JP2002331370A - アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法

Info

Publication number
JP2002331370A
JP2002331370A JP2002093628A JP2002093628A JP2002331370A JP 2002331370 A JP2002331370 A JP 2002331370A JP 2002093628 A JP2002093628 A JP 2002093628A JP 2002093628 A JP2002093628 A JP 2002093628A JP 2002331370 A JP2002331370 A JP 2002331370A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
joining
plate
aluminum
aluminum alloy
horizontal piece
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002093628A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3948323B2 (ja
Inventor
Jun Hara
純 原
Masaaki Kumai
雅章 熊井
Hisashi Hori
久司 堀
Shinya Makita
慎也 牧田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP2002093628A priority Critical patent/JP3948323B2/ja
Publication of JP2002331370A publication Critical patent/JP2002331370A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3948323B2 publication Critical patent/JP3948323B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】板厚が相違するアルミニウム又はその合金板材
同士を所要の強度を保ちつつ、確実且つ容易に摩擦攪拌
接合できる上記板材の接合方法を提供する。 【解決手段】板厚が相違する一対のアルミニウム合金板
材1a,1bの端面間に断面略T形の接合材2bの垂直
片6を挟持し且つ該接合材2bの傾斜した水平片4bを
各板材1a,1bの各表面上に接触させる工程と、板材
1a,1bの外側から回転する円筒形のボビン12底面
の表面抑え部14で接合材2bの水平片4bを押圧し、
該表面抑え部14の中心から垂下しこれと同時に回転す
る摩擦ピン16を接合材2bの水平片4bに貫通し且つ
垂直片6に沿って板材1a,1bの端面間付近に所定の
深さ進入させ、上記ボビン12及び摩擦ピン16を回転
しつつ板材1a,1bの端面間の長手方向に沿って移動
させて摩擦攪拌接合を施す工程と、を含み、板材1a,
1b間に傾いた接合線Wを形成する、アルミニウム又は
その合金板材の接合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板厚が相違する一
対のアルミニウム又はアルミニウム合金(以下、単にアル
ミニウム合金という)板材で、特に圧延成形された板材
をそれぞれの端面に沿って、突合わせ状態に接合する接
合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アーク溶接等に比べて簡単に金属
材同士を接合できる摩擦攪拌接合が注目されている。こ
の摩擦攪拌接合は図8(A)及び(B)に示すように、互い
に端面を突合わせ且つ拘束した一対のアルミニウム合金
製の板材20,21間の突合わせ面に沿って、回転する
工具22を押圧しつつ移動することにより施される。こ
の工具22は、被接合材より硬度及び軟化温度が高い材
料からなり、回転する円筒形のボビン24と、その凹ん
だ底面である表面抑え部26と、その中心から同軸に垂
下する摩擦ピン28からなる。
【0003】そして、図8(B)に示すように、工具22
は上記突合わせ面に沿ってやや傾けた状態で水平(左)方
向に移動され、且つ垂直方向の押し込み力が付加され
る。上記摩擦ピン28の周面には、図示しない水平方向
に沿ったネジ状の摩擦攪拌翼が形成され、摩擦熱の発生
及びこれにより軟化した材料の攪拌を容易にしている。
尚、通常摩擦ピン28の摩擦部の長さは3〜10mm、
その直径は3〜10mm、表面抑え部26の直径は6〜
25mmである。また、この場合工具22の回転速度は
500〜15000rpm、送り速度は0.05〜2m/
分で、工具22に加える軸方向の押し込み力は1kN〜
20kNの範囲内で、接合する板材の板厚や材質に応じ
て選定される。
【0004】上記摩擦ピン28の回転と移動に伴って、
各板材20,21の突合わせ面付近のアルミニウム合金
は、摩擦熱により加熱して可塑化されると共に、突合わ
