JP2021062376A - 摩擦攪拌接合ツール及び摩擦攪拌接合方法 - Google Patents

摩擦攪拌接合ツール及び摩擦攪拌接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異種の金属部材を良好な品質で接合可能な摩擦攪拌接合ツール及び摩擦攪拌接合方法を提供する。【解決手段】一対の金属部材3A,3Bの突合せ部31に回転させながら接触させて摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合ツール1であって、ツール先端部10の中央に突設され、金属部材3A,3B内に挿入させるプローブ11と、プローブ11とツール先端部10の外周縁との間に形成され、部材表面32を押さえ付けるためのショルダ部12とを有し、ショルダ部12は、部材表面32に接触させる接触面を摩擦攪拌接合時の前進角θ1に相当する角度θ2で半径方向外周側がツール基端部側に向かって傾斜する傾斜部25により構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、異種金属部材の突合せ部を摩擦攪拌接合させる摩擦攪拌接合ツール及び摩擦攪拌接合方法に関する。
例えば、鉄とアルミニウムのような硬質の金属部材と軟質の金属部材の異種金属部材を接合する際、両者の反応により脆弱な金属間化合物が生成し接合品質の著しい劣化をもたらす。そのため、従来、異種金属部材の接合において、溶融溶接では接合部の強度が低下しやすく、接合品質を保証しがたいため、材料の溶融を伴わない摩擦攪拌接合の利用が広まっている(特許文献1から3)。
前記摩擦攪拌接合方法では、先端部に小径凸状のプローブが突出形成された略円柱状の摩擦攪拌接合ツールが用いられ、二つの金属部材の突合せ部に前記ツールの先端部を回転させながら押し当てて、プローブを金属部材内部に挿入させると共に、ショルダ部を金属部材表面に押し当てることによって摩擦熱を生じさせ、突合せ部を軟化、攪拌流動させる。そしてこの状態でツールを突合せ部の境界線に沿って前進移動させることで、突合せ部の端面相互を接合させていく。
特開2007−222899号公報 特開2004−66331号公報 特開2003−290937号公報
ところで、鉄とアルミニウムのような異種の金属部材を摩擦攪拌接合させる場合でも、接合界面に金属間化合物が生成されるが、この金属間化合物相の厚みが大きくなり過ぎると、接合部の引張強度や曲げ強度が母材よりも低くなり、十分な接合品質が得られない。特に、前記金属間化合物は、接合時の金属部材への入熱量が大きいほど多く生成されるため相の厚みが大きくなる。
従来では、異種金属部材の摩擦攪拌接合において、接合ツール回転数、移動速度、押し込み量、挿入位置等の接合条件を制御することにより接合時の入熱を下げることで接合時に生成する金属間化合物を抑制していた。その一方で、接合時の入熱を低下させることは、材料の攪拌不足を招くこととなり得るため、接合中の金属部材の攪拌現象を低下させる要因となり、接合欠陥が発生しやすくなる。すなわち、より高品質な異種金属部材の接合を実現するためには、安定して適度な入熱を維持することが重要であるが、接合時の接合条件で調整するのは煩雑かつ困難な面があった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、接合界面での金属間化合物の生成を抑制して、異種の金属部材を良好な品質で接合可能な摩擦攪拌接合ツール及び摩擦攪拌接合方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため種々の検討を行ったところ、摩擦攪拌接合ツールの形状を最適化することにより接合中に金属間化合物が成長しにくい状態をつくり出し金属間化合物の成長を薄く抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、摩擦攪拌接合においてはプローブ寿命の改善と接合部の攪拌現象を促進する目的で、ツールを接合の進行方向に対して先端側を前方にやや傾ける前進角を持たせて接合を行うことが一般的である。この前進角により、従来のツールでは、進行方向に対して後方のショルダ部が金属部材に強く押し込まれる。このことに注目して、本発明者らは実験を行ったところ、一対の異種金属部材としてアルミニウムと鉄の接合の場合、接合ツールと鉄部材との摩擦および鉄部材の塑性変形に起因した過度の発熱が起こり、接合界面に金属間化合物が多く生成されることを解明した。
