JP7131927B2 - 異材接合法、接合補助部材、及び、異材接合継手 - Google Patents

異材接合法、接合補助部材、及び、異材接合継手 Download PDF

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Description

本発明は、異材接合法、接合補助部材、及び、異材接合継手に関する。
自動車を代表とする輸送機器には、(a)有限資源である石油燃料消費、(b)燃焼に伴って発生する地球温暖化ガスであるCO、(c)走行コストといった各種の抑制を目的として、走行燃費の向上が常に求められている。その手段としては、電気駆動の利用など動力系技術の改善の他に、車体重量の軽量化も改善策の一つである。軽量化には現在の主要材料となっている鋼を、軽量素材であるアルミニウム合金、マグネシウム合金、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などに置換する手段がある。しかし、全てをこれら軽量素材に置換するには、高コスト化や強度不足になる、といった課題があり、解決策として鋼と軽量素材を適材適所に組み合わせた、いわゆるマルチマテリアルと呼ばれる設計手法が注目を浴びている。
鋼と上記軽量素材を組み合わせるには、必然的にこれらを接合する箇所が出てくる。鋼同士やアルミニウム合金同士、マグネシウム合金同士では容易である溶接が、異材では極めて困難であることが知られている。この理由として、鋼とアルミニウムあるいはマグネシウムの溶融混合部には極めて脆い性質である金属間化合物(IMC)が生成し、引張や衝撃といった外部応力で溶融混合部が容易に破壊してしまうことにある。このため、抵抗スポット溶接法やアーク溶接法といった溶接法が異材接合には採用できず、他の接合法を用いるのが一般的である。
従来の異材接合技術の例としては、鋼素材と軽量素材の両方に貫通穴を設けてボルトとナットで上下から拘束する手段があげられる。また、他の例としては、かしめ部材を強力な圧力をかけて片側から挿入し、かしめ効果によって拘束する手段が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、他の例としては、摩擦攪拌接合ツールを用いてアルミ合金と鋼の素材同士を直接接合する手段も開発されている(例えば、特許文献2参照)。
また、他の例としては、穴空けした鋼と穴あけしていないアルミ板を重ね、アルミニウム合金製溶接ワイヤを用いたMIGアーク溶接で、穴を閉塞して異材接合継手とする手段が考案されている。(例えば、特許文献3~5参照)。
特開2002-174219号公報 特許第5044128号公報 特許第4438691号公報 特許第4933923号公報 特開2006-150439号公報
しかしながら、ボルトとナットによる接合法は、鋼素材と軽量素材が閉断面構造を構成するような場合や、鋼素材と軽量素材の一方が閉断面構造を構成する場合(図29参照)に、ナットを入れることができず適用できないことがある。また、適用可能な開断面構造の継手の場合でも、各板の穴の位置を正確に合わせなければならない煩わしさがある。
また、特許文献1に記載の接合法は、比較的容易な方法ではあるが、鋼の強度が高い場合には挿入できない問題があり、且つ、接合強度は摩擦力とかしめ部材の剛性に依存するので、高い接合強度が得られないという問題がある。また、挿入に際しては表・裏両側から治具で押さえ込む必要があるため、閉断面構造には適用できないという課題もある。
さらに、特許文献2に記載の接合法は、アルミ合金素材を低温領域で塑性流動させながら鋼素材面に圧力をかけることで、両素材が溶融し合うことがなく、金属間化合物の生成を防止しながら金属結合力が得られるとされ、鋼と炭素繊維強化樹脂も接合可能という研究成果もある。しかしながら、本接合法も閉断面構造には適用できず、また高い圧力を必要とするので機械的に大型となり、高価であるという問題がある。また、接合力としてもそれほど高くならない。
特許文献3~5に記載の接合法は、アルミニウム合金のMIG溶接金属はその入熱量の大きさと、成分組成の制限により、強度が低い問題がある。また、その熱影響は周囲の母材にも及んで軟化させるため、高い継手強度は得られない。
したがって、既存の異材接合技術は、(i)部材や開先形状が開断面構造に限定される、(ii)接合強度が低い、といった一つ以上の問題を持っている。このため、種々の素材を組み合わせたマルチマテリアル設計を普及させるためには、(i’)開断面構造と閉断面構造の両方に適用できる、(ii’)接合強度が十分に高く、かつ信頼性も高い、という要素を兼ね備えた新技術が求められている。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板材と、該板材と異なる材質の板材とを、安価な回転工具を用いて、強固かつ信頼性の高い品質で接合でき、かつ開断面構造にも閉断面構造にも制限無く適用できる、異材接合法、接合補助部材、及び、異材接合継手を提供することにある。
ここで、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板材と、該板材と異なる材質の板材とを異材接合を達成するには、(A)両部材が溶け合わないようにする、(B)母材を軟化させないために入熱をできるだけ小さくする、(C)応力集中箇所は高強度材質とする、(D)幾何学的に破断しにくい構成とする4つの要件を満たす必要がある。
