(4a)(図1参照)内に充填される。
【0079】
そして、こうして肩部(2a)が塑性変形されながら、摩擦熱にて軟化した両接合部材(1)(2)の肉が主プローブ(52)の回転力を受けて撹拌混合される。そして、この主プローブ(52)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の肉が主プローブ(52)の通過溝を埋めるように塑性流動したのち、摩擦熱を失って冷却固化される。この現象が主プローブ(52)の移動に伴い順次繰り返されていき、もって、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')が表面側から主プローブ(52)によって更に接合される。
【0080】
この第1実施形態では、主プローブ(52)は両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')の全長に亘って移動され、このため、接合された突合せ部(3')は両接合部材(1)(2)の全長に亘って接合されることとなる。
【0081】
この主プローブ(52)による接合によって、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3')が厚さ方向の全体に亘って接合される。なお、図8において、(6)は主プローブ(52)による接合によって形成された接合部を示している。この接合部(6)は突合せ部(3')に沿って形成されている。また、図10は、この主プローブ(52)により接合一体化された両接合部材(1)(2)の断面図を示している。
【0082】
ここで、主接合工具(50)の主回転子(51)及び主プローブ(52)の回転方向(K1)は、接合方向(JD)後方側において、第1接合部材(1)から第2接合部材(2)へと回転する方向に設定されている。
【0083】
この主プローブ(52)による接合工程時において、主接合工具(50)の回転軸線(P1)は上述したように第1接合部材(1)側に傾斜しており、且つ主回転子(51)の端面(51a)は第2接合部材(2)の肩部(2a)に押し付けられているから、接合された突合せ部(3')の表面は、図10に示すように第1接合部材(1)の表面と第2接合部材(2)の表面とに跨る傾斜面に形成されるものとなる。
【0084】
さらに、主接合工具(50)の主回転子(51)の端面(51a)からの押付け圧によって、凹部(7)(図7参照)の底部が押し出されて当て面(13a)(23a)に押し付けられる。これにより、図11に示すように、凹部(7)が存在しなくなるとともに、接合された突合せ部(3')の裏面が平坦化される。もとより、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')にはルート残り部が存在していない。したがって、こうして得られた突合せ継手は、高い接合強度と優れた外観品質を有するものとなっている。さらに、もし仮に突合せ継手の表面及び裏面に対して塗装を行う場合であっても、接合された突合せ部(3')の裏面には凹部(7)が存在していないので、突合せ継手の表面及び裏面に塗膜を良好に形成することができる。
【0085】
しかも、この摩擦撹拌接合装置(91)では、主接合工具(50)は上記関係式(i)及び(ii)の双方を満たしたものであり、副接合工具(60)は上記関係式(iii)を満たしたものであるから、主接合工具(50)の主回転子(51)の端面(51a)からの押付け圧を凹部(7)へ確実に伝達することができ、このため、凹部(7)を確実に解消することができる。
【0086】
さらに、この摩擦撹拌接合装置(91)では、裏当て部材(30)は、第1裏当て部(13)の当て面(13a)が第2裏当て部(23)の当て面(32a)に対して高位側及び低位側に位置するように移動可能に構成されるとともに、第2裏当て部(23)の当て面(23a)が第1裏当て部(13)の当て面(13a)に対して高位側及び低位側に位置するように移動可能に構成されているものであるから、この裏当て部材(30)を用いることによって、副プローブ(62)による接合工程と主プローブ(52)による接合工程との双方の接合工程を行うことができ、このため、能率良く接合作業を行うことができる。
【0087】
しかも、各裏当て部(13)(23)は油圧シリンダ装置(10)(20)によって移動されるものとなされているから、各裏当て部(13)(23)を確実に移動させることができる。
【0088】
なお、上記第1実施形態では、副プローブ(62)による接合は、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から副接合工具(60)の回転している副プローブ(62)を埋入した状態に配置し、この状態で、副プローブ(62)を突合せ部(3)に沿って移動させることにより、行われているが、この発明では、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から副接合工具(60)の回転している副プローブ(62)を埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が順次この副プローブ(62)を通過するように、両接合部材(1)(2)を移動させることにより、副プローブ(62)による接合を行っても良い。
