JP4955907B2 - メモリ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えは不揮発性のメモリ素子としては、図17に示すようなものがある(例えば、非特許文献1参照。)。このメモリ素子は、第1の電極が接続されるp型Si(シリコン)基板911の表面に、熱酸化によって形成された厚さ2nm程度の薄いトンネル酸化膜912を備える。このトンネル酸化膜912の表面であって、上記p型シリコン基板に形成されたチャネルの上方の位置に、粒径5nm程度の微粒子に形成されたSi量子ドット(以下、量子ドットという)914が設けられている。上記量子ドット914上には、低圧CVDによって積層された厚さ10nm程度の制御酸化膜915が設けられており、この制御酸化膜915上には、n+ポリシリコンから成る第2の電極916が設けられている。このメモリ素子は、上記量子ドット914が浮遊ゲートとして機能しており、薄い平板状に形成された上記酸化膜912を貫通する直接トンネル現象によって、上記Si基板911の表面と上記量子ドット914との間で電子の出入を行う。そして、上記量子ドット914に電荷を蓄積するようにしている。
【0003】
上記メモリ素子は、電界効果型トランジスタを構成して、上記量子ドットに蓄積された電荷を検出する。すなわち、上記メモリ素子の酸化膜912が、電界効果型トランジスタのゲート酸化膜として働くと共に、上記第2の電極916がゲート電極として働く。また、上記p型Si基板911中に、ソース/ドレイン領域917,918を形成している。
【0004】
図18(a),(b)は、上記メモリ素子のエネルギーバンド構造を示した模式図である。上記メモリ素子に書き込を行なう場合、上記第2の電極916にプラスのゲート電圧を印加する。そして、図18(a)に示すように、上記Si基板911に生成される反転層919のキャリア電子を、直接トンネル現象によって上記トンネル酸化膜912を貫通させて、上記量子ドット914に入射させる。読み出しを行なう場合は、上記メモリ素子で構成する電界効果型トランジスタのドレイン電流を検出する。上記量子ドット914に電荷が蓄積されている場合、この電荷によって、上記ゲート電極916から反転層919への電界が遮蔽されるので、上記量子ドット914に電荷が蓄積されていない場合に比べて、上記ドレイン電流が減少する。したがって、上記ドレイン電流を検出することによって、上記量子ドット914の電荷の有無が検出できて、メモリ素子の記憶状態が検知できるのである。このメモリ素子において、消去を行なう場合は、ゲート電圧として、書き込み時とは逆に負電圧を印加し、これによって、上記量子ドット914に蓄積された電子を、上記トンネル酸化膜912を貫通して上記Si基板911に直接トンネルさせる。
【0005】
【非特許文献1】
S.Tiwari、F.Ranaら著 IEDM(インターナショナル・エレクトロン・デバイセズ・ミーティング)ダイジェスト 1995年 p.521
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のメモリ素子は、上記Si基板911の表面と量子ドット914との間に位置するトンネル酸化膜912が比較的薄いため、図18(b)に示すように、上記量子ドット914に蓄積された電荷が、上記Si基板911にリークし易いという問題がある。したがって、このメモリ素子は、長時間の記憶保持ができないという不都合がある。このような電荷のリークを防ぐためには、上記トンネル酸化膜912を厚くしなければならないが、そうすると、書き込み時における上記量子ドット914への電荷の入射確率を大幅に低下させることになる。その結果、書き込み動作に時間がかかって、書き込み速度が低下するという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、蓄積電荷のリークを効果的に抑制でき、しかも、書き込みおよび消去を高速で行なえるメモリ素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のメモリ素子は、
電界効果型トランジスタを備え、
この電界効果型トランジスタは、
半導体基板と、
上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
上記第1の絶縁膜上に形成された第2の絶縁膜と、
上記第2の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、
上記電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、
上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく
上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁体の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のキャリアとしての電子のエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この半導体基板のキャリアとしての電子が、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにし
消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のホールのエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の価電子帯上端よりも低くなって、この半導体基板のホールが、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記半導体基板と電極とに互いに異なる所定の電圧を印加して、キャリアとしての電子を、上記半導体基板から上記電荷蓄積膜に注入することによって、この電荷蓄積膜に電荷が蓄積されて、書き込みが行なわれる。このとき、上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差(電位差)は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、上記キャリアとしての電子に対してトンネル障壁として働くのは、上記第1の絶縁膜のみになる。したがって、上記電子は上記電荷蓄積膜に迅速に注入される。その結果、このメモリ素子は、書き込みが比較的高速に行なわれる。一方、上記電荷蓄積膜に電子が保持されて電荷が蓄積された状態においては、上記電荷蓄積膜に保持された電子に対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働く。したがって、上記電荷蓄積膜に保持された電子は、上記半導体基板にリークし難いので、誤消去が効果的に防止される。また、読み出しのために上記電荷蓄積膜における電荷の蓄積を検出する場合においても、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記電荷蓄積膜に誤って電子が注入され難い。したがって、誤書き込みが効果的に防止される。
【0010】
【0011】
また、上記半導体基板と上記電極とに、書き込み時と逆の電圧を印加することによって消去を行う際、上記半導体基板から上記電荷蓄積膜に注入されるホールに対して、上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働く。したがって、比較的高速に消去が行なわれる。
【0012】
【0013】
【0014】
1実施形態のメモリ素子は、上記電荷蓄積膜は、上記電荷をトラップする機能を有する絶縁膜である。
【0015】
上記実施形態によれば、上記電荷蓄積膜は、電荷をトラップする機能を有する絶縁膜であるので、例えば上記第1の絶縁膜の一部に欠陥などが発生した場合でも、上記電荷蓄積膜を例えば導電性膜で形成した場合のような、上記電荷蓄積膜中に蓄積されている電荷の全てがリークすることが無い。つまり、上記欠陥の近傍の部分にトラップされた電荷のみがリークするのみであって、上記欠陥の近傍以外の部分にトラップされた電荷は、上記欠陥によってはリークしない。したがって、上記電荷蓄積膜は、上記欠陥の近傍以外の部分は電荷蓄積機能が保持されるので、このメモリ素子は、全体として、メモリ機能が殆ど劣化しない。その結果、このメモリ素子は、信頼性と歩留まりが効果的に向上する。
【0016】
本発明のメモリ素子は、
電界効果型トランジスタを備え、
この電界効果型トランジスタは、
半導体基板と、
上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、
上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられており、
上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁体の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のキャリアとしての電子のエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この半導体基板のキャリアとしての電子が、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにし、
消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のホールのエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の価電子帯上端よりも低くなって、この半導体基板のホールが、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、上記半導体基板と上記電極とに互いに異なる所定の電圧を印加して、キャリアとしての電子を、上記半導体基板から上記導電体微粒子に注入することによって、この導電体微粒子に電荷が蓄積されて、書き込みが行なわれる。このとき、上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、上記キャリアとしての電子に対してトンネル障壁として働くのは、上記第1の絶縁膜のみになる。したがって、上記電子は上記導電体微粒子に迅速に注入される。その結果、このメモリ素子は、書き込みが比較的高速に行なわれる。一方、上記導電体微粒子に電子が保持されて電荷が蓄積された状態においては、上記導電体微粒子に保持された電子に対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働く。したがって、上記導電体微粒子に保持された電子は、上記半導体基板にリークし難いので、誤消去が効果的に防止される。また、読み出しのために上記導電体微粒子における電荷の蓄積を検出する場合においても、上記導電体微粒子に保持された電子に対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働く。したがって、上記導電体微粒子に誤って電子が注入され難いので、誤書き込みが効果的に防止される。
【0018】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷について、上記欠陥によるリークが殆ど生じない。したがって、このメモリ素子は、安定してメモリ機能を保持できて、信頼性および歩留まりを効果的に向上できる。
【0019】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子を含む上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、例えは熱励起などに起因する電荷のリークが防止される。したがって、このメモリ素子は、例えば高温下においても、安定してメモリ機能を奏することができる。
【0020】
なお、本発明において、上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられていればよく、例えば、上記第2の絶縁膜中に位置してもよく、また、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界から第3の絶縁膜側に突出していてもよい。
【0021】
【0022】
また、上記半導体基板と上記電極とに、書き込み時と逆の電圧を印加して消去を行う際、上記半導体基板から上記導電体微粒子に注入されるホールに対して、上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働く。したがって、比較的高速に消去が行なわれる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
1実施形態のメモリ素子は、上記第2の絶縁膜または上記第3の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高い。