そこで、本発明者は、上記要件(A)~(D)を全て満たすような下記手段を考案した。
従って、本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 第1の板と、該第1の板の素材と異なるアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の第2の板と、を接合する異材接合法であって、
前記第1の板に穴を空ける工程と、
前記第1の板と前記第2の板を重ね合わせる工程と、
前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有するアルミニウム合金製の接合補助部材の前記小径部を、前記第1の板に設けられた前記穴に挿入する工程と、
前記接合補助部材を前記第2の板の表面に圧力を掛けながら回転させ、摩擦熱で前記第2の板と前記接合補助部材の小径部との接触部を溶融凝固させて摩擦接合し、前記第1の板を前記接合補助部材の大径部と前記第2の板との間で挟み込む工程と、
を備える異材接合法。
(2) 前記接合補助部材の材質は、ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかである、(1)に記載の異材接合法。
(3) 前記接合補助部材の前記大径部は、前記接合補助部材を回転させるための工具からの回転駆動力が伝達されるように、前記工具と係合可能な工具係合部を有する、(1)又は(2)に記載の異材接合法。
(4) 前記重ね合わせ工程の前に、前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の重ね合せ面には、前記穴の周囲に、全周に亘って接着剤を塗布する工程を、さらに備える、(1)~(3)のいずれかに記載の異材接合法。
(5) 前記挿入工程において、前記接合補助部材の大径部と、該大径部と対向する前記第1の板との間の少なくとも一方の対向面に、接着剤を塗布する、(1)~(4)のいずれかに記載の異材接合法。
(6) 前記摩擦接合工程後に、前記接合補助部材の大径部と、前記第1の板の表面との境界部に接着剤を塗布する、(1)~(5)のいずれかに記載の異材接合法。
(7) 前記摩擦接合工程後、30日以上自然時効させる、(1)~(6)のいずれかに記載の異材接合法。
(8) 前記第1の板は、鋼製、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、非鉄金属製のいずれかである、(1)~(7)のいずれかに記載の異材接合法。
(9) (1)~(8)のいずれかに記載の異材接合法に用いられ、
アルミニウム合金製で、前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有する、接合補助部材。
(10) 第1の板と、該第1の板に接合された、該第1の板の素材と異なるアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の第2の板と、を備える異材接合継手であって、
前記第1の板は穴を有し、
前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有するアルミニウム合金製の接合補助部材をさらに備え、
前記接合補助部材の前記小径部は、前記第1の板に設けられた穴に挿入され、
前記第2の板と前記接合補助部材の小径部との接触部が摩擦接合され、前記第1の板を前記接合補助部材の大径部と前記第2の板との間で挟み込む、異材接合継手。
(11) 前記接合補助部材の材質は、ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかである、(10)に記載の異材接合継手。
(12) 前記接合補助部材の前記大径部には、前記接合補助部材を回転させるための工具が、該回転のための駆動力を伝達するように係合可能な工具係合部が形成されている、(10)又は(11)に記載の異材接合継手。
(13) 前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の前記重ね合せ面には、前記穴の周囲に、全周に亘って設けられた接着剤を備える、(10)~(12)のいずれかに記載の異材接合継手。
(14) 前記接合補助部材の大径部と、該大径部と対向する前記第1の板との間の少なくとも一方の対向面に設けられた接着剤を備える、(10)~(13)のいずれかに記載の異材接合継手。
(15) 前記接合補助部材の大径部と、前記第1の板の表面との境界部に設けられた接着剤を備える、(10)~(14)のいずれかに記載の異材接合継手。
(16) 前記第1の板は、鋼製、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、非鉄金属製のいずれかである、(10)~(15)のいずれかに記載の異材接合継手。
本発明によれば、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の板材と、該板材と異なる材質の板材とを、安価な回転工具を用いて、強固かつ信頼性の高い品質で接合でき、かつ開断面構造にも閉断面構造にも制限無く適用できる。
