JP2005103574A - パネル接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高精度な前処理を必要としないパネル接合構造を提供すること。
【解決手段】 第1面板11と第2面板12とが継ぎ部材13で連結されてなる中空状の長尺なパネル1であって、その第1面板同士および第2面板同士をそれぞれ摩擦攪拌溶接を利用して幅方向に接合するものであって、第1面板11は、継ぎ部材13よりも幅方向に突き出た突出部11a,11bがその突出部以外の部分の板厚より厚い肉厚で形成されたものであり、こうした第1面板同士が、突出部11a,11bの端面同士を突き当てた接合線に沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具60が移動することにより貫通接合され、第2面板12は、継ぎ部材13よりも幅方向に突き出た突出部12a,12bがその突出部以外の部分の板厚とほぼ同じ厚さで形成されたものであり、こうした第2面板同士が、突出部12a,12b同士を重ね、その重なり部分が接合されたパネル接合構造。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば長尺な中空パネルを摩擦攪拌溶接を利用して接合し、鉄道車両の構体などを構成するためのパネル接合構造に関し、特に中空パネルについて高精度な前処理を必要としないで接合することができるパネル接合構造に関する。
2枚の板からなる中空構造のパネルなどは、例えばアルミニウム合金製の鉄道車両構体や建築材に見ることができる。そうしたパネル同士をつなげる従来のパネル接合構造には、下記特許文献1として示した特開平11−207475号公報を挙げることができる。図6及び図7は、同特許文献1に記載されているパネル接合構造を示した断面図であり、パネルの端部同士を付き合わせて接合する場合の工程図である。
先ず、図6に示すように、中空型材(パネル)101の端には凹んだ角部103,104が形成され、中空型材(パネル)102の端部の突片105,106の先端が角部103,104にはめ合わされている。このとき、2つのパネル101,102の突き合わせ部分、すなわち回転工具50が押圧されることになる位置には支持板107が存在している。そこに回転工具50が回転を与えながら突き合わせ部分に当たられると、パネル101,102は突片105,106下方までが塑性流動状態になり、摩擦攪拌溶接され接合される。同様に、凸部52の径よりも大きく塑性流動状態になる。そして、接合においては、突片105,106と支持板107との接触部まで摩擦攪拌溶接される。そして、図7に示すように、支持板107の厚さの中心の延長線上に接合ビード110の幅の中心が位置するように接合された状態となる。
特開平11−207475号公報(第4−5頁、図3、図4)
摩擦攪拌溶接は、MIG溶接やTIG溶接などに比べると、接合時の歪みが相当に少ないことと、接合による入熱量が少ないため接合部の強度が向上することにより接合方法として利用が増えつつある。しかし、MIG溶接やTIG溶接などに比べ、同溶接に必要となる接合部の加工精度より相当高度な前処理精度が要求されるという製作上の問題があった。つまり、従来のパネル接合構造では、接合する両パネルの突き当て部分を溶接ポイントとして連続溶接していたので、その突き当て部分を確実に溶接できるようにするため高精度な前処理を行わなければならなかった。そして、従来からこれを解決するのに接合部端部に様々な工夫がなされているが、いずれも制作コストの増加や効率的な作業の阻害となってしまっていた。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、高精度な前処理を必要としないパネル接合構造を提供することを目的とする。
本発明のパネル接合構造は、第1面板と第2面板とが継ぎ部材で連結されてなる中空状の長尺なパネルであって、その第1面板同士および第2面板同士をそれぞれ摩擦攪拌溶接を利用して幅方向に接合するものであって、前記第1面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚より厚い肉厚で形成されたものであり、こうした第1面板同士が、突出部の端面同士を突き当てた接合線に沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具が移動することにより貫通接合され、前記第2面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚とほぼ同じ厚さで形成されたものであり、こうした第2面板同士が、突出部同士を重ね、その重なり部分が接合されたものであることを特徴とする。
