JP6740929B2 - 陽極酸化処理用複合部材の製造方法及び陽極酸化処理用複合部材 - Google Patents

陽極酸化処理用複合部材の製造方法及び陽極酸化処理用複合部材 Download PDF

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Description

本発明は、陽極酸化処理用複合部材の製造方法及び陽極酸化処理用複合部材に関する。
異なる種類の金属部材を重ね合わせて形成されたクラッド材が知られている(特許文献1参照)。クラッド材によれば、単一の材料からなる金属部材では得られない性能を発揮することができる。例えば、アルミニウム合金のみでは強度が低いが、アルミニウム合金とステンレス鋼とからなるクラッド材によれば、強度を高めることができる。
一方、アルミニウム又はアルミニウム合金は、陽極酸化処理(アルマイト処理)を施すことで表面に酸化皮膜を生成させ、耐食性、摩耗性、装飾性(着色性)等を向上させることができる。陽極酸化処理は、対象となる部材を電解液中に配置して電気分解によってアルミニウム又はアルミニウム合金の表面に酸化皮膜を生成させるものである。
特開2014−79800号公報
しかし、アルミニウム合金と異種金属とで構成されるクラッド材に陽極酸化処理を行うと、異種金属が電解液中で溶解するおそれがあり、陽極酸化処理性が低下するという問題がある。
このような観点から、本発明は、強度及び陽極酸化処理性を向上させることができる陽極酸化処理用複合部材の製造方法及び陽極酸化処理用複合部材を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために本発明は、板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とを重ね合わせて前記芯材の周囲に重合部を形成する重合工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一金属部材の表面から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とを重ね合わせて前記芯材の周囲に重合部を形成しつつ、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一金属部材の表面から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
かかる方法によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二金属部材とを面ろう付けしているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材で芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材のみ、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる方法によれば、摩擦攪拌装置にかかる負荷を軽減することができる。
また、前記摩擦攪拌工程の後に、前記摩擦攪拌工程によって形成された塑性化領域の溝を境として、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の端部を切除する切除工程と、を含むことが好ましい。
かかる方法によれば、第一金属部材及び第二金属部材の端部を容易に切除することができる。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部との間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材を挿入し、前記第一金属部材の裏面と前記介設部材の表面とが重ね合わされた第一重合部と、前記第二金属部材の表面と前記介設部材の裏面とが重ね合わされた第二重合部とを形成する重合工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて前記第一重合部及び前記第二重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部との間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材を挿入し、前記第一金属部材の裏面と前記介設部材の表面とが重ね合わされた第一重合部と、前記第二金属部材の表面と前記介設部材の裏面とが重ね合わされた第二重合部とを形成しつつ、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて前記第一重合部及び前記第二重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
かかる方法によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二属部材とを面ろう付けしているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、第二金属部材及び介設部材とで芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記第一金属部材の表面から前記回転ツールを挿入し、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材のみ、又は、前記第一金属部材及び前記介設部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記第二金属部材の裏面から前記回転ツールを挿入し、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第二金属部材のみ、又は、前記第二金属部材及び前記介設部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる方法によれば、摩擦攪拌装置にかかる負荷を軽減することができる。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材、第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、及び、前記第一金属部材よりも一回り大きく形成され第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、前記第一周壁部の外周面と、前記第二周壁部の内周面とを重ね合わせて重合部を形成する重合工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一周壁部の内周面及び前記第二周壁部の外周面の少なくとも一方から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材、第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、及び、前記第一金属部材よりも一回り大きく形成され第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材を用意する準備工程と、前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一周壁部の外周面と、前記第二周壁部の内周面とを重ね合わせて重合部を形成しつつ、前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一周壁部の内周面及び前記第二周壁部の外周面の少なくとも一方から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする。