本発明の一実施形態に係る異材接合継手の斜視図である。 図1AのI-I線に沿った異材接合継手の断面図である。 本実施形態の接合補助部材の上面図及び側面図である。 本実施形態の接合補助部材の斜視図である。 本実施形態の異材接合方法の穴開け作業を示す図である。 本実施形態の異材接合方法の重ね合わせ作業を示す図である。 本実施形態の異材接合方法の摩擦接合作業を示す図である。 鋼製の上板とアルミ製の下板を重ねて貫通溶接した比較例としての異材溶接継手の斜視図である。 図4Aの異材溶接継手の断面図である。 図4Aの異材溶接継手にせん断引張が作用した状態を示す断面図である。 図5Aの異材溶接継手を示す斜視図である。 図4Aの異材溶接継手に上下剥離引張が作用した状態を示す断面図である。 図6Aの異材溶接継手を示す斜視図である。 穴を有するアルミ製の上板と鋼製の下板を重ねて貫通溶接した比較例としての異材溶接継手の斜視図である。 鋼製の上板とアルミ製の下板を重ねて抵抗スポット溶接した比較例としての異材溶接継手の斜視図である。 図8Aの異材溶接継手の断面図である。 図8Aの異材溶接継手にせん断引張が作用した状態を示す断面図である。 図9Aの異材溶接継手を示す斜視図である。 図8Aの異材溶接継手に上下剥離引張が作用した状態を示す断面図である。 図10Aの異材溶接継手を示す斜視図である。 溶接金属を自然時効した際のビッカース硬度の変化を示すグラフである。 本実施形態の異材溶接継手に上下剥離引張が作用した状態を示す斜視図である。 本実施形態の異材溶接継手に上下剥離引張が作用して破断した状態を示す斜視図である。 本実施形態の異材溶接継手にせん断引張が作用して破断した状態を示す斜視図である。 接合補助部材の第1変形例の正面図である。 接合補助部材の第2変形例の正面図である。 接合補助部材の第3変形例の正面図である。 接合補助部材の第4変形例の正面図である。 接合補助部材の第5変形例の正面図である。 接合補助部材の第6変形例の正面図及び側面図である。 接合補助部材の第6変形例の斜視図である。 接合補助部材の第7変形例の正面図及び側面図である。 接合補助部材の第7変形例の斜視図である。 接合補助部材の第8変形例の正面図及び側面図である。 接合補助部材の第8変形例の斜視図である。 第8変形例の接合補助部材に適用される回転工具の斜視図である。 接合補助部材の第9変形例の斜視図である。 第9変形例の接合補助部材に適用される回転工具の斜視図である。 接合補助部材の第10変形例の断面図である。 接合補助部材の第11変形例の断面図である。 上板、下板、接合補助部材の寸法関係を説明するための断面図である。 上板の穴と接合補助部材の小径部との間に隙間を有する場合に、せん断引張が作用した場合を示す異材接合継手の断面図である。 異材接合法の第1変形例を説明するための上板と下板の斜視図である。 異材接合法の第1変形例を説明するための異材接合継手の断面図である。 異材接合法の第2変形例を説明するための上板と下板の斜視図である。 異材接合法の第2変形例を説明するための異材接合継手の断面図である。 異材接合法の第3変形例を説明するための上板、下板、及び接合補助部材の斜視図である。 異材接合法の第3変形例を説明するための異材接合継手の断面図である。 異材接合法の第4変形例を説明するための異材溶接継手の斜視図である。 異材接合法の第4変形例を説明するための異材溶接継手の断面図である。 本実施形態の接合補助部材を示す上面図、側面図、及び下面図である。 接合補助部材の第12変形例を示す上面図、側面図、及び下面図である。 接合補助部材の第13変形例を示す上面図、側面図、及び下面図である。 接合ツールを用いて摩擦接合が行われる状態を示す断面図である。 閉断面構造の異材接合継手を示す斜視図である。 他の接合ツールを用いて摩擦接合が行われる状態を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る異材接合方法、接合補助部材、及び、異材接合継手を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の異材接合方法は、互いに重ね合わせされる、鋼製の上板10(第1の板)と、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の下板20(第2の板)とを、アルミニウム合金製の接合補助部材30を介して、摩擦接合法によって接合することで、図1A及び図1Bに示すような異材接合継手1を得るものである。
上板10には、板厚方向に貫通して、下板20の重ね合わせ面に臨む穴11が設けられており、この穴11に接合補助部材30が挿入される。
図2A、図2B及び図20に示すように、接合補助部材30は、上板10の穴11の穴径Bよりも大きな外径PD2を有する大径部31と、穴径B以下の外径PD1を有する小径部32を持った段付き形状を有する。大径部31は、上板10の上面に配置され、小径部32は、上板10の穴11に挿入される。また、大径部31の上面には、後述する摩擦接合のため、接合補助部材30を回転させるための工具(図示せず)からの回転駆動力が伝達されるように、工具と係合可能な工具係合部33を有する。
接合補助部材30の材質としては、以下詳述するが、JIS記号で言えば、2000番系、3000番系、4000番系、5000番系、6000番系、7000番系、8000番系のアルミニウム合金が適用され、これらの中でも高強度アルミニウム合金であるジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンが望ましい。
また、下板20と接合補助部材30の小径部32とは、摩擦接合によって形成される、十分な強度を有する溶接金属層Wによって結合される。これにより、上板10が、接合補助部材30の大径部31と下板20との間に挟み込まれる。
