JP2022000315A - ウェルドボンド継手の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板とアルミニウム板における良好なはく離強度を有するウェルドボンド継手およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、鋼板とアルミニウム板を2枚以上重ね合わせてウェルドボンド接合されたウェルドボンド継手であって、鋼板とアルミニウム板の重ね合わせ面に溶接部と、硬化した接着剤とを有し、溶接部を構成するアルミニウム板のナゲットは、接着剤を塗布する前のアルミニウム板に比べて、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量の合計が0.1%以上増加している。【選択図】図2

Description

本発明は、鋼板とアルミニウム板とを2枚以上重ね合わせた板組みを、接着剤と抵抗スポット溶接を複合したウェルドボンド方法により接合したウェルドボンド継手とその製造方法に関する。なお、本発明においてアルミニウム板とは、純アルミニウム板とアルミニウム合金板を総称したものを意味する。
近年、自動車産業では、自動車車体(以下、車体を称する)の軽量化による燃費向上を目的として、車体へのアルミニウム合金等の軽金属の適用が進められている。これに加えて最近では、操縦安定性の向上を目的として、車体剛性の一層の向上も求められている。車体における鋼板同士の接合方法として、他の溶接方法に比べてコストや効率面で優位にある抵抗スポット溶接法が最も多く用いられている。そして、上述のように車体の剛性向上のニーズより、接着剤と抵抗スポット溶接を複合化させたウェルドボンド法の適用が進められている。ここで言うウェルドボンド法とは、接着剤を併用した抵抗スポット溶接のことで、接着剤を事前に塗布した後に抵抗スポット溶接を行う方法を指す。
抵抗スポット溶接法の場合、自動車1台あたりの打点数は3000点から6000点に及ぶ。この抵抗スポット溶接法は、重ね合わせた2枚以上の鋼板を挟んでその上下から一対の電極で加圧しつつ、上下電極間に高電流の溶接電流を短時間通電し、高電流の溶接電流を流すことで発生する抵抗発熱により鋼板を溶融し凝固させた溶接部を形成し、接合する方法である。車体の生産工程におけるコストと効率の維持という観点からは、鋼板同士の接合の場合と同様に、鋼板にアルミニウム板が混在する接合の場合であっても抵抗スポット溶接法を用いることが有効である。しかし、鋼とアルミニウムの異種材料の接合においては、通電時の電極の加圧により軟質なアルミニウム板が大きく減厚したり、鋼板とアルミニウム板の接合界面に脆弱な金属間化合物が形成したりすることで継手強度(特に十字引張強度などに代表される、はく離方向への負荷が生じる際のはく離強度)が確保できないという課題がある。
ウェルドボンド法の場合、接着のみの接合に比べて、衝撃強度、高温強度、耐クリープ性等が改善された接合部を形成することが可能となる。また、抵抗スポット溶接のみの場合に比べて、疲労特性、剛性等が改善されることや、接合部にシール性が付与されることに起因して耐食性が向上する。これらの利点から、自動車の製造工程にウェルドボンド法の適用が進められている。しかし、接着剤が硬化するまでの間、被接合材料は抵抗スポット溶接のみで固定される。また、接着剤を硬化させるために被接合材料を加熱したときには、被接合材料との熱膨張率の差などに起因した熱応力が接合部に加わるため、この応力に耐えることができる強度を必要とする課題もある。
上記の課題を解決するため、以下に述べるような技術が提案されている。
鋼材とアルミニウム材の抵抗スポット溶接法としては、例えば、特許文献1には、鋼板とアルミニウム板の間に鉄およびアルミニウムクラッド薄板を同種材同士が向かい合うようにインサートさせることで、低電流でも高強度の継手が得られる抵抗スポット溶接方法が記載されている。特許文献2には、鋼板とアルミニウム板の両側に当て板を1枚以上添えて溶接を行うことで、当て板と被接合材料との界面が抵抗発熱し、鋼とアルミニウムが抵抗拡散接合されて高強度の継手が得られる抵抗スポット溶接方法が記載されている。特許文献3には、鋼材とアルミニウム材をスポット溶接するにあたり、鋼板および鋼板表面酸化皮膜におけるMnおよびSiの各量を適正化することで、大きいナゲット径を得つつ散り発生を抑制する方法が記載されている。特許文献4には、パルセーション通電の条件を適正化するとともに、通電完了後の加圧力を増加させることで、接合界面の金属間化合物の成長を抑制する異種金属接合方法が記載されている。特許文献5には、前通電およびその後の通電条件を適正化することで、鋼板表面からのチリ発生を抑制するとともに、溶接電流もできるだけ小さくすることができ、これにより高い接合強度を有する異材接合部が得られるスポット溶接方法が記載されている。
