JP2002144053A - 摩擦攪拌ツールおよびこれを用いた接合方法ならびに鋳物表面の微細空隙除去方法 - Google Patents

摩擦攪拌ツールおよびこれを用いた接合方法ならびに鋳物表面の微細空隙除去方法

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JP2002144053A JP2000341253A JP2000341253A JP2002144053A JP 2002144053 A JP2002144053 A JP 2002144053A JP 2000341253 A JP2000341253 A JP 2000341253A JP 2000341253 A JP2000341253 A JP 2000341253A JP 2002144053 A JP2002144053 A JP 2002144053A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ツール本体および攪拌ピンを太径化することな
く良質な接合部が確実に形成できる摩擦攪拌ツールおよ
びこれを用いた接合方法を提供する。 【解決手段】円形の底面4を含むツール本体3と、この
ツール本体3の底面4から突設され当該ツール本体3の
軸心と平行で且つ係る軸心に対して偏心した軸心を有す
る攪拌ピン8と、を含む、摩擦攪拌ツール1。また、ア
ルミニウム合金板11,12を突き合わせて突き合わせ
面14を形成する工程と、この突き合わせ面14に沿っ
て上記摩擦攪拌ツール1を回転しつつ移動させることに
より、上記合金板11,12を接合部Wを介して摩擦攪
拌接合する接合方法も含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摩擦攪拌ツールお
よびこれを用いた接合方法ならびに鋳物表面の微細空隙
除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】同種の金属部材同士を接合する場合はも
ちろん、互いに材質が異なるアルミニウム部材とその他
の金属部材とを接合するため、摩擦攪拌接合を用いるこ
とが提案されている。例えば、アルミニウム合金板と異
種金属の板とを突き合わせた突き合わ面に沿って、高速
回転する摩擦攪拌ツールの攪拌ピンを進入させ、その摩
擦熱により両板材を軟化させて摩擦攪拌接合する方法が
行われている。
【0003】上記摩擦攪拌ツール70は、図8(A),
(B)に示すように、円柱形のツール本体72とその底面
73の中心から本体72の軸心と同心にして垂下する攪
拌ピン74とを含み、金属部材76,78の突き合わせ
面77に沿って、高速回転し且つ軸心方向に沿って加圧
されつつ移動方向と逆向きに約3°傾けた状態で移動す
るように操作される。係る攪拌ツール70が通過した跡
には、攪拌ピン74により摩擦攪拌された金属部材7
6,78の双方が含まれる接合部Wが形成される。
【0004】しかしながら、攪拌ピン74の軸心が突き
合わせ面77からずれた状態で接合ツール70を操作し
た場合、図8(C)に示すように、接合部W内に未融合部
79が形成されるため、接合強度が非常に低下してしま
う、という問題があった。また、例えば直径5mmの攪
拌ピン74を有する摩擦攪拌ツール70を用い、金属部
材76,78間の突き合わせ面77に形成される隙間が
2mmを越え、且つ攪拌ピン74の軸心と突き合わせ面
77とのずれ量が2mmを越えた場合にも、未融合部7
9が形成され易くなる、という問題もあった。
【0005】更に、図8(B)に示すように、接合部Wの
幅は、攪拌ピン74の直径よりも僅かに大きくなる程度
であるため、上記突き合わせ接合や重ね合わせ接合を行
う際における摩擦攪拌ツール70の位置決めに高い精度
が求められる。上記不都合を解消するため、摩擦攪拌ツ
ール70の攪拌ピン74を太径にすると共に、突き合わ
せ面や予定移動軌跡をセンシングする方法が考えられ
る。しかし、攪拌ピン74を太径にすると、前記本体7
2も太径化する必要が生じ、これに加える加圧力や回転
推力が増加するため、設備が大型化しコスト高になる。
しかも、センサ機能を加えると更に高コストになる、と
いう問題があった。あるいは、アルミニウム合金の鋳物
表面(表層を含む)における微細空隙を除去するに際し、
その表面に沿って摩擦攪拌ツール70を回転しつつ移動
する場合にも、ジグザク状にした移動軌跡を形成するよ
う繰り返し数多くの移動操作を行う必要がある、という
問題があった。
【0006】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上の従来の技術
における問題点を解決し、ツール本体および攪拌ピンを
太径化することなく良質な接合部が確実に形成でき、あ
るいは、鋳物表面における微細な空隙の除去を効率的に
行える摩擦攪拌ツールおよびこれを用いた接合方法なら
びに鋳物表面の微細空隙除去方法を提供する、ことを課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、発明者らの研究の結果、摩擦攪拌ツールに