そこで、本発明者らは、以下の新しいツール形状を開発した。
すなわち、本発明に係る摩擦攪拌接合ツールは、
少なくとも一対の異種金属部材の突合せ部に回転させながら接触させて摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合ツールであって、
ツール先端部の中央に突設され、前記金属部材内に挿入させるプローブと、
前記プローブと前記ツール先端部の外周縁との間に形成され、前記金属部材表面を押さえ付けるためのショルダ部とを有し、
前記ショルダ部は、前記金属部材表面に接触させる接触面を摩擦攪拌接合時の前進角に相当する角度で半径方向外周側がツール基端部側に向かって傾斜する傾斜部により構成するものである。
前記ツールによれば、ツールの前進角とショルダ部の傾斜角度とが一致しているので、摩擦攪拌接合時にショルダ部と金属部材表面とを略平行状態で当接させることができる。
これにより、進行方向に対してショルダ部の後側による金属部材への押し込みが抑制されるため、突合せ部周辺での摩擦熱や接合界面での塑性変形に起因する過度の発熱を抑制することができる。従って、接合中には突合せ部に対して適度な入熱状態を容易に維持することができ、接合界面の金属間化合物の生成を抑制することができる。また、プローブによる突合せ部での材料の攪拌状態も良好に維持することができるから、攪拌不足による接合欠陥の発生を防ぐことができる。
前記ショルダ部の傾斜部は、前記プローブの付け根から当該ショルダ部の外周縁に至る範囲の部分に形成されたものであっても、突合せ部に対する適度な入熱状態を容易に維持することができるから、接合界面の金属間化合物の生成を抑制することができる。
前記ショルダ部の傾斜部は、ツール回転軸線の直交方向に対して0度より大きく5度以下の範囲内に設定されていることが好ましく、これにより、摩擦攪拌接合時にショルダ部と金属部材表面とを容易に略平行状態で当接させることができ、進行方向に対してショルダ部の後側による金属部材への押し込みを抑制することができる。すなわち、ツールの前進角は、プローブへの負荷の改善、突合せ部の攪拌現象を促進する等のため、一般的に5度以下の範囲内に設定される。従って、ショルダ部の傾斜角度が0度もしくはマイナス角度になると、従来のツールと変わらず、進行方向に対して後方のショルダ部が金属部材に強く押し込まれ、過度の発熱を起こすこととなる。逆に、ショルダ部の傾斜角度が5度よりも大きくなると、ショルダ部が金属部材表面から離れて接触面積が小さくなる。すると、ショルダ部の回転摩擦による発熱が極端に減少し、突合せ部へ適切な入熱を行えなくなり、突合せ部の材料の塑性流動が低下し接合欠陥を生じさせる。また、ショルダ部が金属部材表面から離れると、金属部材表面からの材料の流出を押さえることができず、バリの発生の原因ともなる。
前記一対の異種金属部材として、例えば、一方が硬質の金属部材であり、他方が軟質の金属部材である場合、接合界面の金属間化合物の生成が抑制され、高品質な異種金属接合材を作製することができる。
また、本発明に係る摩擦攪拌接合方法は、
前記摩擦攪拌接合ツールを用いて、硬質の金属部材と軟質の金属部材との一対の異種金属部材の突合せ部に回転させながら接触させて摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であって、
前記摩擦攪拌接合ツールを相対的な進行方向に対して先端側を前方へ傾ける前進角を有して相対移動させるにあたり、進行方向に対して後側に位置する前記ショルダ部の傾斜部を前記異種金属部材表面に略平行状態で当接させるようにして摩擦攪拌接合を行う。
前記方法によれば、ツールの進行方向に対してショルダ部の後側による金属部材への押し込みが抑制されるため、突合せ部周辺での摩擦熱や接合界面での塑性変形に起因する過度の発熱を抑制することができる。従って、接合中には突合せ部に対して適度な入熱状態を容易に維持することができ、接合界面の金属間化合物の生成を抑制することができる。また、プローブによる突合せ部での材料の攪拌状態も良好に維持することができるから、攪拌不足による接合欠陥の発生を防ぐことができる。また、ショルダ部は、金属部材表面に当接されて金属部材表面に流出する材料を押さえ込むことができるから、バリの発生を抑制することができる。