【0029】
上記実施形態によれば、上記第2の絶縁膜または第3の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高いので、書き込み時および消去時に各電極に所定電圧が印加された場合、上記第2の絶縁膜または第3の絶縁膜のいずれか一方が受ける電圧よりも、上記第1の絶縁膜が受ける電圧が大きくなる。したがって、比較的小さい印加電圧によって、上記第1の絶縁膜に、トンネル現象によるキャリアの通過が生じる。その結果、このメモリ素子は、従来よりも低い印加電圧で書き込みおよび消去を行うことができる。したがって、駆動回路などを有効に簡略化でき、また、上記メモリ素子の劣化を有効に防止できる。
【0030】
1実施形態のメモリ素子は、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との両方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高い。
【0031】
上記実施形態によれば、上記第2の絶縁膜および第3の絶縁膜の両方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高いので、書き込み時および消去時に各電極に所定電圧が印加された場合、上記第2の絶縁膜および第3の絶縁膜の両方が受ける電圧よりも、上記第1の絶縁膜が受ける電圧が大きくなる。したがって、大幅に小さい印加電圧によって、上記第1の絶縁膜に、トンネル現象によるキャリアの通過が生じる。その結果、このメモリ素子は、従来よりも大幅に低い電圧で書き込みおよび消去を行うことができる。したがって、駆動回路などを効果的に簡略化でき、また、上記メモリ素子の劣化を効果的に防止できる。
【0032】
本発明のメモリ素子は、
電界効果型トランジスタを備え、
この電界効果型トランジスタは、
半導体基板と、
上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、
上記電荷蓄積膜上に形成された第2の絶縁膜と、
上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく
上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この導電体膜の電子の一部が、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにし
消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも低く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の価電子帯上端よりも高くなって、ホールが、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体膜から上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴としている。
【0033】
上記構成によれば、上記半導体基板と上記電極とに互いに異なる所定の電圧を印加して、キャリアとしての電子を、上記電極から上記電荷蓄積膜に注入することによって、この電荷蓄積膜に電荷が蓄積されて、書き込みが行なわれる。このとき、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記キャリアとしての電子に対してトンネル障壁として働くのは、上記第3の絶縁膜のみになる。したがって、上記電子は上記電荷蓄積膜に迅速に注入される。その結果、このメモリ素子は、書き込みが比較的高速に行なわれる。また、上記電荷蓄積膜に電子が保持されて電荷が蓄積された状態においては、上記電荷蓄積膜に保持された電子に対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁となる。したがって、上記電荷蓄積膜に保持された電子は、上記電極にリークし難いので、誤消去が効果的に防止される。また、読み出しのために上記電荷蓄積膜における電荷の蓄積を検出する場合においても、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記電荷蓄積膜に誤って電子が注入され難い。したがって、誤書き込みが効果的に防止される。
【0034】
さらに、上記メモリ素子は、書き込み時において、トンネル現象によるキャリアの通過は上記第3の絶縁膜に生じるので、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象は殆ど生じない。したがって、上記半導体基板に接した第1の絶縁膜は、キャリアのトンネル現象によるダメージを受けにくいので、このダメージに起因する準位が、上記半導体基板と第1の絶縁膜との間の界面に生じ難い。その結果、上記準位で電荷がトラップされることによるメモリ素子の特性のばらつきが、効果的に防止される。
【0035】
【0036】
また、消去を行なう場合、上記半導体基板と上記第3の電極とに、書き込み時と逆の電圧を印加する。この場合、上記電極から上記電荷蓄積膜に向うホールに対して、上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働く。その結果、上記ホールは上記電荷蓄積膜に迅速に注入されて、比較的高速に消去を実行できる。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
1実施形態のメモリ素子は、上記電荷蓄積膜は、電荷をトラップする機能を有する絶縁膜である。
【0041】
上記実施形態によれば、上記電荷蓄積膜は、電荷をトラップする機能を有する絶縁膜であるので、上記第3の絶縁膜の一部に例えば欠陥などが発生した場合でも、上記電荷蓄積膜を導電体で形成した場合におけるような、蓄積された電荷の全てが上記欠陥からリークすることが無い。つまり、上記欠陥の近傍の部分にトラップされた電荷のみがリークするのみであって、上記欠陥の近傍以外の部分にトラップされた電荷は、上記欠陥によってはリークしない。したがって、上記電荷蓄積膜は、上記欠陥の近傍以外の部分は電荷蓄積機能が保持されるので、このメモリ素子は、全体として、メモリ機能が殆ど劣化しない。その結果、このメモリ素子は、信頼性と歩留まりが効果的に向上する。
【0042】
本発明のメモリ素子は、
電界効果型トランジスタを備え、
この電界効果型トランジスタは、
半導体基板と、
上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、
上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第3の絶縁膜から隔てられており、
上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この導電体膜の電子の一部が、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにし、
消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも低く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の価電子帯上端よりも高くなって、ホールが、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体膜から上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴としている。
【0043】
上記構成によれば、上記半導体基板と上記電極とに互いに異なる所定の電圧を印加して、キャリアとしての電子を、上記電極から上記導電体微粒子に注入することによって、この導電体微粒子に電荷が蓄積されて、書き込みが行なわれる。このとき、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記キャリアとしての電子に対してトンネル障壁として働くのは、上記第3の絶縁膜のみになる。したがって、上記電子は上記導電体微粒子に迅速に注入される。その結果、このメモリ素子は、書き込みが比較的高速に行なわれる。一方、上記導電体微粒子に電子が保持されて電荷が蓄積された状態においては、上記導電体微粒子に保持された電子に対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁となる。したがって、上記導電体微粒子に保持された電子は、上記電極にリークし難いので、誤消去が効果的に防止される。また、読み出しのために上記導電体微粒子における電荷の蓄積を検出する場合においても、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁となるので、上記導電体微粒子に誤って電子が注入され難い。したがって、誤書き込みが効果的に防止される。
【0044】
さらに、上記メモリ素子は、書き込み時において、トンネル現象によるキャリアの通過は上記第3の絶縁膜に生じるので、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象が殆ど生じない。したがって、上記半導体基板に接した第1の絶縁膜は、キャリアのトンネル現象によるダメージを受けにくいので、このダメージに起因する準位が、上記半導体基板と第1の絶縁膜との間の界面に生じ難い。その結果、上記準位で電荷がトラップされることによるメモリ素子の特性のばらつきが、効果的に防止される。
【0045】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第2の絶縁膜および第3の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷は、上記欠陥によるリークが殆ど生じない。したがって、このメモリ素子は、安定してメモリ機能を保持できて、信頼性および歩留まりを効果的に向上できる。
【0046】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子が含まれる上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、例えは熱励起などに起因する電荷のリークが防止される。したがって、このメモリ素子は、例えば高温下においても、安定してメモリ機能を奏することができる。
【0047】
なお、本発明において、上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられていればよく、例えば、上記第2の絶縁膜中に位置してもよく、また、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界から第3の絶縁膜側に突出していてもよい。
【0048】
【0049】
また、上記半導体基板と上記電極とに、書き込み時と逆の電圧を印加して消去を行う際、上記電極から上記導電体微粒子に注入されるホールに対して、上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働く。したがって、比較的高速に消去が行なわれる。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
1実施形態のメモリ素子は、上記第1の絶縁膜または上記第2の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高い。
【0057】
上記実施形態によれば、上記第1の絶縁膜または第2の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高いので、書き込み時および消去時に各電極に所定電圧が印加された場合、上記第1の絶縁膜または第2の絶縁膜のいずれか一方が受ける電圧よりも、上記第3の絶縁膜が受ける電圧が大きくなる。したがって、比較的小さい印加電圧によって、上記第3の絶縁膜に、トンネル現象によるキャリアの通過が生じる。その結果、このメモリ素子は、従来よりも低い印加電圧で書き込みおよび消去を行うことができる。したがって、このメモリ素子の駆動回路などを有効に簡略化でき、また、上記メモリ素子の劣化を有効に防止できる。
【0058】
1実施形態のメモリ素子は、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との両方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高い。
【0059】