おける攪拌ピンの回転軌跡を拡大すること、に着想して
成されたものである。即ち、本発明の摩擦攪拌ツール
は、円形の底面を含むツール本体と、このツール本体の
底面から突設され当該ツール本体の軸心と平行で且つ係
る軸心に対して偏心した軸心を有する攪拌ピンと、を含
む、ことを特徴とする。
【0008】これによれば、攪拌ピンは、ツール本体の
回転に伴って係る本体の軸心を中心として当該攪拌ピン
の直径よりも大きな円形の回転軌跡を形成しつつ移動す
る。このため、攪拌ピンは、一対の金属部材の突き合わ
せ面や重ね合わせ面、あるいは鋳物表面に沿って、連続
する円形回転および直線などの移動を含む軌跡を形成す
るので、従来の攪拌ツールに比べて幅広い断面の接合部
または微細空隙除去部(攪拌部)を容易に形成することが
できる。従って、攪拌ツールの位置決め精度を要したり
センサを設けることなく、品質の良い摩擦攪拌接合を確
実に行ったり、あるいは表層を含む鋳物表面の微細空隙
除去を効率的に行うことが容易となる。尚、上記摩擦攪
拌ツールには、対象とする金属部材や鋳物よりも更に高
融点で且つ硬質の金属または合金、例えば高速度工具鋼
などから成形されたものが用いられる。また、上記ツー
ル本体は、その底面が円形であれば、これを含む円柱
体、円筒体はもちろん、四角柱や六角柱などの多角柱体
としても良い。更に、上記攪拌ツールの回転数は、従来
の攪拌ツールの回転数に比べてやや多めに設定され、且
つ上記偏心量が大きくなるに連れて回転数も増加され
る。
【0009】また、前記ツール本体の軸心に対する攪拌
ピンの軸心の偏心距離は、係る攪拌ピンの直径の5%以
上である、摩擦攪拌ツールも本発明に含まれる。これに
よれば、幅広い接合部または微細空隙除去部を一層確実
に形成することができる。尚、上記偏心距離が攪拌ピン
の直径の5%未満では、攪拌ピンの回転軌跡が従来の攪
拌ツールに比べてあまり差がなく、攪拌ツールの位置決
めに比較的高い精度が求めれるため、係る範囲を除外し
たものである。付言すれば、偏心距離の上限は、攪拌ピ
ンの直径の40%未満である。
【0010】更に、前記ツール本体の底面には、当該底
面における周縁からその中心寄りに向かう渦巻き状の凸
条が更に突設されている、摩擦攪拌ツールも本発明に含
まれる。また、前記攪拌ピンの周面および先端面の少な
くとも一方にネジを含む凹凸が更に設けられている、摩
擦攪拌ツールも本発明に含まれる。更に、前記攪拌ピン
が、断面3角形以上の多角柱を呈する、摩擦攪拌ツール
も本発明に含まれる。これらによれば、攪拌ピン自体の
金属部材や鋳物表面との接触面積が増加するため、攪拌
ピンが描く連続する円形回転と移動とを含む軌跡によ
り、幅広い接合部または微細空隙除去部(攪拌部)を一層
品質良く確実に形成することができる。しかも、渦巻き
状の凸条をツール本体の底面に設けた摩擦攪拌ツールで
は、金属部材や鋳物の表面に対し、ツール本体を垂直姿
勢で接触させることができるため、当該攪拌ツールの回
転および移動操作を容易に行うことも可能となる。尚、
凹凸部には、攪拌ピンの先端面に多数の突起を格子状に
突設した形態、先端面に単数または複数の凸条を突設し
た形態、あるいは先端面に同心円状に複数のリング凸条
を設けた形態が含まれる。また、攪拌ピンの先端面寄り
の周面に対し、その軸方向に沿った多数の凹溝または凹
みを突設した形態も含まれる。
【0011】また、前記ツール本体と前記攪拌ピンとが
別部材からなり、少なくともツール本体の底面に開口す
る穴に上記攪拌ピンの基端側を挿入して一体化されてい
る、摩擦攪拌ツールも本発明に含まれる。これによれ
ば、ツール本体に、その底面に開口する穴、または底面
から上端面に貫通する孔に攪拌ピンの基端側を挿入して
固定することにより、前記摩擦攪拌ツールを通常の切削
加工などにより容易に製作することができる。尚、上記
穴や孔に挿入した攪拌ピンの基端側を固定するため、ツ
ール本体の周面から細径の固定ピンを打ち込んでも良
い。また、上記穴や孔の内周面に雌ネジを刻設し、これ
に予め雄ネジを刻設した攪拌ピンの基端側を螺入させて
も良く、且つ係るネジ結合部に上記固定ピンを打ち込ん
でも良い。
【0012】更に、前記ツール本体はその底面の周辺部
分を含む円筒体であり、且つ前記攪拌ピンは太径の基部
を含み且つこの基部の底面においてその軸心から偏心し
て突設され、上記円筒体のツール本体における中空部内
に上記攪拌ピンの基部が挿入されると共に、上記ツール
本体と攪拌ピンを含む部分とが個別に回転可能とされて
いる、摩擦攪拌ツールも本発明に含まれる。あるいは、
前記ツール本体はその底面の周辺部分を含む円筒体で且
つその軸心に対し偏心した中空部を有し、この中空部に
攪拌ピンを底面に有し且つこの攪拌ピンと同軸心で太径
の基部が挿入されると共に、上記ツール本体と攪拌ピン
を含む部分とが個別に回転可能とされている、摩擦攪拌
ツールも本発明に含まれる。これらによれば、摩擦攪拌
ツールにおける攪拌ピンを、ツール本体よりも高速で且
つ遊星回転させ得るため、攪拌ピンにより接合すべき高
融点側の金属部材における流動不足が容易に解消され