以下、異材接合継手1を構成する異材接合方法について、図3A~図3Cを参照して説明する。
まず、図3Aに示すように、上板10に穴11を空ける穴開け作業を行う(ステップS1)。次に、図3Bに示すように、上板10と下板20を重ね合わせる重ね合わせ作業を行う(ステップS2)。さらに、接合補助部材30の小径部32を、上板10の上面から、上板10の穴11に挿入する(ステップS3)。そして、図3Cに示すように、接合補助部材30を回転させるための工具を用いて、接合補助部材30を下板20の表面に圧力を掛けながら高速回転させ、摩擦熱で下板29と接合補助部材30の小径部32との接触部を溶融凝固させて摩擦接合する(ステップS4)。これにより、上板19は、接合補助部材30の大径部31と下板20との間で挟み込まれる。
したがって、鋼製の上板10と、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の下板20とを、安価な回転工具を用いて、強固かつ信頼性の高い品質で接合でき、開断面だけでなく、構造と板厚によっては閉断面にも適用できる接合法を提供することができる。
ここで、従来、金属同士を接合しようとするとき、最も代表的な手段はアーク溶接法か、抵抗スポット溶接法である。
例えば、図4A及び図4Bに示すように、単純に鋼製の上板10とアルミ製の下板20を重ね、上板側から鋼製溶接ワイヤを用いたアーク溶接を定点で一定時間保持したアークスポット溶接を行った場合、形成される溶接金属40aの特に下層はアルミと鋼の合金となる。この合金は、アルミ含有量が多いので脆性的特性である金属間化合物(IMC)を呈している。このような異材接合継手100aは、一見接合されている様に見えても、横方向に引張応力がかかる(せん断引張)と、図5A及び図5Bに示すように、溶接金属40aが容易に破壊して、外れてしまう。また、縦方向に引張応力がかかる(剥離引張)場合でも、図6A及び図6Bに示すように、溶接金属40aが破断するか、もしくは溶接金属40aと下板20の境界部が破断し、上板10が抜けてしまうようにして接合が外れてしまう。
また、図7に示すように、上板10に穴空けを施してもアルミ製の下板20を溶融することには変わりがないので、これらの容易な破断現象の改善策にはならない。
そこで、図7において、鋼製の溶接ワイヤの代わりにアルミ合金製の溶接ワイヤを用いると、アルミ合金の融点は鋼よりも大幅に低いので、鋼製の上板10をほとんど溶かさず、すなわち金属間化合物の生成を回避して接合部を形成することが可能である。この手法は、上述した特許文献3~5に記載の技術の基本的着想である。しかしながら、アルミニウム合金のMIG溶接材料は、JISの1000番系、4000番系、5000番系といった選択肢しか規定および販売されておらず、最も高強度な5356,5183といった5000番系の溶接ワイヤを用いても、高々250MPa程度の引張強さしか得られない。これらの溶接金属は時効硬化性も持っていないため、日数が経っても強度は変わらない。さらに、MIG溶接は入熱が高いため、アルミ母材が熱影響を受けて軟質化し、溶接部周囲も低強度になるという短所がある。
また、図8A及び図8Bに示すように、抵抗スポット溶接法は、溶接材料を用いず、銅電極50を用いて、両板10,20に圧力をかけて密着させながら大電流を一瞬のうちに流し、その抵抗発熱(ジュール発熱)によって界面を溶融し、溶接金属を形成する手段である。しかしながら、抵抗スポット溶接法で鋼とアルミニウム合金を接合すると、一般的に溶接金属は混ぜ合わさった金属間化合物となり、極めて脆性的なのでせん断引張、剥離引張共に著しい低強度しか得られない(図9A~図10B参照)。電流などの溶接条件を調整して出来るだけ溶け合わさらないようにして、抵抗スポット溶接で鋼とアルミニウム合金を接合する手段も研究されているが、極めて有効溶接条件範囲が狭く、また上手く接合できたとしても、その継手強度が低いレベルである。さらに抵抗スポット溶接法は両板10,20を挟むように電極50を押し付け合う機構が必要であり、電極が入らない閉断面構造には適用不可能である。
このように最も代表的な溶接手段であるアーク溶接や抵抗溶接では、鋼とアルミニウム合金の異材接合を簡単に、かつ高強度に接合することは困難である。改めて整理すると、鋼とアルミニウム合金の異材接合を達成するには、[A]両金属が溶け合わないようにする、[B]母材を軟化させないように入熱をできるだけ小さくする、[C]応力集中箇所は高強度材質とする、[D]幾何学的に破断しにくい形状の工夫を行う事が必要となる。
一方、上述した本実施形態の異材接合法は、まず、鋼製の上板10に穴開けを予め行っておき、その穴11に下板20であるアルミニウム又はアルミニウム合金との親和性に優れた、アルミニウム合金製の接合補助部材30を挿入するので、溶け合うのは下板20と接合補助部材30同士のみとして、鋼製の上板10は全く溶けない機構とした。これにより、上記要件[A]を達成する。
また、本実施形態の異材接合法は、熱量の高いアークや電気抵抗発熱ではなく、摩擦によって界面に発生する摩擦熱を利用するため、入熱を極小化した。これによってアルミニウム合金母材への熱影響を極めて抑制することができ、上記要件[B]を達成する。