また、ウェルドボンド法としては、例えば、特許文献6には、鋼材とアルミニウム材をスポット溶接するにあたり、鋼材接合面に接着剤を塗布した状態で抵抗スポット溶接し、加熱炉にて接着剤を硬化させることで、剥離強度と耐食シール性に優れた継手をえることができる、ウェルドボンド方法が記載されている。
特許第3117053号公報 特許第3504790号公報 特許第4469165号公報 特許第5624901号公報 特許第5572046号公報 特許第3002434号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の抵抗スポット溶接方法では、車体の構造上不要である当て板やクラッド薄板の使用、さらには車体の生産ラインの工程変更が必要となる。このため、大幅なコスト増や重量低減が十分に図れないなどの問題がある。
特許文献3では、鋼板および酸化皮膜中の合金元素量および分布を限定する必要があるため、要求性能を満たす鋼板の使用が制限されるなどの問題がある。特に最近では鋼板の高強度化に伴い高合金化が進んでいる状況下にあり、特許文献3の技術の適用は極めて制限される。
特許文献4では、前通電の通電時間は20ms以下、パルセーション通電の通電時間は10ms以下といずれも短時間であり、接合径を拡大するためには前通電およびパルセーション通電ともに高電流化が必須となる。このため、鋼板の固有抵抗が高い場合や、板厚が大きい場合には、鋼板表面における散り発生の懸念がある。
特許文献5では、アルミニウム合金板を溶融させない条件で前通電を行う必要があるが、アルミニウム合金板は鋼板と比較して低融点であるため、板組みによっては前通電の適正条件範囲が非常に狭くなるという問題がある。また、適用可能な板組みは、冷延鋼板と6000系アルミニウム合金板に限定されるという問題もある。
特許文献6では、接着剤の加熱硬化後の継手強度に関しては保証されているものの、加熱硬化前の継手強度に関しては保証されていない。このため、加熱硬化前に継手が破断する恐れがあった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、溶接部自体の強度を向上させることにより、鋼板とアルミニウム板の成分や板組みによらず、鋼板とアルミニウム板における良好なはく離強度を有するウェルドボンド継手およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、以下の知見を得た。
鋼板とアルミニウム板の抵抗スポット溶接において、はく離強度を確保するために重要な要素は、接合部へ付与される応力を低減するために、極力大きい接合径を得つつ、接合界面の脆弱な金属間化合物の成長を抑制することである。大きい接合径を得るためには、溶接電流や通電時間を増加させることが一般的に有効である。しかしながら、この場合には入熱が大きくなり、接合界面の脆弱な金属間化合物が成長しやすくなってしまう。このため、ナゲット径の確保と金属間化合物の成長の抑制との両立は難しく、鋼板とアルミニウム板での抵抗スポット溶接継手のはく離強度の確保は困難であった。
本発明者らはこの問題を解決するために、ナゲットの成分を調整し、金属間化合物の成長を抑制することが必要であると考えた。
一般的に、鋼板とアルミニウム板の接合界面での金属間化合物の成長を抑制するためには、Siが効果的である。しかし、母材の成分設計により解決する方法では、母材の合金元素の含有量および分布を限定する必要がある。すなわち、この要求性能を満たす母材のみに使用が制限されるなどの課題を生じる。そのため、上述のように鋼板の高強度化に伴う高合金化が進んでいる状況下では、この方法による解決は現実的ではない。
そこで、本発明では、溶融部を構成するアルミニウム板側のナゲットに着目し、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量を調整することで、金属間化合物の成長を抑制できることを知見した。さらに、本発明では、ウェルドボンド接合に用いる接着剤に着目し、鋭意検討した。そして、所定の条件を満たす純金属または合金を接着剤に添加することで、より一層金属間化合物の成長を抑制できることも知見した。
本発明は、上述の知見に基づいて完成されたものであり、以下を要旨とするものである。
[1] 鋼板とアルミニウム板を2枚以上重ね合わせてウェルドボンド接合されたウェルドボンド継手であって、
