JP2014079800A - クラッド材補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明のクラッド材補修方法は、クラッド材の性能を低下させずに容易に実施することが可能なクラッド材補修方法を提供することを目的とする。
【解決手段】低合金鋼12aからなる母材12の表面に合材11が肉盛溶接されてなるクラッド材1から、合材11中の欠陥3を補修するクラッド材補修方法であって、合材11の表面から回転工具2を回転させながら挿入して、回転工具2を母材12の表面に沿って移動させることを特徴とする
【選択図】図1

Description

本発明は、クラッド材補修方法に関する。
一般に、原子炉等の原子力プラントは、原子炉圧力容器など多数の機器や配管の部材により構成されている。原子炉圧力容器等に使用される強度部材は耐食性を確保するために、低合金鋼の表面にステンレス鋼等をクラッディングして構成されるクラッド材を用いることが多い。これらの部材は大型で放射線に曝されていることもあり、長期にわたって使用した際には、交換ではなく検査を行い内部の補修が必要となってくることは避けられない。
近年、検査技術の向上に伴って、今まで発見できなかった炉内構造物等におけるクラッディングされた層と低合金鋼との境界に発生する欠陥が発見されている。このような欠陥に対する補修方法としては、欠陥の存在する領域を削り取った後に肉盛溶接を実施することが一般的である。
ところで、原子炉圧力容器や炉内構造物は中性子による照射を受けている。中性子の照射を受けた材料である照射材では、低合金鋼中に含まれるホウ素(B)やニッケル(Ni)が核変換を引き起こし、ヘリウム(He)を生じさせる。このため、照射材を肉盛溶接すると溶接割れを生じ易いことが指摘されている。例えば、照射材の溶接割れ発生原因の一つとして、溶接加熱によるHeの結晶粒界への集積が挙げられている。
また、クラッド材を肉盛溶接する場合、照射によって低合金鋼中に生じたHeが補修溶接金属中に溶解し、凝固時に気孔となりポロシティ欠陥となる。ポロシティ欠陥とは、溶接欠陥の一種で、溶接金属中に生じる球状の空洞やビード表面に生じた小さなくぼみ穴などの総称である。少量のポロシティは、球形欠陥のため溶接された部分の性能に大きな悪影響を及ぼさないが、並んで数多く発生した場合は、曲げ延性の劣化やき裂伝播の促進を促してしまう。このポロシティの発生量は、He量だけでなく、溶接入熱の影響も受けるため、溶接方法や溶接条件に制約が必要である。
これを抑制するために、従来は、自動TIG溶接による溶接入熱量の制御や、自動TIG溶接よりさらに入熱を抑制できるレーザービーム溶接等による肉盛溶接法が用いられている。
さらに、クラッド材を肉盛溶接する場合、クラッディングされた層だけを肉盛溶接しても、低合金鋼部分も溶接による熱の影響を受け強度低下を起こす。そのため強度低下を回復させる肉盛溶接後の熱処理が必要である。高放射線量を有する大型構造物である原子炉圧力容器に肉盛溶接後の熱処理を実施することは極めて困難であり、補修溶接に際しては肉盛溶接後の熱処理が不要なテンパービード溶接方法が用いられている。テンパービード溶接方法は、溶接時の入熱によって低合金鋼の熱の影響を受けて焼き入れされた部分を、後続パスにより焼き戻し、じん性、延性を回復させる溶接方法である。テンパービード溶接方法を用いた補修方法の実施例としては、例えば、非特許文献1が挙げられる。
非特許文献1に記載の方法では、肉盛溶接後の熱処理が困難な一次冷却系統である加圧型原子炉(PWB)容器の出口管台部分と、配管部分とを溶接によって接合する際に使用している。つまり、低合金鋼で構成された出口管台母材と接合されオーステナイト系ステンレス鋼を使用している異材部分が、溶接後の熱処理を行うと鋭敏化する可能性があるため、溶接後の熱処理の不要な自動TIG溶接によるテンパービード溶接方法を使用している。
三菱重工技報vol.43 No.1:2006