【0089】
また同じく、この第1実施形態では、主プローブ(52)による接合は、両接合部材(1)(2)の、副フローブ(62)により接合された突合せ部(3')に表面側から主接合工具(50)の回転している主プローブ(52)を埋入した状態に配置し、この状態で、主プローブ(52)を、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')に沿って移動させることにより、行われているが、この発明では、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')に表面側から主接合工具(50)の回転している主プローブ(52)を埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')が順次この主プローブ(52)を通過するように、両接合部材(1)(2)を移動させることにより、主プローブ(52)による接合を行っても良い。
【0090】
図12〜図14は、この発明の第2実施形態に係る突合せ継手の製造方法、摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置を説明するための図である。これらの図には、上記第1実施形態に係る摩擦撹拌接合装置(91)に対応する要素に同一の符号が付されており、以下、この第2実施形態に係る摩擦撹拌接合装置(92)を、上記第1実施形態に係る摩擦撹拌接合装置(91)との相異点を中心に説明する。
【0091】
この第2実施形態では、薄肉の板状第1接合部材(1)及び厚肉の板状第2接合部材(2)はともに長尺なものである。各接合部材(1)(2)の他の構成は上記第1実施形態のそれと同じである。
【0092】
また、この第2実施形態に係る摩擦撹拌接合装置(92)は、図12及び図13に示すように、主接合工具(50)と副接合工具(60)とを備えている。主接合工具(50)は上記第1実施形態のものと同一構成であり、また副接合工具(60)も上記第1実施形態のものと同一構成である。したがって、この第2実施形態に係る摩擦撹拌接合装置(92)では、主接合工具(50)は上記関係式(i)及び(ii)を満たしており、副接合工具(60)は上記関係式(iii)を満たしている。
【0093】
また、主接合工具(50)の主プローブ(52)は、両接合部材(1)(1)の表面側における、副接合工具(60)の副プローブ(62)の位置より接合方向(JD)後方側に配置されている。
【0094】
一方、この摩擦撹拌接合装置(92)は、上記板状裏当て部材(30)(図4参照)を備えておらず、これに代えて裏当てローラ(73)を備えている。この裏当てローラ(73)は円柱状のもので、その外周面が主接合工具(50)の主プローブ(52)に対向して配置されるものである。この裏当てローラ(73)はその軸線方向において一定の半径を有している。
【0095】
さらに、この摩擦撹拌接合装置(92)は、両接合部材(1)(2)を所定方向に移動させるための次のような構成の移動装置(70)を備えている。すなわち、この摩擦撹拌接合装置(92)では、移動装置(70)として、両接合部材(1)(2)の裏面側に配置された駆動ローラ(71)(72)を備えている。この駆動ローラ(71)(72)は、裏当てローラ(73)の前後両側に配置された前駆動ローラ(71)及び後駆動ローラ(72)からなる。一方、両接合部材(1)(2)は、図14に示すように裏面(1B)(2B)同士が面一に連なる態様で幅方向の一端部同士が突き合わされており、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を両接合部材(1)(2)の表面(1A)(2A)側にて生じている。そして、この突合せ状態のままで両接合部材(1)(2)が、その裏面側から前後の駆動ローラ(71)(72)及び裏当てローラ(73)によって略水平状に支持されている。したがって、前後の駆動ローラ(71)(72)及び裏当てローラ(73)は、両接合部材(1)(2)を裏面側から支持する支持ローラとしての役割をも有している。
【0096】
前後の駆動ローラ(71)(72)は、図示しない回転駆動装置を備えており、この駆動装置を作動させることにより、互いに同一の周速度で同じ方向に回転されるものとなされている。この前後の駆動ローラ(71)(72)の回転に伴い、両接合部材(1)(2)は上述した突合せ状態のままで長さ方向に移動されるものとなる。図12において、(MD)は両接合部材(1)(2)の移動方向を示している。この第2実施形態では、両接合部材(1)(2)の移動方向(MD)とは反対の方向が接合方向(JD)となる。一方、裏当てローラ(73)は回転自在なものである。なお、この発明では、裏当てローラ(73)は、前後の駆動ローラ(71)(72)と同一の周速度で回転駆動されるものとなされていても良い。