鋼板とアルミニウム板の重ね合わせ面に溶接部と、硬化した接着剤とを有し、
前記溶接部を構成する前記アルミニウム板のナゲットは、接着剤を塗布する前の前記アルミニウム板に比べて、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量の合計が0.1%以上増加していることを特徴とするウェルドボンド継手。
[2] 前記接着剤に、純金属または合金が予め含有されていることを特徴とする[1]に記載のウェルドボンド継手。
[3] 前記純金属または前記合金の融点が、1200℃以下であることを特徴とする[2]に記載のウェルドボンド継手。
[4] 前記純金属または前記合金の金属元素が、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上であることを特徴とする[2]または[3]に記載のウェルドボンド継手。
[5] 鋼板とアルミニウム板の重ね合わせ面のうち少なくとも1つの界面に予め接着剤を塗布し、
アルミニウム板が最外層に配置されるように、鋼板とアルミニウム板を2枚以上重ね合わせ、
その後、重ね合わせた鋼板とアルミニウム板を一対の電極で挟み、加圧しながら通電する抵抗スポット溶接を施して溶接部を形成し、ウェルドボンド接合するウェルドボンド継手の製造方法であって、
前記溶接部を構成する前記アルミニウム板のナゲットは、前記接着剤を塗布する前の前記アルミニウム板に比べて、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量の合計が0.1%以上増加していることを特徴とするウェルドボンド継手の製造方法。
[6] 前記接着剤に、純金属または合金が予め含有されていることを特徴とする[5]に記載のウェルドボンド継手の製造方法。
[7] 前記純金属または前記合金の融点が、1200℃以下であることを特徴とする[6]に記載のウェルドボンド継手の製造方法。
[8] 前記純金属または前記合金の金属元素が、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上であることを特徴とする[6]または[7]に記載のウェルドボンド継手の製造方法。
本発明は、溶接部自体の強度を確保できるため、鋼板とアルミニウム板における良好なはく離強度を有するウェルドボンド継手を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態における溶接前の板組を模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態におけるウェルドボンド継手の溶接部を説明する図である。 図3(A)〜図3(C)は、本発明で使用する各種電極形状の一例を示す概略図である。
以下、本発明のウェルドボンド継手およびウェルドボンド継手の製造方法について説明する。なお、本発明はこの実施形態に限定されない。本発明において「ウェルドボンド継手」とは、強度試験および断面観察などに用いられるテストピースや、ウェルドボンド法により接合された自動車部材を含めた総称とする。
まず、図1、2を用いて、本発明のウェルドボンド継手1について説明する。図1は、本発明の一実施形態における溶接前の板組を模式的に示す図である。図2は、本発明の一実施形態におけるウェルドボンド継手1の溶接部を説明する図である。
本発明は、鋼板2とアルミニウム板3を2枚以上重ね合わせてウェルドボンド接合されたウェルドボンド継手1であって、鋼板2とアルミニウム板3の重ね合わせ面に溶接部7と、硬化した接着剤4とを有する。溶接部7を構成するアルミニウム板のナゲット7aは、接着剤4を塗布する前のアルミニウム板3に比べて、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量の合計が0.1%以上増加している。
また、本発明のウェルドボンド継手1は、接着剤4に純金属または合金を予め含有することができる。
さらに、接着剤4に含有される純金属または合金の融点は、1200℃以下とすることができる。さらにまた、純金属または合金の金属元素は、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上とすることができる。
本発明では、図1に示すように、鋼板2の一方の面に接着剤4を塗布し、その塗布面の上にアルミニウム板3を直接重ね合わせて板組みとする。鋼板2とアルミニウム板3を2枚以上重ね合わせた板組みを、一対の電極5、6(上電極および下電極)により挟み加圧しながら、上下の電極5、6間に高電流の溶接電流を短時間通電し、溶接を行う。接合界面では、抵抗発熱による溶融接合を起こす。また、この抵抗発熱により接着剤4が硬化して接着剤によって接合される。なお、必要に応じてさらに加熱等を行い、接着剤を硬化させてもよい。これにより、図2に示すような、溶接部7を有する鋼板2とアルミニウム板3のウェルドボンド継手1を得られる。