上記実施形態によれば、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の両方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高いので、書き込み時および消去時に各電極に所定の電圧が印加された場合、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の両方が受ける電圧よりも、上記第3の絶縁膜が受ける電圧が大きくなる。したがって、従来よりも大幅に小さい印加電圧によって、上記第3の絶縁膜に、トンネル現象によるキャリアの通過が生じる。その結果、このメモリ素子は、従来よりも大幅に低い電圧で書き込みおよび消去を行うことができる。したがって、駆動回路などを効果的に簡略化でき、また、上記メモリ素子の劣化を効果的に防止できる。
【0060】
【0061】
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0063】
以下の実施形態においては、所定物質の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差を、「電子親和力」と定義する。また、所定物質のフェルミレベルと真空準位との間のエネルギー差を、「仕事関数」と定義する。また、所定物質の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差を、「イオン化エネルギー」と定義する。
【0064】
また、エネルギーバンド構造を示す模式図において、電子に関しては、紙面上方を高エネルギー側、紙面下方を低エネルギー側とする。ホールに関しては、紙面上方を低エネルギー側、紙面下方を高エネルギー側とする。
【0065】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のメモリ膜とその製造方法を、図1乃至5を用いて説明する。
【0066】
図1は、第1実施形態のメモリ膜を示す図である。このメモリ膜は、第1の電極となるp型シリコンなどの半導体基板111と、第1の絶縁膜112と、第2の絶縁膜113と、電荷蓄積膜114と、第3の絶縁膜115と、第2の電極116とを順に積層して形成している。
【0067】
上記第1の絶縁膜112は、シリコン酸化膜で形成している。本実施形態のメモリ膜は、書き込みおよび消去の際、上記電荷蓄積膜114への電荷の注入および抜き取りを、上記第1の絶縁膜112を介して半導体基板111側から行う。したがって、上記第1の絶縁膜112は、比較的薄く、しかも、書き込みおよび消去時に生成される電界によって絶縁破壊が生じないことが必要であり、そのため、1〜4nmの膜厚を有するのが好ましい。本実施形態では、上記第1の絶縁膜112の膜厚を3nmにしている。
【0068】
上記第2の絶縁膜113は、シリコン窒化膜によって形成している。この第2の絶縁膜113は、膜厚が2〜6nm程度であるのが好ましく、本実施形態では膜厚を3nmにしている。
【0069】
なお、上記第1、第2の絶縁膜112,113の材料の組み合わせは、シリコン酸化膜およびシリコン窒化膜に限られず、後述するバンド構造が得られる材料を適宜選べばよい。
【0070】
上記電荷蓄積膜114は、例えば厚さ3〜5nm程度のポリシリコン膜によって形成する。
【0071】
第3の絶縁膜115は、シリコン酸化膜によって形成している。本実施形態では、書き込みおよび消去の際、上記電荷蓄積膜114への電荷の注入および抜き取りを、上記半導体基板111側から行う。したがって、上記第3の絶縁膜は、電荷のトンネル現象を極力抑える必要があり、そのため、5〜10nmの膜厚を有するのが好ましい。本実施形態では、膜厚を5nmにしている。
【0072】
上記第2の電極116は、導電性を奏する不純物(リンなど)を高濃度に含むポリシリコンで形成している。あるいは、第2の電極116は金属で形成してもよい。
【0073】
図2は、上記メモリ膜のエネルギーバンド構造を示す模式図である。図1における右側が、図1における半導体基板111側である。ここで示すエネルギーバンド構造は、簡単のため、すべてのバンドをフラットに描いている。実際には、電極間に電位差を与えない場合であってもエネルギーバンドは変形している。
【0074】
上記シリコン酸化膜によって第1の絶縁膜112を形成し、シリコン窒化膜によって第2の絶縁膜113を形成している。ここで、図2の模式図に示すように、上記第1の絶縁膜112の伝導帯下端Ec1と真空準位117との間のエネルギー差、つまり電子親和力Aは、上記第2の絶縁膜113の伝導帯下端Ec2と真空準位117との間のエネルギー差、つまり電子親和力Bよりも小さい。また、上記第1の絶縁膜112の価電子帯上端Ev1と真空準位117との間のエネルギー差、つまりイオン化エネルギーaは、上記第2の絶縁膜113の価電子帯上端Ev2と真空準位117との間のエネルギー差、つまりイオン化エネルギーをbよりも大きい。つまり、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113との間に、電子親和力A,Bと、イオン化エネルギーa,bとに関して、A<B、かつ、a>bの関係が成立する。なお、このような関係が成立する他の材料によって、第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜とを形成してもよい。例えば、第1の絶縁膜としては、シリコン酸化膜の他に、電子親和力、イオン化エネルギーの大きい物質として、Alなどの材料を用いてもよい。この場合、第2の絶縁膜としては、上記シリコン窒化膜の他に、シリコン酸窒化膜SiO、Y、ZrO−SiO混合物、HfO−SiO混合物などの材料を使用することが可能である。
【0075】
図3(a)は、本実施形態のメモリ膜の書き込み時におけるエネルギーバンド構造を示す図であり、図3(b)は、記憶保持時および読み出し時のエネルギーバンド構造を示す図である。本実施形態のメモリ膜は、書き込み時に、キャリアとしての電子の直接トンネリング現象を利用している。図3(a)に示すように、上記第1電極としての半導体基板111の電位を0V、第2の電極116の電位を+7Vとすると、上記半導体基板111の表面付近に反転層119が生じる。この反転層119を形成するために、電圧の印加に加えて、必要に応じて光照射などを行ってもよい。上記反転層119の電子は、上記第2の絶縁膜113の伝導帯下端Ec2よりも高エネルギーを有するので、一部の電子120が第1の絶縁膜112をトンネル現象によって通過して、上記電荷蓄積膜114に蓄積される。ここで、上記反転層の高エネルギーの電子120に対して、上記第2の絶縁膜113は障壁として働かない一方、上記第1の絶縁膜112のみがトンネル障壁として働く。この第1の絶縁膜112は比較的薄い膜厚を有するので、この第1の絶縁膜112における上記電子120のトンネル確率は比較的高い。したがって、上記反転層の電子120は、上記第1の絶縁膜112を迅速に通過して上記電荷蓄積膜114に迅速に蓄積されるので、このメモリ膜は比較的速い書き込み速度を実現できるのである。
【0076】
本実施形態のメモリ膜は、上記第2の絶縁膜113と半導体基板111との間に第1の絶縁膜112を設けて、上記第2の絶縁膜113と半導体基板111とが接していない。したがって、適切な電圧を印加することによって、上記半導体基板111表面近傍の反転層119の電子を、上記第2の絶縁膜113の伝導帯下端Ec2よりも高エネルギーにすることができる。さらに、上記第1絶縁膜112と第2絶縁膜113は、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2の真空準位117からのエネルギー差A,Bに、A<Bの関係が成立するので、書き込み時の印加電圧を比較的低くできる。したがって、各絶縁膜112、113の劣化を効果的に防止できる。
【0077】
なお、上記半導体基板111と第2電極116との間に印加する電圧は、0Vおよび+7Vに限られず、各絶縁層112,113の材料および厚みに応じて、反転層の電子のエネルギーが、第2の絶縁膜の伝導帯下端Ec2よりも高く、かつ、第1の絶縁膜の伝導帯下端Ec1よりも低くなる電圧を印加すればよい。
【0078】
一方、上記半導体基板111と第2の電極116との間に電位差を与えない保持状態では、図3(b)に示すように、上記電荷蓄積膜114に蓄積された電子120の準位は、上記第2の絶縁膜113の伝導帯下端Ec2および第1の絶縁膜112の伝導帯下端Ec1よりも低い。したがって、この第2の絶縁膜113および第1の絶縁膜112のいずれも、上記電子120に対するトンネル障壁となるので、この電子120は、トンネル現象による半導体基板111へのリークが殆ど生じない。その結果、このメモリ膜は、長時間の記憶保持が可能となる。
【0079】
また、本実施形態のメモリ膜は、上記電荷蓄積膜114に蓄積された電荷の多寡を検出して読み出を行なう場合、上記電荷蓄積膜144に蓄積された電荷が散逸しない程度の充分に低い電圧、例えば2Vの電圧を電極111,116間に印加する。この場合の静電容量を測定することによって、上記電荷蓄積膜114に蓄積された電荷の多寡を検出して、記憶状態を検出する。このように印加電圧が比較的低い読み出し時においても、上記記憶保持時と同様に、電荷蓄積膜114と半導体基板111とは、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の二重の絶縁膜で電気的に分離された状態が保たれる。その結果、半導体111と電荷蓄積膜114との間の電荷移動による誤書き込みや誤消去が防止される。なお、上記誤書き込みとは、読み出し時などのような、書き込み動作時以外の電圧印加によって、電荷蓄積膜114に電荷が誤って注入されることを言う。また、上記誤消去とは、消去動作時以外の電圧印加によって、電荷蓄積膜114から電荷が誤って抜け出ることを言う。
【0080】
このようにして、本実施形態のメモリ膜によれば、高い記憶保持能力を保ちつつ、第1の絶縁膜112の厚みを薄くして、書き込みに直接トンネル現象を用いることが可能となる。したがって、書き込み電圧を低減し、しかも、トンネル絶縁膜の劣化を抑えることができる。その結果、メモリ膜の信頼性を向上できる。
【0081】
次に、本実施形態のメモリ膜について、消去を行なう方法を、図4を用いて説明する。消去を行なう場合、図3(b)で示すように電荷蓄積膜114に蓄積された電荷を、ホールを直接トンネリング現象によって上記電荷蓄積膜114に注入することによって消去する。すなわち、上記半導体基板111の電位を0V、上記第2の電極116の電位を−7Vにして、上記半導体基板111表面にホールの蓄積層121を形成する。この場合、上記蓄積層121に蓄積されるホールの準位は、第2の絶縁膜113の価電子帯上端Ev2よりも低くなって、高エネルギーになる。なお、ホールに対しては、図4の下方が高エネルギー側である。したがって、上記ホールに対して第1の絶縁膜112のみがトンネル障壁となり、このホールは、上記第1の絶縁膜112をトンネル現象によって通過して、上記電荷蓄積膜114に入射する。この電荷蓄積膜114に入射したホールは、電子120と再結合して、この電荷蓄積膜114の電荷が消去される。この場合、上記ホール122に対して障壁として働くのは第1の絶縁膜112のみであるため、上記ホールは高いトンネル確率で上記電荷蓄積膜114に入射する。その結果、このメモリ膜は、比較的速い消去速度を実現できる。
【0082】
上記ホール122に対して第1の絶縁膜112のみがトンネル障壁として働くことは、上記第2の絶縁膜113と半導体基板111との間に、上記第1の絶縁膜112を配置するという構成で達成している。つまり、半導体基板111と第2電極116と間に適切な電圧を印加することにより、上記蓄積層121のホールを、上記第2の絶縁膜113の価電子帯上端Ev2よりも高エネルギー(図4の下方向側)にすることができる。さらに、上記第1の絶縁膜112の価電子帯上端Ev1と、第2の絶縁膜113の価電子帯上端Ev2とについて、真空準位117からの各々のエネルギー差a,bが、a>bの関係を有するので、比較的低い印加電圧によって、ホールを電荷蓄積膜114に入射できる。その結果、上記第1および第2の絶縁膜は、印加電圧が低減されて、劣化が効果的に防止される。また、上記電極111,116に適切な電圧を印加することにより、上記半導体基板111表面に形成された蓄積層121のホール122のエネルギーを、Ev2より高く、かつ、Ev1より低くすることができる。その結果、上記第1の絶縁膜112のみについて直接トンネリング現象を用いて、比較的小さい印加電圧によって、上記ホールを電荷蓄積膜114に入射させることができる。
【0083】
上記ホール122を電荷蓄積膜114に入射させる場合においても、電極111,116に印加する電圧の値は、本実施形態の電圧値に限られず、各絶縁膜層の材料や膜厚に応じて適切な電圧値にすればよい。各絶縁膜層の材料・膜厚を適当に選ぶことによって、印加電圧をさらに低くすることができる。
【0084】