そして、前記第2面板同士の摩擦攪拌溶接は、スポット的に行われるようにしたものであることが望ましい。
また、本発明のパネル接合構造は、第1面板と第2面板とが継ぎ部材で連結されてなる中空状の長尺なパネルであって、その第1面板同士および第2面板同士をそれぞれ摩擦攪拌溶接を利用して幅方向に接合するものであって、前記第1面板及び第2面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚より厚い肉厚で形成されたものであり、こうした第1面板同士或いは第2面板同士が、突出部の端面同士を突き当てた接合線に沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具が移動することにより貫通接合されたものであることを特徴とする。
よって、本発明のパネル接合構造では、第1面板、あるいは第2面板についても、その突出部を単純な平面形状として肉厚を厚くし、突出部同士の突き当て面を貫通摩擦攪拌型の回転工具を使用して摩擦攪拌溶接を行うようにしたので、接合部分に関して高い加工精度が要求されることがなくなり、高精度な前処理が必要でなくなった。
また、一方で、第2面板についてその突出部を重ね合わせて摩擦攪拌溶接する場合には、接合可能な範囲が広いため高精度な前処理を行わなくても確実に溶接することができ、製作工程を単純化することができる。そして、摩擦攪拌溶接をスポット的に行うことにより、入熱量を少なくして歪みを格段に抑えたパネル接合構造とすることができる。
次に、本発明に係るパネル接合構造の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、パネル接合構造の第1実施形態を示したパネル端面の図であり、特に鉄道車両の構体を構成する場合におけるパネル接合構造を示したものである。このパネル1は、図面を貫く方向に長尺なアルミニウム型材であって、図面上側に記載された車体外側の外側面板11と、図面下側に記載された車体室内側の内側面板12とが、継ぎ部材である斜めのリブ材13,13…によって連結さてなる中空構造をしたものである。そして、こうした複数のパネル1,1…が幅方向(図面左右方向)に連結され、図3に示す断面のように鉄道車両構体5が構成される。すなわち、この中空構造断面を有するパネル1は、長尺な長方形形状をしたものであり、長手方向側部(幅方向端部)同士が接合され、図3に示すように箱形の鉄道車両構体5が形成される。そうしたパネル1同士の具体的な接合構造が図1に示すものである。
パネル1の外側面板11及び内側面板12は、幅方向の両端に、最端のリブ材13から突き出た突出部11a,11bと突出部12a,12bとが形成されている。外側面板11は、突出部11a,11bの肉厚がその他の部分の肉厚よりも厚く形成されている。一方、内側面板12は、突出部12a,12bを含む全体がほぼ同じ肉厚で形成されている。ただし、突出部12aには段差12gが形成されている。そこで、パネル1,1同士を接合する場合には、図示するように外側面板11,11は、その突出部11a,11bの端面同士が互いに突き当てられ、内側面板12,12同士は、突出部12aの段差12gに突出部12bがに重ねられる。
こうした内側面板11,11と外側面板12,12とは、いずれも摩擦攪拌溶接によって接合される。具体的に、外側面板11,11側では、その突出部11a,11b同士が突き当てられた接合線L部分を貫通し、更にその突出部11a,11bを上下に挟み込んだ貫通摩擦攪拌型の回転工具60により、接合線Lに沿って摩擦攪拌溶接が行われる。一方、内側面板12,12側では、その突出部12a,12bが重なった部分を一方(図面下方)から回転する攪拌ピンを加圧させる回転工具50により摩擦攪拌溶接が行われる。
ここで、図4は、回転工具60による外側面板11,11の摩擦攪拌溶接の様子を示した斜視図であり、図5は、その断面図である。
貫通摩擦攪拌型の回転工具60は、回転軸61と、その回転軸61と同心に突き出た攪拌ピン62、そしてこの攪拌ピン62の先端に設けられ裏当て部63を有するものである。こうした回転工具60は、裏当て部63を備えることにより、回転工具50に必要となる裏当てを使うことなく摩擦攪拌溶接を可能としている。