なお、ここでは、本発明のウェルドボンド継手1として、鋼板2およびアルミニウム板3の2枚が積層される場合を例に説明するが、鋼板およびアルミニウム板を3枚以上積層させてもよい。また、積層される鋼板およびアルミニウム板は、同種、同形状の鋼板であってもよいし、異種、異形状の鋼板であってもよい。本発明では、このように積層される鋼板2およびアルミニウム板3は、その表面にめっきを施したもの、加えて、さらに表面に酸化被膜を形成したものを用いることができる。
図1に示す例では、板厚tFe(mm)の鋼板2に、エポキシ樹脂に所定量のAl−Siを添加した接着剤4を塗布し、その塗布面の上に板厚tAl(mm)のアルミニウム板3を直接重ね合わせた板組みに、抵抗スポット溶接を行う。この時、溶接電流による抵抗発熱で、接着剤4に含まれるエポキシ樹脂は蒸発し、添加したAl−Siが溶融部に残存する。このAl−Siがナゲット7内に溶融することで、ナゲット7(以下、溶接部と称する。図2を参照。)と鋼板2およびアルミニウム板3との接合界面における金属間化合物の成長を抑制することができる。これにより、溶接部7の強度を向上させることができる。
以下に、本発明で使用する接着剤4および本発明で得られる溶接部7の構成について、それぞれ説明する。
[ 接着剤 ]
接着剤4は、鋼板2およびアルミニウム板3を2枚以上重ね合わせる場合、重ね合わせる鋼板2およびアルミニウム板3のいずれか一方の板の接合面に塗布しても、両方の板の接合面に塗布してもよい。接着剤は、自動車分野等で一般的に使用されるエポキシ樹脂を用いる。
本発明の接着剤4は、エポキシ樹脂に硬化剤、充填材、変性材等を配合したエポキシ樹脂系接着剤に、純金属または合金を予め含有させたものを用いる。本発明で含有させる純金属または合金の金属元素は、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上であることが好ましい。Siを添加する場合、例えば、Al−Si粉末、Cu−Si粉末、Zn−Si粉末、Al−Cu−Si粉末、Al−Zn−Si粉末を用いることができる。
一例として、ウェルドボンド接合に用いる接着剤4にAl−Si粉末を添加することにより、金属間化合物の成長を抑制する方法について説明する。
Si添加により、より短時間での金属間化合物の生成を促す一方で、生成した金属間化合物の成長を遅らせることができる。これにより、より低入熱で薄い金属間化合物を均一に生成する効果が得られる。
ここでは、接着剤4としてエポキシ系樹脂にAl−Si粉末を添加した場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、CuやZnを添加してもよい。CuはSiと併せて添加することで、より低温での金属間化合物形成を可能とする。ZnはFe−Al−Znの3元共晶により融点が下がり、より広範囲でAlを溶かすことができる。
融点が下がることで、同じ入熱量でもより広範囲でAlを溶かすことができる。また、融点が下がることで、Alを溶解するための入熱量を抑えることができ、金属間化合物の成長を抑制する効果が得られる。このように、接着剤に上記した適量の純金属および合金を添加することにより、得られる継手の溶接部自体の強度を確保できる。
なお、接着剤4に添加する純金属または合金としては、その融点が1200℃以下であることが好ましい。これらの融点が1200℃を超えると、溶け残りを防げない場合があり、溶接部強度の低下を招く恐れがある。より好ましくは、添加する純金属または合金の融点は、1100℃以下とする。
[ 溶接部 ]
本発明の溶接部7は、図2に示すように、鋼板2とアルミニウム板3の接合面(界面)の両側に形成される。ここでは、この接合面において、アルミニウム板3側に形成されるナゲットを「アルミニウム板のナゲット7a」と称し、鋼板2側に形成されるナゲットを「鋼板のナゲット7b」と称する。
アルミニウム板のナゲット7aは、鋼板2からの伝熱により溶融した部分を指し、ナゲット中心線での断面における、ナゲット端部間の距離をナゲット径dAlと定義する。例えば、アルミニウム板側のナゲット径dAlの大きさについては特に限定されないが、2√t〜10√tmm(t:アルミニウム板厚)にするのが望ましい。
鋼板のナゲット7bは、鋼板2内部での通電発熱により溶融した部分を指し、ナゲット中心線での断面における、ナゲット端部間の距離をナゲット径dFeと定義する。
[ 溶接部の溶融部における所定の元素の含有量 ]
本発明の溶接部7を構成するアルミニウム板のナゲット7aは、接着剤4を塗布する前のアルミニウム板3に比べて、Si、CuおよびZnのうちから選択される1種または2種以上の含有量の合計が0.1%以上増加している。
上記元素の含有量の合計の0.1%未満では、Si添加による金属間化合物の成長抑制効果を得るのが難しくなる。より好ましくは0.5%以上とする。なお、特に上限は設けないが、粉末増加による溶接性の低下が懸念されるため、50%以下とすることが好ましい。より好ましくは30%以下とする。
本発明のウェルドボンド継手1は、以上の構成により本発明で目的とする特性を得ることができる。なお、必要に応じて下記の構成を加えることができる。
[ 鋼板 ]
本発明では、鋼板の特性は特に限定されないが、自動車組立工程に実用する観点より、引張強さTSが3000MPa以下の鋼板とすることが好ましい。引張強さTSが3000MPa超えでは、溶接性の劣化や、プレス加工等が困難になる恐れがあり、実用的ではない。
また、鋼板の板厚は、接合方法として特に限定されないが、自動車組立工程への適用の観点より、0.3mm以上5.0mm以下とすることが好ましい。0.3mm未満では溶接部の強度が得られない恐れがある。5.0mm超えでは、加工性の観点から適用することが困難になる恐れがある。
[ アルミニウム板 ]
本発明のウェルドボンド継手1に用いるアルミニウム板は、特に限定されないが、自動車組立工程に実用する観点より、例えば、5000系アルミニウム合金板、6000系アルミニウム合金板が好ましい。板厚は、0.3mm以上5.0mm以下とすることが好ましい。
次に、本発明のウェルドボンド継手の製造方法について説明する。
本発明のウェルドボンド継手の製造方法では、まず、鋼板2とアルミニウム板3の重ね合わせ面のうち少なくとも1つの界面に予め接着剤4を塗布し、アルミニウム板3が最外層に配置されるように、鋼板2とアルミニウム板3を2枚以上重ね合わせて板組みとする。その後、重ね合わせた鋼板2とアルミニウム板3の板組みを一対の電極5、6で挟み、加圧しながら通電する抵抗スポット溶接を施して溶接部7を形成し、ウェルドボンド接合する。上述した本発明のウェルドボンド継手1を安定して得るために好適な溶接条件について以下に説明する。
[ 溶接条件 ]
本発明の溶接条件として、溶接電流(kA)および通電時間(ms)の通電パターンは特に制限されない。また、溶接中の加圧力(kN)も特に制限されないため、加圧力を溶接中および溶接前後に変化させてもよい。一方、溶接中の抵抗値および電圧値といったパラメータを監視し、その変動に応じて溶接電流や通電時間を変化させる制御方法を用いても何ら問題無い。
なお、自動車組立工程に実用する観点より、例えば加圧力は1〜10kNとすることが好ましい。1kN未満ではスパッタの発生が懸念される。一方、10kN超えでは、アルミニウム板の減厚が懸念される。
溶接電流は3〜50kAとすることが好ましい。3kA未満では発熱不足による接合不良が懸念される。一方、50kA超えでは入熱過多により溶接欠陥の発生が懸念される。
通電時間は1〜2000msとすることが好ましい。1ms未満では発熱不足による接合不良が懸念される。一方、2000ms超えでは入熱過多により溶接欠陥の発生が懸念される。
[ 電極 ]
本発明では、一対の電極(上電極6および下電極5)は、上下電極5、6の材質や先端の形状も特に限定されない。上記した溶接部7を形成する観点より、上下電極5、6の先端径と先端曲率半径は、例えば、図3に示したようにJIS C 9304:1999に記載ものを用いることができる。上下電極5、6の一例として、図3(A)には各電極の先端がフラット形状(すなわち、先端曲率半径が無限大のもの)のものを示し、図3(B)および図3(C)には各電極の先端が凸型形状のものをそれぞれ示す。図3(B)、(C)に示した先端曲率半径rはドーム部の曲率半径を指し、先端曲率半径Rは電極先端の曲率半径を指す。なお、上下電極5、6は、同じ形状でも良いし、互いに異なる形状のものを用いても良い。
具体的には、鋼板2に接触させる下電極5は、先端径DFe:4mm〜18mmが好ましい。4mm未満では発熱径が不十分であり、18mm超えでは接合に要する電流値を増大させなければならない。先端曲率半径RFe:20mm以上が好ましい。20mm未満では電極と板の接触面積が減少し、電流密度が大きくなることで、チリ発生の懸念がある。