以上より、本発明によれば、前記ツール形状により、一対の異種金属部材の突合せ部の摩擦攪拌接合時には、突合せ部周辺での摩擦熱や接合界面での塑性変形に起因する過度の発熱を抑制することができ、接合中に突合せ部に対して適度な入熱状態を容易に維持することができる。従って、接合界面の金属間化合物の生成を抑制することができ、安定して高品質な異種金属部材の接合材を作製することが可能となる。
実施形態による摩擦攪拌接合ツールの使用状態を示す斜視図である。 実施形態による摩擦攪拌接合ツールの斜視図である。 実施形態による摩擦攪拌接合ツールの先端部周辺の前方視図である。 実施形態による摩擦攪拌接合ツールの先端部周辺の側方視図である。 実施形態による摩擦攪拌接合ツールの使用状態を示す上方視図である。 比較ツールの先端部周辺の側方視図である。 金属部材の接合部周辺を示す斜視図である。 金属部材の接合部の組織状態を示す写真である。 実施形態の摩擦攪拌接合ツールにより接合された金属部材の金属間化合物相厚さとプローブ中心からの距離との関係を示すグラフである。 比較ツールにより接合された金属部材の金属間化合物相厚さとプローブ中心からの距離との関係を示すグラフである。 実施形態の摩擦攪拌接合ツールにより接合された金属部材の表面外観を示す写真である。
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の摩擦攪拌接合ツール(以下、適宜「ツール」という)1は、硬質の金属部材3Aと軟質の金属部材3Bとの端面30相互を突き合せた突合せ部31を摩擦攪拌接合させる略円柱状の回転工具であり、摩擦攪拌接合装置の駆動部5に対して、回転軸線CLを中心として周方向に回転可能に装着される。なお、硬質金属部材3Aとして、例えば、鉄、銅、チタン等の金属又は合金等の板材が例示される。また、軟質金属部材3Bとして、例えば、アルミニウム、マグネシウム等の金属又は合金等の板材が例示される。
(摩擦攪拌接合装置)
摩擦攪拌接合装置は、駆動部5をX軸方向やY軸方向、Z軸方向に移動させたり、X軸やY軸、Z軸を中心として所定方向に回動させたりする駆動機構を有しており、駆動部5を前記のように各方向に移動又は回動させることで、ツール1を被接合部材である二つの金属部材3A,3Bの部材表面32に対して前後左右、或いは上下に移動させたり、所定の角度および方向に傾倒させたりすることができる。
なお、本実施形態では、前記X軸方向を前後方向、Y軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向とし、ツール1は、先端部10が下向きになるように駆動部5に装着される。また、金属部材3A,3Bは、両者の端面30相互を左右に突き合わせた状態で摩擦攪拌接合装置の図示しない支持テーブルに固定され、その際、突合せ部31の境界線PLの延長方向が前後方向、境界線PLと直交し且つ部材表面32に平行な方向が左右方向、部材表面32に垂直な方向が上下方向となるように位置調整される。
本実施形態では、駆動部5を移動又は回動させることで部材表面32に対するツール1の位置や角度が調整されるようにしているが、支持テーブルを各方向に移動又は回動させることによって、金属部材3A,3Bの部材表面32に対するツール1の位置や角度が相対的に調整されるようにしてもよいし、駆動部5および支持テーブルを共動させることによって、金属部材3A,3Bの部材表面32に対するツール1の位置や角度が相対的に調整されるようにしてもよい。
(ツールの全体構造)
図2に示すように、ツール1は、大径の円柱状の取付け部2と、この取付け部2の下端面中央に突設された小径の円柱状のツール本体20とを有する。図2から図5に示すように、ツール本体20におけるツール先端部10の中央には、小径円柱状のプローブ11が突設され、このプローブ11とツール先端部10の外周縁との間には、円形のショルダ部12が形成されている。このツール1は、金属部材3A,3Bの突合せ部31に回転させながら所定の加圧力で押し当てるようにして使用され(図1参照)、これにより、プローブ11が金属部材内部に挿入され、ショルダ部12が金属部材表面32に押圧状態で摺接される。