【0097】
また、図12に示すように、両接合部材(1)(2)の表面側において、前駆動ローラ(71)の上方には、第1接合部材(1)及び第2接合部材(2)をそれぞれ表面側から押さえる第1前押さえローラ(81)及び第2前押さえローラ(83)が配置されている。一方、後駆動ローラ(72)の上方には、第1接合部材(1)及び第2接合部材(2)をそれぞれ表面側から押さえる第1後押さえローラ(82)及び第2後押さえローラ(84)が配置されている。
【0098】
次に、この摩擦撹拌接合装置(92)を用いて両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を接合する手順について説明する。
【0099】
まず、突合せ状に配置された両接合部材(1)(2)を裏面側から前後の駆動ローラ(71)(72)及び裏当てローラ(73)によって支持する。そして、押さえローラ(81)(82)(83)(84)によって第1接合部材(1)及び第2接合部材(2)の所定部位を表面側から押さえる。
【0100】
そして、副接合工具(60)の副回転子(61)及び副プローブ(62)を、回転軸線(P2)を中心に所定方向に回転させる。この回転方向(K2)は、接合方向(JD)後方側において、第1接合部材(1)から第2接合部材(2)へと回転する方向に設定されている。そして、図13及び図14に示すように、回転している副プローブ(62)を両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から埋入した状態に配置する。更に、副回転子(61)の端面(61a)を両接合部材(1)(2)の裏面(1B)(2B)に押し付けた状態に配置する。
【0101】
一方、所定の時点で、主接合工具(50)の主回転子(51)及び主プローブ(52)を、回転軸線(P1)を中心に所定方向に回転させる。この回転方向(K1)は、接合方向(JD)後方側において、第1接合部材(1)から第2接合部材(2)へと回転する方向に設定されている。そして、回転軸線(P1)を第1接合部材(1)側に傾斜させた状態で、図12に示すように、回転している主プローブ(52)を、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)における副プローブ埋入位置より接合方向(JD)後方側の部分(つまり、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3'))に表面側から埋入した状態に配置する。更に、主回転子(51)の端面(51a)を両接合部材(1)(2)の表面(1A)(2A)に押し付けた状態に配置する。この第2実施形態では、主回転子(51)の端面(51a)は、突合せ部(3')から表面側に突出している第2接合部材(2)の肩部(2a)に押し付けられた状態に配置されている。更に、図13に示すように、主接合工具(50)の回転軸線(P1)を接合方向(JD)後方側に僅かに傾斜させた状態に配置することが望ましい。
【0102】
この状態で、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が順次副プローブ(62)及び主プローブ(52)を通過するように、両接合部材(1)(2)を移動させる。この移動は、駆動ローラ(71)(72)を回転させることによって行われる。
【0103】
この両接合部材(1)(2)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が裏面側から副プローブ埋入位置にて副プローブ(62)により該突合せ部(3)に沿って浅く接合されていく。この副プローブ(62)による接合によって、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)の、ルート残り部(図16参照、R)となる部分が予め接合される。また、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')の裏面には、アンダーカット部等の凹部が該突合せ部(3')に沿って生じる。そして、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')が主プローブ(52)の埋入位置に到達したとき、当該突合せ部(3')が主プローブ(52)によって厚さ方向の全体に亘って接合される。このように接合されながら両接合部材(1)(2)が移動していく。そして、副プローブ(62)及び主プローブ(52)が両接合部材(1)(3)の突合せ部(3)の接合終了予定部に到達したとき、両プローブ(62)(52)を抜出して、接合が終了する。
【0104】