しかしながら、テンパービード溶接方法等の肉盛溶接を用いて欠陥を含む部材を補修する場合、まず欠陥を含む領域を削りとることで欠陥を除去してから、除去した部分を肉盛溶接によって埋めて補修を実施する必要がある。また、テンパービード溶接方法の場合は、従来の肉盛溶接の工程に加え、熱処理による焼き戻し効果を得るために一カ所に付き数パスの溶接を実施する必要がある。そのため、補修工数が増加してしまい補修方法が煩雑になるという問題がある。
さらに、肉盛溶接による補修方法は、溶接によってクラッディングされた合材の層だけでなく母材の一部も溶かして固めてしまうため、補修部分の表面の層の組成は、補修前は合材のみだった塑性から、補修後は母材が混在した組成へと変化してしまい、補修前よりも耐食性等の性能が低下してしまうという問題もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、クラッド材の性能を低下させずに容易に補修することが可能なクラッド材補修方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係るクラッド材補修方法は、低合金鋼からなる母材の表面に合材が肉盛溶接されてなるクラッド材から、前記合材中の欠陥を補修するクラッド材補修方法であって、前記合材の表面から回転工具を回転させながら挿入して、該回転工具を前記母材の表面に沿って移動させることを特徴とする。
このような構成によれば、回転工具を回転しながら挿入し母材の表面に沿って移動させることで、クラッド材の合材が攪拌され塑性流動を生じさせる。そして、塑性流動を利用して、母材と合材との境界にある欠陥を攪拌させることで消滅させることができる。これによって、欠陥を除去する工程と除去した領域を肉盛溶接よって補充する工程を別々に実施する必要なくなり、作業工数を削減され、容易に補修を実施することが可能となる。
また、塑性流動によって周辺の金属を攪拌するだけのため、母材に余計な入熱等の影響を与えることがない。そのため、合材と母材が混在してかたまってしまうことがほとんどなく、補修後の合材の組成は補修前の合材の組成からほとんど変化することがない。これによって、補修後も合材の性能が低下することを防止できる。
また、本発明の他の態様に係るクラッド材補修方法は、前記回転工具を液中で移動させることを特徴とする。
このような構成によれば、回転工具を回転させて移動し塑性流動によって合材を攪拌するため、大気中で行う必要がない。そのため、液中で回転工具を回転させ補修を実施することができるため、液体が満たされた中に欠陥のあるクラッド材があっても液体を抜く作業を実施する必要がなく、工数を大幅に削減することが可能となる。
また、液中で行うことで、クラッド材の合材や母材を冷やしながら攪拌を行うことができ、合材を攪拌する際の摩擦熱がすぐに冷却され母材まで熱が伝わりづらくなる。そのため、母材の表面の温度上昇を抑えることができ、攪拌された合材に母材がより混ざりづらくなり補修後も合材の性能が低下することを確実に防止できる。
さらに、本発明の他の態様に係るクラッド材補修方法は、前記回転工具を移動する際の前記母材の表面の温度が700℃よりも低いことを特徴とする。
このような構成によれば、母材の表面の温度を700℃よりも低くすることで、鋼の変態する温度に達することなく回転工具による攪拌を行うことができる。そのため、回転工具の先端と母材の表面との間に生じる摩擦熱の影響で母材の強度劣化が生じることがない。これにより、強度を回復させるための熱処理を実施する必要がなくなり、作業工数がより削減され、より容易に補修を実施することが可能となる。
また、本発明の他の態様に係るクラッド材補修方法は、前記回転工具の先端が凸曲面形状をなしていることを特徴とする。
このような構成によれば、回転工具の先端形状を凸曲面形状とすることで、母材の表面と回転工具の先端との接触面積が減少する。つまり、回転工具の回転及び移動により摩擦を受ける母材の表面積が減少し、母材が受ける摩擦熱の量を低減することが可能となり、摩擦熱の影響による母材の強度劣化が生じる範囲を抑えることができる。これにより、延性やじん性などの強度を回復させるための熱処理を実施する範囲が狭くなり、作業工数がより削減され、より一層容易に補修を実施することが可能となる。