このように、本実施形態によれば、比較的薄い第1絶縁膜112を用いて、書き込み電圧が比較的低く、しかも、良好な記憶保持特性を有し、さらに、消去時にも直接トンネル現象を用いることができる。したがって、書き込みおよび消去時のいずれの印加電圧も低減でき、また、第1および第2絶縁膜112,113の劣化を抑えることができる。その結果、良好な信頼性を有するメモリ膜が得られる。
【0085】
図5(a),(b),(c)は、本実施形態のメモリ膜を製造する工程を示した図である。
【0086】
まず、p型シリコンからなる半導体基板111上に、900℃のNO雰囲気中で、3nmのシリコン酸化膜を成膜して第1の絶縁膜112を形成する。なお、このシリコン酸化膜の成膜にはCVD法を用いることもできる。なお、上記第1の絶縁膜112は、電界効果トランジスタのゲート酸化膜として機能させる場合は、界面準位の生成が少ない熱酸化法によって成膜するのが好ましい。続いて、800℃のジクロロシランおよびアンモニア混合ガス雰囲気中で、上記第1の絶縁膜112の表面に、減圧化学的気相成長法(LPCVD法)によって3nmのシリコン窒化膜を成膜する。これによって、図5(a)に示すように、半導体基板111上に、第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113を形成する。上記シリコン窒化膜については、LPCVD法によって堆積した後、さらにアンモニア雰囲気下でランプ加熱を行うことで、ダングリングボンドの少ない良質な膜にすることが可能である。また、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113とは、上記第2の絶縁膜113の電子親和力が、第1の絶縁膜112の電子親和力よりも大きいこと、および、この第2の絶縁膜113のイオン化エネルギーが第1の絶縁膜112のイオン化エネルギーよりも小さいことの2つの条件を満たすように、材料を適宜選べばよい。
【0087】
次に、620℃のSiH雰囲気中で、減圧化学的気相成長法(LPCVD法)によってポリシリコン膜を成膜して、電荷蓄積膜114を形成する。さらに、900℃のNO雰囲気中で、上記ポリシリコン膜の表面を酸化することによって、厚さ5nmのシリコン酸化膜を形成して第3の絶縁膜115を得る。(図5(b))。このシリコン酸化膜は、熱酸化によって形成するのに限られず、例えはCVD法などの他の方法で形成してもよい。
【0088】
次に、LPCVD法によってポリシリコン膜を成膜し、このポリシリコン膜に、例えばリンを1〜5×1015cm−2注入した後、窒素雰囲気下でアニールを行って第2の電極116を形成して、本実施形態のメモリ膜が完成する(図5(c))。
【0089】
本実施形態において、各層の材料、膜厚、印加電圧などは、あくまで一例であり、本発明の要件を満たす範囲で、メモリ膜の使用目的に応じて適宜選択すればよい。ここにおいて、上記第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113を形成する材料は、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2について、真空準位117との間の差A,BにA<Bの関係が成立すれば、電荷蓄積膜114への電子の注入(本実施形態では書き込み)が高速に行われるようにできる。また、上記第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113を形成する材料は、各々の価電子帯上端Ev1,Ev2について、真空準位117との間の差a,bにa>bの関係が成立すれば、電荷蓄積膜114へのホールの注入(本実施形態では消去)が高速に行われるようにできる。なお、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜としては、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2について、真空準位117との間の差A,Bに、A<Bの関係のみが成立するものを用いてもよい。また、価電子帯上端Ev1,Ev2について、真空準位117との間の差a,bに、a>bの関係のみが成立する第1の絶縁膜と第2の絶縁膜を用いてもよい。
【0090】
また、上記第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113について、上記伝導帯下端および価電子帯上端に関する条件が成立すれば、上記半導体基板111と第1の絶縁膜112とは接している必要はない。例えば、上記半導体基板111と第1の絶縁膜112との間に薄い誘電体膜などを設けてもよい。また、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の間、あるいは、上記第2の絶縁膜113と電荷蓄積膜114との間、あるいは、上記電荷蓄積膜114と第3の絶縁膜115との間、あるいは、上記第3の絶縁膜115と第2の電極との間についても、他の層を設けてもよい。
【0091】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態のメモリ膜を示した図である。このメモリ膜は、第1の電極であるp型シリコンからなる半導体基板111と、シリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜112と、第2の絶縁膜133と、電荷をトラップする機能を有する絶縁膜134と、シリコン酸化膜からなる第3の絶縁膜115と、リンなどの不純物を高濃度に含むポリシリコンなどからなる第2の電極116とが順に積層されて形成されている。本実施形態において、第1実施形態と同一の構成部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0092】
上記電荷をトラップする機能を有する絶縁膜134は、例えばシリコン窒化膜によって形成する。このシリコン窒化膜は、電荷の蓄積に用いるため、通常のLPCVD法によって作成されてダングリングボンドを含むものを用いる。
【0093】
本実施形態のメモリ膜は、書き込みおよび消去を、第1実施形態と同様に実行する。このメモリ膜における書き込みおよび消去の様子を、図7および図8(a),(b)のエネルギーバンド構造の模式図を用いて説明する。
【0094】
まず、書き込み時には、図7に示すように、上記半導体基板111に対して第2の電極116に適当な正電圧を印加することにより、第1の絶縁膜112のみに電子をトンネルさせて、この電子を上記絶縁膜134内に注入する。これによって、上記電子は、電荷をトラップする機能をもつ絶縁膜134内の準位130に、速やかにトラップされる。
【0095】
消去時は、図8(a)に示すように、上記半導体基板111に対して第2の電極116に適当な負電圧を印加することにより、第1の絶縁膜112のみにホールをトンネルさせて、このホールを上記絶縁膜134内に注入する。これによって、上記絶縁膜134内の準位130にトラップされている電子120と、上記ホールとが再結合して、この絶縁膜134の電荷が速やかに消去される。
【0096】
一方、電極111,116間に電位差を与えない記憶保持状態では、図8(b)に示すように、上記絶縁膜134内の準位130にトラップされている電子120に対して、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜133との両方がトンネル障壁となる。したがって、上記電子120が上記第1および第2の絶縁膜112,133をトンネル現象によって通過する確率は極めて低い。したがって、上記絶縁膜134内にトラップされた電子120は、上記半導体基板111に殆どリークしないので、長時間の記憶保持が可能になる。
【0097】
上記メモリ膜の記憶保持状態(つまり、上記絶縁膜134に蓄積された電荷の多寡)を読み出す場合、上記蓄積された電荷が散逸しない程度に充分に低い電圧(例えば2V)を印加して、静電容量測定を行う。上記絶縁膜134における蓄積電荷の多寡によって静電容量が変化するので、メモリ膜の記憶状態を検出できるのである。このような低い電圧が印加される読み出し時においても、上記絶縁膜134にトラップされた電荷に対して、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜133とがトンネル障壁として働くので、上記絶縁膜134から半導体基板111への電荷の移動が防止されて、誤書き込みや誤消去を防止できる。
【0098】
すなわち、第1実施形態と同様に、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁体膜133とについて、真空準位からの各々の伝導帯下端Ec1,Ec2のエネルギー差A,Bに、A<Bの関係が成立するとともに、真空準位からの各々の価電子帯上端Ev1,Ev2のエネルギー差にa>bの関係が成立するので、書き込みおよび消去速度が高速で、しかも、記憶保持時間が比較的長いメモリを実現することができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、電荷をトラップする機能を有する絶縁体134を電荷蓄積膜として使用しているので、例えば第1の絶縁膜112の一部に欠陥などが生じた場合でも、この欠陥が生じた部分の近傍以外の部分は、電荷の保持能力が失われない。したがって、上記電荷をトラップする機能を有する絶縁体134は、全体として、上記欠陥の影響を殆ど受けない。その結果、メモリ膜は、良好な信頼性を有し、また、歩留まりを向上させることができる。
【0100】
なお、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜は、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2について、真空準位との間の差A,Bに、A<Bの関係のみが成立するものを用いてもよい。また、価電子帯上端Ev1,Ev2について、真空準位との間の差a,bに、a>bの関係のみが成立する第1の絶縁膜と第2の絶縁膜を用いてもよい。
【0101】
なお、本実施形態において、上記メモリ膜を構成する各層は、互いに接している必要はなく、必要に応じて、例えば誘電体薄膜などを設けることが可能である。
【0102】
(第3実施形態)
図9(a)は、本発明の第3実施形態のメモリ膜を示す図である。本実施形態のメモリ膜について、第1実施形態のメモリ膜と同一の部分には同一の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。第3実施形態のメモリ膜は、第1の電極であるp型シリコンからなる半導体基板111と、シリコン酸化膜などからなる第1の絶縁膜112と、導電体微粒子144を含んだ第2の絶縁膜143と、シリコン酸化膜からなる第3の絶縁膜115と、ポリシリコンからなる第2の電極116とを順に積層して形成している。
【0103】
上記第2の絶縁膜143は、シリコン窒化膜によって形成している。上記導電体微粒子144は、シリコンやゲルマニウムなどの半導体を用いて形成してもよく、あるいは、金などの金属を用いて形成してもよい。また、上記導電体微粒子144は、図9(a)に示すように、上記第2の絶縁膜143中に配置してもよく、また、上記第2の絶縁膜143と第3の絶縁膜115との境界から第3の絶縁膜115側に突出していてもよい。あるいは、図9(b)に示すように、上記第2の絶縁膜143中に配置された導電体微粒子144aと、上記第2および第3の絶縁膜143,115の境界に接して第3の絶縁膜115側に突出した導電体微粒子114bとを備えてもよい。要は、上記導電体微粒子144は、上記第2の絶縁膜143によって第1の絶縁膜112から隔てられていればよい。
【0104】
本実施形態のメモリ膜は、第1実施形態と同様に、上記第1の絶縁膜112の電子親和力Aよりも第2の絶縁膜143の電子親和力Bが大きく、かつ、上記第1の絶縁膜112のイオン化エネルギーaよりも第2の絶縁膜143のイオン化エネルギーbが小さい。つまり、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜143とについて、真空準位に対する各々の伝導帯下端Ec1,Ec2のエネルギー差A,Bに、A<Bの関係が成立するとともに、真空準位に対する各々の価電子帯上端Ev1,Ev2のエネルギー差a,bに、a>bの関係が成立する。このような関係を得るため、例えば、上記第1の絶縁膜112は、シリコン酸化膜のほかに、Alなどで形成してもよく、また、上記第2の絶縁膜143は、シリコン窒化膜の他に、シリコン酸窒化膜SiO、Y、ZrO−SiO混合物、HfO−SiO混合物などで形成してもよい。
【0105】