かかる方法によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二金属部材とを面ろう付けしているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材で芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
また、前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材及び前記第二金属部材のいずれか一方のみ、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。
かかる方法によれば、摩擦攪拌装置にかかる負荷を低減することができる。
また、前記摩擦攪拌工程の後に、前記摩擦攪拌工程によって形成された塑性化領域の溝を境として、前記第一周壁部の端部及び前記第二周壁部の端部を切除する切除工程と、含むことが好ましい。
かかる方法によれば、第一金属部材及び第二金属部材の端部を容易に切除することができる。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材と、板状を呈し前記芯材より大きく形成され前記芯材の上下にそれぞれ積層されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材と、を有し、前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とが全周に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二金属部材とを接合しているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材で芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
また、本発明は、板状を呈する金属製の芯材と、板状を呈し前記芯材より大きく形成され前記芯材の上下にそれぞれ積層されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材と、前記第一金属部材の裏面と前記第二金属部材の表面の間において、前記芯材の周囲に配置されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材と、を有し、前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一金属部材の周縁部と前記介設部材とが全周に亘って摩擦攪拌接合され、さらに、前記第二金属部材の周縁部と前記介設部材とが全周に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二金属部材とを接合しているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、第二金属部材及び介設部材で芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
また、本発明は、第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材と、第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するとともに前記第一金属部材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材と、前記第一底板の裏面と前記第二底板の表面の間に配置され板状を呈する金属製の芯材と、を有し、前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一周壁部と前記第二周壁部とが全周囲に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする。
かかる構成によれば、強度の高い芯材を備えるとともに、芯材と第一金属部材及び第二金属部材とを接合しているため、強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材で芯材を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材に接触することがないので、皮膜の色調が芯材の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。
本発明に係る陽極酸化処理用複合部材の製造方法及び陽極酸化処理用複合部材によれば、強度を高めることができるとともに陽極酸化処理性を高めることができる。
本発明の第一実施形態に係る複合部材を示す斜視図である。 図1の断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の準備工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の面ろう付け工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の重合工程前を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の重合工程後を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の摩擦攪拌工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の摩擦攪拌工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の切除工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る複合部材の製造方法の重合工程の変形例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る複合部材の製造方法の準備工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る複合部材の製造方法の面ろう付け工程及び重合工程後を示す断面図である。 