さらに、本発明の他の態様に係るクラッド材補修方法は、前記欠陥における前記合材の表面から深さを測定することで、前記合材の表面から回転工具を回転させながら挿入する深さを決定することを特徴とする。
このような構成によれば、欠陥のある位置の深さを測定しその深さまでしか回転工具を挿入しないため、欠陥が母材と合材の境界付近にない場合には、母材の表面まで回転工具を近づけずに攪拌が実施される。そのため、母材へ摩擦熱が伝わりづらくなり、摩擦熱の影響による母材の強度劣化を抑えることができる。これにより、延性やじん性などの強度を回復させるための熱処理を実施する必要がなくなり、作業工数がより削減され、容易に補修を実施することが可能となる。
本発明のクラッド材補修方法によれば、補修後も材料の組成をほとんど変化させないことで、クラッド材の性能低下を防止しながら、補修工数を削減して容易に実施することが可能なクラッド材補修方法を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係るクラッド材補修方法の行程を説明する模式図で、同図(a)は回転工具挿入前の横断面図、同図(b)は欠陥除去時の横断面図、同図(c)は回転工具挿入後の横断面図である。 本発明の第二実施形態に係るクラッド材補修方法の行程を説明する模式図で、同図(a)は回転工具挿入前の横断面図、同図(b)は欠陥除去時の横断面図、同図(c)は回転工具挿入後の横断面図である。 本発明の第三実施形態に係るクラッド材補修方法の行程を説明する模式図で、同図(a)は回転工具挿入前の横断面図、同図(b)は欠陥除去時の横断面図、同図(c)は回転工具挿入後の横断面図である。
以下、本発明に係る第一実施形態について図1を参照して説明する。
図1(a)に示すように、第一実施形態のクラッド材補修方法は、低合金鋼12aを母材12としステンレス鋼11aを合材11とするクラッド材1で形成された原子炉容器の内壁面に欠陥3がある場合に、原子炉容器内に張られた水Wを抜くことなく、水Wの中で摩擦攪拌接合(FSW)による補修を実施する。
摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding)は、回転工具本体21と回転工具本体21の先端から突出するプローブ22と有する回転工具2を回転させながら強い力で押し付けることで、摩擦熱を発生させて材料を軟化させると共に、プローブ22を部材に挿入させ回転工具2の回転力によって周辺の材料を攪拌させ塑性流動を生じさせることで材料を溶かさずに一体化させる接合方法である。
回転工具2は、回転する回転工具本体21と回転工具本体21の先端から突出して形成されるプローブ22とを有する。
回転工具本体21は、軸線Oを中心とする円筒状に形成されており、軸線方向の一端にプローブ22が形成されており、他端にモーター等を有する装置が接続されており、軸線Oを中心として回転されている。
プローブ22は、回転工具2の一端から突出して回転工具本体21よりも小さい径の円筒形状で形成されており、より詳細には軸線Oに沿って先端に向かうにしたがってわずかに縮径する円錐台形状をなしている。
なお、プローブ22は、公知の摩擦攪拌接合に用いられるものが使用でき本実施形態の形状に限定されない。例えば、らせん形状の溝を表面に有する形状としても良い。
摩擦攪拌接合を用いたクラッド材補修方法は、低合金鋼12aを母材12としステンレス鋼11aを合材11とするクラッド材1において、水Wの中で、ステンレス鋼11aにプローブ22を挿入し、挿入したプローブ22を回転しながら移動することで欠陥3を除去する。
本実施形態におけるクラッド材1は、低合金鋼12aからなる母材12の表面に、ステンレス鋼11aからなる合材11を二層になるように肉盛溶接によって接合した材料であり、原子炉容器の内壁面を形成している。
図1(a)に示すように、合材11であるステンレス鋼11a内部の母材12である低合金鋼12aとの境界付近に欠陥が検出された場合に、原子炉容器内に張られた水Wを抜かずに作業を行う。まず、原子炉容器内に張られた水Wの中で回転工具本体21と回転工具本体21の先端に形成されたプローブ22とを有する回転工具2を回転させる。そして、欠陥3が存在する部分からわずかにずらした位置に、回転しているプローブ22を押し付けることで摩擦熱を生じさせる。ステンレス鋼11aは摩擦熱によって塑性流動を生じる。塑性流動が生じている状態で、プローブ22をステンレス鋼11aへ押し付け続けて、ステンレス鋼11a攪拌しながら母材12である低合金鋼12aの表面にプローブ22の先端が接触する位置までプローブ22を挿入する。