而して、この第2実施形態の摩擦撹拌接合装置(92)によれば、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')の裏面には凹部が形成されるところ、主接合工具(50)の主回転子(51)の端面(51a)からの押付け圧によって、この凹部の底部が押し出されて裏当てローラ(73)の外周面に押し付けられる。これにより、凹部(7)が存在しなくなるとともに、接合された突合せ部(3')の裏面が平坦化される。さらに、この摩擦撹拌接合装置(92)によれば、副プローブ(62)による接合工程と主プローブ(52)による接合工程との双方を同時に行うことができるので、能率良く接合作業を行うことができる。
【0105】
なお、上記第2実施形態では、副プローブ(62)による接合及び主プローブ(52)による接合は、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から副接合工具(60)の回転している副プローブ(62)を埋入した状態に配置するとともに、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)における副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から接合工具(50)の回転している主プローブ(52)を埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が順次副プローブ(62)及び主プローブ(52)を通過するように、両接合部材(1)(2)を移動させることにより、行われているが、この発明では、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に埋入された回転している副プローブ(62)及び主プローブ(52)を、突合せ部(3)に沿って移動させることにより、副プローブ(62)による接合と主プローブ(52)による接合とを同時に行っても良い。この場合には、副プローブ(62)及び主プローブ(52)の移動方向が接合方向となる。
【0106】
また、上記第2実施形態では、移動装置(70)は、駆動ローラ(71)(72)からなるものであるが、この発明では、他の構成のものであっても良い。
【0107】
また、上記第2実施形態では、両接合部材(1)(2)は、互いに肉厚が相異するもの(即ちt≠T)であるが、この発明では、互いに肉厚が等しいもの(即ちt=T)であっても良い。この場合には、両接合部材のうちいずれか一方の接合部材の肉厚をtとし、この肉厚tを用いて上記関係式(ii)及び(iii)が適用される。
【0108】
【実施例】
次に、この発明の上記第1実施形態に係る突合せ継手の製造方法についての具体的実施例を示す。
【0109】
<実施例>
長尺平板状のアルミニウム合金製第1接合部材(材質:A5052−O、肉厚:1mm)と、長尺平板状のアルミニウム合金製第2接合部材(材質:同上、肉厚:2mm)とを準備した。
【0110】
主接合工具(50)として、主回転子(51)の端面(51a)における直径D1が12mm、主プローブ(52)の長さL1が1.2mm、主プローブ(52)の直径が5mmのものを準備した。
【0111】
副接合工具(60)として、副回転子(61)の端面(61a)における直径D2が9mm、副プローブ(62)の長さL2が0.2mm、副プローブ(62)の直径が5mmのものを準備した。
【0112】
そして、両接合部材(1)(2)を裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置した。そして、上記板状裏当て部材(30)を用いて両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を上記第1実施形態の接合手順に従って接合した。すなわち、この接合手順を簡単に記述すると、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を裏面側から副プローブ(62)により突合せ部(3)に沿って接合し、次いで、両接合部材(1)(2)を反転したのち、両接合部材(1)(2)の、副プローブ(62)により接合された突合せ部(3')を表面側から主プローブ(52)により突合せ部(3')に沿って接合した。
【0113】
<比較例>
両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を表面側から主プローブ(52)によって突合せ部(3)に沿って接合した。次いで、両接合部材(1)(2)を反転したのち、両接合部材(1)(2)の、主プローブ(52)により接合された突合せ部を裏面側から副プローブ(62)により突合せ部に沿って接合した。他の接合条件は、上記実施例と同じである。
【0114】
[接合結果]
比較例では、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部の裏面には、アンダーカット部等の凹部(7)が生じていた。この凹部(7)の深さaは0.1mmであった。
【0115】