せ面を挟んで各板材20,21間に渉って水平及び垂直
方向に流動化し攪拌される。また、表面抑え部26は、
流動化したアルミニウム合金の垂直方向の動きを抑制
し、摩擦熱を発生させると共に、表面抑え部26と摩擦
ピン28とにより流動化されたアルミニウム合金を攪拌
する。これにより、図8(C)に示すように、上記アルミ
ニウム合金は固化し、一定の幅と深さを有する接合線W
となる。従って、アーク溶接等のように盛り上がった溶
接ビートがなく、後加工が容易になる。
【0005】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、上記流動化さ
れたアルミニウム合金の攪拌及び表面抑え部26の押圧
により、板材20,21の接合部付近の板厚が減り、図
8(C)に示すように、接合線Wの表面に凹溝Waを形成
される。この凹溝Waの深さd分だけ、少なくとも一対
の板材20,21間の接合強度が低下するという問題を
有する。この凹溝Waの問題は、アルミニウム合金板材
の板厚が薄くなるほど顕著である。即ち、厚肉の板材同
士を接合する場合、接合線Wを深く形成しても形成され
る凹溝Waの深さはあまり変わらないため、所要の接合
強度が保てるためである。また、凹溝Wa表面の両端に
形成される一対の突起Weは、摩擦攪拌の結果各板材2
0,21の表面SFよりも突出するバリで、これが形成
されない場合もある。
【0006】一方、図8(D)に示すように、一対のアル
ミニウム合金の押出形材30,31を接合する場合、各
形材30,31の端面に沿って上記凹溝Waの深さdに
相当する分を厚肉にした凸条部32,32を予め一体に
形成することができる。従って、各形材30,31の端
面同士を摩擦攪拌接合による深い接合線Wを形成する
と、図8(E)に示すように、各凸条部32の高さによ
り、接合線W表面の凹溝Waの深さd相当分の板厚減少
を吸収することができる。しかしながら、接合すべき部
材が圧延成形材の場合等、上記押出形材30等で凸条部
32を一体に成形しておくことが困難な場合、図8
(D),(E)で示した接合方法は適用できないと共に、板
厚が相違する板材同士の摩擦攪拌接合については、これ
まで全く知られていなかった。本発明は、以上に説明し
た従来の技術における問題点を解決し、接合部における
板厚減少を生じさせず、板厚が相違する比較的薄肉のア
ルミニウム合金板材同士を所要の強度を保ちつつ、確実
且つ容易に摩擦攪拌接合できるアルミニウム合金板材の
接合方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、一対のアルミニウム合金板材の端面同士間
に断面略T形等の接合材の垂直片を挟持し、且つこの接
合材の水平片を各板材の表面に接触させて、一対の板材
と接合材の三者を同時に摩擦攪拌接合することにより、
各板材の板厚を補償することに着想して成されたもので
ある。
【0008】即ち、本発明のアルミニウム又はアルミニ
ウム合金板材の接合方法(請求項1)は、板厚が相違する
一対のアルミニウム又はアルミニウム合金板材の端面間
に、断面略T形の接合材の垂直片を挟持し、且つこの接
合材の水平片を上記板材の表面上に接触させる工程と、
上記一対のアルミニウム又はアルミニウム合金板材同士
の表面側から、回転するボビン底面の表面抑え部で上記
接合材の水平片を押圧し、この表面抑え部の中心から垂
下し表面抑え部と同時に回転する摩擦ピンを接合材の水
平片に貫通し、且つその垂直片に沿って上記板材同士の
端面間に所定の深さ進入させると共に、このボビン及び
摩擦ピンを回転しつつ上記板材同士の端面間の長手方向
に沿って移動させて摩擦攪拌接合を施す工程と、を含
み、上記一対の板材間の長手方向に沿って傾いた接合線
を形成する、ことを特徴とする。
【0009】これによれば、板厚が相違する一対の板材
と共に可塑化され流動化する接合材の水平片により、各
板材間に跨る接合部の板厚減少を補償することができ、
摩擦攪拌接合による薄肉の板材同士の突合わせ接合を所
要の強度を有して確実に施すことができる。しかも、接
合材の固定は、その垂直片を一対の板材間に挟持するの
みで良く、通常の板材の拘束方法により容易に行うこと
が可能である。
【0010】また、前記接合材は、傾斜した水平片を有
する、アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方
法(請求項2)も含まれる。これによれば、板厚が相違す
る一対の板材に応じて、接合材の傾斜した水平片が配置
でき、摩擦攪拌接合による板厚減少を効果的に防止する
ことができる。
【0011】更に、前記ボビン及び摩擦ピンは、前記接
合材の水平片の傾斜に倣って傾けられつつ用いる、アル
ミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法(請求項
3)も含まれる。これによれば、板厚が相違する一対の
前記板材を突き合わせつつ摩擦攪拌接合することを一層
確実に行える。尚、上記ボビン及び摩擦ピンは、後述す
る工具に含まれる。
【0012】加えて、前記接合材が、前記アルミニウム