る。従って、例えば融点が互いに異なる2つの金属部材
の重ね合わせ面に沿って、低融点側の金属部材の表面か
ら上記攪拌ツールを回転しつつ挿入することにより、両
金属部材の重ね合わせ面に跨り内部欠陥および表面欠陥
のない健全な接合部を確実に形成することが可能とな
る。
【0013】一方、本発明の接合方法は、一対の金属部
材を突き合わせまたは重ね合わせる工程と、上記一対の
金属部材の突き合わせ面又は重ね合わせ面に沿って前記
摩擦攪拌ツールを回転しつつ移動させることにより、上
記一対の金属部材を摩擦攪拌接合する工程と、を含む、
ことを特徴とする。これによれば、前記攪拌ピンは、一
対の金属部材の突き合わせ面や重ね合わせ面に沿って、
連続する円形回転と移動とを含む軌跡を形成する。従っ
て、従来の攪拌ツールに比べて幅広く健全な接合部を位
置決め精度やセンサを要さずに確実に形成して接合する
ことができる。
【0014】また、本発明の鋳物表面の微細空隙除去方
法は、鋳物の表面に沿って前記摩擦攪拌ツールを回転し
且つ移動させつつ上記ツールの攪拌ピンを上記鋳物の表
層に挿入する、ことを特徴とする。これによれば、前記
攪拌ピンは、鋳物表面に沿って、連続する円形回転と移
動とを含む軌跡を形成するため、従来の攪拌ツールに比
べて幅広い微細空隙除去部(攪拌部)を容易に形成するこ
とができる。従って、表層を含む鋳物表面の微細な空隙
を少ない移動軌跡により効率良く除去できる。尚、上記
鋳物は、アルミニウムまたはその合金の鋳物を主に対象
とするが、これらの他に、鉄鋳物、鋼鋳物、チタンや銅
およびその合金の鋳物も含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1(A),(B)は、本発
明における1形態の摩擦攪拌ツール1の斜視図と断面図
である。摩擦攪拌ツール1は、例えば高速度工具鋼から
なり、図1(A),(B)に示すように、円形の底面4を含
む円柱形のツール本体3と、その上端面から同軸心で突
出するシャンク2と、上記ツール本体3の底面4から当
該ツール本体3の軸心と平行に突設され、且つ当該ツー
ル本体3の軸心に対して径方向に偏心した位置に軸心を
有する攪拌ピン8と、を有する。尚、シャンク2は、図
示しない旋盤などの接合装置におけるチャックに固定さ
れる。
【0016】図1(A),(B)に示すように、ツール本体
3には、その底面4の中心からずれた位置に開口する雌
ネジ穴(穴)5が形成され、これに攪拌ピン8の基端側に
おける雄ネジ(ネジ)9を螺入すると共に、ツール本体3
の周面から雌ネジ穴5に連通する貫通孔7に打ち込まれ
た固定ピン6の先端を攪拌ピン8の基端側に当接してい
る。これにより、攪拌ピン8は、ツール本体3に固定さ
れ且つこれと一体に回転する。また、攪拌ピン8におい
て、ツール本体3の底面4から突出した部分における雄
ネジ9は、後述する接合すべき金属部材または表層の微
細空隙を除去すべき鋳物表面との接触面積を増やす本発
明の凹凸に相当する。
【0017】図2(A),(B)は、摩擦攪拌ツール1を用
いた接合方法を示す。先ず、一対のアルミニウム合金板
(金属部材)11,12の端面同士を突き合わせる工程に
より、突き合わせ面14を形成する。次に、摩擦攪拌ツ
ール1のツール本体3と攪拌ピン8とを、一対のアルミ
ニウム合金板11,12の突き合わせ面14に沿って回
転させつつ、ツール本体3の底面4を合金板11,12
の表面に圧接し且つ攪拌ピン8を突き合わせ面14付近
に挿入する摩擦攪拌接合工程を行う。この際、攪拌ツー
ル1のツール本体3および攪拌ピン8の軸心は、アルミ
ニウム合金板11,12の表面に対する垂線よりも移動
方向と反対側に約3°傾けた姿勢で配置される。また、
摩擦攪拌ツール1は、500〜15000rpmの回転
数で回転され、且つその本体3の軸心に沿って1〜30
kNの押し込み力を加えられつつ、攪拌ピン8が突き合
わせ面14付近に向けて挿入されると共に、図2(A)で
右方向に50mm〜2メートル/分の移動速度で送られ
る。
【0018】図2(A),(B)中の実線と破線で示すよう
に、攪拌ピン8は、アルミニウム合金板11,12の突
き合わせ面14付近に沿って、連続する円形回転と直線
移動とを含む軌跡を形成する。この結果、攪拌ピン8に
接触して摩擦され且つ加熱された上記合金板11,12
のアルミニウムは、突き合わせ面14を挟んで塑性流動
化する。この際、ツール本体3の底面4は、上記合金板
11,12の表面に押圧され且つ順次形成される接合部
Wの表面を押さえて、塑性流動化したアルミニウムの飛
散を防止している。このため、摩擦攪拌ツール1は、前
記図8で示した従来の攪拌ツール70に比べて、幅広い
断面の接合部Wを突き合わせ面14付近に沿って確実に
形成することができる。
【0019】従って、アルミニウム合金板11,12を
幅広で健全な接合部Wを介して強固に接合することがで
きる。しかも、ツール本体3の軸心が、突き合わせ面1
4の両側の何れかに多少ずれていても、幅広い断面の接
合部Wにより、アルミニウム合金板11,12を確実に
接合することができる。尚、以上の攪拌ツール1は、後