これに対し、実施例では、両接合部材(1)(2)の接合された突合せ部(3')の裏面には、アンダーカット部等の凹部は生じておらず(即ち、凹部の深さa=0mm)、当該突合せ部(3')の裏面は平坦状に形成されていた。したがって、この発明によれば、高い接合強度と優れた外観品質を有する突合せ継手を得ることができることを確認し得た。
【0116】
【発明の効果】
上述の次第で、第1発明によれば、両接合部材の突合せ部を、該突合せ部に裏面側から埋入され副接合工具の回転している副プローブによって、該突合せ部に沿って摩擦撹拌接合する、副プローブによる接合工程と、両接合部材の、副プローブにより接合された突合せ部を、該突合せ部に表面側から埋入され主接合工具の回転している主プローブによって、該突合せ部に沿って摩擦撹拌接合する、主プローブによる接合工程と、を含んでいるので、両接合部材の接合された突合せ部にルート残り部が残存するのを防止することができる上、両接合部材の接合された突合せ部の裏面にアンダーカット部等の凹部が生じる不具合を防止することができる。このため、高い接合強度を有する突合せ継手を得ることができる。また、もし仮に突合せ継手の表面及び裏面に対して塗装を行う場合であっても、突合せ継手の表面及び裏面に塗膜を良好に形成することができる。
【0117】
また、主接合工具として、所定の関係式(i)及び(ii)を満たしたものを用いるとともに、副接合工具として、所定の関係式(iii)を満たしたものを用いることにより、凹部を確実に解消することができる。
【0118】
また、2個の裏当て部を有するとともに、両裏当て部の当て面側に両接合部材の肉厚差に対応した段差を生じる態様で両裏当て部が並んだ裏当て部材を用い、両接合部材のうち薄肉の接合部材の表面を裏当て部材の両裏当て部の当て面のうち高位側の当て面に当接させるとともに、厚肉の接合部材の表面を低位側の当て面に当接させ、この状態で、副プローブによる接合工程を行う場合には、副プローブによる接合工程時に、各接合部材の裏面を対応する裏当て部によって確実に受けることができる。
【0119】
また、2個の裏当て部を有するとともに、一方の裏当て部の当て面と他方の裏当て部の当て面とが同一高さ位置になる態様で両裏当て部が並んだ裏当て部材を用い、両接合部材のうち薄肉の接合部材の裏面を前記裏当て部材の両裏当て部のうちいずれか一方の当て面に当接させるとともに、厚肉の接合部材の裏面を他方の当て面に当接させ、この状態で、主プローブによる接合工程を行う場合には、主接合工具からの押付け圧によって凹部の底部を押し出してこれを当て面に押し付けることができ、このため、接合された突合せ部の裏面を略平坦状に形成することができる。したがって、優れた外観品質を有する突合せ継手を得ることができる。
【0120】
また、互いに別体の2個の裏当て部を有するとともに、各裏当て部に接合部材が1個ずつ装着され、且つ両裏当て部のうち少なくとも一方の裏当て部が、その当て面が他方の裏当て部の当て面に対して高位側又は低位側に位置するように移動可能に構成された裏当て部材を用いて、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程とを行う場合には、同一の裏当て部材を用いて、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を行うことができる。したがって、能率良く接合作業を行うことができる。
【0121】
また、両接合部材の突合せ部に裏面側から副接合工具の回転している副プローブを埋入した状態に配置するとともに、両接合部材の突合せ部における副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から主接合工具の回転している主プローブを埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材の突合せ部が順次副プローブ及び主プローブを通過するように、両接合部材を副プローブ及び主プローブに対して相対的に移動させることにより、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程とを同時に行う場合には、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を同時に行うことができる。したがって、能率良く接合作業を行うことができる。
【0122】
第2発明によれば、高い接合強度を有する突合せ継手を提供することができる。
【0123】
第3発明によれば、上記第1発明と同様の効果を奏し得る。
【0124】
第4発明によれば、同じ裏当て部材を用いて、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を行うことができる。したがって、能率良く接合作業を行うことができる。
【0125】
また、一方の裏当て部が流体圧シリンダ装置装置によって移動されるものとなされている場合には、当該一方の裏当て部を確実に移動させることができる。
【0126】