また、アルミニウム板3に接触させる上電極5は、先端径DAl:4mm〜18mmが好ましい。4mm未満では発熱径が不十分であり、18mm超えでは接合に要する電流値を増大させなければならない。先端曲率半径RAl:20mm以上が好ましい。20mm未満では電極と板の接触面積が減少し、電流密度が大きくなることで、チリ発生の懸念がある。
以上説明したとおり、本発明によれば、鋼板とアルミニウム板を2枚以上重ね合わせ、上記した溶接部7を形成し、ウェルドボンド接合することにより、良好なはく離強度と耐食シール性を有するウェルドボンド継手1を得ることができる。
以下、本発明の作用および効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、上記した本発明の要旨を満足する限りいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
供試材として、表1−1、表1−2に示した鋼板およびアルミニウム板を用いた。鋼板とアルミニウム板の接合面に表2に示した接着剤を塗布し、アルミニウム板が最外層に配置されるようにして鋼板とアルミニウム板を2枚重ね合わせて板組とした。接着剤には、表2に示したように、エポキシ系樹脂あるいはエポキシ系樹脂にAl−Si粉末を添加したものをそれぞれ用いた。各板組を一対の電極で挟み、表2に示した所定の溶接条件で抵抗スポット溶接を行った。なお、表2に示した一対の電極として、図3に示す(A)〜(C)の各種電極を用いた。溶接機としてインバータ直流式抵抗スポット溶接機を用い、表2に示した溶接条件(電極先端形状と加圧力と溶接電流および通電時間)を変化させて溶接を行った。
溶接後は、得られた溶接継手を用いて十字引張試験を行い、継手強度を評価した。なお、十字引張試験は、JIS Z 3137:1999に準拠して行った。3枚重ね継手では、鋼板とアルミニウム板界面の強度を評価した。
継手強度の評価は、Al−Si粉末を含む継手の十字引張強度(Fx)がAl−Si粉末を含まない継手の十字引張強度(Fo)に対し、110%以上の強度であった場合を記号○で示し、「優れる」と評価した。一方、110%未満の強度であった場合を記号×で示し、「劣る」と評価した。
接合界面の成分は、Electron Probe Micro Analyzerを用い、ナゲット内部の任意の100μm×100μmの範囲を計5箇所測定し、その時のX線強度から合金元素量を算出し、その平均値を求めた。この平均値を「アルミニウム板のナゲットのSi量(%)」とした。そして、母材(アルミニウム板)のSi量(%)に対するアルミニウム板のナゲットのSi量(%)の増加量を算出して評価した。
以上により得られた評価結果を表3に示す。
Figure 2022000315
Figure 2022000315
Figure 2022000315
Figure 2022000315
表3に示すように、本発明例は、全てのケースで十字引張強度がAl−Si粉末を含まない継手に対し110%以上であり、良好なはく離強度を有していた。
以上のとおり、上記した本発明の溶接部を形成する溶接を行った本発明例では、良好なウェルドボンド継手が得られた。これに対し、本発明の上記した溶接部を形成できない比較例では、良好なウェルドボンド継手が得られなかったことが分かる。
1 ウェルドボンド継手
2 鋼板
3 アルミニウム鋼板
4 接着剤
5 下側電極
6 上側電極
7 溶接部(ナゲット)
7a アルミニウム板のナゲット
7b 鋼板のナゲット

Claims (3)

  1. 鋼板とアルミニウム板の重ね合わせ面のうち少なくとも1つの界面に、純金属または合金が予め含有された接着剤を塗布し、
    アルミニウム板が最外層に配置されるように、鋼板とアルミニウム板を2枚以上重ね合わせ、
    その後、重ね合わせた鋼板とアルミニウム板を一対の電極で挟み、加圧しながら通電する抵抗スポット溶接を施して溶接部を形成し、ウェルドボンド接合するウェルドボンド継手の製造方法であって、
    前記溶接部を構成する前記アルミニウム板のナゲットは、前記接着剤を塗布する前の前記アルミニウム板に比べて、Siの含有量が0.1%以上増加していることを特徴とするウェルドボンド継手の製造方法。
  2. 前記純金属または前記合金の融点が、1200℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のウェルドボンド継手の製造方法。
  3. 前記純金属または前記合金の金属元素が、Siであることを特徴とする請求項1または2に記載のウェルドボンド継手の製造方法。
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