本実施形態のメモリ膜は、書き込みを行なう場合、第1の電極である半導体基板111に対して第2の電極に正電圧を印加する。これによって、上記第1の絶縁膜112のみが、キャリアとしての電子に対してトンネル障壁として働く。したがって、上記電子は、上記導電体微粒子144,144a,144bに迅速に入射されて蓄積される。また、記憶保持時には、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜143との両方がトンネル障壁として働くので、上記伝導帯微粒子144,144a,144bに蓄積された電荷としての電子は、上記半導体基板111側にリークし難い。その結果、このメモリ膜は、長時間に亘って安定して記憶保持が可能になる。
【0106】
さらに、本実施形態のメモリ膜は、上記導電体微粒子144,144a,144bに電子を蓄積するので、上記第1の絶縁膜112の一部に欠陥などが生じても、上記欠陥が生じた部分の近傍以外の部分の導電体微粒子144,144a,144bからは、電子が殆どリークしない。したがって、このメモリ膜全体としては、電荷保持能力が殆ど損なわれない。その結果、上記第1の絶縁膜112が多少欠陥を有してもメモリ膜は良好な信頼性を有し、また、メモリ膜の歩留まりを向上させることができる。
【0107】
さらに、本実施形態では、上記第2の絶縁膜143に含まれた導電体微粒子144,144a,144bに電子を蓄積するので、この蓄積された電子は比較的深い準位、つまり、低エネルギーの準位に蓄積されるから、例えば熱励起を生じても、電荷のリークが生じ難い。その結果、環境温度の変動が生じても、長時間に亘って記憶を保持できて、高信頼のメモリ膜が得られる。
【0108】
また、第1実施形態1と同様に、第2の絶縁体膜143として、第1の絶縁膜112のイオン化エネルギーよりも小さいイオン化エネルギーを有する材料を用いることによって、書き込み速度および消去速度が高く、しかも、記憶保持時間が比較的長いメモリを実現することができる。
【0109】
なお、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜は、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2について、真空準位との間の差A,Bに、A<Bの関係のみが成立するものを用いてもよい。また、価電子帯上端Ev1,Ev2について、真空準位との間の差a,bに、a>bの関係のみが成立する第1の絶縁膜と第2の絶縁膜を用いてもよい。
【0110】
なお、本実施形態のメモリ膜を構成する各層は、互いに接している必要はなく、必要に応じて、各層の間に誘電体薄膜などを設けてもよい。
【0111】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態のメモリ膜を示す図であり、図11は、本実施形態のメモリ膜におけるエネルギーバンド構造を示す模式図である。本実施形態のメモリ膜は、第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155として、高誘電率を有する絶縁体であるZrOを用いた点が、第1実施形態のメモリ膜と異なる。
【0112】
本実施形態のメモリ膜についても、第1実施形態と同様に、上記第1の絶縁膜112の電子親和力Aよりも第2の絶縁膜153の電子親和力Bを大きく、かつ、上記第1の絶縁膜112のイオン化エネルギーaよりも第2の絶縁膜153のイオン化エネルギーbを小さくしている。さらに、第1の絶縁膜112の誘電率よりも、第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155の誘電率を高くしている。
【0113】
上記電子親和力、イオン化エネルギー、および、誘電率に関する関係をなすため、第1の絶縁膜112として、誘電率が比較的低いシリコン酸化膜を用いている。また第2の絶縁膜153、第3の絶縁膜155として、高誘電率を有し、かつ、電子親和力およびイオン化エネルギーが小さいZrOを用いている。また、ZrOの他に、HfO2、La2O3等の物質を用いてもよい。
【0114】
本実施形態のメモリ膜において、書き込みを行なう場合、第1実施形態と同様に、上記半導体基板111に対して第2の電極116に適当な正電圧を印加して、半導体基板111に生じる反転層119の電子のエネルギーを、第2の絶縁膜153の伝導帯下端Ec2よりも高くする。これによって、上記半導体基板111から電荷蓄積膜154に注入する電子について、厚みが比較的薄い第1の絶縁膜112のみがトンネリング障壁として働く。その結果、上記電子が迅速に上記電荷蓄積膜154に注入して蓄積されるので、書き込みが高速に行なわれる。
【0115】
ここで、本実施形態では、上記第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155の誘電率を第1の絶縁膜112よりも高くしている。したがって、書き込みのために第2の電極116に正電圧を印加した場合、誘電率が低い膜すなわち第1の絶縁膜112が、上記第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155よりも大きい電圧を受ける。したがって、上記第2の電極116への印加電圧が比較的低くても、上記半導体基板111に生じる反転層119の電子のエネルギーを第2の絶縁膜153の伝導帯下端Ec2よりも高くすることができる。つまり、比較的低い上記第2の電極116への印加電圧によって、上記電荷蓄積膜154に電子を注入して書き込みを行なうことができる。また、消去時においても、書き込み時と同様に、比較的小さい印加電圧によって、上記電荷蓄積膜154にホールを注入して消去を行なうことができる。
【0116】
本実施形態によれば、書き込みおよび消去を従来よりも低い電圧で行えるので、書き込みおよび消去時の印加電圧を生成するための回路の構成を簡略化することができ、ひいては、メモリ膜の製造コストを下げることができる。また、動作電圧の低減によって、このメモリ膜を用いて構成された素子の劣化を防止することができる。
【0117】
本実施形態において、上記第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155の両方について、上記第1の絶縁膜112よりも誘電率を高くしたが、上記第2の絶縁膜153および第3の絶縁膜155のいずれか一方について、上記第1の絶縁膜112よりも誘電率を高くしてもよい。
【0118】
また、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜は、各々の電子親和力A,B、すなわち、各々の伝導帯下端Ec1,Ec2の真空準位に対する差A,Bに、A<Bの関係のみが成立するものを用いてもよい。また、各々のイオン化エネルギーa,b、すなわち、各々の価電子帯上端Ev1,Ev2の真空準位に対する差a,bに、a>bの関係のみが成立する第1の絶縁膜と第2の絶縁膜を用いてもよい。
【0119】
なお、本実施形態のメモリ膜を構成する各層は、必ずしも互いに接する必要はなく、必要に応じて、誘電体薄膜などが設けられてもよい。
【0120】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態のメモリ膜を示す図であり、図13および図14(a),(b)は、本実施形態のメモリ膜におけるエネルギーバンド構造を示す模式図である。本実施形態のメモリ膜は、図12に示すように、第1の電極となるp型シリコンからなる半導体基板211と、第1の絶縁膜212と、電荷蓄積膜214と、第2の絶縁膜213と、第3の絶縁膜215と、第2の電極216とを順に積層して形成している。
【0121】
本実施形態のメモリ膜は、書き込みおよび消去の際の電荷蓄積膜214への電荷の注入および抜き取りを、上記第2の電極216側から行う。したがって、上記電荷蓄積膜214に対して第2の電極216と反対側に位置する第1の絶縁膜212は、電荷のトンネル現象を抑制するため、厚さが例えば5〜10nmのような比較的厚い絶縁膜を用いるのが好ましい。本実施形態では、上記第1の絶縁膜212として、厚さが5nmのシリコン酸化膜を用いている。
【0122】
上記電荷蓄積膜214としては、例えば、厚さが3〜5nm程度のポリシリコン膜が好ましい。
【0123】
第2の絶縁膜213としては、例えば、厚さ2〜6nm程度のシリコン窒化膜が好ましく、本実施形態では、膜厚が3nmのシリコン窒化膜を用いている。
【0124】
上記第3の絶縁膜215としては、例えば、厚さが1〜4nm程度のシリコン酸化膜が好ましい。本実施の形態では、上記電荷蓄積膜214への電荷の注入および抜き取りを、上記第3の絶縁膜215を介して第2の電極216側から行うので、第3の絶縁膜215は膜厚が比較的薄いのが好ましい。また、書き込みおよび消去時に生成される電界によって絶縁破壊が生じない程度の膜厚も必要であるので、上述のような1〜4nmの膜厚が好ましい。本実施形態では、膜厚を3nmとしている。
【0125】
なお、上記第2および第3の絶縁膜213,215の材料の組み合わせは、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜に限られず、本実施形態による効果と同様の効果を奏するものであれば、他の材料を適宜選んでもよい。
【0126】
上記第2の電極216としては、導電性を奏する不純物(例えばリン)を高濃度に含むポリシリコンを用いた。あるいは、上記第2の電極216として金属を用いてもよい。
【0127】
図13は、本実施形態のメモリ膜のエネルギーバンド構造を示す模式図である。図13において右側が、図12のメモリ膜の下側に相当する。図13において、各層のバンド構造は、簡単のため、フラットに描いている。実際には、電極間に電位差を与えない場合であっても、バンド構造は変形している。
【0128】
上記第2の絶縁膜213をシリコン窒化膜で形成すると共に、上記第3の絶縁膜215をシリコン酸化膜で形成している。したがって、図13に示すように、上記第2の絶縁膜213の伝導帯下端Ec2と真空準位217との間のエネルギー差、つまり電子親和力Cは、上記第3の絶縁膜215の伝導帯下端Ec3と真空準位217との間のエネルギー差、つまり電子親和力Dよりも大きい。また、上記第2の絶縁膜213の価電子帯上端Ev2と真空準位217との間のエネルギー差、つまりイオン化エネルギーcは、上記第3の絶縁膜215の価電子帯上端Ev3と真空準位217との間のエネルギー差、つまりイオン化エネルギーdよりも小さい。つまり、上記第2の絶縁膜213とおよび第3の絶縁膜215との間に、電子親和力C,Dと、イオン化エネルギーc,dとに関して、C>D、かつ、c<dの関係が成立する。なお、このような関係を成立させるため、他の材料を用いてもよい。例えば、第2の絶縁膜213としては、本実施形態のシリコン窒化膜の他に、シリコン酸窒化膜SiO、Y、La、ZrO、HfO、ZrO−SiO混合物、HfO−SiO混合物などを用いてもよい。これと共に、第3の絶縁膜215には、上記第2の絶縁膜213よりも電子親和力およびイオン化エネルギーが大きい物質として、本実施形態のシリコン酸化膜の他に、例えばAlなどを用いてもよい。
【0129】
本実施形態のメモリ膜について、書き込みを行なう際の動作を説明する。図14(a)は、上記メモリ膜に書き込みを行なう際のエネルギーバンド構造を示す模式図である。第1電極としての半導体基板211の電位を0Vとすると共に、第2の電極216の電位を例えば−7Vとして、上記第2の電極の電子の一部を、上記第2の絶縁膜213の伝導帯下端Ec2よりも高エネルギーとする。この高エネルギーとなった電子は、上記第3の絶縁膜215をトンネル現象によって通過して、上記電荷蓄積膜214に注入される。図14(a)に示すようなバンド構造では、上記高エネルギーの電子に対して、上記第2の絶縁膜としてのシリコン窒化膜213は障壁として働かない一方、上記第3の絶縁膜としての薄いシリコン酸化膜215のみがトンネル障壁として働く。したがって、上記電子は、上記第3の絶縁膜を比較的高いトンネル確率の下で通過して、迅速に電荷蓄積膜214に入射して蓄積される。その結果、比較的早い書き込み速度を実現できるのである。
【0130】
このようなメモリ膜の動作は、上記第2の絶縁膜213と第2の電極216とを接しないで、上記第2の絶縁膜213と第2の電極216との間に第3の絶縁膜215を設けていることで達成できる。この構成により、上記電極211,216への適当な電圧の印加の下で、上記第2の電極216のフェルミレベルを、上記第2の絶縁膜213の伝導帯下端Ec2よりも高くすることができる。さらに、上記第2の絶縁膜213と第3の絶縁膜215は、各々の伝導帯下端Ec2,Ec3について、真空準位217からの各々のエネルギー差C,Dが、C>Dの関係が成立するので、書き込み時の印加電圧を比較的低くできる。したがって、各絶縁膜213,215の劣化を効果的に防止できる。
【0131】
なお、上記電極211,216に印加する電圧の値は、本実施形態の電圧値に限られず、各層の材料や膜厚に応じて適切な電圧値を設定すればよい。各絶縁膜層の材料や膜厚を適切に選ぶことで、書き込み電圧をさらに低くすることもできる。
【0132】