第5発明によれば、所定の副接合工具と所定の主接合工具とを備え、両接合部材の突合せ部に裏面側から回転している副プローブが埋入されるとともに、両接合部材の突合せ部における副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から回転している主プローブが埋入された状態で、両接合部材の突合せ部が順次副プローブ及び主プローブを通過するように、両接合部材を副プローブ及び主プローブに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合するものとなされているから、両接合部材の接合された突合せ部の裏面にアンダーカット部等の凹部が生じる不具合を防止することができるし、さらに、副プローブによる接合工程と主プローブによる接合工程との双方の接合工程を同時に行うことができる。したがって、能率良く接合作業を行うことができる。
【0127】
また、主接合工具は、所定の関係式(i)及び(ii)を満たしたものであり、副接合工具は、所定の関係式(iii)を満たしたものである場合には、凹部を確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る摩擦撹拌接合装置により接合一体化される2個の接合部材を示す断面図である。
【図2】同摩擦撹拌接合装置の主接合工具の正面図である。
【図3】同摩擦撹拌接合装置の副接合工具の正面図である。
【図4】同摩擦撹拌接合装置を用いて、副プローブによる接合工程を行う途中の状態を示す斜視図である。
【図5】図4中のA−A線断面図である。
【図6】副プローブにより接合された両接合部材の断面図である。
【図7】図6中のX部分の拡大図である。
【図8】同摩擦撹拌接合装置を用いて、主プローブによる接合工程を行う途中の状態を示す斜視図である。
【図9】図8中のB−B線断面図である。
【図10】主プローブにより接合された両接合部材の断面図である。
【図11】図10中のY部分の拡大図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る摩擦撹拌接合装置を用いて、両接合部材を接合一体化する途中の状態を示す斜視図である。
【図13】図12中のC−C線断面図である。
【図14】図12中のE−E線断面図である。
【図15】従来の接合継手の製造方法により、両接合部材を接合一体化する前の状態の断面図である。
【図16】従来の接合継手の製造方法により、両接合部材を接合一体化した後の状態の断面図である。
【符号の説明】
1…第1接合部材
2…第2接合部材
3…突合せ部
3'…接合された突合せ部
10、20…油圧シリンダ装置(流体圧シリンダ装置)
13、23…裏当て部
30…裏当て部材
50…主接合工具
52…主プローブ
60…副接合工具
62…副プローブ
70…移動装置
91、92…摩擦撹拌接合装置
JD…接合方向

Claims (12)

  1. 裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を、該突合せ部(3)に沿って摩擦撹拌接合することにより、突合せ継手を得る突合せ継手の製造方法であって、
    両接合部材(1)(2)は、互いに肉厚が相異するものであり、且つ、厚さ方向に両接合部材(1)(2)の肉厚差に対応した段差を両接合部材(1)(2)の表面(1A)(2A)側にて生じており、
    両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を、該突合せ部(3)に裏面側から埋入され副接合工具(60)の回転している副プローブ(62)によって、該突合せ部(3)に沿って予め摩擦撹拌接合する、副プローブ(62)による接合工程と、
    両接合部材(1)(2)の、前記副プローブ(62)により予め接合された突合せ部(3')を、該突合せ部(3')に表面側から埋入され主接合工具(50)の回転している主プローブ(52)によって、該突合せ部(3')に沿って摩擦撹拌接合する、主プローブ(52)による接合工程と、
    を含んだことを特徴とする突合せ継手の製造方法。
  2. 前記主接合工具(50)は、少なくとも端面(51a)が前記主プローブ(52)より径大の主回転子(51)を有するとともに、該主回転子(51)の端面(51a)に前記主プローブ(52)が突設されたものであり、
    前記副接合工具(60)は、少なくとも端面(61a)が前記副プローブ(62)より径大の副回転子(61)を有するとともに、該副回転子(61)の端面(61a)に前記副プローブ(62)が突設されたものであり、
    前記主接合工具(50)において、主回転子(51)の端面(51a)における外径をD1、主プローブ(52)の長さをL1とし、
    前記副接合工具(60)において、副回転子(61)の端面(61a)における外径をD2、副プローブ(62)の長さをL2とし、
    両接合部材(1)(2)のうち薄肉の接合部材(1)の肉厚をtとすると、
    前記主接合工具(50)として、
    D1>D2 …(i)
    L1≧t/2 …(ii)
    の関係式を満たしたものを用いるとともに、