ツール1は、工具鋼により形成されるが、金属部材3A,3Bを適切に摩擦攪拌接合可能な材質であれば、超硬合金やセラミック等で形成されてもよい。
(プローブ)
プローブ11は、外周面22が硬質金属部材3Aの端面30に当接するよう、突合せ部31における境界線PLより軟質金属部材3B側へオフセットした位置に挿入され、そのプローブ11の外周面22によって硬質金属部材3Aの端面30が僅かに削られるようにしている(図5参照)。
プローブ11の外周面22には、その周面に沿って螺旋状に連続するネジ山13が形成されており、このネジ山13によって硬質金属部材3Aの端面30が効率的に削られ、また、周辺の部材が効率的に攪拌流動される。
プローブ11の先端面23は、緩やかな勾配の球面状に形成されており、軟質金属部材3Bの内部にプローブ11を円滑に挿入させ、また、周辺の部材が効率的に攪拌流動される。
プローブ11の直径は、ショルダ部12の直径の略1/3に形成されているが、1/2〜1/5に形成することも可能である。プローブ11の長さは、金属部材3A,3Bに挿入されたときに、その先端が金属部材3A,3Bの下面から突き出さないよう、金属部材3A,3Bの厚みの70〜98%程度の長さに形成されている。
なお、プローブ11の外周面22は、ネジ山13とは異なる形状の凹凸が形成されてもよいし、ネジ山13のない平滑な面に形成されてもよい。また、プローブ11の先端面23は、平面状に形成されてもよいし、凹没状に形成されてもよいし、先端側に向かって縮径する円錐状又は円錐台状に形成されてもよい。また、プローブ11は、全体が円錐状や円錐台状、半球状等、様々な形状に形成されたものであってもよい。
(ショルダ部)
ショルダ部12は、プローブ11の付け根21からショルダ部12の外周縁24に至る範囲の部分、具体的には、プローブ11の付け根21のコーナー面(R面)とショルダ部12の外周縁24のコーナー面(R面)とを除いた中間部分が、ツール基端部側に向かって拡径傾斜する略円錐状の傾斜部25を形成している。この傾斜部25の径方向に対する傾斜角θ2は、ツール1の前進角θ1と一致するよう、0度より大きく5度以下の範囲内、好ましくは1度以上3度以下の範囲内に設定され、本実施形態では、3度に設定されている。即ち、ショルダ部12は、前進角θ1に相当する分だけ傾斜する傾斜部25を有している(図3、図4参照)。
なお、プローブ11の付け根21又はショルダ部12の外周縁24の何れか一方のコーナー部がR面状やC面状でない角型に形成されており、傾斜部25は、その一方の角部から他方のコーナー面の始端までの範囲に形成されていてもよい。また、プローブ11の付け根21及びショルダ部12の外周縁24のコーナー部が共にR面状やC面状でない角型に形成されており、傾斜部25は、その一方の角部から他方の角部に至る範囲全体、すなわち、ショルダ部12の略全面に形成されていてもよい。また、ショルダ部12は、表面に沿って螺旋状や円環状、放射状等、各種形状の突起や溝が形成されたものとしてもよい。
(摩擦攪拌接合方法)
ツール1は、部材表面32に垂直な法線に対して回転軸線CLを進行方向と反対側(後方)に傾倒させた姿勢(ツール1の進行方向に対してツール先端部10側を前方へ傾けた姿勢)で、先端部10が部材表面32に押し当てられるよう、所定の前進角θ1が設定される(図4参照)。前進角θ1は、部材表面32におけるバリの形出抑制や部材の攪拌促進、プローブ11の寿命改善などを考慮して、0度より大きく5度以下の範囲内、好ましくは1度以上3度以下の範囲内に設定される。本実施形態では、前進角θ1は、3度に設定される。従って、ツール1のショルダ部12における傾斜部25の傾斜角θ2と同一の角度(ここでは、3度)に設定されるから、ショルダ部12の傾斜部25が部材表面32に対して略平行に当接される。