図1(b)、(c)に示すように、ステンレス鋼11a内でプローブ22を回転させ続けた状態で、欠陥3のある方向(図1左方向から図1右方向)へプローブ22を低合金鋼12aの表面にプローブ22の先端を沿わせながら移動させる。プローブ22が回転しながら移動することで、ステンレス鋼11aとステンレス鋼11a内の欠陥3とが塑性流動によって攪拌され、欠陥3が除去される。そして、プローブ22を抜き取ることでステンレス鋼11aのプローブ22の通過した部分に、塑性流動によって攪拌されたステンレス鋼11aが固まった塑性流動領域4が形成され補修を終了する。
上記のような第一実施形態におけるクラッド材補修方法によれば、回転工具2のプローブ22を回転しながら挿入し、母材12である低合金鋼12aの表面に沿って移動させることで、クラッド材1の合材11であるステンレス鋼11aが攪拌され、ステンレス鋼11aに塑性流動を生じさせる。そして、塑性流動を利用し、ステンレス鋼11a内のステンレス鋼11aと低合金鋼12aとの境界付近に生じた欠陥3を周りのステンレス鋼11aとともに攪拌することで消滅させることができる。これによって、欠陥3の除去のために周辺部分を削り取り、削り取った部分を補充する工程をそれぞれ別々に実施する必要がなくなり、作業工数が削減され、容易に補修を実施することが可能となる。
また、溶接によって金属を溶かしてから固める方法とは異なり、塑性流動によって周辺の金属を攪拌するだけのため、母材12である低合金鋼12aに余計な入熱等の影響を与えることがない。そのため、低合金鋼12aが溶解しステンレス鋼11aと混在して固まってしまうことがほとんどなく、補修後にステンレス鋼11aに形成された塑性流動領域4の組成は補修前のステンレス鋼11aのいの組成からほとんど変化することがない。このため、補修後も合材11であるステンレス鋼11aの耐食性等の材料性能が低下することを防止できる。
さらに、摩擦攪拌接合は回転工具2のプローブ22を回転させながら移動し、塑性流動によってステンレス鋼11aを攪拌するため、通常の肉盛溶接のように大気中で行う必要がない。肉盛溶接の場合は、大気中で行う必要があるため、定常状態で水Wが張られている原子炉容器内の高放射線量を有する水Wを抜かなければならず多大な労力がかかる。しかし、水Wの中で回転工具2を回転させ補修を実施することができるため、原子炉容器内の水抜きを実施する必要がなく工数を大幅に削減することが可能となる。
また、水Wの中で行うことで、ステンレス鋼11aや低合金鋼12aを冷やしながら攪拌を行うことができるため、ステンレス鋼11aを攪拌する際の摩擦熱がすぐに冷却され低合金鋼12aまで熱が伝わりづらくなる。そのため、プローブ22の接触している低合金鋼12aの表面の温度上昇を抑えることができ、ステンレス鋼11aを攪拌した際に低合金鋼12aが溶解をさらに抑えることができる。これにより、攪拌されたステンレス鋼11aに低合金鋼12aがより混ざりづらくなり補修後も合材11であるステンレス鋼11aの耐食性等の性能が低下することを確実に防止できる。
さらに、水Wの中で行うことで、水Wが冷却材の役割を果たすため、摩擦攪拌接合を実施する際に新たな冷却材を用いる必要がなく効率的に補修を実施することができる。
次に、図2を参照して第二実施形態のクラッド材補修方法について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二実施形態のクラッド材補修方法は、プローブ22の先端形状及び回転工具2の施工条件について第一実施形態と相違する
即ち、第二実施形態では、回転工具2が半球プローブ22aを有する半球回転工具2aであり、半球プローブ22aを用いることで補修後の塑性流動された範囲が半球塑性流動領域4aとなる点が異なる。