    前記副接合工具(60)として、
    L2≦t/2 …(iii)
    の関係式を満たしたものを用いる請求項1記載の突合せ継手の製造方法。
  3. 2個の裏当て部(13)(23)を有するとともに、両裏当て部(13)(23)の当て面(13a)(23a)側に両接合部材(1)(2)の肉厚差に対応した段差を生じる態様で両裏当て部(13)(23)が並んだ裏当て部材(30)を用い、
    両接合部材(1)(2)のうち薄肉の接合部材(1)の表面(1A)を前記裏当て部材(30)の両裏当て部(13)(23)の当て面(13a)(23a)のうち高位側の当て面(13a)に当接させるとともに、厚肉の接合部材(2)の表面(2A)を低位側の当て面(23a)に当接させ、この状態で、前記副プローブ(62)による接合工程を行う請求項1又は2記載の突合せ継手の製造方法。
  4. 2個の裏当て部(13)(23)を有するとともに、一方の裏当て部(13)の当て面(13a)と他方の裏当て部(23)の当て面(23a)とが面一に連なる態様で両裏当て部(13)(23)が並んだ裏当て部材(30)を用い、
    両接合部材(1)(2)のうち薄肉の接合部材(1)の裏面(1B)を前記裏当て部材(30)の両裏当て部(13)(23)のうちいずれか一方の当て面(13a)に当接させるとともに、厚肉の接合部材(2)の裏面(2B)を他方の当て面(23a)に当接させ、この状態で、前記主プローブ(52)による接合工程を行う請求項1又は2記載の突合せ継手の製造方法。
  5. 互いに別体の2個の裏当て部(13)(23)を有するとともに、各裏当て部(13)(23)の当て面(13a)(23a)に接合部材(1)(2)が1個ずつ装着され、且つ両裏当て部(13)(23)のうち少なくとも一方の裏当て部(13)が、その当て面(13a)が他方の裏当て部(23)の当て面(23a)に対して高位側又は低位側に位置するように移動可能に構成された裏当て部材(30)を用いて、前記副プローブ(62)による接合工程と前記主プローブ(52)による接合工程とを行う請求項1又は2記載の突合せ継手の製造方法。
  6. 両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から前記副接合工具(60)の回転している副プローブ(62)を埋入した状態に配置するとともに、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)における前記副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から前記主接合工具(50)の回転している主プローブ(52)を埋入した状態に配置し、
    この状態で、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が順次副プローブ(62)及び主プローブ(52)を通過するように、両接合部材(1)(2)を副プローブ(62)及び主プローブ(52)に対して相対的に移動させることにより、前記副プローブ(62)による接合工程と前記主プローブ(52)による接合工程とを同時に行う請求項1又は2記載の突合せ継手の製造方法。
  7. 裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を、該突合せ部(3)に沿って接合する摩擦撹拌接合法であって、
    両接合部材(1)(2)は、互いに肉厚が相異するものであり、且つ、厚さ方向に両接合部材(1)(2)の肉厚差に対応した段差を両接合部材(1)(2)の表面( 1A )( 2A )側にて生じており、
    両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を、該突合せ部(3)に裏面側から埋入され副接合工具( 60 )の回転している副プローブ( 62 )によって、該突合せ部(3)に沿って予め接合する、副プローブ( 62 )による接合工程と、
    両接合部材(1)(2)の、前記副プローブ( 62 )により予め接合された突合せ部( 3' )を、該突合せ部( 3' )に表面側から埋入され主接合工具( 50 )の回転している主プローブ( 52 )によって、該突合せ部( 3' )に沿って接合する、主プローブ( 52 )による接合工程と、
    を含んだことを特徴とする摩擦撹拌接合法。
  8. 前記主接合工具( 50 )は、少なくとも端面( 51a )が前記主プローブ( 52 )より径大の主回転子( 51 )を有するとともに、該主回転子( 51 )の端面( 51a )に前記主プローブ( 52 )が突設されたものであり、
    前記副接合工具( 60 )は、少なくとも端面( 61a )が前記副プローブ( 62 )より径大の副回転子( 61 )を有するとともに、該副回転子( 61 )の端面( 61a )に前記副プローブ( 62 )が突設されたものであり、
    前記主接合工具( 50 )において、主回転子( 51 )の端面( 51a )における外径をD 1 、主プローブ( 52 )の長さをL 1 とし、