又はアルミニウム合金板材と同じ組成又は異なる組成の
アルミニウム又はアルミニウム合金製の押出形材、或い
はこれらの材質からなる板材の折り曲げ材である、アル
ミニウム合金板材の接合方法(請求項4)も含まれる。こ
れによれば、摩擦攪拌接合を一層確実に施すことができ
る。特に、押出形材の接合材を用いると、その製造は押
出成形にて簡単でき、断面形状の設計も容易であると共
に、板材同士の位置決めも容易に行える。尚、板材を折
り曲げ加工した折り曲げ材の場合、その垂直片は断面略
U形状で厚肉になるが、その水平片が垂直片の約半分の
厚さとなることに留意する必要がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1〜6は、本発明の前
提となる参考形態の摩擦攪拌接合方法に関する。図1
(A)は、接合すべき一対のアルミニウム合金板材1a,
1bと、その間に介在させる接合材2の断面を示す。上
記板材1a,1bのアルミニウム合金には、純Al系
(例えばJIS:A1080,A1100)、Al−Mn系(例
えばJIS:A3003)、Al−Mg系(例えばJIS:A50
52,A5457)、Al−Mg−Si系(例えばJIS:A
6061)等が用いられる。また、接合材2は、水平片
4とその中央から直角に延びる垂直片6とを一体に有す
る断面略T形を呈し、アルミニウム合金製の押出形材か
らなる。係る形材2のアルミニウム合金には、例えばA
l−Mg−Si系のJIS:A6061−T5,A6063
−T5又はT6,6N01−T5等が用いられる。尚、
板材1a,1bの材質や接合材2の合金組成は、何れのも
のでも利用できるが、接合後の強度を勘案して適切なも
のを選択すれば良い。また、板材1a,1bの板厚は、
約3〜12mm程度である。
【0014】先ず、図1(A)及び(B)に示すように、一
対の板材1a,1bの端面間に接合材2の垂直片6を挿
入し、且つ水平片4の左右半分ずつを板材1a,1bの
各表面に接触するようにした状態で、板材1a,1bを
図示しない治具により拘束する。これにより、接合材2
はその垂直片6が板材1a,1bの端面間に挟持されつ
つ固定される。尚、接合材2における垂直片6の長さ
は、板材1a,1bの板厚と同じである。次に、図1
(B)に示すように、拘束した上記板材1a,1bの外側
で且つ接合材2の水平片4の中央付近に摩擦攪拌接合用
の工具10を近付ける。工具10は円筒形のボビン12
と、その底面を形成する緩くカーブして凹む表面抑え部
14と、その中心からボビン12と同軸にして垂下する
摩擦ピン16とを有する。該ピン16の表面には図示し
ないネジ形状の水平な摩擦攪拌翼が形成されている。
【0015】尚、摩擦ピン16の長さは3〜10mm、
その直径は2〜10mm、表面抑え部14の直径は6〜
25mmである。また、この工具10の回転速度は50
0〜15000rpm、送り速度は0.05〜2m/分
で、工具10の軸方向に加える押し込み力は1kN〜2
0kN程度で、板厚や材質及び接合材の寸法や材質に応
じて適正値を選択する。そして、図1(C)に示すよう
に、回転する工具10の摩擦ピン16を、接合材2の水
平片4に貫通させ且つその垂直片6の下部付近まで進入
させる。同時に工具10の表面抑え部14は、接合材2
の水平片4を上から押え込む。この状態で、工具10を
図示で手前方向に移動(送り)させることにより、参考形
態の摩擦攪拌接合の施工が可能となる。
【0016】ここで、板材1a,1bと接合材2との関
係を図2(A)により説明する。接合材2の垂直片6の高
さfは、板材1a,1bの板厚tと同じが僅かに相違す
る程度が望ましい。これにより、板材1a,1bの端面
間が垂直片6にて占有され、後述する工具10による健
全な接合線Wを断面全体に形成し得る。また、接合材2
の水平片4の厚さgは、板材1a,1bの板厚tの0.2
〜1.0倍とするのが望ましい。これにより、比較的薄肉
の板材の1a,1bの端面付近の板厚を増加でき、摩擦
攪拌接合しても強度の低下を防ぎ、所要の接合強度を得
ることが容易になる。尚、0.2倍未満では板厚が増え
ず、接合後に板材1a,1bの板厚tよりも薄肉の部分が
接合部に生じるため、接合強度が不十分になり得る。一
方、1.0倍を超えると接合材2のサイズが大きくなり、
その加工に要する時間も多くなると共に、摩擦ピン16
が板材1a,1bの端面間に進入しにくくなる。
【0017】更に、接合材2と工具10との関係を図2
(A)及び(B)により説明する。接合材2の水平片4の幅
Xは、工具10におけるボビン底面12(即ち表面抑え部
14の直径)の外径Pの0.8〜1.0倍とするのが望ま
しい。これにより、ボビン12底面の表面抑え部14に
より水平片4の略全体を下向きに押圧でき、且つ可塑・
流動化したアルミニウム合金が外部に飛散するのを防ぎ
得る。また、工具10における摩擦ピン16の直径p
は、接合材2の垂直片6の厚さxの1.2倍以上とする
ことが望ましい。これにより、摩擦ピン16が垂直片6
とその両側の板材1a,2aの端面付近にも進入し、こ
れら三者間の各アルミニウム合金の可塑・流動化による