述する鋳物表面の微細空隙除去方法にも適用することが
できる。尚、摩擦攪拌ツール1の回転数は、偏心してい
ない従来の攪拌ツール70の回転数に比べ、攪拌ピン8
の偏心量(距離)の増加量に応じて、回転数の割合を増加
させることが必要な傾向があると理解される。但し、接
合すべき金属部材の材質および板厚、摩擦攪拌ツールの
押し込み力、ならびに移動速度などの諸条件を考慮して
も最適の回転数を設定することが肝要である。
【0020】
【実施例】ここで、摩擦攪拌ツール1を用いた本発明の
接合方法の実施例を説明する。SKD61からなり、ツ
ール本体3の直径が15mm、M5の雄ネジ9を有する
前記攪拌ピン8の直径が5mmで且つ長さが4mmであ
ると共に、ツール本体3の軸心に対する攪拌ピン8の軸
心の偏心量を0.5〜1.5mmの範囲で変化させた実
施例1〜3の摩擦攪拌ツール1を用意した。また、SK
D61からなり、各部の寸法が上記と同じで且つ前記従
来の攪拌ツール70と同じくツール本体3と攪拌ピン8
とが同軸心に形成された比較例1の攪拌ツールを用意し
た。更に、上記と同じ材質および各部の寸法からなり、
ツール本体3と攪拌ピン8との偏心量が2.0mmであ
る比較例2の攪拌ツールも用意した。
【0021】上記実施例1〜3の摩擦攪拌ツール1と比
較例1,2の攪拌ツールを、厚さ4mmで一対のアルミ
ニウム合金(JIS:A6061−T5)板の突き合わせ
面に沿って、回転数1400rpm、移動速度300m
m/分、および6kNの押し込み力を加えて回転、押し
込み、および移動を伴う接合方法を、直線長さ50cm
に亘って個別に行った。各例の攪拌ツール(1)により接
合された接合部Wを、切断面により観察してその品質を
評価した。その結果を表1に示した。また、各例の攪拌
ツール(1)において、突き合わせ面14と回転する攪拌
ピン8とが交叉可能で且つ実用的な摩擦攪拌接合が可能
となる場合における突き合わせ面14から攪拌ピン8の
軸心までの最長距離を、許容限界ずれ量として併せて表
1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】表1の結果によれば、本発明の摩擦攪拌ツ
ール1を用いた実施例1〜3では、断面が幅広で且つ融
合不良のような欠陥のない健全な接合部W(○)が得られ
た。一方、比較例1では、ツール本体3と攪拌ピン8と
が同軸心であるため、健全であるが幅狭な接合部W(△)
となった。更に、比較例2では、偏心量を攪拌ピン8の
直径に対し40%と高くししため、攪拌ツールの振動お
よび回転装置への負荷が過大となったことにより、接合
作業自体が不十分(×)となった。以上の結果から、ツー
ル本体3の軸心に対する攪拌ピン8の偏心距離を、該ピ
ン8の直径5%以上とする本発明の摩擦攪拌ツール1の
効果が裏付けられた。付言すれば、偏心量の上限は40
%未満であり、望ましくは30%以下であるが、攪拌ツ
ール1を取付ける接合装置を最適化する改良により、上
限は拡大し得る。
【0024】図3(A),(B)は、異なる形態の摩擦攪拌
ツール1aの斜視図と断面図である。摩擦攪拌ツール1
aは、前記同様の工具鋼からなる円形の底面4を含む円
柱形のツール本体3と、その上端面から同軸心で突出す
るシャンク2と、ツール本体3の底面4から当該ツール
本体3の軸心と平行に突設され、且つ当該ツール本体3
の軸心に対して径方向に偏心した軸心を有する攪拌ピン
8aとを有する。攪拌ピン8aは、断面正六角形の六角
柱であり、ツール本体3の底面4の中心からずれた位置
に形成された六角穴(穴)5aに、攪拌ピン8aの基端側
を挿入すると共に、ツール本体3の周面から連通する貫
通孔7に打ち込まれた固定ピン6の先端が攪拌ピン8a
の基端側に当接して、当該攪拌ピン8aを固定してい
る。
【0025】また、図3(A),(B)に示すように、ツー
ル本体3の底面4には、その周縁から中心寄りに向かっ
て1巻き以上とした渦巻き状の凸条4aが突設されてい
る。凸条4aは、攪拌ピン8aと交叉しないように、底
面4において攪拌ピン8aから離れた位置の周縁にその
外端部を有し、且つ中間で攪拌ピン8aにやや接近して
いると共に、底面4の中心付近にその内端部を位置させ
ている。渦巻き状の凸条4aを設けることで、ツール本
体3の底面4付近における接触面積を増やし、且つ塑性
流動化した金属部材の金属材料が外部に飛散し溢れ出す
事態を防ぎ、接合部Wや攪拌部における表面欠陥を確実
に防ぐことができる。従って、ツール本体3を接合すべ
き一対の金属部材の表面または微細空隙を除去すべき鋳
物の表面に対し、垂直姿勢にして摩擦攪拌ツール1aを
回転しつつ移動操作することができる。このため、摩擦
攪拌ツール1aの操作自体も容易となる。
【0026】図4(A),(B)は、摩擦攪拌ツール1aを
用いたアルミニウム合金鋳物(鋳物)15における表層を
含む表面16の微細空隙除去方法を示す。図4(A)の平
面図に示すように、アルミニウム合金鋳物15の表面1
6に沿って、ツール本体3とその底面4の中心から偏心
して突出する断面正六角形の攪拌ピン8aを含む攪拌ツ