そこで、この回転工具60で摩擦攪拌溶接を行う場合には、その回転する攪拌ピン62が図示するパネル1,1の端面部分から接合線Lに沿って、突出部11a,11bの突き当て部分に押し込まれる。そして、回転工具60が接合線Lに沿って移動するとき、それぞれ回転する回転軸61の下面と裏当て部63の上面とが接合線L部分を上下から挟みつけている。これにより回転する攪拌ピン62と外側面板11,11の突出部11a,11bとのに間摩擦熱が生じ、更に回転軸61の下面および裏当て部63の上面と、その両面の挟まれた突出部11a,11bの上下の面との間にも摩擦熱が生じる。そのため、塑性流動固相Wの生成とその非可塑化・一体化を順次続けていくことによって突出部11a,11bが貫通接合される。
次に、内側面板12,12の接合は、突出部12aの段差12gに突出部12bが重ね合わされ、その重なり部分に図面の下方から押しつけられた回転工具50によって摩擦攪拌溶接が行われて接合される。その際、パネル1の外側に位置する回転工具50に対し、パネル1,1の内側には、接合時の押圧荷重を受けるため裏当てが行われる。内側面板12,12の接合は、突出部12a,12bの重なり部分を接合線Lに沿うように摩擦攪拌溶接していくが、ここではスポット的に溶接するようにしている。スポット的に溶接することにより、摩擦攪拌溶接時の入熱量を減らしてパネル1,1に歪みが生じるのを防止できるからである。また、室内側になる内側面板12,12は、外側のように気密性が要求されない点で連続溶接が必要とされないからである。
ところで、このパネル1,1…は、接合された外側面板11,11…が鉄道車両構体5の外形面、すなわち鉄道車両の外観をなす意匠面となるため、突出部11a,11bが連続して面一になること、そして接合部分には段差や凹みがないことが必要である。その点、本実施形態では、図5に示すように、同じ厚さの突出部11a,11b同士の突き当て部分が摩擦攪拌溶接され、塑性流動固相Wが生成されて段差や凹みのないよう接合される。一方、内側面板12,12も面一となるように突出部11bが入り込む段差12gが形成されているが、室内を構成する化粧板によって覆われるため、必ずしも面一でなくてもよく、また接合部分に生じる多少の隙間は問題とならない。
よって、本実施形態のパネル接合構造によれば、突出部11a,11bの肉厚を厚くすることにより、裏当て部63を備えた貫通摩擦攪拌型の回転工具60によって摩擦攪拌溶接を行うようにしたので、突出部11a,11bを単純な平面形状として、その突き当て面も高い加工精度が要求されることもなくなった。このように、比較的仕上がりの良さが要求される外側面板11,11同士の接合についても、そのために高精度な前処理を行う必要がなくなった。一方、内側面板12の突出部12a,12bに関しては、突出部12aと突出部12bとの重ね合わ部分を攪拌摩擦溶接しているため、図6及び図7に示すような従来例のように接合部分に高い加工精度は要求されない。従って、高精度な前処理も必要ない。
従って、外側面板11及び内側面板12ともに従来のような高い加工精度が要求されないため、パネル1の成型用の型の作成が容易になった。そして、接合前に行う前処理も簡単になった。また、突出部11a,11bの突き当て、及び突出部12a,12bの重ね合わせをそれぞれ摩擦攪拌溶接するパネル接合構造は、接合作業が容易で、簡略な接合構造であるため強度上の信頼性が高い。更に、内側面板12側は、摩擦攪拌溶接をスポット的に行うことにより、入熱量を少なくして歪みを抑えることができ、接合工作費の低減となった。
次に、本発明に係るパネル接合構造の第2実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図2は、本実施形態のパネル接合構造を示した図であり、図1に示した第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付している。本実施形態のパネル接合構造も、図3に示す箱形の鉄道車両構体5に関するものである。
本実施形態のパネル2は、前記第1実施形態のパネル1と同様、図面を貫く方向に長尺なアルミニウム型材であって、図面上側に記載された車体外側の外側面板11と、図面下側に記載された車体室内側の内側面板12とが、継ぎ部材である斜めのリブ材13,13…によって連結さてなる中空構造をしている。そして、外側面板11には突出部11a,11bが設けられている。このパネル2が第1実施形態のパネル1と異なるのは、内側面板12の突出部c,12dが内側面板11と同様に他の板厚より厚くした肉厚の平板とした点である。そして、接合には突出部11a,11bの端面同士と、その突出部12c,12dの端面同士とを突き当てて摩擦攪拌溶接するようにした。