健全な攪拌部を有する接合線Wを形成することができ
る。尚、上記直径pの上限は厚さxの約2.0倍程度が
好ましい。更に、前記摩擦ピン16の長さSは、板材1
a(1b)の板厚tと接合材2の水平片4の厚さgとの合
計よりも0.05〜0.4mm短くすることが望まし
い。これにより、健全な攪拌部を有する接合線Wを接合
部の断面全体に形成できる。
【0018】図3は、本発明の参考形態である摩擦攪拌
接合の工程に関する。図3(A)は、各端面間に接合材2
を固定した板材1a,1bに対し、500〜15000
rpmで回転する工具10を僅かに接合部の長手方向に
傾けて進入させる状態を示す。工具10は、図3(B)に
示すように、摩擦ピン16の先端を接合材2の垂直片6
の下部付近まで進入させ、且つ表面抑え部14を水平片
4全体に押圧する。この際の工具10の軸方向に加える
押し込み力は1kN〜20kN程度である。この状態
で、工具10は図示で左側に送られる。その送り速度
は、0.05〜2m/分である。これにより、図3(C)
にも示すように、上記摩擦ピン16の回転と移動に伴っ
て、各板材1a,1bの端面付近と接合材2の水平・垂
直片4,6の各アルミニウム合金は、摩擦熱により加熱
して可塑化されると共に、垂直片6を挟んで各板材1
a,1b間に渉って水平及び垂直方向に流動化される。
また、表面抑え部14は、流動化したアルミニウム合金
の垂直方向の動きを抑制すると共に、摩擦ピン16によ
り流動化されたアルミニウム合金を攪拌する。
【0019】その結果、工具10が通過した跡には、図
3(D)に示すように、上記アルミニウム合金は固相状態
で固化し、一定の幅と深さの攪拌部を有する接合線Wが
形成される。この接合線Wの表面には、中央に極く浅い
凹溝Waと、その両側に低い一対の凸部Wbが形成され
る。この凹溝Wa及び凸部Wbは、何れも各板材1a,
1bの各表面よりも外方に位置しているため、接合線W
によって板材1a,1bの板厚よりも薄肉の部分が形成
されない。また、接合線Wの底部Wcは各板材1a,1
bの反対側の裏面に達している。係る接合線Wを形成す
ることにより、板材1a,1b間の接合強度を低下させ
ず、健全な接合を行うことがてきる。尚、各凸部Wbを
凹溝Waの位置まで切除すると外観上も好ましくなる。
また、接合部の強度低下を防ぐため、外観上支障なけれ
ば板材1a,1bの板厚よりも、接合部の最少厚さが大
きくなるように、接合材2の寸法を設定しても良い。
【0020】図4(A)は、板材1a,1b間に固定した
接合材2の水平片4の幅Xが、工具10におけるボビン
12の外径Pの1.0倍の条件で、摩擦攪拌接合を施す
ことによって得られた接合線Wの断面を示す。この場
合、ボビン12底面の表面抑え部14の直径pと水平片
4の幅Xが同じであるため、図示のように、接合線Wの
表面の両側にはバリ状に斜めに突出した凸部Wbが一対
ほぼ対称に形成される。従って、各凸部Wbを凹溝Wa
の位置まで切除することが必要となる。また、図4(B)
は、板材1a,1bの板厚tを最小の3mmとし、両者間
に水平片4の厚さgをその0.4倍で且つ水平片4の幅
Xをボビン12の外径Pの0.8倍として接合材2を固
定して、摩擦攪拌接合を施すことによって得られた接合
線Wの断面を示す。この場合、接合線Wは比較的偏平な
断面形状となるが、その表面の凹溝Wa及び凸部Wb
は、何れも各板材1a,1bの各表面よりも外方に位置
していた。
【0021】図4(C)は異なる参考形態の接合材2′を
示す。この接合材2′は、長尺で矩形のアルミニウム合
金の板材をその長手方向に沿う中央で断面U形に折り曲
げて垂直片6とし、且つその左右両端部を90度互いに
反対側にそれぞれ折り曲げて水平片4を形成したもので
ある。この場合、水平片4の厚さは垂直片6の約半分に
なるので、これを留意して前記板材1a,1b及び工具
10の各部との条件を考慮することが必要である。尚、
断面U形の垂直片6の中に隙間が多少残っていても、板
材1a,1bの端面間に挟持する際に強く押圧して解消
でき、また、水平片4が多少上向きに傾斜していても、
工具10のボビン12による軸方向の押圧力によって、
摩擦攪拌接合に供することが可能である。
【0022】図5は、異なる参考形態の接合方法に関す
る。図5(A)は、前記形態よりも厚肉の約14〜25m
mの板厚tを有する板材1a,1bと、これらの間に固
定する一対の接合材2,2を示す。図5(A)に示すよう
に、各接合材2はその垂直片6を板材1a,1bの端面
の両側から互いに接近するように挿入して、挟持・固定
される。この場合、二つの垂直片6の高さfの合計は、
板材1a,1bの各板厚tと略同じか、僅かに長めとす
る。次に、前記工具10を用いて板材1a,1bの一方
の表面からその表面に位置する接合材2と共に、摩擦攪
拌接合を施して前記同様の接合線Wを形成する。更に、
板材1a,1bの他方の表(裏)面からその裏面に位置す
る接合材2と共に、摩擦攪拌接合を施して同様の接合線
Wを形成する。
【0023】その結果、図5(B)に示すように、一対の
接合線Wが対称に位置し、且つそれぞれの底部Wcは互