第二実施形態に係る複合部材の製造方法の第一摩擦攪拌工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る複合部材の製造方法の第二摩擦攪拌工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る複合部材の製造方法の切除工程を示す断面図である。 第二実施形態に係る変形例を示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係る複合部材の製造方法を示す斜視図である。 図17の断面図である。 第三実施形態に係る複合部材の製造方法の準備工程を示す斜視図である。 第三実施形態に係る複合部材の製造方法の面ろう付け工程を示す断面図である。 第三実施形態に係る複合部材の製造方法の重合工程及び摩擦攪拌工程を示す斜視図である。 第三実施形態に係る複合部材の製造方法の切除工程を示す断面図である。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、第一実施形態に係る陽極酸化処理用複合部材1は、芯材2と、芯材2の上に配置される第一金属部材3と、芯材2の下に配置される第二金属部材4とで構成されており、薄板状を呈する。陽極酸化処理用複合部材(以下、「複合部材」とも称する。)1は、陽極酸化処理を施すことを目的とした金属部材である。
芯材2は、矩形を呈する板状の金属部材である。芯材2は、第一金属部材3及び第二金属部材4よりも強度の高い材料で形成されている。芯材2は、例えば、鉄系材料(鉄鋼、ステンレス鋼、高張力鋼等)、チタン、チタン合金又は銅、銅合金等とすることができる。芯材2を鉄系材料、チタン又はチタン合金とすると複合部材1の強度を確実に高めることができる。また、芯材2を銅又は銅合金とすると複合部材1の熱伝導性を高めることができる。芯材2の厚さは特に制限されないが、本実施形態では例えば、約1〜2mmになっている。
第一金属部材3は、図2に示すように、矩形を呈する板状の金属部材である。第一金属部材3は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、芯材2よりも一回り大きくなっている。芯材2の表面2aと第一金属部材3の裏面3bとは面ろう付けにより接合されている。
第二金属部材4は、矩形を呈する板状の金属部材である。第二金属部材4は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、芯材2よりも一回り大きくなっている。芯材2の裏面2bと第二金属部材4の表面4aとは面ろう付けにより接合されている。
第一金属部材3及び第二金属部材4の材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であれば特に制限されないが、例えば、1000系であると好ましい。第一金属部材3及び第二金属部材4の厚さは、特に制限されないが、本実施形態では、例えば、約0.1〜1.0mmになっている。
第一金属部材3及び第二金属部材4の周縁部は、全周に亘って重合部Jが形成されている。重合部Jは、第一金属部材3及び第二金属部材4の周縁部において、第一金属部材3の裏面3bと、第二金属部材4の表面4aとが重ね合わされた部位である。重合部Jの高さ位置は、芯材2の板厚方向の中心と概ね同じ位置となるように形成されている。第一金属部材3と第二金属部材4の周縁部は、摩擦攪拌接合によって接合されているため、塑性化領域Wが形成されている。塑性化領域Wは、複合部材1の外端部の全周に亘って形成されている。
次に、第一実施形態に係る陽極酸化処理用複合部材の製造方法(以下、「複合部材の製造方法」とも称する。)について説明する。複合部材の製造方法は、準備工程と、面ろう付け工程と、重合工程と、摩擦攪拌工程と、切除工程と、を行う。
準備工程は、図3に示すように、各部材を準備する工程である。準備工程では、芯材2と、第一金属部材3と、第二金属部材4と、ブレージングシート5,6とを準備する。準備工程では、下から第二金属部材4、ブレージングシート6、芯材2、ブレージングシート5、第一金属部材3の順番に積層させて中間部材N1を形成する。
ブレージングシート5,6は、フラックスレス用ろう付け仕様であって、Al−Si−Mg系合金ろう材からなる薄い単層シートである。ブレージングシート5,6は、芯材2と同じ大きさで形成されている。ブレージングシート5,6の厚さは、特に制限されないが、本実施形態では、例えば、約20〜100μmである。
面ろう付け工程は、図4に示すように、加圧式ろう付け治具20を用いて面ろう付けを行う工程である。加圧式ろう付け治具20は、下板21、中板22、上板23及び複数の支柱24を主に備えた治具である。中板22及び上板23は、支柱24に沿って上下方向に移動自在に形成されている。中板22と上板23との間には、板ばね25が介設されている。
ブレージングシート5,6中のSiは、その含有量によってブレージングシート5,6の液相線の温度を下げるとともに、面ろう付け中の濡れ性を改善するための元素である。Si含有量が、1.0質量%に満たないと、ブレージングシート5,6の液相線の温度が高くなりすぎて、所定のろう付け温度に到達してもブレージングシート5,6の溶解が不十分となり、十分なろう付け強度(せん断応力)が得られない可能性がある。逆に、Si含有量が、12質量%を超えると、鋳造中に鋳塊中央部に初晶Siが析出(晶出)する可能性が高くなり、仮に健全な冷延板が得られたとしてもミクロ的に均質な組織のブレージングシート5,6を得ることが困難となる。
したがって、ろう材中のSi含有量は、1.0〜12質量%の範囲とする。より好ましいSi含有量は、2.0〜12質量%の範囲である。さらに好ましいSi含有量は、3.0〜12質量%の範囲である。
ブレージングシート5,6中のMgは、自らが酸化されることにより、還元剤として作用するため、ろう付け加熱によるアルミニウム又はアルミニウム合金部材(第一金属部材3及び第二金属部材4)とブレージングシート5,6のろう材との界面におけるアルミニウムの酸化を抑制し、面ろう付け中の濡れ性を改善するための元素であると考えられる。Mg含有量が、0.1質量%に満たないと、ろう付け温度や保持時間にもよるが、その効果が不十分となり、十分なろう付け強度(せん断応力)が得られない可能性がある。逆に、Mg含有量が、5.0質量%を超えると、鋳塊を熱延する際のロールへの負荷が大きくなり、また耳割れも生じるため、冷延が困難となる。ろう材の加工性を考慮すると、Mg含有量は、低い方が好ましい。