図14(b)は、本実施形態のメモリ膜について、記憶保持時および読み出し時のエネルギーバンド構造を示す模式図である。上記各電極211,216間に電位差を与えない保持状態では、上記電荷蓄積膜214に蓄積された電子220の電位は、上記第2の絶縁膜213の伝導帯下端Ec2及び第3の絶縁膜215の伝導帯下端Ec3よりも低い。したがって、上記電荷蓄積膜214の電子220に対して、上記第2の絶縁膜213と第3の絶縁膜215とが二重にエネルギー障壁として働く。したがって、上記電子220のトンネリング現象は殆ど起こらない。これにより、電荷が消失することなく、長時間に亘って記憶保持ができる。
【0133】
上記メモリ膜は、読み出しを行なう場合、上記電荷蓄積膜214に蓄積された電荷の多寡を検出する。このとき、上記電荷蓄積膜214に蓄積された電荷が散逸しない程度の充分に低い電圧、例えば、2Vの電圧を印加して、静電容量の測定を行うことによって、上記蓄積された電荷の多寡を検出する。この場合の低い印加電圧の下では、上記記憶保持状態と同様に、上記電荷蓄積膜214と第2の電極216とが、上記第2の絶縁膜213および第3の絶縁膜215の二重の絶縁膜によって電気的に分離された状態になる。したがって、上記第2の電極216と電荷蓄積膜214との間の電荷の移動が防止されて、誤書き込みや誤消去が防止される。
【0134】
このように、本実施形態のメモリ膜は、良好な記憶保持能力を有しつつ、上記第3の絶縁膜215の厚みを薄くできて、書き込み時に直接トンネル現象を用いることが可能である。したがって、書き込み電圧を低くして、いわゆるトンネル絶縁膜の劣化を抑えることができる。その結果、このメモリ膜は良好な信頼性が得られる。
【0135】
上記メモリ膜において、消去を行なう場合、ホールの直接トンネリング現象を用いる。すなわち、第1電極としてのシリコン基板211の電位を例えば0Vとし、上記第2の電極216の電位を+7Vとする。そうすると、上記第2の電極216から、ホールが第3の絶縁膜215をトンネルによって通過して、上記電荷蓄積膜214に入射される。この入射されたホールが、上記電荷蓄積膜214中に蓄積されていた電荷としての電子と再結合して、この電荷が消去される。上記第2の電極216のフェルミレベルを、上記第2の絶縁膜213の価電子帯上端Ev2よりも低くしているので、上記第2の電極216から注入されるホールのエネルギーが、上記第2の絶縁膜213の価電子帯上端Ev2よりも高くなる(紙面における下方向が、ホールに対してエネルギーが高い側である)。したがって、上記ホールに対してトンネル障壁として働くのは、膜厚が薄い上記第3の絶縁膜215のみとなる。その結果、上記ホールの上記第3絶縁膜215におけるトンネル確率が高くなって、上記電荷蓄積膜214の電荷を従来よりも高速に消去できる。
【0136】
なお、上記電極211,216に印加する電圧の値は、本実施形態におけるものに限られず、メモリ膜を構成する各層の材料や厚みに応じて適切な値とすればよい。上記絶縁膜などの材料および膜厚を適当に設定することによって、消去電圧をさらに低くすることもできる。
【0137】
このように、本実施形態によれば、高い記憶保持能力を保ちつつ、上記第3の絶縁膜215を薄くすることができ、また、消去時においても直接トンネル現象を用いることが可能となる。したがって、書き込みおよび消去時の印加電圧を、いずれも低くして、いわゆるトンネル絶縁膜の劣化を抑えることができる。その結果、このメモリ膜は良好な信頼性を得ることができる。
【0138】
さらに、本実施形態によれば、トンネル現象によるキャリアの注入が、上記半導体基板211に接する第1の絶縁膜212を介して行われないので、上記第1の絶縁膜212の膜厚を比較的厚くできて、欠陥などのダメージを受けにくくできる。上記第1の絶縁膜212がダメージを受けた場合、この第1の絶縁膜212と半導体基板211との界面に準位が生じて、メモリ膜の電気的特性のばらつきの原因となり得る。これに対して、本実施形態によれば、上記第1の絶縁膜212が比較的厚い膜厚を有してダメージを受け難いので、電気的特性のばらつきが少ないメモリ素子が得られる。従って、このメモリ膜は、さらに信頼性を高めることができる。
【0139】
なお、第2の絶縁膜と第3の絶縁膜は、各々の伝導帯下端Ec2,Ec3について、真空準位との間の差C,Dに、C>Dの関係のみが成立するものを用いてもよい。また、価電子帯上端Ev2,Ev3について、真空準位との間の差c,dに、c<dの関係のみが成立する第2の絶縁膜と第3の絶縁膜を用いてもよい。
【0140】
また、本実施形態において、メモリ膜を構成する各層は互いに接しているが、上記メモリ膜の各層は接している必要はなく、必要に応じて、各層の間に誘電体薄膜などを設けることが可能である。
【0141】
(第6実施形態)
図15(a)は、第6実施形態のメモリ素子を示す図である。このメモリ素子は、第1実施形態のメモリ膜を用いて形成された電界効果型トランジスタを有する。なお、本実施形態は、第1実施形態のメモリ膜を用いるが、第2乃至第5実施形態のメモリ膜を用いて電界効果型トランジスタを形成してもよい。
【0142】
本実施形態のメモリ素子は、書き込みおよび消去を行なう際、第1実施形態のメモリ膜と同様に動作する。例えば、書き込みを行う際、ゲート電極である第2の電極116に+7Vの電圧を印加すると共に、上記半導体基板111、ソース331、および、ドレイン332に0Vを印加する。そうすると、図15(b)に示すように、上記ゲート電極(第2の電極116)の下方位置であって上記半導体基板111の表面付近に、反転層119が生じる。この反転層119の電子が、第1実施形態と同様に、上記第1の酸化膜112をトンネルして、上記電荷蓄積膜113に迅速に蓄積される。
【0143】
記憶保持時には、上記電荷蓄積膜中113中の電子は、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113とによる二重のトンネル障壁によって、上記半導体基板111側へのリークが効果的に防止される。
【0144】
消去を行う場合、ゲート電極となる第2の電極116に、例えば−7Vの電圧を印加すると共に、上記半導体基板111、ソース331、および、ドレイン332を0Vとする。この時、ゲート電極(第2の電極116)の下方位置であって上記半導体基板111の表面付近に、ホールが蓄積する。このホールが、第1実施形態と同様に、上記第1の酸化膜112をトンネルして、上記電荷蓄積膜113に迅速に注入される。そして、上記電荷蓄積膜114に蓄積されている電子と再結合して、蓄積電荷が消去される。
【0145】
読み出しは、通常のトランジスタの動作を行って、オン状態でのドレイン電流をモニターすることによって、簡易に行うことができる。図16は、半導体基板111およびソース331を0Vとすると共に、ドレイン332に+2Vの電圧を印加した状態で、ゲート電極(第2の電極116)の電位を0Vから+2Vにスイープさせたときの、ドレイン電流の変化を示す図である。図16において、メモリ膜に電荷が保持されていない場合(消去時に相当する)のドレイン電流の変化と、メモリ膜に電荷が保持されている場合(書き込み時に相当する)のドレイン電流の変化とを示している。図16から分かるように、消去時に比べて、書き込み時には、上記電荷蓄積膜113中に蓄積された電子のポテンシャルによって、トランジスタの閾値が上昇して、ドレイン電流が低くなっている。このことから、ドレイン電流の大きさをモニターすることによって、簡単に、メモリ膜の記憶状態を検出することができる。
【0146】
また、読み出しを、充分低いゲート電圧によって行うことができるので、このゲート電圧を印加した場合の反転層の電子のエネルギーが、第2の絶縁膜113の伝導帯下端Ec2を越えることがない。したがって、記憶保持時と同様に、読み出し時においても、上記電荷蓄積膜114は、上記半導体基板111から、上記第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113との二重の絶縁膜によって電気的に分離された状態を保つことができる。その結果、上記半導体基板111と電荷蓄積膜114との間の電荷の移動が防止されて、誤書き込みや誤消去を防止できる。
【0147】
本実施形態では、書き込みおよび消去時には、ソース331からドレイン332の間には電位差を与えておらず、キャリアを直接トンネリングによって電荷蓄積膜114に注入している。したがって、本実施形態のメモリ素子は、ホットキャリアを用いた電荷注入を用いていないので、書き込みおよび消去時にはソース331とドレイン332との間に電流を生じさせる必要がない。その結果、本実施形態によれば、消費電力を抑えることができるのみならず、ホットキャリアによる絶縁膜の劣化を防ぐことができるため、メモリ素子の信頼性を向上することができる。
【0148】
本実施形態において、第1実施形態と同様に、上記第1絶縁膜112の伝導帯下端Ec1と、第2絶縁膜113の伝導帯下端Ec2とについて、真空準位117からの各々のエネルギー差A,Bが、A<Bの関係を有するので、書き込みを高速に行なうことができる。これと共に、上記第1の絶縁膜112の価電子帯上端Ev1と、第2の絶縁膜113の価電子帯上端Ev2とについて、真空準位117からの各々のエネルギー差a,bが、a>bの関係を有するので、消去を高速に行なうことができる。なお、上記第1および第2絶縁膜112,113について、真空準位117からの伝導帯下端Ec1,Ec2のエネルギー差A,Bが、A<Bの関係を有するのみでもよい。また、上記第1および第2絶縁膜112,113について、真空準位117からの価電子帯上端Ev1,Ev2のエネルギー差a,bが、a>bの関係を有するのみでもよい。
【0149】
また、本実施形態では、第1実施形態のメモリ膜を用いたが、第2乃至第5実施形態のメモリ膜を用いてもよく、その場合には、上記各実施形態におけるのと同様の効果が得られる。
【0150】
例えば、第4実施形態のメモリ膜のように、第2の絶縁膜112および第3の絶縁膜114にZrOなどの高誘電体材料を用いた場合には、メモリ素子の書き込みおよび消去時の電圧を下げることができて、メモリ素子の周辺回路の簡略化や、メモリ素子の劣化防止ができる。
【0151】
また、第5実施形態のメモリ膜を用いてメモリ素子を形成した場合、ゲート電極である第2の電極116から電荷蓄積膜113にキャリアの注入を行う構造になる。このメモリ素子では、書き込み時にゲート電極116に例えば−7Vの電圧を印加する一方、消去時に例えば+7Vの電圧を印加すればよい。このメモリ素子は、第5実施形態のメモリ膜と同様に、書き込みおよび消去時のキャリアのトンネルが、第1の絶縁膜212を介しては行われないので、第1の絶縁膜212がダメージを受け難い。したがって、上記第1の絶縁膜212のダメージに起因する界面準位によって、メモリ素子の特性にばらつきが生じることが、有効に回避できる。その結果、上記メモリ膜で形成されたトランジスタを有するメモリ素子は、良好な信頼性が得られる。
【0152】
第1乃至第6実施形態では、半導体基板としてシリコン基板を用いたが、上記半導体基板は、シリコンで形成したものに限定されず、例えばGaAs(ガリウム・ヒ素)などのように、他の半導体で形成したものであってもよい。
【0153】
また、第1乃至第6実施形態では、メモリ膜およびメモリ素子のキャリアが電子であるN型のメモリ膜およびメモリ素子であったが、キャリアがホールであるP型のメモリ膜およびメモリ素子を構成してもよい。この場合は、不純物の導電型を全て逆にすればよい。