ール1aを、回転させ且つ図4(A)で右方向に直線移動
させた後、表面16の右端の直前でUターンさせ且つ左
方向に直線移動させる。この際、攪拌ツール1aは、5
00〜15000rpmの回転数で回転され、且つその
軸心に沿って1〜30kNの押し込み力を鋳物15の表
面16に向けて加えられつつ、攪拌ピン8aを鋳物15
の表層に向けて挿入すると共に、図4(A)で左右方向に
50mm〜2メートル/分の移動速度で送られる。
【0027】図4(A)に示すように、攪拌ツール1aが
通過した跡には、攪拌部(微細空隙除去部)W1、Uター
ン形の攪拌部Wt、および攪拌部W2が形成される共
に、図4(B)の垂直断面図にも示すように、隣接する攪
拌部W1,W2は、部分的に重複している。図4(B)中
の実線と破線で示すように、攪拌ピン8aは、アルミニ
ウム合金鋳物15の表面16付近に沿って、連続する円
形回転と直線移動または曲線移動とを含む軌跡を形成す
る。この結果、攪拌ピン8aに接触して摩擦され且つ加
熱された鋳物15のアルミニウムは、表面16付近で塑
性流動化する。この際、ツール本体3の底面4は、上記
鋳物15の表面16に押圧され且つ攪拌部Wの表面を押
さえて塑性流動化したアルミニウムの飛散を防止してい
る。このため、摩擦攪拌ツール1aは、前記図8で示し
た従来の攪拌ツール70に比べて、幅広い断面の攪拌部
Wを表面16付近に沿って確実に形成することができ
る。
【0028】従って、鋳物15の表面16付近に存在す
る約0.1mmの微細な空隙を除去して、幅広で健全な
攪拌部Wを形成し且つ緻密な組織にすることができる。
また、ツール本体3の軸心が、予定されている移動軌跡
から多少ずれていても、幅広い断面の攪拌部Wにより、
アルミニウム合金鋳物15の表面16付近における組織
を確実に改質することができる。更に、渦巻き状の凸条
4aにより、ツール本体3の底面4付近において、塑性
・流動化した鋳物15のアルミニウムが外部に飛散し溢
れ出す事態を防ぎ、攪拌部Wにおける表面欠陥の発生を
確実に防ぐことができる。このため、ツール本体3を微
細空隙を除去すべき鋳物15の表面16に対し、垂直姿
勢にして摩擦攪拌ツール1aを回転しつつ移動操作する
ことができるので、該攪拌ツール1aの操作自体も容易
となる。尚、以上の攪拌ツール1aは、前述した一対の
金属部材の接合方法にも適用することができる。
【0029】図5(A),(B)は、更に異なる形態の摩擦
攪拌ツール30に関する。摩擦攪拌ツール30は、図5
(A)に示すように、例えば高速度工具鋼からなると共
に、別体の円柱形のツール本体31と攪拌ピン部分36
とから構成される。ツール本体31は、その底面34の
周辺部を含み且つ同軸心の中空部33を内設する円筒体
32である。また、攪拌ピン部分36は、図5(A),
(B)に示すように、上記中空部33内に軸受35を介し
て回転可能に収容される太径の基部39とその底面37
における基部39の軸心から偏心した位置より突設され
た攪拌ピン38とを含む。係るツール本体31と攪拌ピ
ン部分36とは、モータなどの専用の駆動源に対し個別
に接続されている。尚、上記ツール本体31と攪拌ピン
部分36間の先端部寄りには、図示しない耐熱性のシー
ル材が配置される。
【0030】図5(C),(D)は、別異の形態の摩擦攪拌
ツール40に関する。摩擦攪拌ツール40は、工具鋼か
らなる別体の円柱形のツール本体41と攪拌ピン部分4
6とから構成される。図5(C),(D)に示すように、ツ
ール本体41は、その底面44の周辺部を含み且つ偏心
した位置に軸心を有する中空部43を内設する円筒体4
2である。また、攪拌ピン部分46は、上記中空部43
内に軸受45を介して回転可能に収容される太径の基部
49とその底面47における基部49の軸心と同軸心の
位置から突設された攪拌ピン48とを含む。係るツール
本体41と攪拌ピン部分46とは、モータなどの専用の
駆動源に対し個別に接続され、両者間の先端部寄りに
は、図示しない耐熱性のシール材が配置される。
【0031】図6(A),(B)は、摩擦攪拌ツール30,
40を用いた接合方法を示す。図6(A)に示すように、
先ず、アルミニウム合金板(金属部材)17とこれよりも
高融点の無酸素銅板(金属部材)18とを重ね合わせて拘
束する工程により、重ね合わせ面19を形成する。次
に、アルミニウム合金板17の表面付近には、前記攪拌
ツール30を前記同様に傾斜して配置する。この際、攪
拌ピン部分36をツール本体31よりも大きな回転数に
よって回転しつつ、摩擦攪拌ツール30に1〜30kN
の押し込み力を加え且つ攪拌ピン38を重ね合わせ面1
9付近に向けて挿入すると共に、係る接合ツール30を
図6(A)で手前方向に50mm〜2メートル/分の移動
速度で移動させる。係る摩擦攪拌接合工程において、攪
拌ピン38は、図6(A)の実線と破線で示すように、重
ね合わせ面19付近において円形軌跡の遊星回転を行い
つつ移動して行く。
【0032】以上の接合工程では、アルミニウム合金板
17は、ツール本体31における円筒体32の底面34
と攪拌ピン部分36における底面37および攪拌ピン3