半球プローブ22aは、低合金鋼12aの表面と接する側の先端が凸曲面形状をなしており、本実施形態では半球形状をなしている。
図2(a)に示すように、合材11であるステンレス鋼11a内部の母材12である低合金鋼12aとの境界付近に欠陥が検出された場合に、原子炉容器内に張られた水Wを抜かずに作業を行う。まず、原子炉容器内に張られた水Wの中で回転工具本体21と回転工具本体21の先端に形成された半球プローブ22aとを有する回転工具2を回転させる。そして、欠陥3が存在する部分からわずかにずらした位置に、回転している半球プローブ22aを押し付けることで摩擦熱を生じさせる。ステンレス鋼11aは摩擦熱によって塑性流動を生じる。塑性流動が生じている状態で、半球プローブ22aをステンレス鋼11aへ押し付け続けて、ステンレス鋼11aを攪拌しながら母材12である低合金鋼12aの表面に半球プローブ22aの先端が接触する位置まで半球プローブ22aを挿入する。
図2(b)、(c)に示すように、ステンレス鋼11a内で半球プローブ22aの回転速度を一定に保って回転させ続け、ステンレス鋼11aを攪拌しながら、低合金鋼12aの表面に半球プローブ22aの先端が沿わせながら欠陥3のある方向へ半球回転工具2aを移動させる。移動速度は、低合金鋼12aと半球プローブ22aの先端との接触部分の温度を700℃以下になるように設定する。
なお、移動速度及び回転速度によって低合金鋼12aに半球回転工具2aを接触させた際の温度が鋼の変態する温度である700℃以下となるように適宜設定されれば良く、例えば、回転速度が一定の場合には移動速度が250〜300[mm/分]程度に設定されることが好ましい。
そして、半球回転工具2aが回転しながら移動することで、ステンレス鋼11aとステンレス鋼11a内の欠陥3とが塑性流動によって攪拌され、欠陥3が除去される。その後、半球プローブ22aを抜き取ることでステンレス鋼11aの半球プローブ22aの通過領域にステンレス鋼11aの水W側の表面よりも低合金鋼12a側の表面の方が狭くなるように半球塑性流動領域4aが形成され補修を終了する。
上記のような第二実施形態におけるクラッド材補修方法によれば、低合金鋼12aの表面の温度を700℃よりも低くすることで、鋼の変態する温度に達することなく半球回転工具2aによる攪拌を行うことができる。そのため、半球プローブ22aの先端と低合金鋼12aの表面との間に生じる摩擦熱の影響で低合金鋼12aの強度劣化が生じることがない。これにより、延性やじん性などの強度を回復させるための熱処理を実施する必要がなくなり、作業工数がより削減され、より容易に補修を実施することが可能となる。
また、プローブ22を半球プローブ22aとして先端が凸曲面形状である半球形状とすることで、攪拌後にステンレス鋼11aの水W側の表面よりも低合金鋼12a側の表面の方が狭くなるように半球塑性流動領域4aが形成される。これにより、低合金鋼12aの表面とプローブ22の表面との接触面積が減少することになる。つまり、半球プローブ22aの回転及び移動により摩擦を受ける低合金鋼12aの表面積が減少し、低合金鋼12aが受ける摩擦熱の量を低減することが可能となり、摩擦熱の影響による低合金鋼12aの強度劣化が生じる範囲を抑えることができる。そのため、延性やじん性などの強度を回復させるための熱処理を実施する範囲が狭くなり、作業工数がより削減され、より一層容易に補修を実施することが可能となる。
次に、図3を参照して第三実施形態のクラッド材補修方法について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第三実施形態のクラッド材補修方法は、センサー5を有する点について第一実施形態と相違する
即ち、第三実施形態では、プローブ22の先端にセンサー5を有する。
センサー5は、プローブ22の先端部分に埋め込まれ、超音波によって欠陥3の水W側の表面からの深さを計測する。
なお、センサー5の種類は超音波によるものに限られず、放射線を用いたものや渦電流を用いたものなど公知の計測器が使用されれば良い。