すなわち、パネル2,2同士の接合は、突出部11a,11b同士及び突出部12c,12d同士が突き当てられた接合線Lに沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具60が押し込まれる。こうした摩擦攪拌溶接では(図4及び図5参照)、回転工具60が接合線Lに沿って移動するとき、それぞれ回転する回転軸61の下面と裏当て部63の上面とが、突出部11a,11bあるいは突出部12c,12dの接合線L部分を上下から挟みつけている。これにより回転する攪拌ピン62と突出部11a,11bあるいは突出部12c,12dとの間に摩擦熱が生じ、更に回転軸61の下面および裏当て部63の上面と、その両面の挟まれた突出部11a,11bあるいは突出部12c,12dの上下の面との間にも摩擦熱が生じる。そのため、塑性流動固相Wの生成とその非可塑化・一体化を順次続けていくことによって突出部11a,11b、および突出部12c,12dが貫通接合される。
よって、本実施形態のパネル接合構造によれば、突出部11a,11b,12c,12dの肉厚を厚くすることにより、裏当て部63を備えた回転工具60によって摩擦攪拌溶接を行うようにしたので、突出部11a,11b,12c,12dを単純な平面形状として、その突き当て面も高い加工精度が要求されることもなくなった。外側面板11,11同士の接合は比較的仕上がりの良さが要求されるが、そのための高精度な前処理を必要としなくなった。一方、内側面板12側も外側面板11側と同様に接合される。
従って、外側面板11及び内側面板12ともに従来のような高い加工精度が要求されないため、パネル1の成型用の型の作成が容易になった。そして、接合前に行う前処理も簡単になった。更に、突出部11a,11b及び突出部12a,12bの突き当部てを摩擦攪拌溶接するパネル接合構造は、接合作業が容易で、簡略な接合構造であるため強度上の信頼性が高い。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では図3に示すように鉄道車両構体5を構成する場合のパネル接合構造について説明したが、建物の外壁を構成する建築材に関するパネル接合構造であってもよい。
パネル接合構造の第1実施形態を示した端面部分の図である。 パネル接合構造の第2実施形態を示した端面部分の図である。 パネルを接合して構成した鉄道車両構体を示した断面図である。 貫通摩擦攪拌型の回転工具による摩擦攪拌溶接の様子を示した斜視図である。 貫通摩擦攪拌型の回転工具による摩擦攪拌溶接の様子を示した断面図である。 従来のパネル接合構造を示した断面図である。 従来のパネル接合構造を示した断面図である。
符号の説明
1,2 パネル
11 外側面板
12 内側面板
11a,11b,12a,12b,12c,12d 突出部
13 リブ材
60 貫通摩擦攪拌型の回転工具

Claims (3)

  1. 第1面板と第2面板とが継ぎ部材で連結されてなる中空状の長尺なパネルであって、その第1面板同士および第2面板同士をそれぞれ摩擦攪拌溶接を利用して幅方向に接合するパネル接合構造において、
    前記第1面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚より厚い肉厚で形成されたものであり、こうした第1面板同士が、突出部の端面同士を突き当てた接合線に沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具が移動することにより貫通接合され、
    前記第2面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚とほぼ同じ厚さで形成されたものであり、こうした第2面板同士が、突出部同士を重ね、その重なり部分が接合されたものであることを特徴とするパネル接合構造。
  2. 請求項1に記載するパネル接合構造において、
    前記第2面板同士の摩擦攪拌溶接は、スポット的に行われるようにしたものであることを特徴とするパネル接合構造。
  3. 第1面板と第2面板とが継ぎ部材で連結されてなる中空状の長尺なパネルであって、その第1面板同士および第2面板同士をそれぞれ摩擦攪拌溶接を利用して幅方向に接合するパネル接合構造において、
    前記第1面板及び第2面板は、前記継ぎ部材よりも幅方向に突き出た突出部がその突出部以外の部分の板厚より厚い肉厚で形成されたものであり、こうした第1面板同士或いは第2面板同士が、突出部の端面同士を突き当てた接合線に沿って貫通摩擦攪拌型の回転工具が移動することにより貫通接合されたものであることを特徴とするパネル接合構造。
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