8の基端寄り部分とに接触して摩擦発熱して塑性・流動
化する。同時に、無酸素銅板18も、上記円形軌跡の遊
星回転を行う攪拌ピン38の先端寄り部分と接触して摩
擦発熱して塑性・流動化する。この際、攪拌ピン部分3
6は、ツール本体31よりも大きな回転数で回転するの
で、攪拌ピン38の周辺部におけるアルミニウムおよび
銅の発熱量が増大する。このため、攪拌ピン38が偏心
軌道に沿って移動する際の抵抗を小さくすることもでき
る。その結果、アルミニウム合金板17と無酸素銅板1
8とは、互いに攪拌され、攪拌ツール30が離れるに従
って両者の金属・合金が混合状態で固化した幅広い断面
の接合部Wが形成される。しかも、無酸素銅板18は、
攪拌ピン38の先端寄り部分に摩擦接触し、その回転数
の増加分に応じて発熱量が増加するため、流動不足を解
消することができる。これにより、内部欠陥(空洞)のな
い健全な接合部Wを重ね合わせ面19の長手方向に沿っ
て形成することが可能となる。
【0033】また、図6(B)に示すように、厚板のアル
ミニウム合金板11,12を突き合わせて拘束する工程
により、突き合わせ面14を形成する。次に、アルミニ
ウム合金板11,12の表面付近には、前記攪拌ツール
40を前記同様に傾斜して配置する。攪拌ツール40
は、前記と同様の押し込み力を加えられ且つ移動速度に
より回転および移動する。この摩擦攪拌接合工程におい
て、攪拌ピン48は、図6(B)の実線と破線で示すよう
に、突き合わせ面14付近に沿って円形軌跡の遊星回転
を行いつつ移動して行く。この結果、アルミニウム合金
板11,12は、ツール本体41における円筒体42の
底面44と攪拌ピン部分46における底面47および攪
拌ピン48とに接触して摩擦発熱して塑性流動化する。
【0034】これにより、図6(B)に示すように、突き
合わせ面14に跨って両者のアルミ合金が混合状態で固
化した幅広く且つ深い断面の接合部Wが形成される。即
ち、アルミニウム合金板11,12の突き合わせ面14
における攪拌ピン48が進入する表面と反対側の裏面寄
りの部分でも、攪拌ピン48の回転数の増加分に応じて
発熱量が増加するため、流動不足を解消することができ
る。従って、内部欠陥のない健全な接合部Wを突き合わ
せ面14に沿って形成することが可能となる。しかも、
攪拌ピン部分46は、ツール本体41よりも大きな回転
数で回転するので、攪拌ピン48の周辺部におけるアル
ミニウムの発熱量が増大する。このため、攪拌ピン48
が偏心軌道に沿って移動する際の抵抗を抑制することも
できる。尚、摩擦攪拌ツール30,40のツール本体3
1,41の円筒体32,42における底面34,44に
前述した渦巻き状の凸条を突設しても良い。これによ
り、攪拌ツール30,40を垂直姿勢にしてアルミニウ
ム合金板11,12等にその攪拌ピン38,48を進入
させることが可能となる。また、攪拌ツール30を突き
合わせ接合に適用したり、攪拌ツール40を重ね合わせ
接合に適用することもできると共に、両者を前記鋳物表
面の微細空隙除去方法にも適用可能である。
【0035】図7は、応用形態の摩擦攪拌ツール50,
60に関する。図7(A),(B)に示すように、摩擦攪拌
ツール50は、高速度工具鋼からなる円柱形のツール本
体51とその底面52における該ツール本体51の軸心
から偏心して突出する攪拌ピン53を含み、該攪拌ピン
53の先端面54には、その径方向に沿い且つ十字形を
呈する一対の凸条(凹凸)55が突設されている。この凸
条55を設けて接触面積を増やすことにより、円形回転
の軌跡を形成する攪拌ピン53と相まって、金属部材同
士の接合を一層強固に行ったり、あるいは鋳物表面の微
細空隙除去を一層確実に行うことが可能となる。また、
図7(C),(c)に示すように、攪拌ピン53の先端面5
4に細かな立方体の突起(凹凸)56を格子状に多数突設
した形態や、図7(D),(d)に示すように、攪拌ピン5
3の先端面54にリング凸条(凹凸)57,58,59を
同心円状に突設した形態よっても、上記十字形で一対の
凸条55と同様の作用・効果を得ることができる。
【0036】更に、図7(E),(e),(F)に示すよう
に、摩擦攪拌ツール60は、円筒形のツール本体62
と、その底面64において該ツール本体62の軸心から
偏心した位置で突出する攪拌ピン66とを有し、該攪拌
ピン66における先端面67寄りの周面にその軸心方向
に沿った複数の凹溝(凹凸)68を形成している。この凹
溝68によっても、上記凸条55と同様の作用・効果を
得ることができる。尚、上記凹溝68に替えて多数の凹
みを散点状に形成したり、あるいは、攪拌ピン66周面
の凹溝68や凹みと共に、その先端面67に凸条55、
突起56、またはリング凸条57,58,59などを併
設することも可能である。また、凸条55、突起56、
またはリング凸条57,58,59を、前記摩擦攪拌ツ
ール1,1a,30,40の攪拌ピン8,8a,38,
48に適用しても良い。
【0037】本発明は、以上に説明した形態や実施例に
限定されるものではない。例えば、前記図2(B),図6
(B)に示した突き合わせ面14には、平面視で直線の形