したがって、ろう材中のMg含有量は、0.1〜5.0質量%の範囲とする。より好まし
いMg含有量は、0.1〜4.0質量%の範囲である。さらに好ましいMg含有量は、0.
1〜3.0質量%の範囲である。
ブレージングシート5,6の残部はAlと不可避的不純物からなる。不可避的不純物としてはFe、Cu、Mn、Zn等が挙げられるが、これら元素については、Fe:1.0質量%未満、Cu:1.0質量%未満、Mn:1.0質量%未満、Zn:1.0質量%未満の範囲であれば、本発明の効果を妨げるものではない。したがって、不可避的不純物としての前記成分含有量はそれぞれ1.0質量%未満とすることが好ましい。
面ろう付け工程では、下板21と中板22との間に中間部材N1を配置して、所定の条件下で押圧力を付与して面ろう付けを行う。面ろう付けの条件は、各部材の材料によって適宜設定すればよい。例えば、芯材2が銅である場合は、温度を約510〜550℃、押圧力を約1.0MPa以上、不活性ガス雰囲気とし、押圧状態を2分以上保持する。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムを用いることができる。窒素ガスとしては、工業用窒素ガス(酸素濃度が10ppm以下)を用いることが好ましい。なお、接合強度を問題にしないのであれば、大気中であっても接合は可能である。
また、例えば、芯材2が鉄系材料である場合は、温度を約570〜610℃、押圧力を約1.0MPa以上、不活性ガス雰囲気とし、押圧状態を2分以上保持する。
これにより、芯材2と第一金属部材3及び芯材2と第二金属部材4とが面ろう付けされる。ブレージングシート5,6は、本実施形態では単層のものを使用しているため、コストを低減することができる。また、面ろう付け工程では、不活性ガス雰囲気下で、フラックスを用いることなく面ろう付けを行っている。これにより、面ろう付け工程では、面接触させた状態で特定の面圧を付与してブレージングシート5,6を溶解させるとともに、アルミニウム又はアルミニウム合金部材(第一金属部材3及び第二金属部材4)及び芯材2との界面を濡らしつつ、溶融したろう材を界面から積極的に排出することができる。よって、アルミニウム又はアルミニウム合金部材と芯材2との間に形成される金属間化合物層の厚みを薄くすることができる。例えば、芯材2に銅又は銅合金を用いている場合は、金属間化合物層を薄くすることができるため、熱伝導率を高く維持することができる。
重合工程は、図5及び図6に示すように、成形型Kを用いて第一金属部材3と第二金属部材4との周縁部を重ね合わせて重合部Jを形成する工程である。成形型Kは、下型K1と、上型K2とで構成されている。下型K1は、基面K1bと、基面K1bに窪んで形成された凹部K1aとを有する。上型K2は、基面K2bと、基面K2bに窪んで形成された凹部K2aとを有する。凹部K1a,K2aは、芯材2に対応する位置に形成されている。
重合工程では、中間部材N1を下型K1に配置する。そして、上型K2を降下させて基面K1bと基面K2bとで第一金属部材3と第二金属部材4の周縁部を押圧し、重合部Jを形成する。
摩擦攪拌工程は、図7に示すように、接合用回転ツールFを用いて重合部Jに対して芯材2の全周囲に亘って摩擦攪拌接合を行う工程である。接合用回転ツールFは、特許請求の範囲の「回転ツール」に相当する。
接合用回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されており、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、図示しない摩擦攪拌装置に取り付けられる部位であって、円柱状を呈する。攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(第一金属部材3、第二金属部材4)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
摩擦攪拌工程では、右回転させた接合用回転ツールFを第一金属部材3の表面3aの周縁部に設定された開始位置Spに挿入し、重合部Jに沿って相対移動させる。摩擦攪拌工程では、連結部F1を中間部材N1から離間させて、攪拌ピンF2の基端側は露出した状態で摩擦攪拌を行う。接合用回転ツールFの移動方向はどちらでもよいが、本実施形態では、芯材2に対して左回りとなるように設定する。図8に示すように、攪拌ピンF2は第一金属部材3及び第二金属部材4に接触する程度に挿入深さを設定する。接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。摩擦攪拌工程では、塑性化領域Wの始端と終端とが重なるようにすることが好ましい。なお、挿入深さは、攪拌ピンF2のみが、第一金属部材3のみと接触する程度に設定して摩擦攪拌工程を行ってもよい。この場合は、攪拌ピンF2と第一金属部材3とが接触した摩擦熱によって重合部Jが塑性流動化して接合される。
摩擦攪拌工程では、接合中心線Xの外側にバリVが発生するように接合条件を設定するのがよい。バリVが発生する位置は、接合条件によって異なる。当該接合条件とは、接合用回転ツールFの回転速度、回転方向、移動速度(送り速度)、進行方向、攪拌ピンF2の傾斜角度(テーパー角度)、被接合金属部材(第一金属部材3、第二金属部材4)の材質、被接合金属部材の厚さ等の各要素とこれらの要素の組合せで決定される。
例えば、接合用回転ツールFの回転速度が遅い場合では、フロー側(retreating side:回転ツールの外周における接線速度から回転ツールの移動速度が減算される側)に比べてシアー側(advancing side:回転ツールの外周における接線速度に回転ツールの移動速度が加算される側)の方が塑性流動材の温度が上昇しやすくなるため、塑性化領域外のシアー側にバリが多く発生する傾向にある。一方、例えば、接合用回転ツールFの回転速度が速い場合、シアー側の方が塑性流動材の温度が上昇するものの、回転速度が速い分、塑性化領域外のフロー側にバリが多く発生する傾向にある。
本実施形態では、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定しているため、図9に示すように、塑性化領域W外のフロー側にバリVが多く発生する傾向にある。また、本実施形態では、塑性化領域Wの表面において、接合中心線Xよりも外側に凹溝Pが形成される。凹溝Pは、摩擦攪拌接合によってより深くえぐれる部位である。また、接合用回転ツールFの回転速度を速く設定することにより、接合用回転ツールFの移動速度(送り速度)を高めることができる。これにより、接合サイクルを短くすることができる。