    前記副接合工具( 60 )において、副回転子( 61 )の端面( 61a )における外径をD 2 、副プローブ( 62 )の長さをL 2 とし、
    両接合部材(1)(2)のうち薄肉の接合部材(1)の肉厚をtとすると、
    前記主接合工具( 50 )として、
    1 >D 2 …(i)
    1 ≧t/2 …( ii
    の関係式を満たしたものを用いるとともに、
    前記副接合工具( 60 )として、
    2 ≦t/2 …( iii
    の関係式を満たしたものを用いる請求項7記載の摩擦撹拌接合法。
  9. 突合せ状に配置された2個の接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を接合するための摩擦撹拌接合装置( 91 )であって、
    互いに別体の2個の裏当て部( 13 )( 23 )を有するとともに、各裏当て部( 13 )( 23 )の当て面( 13a )( 23a )に接合部材(1)(2)が1個ずつ装着される裏当て部材( 30 )を備え、
    前記裏当て部材( 30 )は、前記両裏当て部( 13 )( 23 )のうち少なくとも一方の裏当て部( 13 )が、その当て面( 13a )が他方の裏当て部( 23 )の当て面( 23a )に対して高位側又は低位側に位置するように移動可能に構成されていることを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  10. 前記一方の裏当て部( 13 )は、流体圧シリンダ装置( 10 )によって移動されるものとなされている請求項9記載の摩擦撹拌接合装置。
  11. 裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を、該突合せ部(3)に沿って接合するための摩擦撹拌接合装置( 92 )であって、
    両接合部材(1)(2)は、互いに肉厚が相異するものであり、且つ、厚さ方向に両接合部材(1)(2)の肉厚差に対応した段差を両接合部材(1)(2)の表面( 1A )( 2A )側にて生じており、
    両接合部材(1)(2)の裏面側に配置された回転可能な副プローブ( 62 )を有する副接合工具( 60 )と、
    両接合部材(1)(2)の表面側における、前記副プローブ( 62 )の位置より接合方向後方側に配置された回転可能な主プローブ( 52 )を有する主接合工具( 50 )と、を備え、 両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)に裏面側から回転している副プローブ( 62 )が埋入されるとともに、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)における副プローブ埋入位置より接合方向後方側の部分に表面側から回転している主プローブ( 52 )が埋入された状態で、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)が順次副プローブ( 62 )及び主プローブ( 52 )を通過するように、両接合部材(1)(2)を副プローブ( 62 )及び主プローブ( 52 )に対して相対的に移動させることにより、両接合部材(1)(2)の突合せ部(3)を接合するものとなされていることを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
  12. 前記主接合工具( 50 )は、少なくとも端面( 51a )が前記主プローブ( 52 )より径大の主回転子( 51 )を有するとともに、該主回転子( 51 )の端面( 51a )に前記主プローブ( 52 )が突設されたものであり、
    前記副接合工具( 60 )は、少なくとも端面( 61a )が前記副プローブ( 62 )より径大の副回転子( 61 )を有するとともに、該副回転子( 61 )の端面( 61a )に前記副プローブ( 62 )が突設されたものであり、
    前記主接合工具( 50 )において、主回転子( 51 )の端面( 51a )における外径をD 1 、主プローブ( 52 )の長さをL 1 とし、
    前記副接合工具( 60 )において、副回転子( 61 )の端面( 61a )における外径をD 2 、副プローブ( 62 )の長さをL 2 とし、
    両接合部材(1)(2)のうち薄肉の接合部材(1)の肉厚をtとすると、
    前記主接合工具( 50 )は、
    1 >D 2 …(i)
    1 ≧t/2 …( ii
    の関係式を満たしたものであり、
    前記副接合工具( 60 )は、
    2 ≦t/2 …( iii
    の関係式を満たしたものである請求項11記載の摩擦撹拌接合装置。
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