態に限らず、曲線や途中でL形やへ形などに屈曲する形
態も含まれる。また、前記図4に示した鋳物15の表面
16に形成される攪拌部W1,Wt,W2の表面は、そ
のままで活用しても良いが、係る攪拌部W1,Wt,W
2の大半を残すように、それらの表面付近を切削する仕
上げ加工を施しても良い。更に、前記図4(A)に示した
鋳物15の表面16における摩擦攪拌ツール1aの移動
に際し、直線移動部(W1,W2)同士の間において、鋭
角または鈍角のターンを含めたり、平面視で全体が角形
の渦巻き状の移動軌跡にしても良い。また、鋳物15の
表面には、前記平坦面16に限らず、緩いカーブを伴う
突出した曲面または窪んだ曲面も含まれる。尚、摩擦攪
拌ツール1,1a,30,40,50,60の回転を伴
う各種の移動パターンを、当該ツールを制御する例えば
パーソナルコンピュータのRAMなどに予め記憶させて
おき、直線移動の長さやUターンなどの径を随時入力可
能として、本発明の接合方法や微細空隙除去方法を自動
化することも可能である。
【0038】
【発明の効果】以上において説明した本発明の摩擦攪拌
ツールによれば、その攪拌ピンは、ツール本体の回転に
伴って該本体の軸心を中心として当該攪拌ピンの直径よ
りも大きな円形の回転軌跡を形成しつつ移動するため、
係る攪拌ピンは、一対の金属部材の突き合わせ面や重ね
合わせ面、あるいは鋳物表面に沿って、連続する円形回
転と直線移動または曲線移動とを含む軌跡を形成する。
このため、従来の攪拌ツールに比べて幅広い断面の接合
部または微細空隙除去部(攪拌部)を容易に形成すること
ができる。従って、攪拌ツールの位置決め精度を要した
りセンサを設けることなく、品質の良い摩擦攪拌接合を
確実に行ったり、あるいは表層を含む鋳物表面の微細空
隙除去を効率的に行うことが容易となる。
【0039】また、請求項3〜5の摩擦攪拌ツールによ
れば、攪拌ピン自体の金属部材や鋳物表面との接触面積
が増加するため、攪拌ピンが描く連続する円形回転と移
動とを含む軌跡により、幅広い断面の接合部または微細
空隙除去部(攪拌部)を一層品質良く確実に形成すること
ができる。しかも、請求項3の摩擦攪拌ツールでは、金
属部材や鋳物の表面に対し、ツール本体を垂直姿勢で接
触させることができるため、当該攪拌ツールの回転およ
び移動操作を容易に行うことも可能となる。
【0040】更に、請求項7,8の摩擦攪拌ツールによ
れば、その攪拌ピンを、ツール本体よりも高速で且つ遊
星回転させることができるため、攪拌ピンにより接合す
べき高融点側の金属部材における流動不足が容易に解消
される。このため、例えば融点が互いに異なる2つの金
属部材の重ね合わせ面に沿って、低融点側の金属部材の
表面から上記攪拌ツールの攪拌ピンを回転しつつ挿入す
ることにより、両金属部材の重ね合わせ面に跨り内部欠
陥がなく且つ表面欠陥もない健全な接合部を確実に形成
することが可能となる。
【0041】一方、本発明の接合方法によれば、前記摩
擦攪拌ツールの攪拌ピンは、一対の金属部材の突き合わ
せ面や重ね合わせ面に沿って、連続する円形回転と移動
とを含む軌跡を形成する。このため、従来の攪拌ツール
に比べて幅広く健全な接合部を、位置決め精度を要する
ことなく確実に形成して接合することができる。また、
本発明の鋳物表面の微細空隙除去方法によれば、前記攪
拌ピンは、鋳物表面に沿って、連続する円形回転と移動
とを含む軌跡を形成するため、従来の攪拌ツールに比べ
て幅広い微細空隙除去部(攪拌部)を容易に形成できる。
従って、表層を含む鋳物表面の微細な空隙を少ない移動
軌跡により効率良く除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の摩擦攪拌ツールの1形態を示す
斜視図、(B)はその断面図。
【図2】(A)は図1の摩擦攪拌ツールを用いた本発明の
接合方法を示す概略図、(B)は(A)中のB−B線に沿っ
た視角の断面図。
【図3】(A)は異なる形態の摩擦攪拌ツールを示す斜視
図、(B)はその断面図。
【図4】(A)は図3の摩擦攪拌ツールを用いた本発明の
鋳物表面の微細空隙除去方法を示す平面図、(B)は(A)
中のB−B線に沿った視角の断面図。
【図5】(A)〜(D)は更に異なる形態の摩擦攪拌ツール
を示す断面図または斜視図。
【図6】(A),(B)は図6の各摩擦攪拌ツールを用いた
接合方法を示す概略図。
【図7】(A),(B)は別形態の摩擦攪拌ツールの側面図
または斜視図、(C),(D)は異なる形態の凹凸を示す底
面図、(c)は(C)の形態の側面図、(d)は(D)中のd−
d線に沿った視角における断面図、(E),(F)は更に別
形態の攪拌ツールを示す側面図または斜視図、(e)は
(E)中のe−e線に沿った視角における断面図。
【図8】(A),(B)は従来の摩擦攪拌ツールを用いた接
合方法を示す概略図、(C)は得られた接合部付近を示す
概略図。
【符号の説明】
1,1a,30,40,50,60…………摩擦攪拌ツ
ール 3,32,42,51,62…………………ツール本体 4,34,37,44,47,52,64…底面 4a………………………………………………凸条 5,5a…………………………………………雌ネジ穴/