切除工程は、図9に示すように、中間部材N1の外周縁を切除する工程である。切除工程では、塑性化領域Wを含んだ部分よりも外側の領域を切除する。切除工程では、本実施形態では、凹溝Pを境に、凹溝Pよりも外側の部分を切除する。これにより、図1に示す複合部材1が形成される。
以上説明した複合部材1及び複合部材の製造方法によれば、強度の高い芯材2を備えるとともに、芯材2と第一金属部材3及び第二金属部材4とを面ろう付けしているため、複合部材1の強度を高めることができる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材3及び第二金属部材4で芯材2を密閉しているため、陽極酸化処理中に電解液が芯材2に接触することがないので、皮膜の色調が芯材2の影響を受けず、陽極酸化処理性を高めることができる。また、芯材2の周囲を摩擦攪拌接合しているため、密閉性を高めることができる。つまり、複合部材1によれば、強度の向上と陽極酸化処理性の向上の両立を図ることができる。複合部材1に陽極酸化処理を施すことにより、耐食性、耐摩耗性、装飾性(着色性)等を向上させることができる。
また、接合用回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第一金属部材3のみ、又は、第一金属部材3及び第二金属部材4の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことが好ましい。これにより、回転ツールのショルダ部を押し込んで摩擦攪拌接合を行う場合と比べて、摩擦攪拌装置にかかる負荷を軽減することができる。
また、本実施形態の切除工程では、凹溝Pを境に中間部材N1の外端を容易に切除することができる。また、接合中心線Xよりも外側に凹溝Pができるように接合条件を設定しているため、凹溝Pを境に切除しても接合部(塑性化領域W)を多く残すことができる。これにより、接合強度を高めることができる。また、切除工程では、バリVが塑性化領域Wの外側にバリVが集約されるように接合条件を設定しているので、バリVを余剰片ごと切除することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、図10は、第一実施形態に係る複合部材の製造方法の重合工程の変形例を示す断面図である。当該変形例では、基面K1bに凹部が形成されていない点で第一実施形態と相違する。当該変形例の重合工程でも、下型K1と上型K2とで中間部材N1の周縁部を押圧して重合部Jを形成する。重合部Jの高さ位置は、芯材2の裏面2bと概ね同じ高さ位置となる。
また、摩擦攪拌工程では、ショルダ部と攪拌ピンとを有する回転ツール(図示省略)を用いて摩擦攪拌接合を行ってもよい。また、中間部材N1の表面及び裏面の両方から摩擦攪拌を行ってもよい。また、面ろう付け工程によって、第一金属部材3及び第二金属部材4の周縁部が押圧されて重合部が形成された場合は、面ろう付け工程中に重合工程を含むこととなるため、成形型Kを用いて別途重合工程を行わなくてもよい。また、切除工程は省略してもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る複合部材及び複合部材の製造方法について説明する。第二実施形態に係る複合部材は、介設部材7を用いる点で第一実施形態と相違する。第二実施形態に係る複合部材の製造方法では、準備工程と、面ろう付け工程と、重合工程と、摩擦攪拌工程と、切除工程とを行う。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
準備工程は、図11に示すように、各部材を準備する工程である。準備工程では、芯材2と、第一金属部材3と、第二金属部材4と、ブレージングシート5,6と、介設部材7,7を準備する。準備工程では、下から第二金属部材4、ブレージングシート6、芯材2、ブレージングシート5、第一金属部材3の順番に積層させて中間部材N1を形成する。なお、中間部材N1には、介設部材7は含まない。
面ろう付け工程では、第一実施形態と同じ要領で、中間部材N1に対して面ろう付け工程を行う。面ろう付け工程によって、中間部材N1が一体的に接合される。
重合工程では、図12に示すように、第一金属部材3の裏面3bと、第二金属部材4の表面4aとの間に介設部材7を配置するとともに、成形面が平坦な成形型(図示省略)を用いて中間部材N1及び介設部材7を板厚方向に押圧して第一重合部J1及び第二重合部J2を形成する工程である。
介設部材7は、板状を呈するアルミニウム又はアルミニウム合金部材である。介設部材7は、芯材2と同じ板厚になっている。本実施形態では、4つの介設部材7を用いており、芯材2の外周面を全周囲に亘って覆っている。つまり、介設部材7の板幅寸法の2倍と、芯材2の板幅寸法との長さの和は、第一金属部材3の板幅寸法と同等になっている。介設部材7は、アルミニウム又はアルミニウム合金であれば特に制限されないが、本実施形態では、第一金属部材3及び第二金属部材4と同じ成分組成になっている。
重合工程によって、介設部材7の表面7aと、第一金属部材3の裏面3bとが重ね合わされて第一重合部J1が形成される。また、介設部材7の裏面7bと、第二金属部材4の表面4aとが重ね合わされて第二重合部J2が形成される。第一重合部J1及び第二重合部J2は、芯材2の周囲に亘って矩形枠状に形成される。
摩擦攪拌工程は、図13及び図14に示すように、第一重合部J1に摩擦攪拌を行う第一摩擦攪拌工程及び第二重合部J2に摩擦攪拌を行う第二摩擦攪拌工程を行う。第一摩擦攪拌工程では、接合用回転ツールFを用いて第一実施形態と同じ要領で摩擦攪拌接合を行う。つまり、第一摩擦攪拌工程では、接合用回転ツールFを第一金属部材3の表面3aから挿入し、攪拌ピンF2のみを第一金属部材3及び介設部材7に接触させた状態で第一重合部J1に沿って相対移動させる。
第一摩擦攪拌工程では、接合中心線Xに対して、凹溝Pが塑性化領域W1の外側に形成されるとともに、バリVが塑性化領域W1の外側に形成されるように接合用回転ツールFの接合条件を設定する。なお、接合用回転ツールFは、攪拌ピンF2のみが第一金属部材3のみと接触するように設定してもよい。この場合は、攪拌ピンF2と第一金属部材3との摩擦熱によって第一重合部J1が塑性流動化して接合される。
第二摩擦攪拌工程では、図14に示すように、中間部材N1及び介設部材7をひっくり返し、第二金属部材4側から摩擦攪拌工程を行う。つまり、第二摩擦攪拌工程では、接合用回転ツールFを第二金属部材4の裏面4bから挿入し、攪拌ピンF2のみを第二金属部材4及び介設部材7に接触させた状態で第二重合部J2に沿って相対移動させる。