そして、所定の接合条件の下、ツール1を回転させながら、先端部10を金属部材3A,3Bの突合せ部31の部材表面32に所定の加圧力にて押し当てる。これにより、プローブ11の略全体が軟質金属部材3Bの内部に挿入されると共に、その外周面22が硬質金属部材3Aの端面30に摺接され、さらにショルダ部12が各金属部材3A,3Bの部材表面32に押圧状態で摺接される(図4、図5参照)。その結果、突合せ部31に適度な摩擦熱を生じさせ、各金属部材3A,3を軟化させると共に、プローブ11周辺の軟質金属部材3Bを攪拌流動させる。また、ツール1は、進行方向に対して左側に硬質金属部材3A、右側に軟質金属部材3Bを配置させ、基端側(上方)から見て時計回りに回転させながら前進させることで、プローブ11の後側の軟質金属部材3Bを、硬質金属部材3Aの端面30とプローブ11の外周面22との隙間に巻き込むようにして流動させる。これにより、硬質金属部材3Aと軟質金属部材3Bとの接合が促される。
また、ツール1の前進角θ1は、ショルダ部12の傾斜部25の傾斜角θ2と一致しているため、ショルダ部12は、傾斜部25が部材表面32に対して平行状態で当接して押し付けられる。従って、ショルダ部12の後側の外周縁24は、突合せ部31に深く押し込まれない。
そして前記のようにツール1を回転させながら部材表面32に押し当てた状態で、境界線PLに沿って前進移動させることで、突合せ部31の端面30相互は、境界線PLに沿って適切に摩擦攪拌接合されていく。
(作用効果)
以上のように、本実施形態のツール1を用いた摩擦攪拌接合方法によれば、接合時、ツール1の前進角θ1とショルダ部12の傾斜部25の傾斜角θ2とが一致しているので、摩擦攪拌接合時に、ショルダ部12と部材表面32とを略平行状態で当接させることができる。これにより、進行方向に対してショルダ部12の後側による金属部材3A,3Bへの押し込みが抑制されるため、突合せ部31周辺での摩擦熱や接合界面33での塑性変形に起因する過度の発熱を抑制することができる。従って、接合中には突合せ部31に対して適度な入熱状態を容易に維持することができ、接合界面33における金属間化合物の生成を抑制することができる。また、プローブ11による突合せ部13での材料の攪拌状態も良好に維持することができるから、攪拌不足による接合欠陥の発生を防ぐことができる。これにより、高い接合強度を有する異種金属接合材が得られる。
また、ショルダ部12の傾斜部25が、プローブ11の付け根21からショルダ部12の外周縁24に至る範囲の部分に形成されており、その傾斜部25が部材表面32に当接されることで、部材表面32に流出する材料をショルダ部12におけるローブ11の付け根21からショルダ部12の外周縁24までの範囲で押さえ込むことができるから、バリの発生を抑制することもできる。これにより、高い接合強度を有した高品質な異種金属接合材の提供が可能となる。また、ショルダ部12の内外周にR面やC面が形成されておらず、略全面に傾斜部25が形成されたものにおいても同様に、部材表面32に流出する材料を押さえ込むことができるから、バリの発生を抑制することができる。これにより、高い接合強度を有した高品質な異種金属接合材の提供が可能となる。
(適用例)
本実施形態のツール1を用いた摩擦攪拌接合方法の用途としては、車両のインナーやアウター等に適用できる。また、アルミニウムや銅を用いたヒートシンク、自動車バッテリ電流検出用シャント抵抗器など異種金属材料の適用可能性を秘めた技術等へも応用展開できる。その他、加工機メーカや素材メーカ等、接合業界の活性化にも寄与できる。
次に、本発明の実施例について説明する。
本発明者らは、図3、図4に示した前記ツール(以下、適宜「新ツール」という)1と、従来の一般的な摩擦攪拌接合ツール(以下、適宜「比較ツール」という)6とを用いて、一対の異種金属部材3A,3Bの摩擦攪拌接合を行い、接合品質の評価試験を行った。図6に示すように、比較ツール6には、プローブ61の付け根71からショルダ部62の外周部付近に亘る領域がツール基端部側に向かって縮径傾斜するすり鉢状の傾斜部75を形成したものが用いられる。
図7に示すように、両ツール1,6は、金属部材3A,3Bの部材表面32における境界線PLより軟質金属部材3B側へオフセットした位置に回転状態で押し当てられ、境界線PLに沿って直線的に前進移動させることにより、金属部材3A,3Bを接合させる。また、両ツール1,6は何れも、前進角θ1を3度、接合速度を100mm/分で一定とし、接合回転数を800rpm、1000rpm、1200rpm、1400rpm、ツール押し込み量を0.3mm、0.6mmとした各条件で前記のように金属部材3A,3Bを接合させ、それぞれの接合サンプルを作製した。