図3(a)に示すように、合材11であるステンレス鋼11a内部の中間付近に欠陥が検出された場合に、原子炉容器内に張られた水Wを抜かずに作業を行う。まず、プローブ22の先端部分によって、水W側の表面からのステンレス鋼11a内にある欠陥3の深さを計測し、プローブ22を挿入する深さを決定する。そして、原子炉容器内に張られた水Wの中で回転工具本体21と回転工具本体21の先端に形成されたプローブ22とを有する回転工具2を回転させる。その後、原子炉容器の内壁面を形成しており、クラッド材1の欠陥3が発見された部分に対して、回転しているプローブ22を押し付けることで摩擦熱を生じさせる。ステンレス鋼11aは摩擦熱によって塑性流動を生じる。塑性流動が生じている状態で、プローブ22をステンレス鋼11aへ押し付け続けることで、欠陥3の存在する深さまでプローブ22を挿入する。
図3(b)、(c)に示すように、ステンレス鋼11a内でプローブ22を回転させ続けた状態で、欠陥3の存在する深さで左右方向(図3左右方向)へ回転工具2を移動させる。プローブ22が回転しながら移動することで、ステンレス鋼11aとステンレス鋼11a内の欠陥3とが塑性流動によって攪拌され、欠陥3が除去される。そして、プローブ22を抜き取ることでステンレス鋼11aのプローブ22の通過した部分に、塑性流動によって攪拌されたステンレス鋼11aが固まった小塑性流動領域4bが形成され補修を終了する。
上記のような第三実施形態におけるクラッド材1の補修方法によれば、水W側の表面からの欠陥3のある位置の深さを測定し、その深さまでしかプローブ22を挿入させずに攪拌を実施する。つまり、ステンレス鋼11aの内部にある欠陥3が低合金鋼12aとの境界部分ではなく水W側の表面に近い位置あった場合に、低合金鋼12aの表面までプローブ22を近づけずに攪拌が実施される。そのため、低合金鋼12aへ摩擦熱が伝わりづらくなり、摩擦熱の影響による低合金鋼12aの強度劣化を抑えることができる。これにより、延性やじん性などの強度を回復させるための熱処理を実施する必要がなくなり、作業工数がより削減され、容易に補修を実施することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
なお、クラッド材1に使用される合材11としてはステンレス鋼11aに限られるものではなく、クラッド材1が使用される環境によって適宜異なり、例えばニッケルを主成分としたインコネルが用いられている場合もある。
また、本実施形態では、クラッド材で内壁面を形成された原子炉容器等の内部に水が満たされていたが、水に限られるものではなく、使用される装置によって液体の種類は適宜変更される。例えば、油が満たされていても良く、他の水溶液であっても良い。
W…水 1…クラッド材 11…合材 12…母材 11a…ステンレス鋼 12a…低合金鋼 O…軸線 2…回転工具 21…回転工具本体 22…プローブ 3…欠陥 4…塑性流動領域 22a…半球プローブ 4a…半球塑性流動領域 4b…小塑性流動領域 5…センサー

Claims (5)

  1. 低合金鋼からなる母材の表面に合材が肉盛溶接されてなるクラッド材から、前記合材中の欠陥を補修するクラッド材補修方法であって、
    前記合材の表面から回転工具を回転させながら挿入して、該回転工具を前記母材の表面に沿って移動させることを特徴とするクラッド材補修方法。
  2. 前記回転工具を液中で移動させることを特徴とする請求項1に記載のクラッド材補修方法。
  3. 前記回転工具を移動する際の前記母材の表面の温度が700℃よりも低いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクラッド材補修方法。
  4. 前記回転工具の先端が凸曲面形状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクラッド材補修方法。
  5. 前記欠陥における前記合材の表面から深さを測定することで、
    前記合材の表面から回転工具を回転させながら挿入する深さを決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクラッド材補修方法。
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