第二摩擦攪拌工程では、接合中心線Xに対して、凹溝Pが塑性化領域W2の外側に形成されるとともに、バリVが塑性化領域W2の外側に形成されるように接合用回転ツールFの接合条件を設定する。なお、接合用回転ツールFは、攪拌ピンF2のみが第二金属部材4のみと接触するように設定してもよい。この場合は、攪拌ピンF2と第二金属部材4との摩擦熱によって第二重合部J2が塑性流動化して接合される。
切除工程は、図15に示すように、第一金属部材3、第二金属部材4及び介設部材7の外端部を切除する工程である。切除工程では、凹溝Pを通る境界線Sを境にして、境界線Sよりも外側を切除する。これにより、第二実施形態に係る複合部材1Aが形成される。
複合部材1Aは、芯材2と、芯材2の表面2aに面ろう付けされた第一金属部材3と、芯材2の裏面2bに面ろう付けされた第二金属部材4と、芯材2の周囲において、第一金属部材3と第二金属部材4との間に介設された介設部材7とで構成されている。第一重合部J1及び第二重合部J2は、それぞれ塑性化領域W1,W2が形成されており、摩擦攪拌によって全周に亘って接合されている。
以上説明した第二実施形態に係る複合部材の製造方法及び複合部材1Aによっても第一実施形態と略同等の効果を得ることができる。また、本実施形態では、介設部材7を挿入し、介設部材7の側面と芯材2の側面とを当接させることができるので、芯材2の周囲に隙間が形成されるのを防ぐことができる。また、介設部材7をアルミニウム又はアルミニウム合金としているため、芯材2が露出することがなく陽極酸化処理に対しても好適である。
第二実施形態に係る複合部材の製造方法では、上記した形態に限定されるものではない。例えば、介設部材7は、本実施形態では4本用いたが、枠状であってもよい。また、塑性化領域W1,W2が重複するように攪拌ピンF2の挿入深さを設定してもよい。また、摩擦攪拌工程では、表裏で別々に行わずに、例えば、第一金属部材3の表面3aから接合用回転ツールFを挿入し、第一重合部J1及び第二重合部J2の両方を摩擦攪拌接合することもできる。この場合は、攪拌ピンF2のみを第一金属部材3、第二金属部材4及び介設部材7の全部に接触させるか、第一金属部材3及び介設部材7のみに接触させた状態で摩擦攪拌を行うことができる。
また、摩擦攪拌工程では、ショルダ部と攪拌ピンとを有する回転ツール(図示省略)を用いて摩擦攪拌接合を行ってもよい。また、第一金属部材3及び第二金属部材4の間に介設部材7を配置した後に、面ろう付け工程を行ってもよい。この場合は、第一金属部材3、第二金属部材4の周縁部及び介設部材7が押圧されて第一重合部J1及び第二重合部J2が形成されることにより、面ろう付け工程中に重合工程を含むこととなっているため、成形型を用いて別途重合工程を行わなくてもよい。また、切除工程は省略してもよい。
また、第一実施形態及び第二実施形態では、複合部材1,1Aの形状を平面視矩形となるようにしたが、三角形、五角形等の他の角形状としてもよいし、円形状、楕円形状としてもよい。図16は、第二実施形態に係る変形例を示す断面図である。図16に示すように、第一金属部材3の表面3aが凹となるように複合部材1Aを湾曲させてもよい。また、第一実施形態においても複合部材1を湾曲させてもよい。さらに、第一実施形態の複合部材1及び第二実施形態の複合部材1Aは、表面、裏面及び側面を面削してきれいに仕上げてもよい。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る複合部材の製造方法及び複合部材について説明する。図17に示すように、第三実施形態に係る複合部材1Bは、トレー状になっている点で他の実施形態と相違する。第三実施形態では他の実施形態と相違する点を中心に説明する。
複合部材1Bは、図17及び図18に示すように、芯材2と、芯材2の内側に配置される第一金属部材3Bと、芯材2の外側に配置される第二金属部材4Bとで主に構成されている。第一金属部材3Bは、矩形を呈する第一底板11と、第一底板11の周縁から立ち上がる第一周壁部12とで構成されている。第一底板11は、芯材2よりも一回り大きく形成されている。第一周壁部12の角部は、内周面及び外周面とも丸面取り加工によって丸面取り部が形成されている。
第二金属部材4は、矩形を呈する第二底板13と、第二底板13の周縁から立ち上がる第二周壁部14とで構成されている。第二底板13及び第二周壁部14は、第一底板11及び第一周壁部12よりも一回り大きく形成されている。第二周壁部14の角部は、内周面及び外周面とも丸面取り加工によって、丸面取り部が形成されている。第二周壁部14の内周面は、第一周壁部12の外周面と略同じ大きさになっている。
第一周壁部12の外周面と第二周壁部14の内周面とが重ね合わされることにより、重合部J3が形成されている。芯材2と第一金属部材3とは面ろう付けされているとともに、芯材2と第二金属部材4とも面ろう付けされている。第一周壁部12,14の先端側は塑性化領域W3で接合されている。
次に、第三実施形態に係る複合部材の製造方法は、準備工程と、面ろう付け工程と、重合工程と、摩擦攪拌工程と、切除工程と、を行う。
準備工程は、図19に示すように、各部材を準備する工程である。準備工程では、芯材2と、第一金属部材3Bと、第二金属部材4Bと、ブレージングシート5,6とを準備する。準備工程では、下から第二金属部材4B、ブレージングシート6、芯材2、ブレージングシート5、第一金属部材3Bの順番に積層させて中間部材N2を形成する。
第三実施形態では、図20に示すように、重合部J3を形成しつつ、面ろう付け工程を行う。面ろう付け工程は、加圧式ろう付け治具Lを用いて面ろう付けを行う工程である。加圧式ろう付け治具Lは、下型L1と、上型L2とで構成されている。下型L1及び上型L2は、いずれも直方体を呈する。上型L2の下端側は、第一金属部材3Bの中空部と概ね同じ形状になっている。上型L2は、下面から上方に向けて平断面積が徐々に大きくなるように側面が外側に傾斜していてもよい。
面ろう付け工程では、温度及び雰囲気を第一実施形態で記載した条件に設定しつつ、上型L2を降下させて、下型L1と上型L2を用いて、芯材2と、第一金属部材3Bの第一底板11と、第二金属部材の第二底板13とを所定の圧力で押圧し、面ろう付けを行う。これにより、第一金属部材3Bの第一周壁部12の外周面と、第二金属部材4Bの第二周壁部14の内周面とが重ね合わされて重合部J3が形成されるとともに、芯材2の表面と第一底板11の裏面とが接合され、芯材2の裏面と第二底板13の表面とが接合され一体化する。
摩擦攪拌工程は、図21に示すように、接合用回転ツールFを用いて重合部J3に対して全周囲に亘って摩擦攪拌接合を行う工程である。第一金属部材3Bの内部には、直方体の裏当て治具Hを配置する。裏当て治具Hの下部は、第一金属部材3Bの中空部と略同等の形状を呈する直方体である。裏当て治具Hは、第一金属部材3Bの第一周壁部12と、第二金属部材4Bの第二周壁部14とが確実に重なるように、上方に向かうにつれて平断面積が徐々に大きくなるように、側面が外側に傾倒するように形成してもよい。
摩擦攪拌工程では、第二金属部材4Bの第二周壁部14の外周面に設定された開始位置Spに接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を概ね垂直に挿入して、重合部J3に沿って接合用回転ツールFを全周に亘って相対移動させる。接合用回転ツールFは、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたロボットアームに取り付けることが好ましい。これにより、接合用回転ツールFの回転中心軸を容易に傾けることができる。また、本実施形態では、被接合金属部材を回転させながら摩擦攪拌を行ってもよい。
摩擦攪拌工程では、図22に示すように、第一実施形態と同様に、接合中心線Xに対して第一金属部材3B及び第二金属部材4Bの先端側に凹溝P及びバリVが発生するように、接合条件を設定する。つまり、本実施形態では、接合用回転ツールFを高速で左回転させつつ、上からみて反時計周りとなるように接合用回転ツールFを相対移動させる。これにより、第一金属部材3B及び第二金属部材4Bの先端側がフロー側となるため、接合中心線Xに対して第一金属部材3B及び第二金属部材4Bの先端側にバリVが発生する。
切除工程では、第一金属部材3Bの第一周壁部12及び第二金属部材4Bの第二周壁部14の先端側を切除する工程である。本実施形態では、第一実施形態と同様に、凹溝Pを境にしてバリVごと余剰片を切除する。これにより、図17及び図18に示す複合部材1Bが形成される。
以上説明した第三実施形態に係る複合部材の製造方法及び複合部材1Bによっても、第一実施形態と概ね同等の効果を得ることができる。また、第三実施形態によれば、上方に開放するトレー状の複合部材1Bを容易に形成することができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、第三実施形態においても、第一金属部材3Bと第二金属部材4Bとの間に介設部材を介設させてもよい。また、第三実施形態では、平面視矩形ではなく、他の角形状や、円形、楕円形となるように形成してもよい。また、第三実施形態には、第一金属部材3Bの第一周壁部12の内周面から摩擦攪拌接合を行ってもよい。この場合は、第一周壁部12及び第二周壁部14が外側に傾倒しないように、第二周壁部14の外周に裏当材を設けることが好ましい。第三実施形態における摩擦攪拌工程は、第一周壁部12の内周面及び第二周壁部14の外周面の少なくとも一方から挿入し、接合用回転ツールFを相対移動させて摩擦攪拌接合を行えばよい。
また、前記した第三実施形態では、面ろう付け工程の際に重合部J3を形成するようにしたが、面ろう付け工程と摩擦攪拌工程の間に、別途成形型等を用いて重合工程を行い、第一金属部材3Bの第一周壁部12の外周面と、第二金属部材4Bの第二周壁部14の内周面とを重ね合わせて重合部J3を形成してもよい。また、前記した第三実施形態では、芯材2は矩形を呈する平坦な形状をしているが、第一金属部材3Bや第二金属部材4Bと同様に、矩形を呈する底板と、当該底板の周縁から立ち上がる周壁部とを備える形状であってもよい。この場合、芯材2の周壁部の高さを第一金属部材3Bの第一周壁部12及び第二金属部材4Bの第二周壁部14の高さに比べて低く設定することにより、重合部J3を形成することが可能になる。
1 複合部材
2 芯材
3 第一金属部材
3B 第一金属部材
4 第二金属部材
4B 第二金属部材
5 ブレージングシート
6 ブレージングシート
11 第一底板
12 第一周壁部
13 第二底板
14 第二周壁部
J 重合部
W 塑性化領域

Claims (15)

  1. 板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とを重ね合わせて前記芯材の周囲に重合部を形成する重合工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一金属部材の表面から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  2. 板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とを重ね合わせて前記芯材の周囲に重合部を形成しつつ、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一金属部材の表面から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  3. 前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材のみ、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  4. 前記摩擦攪拌工程の後に、前記摩擦攪拌工程によって形成された塑性化領域の溝を境として、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の端部を切除する切除工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  5. 板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部との間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材を挿入し、前記第一金属部材の裏面と前記介設部材の表面とが重ね合わされた第一重合部と、前記第二金属部材の表面と前記介設部材の裏面とが重ね合わされた第二重合部とを形成する重合工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて前記第一重合部及び前記第二重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  6. 板状を呈する金属製の芯材及び板状を呈し前記芯材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部との間にアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材を挿入し、前記第一金属部材の裏面と前記介設部材の表面とが重ね合わされた第一重合部と、前記第二金属部材の表面と前記介設部材の裏面とが重ね合わされた第二重合部とを形成しつつ、前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて前記第一重合部及び前記第二重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  7. 前記摩擦攪拌工程では、前記第一金属部材の表面から前記回転ツールを挿入し、