穴(穴) 8,8a,38,48,53,66…………攪拌ピン 9…………………………………………………雄ネジ(ネ
ジ:凹凸) 11,12,17………………………………アルミニウ
ム合金板(金属部材) 14………………………………………………突き合わせ
面 15………………………………………………アルミニウ
ム鋳物(鋳物) 16………………………………………………表面 18………………………………………………無酸素銅板
(金属部材) 19………………………………………………重ね合わせ
面 33,43………………………………………中空部 36,46……………………………………攪拌ピン部分
(攪拌ピンを含む部分) 39,49………………………………………太径の基部 54,64………………………………………先端面 55………………………………………………凸条(凹凸) 56………………………………………………突起(凹凸) 57,58,59………………………………リング凸条
(凹凸) 68………………………………………………凹溝(凹凸)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧田 慎也 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 Fターム(参考) 4E067 AA02 AA04 AA05 AA07 AA12 CA04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円形の底面を含むツール本体と、 上記ツール本体の底面から突設され当該ツール本体の軸
    心と平行で且つ係る軸心に対して偏心した軸心を有する
    攪拌ピンと、を含む、 ことを特徴とする摩擦攪拌ツール。
  2. 【請求項2】前記ツール本体の軸心に対する攪拌ピンの
    軸心の偏心距離は、係る攪拌ピンの直径の5%以上であ
    る、 ことを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌ツール。
  3. 【請求項3】前記ツール本体の底面には、当該底面にお
    ける周縁からその中心寄りに向かう渦巻き状の凸条が更
    に突設されている、 ことを特徴とする請求項1または2に記載の摩擦攪拌ツ
    ール。
  4. 【請求項4】前記攪拌ピンの周面および先端面の少なく
    とも一方にネジを含む凹凸が更に設けられている、 ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の摩擦
    攪拌ツール。
  5. 【請求項5】前記攪拌ピンが、断面3角形以上の多角柱
    を呈する、 ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦
    攪拌ツール。
  6. 【請求項6】前記ツール本体と前記攪拌ピンとが別部材
    からなり、少なくともツール本体の底面に開口する穴に
    上記攪拌ピンの基端側を挿入して一体化されている、こ
    とを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦攪
    拌ツール。
  7. 【請求項7】前記ツール本体はその底面の周辺部分を含
    む円筒体であり、且つ前記攪拌ピンは太径の基部を含み
    且つこの基部の底面においてその軸心から偏心して突設
    され、上記円筒体のツール本体における中空部内に上記
    攪拌ピンの基部が挿入されると共に、上記ツール本体と
    攪拌ピンを含む部分とが個別に回転可能とされている、 ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦
    攪拌ツール。
  8. 【請求項8】前記ツール本体はその底面の周辺部分を含
    む円筒体で且つその軸心に対し偏心した中空部を有し、
    この中空部に攪拌ピンを底面に有し且つこの攪拌ピンと
    同軸心で太径の基部が挿入されると共に、上記ツール本
    体と攪拌ピンを含む部分とが個別に回転可能とされてい
    る、 ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦
    攪拌ツール。
  9. 【請求項9】一対の金属部材を突き合わせまたは重ね合
    わせる工程と、 上記一対の金属部材の突き合わせ面または重ね合わせ面
    に沿って請求項1〜8の摩擦攪拌ツールを回転しつつ移
    動させることにより、上記一対の金属部材を摩擦攪拌接
    合する工程と、を含む、ことを特徴とする接合方法。
  10. 【請求項10】鋳物の表面に沿って請求項1〜8の摩擦
    攪拌ツールを回転し且つ移動させつつ上記ツールの攪拌
    ピンを上記鋳物の表層に挿入する、ことを特徴とする鋳
    物表面の微細空隙除去方法。
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