本実施例では、硬質金属部材3Aとして、厚さ(上下間の高さ寸法)が3mmの鉄鋼板(SS400鋼材)が用いられ、軟質金属部材3Bとして、厚さが3mmのアルミニウム合金板(5083−H材)が用いられる。以下適宜、硬質金属部材3Aを鉄部材、軟質金属部材3Bをアルミ部材という。
図8は、両ツール1,6により接合された金属部材3A,3Bの接合部(図7の領域F)の組織状態を示す写真である。また、図9は、実施例のツール1により接合された金属部材3A,3Bの前記領域Fにおける金属間化合物相の厚さ(金属間化合物相厚さ)Tとプローブ11中心(回転軸線CL)からの距離Dとの関係を示すグラフであり、図10は、比較ツール6により接合された金属部材3A,3Bの前記領域Fにおける金属間化合物相厚さTとプローブ11中心からの距離Dとの関係を示すグラフである。なお、図9および図10の各グラフに並べて示された図は、図8に示した写真の模式図であり、各グラフはこの模式図のスケールに対応している。
図10に示すように、比較ツール6を用いた場合、プローブ61が接合開始位置から約1.5mm前進する間に、接合界面33の金属間化合物相厚さTは約0.5μmまで成長する。しかしながら、その後、プローブ61が接合開始位置から約2.5mmまで前進したあたりから、接合界面33が元の境界線PLの位置よりアルミ部材3B側へ大きく移動し始め、その移動領域Mにおいて、金属間化合物相厚さTが約1.0〜1.2μmまで増加する二次的な成長が見られた。
一方、図9に示すように、実施例のツール1を用いた場合は、プローブ61が接合開始位置から約3.5mm前進する間に、金属間化合物相厚さTは緩やかに約0.5μmまで成長するものの、さらにその後、プローブ61が前進しても、金属間化合物相厚さTは約0.5μmのままで維持され、二次的な成長は見られなかった。またその間、接合界面33が元の境界線PLの位置から大きく変化することもなかった。
比較ツール6を用いた場合、ショルダ部62の傾斜部75が部材表面32に対して傾斜した状態のまま当接し、ショルダ部62の後側の外周縁74が金属部材3A,3Bに深く押し込まれる(図6参照)。その結果、図8および図10に示すように、比較ツール6が前進する間に、鉄部材3Aがアルミ部材3B側へ大きく押し出されるように塑性変形される。そのため、接合界面33の移動領域Mにおいて過度の発熱が生じ、金属間化合物の生成が促進されたものと考えられる。このことは、前記のように塑性変形が観察される領域(接合界面33の移動領域)Mと、金属間化合物相厚さTの二次的な成長が見られる領域とが略一致していることからも分かる。
これに対し、実施例のツール1を用いた場合は、ショルダ部12の傾斜部25が部材表面32に対して略平行に当接するため、ショルダ部12の後側の外周縁24が金属部材3A,3Bに深くまで押し込まれない(図4参照)。その結果、図8および図9に示すように、ツール1が前進する間も、鉄部材3Aはアルミ部材3B側へ大きく塑性変形されない。そのため、接合界面33で過度の発熱が生じることもなく、金属間化合物の生成が抑制されたものと考えられる。
本発明者らは、接合品質の評価試験として、実施例のツール1により接合された接合サンプルの試験片(新接合部材)P1と、比較例の比較ツール6により接合された接合サンプルの試験片(比較接合部材)P2との引張試験及び曲げ試験を行った。なお、引張試験は、何れも試験片幅を5mm、引張速度を3mm/分の設定で行い、曲げ試験は、何れも試験片幅を5mm、試験速度を1mm/分の表曲げの設定で行った。また、両試験片P1,P2共に、接合により生じる表面ビードの除去は行っていない。
次の表1は、各ツール1,6により接合された接合サンプルのうち、最大荷重を示した接合サンプルの評価試験結果を示したものである。この表1から分かるように、比較ツール6で接合された接合サンプル(比較接合部材)P2よりも、実施例のツール1で接合された接合サンプル(新接合部材)P1の方が、引張試験で約18%、曲げ試験で約43%高い値を示した。即ち、新接合部材P1において比較接合部材P2よりも優れた接合強度が得られた。