    前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材のみ、又は、前記第一金属部材及び前記介設部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  8. 前記摩擦攪拌工程では、前記第二金属部材の裏面から前記回転ツールを挿入し、
    前記回転ツールの攪拌ピンのみを第二金属部材のみ、又は、前記第二金属部材及び前記介設部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  9. 板状を呈する金属製の芯材、第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、及び、前記第一金属部材よりも一回り大きく形成され第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    前記第一周壁部の外周面と、前記第二周壁部の内周面とを重ね合わせて重合部を形成する重合工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一周壁部の内周面及び前記第二周壁部の外周面の少なくとも一方から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  10. 板状を呈する金属製の芯材、第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材、及び、前記第一金属部材よりも一回り大きく形成され第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材を用意する準備工程と、
    前記芯材の上下に前記第一金属部材及び前記第二金属部材を積層させるとともに、Al−Si−Mg系合金からなる単層のブレージングシートを前記芯材と前記第一金属部材との間及び前記芯材と前記第二金属部材との間にそれぞれ介設させて、前記第一周壁部の外周面と、前記第二周壁部の内周面とを重ね合わせて重合部を形成しつつ、前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とをそれぞれフラックスレスで面ろう付けする面ろう付け工程と、
    攪拌ピンを備える回転ツールを用いて、前記回転ツールの攪拌ピンを前記第一周壁部の内周面及び前記第二周壁部の外周面の少なくとも一方から挿入し、前記回転ツールを相対移動させて前記重合部を全周に亘って摩擦攪拌する摩擦攪拌工程と、を含み、
    前記芯材の強度を、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成することを特徴とする陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  11. 前記摩擦攪拌工程では、前記回転ツールの攪拌ピンのみを第一金属部材及び前記第二金属部材のいずれか一方のみ、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  12. 前記摩擦攪拌工程の後に、前記摩擦攪拌工程によって形成された塑性化領域の溝を境として、前記第一周壁部の端部及び前記第二周壁部の端部を切除する切除工程と、含むことを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の陽極酸化処理用複合部材の製造方法。
  13. 板状を呈する金属製の芯材と、
    板状を呈し前記芯材より大きく形成され前記芯材の上下にそれぞれ積層されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材と、を有し、
    前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、
    前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一金属部材の周縁部と前記第二金属部材の周縁部とが全周に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする陽極酸化処理用複合部材。
  14. 板状を呈する金属製の芯材と、
    板状を呈し前記芯材より大きく形成され前記芯材の上下にそれぞれ積層されるアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材及び第二金属部材と、
    前記第一金属部材の裏面と前記第二金属部材の表面の間において、前記芯材の周囲に配置されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の介設部材と、を有し、
    前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、
    前記芯材と前記第一金属部材及び前記芯材と前記第二金属部材とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一金属部材の周縁部と前記介設部材とが全周に亘って摩擦攪拌接合され、さらに、前記第二金属部材の周縁部と前記介設部材とが全周に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする陽極酸化処理用複合部材。
  15. 第一底板と当該第一底板の周縁から立ち上がる第一周壁部とを有するアルミニウム又はアルミニウム合金製の第一金属部材と、
    第二底板と当該第二底板の周縁から立ち上がる第二周壁部とを有するとともに前記第一金属部材よりも大きく形成されたアルミニウム又はアルミニウム合金製の第二金属部材と、
    前記第一底板の裏面と前記第二底板の表面の間に配置され板状を呈する金属製の芯材と、を有し、
    前記芯材の強度は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の強度よりも高く形成されており、
    前記芯材と前記第一底板の裏面及び前記芯材と前記第二底板の表面とがそれぞれ接合されているとともに、前記第一周壁部と前記第二周壁部とが全周囲に亘って摩擦攪拌接合されていることを特徴とする陽極酸化処理用複合部材。
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