【0154】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成された第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、上記電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、キャリアとしての電子を上記半導体基板から上記電荷蓄積膜に注入する際、上記電子に対して上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記電子を電荷蓄積膜に迅速に注入することができて、書き込みを比較的高速に行なうことができる。上記電荷蓄積膜に電子が保持されて電荷が蓄積された状態において、上記電荷蓄積膜に保持された電子に対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記電荷蓄積膜に保持された電子は、上記半導体基板にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しのために上記電荷蓄積膜における電荷の蓄積を検出する場合、上記電荷蓄積膜に誤って電子が注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0155】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成された第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、上記電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記半導体基板から上記電荷蓄積膜に注入されるキャリアとしてのホールに対して、上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記ホールを上記電荷蓄積膜に迅速に注入できて、書き込みを比較的高速に行うことができる。また、上記電荷蓄積膜にホールが保持されて電荷が蓄積された状態では、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方が、上記電荷蓄積膜に保持されたホールに対してトンネル障壁として働くので、上記電荷蓄積膜に保持されたホールが上記半導体基板にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しを行なう際、上記電荷蓄積膜に誤ってホールが注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0156】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられており、上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、上記半導体基板から上記導電体微粒子に注入するキャリアとしての電子に対して、上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記電子を上記導電体微粒子に迅速に注入できて、書き込みを比較的高速に行なうことができる。また、上記導電体微粒子に電子が保持されて電荷が蓄積された状態において、上記導電体微粒子に保持された電子に対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記電子は半導体基板にリークし難くいから、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しを行なう際、上記導電体微粒子に誤って電子が注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0157】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷は、上記欠陥によって殆どリークしないから、このメモリ膜は、安定してメモリ機能を保持できて、信頼性および歩留まりを効果的に向上できる。
【0158】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子を含む上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、例えは熱励起などに起因する電荷のリークを防止できて、高温下においても安定したメモリ機能を保持できるメモリ膜が得られる。
【0159】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられており、上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記半導体基板から上記導電体微粒子に注入されるキャリアとしてのホールに対して、上記第1の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記ホールを上記導電体微粒子に迅速に注入することができて、書き込みを比較的高速に行うことができる。また、上記導電体微粒子にホールが保持されて電荷が蓄積された状態において、上記ホールに対して、上記第1の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記ホールは半導体基板にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しを行なう際、上記導電体微粒子に誤ってホールが注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0160】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷は、上記欠陥によって殆どリークせず、さらに、上記導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられているので、電荷のリークを効果的に防止できる。したがって、安定してメモリ機能を保持できて、良好な信頼性および歩留まりを有するメモリ膜が得られる。
【0161】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子が含まれる上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、例えは熱励起などに起因する電荷のリークを防止できて、高温下においても安定したメモリ機能を有するメモリ膜が得られる。
【0162】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、上記電荷蓄積膜上に形成された第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記電極から上記電荷蓄積膜にキャリアとしての電子を注入する際、この電子に対して上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記電子を上記電荷蓄積膜に迅速に注入でき、その結果、書き込みを比較的高速に行なえるメモリ膜が得られる。また、上記電荷蓄積膜に電子が保持されて電荷が蓄積された状態において、上記電子に対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くから、上記電子は、上記電荷蓄積膜から電極にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しのために上記電荷蓄積膜における電荷の蓄積を検出する場合、上記電荷蓄積膜に誤って電子が注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0163】
さらに、上記メモリ膜は、書き込み時において、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象は殆ど生じないので、この第1の絶縁膜と上記半導体基板との間に、トンネル現象によるダメージに起因する準位が殆ど生じないから、メモリ膜の特性のばらつきを効果的に防止できる。
【0164】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、上記電荷蓄積膜上に形成された第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、上記電極から上記電荷蓄積膜に注入するキャリアとしてのホールに対して、上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記ホールを上記電荷蓄積膜に迅速に注入できて、メモリ膜の書き込みを比較的高速に行うことができる。また、上記電荷蓄積膜にホールが保持されて電荷が蓄積された状態において、上記ホールに対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁となるので、上記ホールは電極にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しの際、上記電荷蓄積膜に誤ってホールが注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0165】
さらに、上記メモリ膜は、書き込み時において、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象が殆ど生じないので、この第1の絶縁膜と上記半導体基板との間の界面に、キャリアのトンネル現象に起因する準位が殆ど生じないから、メモリ膜の特性のばらつきを効果的に防止できる。
【0166】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第3の絶縁膜から隔てられており、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きいので、上記電極から上記導電体微粒子に注入されるキャリアとしての電子に対して、上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記電子を上記導電体微粒子に迅速に注入できて、書き込み速度が比較的高速のメモリ膜が得られる。また、上記導電体微粒子に電子が保持されて電荷が蓄積された状態において、上記電子に対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁となるので、上記導電体微粒子に保持された電子は、上記電極にリークし難くて、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しの際、上記導電体微粒子に誤って電子が注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0167】
さらに、上記メモリ膜は、書き込み時において、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象は殆ど生じないので、この第1の絶縁膜と上記半導体基板との間の界面に、キャリアのトンネル現象に起因する準位が生じ難いから、メモリ膜の特性のばらつきを効果的に防止できる。
【0168】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第2の絶縁膜および第3の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷は、上記欠陥によって殆どリークしないから、安定してメモリ機能を保持できて、良好な信頼性および歩留まりを有するメモリ膜が得られる。
【0169】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子が含まれる上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、例えは熱励起などに起因する電荷のリークを防止できて、高温下においても安定したメモリ機能を有するメモリ膜が得られる。
【0170】
本発明のメモリ膜によれば、半導体基板と、上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、上記第2の絶縁膜に含まれる導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第3の絶縁膜から隔てられており、上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さいので、上記電極から上記導電体微粒子に注入されるキャリアとしてのホールに対して、上記第3の絶縁膜のみがトンネル障壁として働くから、上記ホールを上記導電体微粒子に迅速に注入できて、書き込みが比較的高速のメモリ膜が得られる。また、上記導電体微粒子にホールが保持されて電荷が蓄積された状態において、上記ホールに対して、上記第2の絶縁膜と、上記第3の絶縁膜との両方がトンネル障壁として働くので、上記ホールは上記電極にリークし難くなって、誤消去を効果的に防止できる。また、読み出しの際に、上記導電体微粒子に誤ってホールが注入され難いので、誤書き込みを効果的に防止できる。
【0171】
さらに、上記メモリ膜は、書き込み時において、上記第1の絶縁膜にはキャリアのトンネル現象は殆ど生じないので、この第1の絶縁膜と上記半導体基板との間の界面に、キャリアのトンネル現象に起因する準位が殆ど生じないから、メモリ膜の特性のばらつきを効果的に防止できる。
【0172】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、上記第2の絶縁膜および第3の絶縁膜に例えば欠陥などが生じた場合でも、上記欠陥の近傍以外の部分の導電体微粒子に保持された電荷は、上記欠陥によって殆どリークしなく、さらに、上記導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第3の絶縁膜から隔てられているので、上記電荷のリークを効果的に防止でき、安定したメモリ機能を有して良好な信頼性および歩留まりを有するメモリ膜が得られる。
【0173】
さらに、上記導電体微粒子に電荷が蓄積されるので、この導電体微粒子が含まれる上記第2絶縁膜に対して、深い準位に電荷が蓄積されるから、熱励起などに起因する電荷のリークを防止できて、高温下においても安定してメモリ機能を奏するメモリ膜が得られる。
【0174】