いに重複し合う。しかも、各接合線Wの表面における浅
い凹溝Waと凸部Wbは、何れも板材1a,1bの各表
裏面より外方に位置し、強度を保った接合を得ることが
できる。
【0024】尚、図5(A)に示す状態で一対の接合材
2,2を用いず、図6(A)に示すように、これらを一つ
の垂直片6で一体に接合した参考形態の断面略エ字形の
押出形材2″を用いることもできる。係る断面略エ字形
の押出形材2″の垂直片6の高さfは、接合すべき板材
1a,1bの板厚よりも僅かに大きくしておけば良い。
この断面略エ字形の押出形材2″は、隣接する板材1
a,1bの各端面間に、その長手方向に沿って挿入す
る。これにより、約20mm程度の厚肉のアルミニウム
合金板材同士を少ない接合材で、位置決めを容易にしつ
つ確実に摩擦攪拌接合を施すことが可能となる。図6
(B)は、更に異なる参考形態の接合材に関する。図6
(B)に示すように、一対のアルミニウム合金板材1a,
1bの端面間に沿って、断面チャンネル形の一対の接合
材2a,2aを挟持し固定して用いることもできる。こ
の形態では、一対の接合材2a,2aで本発明の接合材
となる。
【0025】図7は、本発明の接合方法における実施の
形態に関する。図7(A)に示すように、接合すべき一対
のアルミニウム合金板材1a,1bの板厚が相違してい
る。この際、図7(B)に示すように、傾斜した水平片4
bを有する断面略T形の接合材2bを板材1a,1b間
に固定し、工具10を同様に傾斜させて摩擦攪拌接合を
施す。その結果、図7(C)に示すように、水平片4b及
び工具10に倣って傾いた接合線Wを板材1a,1b間
に形成して接合することができる。
【0026】尚、断面略T形又は略エ字形の接合材の水
平片における外側のコーナ部に面取りを形成したり、或
いは水平片の表面を緩くカーブした湾曲面とした断面の
押出形材を用いることも可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明の接合方法(請求項1)によれば、
板厚が相違する一対のアルミニウム又はアルミニウム合
金板材と共に可塑化され流動化する接合材の水平片によ
り、各板材間の板厚減少を補うことができ、摩擦攪拌接
合による薄肉の板材同士の突合わせ接合を所要の強度を
有して確実に施すことができる。しかも、接合材の固定
は、その垂直片を一対の板材間に挟持するのみで良く、
通常の板材の拘束方法により容易に行うことが可能であ
る。また、請求項2,3の接合方法によれば、板厚が相
違し且つ薄肉の板材同士の摩擦攪拌接合による突合わせ
接合を一層確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(C)は参考形態の接合方法の各工程を示
す部分概略図。
【図2】(A)は参考形態における板材と接合材の関係を
説明する概略図、(B)は係る形態における接合材と工具
の関係を説明する概略図。
【図3】(A)〜(D)は参考形態の接合方法の各工程を示
す部分概略図。
【図4】(A)及び(B)は参考形態の接合方法により得ら
れた各接合部を示す部分概略図、(C)は異なる参考形態
の接合材を用いる工程の部分概略図。
【図5】(A)及び(B)は異なる参考形態の接合方法の各
工程を示す部分概略図。
【図6】(A)及び(B)は更に異なる参考形態の接合方法
を示す部分概略図。
【図7】(A)〜(C)は本発明の実施の形態である接合方
法の各工程を示す部分概略図。
【図8】(A)〜(C)は従来の摩擦攪拌接合の各工程を示
す概略図、(D)と(E)は押出形材同士の摩擦攪拌接合の
各工程を示す部分概略図。
【符号の説明】
1a,1b…アルミニウム合金板材、 2b………
…接合材、4b…………水平片、
6……………垂直片、12…………ボビン、
14…………表面抑え部、16…………摩擦
ピン、 W……………接合線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 久司 静岡県庵原郡蒲原町蒲原一丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 牧田 慎也 静岡県庵原郡蒲原町蒲原一丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 Fターム(参考) 4E067 AA05 BG00 DA13 DA17 DC07 EC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板厚が相違する一対のアルミニウム又はア
    ルミニウム合金板材の端面間に、断面略T形の接合材の
    垂直片を挟持し、且つこの接合材の水平片を上記板材の
    表面上に接触させる工程と、 上記一対のアルミニウム又はアルミニウム合金板材同士
    の表面側から、回転するボビン底面の表面抑え部で上記
    接合材の水平片を押圧し、この表面抑え部の中心から垂
    下し表面抑え部と同時に回転する摩擦ピンを接合材の水
    平片に貫通し、且つその垂直片に沿って上記板材同士の
    端面間に所定の深さ進入させると共に、このボビン及び