また、本実施形態の異材接合法は、せん断引張、剥離引張ともに接合補助部材30が巨視的な応力集中箇所となるため、接合補助部材30の強度を高める必要がある。また、要件[A]の制限により、接合補助部材30は、合金成分をほとんど含んでいないアルミニウムではなく、他の元素を適量添加して強度を高めたアルミニウム合金でなくてはならない。アルミニウム合金にはJIS記号で言えば、2000番系、3000番系、4000番系、5000番系、6000番系、7000番系、8000番系があげられる。これらの中でも高強度アルミニウム合金であるジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンが望ましい。これらの合金は銅(Cu)などを適量添加し、かつ加熱後焼入れ処理と時効によって析出硬化させた合金として有名である。具体的なJIS番号と成分は以下の通りである。
・ジュラルミン(JIS A2017):4%Cu+0.5%Mg+0.5%Mn+残Al
・超ジュラルミン(JIS A2024):4.5%Cu+1.5%Mg+残Al
・超超ジュラルミン(JIS A7075):5.5%Zn+2.5%Mg+1.6%Cu+残Al
これらの合金は、引張強さがA2017とA2024が400MPa以上、A7075では500MPa以上と一般鋼同等レベルである。なお、一般的にジュラルミン系合金は溶接性が悪いとされているが、極めて低い入熱で摩擦圧接する本実施形態では溶接割れなどの欠陥発生がなく、接合が可能である。これらの合金を素材として加工した接合補助部材30を用いることで、継手強度も向上させることが出来る。
なお、低入熱とは言え、接合補助部材30と下板20との接触部には薄い溶接金属層Wが形成される。この部分は組織が変化し、軟化する。しかしながら、その幅が狭いので、継手として応力がかかった場合でも、周囲からの拘束効果が働き、この溶接金属層Wで破壊するには大きな力が必要となる。さらには、この溶接金属層Wには接合補助部材30の材質からCuやMgなどの合金が流入しており、自然時効によって、溶接後徐々に強度回復し、母材同等レベルまで硬化する。自然時効によって硬度が上がりきるまでに要する日数は、図11に示されるように、おおよそ一ヶ月である。したがって、本異材接合法が適用された構造物が使われるには、一ヶ月以上経過させることが望ましい。以上のことから、本実施形態は、上記要件[C]を達成する。
さらに、幾何学的形状については、ボルト・ナットやリベット構造のように、板10,20を貫通材より大きな径の部材で両側から挟み込む拘束状態が与えられれば、板10,20同士は金属結合せずとも、平面方向、板厚方向共に相対的に動くことが出来ず、かつ強力な接合力を発揮する。本実施形態では、下板20と接合補助部材30とは摩擦圧接で金属結合しているので、幾何学的配慮は必要なく、上板10の表側のみを接合補助部材30の大径部31で拘束すればよい。
改めて言えば、鋼製の上板10に設けられた穴11よりも幅広である接合補助部材30の大径部31の役割は、上下剥離応力に対する抵抗である。したがって、穴11の穴径Bよりも大きな外径PD2の大径部31を有する接合補助部材30を適用することにより(図20参照)、図12及び図13Aに示すように、鋼製の上板10と接合補助部材30の界面が剥離して抜けてしまう現象を防止することが可能である。なお、図13Bに示すように、せん断方向の引張応力に対しても、接合部は強固な結合力を持っているため、脆性的破断をすることなく、はじめに母材が曲げ変形を呈し、上下剥離引張と似たような応力作用状態になる。すなわち十分変形した後、高い強度で延性破壊する。したがって、本実施形態は、上記要件[D]を達成する。
なお、接合補助部材30の形状については、実際には、接合後に上板10の表面に突出する大径部31と、上板10の穴11内に挿入される小径部32の関係さえ満足していれば、自由度は高い。小径部32は、上板10の穴11内で回転させつつ、穴11との間の空隙を最小限にするため真円形状が望ましい。一方、大径部31はその機能上、上板10に設けられた穴11を塞いでいれば、任意の形状とすることができる。大径部31の外形は、図2Aに示した真円形に限らず、例えば、図14A~図14Dに示すように、四角形以上の多角形でもよく、或いは、図14Eに示すように、楕円形でもよい。また、図14Bに示すように、多角形の角部を丸くしてもよい。
なお、これらの接合補助部材30では、大径部31の外径PD2は、最短の対角線距離、楕円の短軸直径で規定される。
また、接合補助部材30は、板厚方向に加圧させつつ高速回転させる必要があるため、図2A及び図2Bに示したような、工具の回転駆動力を伝達させるための工具係合部33が設けられることが好ましい。
ただし、工具係合部33の形状は、図2A及び図2Bに示すような、プラスドライバー形状の回転工具の先端が差し込まれるプラス溝に限らない。例えば、図15A及び図15Bに示すように、回転工具の先端が十字の雄形状であれば、大径部31の上部には、嵌め合うように十字の雌形状を有する工具係合部33が形成される。また、図16A及び図16Bに示すように、回転工具の先端が十字の雌形状であれば、大径部31の上部には、十字の雄形状を有する工具係合部33が形成される。
さらに、図17Cに示すように、回転工具60の先端が断面正方形の角柱形状を有する場合には、この角柱形状が嵌め合うように、図17A及び図17Bに示すように、大径部31の上部には、正方形の雌形状を有する工具係合部33が形成される。
また、上述したように、大径部31の外形を、非円形形状とした場合には、大径部31の外形自体を、回転工具の先端が係合する工具係合部33としてもよい。例えば、図18Bに示すように、回転工具60の先端が正六角形の雌形状を有する場合には、図18Aに示すように、大径部31の外形を回転工具60の先端が嵌まる正六角形とすることで、大径部31の上面に溝加工を施す必要がなくなる。