本発明のメモリ素子によれば、上記メモリ膜を用いて形成された電界効果型トランジスタを備えるので、蓄積された電荷のリークが殆ど無くて、誤消去が殆ど無く、また、誤書き込みが殆ど無く、しかも、高速動作のメモリ素子を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のメモリ膜を示す図である。
【図2】 メモリ膜のエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図3】 図3(a)は、書き込み時のエネルギーバンド構造を示す図であり、図3(b)は、記憶保持時および読み出し時のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図4】 消去時のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図5】 図5(a),(b),(c)は、メモリ膜を製造する工程を示す図である。
【図6】 第2実施形態のメモリ膜を示す図である。
【図7】 書き込み時のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図8】 図8(a)は、消去時のエネルギーバンド構造を示す図であり、図8(b)は、記憶保持時のエネルギーバンド構造を示す図である。
【図9】 図9(a),(b)は、本発明の第3実施形態のメモリ膜を示す図である。
【図10】 第4実施形態のメモリ膜を示す図である。
【図11】 メモリ膜におけるエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図12】 第5実施形態のメモリ膜を示す図である。
【図13】 メモリ膜のエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図14】 図14(a)は、書き込み時のエネルギーバンド構造を示す模式図であり、図14(b)は、記憶保持時および読み出し時のエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図15】 図15(a),(b)は、第6実施形態のメモリ素子を示す図である。
【図16】 ゲート電極の電位を変化させたときのドレイン電流の変化を示す図である。
【図17】 従来のメモリ膜を示す図である。
【図18】 図18(a),(b)は、従来のメモリ膜のエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【符号の説明】
111 半導体基板
112 第1の絶縁膜
113 第2の絶縁膜
114 電荷蓄積膜
115 第3の絶縁膜
116 電極

Claims (10)

  1. 電界効果型トランジスタを備え、
    この電界効果型トランジスタは、
    半導体基板と、
    上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
    上記第1の絶縁膜上に形成された第2の絶縁膜と、
    上記第2の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、
    上記電荷蓄積膜上に形成された第3の絶縁膜と、
    上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
    上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
    上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁体の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
    書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のキャリアとしての電子のエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この半導体基板のキャリアとしての電子が、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにし、
    消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のホールのエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の価電子帯上端よりも低くなって、この半導体基板のホールが、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴とするメモリ素子。
  2. 請求項1に記載のメモリ素子において、
    上記電荷蓄積膜は、上記電荷をトラップする機能を有する絶縁膜であることを特徴とするメモリ素子。
  3. 電界効果型トランジスタを備え、
    この電界効果型トランジスタは、
    半導体基板と、
    上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
    上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、
    上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
    上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
    上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第1の絶縁膜から隔てられており、
    上記第1の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
    上記第1の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第2の絶縁体の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
    書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のキャリアとしての電子のエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この半導体基板のキャリアとしての電子が、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにし、
    消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記半導体基板のホールのエネルギーが、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも高く、かつ、上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との境界部における上記第1の絶縁膜の価電子帯上端よりも低くなって、この半導体基板のホールが、上記第1の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴とするメモリ素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載のメモリ素子において、
    上記第2の絶縁膜または上記第3の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高いことを特徴とするメモリ素子。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載のメモリ素子において、
    上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との両方の誘電率が、上記第1の絶縁膜の誘電率よりも高いことを特徴とするメモリ素子。
  6. 電界効果型トランジスタを備え、
    この電界効果型トランジスタは、
    半導体基板と、
    上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
    上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、電荷を蓄積する機能を有する電荷蓄積膜と、
    上記電荷蓄積膜上に形成された第2の絶縁膜と、
    上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
    上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
    上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
    上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
    書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この導電体膜の電子の一部が、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにし、
    消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも低く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の価電子帯上端よりも高くなって、ホールが、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体膜から上記電荷蓄積膜に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴とするメモリ素子。
  7. 請求項6に記載のメモリ素子において、
    上記電荷蓄積膜は、電荷をトラップする機能を有する絶縁膜であることを特徴とするメモリ素子。
  8. 電界効果型トランジスタを備え、
    この電界効果型トランジスタは、
    半導体基板と、
    上記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜と、
    上記第1の絶縁膜上に形成されていると共に、導電体微粒子を含む第2の絶縁膜と、
    上記第2の絶縁膜上に形成された第3の絶縁膜と、
    上記第3の絶縁膜上に形成されていると共に、電極となる導電体膜とを備え、
    上記第2の絶縁膜に含まれた導電体微粒子は、上記第2の絶縁膜によって上記第3の絶縁膜から隔てられており、
    上記第2の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の伝導帯下端と真空準位との間のエネルギー差よりも大きく、
    上記第2の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差は、上記第3の絶縁膜の価電子帯上端と真空準位との間のエネルギー差よりも小さく、
    書き込みの際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の伝導帯下端よりも高く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の伝導帯下端よりも低くなって、この導電体膜の電子の一部が、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにし、
    消去の際、上記半導体基板と上記導電体膜との間に電圧が印加されたときに、上記導電体膜のフェルミレベルが、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第2の絶縁膜の価電子帯上端よりも低く、かつ、上記第2の絶縁膜と上記第3の絶縁膜との境界部における上記第3の絶縁膜の価電子帯上端よりも高くなって、ホールが、上記第3の絶縁膜を通した直接トンネリングによって、上記導電体膜から上記導電体微粒子に注入されて蓄積されるようにしたことを特徴とするメモリ素子。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1つに記載のメモリ素子において、
    上記第1の絶縁膜または上記第2の絶縁膜のいずれか一方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高いことを特徴とするメモリ素子。
  10. 請求項6乃至8のいずれか1つに記載のメモリ素子において、
    上記第1の絶縁膜と上記第2の絶縁膜との両方の誘電率が、上記第3の絶縁膜の誘電率よりも高いことを特徴とするメモリ素子。
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