    摩擦ピンを回転しつつ上記板材同士の端面間の長手方向
    に沿って移動させて摩擦攪拌接合を施す工程と、を含
    み、 上記一対の板材間の長手方向に沿って傾いた接合線を形
    成する、 ことを特徴とするアルミニウム又はアルミニウム合金板
    材の接合方法。
  2. 【請求項2】前記接合材は、傾斜した水平片を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム又はア
    ルミニウム合金板材の接合方法。
  3. 【請求項3】前記ボビン及び摩擦ピンは、前記接合材の
    水平片の傾斜に倣って傾けられつつ用いる、ことを特徴
    とする請求項1又は2に記載のアルミニウム又はアルミ
    ニウム合金板材の接合方法。
  4. 【請求項4】前記接合材が、前記アルミニウム又はアル
    ミニウム合金板材と同じ組成又は異なる組成のアルミニ
    ウム又はアルミニウム合金製の押出形材、或いはこれら
    の材質からなる板材の折り曲げ材である、ことを特徴と
    する請求項1乃至3の何れか一項に記載のアルミニウム
    又はアルミニウム合金板材の接合方法。
JP2002093628A 2002-03-29 2002-03-29 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法 Expired - Fee Related JP3948323B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002093628A JP3948323B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002093628A JP3948323B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26215098A Division JP3329281B2 (ja) 1998-09-16 1998-09-16 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002331370A true JP2002331370A (ja) 2002-11-19
JP3948323B2 JP3948323B2 (ja) 2007-07-25

Family

ID=19193547

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002093628A Expired - Fee Related JP3948323B2 (ja) 2002-03-29 2002-03-29 アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3948323B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007175729A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Kawasaki Heavy Ind Ltd 中空体の製造方法
EP1825946A1 (en) * 2006-02-27 2007-08-29 Hitachi, Ltd. Friction stir welding method of two members having different thicknesses
JP2009202212A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 異材接合方法及び装置
WO2011024320A1 (ja) * 2009-08-31 2011-03-03 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
WO2011061826A1 (ja) * 2009-11-18 2011-05-26 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット
CN104275549A (zh) * 2013-07-05 2015-01-14 铃木株式会社 摩擦搅拌接合体
CN110039170A (zh) * 2019-03-28 2019-07-23 哈尔滨工业大学 一种同质夹具辅助单道搅拌摩擦焊接t型接头装置及方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101885109A (zh) * 2010-07-30 2010-11-17 北京理工大学 一种中厚板az31镁合金的搅拌摩擦焊接方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007175729A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Kawasaki Heavy Ind Ltd 中空体の製造方法