なお、以降に示す接合補助部材30の一部の変形例では、工具係合部33が図示省略されている。
また、小径部32の先端面は、単純なフラット形状でも構わないが、単位面積当たりの荷重を増やして効率的に摩擦圧接を行うために、図19Aに示すような先端に凸部32aを設けて段付き形状としてもよいし、或いは、図19Bに示すように、先端に円錐テーパ面部32bを設けてもよい。また、摩擦抵抗を増やすために、小径部32の下面は、故意にやすりによる荒仕上げとしたり、細かな凸凹メッシュ加工等を施してもよい。
また、図20に示すように、小径部32の高さPH1は、上板10の厚さBによって変更する必要がある。小径部32の高さPH1が小さすぎれば、下板20のアルミニウム合金に届かず、摩擦圧接が不能である。逆に、小径部32の高さPH1が大きすぎると、大径部31と上板10との対向面が密着せず、上板10が上下方向に動いてしまう。したがって、小径部32の高さPH1は、上板10の厚さBと同一もしくは近い値が望ましい。小径部32の高さPH1が、上板10の厚さBより若干大きい程度であれば、摩擦圧接で端面が溶融し、隙間に逃げて小径部32の高さPH1が減少するため、拘束が可能である。具体的には、小径部32の高さPH1は、上板10の板厚Bに対して125%以下とするのが望ましい。一方、小径部32の高さPH1が、上板10の厚さBより若干小さい程度であれば、加圧によって上板10と接合補助部材30が弾性変形し、その結果、接合補助部材30の下面が下板20に届けば接合が可能となる。具体的には、小径部32の高さPH1が、上板10の厚さBに対して75%以上とするのが望ましい。
また、小径部32の外径PD1は、上板10に設けた穴11の穴径B以下であればよいが、該穴径Bに対してできるだけ近い値とするのが望ましい。上板10の穴径Bに対して、小径部32の外径PD1が小さいほど挿入は容易であり、ゆえに小さい方が挿入性の観点からは望ましい。一方、上板10に設けられた穴11と接合補助部材30の小径部32との間に生じる隙間が、接合しようとする上板10と下板20を相互にずれを生じさせる原因となる。すなわち、本異材接合法では接合状態においても、上板10を水平方向に拘束する力はさほど強くないため、図21に示すように、水平方向のせん断応力を受けると比較的容易に接合補助部材30と上板10の穴11間の隙間分滑るようにずれを生じる。したがって、接合状態において接合補助部材30の小径部32と上板10の穴11間にはできるだけ隙間が無い状態にすることが望ましい。
以上の構成により、上板10が鋼製、下板20がアルミニウム又はアルミニウム合金の素材を強固に接合することができる。
ここで、異種金属同士を直接接合する場合の課題としては、IMCの形成という課題以外に、もう一つの課題が知られている。それは、異種金属同士が接すると、ガルバニ電池を形成する為に腐食を加速する原因になる。この原因(電池の陽極反応)による腐食は電食と呼ばれている。異種金属同士が接する面に水があると腐食が進むので、接合箇所として水が入りやすい場所に本実施形態が適用される場合は、電食防止を目的として、水の浸入を防ぐためのシーリング処理を施す必要がある。本接合法でもAl合金と鋼が接する面は複数形成されるので、樹脂系の接着剤をさらなる継手強度向上の目的のみならず、シーリング材として用いることが好ましい。
例えば、図22A及び図22Bに示す第1変形例のように、上板10及び下板20の接合面で、接合部周囲に接着剤60を全周に亘って環状に塗布してもよい。なお、接着剤60を上板10及び下板20の接合面で、接合部周囲に全周に亘って塗布する方法としては、図23A及び図23Bに示す第2変形例のように、接合箇所を除いた接合面の全面に塗布する場合も含まれる、これにより、上板10、下板20、及び溶接金属40の電食速度を下げることができる。
また、図24A及び図24Bに示す第3変形例のように、上板10の穴11の周囲と接合補助部材30の大径部31の下面との間に接着剤60を塗布してもよい。これにより、上板10、接合補助部材30、及び溶接金属40の電食速度を下げることができる。
さらに、図25A及び図25Bに示す第4変形例のように、接合補助部材30の大径部31と上板10の表面との境界部に接着剤60を塗布することで、上板10の母材と接合補助部材30間の電食速度低下の効果が得られる。なお、図24A及び図24Bに示す第3変形例では、塗布は摩擦接合工程前に実施され、図25A及び図25Bに示す第4変形例では、塗布は摩擦接合工程後に実施される。
さらに、接合補助部材30において、大径部31の上板10との接触面は、図26Aに示すように、必ずしも平坦な面である必要はない。即ち、大径部31の上板10との接触面は、図26B及び図26Cに示すように、必要に応じてスリット34a、34bを設けて良い。特に、上板10との接触面側に円周状のスリット34a又は放射状のスリット34bを設けると、接着剤60の塗布がスリット34a、34bの隙間に入り込んで逃げなくなるため、安定した接着が行なわれ、シーリングの効果も確実となる。このような平坦ではない面の場合の大径部高さPH2の定義は、高さの最も大きな部分とする。
また、同様な目的で、接合補助部材30自身の鋼板との界面に生じる電食を防ぐために、電気的卑の元素や加工物、絶縁性物質、不動態といった皮膜を形成する表面処理を接合補助部材30に施すこともできる。例えば、亜鉛めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、錫(すず)めっき、樹脂塗装、セラミックコーティング、アルマイト処理などが挙げられる。
また、上記実施形態では、鋼製の上板10とアルミニウム又はアルミニウム合金製の下板20との接合について説明したが、本発明の異材接合法では、上板10の材質は、鋼製に限定されるものでなく、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製(CFPR)、マグネシウム合金等の非鉄金属製であってもよい。これは、接合の際に、上板10である樹脂、CFRP、その他各種金属板を溶融させないことから、適用が可能である。
なお、本実施形態に使用される接合ツールとしては、図27に示すように、抵抗スポット溶接法用ツールとしてよく知られているようなC型やX型のクランプツール70の片側に回転工具60を設けた摩擦圧接ツールを適用することが出来る。この摩擦圧接ツールをロボットに搭載して自由に動かすことも可能である。なお、回転工具60にアルミニウム合金製の接合補助部材30を保持させるには、ツール70内にバキューム機能を付与し、ツール70と接合補助部材30間の気圧を下げて吸い付かせておく方法や、エアや電気駆動のコレットチャックによって掴む方法などがある。図28は、上記接合ツールによって接合された閉断面構造の異材接合継手を示している。
また、接合体が高い剛性を持つ場合は片側からの加圧ツール71でも接合が可能である。これは、アルミニウム合金同士の摩擦圧接は鋼と異なり、高い加圧力を必要としないからである。なお、図29に示す例では、高い剛性を持つ接合体として、アルミニウム合金製の閉断面構造の中空部材が適用されており、この場合、中空部材の1つの側壁を第2の板20として、鋼製の第1の板10と接合されている。
以上説明したように、本実施形態の異材接合方法によれば、上板10に穴11を空ける工程と、上板10と下板20を重ね合わせる工程と、穴11の穴径Bよりも大きな外径PD2を有する大径部31と、穴径B以下の外径PD1を有する小径部32を持った段付き形状を有するアルミニウム合金製の接合補助部材30の小径部32を、上板10に設けられた穴11に挿入する工程と、接合補助部材30を下板20の表面に圧力を掛けながら回転させ、摩擦熱で下板20と接合補助部材30の小径部32との接触部を溶融凝固させて摩擦接合し、上板10を接合補助部材30の大径部31と下板20との間で挟み込む工程と、を備える。
これにより、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の下板20と、下板20と異なる材質の上板10とを、安価な回転工具を用いて、強固かつ信頼性の高い品質で接合でき、かつ開断面構造にも閉断面構造にも制限無く適用できる。
また、接合補助部材30の材質は、ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかであるので、接合補助部材30と下板20との摩擦接合を可能とし、さらに、接合補助部材30としての強度も確保することができる。
また、接合補助部材30の大径部31は、接合補助部材30を回転させるための工具からの回転駆動力が伝達されるように、工具と係合可能な工具係合部33を有するので、工具の回転駆動力を接合補助部材30に直接伝達することができる。
また、重ね合わせ工程の前に、上板10と下板20の少なくとも一方の重ね合せ面には、穴11の周囲に、全周に亘って接着剤60を塗布する工程を、さらに備える。これにより、接着剤は、継手強度向上の他、シーリング材として作用し、上板10、下板20及び溶接金属40の電食速度を下げることができる。
また、挿入工程において、接合補助部材30の大径部31と、該大径部31と対向する上板10との間の少なくとも一方の対向面に、接着剤60を塗布する。これにより、上板10、接合補助部材30及び溶接金属40の電食速度を下げることができる。
また、摩擦接合工程後に、接合補助部材30の大径部31と、上板10の表面との境界部に接着剤60を塗布する。これにより、上板10と接合補助部材30の接合強度を向上することができる。
また、摩擦接合工程後、30日以上自然時効させるので、接合補助部材30と下板20とが摩擦接合された溶接金属層Wの硬度を高めることができる。
上板10は、鋼製、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、非鉄金属製のいずれかであるので、種々の材料とアルミニウム又はアルミニウム合金との異材接合継手を形成することができる。
また、本実施形態の接合補助部材30は、アルミニウム合金製で、穴11の穴径Bよりも大きな外径PD2を有する大径部31と、穴径B以下の外径PD1を有する小径部32を持った段付き形状を有する。これにより、接合補助部材30は、上述した異材接合方法に好適に用いられる。
また、本実施形態の異材接合継手1は、上板10と、上板10に接合された、上板10の素材と異なるアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の下板20と、を備える異材接合継手であって、上板10は穴11を有し、穴10の穴径Bよりも大きな外径PD2を有する大径部31と、穴径B以下の外径PD1を有する小径部32を持った段付き形状を有するアルミニウム合金製の接合補助部材30をさらに備え、接合補助部材30の小径部32は、上板10に設けられた穴11に挿入され、下板20と接合補助部材30の小径部32との接触部には、摩擦接合による溶接金属層Wが形成され、上板10が、接合補助部材30の大径部31と下板20との間に挟み込まれる。
これにより、アルミニウムもしくはアルミニウム合金製の下板20と、下板20と異なる材質の上板10とを備えた異材接合継手1は、安価な回転工具を用いて、強固かつ信頼性の高い品質で接合でき、かつ開断面構造にも閉断面構造にも制限無く適用できる。
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
10 上板
11 穴
20 下板
30 接合補助部材
31 大径部
32 小径部
33 工具係合部
W 溶接金属層

Claims (14)

  1. 第1の板と、該第1の板の素材と異なるアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の第2の板と、を接合する異材接合法であって、
    前記第1の板に穴を空ける工程と、
    前記第1の板と前記第2の板を重ね合わせる工程と、
    前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有する、ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかであるアルミニウム合金製の接合補助部材の前記小径部を、前記第1の板に設けられた前記穴に挿入する工程と、
    前記接合補助部材を前記第2の板の表面に圧力を掛けながら回転させ、摩擦熱で前記第2の板と前記接合補助部材の小径部との接触部を溶融凝固させて摩擦接合し、前記第1の板を前記接合補助部材の大径部と前記第2の板との間で挟み込む工程と、
    を備える異材接合法。
  2. 前記接合補助部材の前記大径部は、前記接合補助部材を回転させるための工具からの回転駆動力が伝達されるように、前記工具と係合可能な工具係合部を有する、請求項1に記載の異材接合法。
  3. 前記重ね合わせ工程の前に、前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の重ね合せ面には、前記穴の周囲に、全周に亘って接着剤を塗布する工程を、さらに備える、請求項1又は2に記載の異材接合法。
  4. 前記挿入工程において、前記接合補助部材の大径部と、該大径部と対向する前記第1の板との間の少なくとも一方の対向面に、接着剤を塗布する、請求項1~のいずれか1項に記載の異材接合法。
  5. 前記摩擦接合工程後に、前記接合補助部材の大径部と、前記第1の板の表面との境界部に接着剤を塗布する、請求項1~のいずれか1項に記載の異材接合法。
  6. 前記摩擦接合工程後、30日以上自然時効させる、請求項1~のいずれかに記載の異材接合法。
  7. 前記第1の板は、鋼製、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、非鉄金属製のいずれかである、請求項1~のいずれか1項に記載の異材接合法。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の異材接合法に用いられ、
    ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかであるアルミニウム合金製で、前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有する、接合補助部材。
  9. 第1の板と、該第1の板に接合された、該第1の板の素材と異なるアルミニウムもしくはアルミニウム合金製の第2の板と、を備える異材接合継手であって、
    前記第1の板は穴を有し、
    前記穴の穴径よりも大きな外径を有する大径部と、前記穴径以下の外径を有する小径部を持った段付き形状を有する、ジュラルミン、超ジュラルミン、超超ジュラルミンのいずれかであるアルミニウム合金製の接合補助部材をさらに備え、
    前記接合補助部材の前記小径部は、前記第1の板に設けられた穴に挿入され、
    前記第2の板と前記接合補助部材の小径部との接触部には、摩擦接合による溶接金属層が形成され、
    前記第1の板が、前記接合補助部材の大径部と前記第2の板との間に挟み込まれる、異材接合継手。
  10. 前記接合補助部材の前記大径部には、前記接合補助部材を回転させるための工具が、該回転のための駆動力を伝達するように係合可能な工具係合部が形成されている、請求項9に記載の異材接合継手。
  11. 前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の前記重ね合せ面には、前記穴の周囲に、全周に亘って設けられた接着剤を備える、請求項9又は10に記載の異材接合継手。
  12. 前記接合補助部材の大径部と、該大径部と対向する前記第1の板との間の少なくとも一方の対向面に設けられた接着剤を備える、請求項9~11のいずれか1項に記載の異材接合継手。
  13. 前記接合補助部材の大径部と、前記第1の板の表面との境界部に設けられた接着剤を備える、請求項9~12のいずれか1項に記載の異材接合継手。
  14. 前記第1の板は、鋼製、樹脂製、炭素繊維強化樹脂製、非鉄金属製のいずれかである、請求項9~13のいずれか1項に記載の異材接合継手。
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