Figure 2021062376
このように、新接合部材P1において比較接合部材P2よりも優れた接合強度が得られたのは、実施例のツール1のショルダ部12の傾斜部25が部材表面32に対して略平行に、部分的ではなく全体的に当接することにより、金属間化合物相の生成に影響を与える鉄部材3Aの塑性変形が抑制され、より薄い金属間化合物相を有する接合部材を作製できたためであると考えられる。
また、図11に実施例のツール1により接合された接合サンプルの表面外観写真を示すが、極度なバリの発生も認められなかった。ショルダ部12の役割として、部材表面32を上から押さえ込むことで材料の流出を防ぐ目的もあるが、硬質の鉄部材3Aと軟質のアルミ部材3Bとを接合させる場合は、鉄部材3Aによって前記のようなショルダ部12の役割が補助されるため、バリの発生が一層抑制されたものと考えられる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
本実施形態では、ツール1の前進角θ1を、ショルダ部12の傾斜部25の傾斜角θ2に合わせて調整するようにしているが、予め設定された前進角θ1に合わせて、前進角θ1と一致する傾斜角θ2の傾斜部25を有するツール1を複数種類のツール1の中から選択して使用するようにしてもよい。
1 摩擦攪拌接合ツール
2 取付け部
3A,3B 金属部材
5 駆動部
6 比較ツール
10 ツールの先端部
11 プローブ
12 ショルダ部
13 ネジ山
20 ツール本体
21 プローブの付け根
22 プローブの外周面
23 プローブの先端面
24 ショルダ部の外周縁
25 傾斜部
30 端面
31 突合せ部
32 金属部材の表面(部材表面)
60 比較ツールの先端部
61 比較ツールのプローブ
62 比較ツールのショルダ部
71 比較ツールのプローブの付け根
74 比較ツールのショルダ部の外周縁
75 比較ツールの傾斜部
CL 回転軸線
PL 境界線
θ1 前進角
θ2 傾斜角

Claims (5)

  1. 少なくとも一対の異種金属部材の突合せ部に回転させながら接触させて摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合ツールであって、
    ツール先端部の中央に突設され、前記金属部材内に挿入させるプローブと、
    前記プローブと前記ツール先端部の外周縁との間に形成され、前記金属部材表面を押さえ付けるためのショルダ部とを有し、
    前記ショルダ部は、前記金属部材表面に接触させる接触面を摩擦攪拌接合時の前進角に相当する角度で半径方向外周側がツール基端部側に向かって傾斜する傾斜部により構成する摩擦攪拌接合ツール。
  2. 請求項1に記載の摩擦攪拌接合ツールにおいて、
    前記ショルダ部の傾斜部は、前記プローブの付け根から当該ショルダ部の外周縁に至る範囲の部分に形成されている摩擦攪拌接合ツール。
  3. 請求項1又は2に記載の摩擦攪拌接合ツールにおいて、
    前記ショルダ部の傾斜部は、ツール回転軸線に直交する方向に対して0度より大きく5度以下の範囲内に設定されている摩擦攪拌接合ツール。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合ツールにおいて、
    前記一対の異種金属部材は、一方が硬質の金属部材であり、他方が軟質の金属部材である摩擦攪拌接合ツール。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合ツールを用いて、硬質の金属部材と軟質の金属部材との一対の異種金属部材の突合せ部に回転させながら接触させて摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合方法であって、
    前記摩擦攪拌接合ツールを相対的な進行方向に対して先端側を前方へ傾ける前進角を有して相対移動させるにあたり、進行方向に対して後側に位置する前記ショルダ部の傾斜部を前記異種金属部材表面に略平行状態で当接させるようにして摩擦攪拌接合を行う摩擦攪拌接合方法。
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