EP1825946A1 (en) * 2006-02-27 2007-08-29 Hitachi, Ltd. Friction stir welding method of two members having different thicknesses
JP2009202212A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 異材接合方法及び装置
WO2011024320A1 (ja) * 2009-08-31 2011-03-03 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
JP4838385B2 (ja) * 2009-08-31 2011-12-14 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法、接合装置、冷間圧延設備の金属板接合方法及び冷間圧延設備
WO2011061826A1 (ja) * 2009-11-18 2011-05-26 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット
JP4838388B2 (ja) * 2009-11-18 2011-12-14 三菱日立製鉄機械株式会社 両面摩擦攪拌接合方法および装置並びに両面摩擦攪拌接合用ツールセット
CN104275549A (zh) * 2013-07-05 2015-01-14 铃木株式会社 摩擦搅拌接合体
JP2015027699A (ja) * 2013-07-05 2015-02-12 スズキ株式会社 摩擦撹拌接合体
CN110039170A (zh) * 2019-03-28 2019-07-23 哈尔滨工业大学 一种同质夹具辅助单道搅拌摩擦焊接t型接头装置及方法
CN110039170B (zh) * 2019-03-28 2021-07-13 哈尔滨工业大学 一种同质夹具辅助单道搅拌摩擦焊接t型接头装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3948323B2 (ja) 2007-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3329281B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法
JP3307330B2 (ja) 厚肉の被接合材の摩擦攪拌接合方法及び接合構造
TWI335251B (en) Method ana apparatus of joining metallic plates by frictional pressure welding
JPH1110366A (ja) 摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置
WO2003106098A1 (en) Method and apparatus for friction stir welding
JP2003071577A (ja) 摩擦攪拌接合方法
JPH1128581A (ja) 摩擦撹拌接合による継手の形成方法
JP2013010141A (ja) 接合方法
JP3289690B2 (ja) アルミニウム合金板材の接合方法
JP2002331370A (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金板材の接合方法
JP4407113B2 (ja) 接合方法
JP2002263863A (ja) 摩擦攪拌接合用ツール
JPH1128583A (ja) 摩擦撹拌接合によるワークの接合方法
JP2000317652A (ja) 摩擦攪拌接合方法およびその構造体
JP3295376B2 (ja) 摩擦撹拌接合法
JP3761736B2 (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP2003039181A (ja) 摩擦攪拌接合方法および回転工具
JPH10193139A (ja) 摩擦撹拌接合法
JP2000033484A (ja) 貫通摩擦攪拌接合用プローブ
JP4195579B2 (ja) 摩擦攪拌接合材及びその製造方法
JP3732668B2 (ja) 摩擦撹拌接合方法
JP2009006396A (ja) 中空形材の接合方法および接合構造
JP3761735B2 (ja) 摩擦撹拌接合方法
JPH11104860A (ja) 摩擦撹拌接合法及び摩擦撹拌接合装置
JP2004223587A (ja) 中空押出し形材の接合構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040603

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070116

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20070409

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees